問題点
著者
穐山 幹夫
著者別名
Akiyama Mikio
雑誌名
経営論集
巻
43
ページ
127-147
発行年
1996-03-15
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005666/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja外貨建取引 等 会計処理 基準の改訂に かかお る問 題点127
外貨 建取引等 会計処理 基 準の改訂 に かかわる 問題点
穐 山.幹 夫
はじ めにI 修正 テン ポラル法 廃棄 の理 由n 修正 テン ポラル法 の意義 Ⅲ 修正 テン ポラル 法の 問題点 Ⅳ 決算日 レ ート 法の採 用 理由 と問 題点v 外貨表示 財 務諸表 の 換算 会計 の新た な る視点 を 求めて お わ りに は じ め に 平 成7 年5 月26 日 付け で 企業会 計審 議 会は 改 訂 外貨 建取 引 等 会計 処 理基 準を 公 表し た。 こ れまで 外 貨 建取 引 等 会計 処 理基 準 に関 して は、 昭和58 年12月 に 外貨 建 長期 金 銭 債権 債務 等に 為 替 予約 を 付 し た 場合 の 会 計処 理 方法 に 関す る注 解 が追加 さ れ る とい う わず か の改 訂 が行 なわ れただけ で ある こ とを 考 え ると、 昭 和54年6 月 に外 貨建 取 引等 会 計 処理 基 準 が設 定さ れ て以 来、 今 回 の 改訂 は実 に16 年 ぶ りの抜 本 的 かつ 大 幅な も のであ る。 ( 注) 以 下 にお い て は、 昭和54年6 月 に 公表 さ れ た外 貨建 取 引 等会 計処 理 基準 を 旧基 準 と記 し、 平 成7 年5 月に 公表 さ れた 改訂 外貨 建 取 引等 会 計処 理 基 準を 新基 準 と記 す こ とに す る。 ま た 、 両者 を 含 めて一 般論 として わ が国 の 外貨 換 算 の基 準に つ いて 言 及す る場 合 に は、 た ん に 外 貨建 取 引等 会 計処 理基 準 あ るい はわ が 国外 貨 換算 基 準 と記 す。 今 回 外貨 建 取 引等 会計 処 理基 準 の抜本 的 改訂 が行 なわ れ た 背景 とし て、 企業 会 計 審議 会 は 「昭 和59 年 の 先物 為 替予 約 取引 に 係わ るい わ ゆ る『実 需 原 則』 の 撤廃 、 通貨 オプ ション ・通貨 ス ワップ 等 の外 貨建 金 融 商 品 の出現 、 対外 直接 投資 の 拡大 と 在 外子 会 社 の位置 付け の変 化等 、 現行 基 準 (旧 基 準をIヽう。 引 用 者注 ) 設定 当時 に は予測 し え なか っ た多 く の新 し い事 態 が生 じた 。」(1)とい う点 を 指 摘 し てい る。 この ような 状 況を 背 景を 背景 とし て行 な わ れた 改 訂 の骨 子 は、 こ の改訂 作業 を 担 当し た 企業 会 計 審議 会 の会 長 の森 田教 授 は、以 下 の三 点に 要 約 で き ると述 べ てい る(2)。 (1) 外貨 建 長 期金 銭 債 権債務 につ い て重 要 な為 替 差 損 が生 じて い ると き は、そ れを 認識 す る こ と を 求 め た。 (2)為 替 予 約 だけ で な く、ヘ ッジ手段 が講 じら れ てい る ものに つい て 、可 能な かぎ りそ の ヘ ッ ジ効果 が会 計上 反 映 され る よ うな処 理 基 準を 指示 し た。(3) 在外 子 会社 の 財務 諸表 の換算 基 準 に決 算 日 レ ート法 の 考え方 を 採 用し た。 外貨 換 算に かか お る会 計 基準 とし て の 外貨 建取 引等 会計 処 理基 準 が、 経 済社 会に おけ る 指針 とし て有 効に 機 能 す るた めに も、 時 代 の要 請 に速 や かに 応 え るた めに も、 企業 会 計 審議 会 が 指 摘し た よ うな 環境 変 化 に適 切 に対 応 す るこ とは 当 然で あ り、 今 回 の改訂 は時宜 を 得た も の と評 価 で き るであ ろ う。 今 回 の外 貨建 取 引等 会 計処 理 基 準 の改訂 に おい て と りわ け 注 目 す べ き点 は 、 上 記 の 改 訂 の 骨 子(3) に示 さ れて い る点 てあ るレ この こ とは 、旧 基 準 にお い て採 用 さ れてい た外 貨 表 示 財 務 諸 表 の 換 算方 法 とし て の修 正 テン ポ ラル 法が 廃棄 され 、新 たに 決算 日 レ ート法 が採 用 さ れ るに い た った とい うこ とを 意 味し 、 外貨 建取 引 等 会計 処 理基 準 にお け る 外貨 表示 財 務諸 表 の換 算 につ い て の基 本的 な 考 え方 の180 °の軌 道 修正 と七 て認 識 で き る。 しか し な がら 、 こ の ような 「一 種 の 思想 の転換 」(3)が│日基 準を 支え てい た 会計 理 論、 より具 体的 に い えば 、 テ ン ポ ラル法 とそ の発展 的 理 論 とし て の修 正 テ ンポ ラル の再 検討 の結 果 とし て行 なわ れた もので あ る のか ど うか につ い て は大い に 疑 問 が生 じる。 言しヽ換 え るな ら ば、新 たに 採用 さ れた決 算 日レ ート 法 が、 テ ン ポラル 法 や修 正 テ ン ポラ ル法 を 超え る 明 確な理 論 的妥 当性 を もち得 る もの'であ る かと い う疑問 であ る。 そ れ ゆえ 、新 基 準 にお げ る こ の よ うな 選択 が 外貨 換算 会計 の今 後 の方向 に と って 妥 当 適切 な もの であ っ た のかに つ い て は大 いに 疑 問 が残 る。 本 稿に おい ては 、今 回 の外貨 建 取 引等 会 計処 理基 準 の 改訂 を 機に 、修 正 テ ン ポ ラル 法 の意義 を 再 検討 し、 こ れを 手 がか り とし て、 外貨 表 示財 務 諸表 の換算 会 計 の確 立 のた め の新 た な る視 座を 求 め るこ とに する 。 I 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 廃 棄 の 理 由 今 回 の外 貨建 取 引 等会 計 処理 基 準 の 改訂に よ り修 正テ ン ポ ラル法 が 廃棄 され 、 決 算 日レ ート法 が 新 たに 採用 さ れ るに 到 った 理 由と して 、 以下 の三 点 が考 えら れる。 第一 に、 わ が国 会 計基 準 の 国際的 調 和 化 へ の対 応 とい う点 が 指摘 で き る。 こ れは会 計 を め ぐる国 際 的 環 境 へ の 適 応 と い う 政 治 的 理 由 と し て 認 識 で き る も の で あ る 。 国 際 会 計 基 準 第21 号AccountingfortheEffectsofChangesinForeignExchangeRates や 米 国の 財 務会 計 基 準審 議会 の会 計 基準 書第52 号ForeignCurrencyTranslation に 見ら れ る よ うに 、外貨 表 示 財務 諸 表 の換 算基 準 と し ては 、決 算 日 レ ート 法 の採用 が 世 界的 な 趨勢 とな って い る。 こ の ような 状 況に 適 切 に対 応し て 、 わ が国 の会 計 基準 の 国 際化を 図 り、 も って 国 際的 見地 か ら みて ま ことに 不 幸 で 残 念 な 状 況(4)を 回 避 せ し め る こ と が期 待 さ れ て い る と 考 え ら れ る 。 と りわ け 、 証 券 監 督 者 国 際 機 構(IOSCO;InternationalOrganizationofSecuritiesCommissionsandSimilarAgencies) が 国際 会 計基 準 を認
外貨 建取 引等会 計処 理基準 の改訂 にかか わる問 題点129 知 し 、そ れら 基 準 の国 際 的な調 和化を 目指し た 活 動を 積 極的 に 展 開し は じめ た昨 今 の状 況 は、 わ が 国 に と って も無 視し え ない ものとな っ て きてい る / テ ン ポラル 法 は とも か くとし て 、世 界 的に 類を みない 特 殊 技 法 と見ら れる換算 方法 とし て の修正 テ ン ポラ ル の採 用は 、 会計 基準 の国 際的 調和 化 の 中 で 孤立 化 す るこ とは 火を 見 る より明ら か であろ う。 十 第 二に 、 会 計 理論 的 な 見地か ら の理 由 として は 、旧 基 準設 定 当 初以 降 の企 業経 営 の国 際 化 の急速 な 進 展に と もな う在外 事業 体 の数 の増加 とそ れら 在外 事業 体 の独 立性 の増大 とい った 換算 会 計に 関 連す る企 業 環 境 の 大 きな変 化 が指摘 で きる であろ う。 た とえ ば、 連 結財 務諸 表情 報 開示 制 度 研究懇 談 会 報告 で は、過 去 十数 年に おけ る在 外事 業 体数 の 増加 の具 体的 例 とし て、SEC 登 録企 業 等 の 在外 連結 子会 社 の状 況を 以 下 の ような表 とし て ま とめ てい る(5)。 m 表1 )SEC 登録企業 等 の在 外 連結 子会 社の状 況 1990(平 成2 ) 年度 1977(昭和52) 年度 連結 子会社 内 海外 連結 子会社 内 海外 内 海外 資産 比 率 売 上比率 A 社 91社 53社 14.4% 18.2% 44社 16社 B 社 77 63 32.7 65.6 33 26 C 社 72 66 20.3 38.8 5 4 D 社 24 16 11.4 7.2 3 1 E 社 53 11 12.1 12.4 24 7 F 社 626 566 45.0 50.0 61 23 G 社 65 39 38.2 51.3 24 12 H 社 128 41 10.0 17.0 34 3 工 社 78 18 12.8 14.5 30 4 J 社 53 36 34.4 41.4 19 7 K 社 742 189 10.1 12.4 40 2 L 社 225 43 37.2 62.1 18 9 M 社 167 82 17.0 22.0 118 4 N 社 377 174 25.6 30.0 70 44 〇 社 89 23 9.9 14.3 14 2 P 社 89 23 11.0 24.0 23 7 合計 (16社) 2,956社 1,443社 - - 560社 171社 こ の表 か ら も明ら か な よ うに、 連 結子 会 社数 の全 体 的 な増 加 割 合以 上に 、 在外 連結子 会 社数 の 割 合 の増 加 が 見 ら れ、 旧 基 準設定 以降、 日 本企業 は急 速 に 在外 子 会 社数 の増 加を 通 じ てそ の 活動 の 国 際化 を 進 行 さ せ てい る 事実 の一端を 窺 い知 るこ と がで き る。 こ れに とも ない 、在 外 子会 社 の活 動 の 現地 化 が 相 当 程度 進 行し 、 本国企業 から の 独立性 が次 第に 高 まっ てい る こと は容 易 に想 像 さ れる。 し た が っ て 、在 外 子会 社 の 本国企業 へ の 従属を 前 提 とし 、本 国 主 義に もとづ い て換 算を 行 な うこ とを 主 張 す る テ ン ポ ラル 法 や 修正テ ン ポラル 法 の考え 方 は 、現 実 的 で はな く なる こと が 推察 さ れる。 む
し ろ、 在 外 子会 社 の本 国企 業 から の独 立性 を 前 提 とし て、 現 地 主義 の 考え方 に もとづ い て 換算を 行 な う決 算 日 レ ート 法 の採用 が 現実 的に し て適 切 な 会計 処 理法 で あ ると 考え ら れる こ とに な る。 第三 に 、 実務 的 実行 可 能性 の見 地か ら の理 由 とし て 、 修正 テン ポラ ル法 適用 上 の実 務 的 困難 性 が 考 えら れ る、 修 正 テ ソ ポラノV法 では、 テ ン ポ ラル 法 と同 様 に、 換 算に 際し ては 、 外貨 表 示 財 務諸表 上 の項 目 の測定 属 性に 応 じて 、取 得 日 レ ート あ るい は発 生 日 レ ート と決算 日 レ ート の 複数 の レ ート が 選択 適 用 さ れる 。 こ のた め、取 得原 価 で 測定 さ れ てい る 大 部分 の非 貨幣 項 目 の換 算 のた めに 、 在 外 子会 社 は 絶 えず 取得 日レ ート あるい は 発 生 日レ ート の保 持を 求 めら れ るこ とに な る。 こ のこ とぱ 在 外 子会 社 に対 し て きわ め て大 きな 負 担と 困難 さ を もた ら すに もかか わら ず、 在外 子会 社 に とっ て は 何 の意 味 もない もの であ り、 結果 的に 余 分 な仕 事を 生 じ さ せ るだけ で ある と の意 識を 現 場 に抱 か せる も の とな って い る(6)。 こ の よ うな 適用 に と もな う実 務上 の多 くの負 担 と困難 さ を も含 め て、修正 テンポラル 法に は ま だ解 決 す べ き多 くの 問題 が残 さ れて い ると 考え ら れ る。そ れ ゆえ 、修 正 テンポラル 法を 外 貨表 示 財 務諸 表 の換 算基 準 とし て の決定 版 とし て認 知 す るに は相 当 の抵 抗 が 実 務界に は存 在す る よ うに 思 われ る門 ところ で、 新外 貨 建取 引 等換 算基 準 の前 文 にお い て は、 今 回 の改訂 の理 由と し て、 以下 の二 点が 指摘 さ れ てい る が、 とりわけ 第二 の理 由 の考 慮 が最 もが大 き な も ので ある とさ れ てい る(8)。(1) 在 外 子会 社等 の独立 事業 体 とし て の性 格 が 強 くな り、 現 地通 貨 に よる測 定値 そ の も のを 重 視 す る 傾 向か 強 まっ たこ と。(2) テ ン ポ ラル 法に よる財 務諸表 項 目 の換 算 が 実務 的に 著 し く 困難 にな って い る とい う事情を 考 慮 し た こ と。 この 記 述 から も 明ら か な よ うに 、今 回 の 改訂 に 際し て は、 きわ めて 実務 上 の理 由 が重 視 さ れた こ と が理 解 で き る。 事実 、企 業 会計 審議 会 第一 部 会 小委 員 会委 員 長 とし て 今回 の外 貨建 取 引 等会 計 処 理基 準 の 改訂 に 際し て の作 業 の うえ で実 質的 に重 要 な役 割を 演 じ た 白鳥 教授 の 「初 めに 大 原 則を 掲 げ る のは や めて 、 も っ と実質 的 な 『中 身 』 から 入 っ てい き まし ょ うとい う姿勢 を とる こと 上 が改訂 の第 一 のス タ ン スであ る とい っ た発 言や 、「い かに 優 れ た基 準 であ っ て も実務 的 に 対 応 で き な け れ ば 絵に か い た 餅に す ぎ ませ んの で、そ こ は是 非 考 え直 さ なけ ればい け ない。」とい っ た 発言 に 、こ の よ うな 改 訂 の基 本方 針が 明 確に 読 み取 れる(9)。 こ の実 務的 適 用 可能 性 とい う点 こそ が 今 回 の改 訂 の 大 きな 特 色 と なっ てい るとい え るで あろ う。 ト こ れら の 理 由か ら 判断 す るか ぎ り、筆 者 が先 に 推 定し た 改 訂 の第一 の理 由であ る会 計基 準 の 国際 的 調 和化 とい う理 由 は表 面的 に は顕 在し て い ない よ うに 思わ れ る。 事実 、 白鳥 教 授 も今 回 の改訂 の 基 本的 ス タ ンス とし て、 日本 の基 準を 国際 的 に ハ ー モナ イズ す るこ と の重 要性を 認識 しつ つ も、無 条 件 で 国際 基 準に 合 わ せる のは 問題 で あ り、 ま ず 日本 の実 状 を 優 先 し た と い う点 を 強 調 さ れ て い
外貨 建取 引等 会計処理 基準 の改訂に かかお る 問題点131 る(10)。 し か し 、 企 業 会 計 審 議 会 が 大 蔵 省 証 券 局 の 管 轄 下 に あ る と い う 点 と 、IOSCO の メ ン バ ー に わ が 国 の 大 蔵 省 の証 券 局 が 加 わ っ て い る と い う 状 況 を 考 慮 す る な ら ば 、 先 に 推 察 し た 改 訂 の 第 一 の 理 由 も 、 明 言 こ そ さ れ て は い な い が 、 大 き な 理 由 と し て 存 在 し て い た も の と 考 え る の が 妥 当 で あ ろ う。 n 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 の 意 義 修正 テ ン ポラル 法 が、 テ ン ポラル 法 と 異な る点 は 、(1)外貨 表 示財 務 諸表 上 の 当 期 純 損 益 と 留 保 利 益 を 決算 日 レ ートで 換 算 する こ とと、(2)長 期 金銭 債 権債 務を 取得 時 も し くは 発 生 時 の レ ート で 換 算 す る とい う点 であ る。こ の うち、(D の点 が 際 立 った 修正点 で あ り、こ のこ と に よ り、現 在 もっ と も理 論的 な 換算方 法 で あ るとい わ れて い る テ ン ポラル 法 の利点 が生 か さ れ と と もに 、 テ ン ポラル 法 の有 する 欠点 が 是正 さ れ る方策 が 講 じら れ た換 算方 法 とな っ てい る。 こ の方 法 は 、 わ が国 の 旧外 貨 建 取引 等 会計 処理 換 算 基 準にお い て のみ 採用 さ れ てい る独 特 の換 算方 法 であ る 。 テ ン ポ ラル 法は 属 性 法 と もい われ るこ と もあ る よ うに 、 外 貨表 示財 務 諸表 上 の諸 項 目 の評 価にか か わ る 属性 を 何ら 変 更 す るこ と なく換 算を 行 な うこと がで き る とい う利 点を 有 し てい る。 ま た、本 国 主義 の観 点か ら 換 算を 行 な う とい う点 て、 連結主 体論 とし て の資本 主 理論 あ るい は親 会 社説 に もと づい て 連 結財 務 諸 表 の作成 を 行 な う場 合に も全 く矛盾 す る こ とな く適 用 でき る換 算 思考 であ る。 し か し、 外 貨表示 財 務諸 表 の 換算 に際 し て 複数 の換 算 レ ートを 用 い るた め、 外貨 表示 財 務 諸表 上で は 純利 益 が 計上 さ れ てい るに もか かわ ら ず換 算後 の財務 諸 表上 で は純 損 失が 計 上さ れて し まう 場合 も 生 じる とい う、 い わゆ る換 算 のパ ラド ッ タ スを 発 生せ し め る とい う情 報提 供 機能 に 係わ る致 命的 な 欠点 を 有し てい る。 修 正 テ ン ポラル 法に お い ては こ の欠 点を 是正 す る ため に 外貨表 示 財 務諸 表上 の 当期 純 損 益と 期 末 留保利 益 を 決 算日 レ ート で換 算す る と い う方 策を 講 じてい る。 この 結果 、 修正 テ ン ポ ラル 法に よ れ ば、 外貨 表示 財 務 諸表 の諸項 目の換 算 前後を 通 じ ての 評 価上 の 属性 の 維持 と、 外貨 表 示財 務 諸表 上 の純 損益 を 換算 後 の財 務 諸表 へ のそ の ま まの 移行 す るこ と、 お よび 決 算 日時点 で の本 国企 業 へ の 送金 可 能な 配 当金 額 の把 握 が可 能 とな る。 修 正 テ ン ポラル 法 はわ が国 企業 会 計審 議 会に おけ る外貨 表示 財務 諸 表 の換 算に か かお る 発想 の コペル ニ クス 的転 換 の産 物 であ り、 世 界的 に類 例 を みな い 画 期的 な換 算 方 法であ る とい える。 修 正 テ ン ポラル 法 には 後述 す る よ うに多 くの問 題点 が 含 ま れて は い るか、 テ ン ポ ラル法 の 致 命的欠 陥 であ る換 算 のパ ラド ッタ スが回 避 さ れた こ と に よ り、換 算 に よ る外 貨表 示 財 務諸表 の情 報提 供機 能 上 の障 害 が大 幅 に除 去 さ れた とい う点 は 高 く 評価 さ れな け れば なら ない で あろ う。 こ の よ うな点 で 、修 正 テ ン ポラ ル法 は テ ンポ ラル 法を さら に 進化 、 改善 し た換 算 方 法で あ り、 今 日考 えら れ得る もっ と も理 論的 にし てし か もきわ め て優 れ た換 算方 法 であ る とい うこ とが で き る。 こ の点に 関 し て、 故黒 沢 教 授は 、 旧外貨 建 取 引等 会計 処 理基 準 設定 時 に 「 日本 も 従 来 の単 な る追 随主 義 から 脱 却し て、 今 回 の 意見 書 で、 独 自 の立場を うち 出し だ のは 、 よろ こ ぼし
い こ とだ と思 う。」 と賛 意 とと もに 敬 意を 表 して おら れる(11)。 し かし 、 こ の よ うな テ ンポ ラル 法 の欠 点是 正 の努 力に もかか わら ず 、 こ の修 正 テy ポラ ル法に対 し ては 、 テ ンポ ラル 法に 対 す る批 判を も含 めて 、政 策的 な 視点 お よび理 論的 な 視 点 から 、 旧外貨 建 取 引等 会 計処 理基 準 公 表後多 く の批 判 が寄 せら れ てい る。 こ れら の批 判 は主 と し て 以下 の ような も のであ っ た とい わ れて い る(12)。(1) 修 正 テ ンポ ラル 法 は英 米 等や 国 際会 計 基準 委員 会 の換 算 基準に ぱ みら れ ない 「特殊 技 法」で あ る。(2) そ れ ゆえ 、 こ の よ うな 基 準 の公 表 は国 際的 見 地か ら みて ま こ とに 不幸で あ り、 残 念な こ とで あ る。(3) 修正 テ ン ポラ ル法 採 用 の結 果生 ず る為 替 換算 調整 勘定 の性 格は 従 来 の会 計 理 論 の域を はず れ た 特 異な勘 定 で あ り、 そ の性 格づ け が 従来 の会 計 理論 から は き わ めて 困難 な も の であ る。 こ れら の批 判は 、 修正 テ ン ポ ラル 法は 外 貨換 算基 準 の国 際 的な 調 和化 か ら外 れる もので あ るとい う点 と、 修正 テ ン ポラ ル法 で 換 算を 行 なっ た結 果生 ず る為 替 換算 調 整勘 定 の性 格に か かお る点 とに 集 約 でき る であろ う。 修正 テ ン ポ ラル法 の考 え方 の 斬新 性 や テ ンポ ラル 法 の欠点 克 服 とい っ た利点 に もか か わら ず、 外 貨 換 算基 準 の決定 版 と呼 ぶに ぱ だ多 くの 解決 す べき 問題を 残 し てい る と の指 摘 もあ る よ うに 、修 正 テ ンポ ラル 法に 対し て は 現実 に は多 くの 厳し い批 判 が投げ 掛け ら れ てい る の も事 実 であ る。 修 正 テン ポ ラル 法 の適 用 企業 数 の 比率 の低 さ は、 実務 界 にお け る こ の ような 修 正 テ ン ポラル 法へ の根 強い 批 判 の存 在を 物 語 る もの であ ろ う。 た とえ ば 、 白木助 教 授や 朝 日監 査 法 人 のい ず れ の調査 から も明ら か な よ うに 、 実 務上 で は 、 修正 テ ン ポラル 法 の採用 比 率 が必 ずし も 高く な く、 こ の方法 以 外 の多 く の外貨 表示 財務 諸表 の換 算方 法 が採 用 され てい る とい う事実 が 認識 で きる。 白木助 教授 の 調査 は、 東 京証 券 取 引所 上 場 企業 で1984年3 月 決算 に おい て 連結 財 務諸 表を 提 出し た 会 社465 社 の うち 、 換算 方法 に 関 す る注 記を 開示し た 企業153 社 につ い て1984年 と1993年 の2 回 に わ た り 行 な わ れ た もので あ る(13ト ま た、 朝 日監 査 法人 の調査 は、 東 京証 券 取引 所 第一 部 上 場 会社 から 抽 出 さ れ た300 社 の うち、 連 結財 務 諸 表提 出 会 社278社 の1994年 度 決 算に つい て行 な われ た も ので あ るが、 参 考 ま でに 過 去2 回に わ た る調 査 結 果 も示 さ れてい る(14)。 白 木助 教 授 の調 査に よれ ば、修正 テ ン ポ ラル法 を 採用 す る企 業は 、1984年 度 では35 % であ り、1993 年 度 で は27% であ る。 また 、 修正 テ ン ポラ ル法を 含 め て、 外貨 建 取 引等 会 計処 理基 準を 適 用し てい る企 業 は1984年 度 にお い て56 %で あ り、1993年 度に お い ては62% で あ る。 他方 、朝 日 監査 法人 の調 査に よれ ば、1994年 度に おけ る 修正 テ ン ポラ ル法 の採 用 企業 は該 当216 社中50 % と な っ て い る 。 こ れら の調 査か ら 明ら か な よ うに、 修 正 テ ン ポラル 法は 外 貨換 算 にか か わ る一 般 に 認め ら れた会 計 原
外貨 建取引等 会計処 理基 準の改訂 にか かわる問題点133 則 と し て認知 さ れ てい る に もかか わら ず、 そ の実 務へ の 浸透 の 度合 い は必 ず し も十 分 ではい 。 こ の こと から 、 会 計 実践 の 現 場におけ る外貨 表 示 財務 諸表 の換 算 基 準 とし て の修 正 テ ンポ ラル 法 の存在 意義 や 有効 性 が 、 大い に 疑義を 抱 かせ る も のとな って い る事 実を 窺 い知 る こ とが でき る。 ( 図 表2 ) 白 木 助 教 授 に よ る わ が 国 企 業 の 換 算 方 法 の 実 態 調 査 結 果 1984年 1993年 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 54 41 外貨建 取引 等会計 処理 基準 31 51 決 算 日 レ ー ト 法 46 36 財 務 会 計 基 準 書 第52 号 14 12 属 性 法 1 1 そ の 他 7 12 計 153 153 ( 引用 者注)1. 朝 日監 査法 人 の実態 調査 と比 較対照 で きる ように年 号表 記お よび換 算方 法の 名称に つい て原 表に 適宜 修 正を施し て ある。2. 外 貨建 取引 等 会計 処理 基準適用 とし てい る企業 は、 原 則的 な方 法お よび 例 外的な 方法を 適用 し てい る企業 であ る。 ト3. 財 務会 計基 準 書第52号 適用と してい る企業 に は、 その 旨 の記載 がな いが 、 わが国 基準 でい う 決 算 日レ ート 法とは異 なる換 算基 準を 適用し てい る 企業3 社 が含 まれ てい る。 ( 図表3) 朝日監 査法人 によ るわが 国企業 の換 算方 法 の実 態調 査結 果199419931992 A. 修正 テン ポラ ル法B. 決算日 レ ート 法c. 財務会計 基 準書第52号 小 計 該当なし 又は 記載な し 合 計 0886 1 112 77 109 74 222323 216212206 626568 278277274 (引 用 者注) 財 務会 計 基 準書 第52号 の表記 の箇所 は、原 表 では米 国 財務会 計 基 準書第52号 と表 記さ れてい る。 Ⅲ 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 の 問 題 点 前 述し た よ うな、 修正 テ ン ポラル法 の浸 透度 合い が これ ほ ど まで に低 い 理 由は どこに あ るので あ ろ うか。 そ こ で 、 本 節で は 、 修正 テ ン ポラル 法 の問 題点 を 整理 し 、 検討 を 行な うこ とに す る。 修正 テ ン ポ ラル 法に か か お る問題 点 は、 以下 の三 点に 要 約 整理 す る こ とが で きる。 第一 は、 修 正 テ ン ポ ラル 法 は、外貨 表 示 財務 諸表 の換 算 の 視点 が 全 く不 問 とさ れてい る とい う点 であ る。 具 体的 に は 、 換算 を 行な う際 の理 論展 開 の基 盤 であ る 本国 主 義 と現 地主 義 とい っ た 観点 が 修正 テン ポ ラル 法 に は欠 如 し てい るとい う点 であ る。 こ の点 は、 修正 テ ン ポラル 法の最 も 根幹 に か
かお る 問題 点 とし て認 識 で きる。 第 二 は 、修 正 テ ン ポラ ル 法を 適用 した 結果 生 じた 換算 差 額 、す な わち 、 貸 借対 照表 上資 産 の部 ま た は負 債 の部 に 計 上さ れ る為 替 換算 調整 勘定 の性 格 付け が 、 今 日の 会計 理 論 の中 では き わ めて困 難 で ある とい う点 で ある。 第三 は 、 こ れま でに も若干 言 及し た点 であ る が、 実務 的 観 点 から す る と取 得 日レ ート あ るいは 発 生 日 レ ート の保 持 の 困難 性 が存 する とい う点 で あ る。 こ の点 は、 修 正 テ ン ポラル 法に 限 らず 、 テン ポラル 法 に も共 通 の 問題 点 であ る。 第一 の外貨 表 示 財務 諸 表 の換 算に おけ る 本国 主義 と現 地主 義 の問 題 は、 在 外 事業 体 と本 国企業 と の関 係を どの よ うに 位置 付け て認識 す るか の問 題 であ る。 こ れは、 換 算を 本 国 企業 の立 場 から 行な うか、 あ る い は現 地 企業 の 立場 から 行 な うか とい う、 換 算 の スタ ン ス の問題 で ある。 テ ン ポ ラル 法は 本 国主 義 に も とづ く換算 方法 で あ り、 在 外事 業 体を 本 国企 業 の延長 線 上に あ る も の とみ なし て 換算 を 行 な う。 テ ンポ ラル法 に よれば、 在 外 事業 体 の財 務 諸表 の 換算 は、 在 外事 業 体 の 日々 の取 引を 、 あ た か も本 国企 業 が日 々本 国通 貨 で記 録 す る もの と仮 定し 、 そ れら 記録 の累 積 の 結果 とし て 得 ら れ たで あろ う ような本 国 通貨 額 で外貨 表 示 財務 諸表 上 の数値 を 本 国通貨 へ と換算 す る。 こ の ため 、取 得 原 価 で記 録 さ れてい る項 目に つ いて は 取得 日も し くは 発生 時 の レ ート を 適用 し て換 算を 行 い 、 時 価で 計上 さ れ てい る項 目に つい て は決 算 日 レ ート で 換算を 行 な う。 つ ま り、外 貨 表示 財 務 諸表 上 の 測定 属 性に 応 じて取 得 日 もし くは 発生 日レ ート と決 算 日レ ート が 選択 適用 さ れる のであ る。 こ の方 法に よれ ば、 貸 借対 照表上 の純利 益 は、 借 方項 目と 貸方 項 目を 然 るべ き適 切 な換 算 レ ート で 換算 し た 結果 、貸 借を 平 均 する ため の数 値 とし て計 算さ れ る。 し た がっ て、 場合 に よっ て は換 算 の パ ラド ッ クスが 生じ る ことに な る。 修正 テ ン ポ ラル 法 では 、 こ の換 算 のパ ラド ッ クスを 回避 する た めに 、 さら に は本 国企 業 へ の送 金 可 能 な利 益を 把 握 す る ため に も、外 貨 表示 財務 諸表 上 の 純利 益 と 期末 留保 利 益を 決 算 日レ ート で換 算 す る。 こ の こ とに よ り、 外貨 表示 財 務諸 表上 の 純利 益 と 期末 留保 利 益を 換 算 後 の財務 諸 表に そ の まま反 映 さ せ るこ と が可 能 と なる。 取 得原 価主 義 会 計 のも とで テ ン ポ ラル法を 適用 し た場 合、資 本 項 目は発 生 日 もし くは取 得 日 レ ートで 換 算す るこ と が妥 当 であ る。 こ の方法 に よる と、 換 算 のパ ラ ド ッ クスは 回避 は さ れ た もの の、 問題 は 、当 期純 利 益 と期 末留 保利 益 を 決 算日 レ ート で換 算 する と い う点は 、 本 国主 義 に もと づ く テン ポラ ル法 の観 点 から す れ ば全 く 異質 の処 理 法 であ り、 こ の点を ど の ように 理 論付 け る か とい うこと であ る。資 本 項 目 の決 算 日 レ ート で の換算 は 、現 地主 義 に もと づ く決 算 日レ ート法 の発想 で あ る。 こ の ような点 では、 修 正 テ ン ポラ ル法 とい う名称 より も修正 決 算 日レ ート 法 とい う名 称 のほ うが適 切で あ ると の指 摘 もあ る(16)。 そ れ ゆえ 、 資産 項 目 と負 債項 目 に は テン ポ ラル 法を 適用 し、 資 本 項 目には 決 算 日レ ート 法を 用 い る点 で 、 修正 テ ン ポラル 法に おい て
外 貨建取 引等会 計処理 基準の改訂に かか わる問 題点135 は 本 国主義 と現 地主 義 とい う二重 の論理 が 混在 し てお り、外 貨 表示 財 務諸 表 の換 算 の 視点を 明確に 定 め るこ と がき わ めて 困難 であ る。 第二 の 換算 差 額 とし て の為替 換 算調整 勘定 の性 格 の問題 は 、 当 期純利 益 と 期末 留保 利 益を 決 算 日 レ ートに より換 算 する こ とから 派生 す る問 題 で もあ る。 テ ン ポラ ル法 におけ る為 替換 算差 額 は、 ① 資 産 お よび負 債 の各 項 目に 複数 レ ートを 適 用し て 換算 し た 結果 とし て 認識 さ れる 貸 借差 額 と、 ②取 得 日 レ ートあ るい は発生 日 レート で換算 さ れ た損 益 の差 額 であ る純 利 益、 と の差 額 とし て 算 出さ れ る。 これ に対 し て、 修正 テ ンポラ ル法に おい て 認識 さ れる為 替 換 算調 整勘 定 の発 生 のプ ロセ スは き わ め て複 雑で あ る。宮 田氏 は、修 正 テン ポラ ル法 の 適用 に より生 ず る換 算差 額 は、換 算差 額 と は性 格 が 異な る も めで あ り、む し ろ調整 差 額 と表現 す る こと が 適切 であ る と指 摘 す ると と もに、そ の複 雑 な 内容 を 以下 の(1) と(2)の二 つ の金額 の合 成 さ れた も ので あ る と非常 に 簡潔 明 快に 説 明 され てい る(16)(1) 損益 計 算 書上 で以 下 の①と ②の差 額 とし て 求 めら れ る金 額 であ り、 こ れは ①を ②に 調整 す る た め の金 額 であ る。 ① 損益 の 各項 目を テン ポラル 法 で換 算し た 結果 の円建 当 期純 損 益 ② 外 貨 建 純損 益を 決 算 日レ ート で換 算し た結 果 の円 建 当 期純 損 益(2) 剰余 金 計 算書 上 で以 下 の① と② の差 額 とし て求 め ら れる 金 額であ り、 これ は ①を ②に 調 整 す る た め の金 額で あ る。 ① 期 末 留保 利 益を 期 首留保 利 益 ・当期 純 損益 ・ 支払 配 当 金 等 各 項 目に 分け 、 こ れ ら を 各 種 レ ート で 換算 し た結 果とし て 出て く る円 建 期末 留保 利 益 ② 外 貨 建 期末 留保 利 益を決 算 日 レ ートで 換 算し た 結果 の円建 期 末留 保利 益 同 氏 は これ ら の数 値 の 関係を、 さらに 以下 の よ うに 図示 され てい る(17)。 (図 表4 ) 修正 テンポ ラル 法にお け る当 期純利 益、 期 末留保 利益 算定 図P /L CR 。 ま た は ゴHRi 適 用CR 適 用 − CR ま た はHR 1 ト ・HK. 適 用 | −CR 適 用 適 用 為替 換 算 調整(B /S)
こ れ ら の点 を 、 日本 公認 会 計士 協 会 が昭 和54年7 月 に 公表 し た 『在外 支 店及 び 在外 子 会 社 等 の財 務 諸表 項 目の換 算 手続 (中 間 報告 )』(以 下、『中 間報 告 』 とい う。) に示 さ れて い る表 −9 の 設例に もとづ い て 具体 的に 確 認を し て みる こ とに す る。 ( 図 表5 ) 在 外 子 会 社 の 財 務 諸 表 の 円 換 算 表 科 目 外 貨 表 示 換 算 率 円 表 示F /S T /B F /S (B /S) 短 期貨 幣資産 た な 卸 資 産 固 定 資 産 為 替換 算調整 合 計 短 期貨 幣負 債 長期貨 幣負 債 資 本 金 留 保 利 益 合 計(P /L) 売 上 期首だ な卸 高 仕 人 期末た な卸 高 減 価 償 却 費 そ の他 の費 用 為 替換 算調 整 当 期 純 利 益(S /S) 期首留 保利 益 当 期 純 利 益 配 当 金 為 替換 算調 整 期末留 保利 益 9,000 10,000 8,000 (11,000) (10,000) (2,000) (35,000) 6,〔)0030,000(10, 〔)00)1,)006,000(3,000)LOOO 9,000 10,000 8,000 0.85(CR )0.90 (AR )1.00 (HR )0.85 (CR )1.00 (HR )1.00 (HR )0.85 (CR )0.90 (AR )1.00 (HR )0.90 (AR )0.90 (AR )1.00(HR )0.90 (AR )0.85 (CR )1.00 (HR )0.95 (HR )0.85(CR ) 7,650 9,000 8,000 100 27,000 24,750 (11,000)(10.000 ) (2,000 )(4,000 ) (9,350 ) (10,000) (2,000 ) (S/S) (3,400 ) (27,000) (24,750) (35,000) 6,0)0 30,000 (10,000) 1,0〔)06,000 (31,500)6,00027,000 (9,000 )1,0005,400 (600 ) (2,000) (S/S )(1,700 ) (3,000) (2,000 )1,000 (3,000 ) (P/L )∩,700 )950350 ∩,000 ) (B/S )(3,400) 0 上 価 売 原 こ の設 例に示 され てい る 、貸 借対 照表 上 の為 替 換算 調 整 額Y100 は以 下 の よ うな プ ロ セ ス に よ り 求め ら れ る。 (1) 損 益 計 算書 上 の外 貨 建 の当 期 純利 益 は決 算 日 レ ート で 換 算 さ れ て 、 固定 さ れ る 。 こ の金 額 ( \1,700) と、 損益 計算 書上 で テ ン ポラ ル法 に より求 めら れた当 期純 利 益 ( \1,100) と の差 額 が損 益 計算 書上 で ま ず為 替 換 算調 整 額( ¥600− 貸 方)とし て認 識さ れる 。決 算 日 レ ートで 換
外貨 建取引等 会計処理 基準の改訂 にか かお る問題点137 算 さ れ た こ の 当 期 純 利 益 は 、 そ の ま ま 剰 余 金 計 算 書 上 に 転 記 さ れ る 。 (2) つ い で 、 決 算 日 レ ート で 換 算 さ れ 、 転 記 さ れ た 当 期 純 利 益 以 外 の 剰 余 金 計 算 書 上 の 各 増 減 項 目 を テ ン ポ ラ ル 法 で 換 算 す る。 こ の 場 合 、 期 末 留 保 利 益 も 決 算 日 レ ー ト で 換 算 し て 固 定 す る 。 こ の 結 果 、決 算 日 レ ート で 換 算 さ れ た と 期 末 留 保 利 益 の 金 額( \3,400 ) と 、 テ ン ポ ラ ル 法 で 換 算 さ れ た 余 剰 金 計 算 書 上 の 増 減 項 目 の 金 額 ( \2,050 = \3,000 − \950 ) と 決 算 日 レ ー ト で 換 算 さ れ た 当 期 純 利 益( \1,700 ) と の 合 計 額 、 と の 差 額 ( ¥350 − 借 方 ) が 剰 余 金 計 算 書 で は 為 替 換 算 調 整 額 と し て 認 識 さ れ る 。 (3 ) し か し 、損 益 計 算 書 上 で 求 め ら れ た 為 替 換 算 調 整 額 ( \600) に は 、外 貨 表 示 の 試 算 表 を テ ソ ポ ラ ル 法 に よ り換 算 し た 結 果 生 じ て い る 換 算 差 額 \150 が 既 に 含 ま れ て い る の で 、 純 額 で の 発 生 額 ¥450 ( 貸 方 ) で あ る。 し た が っ て 、 \350 ( 借 方 ) と \450 ( 貸 方 ) の 差 額Y100 ( 貸 方) が 貸 借 対 照 表 上 認 識 さ れ る こ と に な る。 前 掲 の 日 本 公 認 会 計 士 協 会 の 『 中 間 報 告 』 で は 、 こ の 点 は 以 下 の と お り説 明 さ れ て い る(18)。 剰 余 金 計 算 書 上 の 為 替 換 算 調 整 勘 定 \(350) 損 益 計 算 書 上 の為 替 換 算 調 整 勘 定600 在 外 支 店 の 財 務 諸 表 項 目 の 換 算 と 同 様 の 方 法 ( テ ン ポ ラ ル 法 ) を 適 用 し た 場 合 の 為 替 換 算 差 益 [ 外 貨 表 示 試 算 表 を 円 貨 に 換 算 し た 時 に 生 じ る 差 額 ] (150 ) 貸 借 対 照 表 上 の 為 替 換 算 調 整 勘 定 \100 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 め 適 用 に よ り 生 ず る 為 替 換 算 調 整 勘 定 は 、 先 に 見 て き た よ う に 、 い ず れ も逆 算 方 式 に よ り 算 出 さ れ る も の で あ り(19)、 そ の 算 出 の 経 緯 は き わ め て 複 雑 で あ る。 し た が っ て 、 そ の 性 格 を 一 律 に 規 定 す る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る 。 為 替 換 算 調 整 勘 定 の 会 計 性 格 に つ い て は 、 繰 延 勘 定 と い う 説 、 資 本 勘 定 の 修 正 項 目 と す る 説 、 評 価 勘 定 と す る 説 、 連 結 調 整 勘 定 類 似 の も の と す る 説 等 が あ る と い わ れ て い る(20)。 い ず れ の 説 も 説 得 に 足 る だ け の 論 拠 を 有 し て い な い 。 目 下 の と こ ろ 「 決 算 日 の 為 替 相 場 以 外 の 為 替 相 場 で 円 換 算 さ れ て い る 全 項 目 に つ い て の 貸 借 差 額 を 決 算 日 の 為 替 相 場 に よ る 円 換 算 相 当 額 の 貸 借 額 ま で 増 額 ま た は 減 額 す る た め の 技 術 的 な 勘 定 で あ る と 解 釈 す る」 以 外 の 解 釈 の 方 法 は な い と い わ れ て い る(21)。 一 般 論 と し て は 、 特 定 の 具 体 的 項 目 と し て 解 釈 の で き な い 単 な る 調 整 項 目 と 考 え る(22)と い う こ と で あ り 、 為 替 換 算 調 整 差 額 を プ ラ グ 勘 定 で し か な い と い っ た 考 え 方(23)も こ れ と 同 類 の も の と み て よい で あ ろ う 。 こ の よ う な 考 え 方 に 対 し て 、 新 井 教 授 は 、 修 正 テ ン ポ ラ ル 法 に よ る為 替 換 算 調 整 勘 定 の 分 析 モ デ ル を 提 示 し た 上 で 、 テ ン ポ ラ ル 法 に よ る 円 換 算 会 計 の 結 果 生 ず る純 利 益 の 一 部 を 当 期 に 認 識 し な い た め の 勘 定 で あ る と さ れ 、 計 算 技 術 的 調 整 項 目 と 考 え る こ と を 批 判 さ れ て い る(24)。
こ の為 替 換算 調整 勘定 は 、 換 算 のパ ラ ド ッ クスを 回避 する た めに 当期 純利 益 お よび 期 末留保 利益 を 決 算 日 レ ート で 換算 す る とい う、 テ ン ポ ラル法 に 人為 的操 作を 加 え るこ とに より発 生し た もの で あ る。 こ の操作 に より、 当 期 純利 益 お よび期 末 留保利 益 が固 定 され た ため に 貸 借を バラ ン スさせ る ため の穴 埋 めに 必 要 とさ れ る のが為 替 換 算調 整 勘定 であ るレ こ の よ うな点 で は 、為 替 換 算調 整勘定 は修正 テ ン ポラル 法 のみに 発 生 す る固 有 の項 目であ る。 テ ン ポラル 法を 適 用 し た 場合 に は、 換算 差 損 益 の み の発生 に と どま る が、 修正 テ ン ポラル 法 とい う独 自 の換算 方 法を 適 用 し た場 合 に は、 この 人為 的 操作 の 結果 為替 換 算 調整 勘定 が 生 ず る のであ る。 し たが っ て、 私 見に よ れば、 為 替換 算調 整 勘 定 は 、人 為的 操 作 の結果 発 生 せざ るを 得な い 会計 的 な性 格 の説 明 のつか な い 計 算技 術 的調 整項 目 とし て 認識 す るこ と が妥 当 であ る と考 え ら れ る。 この よ うな、 そ の性 格 の説 明 が 困難 に し て奇 怪な 為 替 換 算調 整 勘定 を発 生 せし め るとい う点 は、 修正 テ ン ポ ラル法 が 解決を 迫 ら れてい る最 も困難 に し て最 大 の課 題で あ る。 第三 の 問題 点は 、 前述 し た とこ ろ から も明ら か な よ うに 、 も っぱ ら実 務的 観 点か ら の もので ある。 取得 原 価 で 測定 さ れてい る 項 目に 関し ては 、取 得 日 レ ート もし くは 発生 日 レ ー トで 換 算す る こと が テ ン ポラ ル 法お よび 修正 テ ン ポ ラル 法 では 求 めら れ る。 こ の取得 日 レ ート もし く は発 生 日レ ート の 保 持 が企業 に と っ ては大 きな 負担 とな っ てい る とい う のが実 務 家 達 の 主 張 で あ る 。 し か し 、 コ ン ピ ュ ータを利 用し た経理 処 理 技術 の著 しい 発 展を 考 える と き、 こ の よ うな 主張 に は全 く首 肯し 得 な い。 多 数 の品 目の 棚卸資 産 の費 消額 の計 算につ い て は、 先 入先 出 法 や 後 入 後 出 法 等 を 適 用 し て フp ー計算 を正 確 に行 な うこ とが 当然 と考 えら れ るし 、 また、 適 切な 在 庫管 理 の 観 点か ら も、 取得 原 価 が 入 出庫 の都 度把 握 さ れて い る現 状 に おい て、 取 得 日レ ート もし くは発 生 日 レ ート の 把握 が 困難 であ る とい っ た主 張に は無 理 が あ る よ うに 思え る。 さら に は、 修正 テ ン ポ ラル 法 にお い て は、為 替 レ ート 変 動 の 不確 実性を 考慮 に 入 れて 、 本来 決 算 日レ ート で換 算 吝れ る べ き長 期 金 銭債 権 債務 の換 算 は取 得 日レ ート もし く は発 生 日レ ート で行 な うこと が規 定 さ れてい る。 この 点 と の首尾 一 貫 性を 考 え 併 せ るなら ば 、費 用 性資 産 に 関す る 取得 日レ ート もし く は発生 日レ ート の 保 持 の実 行 可能 性に 関し て は さし たる 問題 点 もない は ずで あ る。 し か しな がら 、長 期 金銭 債権 債務 の取得 日レ ート もし くは 発生 日レ ート の換 算 に 関し て は、 実 務 界か ら は何 ら の反対 意見 も表 明 され てい ない。 費用 性資 産 と貨幣 性 資産 とで、 取 得 日 レ ートあ る い は発 生 日 レ ート の 把握 の 困難 性に 差 異が 認 めら れ るとい う明確 な理 論 的根 拠を 見 い だ す こと は困 難 であ ろ う。 し た が って 、取 得 日 レ ート あ るい は発 生 日 レ ート の保 持 とい う点 は、 修正 テ ン ポラ ル法 の 問題点 とし て 指 摘す る こと は 妥当 と は 思わ れな い。 こ の点 は、 むし ろ、 修 正 テ ン ポラ ル 法 の適用 の ために 、 取得 日レ ート あ るい は発 生 日 レ ート の保 持 とい う犠牲 を払 い な がら も、 為 替換 算調 整 勘定 の 計上 と い った 点 等に 具 体的 に反 映 さ れ てい る よ うに 、結 果 とし て得 ら れ る財 務諸 表 が 明 確に し て適 切な 意
外貨 建取引等 会計処理基 準の改訂 にか かお る問 題点139 味 や 内容 を 必ずし も有 す るも のでは な い とい っ た点 に 関す る 不満 から 生ず る ので はな い か と 思惟さ れる。 つ ま り、 修正 テ ン ポラル 法適 用 に かかお る コ スト とそ の適 用か ら得 ら れる ベ ネフ ィ ット が有 効に 対応 し てい ない とい うこ とに対 す る 疑念 が 、 第三 の問 題 点 の根源 には あ るも の と思 わ れ る。貨 幣・ 非貨 幣 法や テ ン ポラル 法 の ように 換 算 の結果 とし て得 ら れる 財務 諸表 の 意味 や 内容 が 明 確であ る場 合に は 、取 得 日 レ ート あ るい は発 生 日 レ ート の保 持は 当 然 のこ ととし て、 何 ら の不 満 も生 じな い であろ う。 第三 の問 題点 は、 そ れゆ え 、 修正 テ ン ポラル 法 の適 用に より生ず る 派生 的 、 結果 的 問 題点 であ る とい え よ う。 IV 決 算 日 レ ー ト 法 の 採 用 理 由 と 問 題 点 今回 の外 貨建 取引 等 会計 処 理基 準 の改 訂 は、 修 正 テン ポ ラル法 の廃 棄 から 決 算 日レ ート 法 の採 用 へ とい う、 一 種 の思想 転 換 と言い 得 るほ どの大 幅 な も のであ り、 思い 切 った 決 断(25)であ った 。 決 算 日 レ ート 法 採 用 の理 由 とし て 、企業 会 計 審 議会 は 既に 述 べ た ように、(1) 在 外 子 会 社 等 の 独 立 事業 体 とし て の性 格が 強 まっ たこ と、 お よび(2) 修 正 テ ン ポラル 法に よる財 務諸表 の 換 算 実 務 上 の 困 難 性 、 とい う二つ の理 由を 指摘 し てい る。(1) の理 由 は外貨 換 算会 計を め ぐ る会計 環 境 の変 化 に 対 応 し た換 算会 計 理論 の 再検 討を 意味 す る も のであ り、 決 算日 レ ート法 採用 の 積極 的 理 由とし て 認 識で き る。(2) の理 由 は決 算 日 レ ート 法採 用 の 消極 的 理 由 として 考 えら れる も ので あ る 。 前 節 で 明 ら か に し た ように 、修 正 テ ン ポラル 法に はい くつ か の解 決 すべ き理 論的 問題 点 お よび 実務 的 問題 点 があ り、廃棄 さ れ るに足 る十 分な 理由 が認 識 で き る。(2)の 理 由ぱ、こ れら 修正 テ ンポ ラル 法 にか か わる 問 題点 の うち のひ とつ であ り、 実務 的 側面 に 関 連す る も のであ る。 し かし、 ここ で問 わ れ れ ばなら な い点 は、 決 算 日レ ート 法 採用 の理 由 と して 列 挙さ れ てい る これら 積 極的 あ るい は 消極 的 な理 由が、 決 算 日レ ート 法 の採 用を 正当 化 す るの に 十分 かつ 妥 当 な もの であ るか ど うか とい う点 で あ る。 以下 、 こ れら の理 由につ い て 検討を 加史 てみ る こ とに す る。 決 算日 レ ート法 採 用 の第一 の理 由は 、 在外 子 会社 等 の独 立 事業 体 とし ての性 格 が 強 まっ た とい う 点 に 求め ら れる。 こ の点 に 関し て まず 考 慮 され なけ れば なら ない 点は 、 在外 子会 社 等 の増 加 と独立 性 の 強 ま りと の関 係で ある。I 節に お い て 明ら かに し た よ うに、 連結 財務 情 報開 示 制度 研 究懇 談 会 の調 査か ら も、 過去 十 数年 の問 に わた り企業 活 動 の急 激 な国 際化 に対 応し て 、連 結対 象 とな る在 外 子 会 社数 が 大幅 に増 加 し たとい う事実 は 明 確に 認識 でき る。 だが 、 この 点を 決算 日 レ ート 法 採用 の 論 拠 と する こ とは短 絡 的 な発想 で あ り、 著 しい 論 理 の飛躍 が あ ると 言わざ るを 得 ない 。 そ の 理 由は、 在 外 子会 社 等 の数 の増 大 がた だち に 在外 子 会社 等 の 独立 性 の強化 を 意味 す る もの と 考 え得 る も ので ぱな いか ら であ る。す なわ ち、[在 外 子会 社 数 の増 加= 在 外子 会社 等 の独 立性 の増 大] とい っ た等 式 は必 ずし も 明 確に認 識 し得 る も ので はな い。 支店 等 の在 外事 業 体に対 す る本 国企 業 の 支 配統 制 の度
合い か ら比 較す れ ば、 たし か に 、 在外 子 会社 は 本国 企業 へ従 属 度は 相当 程 度希 薄化 さ れ てい る こと は 事実 であ る。し かし、在 外 子会 社 の本 国 企業 との 関 係は 多 様で あ り、独立 性 の 程 度 も千 差万 別 であ る ことが 推 測さ れる。また 、[支 店 に す るか 子会 社に するか は、往 々にし て 便宜 上 の理 由 に よる](2G)と い った指 摘 もあ る よ うに 、 在 外 子会 社 の存 在 が必 ずし も明確 に 独立性 と 結 びつ か な い とい う面 もあ る。 こ の よ うな現 実が あ るか ら こそ 、 財務 会 計 基準 書第52 号で は、 在外 子 会社 等 の 独立 性 の程度に よ り換算方 法を 選択す る とい う状 況 法が 採 用さ れ、 そ の適 用 のた めの 機能 通貨 の決定 基 準 が詳 細に 規定 さ れてい る のであ る(2≒ 企業 会 計審 議 会 の決 算 日レ ート 法採 用 の論 拠は 、 こ の 点を 全 く 不 問 と し て い る。 こ の点に 関 連し て 、 さら に 言を 重 ね るなら ば 、企業 会計審 議 会 は在 外子 会 社 等 の「 独立 性」 の定 義 あ るい は判 定 基準 につ い ては 何ら 言 及し てい ない とい う点 もお おい に 問題 で あ る。新 外 貨 換 算基 準で は一 律に 決 算 日 レ ート 法 の採 用 が規定 さ れて お り、 状況 法が 採 用 さ れ てい る わげ では ない ので 、 在外 子会 社等 の独 立性 の 程度 の判定 や そ のた め の基準 は必 要 と され るこ と は ない。 しか し 、 少な く とも 何を も って 独 立性 が 強 ま った と 言い得 る のか 明ら かに す る 必要 があ ろ う。 さ もなけ れば 、上 述 した ような等 式 の論 理が 展 開 され た と理 解せ ざ るを 得 ない で あ ろ う。 在外 子会 社等 の独立性 が 強 まっ た とい う理 由 と 関連し て 次に 考慮 し なげ れ ば なら ない 点 は、 現地 主義 の思 考を反 映 す る決 算 日 レ ート 法 と連 結財 務 諸表 と の関 係で ある。 連結 財 務 諸表 の作 成に 際し ては、 そ の作 成主 体を 明 確 にし て お か ねぼ な ら ない。 同一 国 内 の企業 を 連結 対 象 とし て 連結 財務諸 表 の作成を 行な う限 りに お い て ぱ、 企 業 集団 の 経済 的一 体 性を重 視 す る実 体説 に も とづ い て フ ィ ク シ ョン とし て の連 結会 計主 体 を 認識 す る こ とは 妥当 であ る。 し かじ 、 連結 財 務 諸 表が 国 境を 越 えて 国 際的 規 模で作 成 さ れる よ うな 場 合に は 状 況 が異 な る。 社 会 経済環 境 、通 貨 、 会 計 原則 お よび 会計 関連 法規 等が そ れぞ れ異 な る 状況 の も と で作成 さ れ た個 々 の財務 諸表 を 統合 す るた め には 、主 導的 役割を 果 た す中 心的 な会 計 主 体を 設 定 し なけ れ ばな ら ない。 ま た 、 連 結 財 務 諸 表 が 会 計 上 の 住 所(accountingdomicile) とし て の国籍 を 有 す るこ と も必 要で あろ う。現実 に は 国 籍を もた ない 連結 財 務諸表 の存 在は あ り得 ず、 そ の ような 連 結財 務 諸表 の作 成 は机上 の空 論で し か な い。 連 結財 務諸 表 の作 成に おい ては、 在 外 子 会 社を 傘下 に 置い て い る本 国企 業 とし て の親会 社 が会 計主 体と な り、 中心 的な 役 割を演 ず る こ とは 当 然 の帰 結 であ ろ う。 そ れゆえ に 、テ ン ポ ラル法 の採 用 を定 め る財 務 会計 基 準書 第8 号に おい て も(29)、 状況 法を 採 りな がら も基 本的 換算 方 法 とし て 決 算 日 レ ート 法 の採 用を 定 め る第52 号に お い て も(30)、 外貨 表 示 財務 諸 表を 米 国 で 一 般 に 認 め ら れ た 会 計 原 則 に 準 拠 し て 、連 結財 務諸 表 へ と換 算す る こ とを 、換 算 の 目的 とし て強 調 してい るの であ る 。財 務 会計 基 準書 第52 号 では、この 点に 関し て は 、さ らに 、「米 国 の一 般 に認 めら れ た会計 原 則に 従 うとい う目的 … …は、、 すべ て のプ ロジ ェクトに 関 す る 当審 議 会 のあ ら ゆ る活動 目標に と って絶 対 的か つ 基本 的 な もの であ り、 外貨 換 算 とい う特定 のプ ロ ジ ェ クト の 目的 とし て わざ わざ 掲げ る ま で もな い と 思わ れ る。」(31)と
外貨建取 引等会計 処理基準 の改訂に かか わる 問題点141 ま で念 を 押 し てい る。 こ れら のこ とが 物 語 るこ と は、 連 結財 務 諸表 の作 成に おい て は、 本 国 企業 が 準 拠 す る会 計 原則 が遵 守 さ れねば なら な い とい うこ とで あ り、 こ のこ とは当 然本 国 企業 が 連 結会 計 主 体 とし て 位 置付け ら れる とい うこ とで あ る。 つい でな がら 、 こ の ように考 えた 場 合、 現 地 主義に も とづ い て 決 算 日レ ート 法を主 張 す る財 務 会計 基 準 書第52 号が 、米 国 の会計 基準 へ の 準拠 性を 主 張 す る こ とは 全 く解 せ ない こ とであ る、 と い う点 だけ は念 の ため 指摘し てお く必要 があ ろ う。 以上 のこ とから も明ら か なよ うに、 在 外 子会 社 の 独立 性 の増 大に と もない 、現 地 主義 の観 点か ら 外 貨表 示 財 務 諸表 の換 算を 行 な う決算 日レ ート 法 の 視点 は、 あ た かも親 子 会社一 体 と な って 、本 国 企 業 の 観点 か ら 連結 財務 諸表 の作成 を 行 な う論 理 と 全 く矛盾 す る もの であ る。す な わ ち、 在 外子 会 社 の 独 立性 の 増大 とい う事 実は在 外子 会 社 の個 別 財 務諸 表 の作 成を 促 す もので あ り、 連 結財 務諸 表 の 作 成 の論 理 とぱ 相 容 れない も のであ る 。 決算 日レ ート 法 はこ の よう な矛 盾し た 論 理を 不問 にし た 換 算方 法 であ る。 こ れら の矛 盾点 に 関し て、 これ ま で筆 者 はい くつ か の論稿 に おい て 繰 り返し 指 摘を し て きた とお りで あ る(32)。 こ れら の矛 盾 は、外貨 表 示 財 務諸 表 の換算 の 理論 的 基盤 あ るいは 基 本 的 視点 に か かお る 最 も重 要 か つ 根本的 な問題 であ るに もか か わら ず 、今 回 の決 算 日レ ¬ト 法採用 に 際 し ては こ の点 に 関 す る 検討 は全 く回 避 さ れてい る と言 わ ざ るを 得 ない 。ト 決 算 日 レ ート法 へ の 移行 の第二 の理 由は 、 テ ン ポラル 法 に よる 換算 が実 務的 に 著 し く 困難 に なっ て きてい る とい う点に 求 めら れて い る。 今 回 の改訂 で は、 第一 の理 由 より も、 こ の点 が 最 も大 きな 理 由 と な って い る とい われ てい る。 こ の実 務的 困 難 性 とは 、前 節に おい て指摘 し た とお り、 取得 原 価 で 計上 され てい る 項 目の 換算に 際し て 用 いら れる 取得 日レ ートあ るい は発生 日 レ ート の保 持 が実 務 的 に は きわ め て困 難 とな ってい る とい う点 であ る。 し かし 、 こ の点 は前 節 で既 に 詳 細に 検 討を し た の で、 ここ で はそ の要 点 のみを 述 べて お く こ とに す る。 前節 で の指 摘 の とお り、 現 在 の経 理 処理 技 術 の水 準か ら判 断 す れば 、取得 日 レ ート あ るい は 発生 日レ ート の保 持 は実務 的 に も何 ら 困難 な こ と で は無 い とい うこ と が推 察で きる。 また 、長 期 金 銭 債権 債務 の換算 に は√取 得 日 レ ートあ る いは 発 生 日 レ ート の 適用 が定 め られて い る とい う点 と の整 合性を 考 え るな ら ば、取 得 日 レ ートあ る いは 発 生 日 レ ート の保 持や そ れ に よる換 算は 実 務 的に も問題 は 無い と言わ ざ るを得 な い 。 修正 テン ポラ ル 法 廃棄 の理 由 とし て、 こ の ような 取得 日 レ ート あ るい は 発生 日レ ート の保 持 の困 難 性を 理 由 とす る こ とは、 先 に も述 べ た よ うに、 コスト とベ ネフ ィ ット との対 応 関 係 も大 きく影 響 し てい る と考 え ら れる。 長 期 金 銭 債権 債務 の換算 に 関 連し て 発生 す る 不確 実 な換 算差 損 益を 回避 せし め よ うとす る 場 合 に は取 得 日レ ートあ る いは発 生 日 レ ート の 換算を 是認 し な がら、 他面 に おい ては こ れら レ ート の保 持 が 困難 で あ るこ とを 理由 とし て 修正 テ ン ポ ラル 法 の実施 が負担 とな るとい うこ とは、 ダブ ル ス タ ンダ ードで あ り、 企業 の都合 の よい 思惑 が 背後 に 見え 隠 れし てい る よ うに 思 え る。
以上 述 べ たこ とか ら も明 ら かな よ うに 、 修正 テン ポラ ル法 廃棄 と決 算日 レ ート法 採 用 の理 由 とし て 企業 会 計審 議 会 が列挙 し てい る事 項 は必 ずし も理 論的に 筋 め 通 った も ので は ない し 、 我 々を十 分 に 説得 し 得 る もの でも ない。 ま た、 取 得原 価 で測 定 され てい る も のを 決算 日 レ ートで 換 算 す るとい う、 決算 日レ ート 法の最 大 め弱点 で あ り欠 点 につ い て の検討 が 全 く不 問 とさ れ てい る とい う点に 関 し て も、 大 いに 不 満が 残 る もの であ る。 これ ら の点 と、 上 述し た 現地 主義 と連 結 財務 諸 表 の作 成 と い う矛 盾点 とに つ いて の 検討を こ とご とく回 避し たとい う点で は、 今 回 の外 貨 建 取引 等 換 算基 準 の 改訂 は、 実 務的 な 視点 の みを 重 視し たも の であ り、 換算 会 計理 論 上 は本質 的 に 何 ら の問 題 点 の解決 に資 す る も のでは ない とい うこ とを 十 分 に認 識 す べ きであ ろ う。 V 外 貨 表 示 財 務 諸 表 の 換 算 会 計 の 新 た な る 視 点 を 求 め て 以上 検討 し て きた よ うに 、今 回 の 外貨 建 取引 等 会計 処 理基 準 の改 訂に 際 し て 列 挙さ れ たい くつ か の 理 由は 、 必ず し も理論 的 に は納 得 し得 る もの では ない。 むし ろ、 多 く の疑 念 を生 じ さ せ てい ると い え る。 また、 決 算日 レ ート 法そ れ自 体に も多 く の問題 点や 欠 点 が 内在し てい る。 他方 、 テ ンポラ ル 法 や 修正 テ ン ポラル に も多 く の問 題 点や 欠 点 があ る とい うの も事 実 であ る 。 これら の問 題点 や欠 点 とい わ れる事 項 は、 厳密 に 取 得原 価 主義 会 計 とい う現 行 の会 計 シ ステ ムの維 持 を 前提 と して いる 限 り、 解 消し得 な い も のであ る。 こ のこ とを 考 慮す る と、 外貨 表示 財 務 諸表 の 換 算方 法 の模索 に関 す る議 論 は、 適切 な 換算方 法を 何 ら 見い だし 得 ない まま 閉塞 状況 に追 い 込 まれ てし ま った とい うの が 実情 で あ る。 し か し、 現 実に 企 業 の経 営 活動 が 国際 的 規模 で急 速 に拡 大し 、 そ れに かか わる情 報 提 供手 段 とし て の 連結財 務 諸表 の作成 が重 要 な意 味を もつ 昨今 の経 済 社会に お い ては 、外 貨 表示 財 務 諸表 の換 算方 法に か かわ る 問題 の解 決 は避け て 通 れない も のであ る。 こ の問 題を 解 決 する ため に は、 我 々 の発 想 の転 換 が必 要 であ る。 現 在 のと こ ろ 、我 々の思 考 の中 に は、 取 得 原価 主義 会 計 シ ステ ムの維 持を 前 提 とし な がら 、為 替 レ ート の変 動 す る 状況下 で も、あ る方 法に よ り外 貨 表示 財務 諸 表を 換 算 し て 連結財 務 諸表 を 作成 し た場 合、 取 得 原 価 数値 の継 続性 の 保 持 、企 業 集 団全 体 の経営 成 績 と 企業 集 団全 体 の 財政 状態 の表 示 とい った 連結 財 務 諸表 の情報 提供 機能 と、 為替 レ ート変 動 の事 実 の反 映 と 在 外企業 の本 国企 業 へ の送金 可 能 な配 当 可 能 金額 の把 握 と い った 為 替換 算会 計 の情 報 提供 上 の役 割 が す べて 適切 に遂 行 さ れ得 る とい う誤 っ た認 識や 過 大な 期 待 があ る。 そ の よ うな認 識 や 期待 を 満た す よ うな 換 算方 法 の存 在は 大い な る幻 想に す ぎ ない。 外 貨 表示 財 務 諸表 が 含 まれ る連 結 財 務諸 表 の場 合、 取 得 原価 主義 会 計 シス テ ムが物 価変 動 を 不問 とし て そ の シ ステ ムを 維 持、 運用 し てい るこ と と同 様に 、 為替 相 場 の変動 を 全面 的に そ の 会計 シ ス テ ムに 取 り込む こ と も不可 能 な こ とで あ る。 我 々に 残 さ れた考 え 得 る選 択肢 は、(1)取 得 原 価 主 義 会 計 の シ ステ ムを 維持 し な がら 、全 面 的 では な いに し ろ、 可 能な 限 りに おい て 在外 子 会 社 等 にか かお る 情
外貨 建取引 等会計処 理基準 の改訂に か かわ る問題点143 報を 反 映す る 方策を 求 め る こと と、(2)取 得 原 価主 義会 計 の シ ステ ムを 放 棄 し( こ のこ とは、当 然取 得 原価 数値 の継 続性を も放 棄す る こ とにな る)、 為替 変 動 の事実 を 全面 的 に 連結 財 務 諸 表 に 反 映 す るとい う方 策 、 のい ず れか であ る。(1) の方 策 は、 在外 子 会 社等に 対 す る持 分 法 の適用 とし て考 えら れ る。 持 分法 は 本 国 企 業 の 投 資 勘 定 と 在外子 会 社等 の純 損 益 部分 の みを 結 合す るonelineconsolidation とい う点 で 、 部分 連結 とい われ る もの であ る が、そ の効果 は 連 結 と全 く同 じ であ る。 こ の方 法に よれ ば、 在 外 子 会 社等 の独 立 性 の 程度 に かかお りな く、 在 外子 会 社等 の純 利 益 の うち投 資 持分 に対 応 す る部 分 を 本 国企 業 の投資 勘 定 に 決算 日 のレ ート で反 映 す るこ と がで き る ので、 在 外子 会社 等 から の 本国 企 業 へ の 送金 可能 な 配当 金 額 も適切 に 認識 で き る。し た が って 、 こ の方 法に よれ ば 、 在 外 子 会 社 等 の 純 利 益 を 決 算 日 レ ート で換 算し た 結果 が 得 られ る とい う点 で 修正 テ ン ポ ラル法 と同 一 の効 果 が得 ら れと と もに、 為 替換 算 調整 勘定 とい った 奇 怪な勘 定 を 発生 せ し める こ とは ない。 また、 在 外 子会 社等 の 独立 性 の判 定 とい っ た困 難 な問 題 も回 避さ れ る。 他方 に おい て 、 こ の方 法 に よ れば、 在 外子 会社 等 の財政 状態 が 連結 財 務諸 表 の中 に反 映 さ れない とい う問 題 が生 ず る。 継 続企 業を 前提 とす る か ぎ り、 在外 子会 社 等 の財 政状 態 は清 算処 分 の場 合 は と もか く、 通常 はあ ま り関 心 が払 わ れな い と 思 わ れる。 また、 関 心を 払 っ た とし て も、 各 種 の資 本利 益 率あ る い は回 転 率等 の投 資 効率 等を 求 め る 場 合に 、果 たし て大 幅に 為 替 レ ートが変 動 する現 在 の変 動 相場 制 の下 で、 毎 期 の比 較を 可能 とす る適 切 かつ 有効 な 数 値 が得 ら れる か ど うかは 疑 問で あ る。 さら に 、 既に 述 べた ように 、テ ン ポ ラル 法 であ れ修正 テ ン ポ ラル であ れ、 あ るい は 決 算日 レ ート 法で あ れ、 いず れの方 法に よっ て も在 外企 業 体 等 の外貨 表 示 の財 政 状態 を 本国 企業 の財 務諸表 に 組 み込 んで 連結 財務 諸表 を 作成 す るに は 問題 が存 す る。 こ の よ うな点 を考 慮 す るな らば 、 在外 子会 社 等 の個 々の資 産、 負 債、 収益 、費 用 の次元 の代 わ りに総 合的 集 約 とし て関 心 の焦 点 とな る純利 益(33)に対 し て 有す る投 資 持分 の増 減 額を 本 国企 業 の 連結財 務 諸 表 に反 映 す るこ と だけ で十 分 であ る と考 え ら れる。(2) の方 策 は、 換 算 され た 外貨 表 示 財 務諸 表を 含 む 連結 財務 諸表 は 、い くつ か の 仮 定 に も とづ い て 作成 さ れ た もの であ り、 一 応の 目安 的 数値 を 示 す ものに す ぎな い。 し たが っ て 、 連結 上 の換 算 は、 個 別財 務 諸表 の換 算 とは別 個 に考 え、 換 算 の合 理 性を 主張 す る こと はない と の考 え 方 に もとづ い て 主 張 さ れてい る もの であ る(34)。こ の 考え 方 は 、「棲 みわけ 論」 とし て認識 さ れる も ので あ り、「 連 結 財務 諸表 と個別 財 務 諸表 と では、 そ れ ぞ れ棲 む テ リトV ーが別 であ り、し た が っ て、 連 結財 務諸 表 の作 成に 際 し、 在 外 子会 社 等 の財 務 諸 表項 目を い か なる 基 準に 従 って 換算 す べ き かは 、 連結 財務 諸 表 独 自の 目的 に照 らし て、 情報 開示 目的 の適 合性 の観点 か ら議 論 す れば 足 り る 」(35)と い う も の で あ る。か って ぱ、「独立 会 社 の財務 諸表 を 一つ あ るい はそ れ以 上 の言 葉に 翻 訳し 、あ るい は 通 貨に 換 算 す る のは 、原 語に よる表 現 に通 じ てい な い読 者 の た めの便 宜に す ぎ ない。 この 種 の換 算は 会計 目的
の ため では な く情 報 目的 のた めで あ る。」(36)と主 張 さ れたこ と もあ った 。 上に 述 べ た 棲 みわけ 論 は 、 換 算が 情開 示 目的 の た めに 行 なわ れ る もの であ る ことを 認 識す る とい う点 で、 い わ ば、 こ の よ うな 発 想か ら離 脱 した 思考 であ る。 す な わ ち、 換 算さ れた 外貨 表示 財 務諸 表 を含 む 連結 財 務諸 表 の作成 は 便宜 的な もの であ り、 現 行 の取 得 原 価主 義 会計 シ ステ ムと の整 合性 よ りも、 情報 開示 機 能 が優先 さ せら れ た も のと考 え ら れて い る。 こ の考 え方 に よ れば、 明示 こそ さ れて はい なし が 、会 計数 値 の 継 続性 は当 然 放棄 さ れ てい る も の と考 えら れ る。 こ の ように考 え れ ば、 在 外子 会 社 等 の外 貨表 示財 務 諸表を 、 時 価会 計 と 結び つ く時 点 評 価 の方 法 である 決 算 日レ ート 法(勺こより 換算 す る こ と も 何ら 問 題 のない も のとい え る。 た だし 、 当 然 のこ と ながら 、 こ の場 合に は、 取 得原 価 シ ステ ムに おけ る 会 計数 値 の継 続性 が放 棄 さ れてい る のであ る から 、 連結財 務 諸表 の 数値 は一 期 間限 りの も のであ り、 数 値 の継 続性 や期 間 的 比較 可 能性 は失 わ れざ るを 得 ない とい う点に 留 意を して お くこ と が必 要であ る。し かし 、 こ の決 算 日 レ ート 法 に よれ ば、 為替 レ ート の変 動 の事 実 が、 純投 資 部 分と して の資 本 の部 の増 減額 とし て 認識 で きる の であ る。 ニ なお 、 こ れら の方 策 に加 え て、 最 近 で は換 算 と評 価を 明 確に 区別 し、 換 算を 為替 レ ート変 動 の影 響 を認 識し 、 測定 し 、 表示 す る プ ロ セス と考 え、 外貨 表示 財 務 諸表を 決算 日レ ートで 換 算 する こと も取得 原 価主 義 の枠 内 で正 当 化 さ れる と主 張 す る試 み もあ る(38)。 評 価 と換 算を 区別 す る試 み は 、 目 下 の ところ 、 取得 原 価 主義 会 計 の シ ステ ムを 維 持を 前提 とし た 議論 とし て 、あ るい は そ の シス テ ム に おい て 決算 日レ ート 法を 適 用 す るご との妥 当 性 のた め の主 張 とし て 展開 さ れ てい る。 こ の試 みは、 さ き の二つ の選択 肢 に 加 わ る第三 の選 択肢 とし て位置 付け て も よい か もし れな い。 し か し、こ の主 張 の可 否 は、 そ の根 本 と な る換 算 と測 定 ある い は評 価 とい った 概念 の明 確化 と そ れら の相 互関 係に 関 す る よ り緻 密 にし て 体系 的 な 検討 が必 要で あ る。 私見 に よれば、 こ の点 の検 討 が 現状 で は不十 分 に 感ぜ ら れ る。そ れゆ え、 ここ で は、 こ の よ うな試 み が展 開さ れ てい る とい う事 実 の みの指 摘に と どめた い。 外貨 表示 財 務 諸表 の換 算 問題 の 解決 に かか お る 閉塞 状況を 打 開 す るた め の選 択 肢 とし て 以上 では 二 つ の考え 方 を 検討 し て き た。 こ れら 選 択肢 の うち 、筆 者 とし て は、 目下 の とこ ろ 第二 の 選択 肢、 す な わぢ 「棲 み わけ 論 」 が妥 当 な も ので あ る と考え てい る。 そ の 理 由は、 取 得 原 価主 義 会 計 のシ ス テ ムが、 制度 的会 計 に は 有 効で あ る とし て も √If報 開示 機 能上 の 限 界を 有し て い る 以上 、 取得 原価 主 義会 計 と の理論 的 整 合 性を 徹 底 的に 追 求 す るこ とに ど れほ どの 意義 が 認 めら れる の か とい う疑問 があ るか ら であ る。 こ の よ うな 虚 しい 努 力を 重 ね る より も、最 善 では ない に し ろ 次 善 の策 とし て会 計 を 有効 に生 か す方 策 を 講 じ るべ き であ る と考 え るこ と が適 切で あ る。 た とえ 会 計 数 値 の継 続性や 比 較可 能 性 が放棄 され た 時点 的 情 報 であ っ て も、企 業 集団 全 体に かか お る 情報 を 提 供 せし め るこ と のほ うが は るか に 意義 の あ る こ とで あ る。 外貨 表示 財 務諸 表を 含 む 連結 財 務諸 表 につ い ては、 取得