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相対論的調和振動子ポテンシャル : 反符号で等しい大きさのスカラーおよびベクトルポテンシャルの場合 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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全文

(1)

い大きさのスカラーおよびベクトルポテンシャルの

場合

著者

手塚 洋一

著者別名

TEZUKA, H.

雑誌名

東洋大学紀要. 自然科学篇

60

ページ

125-148

発行年

2016-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007915/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

Abstract

 It is not known whether the Dirac equation with a harmonic oscillator potential can be solved analytically. Analytical solutions are given for the Dirac equation with equal magnitude and same signed vector and scalar harmonic oscillator potentials. In this case, the Dirac equation is turned to very simple form, because the vector potential and the scalar potential cancel each other out in most terms of the equation of motion. Thus we can solve it analytically.

 Vector potential and scalar potential with equal magnitude but opposite signs, however, do not cancel out in many terms, but the third power terms of the potentials vanish out of the equation of motion. We can show that the Dirac equation of this case has analytical solutions consisting of exponential asymptotic functions and polynomial functions of the radial coordinate . As a result, the eigen energies are given by the solutions of cubic equations.

 In this article, we show concrete calculations and the results for the analytical solutions of the Dirac equation with harmonic oscillator type vector and scalar potentials of equal magnitude and opposite signs.

Keywords:Dirac equation, harmonic oscillator potential, bound state

相対論的調和振動子ポテンシャル:反符号で等しい

大きさのスカラーおよびベクトルポテンシャルの場合

手塚洋一

Relativistic Harmonic Oscillator Potential : The Case of Scalar and

Vector Potentials with Equal Magnitude and Opposite Signs

Hirokazu T

ezuka

東洋大学自然科学研究室 112-8606 東京都文京区白山 5-28-20

(3)

₁  はじめに

 調和振動子型ポテンシャルと呼ばれる距離の 2 乗に比例する形のポテンシャルは非相対 論的量子力学では非常に重要な役割を持つ。多くの教科書では 1 次元のSchrödinger方程 式の例題として紹介されている。典型的にはHermite多項式を使った解法(これは本質的 に多項式展開と同等である)か昇降演算子を使った解法が紹介されている。比較的新しい 教科書としてはHermite多項式を使った(川村清 1996、大高一雄 2002、松居哲生 2011)、 多項式展開の(鈴木克彦 2013)、昇降演算子を使った(川村清 1996、仲滋文 2007、倉本義夫、 江澤潤一 2008、松居哲生 2011、前野昌弘 2011)などがある。これらの方法は簡単に 3 次 元の問題に拡張できる。非相対論的なSchrödinger方程式は調和振動子ポテンシャルに対 して完全に解け、その結果は多くの問題に適用されている。しかしながら、調和振動子型 のポテンシャルを持つ相対論的なDirac方程式は解析的に解けていない。  Dirac方程式にポテンシャルを導入するには二つのタイプが知られている。一つは運動 量項に 4 元ベクトルとして導入するベクトルポテンシャルであり、もう一つは質量項に加 えられるスカラーポテンシャルである。 → ∞で無限大の大きさとなるいわゆる閉じ込め 形のポテンシャルではベクトルポテンシャルによる束縛状態は存在しないことがわかって いる(Shibata, Y.-Tezuka, H. 1994、Tezuka, H. 1995、手塚洋一 2002)。

 距離 とともに無限大に大きくなるタイプのポテンシャルは閉じ込め型ポテンシャルと 呼ばれクォークの束縛状態などを議論するのによく使われる。同じ閉じ込め形のポテン シャルでも距離 の 1 乗に比例する線形ポテンシャルに対しては解析的な解が求まってい る(Tezuka, H. 2013、Tezuka, H. 2015、手塚洋一 2015)。距離の 2 乗に比例する調和振動 子ポテンシャルの場合にはDirac方程式の解析的な解は知られていないが、スカラーポテ ンシャルとベクトルポテンシャルとして同符号で大きさの等しい調和振動子ポテンシャル を導入した場合の解は知られている(手塚洋一 1996)。これは次の章で議論される 4 元ス ピノールの下成分波動関数を決定する運動方程式(2.6)においてスカラーポテンシャルと ベクトルポテンシャルが相殺し、結果的に解くべき運動方程式(2.12)においてポテンシャ ル項の大部分がなくなり、簡単な運動方程式となるためである。  スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルが反符号で大きさが等しい場合には運動 方程式(2.6)におけるポテンシャルの相殺はないが、逆に上成分を決定する運動方程式(2.7) ではポテンシャルが相殺する。その結果、(2.12)においてポテンシャルの相殺はほとんど 起きないが、右辺の最後の項においてポテンシャルが相殺し、ポテンシャルの 3 乗項がな くなる。このことにより、調和振動子ポテンシャルの場合に運動方程式(2.12)の解析的な 解が求まる。  この論文では反符号で大きさの等しいスカラーおよびベクトル調和振動子ポテンシャル の解が指数関数型の漸近形と多項式展開の組み合わせで解けることを示し、具体的な計算 の過程とその結果を記述する。

(4)

₂  調和振動子型ポテンシャルを持つDirac方程式

 質量 の相対論的構成粒子であるフェルミオンの運動方程式は 3 次元のDirac方程式で 記述される。Dirac方程式にポテンシャルを導入する方法として 2 つの方法が提案されて いる。一つはベクトルポテンシャルとして導入する方法で、ベクトルポテンシャル ( ) は 4 元運動量に対し (2.1) の形で加えられる。もう一つのスカラーポテンシャル ( )は質量項に (2.2) の形で導入される。この論文ではポテンシャルとして中心からの距離の 2 乗に比例する中 心力を仮定し、ベクトルポテンシャルは時間成分のみを考慮する。すなわち (2.3) とする。ポテンシャル内で運動するフェルミ粒子の運動方程式(Dirac方程式)は (2.4) と書ける。 は 4 成分のDirac行列である。 は 2 成分の Pauli行列であり、I、 0 は 2 成分の単位行列と零行列を表す。粒子の固有エネルギーは 、 3 次元の運動量は 、空間座標 を持つ波動関数は 4 成分スピノールの ( )で表現 される。  ポテンシャルは中心力で角度依存性を持たないから、 4 成分スピノール ( )を 2 成分 の動径部分 ( )、 ( )と角度部分 に分け (2.5) とおいて、式(2.4)を変数分離すると、動径部分に関しては (2.6) (2.7) と二つの運動方程式になる。ただし角運動量 j=l±1 2に対して (2.8) と定義されている。 は 0 の値を取らず、 =±1,±2,±3, · · · が許される。  式(2.6)から ( )を求めると (2.9)

(5)

となり、これを微分して (2.10) が求まる。これらを(2.7)に代入し下成分 ( )を消去すると (2.11) となる。整理すると上成分 ( )の 2 階微分の項を持つ動径方向の運動方程式 (2.12) が求まる。  ポテンシャルとして調和振動子型でベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルが反 符号で大きさが等しいという特殊な場合を想定する。ポテンシャルをそれぞれ (2.13) (2.14) と取り、動径方向のDirac方程式(2.12)に代入すると (2.15) となる。ポテンシャル項は 2 倍の大きさとなり、右辺の最後の項でのみポテンシャルの相 殺が生ずる。その結果、右辺でのポテンシャルの 3 乗の項がなくなる。  まず波動関数が収束するかどうか確かめるため、漸近解を考える。 → ∞とした時、方 程式(2.15)で残る の次数の最も大きい項は (2.16)

(6)

となる。波動関数 ( )の束縛状態の漸近解を を定数として とおくと となるので、(2.16)は →∞の領域で (2.17) と書ける。左辺の最高次数の項を残すと (2.18) となり (2.19) が求まる。波動関数が収束するには > 0 でなければならないから (2.20) である。このとき (E− )> 0 という条件が成り立つことも必要である。  漸近形が決まったので、波動関数をこの漸近形と の多項式の積として (2.21) と仮定し、運動方程式(2.15)を解析的に解くことを試みる。漸近解は指数関数の肩が の 形になるので、念のため次数の低い の項も加えておく。 、 は決めるべき定数で ある。  クーロンポテンシャルを解く場合のように、多項式が の整数次数にならないことも考 慮して (2.22) と仮定することも考えられるが、ポテンシャルが の正の整数乗の場合には波動関数は の整数次数のみで展開でき、δ= 0 となる。ここでは初めからこのことを考慮して、δ= 0 とした多項式展開を仮定する。また波動関数が収束するためには → ∞で ( )→ 0 と ならなければならないので、この多項式が有限の項数で止まることを要請し、多項式の上 限 は有限の正整数と仮定する。  波動関数(2.21)を微分すると

(7)

となるので、この結果を方程式(2.15)に代入して (2.23) となる。これを整理すると (2.24) となるが、最後の の項は =1 2( )より消える。次に次数の大きい項は の項で、この項の係数は多項式の次数 に依存しないので一般的に解ける。 ≠ 0 、 ≠ 0 であるから (2.25) となり、(2.24)は

(8)

(2.26) となるが、さらに最後の項に =1 2( )を代入すると (2.27) と整理される。  束縛解が求まるためには波動関数が収束し、規格化できなくてはならない。角度部分を 変数分離した動径成分の規格化条件は (2.28) である。(2.9)より (2.29) であるが、 ≠ 0 であるから ( )に定数項が存在したら、最後の項から1に比例する項 が残り、 ( )は原点発散し、規格化条件を満たすための積分ができなくなる。すなわち ( )の多項式には = 0 の項は存在せず、 = 1 から始まらなくてはならない。結局、解 くべき式は (2.30) となる。この方程式を変数 の恒等式と考え、解を求める。   < 0 の場合には問題ないが、 > 0 の場合には ( )の分母に特異点が現れる。すなわ ち(2.29)式は で分母が 0 となり、積分が発散する。これを回避するには分 子となる に分母の特異点を相殺する項が存在しなくてはならな い。同様に、 = 0 ならば原点 = 0 で発散し、規格化条件を満たすことはできない。 それ故、 ≠ 0 と仮定する。以下これらのことを念頭に、多項式展開を具体的に解き、 エネルギーと波動関数を求める。

(9)

₃  n=₁ c

≠ ₀  の場合

 まず多項式の項数が少ない順に検討する。 = 1 とすると = 1 のみが許されるので運 動方程式(2.30)は (3.1) となる。   の項は (3.2) となり、c1≠ 0 、E+ ≠ 0 であり、 =±1,±2, · · · を考慮すると、この式を満たすため には =− 1 とならなければならない。この値を の項に代入し、整理すると (3.3) となる。 ≠ 0 であるから (3.4) が求まる。同様に の項 (3.5) からは (3.6) が求まる。 = 0 では波動関数は収束しないから、E2 2である。すると(3.4)と(3.6) は明らかに両立しない。すなわち = 1 の場合には(3.1)を恒等式として満たす解は存在 しない。

₄  n=₂ c

≠₀ の場合

  =2ととると =1, 2 が許されるので運動方程式(2.30)は (4.1) となる。この恒等式はすべての項の次数が異なっており、c1の項とc2の項は別々に解くこ とができる。c2≠ 0 であるが、c1= 0 は許される。

(10)

 最大次数の項は 4 (4.2) である。c2≠ 0 、 ≠ 0 であるから (4.3) が求まる。収束するためには > 0 となる必要があるが、その条件は > となる。   0の項からは (4.4) が要求されるが、c2≠ 0 、 ≠ 0 であるから (4.5) が求まる。   の項 (4.6) からは、 ≠ 0 であるから (4.7) が要求される。 =1 2(E2− 2)は(4.3)と両立しないから c1= 0 が許される解となる。  残る項は の項 (4.8) で、(4.3)を使うと (4.9) となる。 =− 2 の解は = を要求し、 = 0 となるので波動関数は収束せず、束縛 状態の解とはならない。 = 1 の解は > の解を持ちうる。この解の存在を検討する ため、関数 (4.10) を考える。 = 1 の解は =18 の解となる。 Fig. 1:関数

(11)

 この 3 次関数 を に関して微分すると (4.11) となり、 =− 、1 3 で極値 (− )= 0 、(13 )=−3227 3を持つことがわかる。 Fig. 1 にこの 3 次関数 ( )をエネルギー の関数として図示した。 > ならば > 0 となり、 0 となるのは の場合である。波動関数が収束するためには(4.3)から > とならなければならないので、 > 0 の解が求める解となる。   0 >18 −32 27 なら < に解を持つ可能性があるが、波動関数が収束するためには > 0 でなければならないことを考えると、この解は許されない。18 > 0( > 0 )なら ば > に唯一の解を持ち、束縛状態作る可能性がある。この場合の解は となる。   > 0 の場合には(2.29)に示されているように ( )の分母が 0 になる可能性がある。上 に求められた ( )を使って となるから(2.29)を計算すると (4.12) となり、 ( )に特異点はなくなり、規格化可能で、束縛状態の解が求まることがわかる。 係数 c2は規格化条件(2.28)を満たすように決められる。  結果的に ( )も ( )も多項式の部分は 1 項のみで構成される解となる。

₅  n=₃ c

≠₀ の場合

  =1, 2, 3 が許されるので運動方程式は

(12)

(5.1) である。  最大次数の項は 5 (5.2) が求まる。波動関数が収束するためには > 0 となる必要があり、そのためには E> でなければならない。   4の項は (5.3) となるが、(5.2)と =1 6(E2− 2)は両立しないため c2= 0 とならなければならない。   の項 (5.4) からは E+ ≠ 0 、 =±1,±2, · · · を考慮すると c1= 0 または =− 1 という条件が求 まる。 i)c1= 0 の場合には   の項 (5.5) から c3≠ 0 、E+ ≠ 0 、 =±1, ±2, · · · であるから =− 3 または 2 が求まる。   の項は となり、 4 章の議論と同じ条件で、 = 2 で > 0 であれば > の解が存在し、束縛 解が求まる。このとき、エネルギーを決める式は (5.6) となり、波動関数は (5.7) である。   > 0 なので ( )の分母が 0 になる可能性が残るが、

(13)

を使って ( )を計算してみると (5.8) となり、 ( )に特異点はなくなり、規格化可能で、束縛状態の解が求まる。 ii)c1≠ 0 で =− 1 の場合には   の項は (5.9) となり、これをを整理すると、多項式の係数の関係 (5.10) が求まる。  同様に の項 (5.11) から (5.12) が求まる。  (5.10)と(5.12)を連立すれば (5.13) (5.14) となる。波動関数は (5.15) となる。  やはり > 0 なので ( )の分母が 0 になる可能性が残る。 を使って

(14)

(5.16) と ( )に特異点はなくなり、規格化可能で、束縛状態の解が求まることが示せる。   = 2 の解も =− 1 の解も ( )の多項式部分は 2 項からなるが ( )は の項 1 項 のみとなる。

₆  n=₄ c

≠ ₀  の場合

  =1, 2, 3, 4 をとり (6.1) を解くことになる。   6の項 (6.2) から c4≠ 0 、 ≠ 0 を考慮すれば (6.3) が決まる。   5の項 (6.4) は ≠ 0 を考慮すれば (6.5)

(15)

という条件が付くが、 は(6.3)と両立しないから c3= 0 となる。  c3= 0 ならば の項 (6.6) から (6.7) という条件が付くが、 の値は(6.3)と両立しないので c1= 0 となる。結局、すべての奇 数べきの項はなくなる。  残る項のうち最小次数である 0の項 (6.8) からは c2= 0 または =− 2 または = 1 の条件が求まる。 i)c2= 0 の場合、c4の項のみが残り   2の項 (6.9) は =− 4 または = 3 を与える。   4の項は (6.10) となり、 = 3 に対して束縛解の存在を示唆する。解は (6.11) (6.12) となり を使って (6.13) と、 ( )には特異点がなくなることを示せる。 ii)c2≠ 0 で =− 2 または = 1 の場合   の項

(16)

(6.14) を整理して (6.15) となり、 4の項 (6.16) は (6.17) となる。この二つの式(6.15)と(6.17)を連立すると (6.18) が求まる。  この式は =− 2 の場合 (6.19) となり、 > 0 なら > の解が存在する。また(6.15)から (6.20) となり、結局 (6.21) (6.22) となる。 (6.23) と、特異点を持たない ( )が求まり、束縛状態となる。   = 1 の場合にも方程式(6.18)は (6.24)

(17)

となり、(6.15)は (6.25) となる。解は (6.26) (6.27) となり を使って ( )は (6.28) となり、束縛状態の解が求まる。この解は ( )も ( )も 2 項の多項式部分からなる。

₇  n=₅ c

≠₀ の場合

  =1, 2, 3, 4, 5として運動方程式は (7.1) となる。

(18)

 まず 7の項 (7.2) から (7.3) が決まる。   6の項 (7.4) からは (7.5) が要請されるが は(7.3)と両立しないので c4= 0 となる。  c4= 0 ならば 4の項 (7.6) から (7.7) となり、c2= 0 が求まり、すべての偶数乗の項はなくなる  最も次数の小さい −1の項 (7.8) から c1= 0 または =− 1 が要請されるが、c1= 0 ならば の項 (7.9) から同様に c3= 0 または =− 3 または = 2 が要請される。 i)c1= 0 および c3= 0 の場合   の項 (7.10) から =− 5 または 4 となることがわかる。   5の項は (7.11) となり、 = 4 の場合に波動関数が収束する解が存在することを示唆する。解は (7.12) (7.13) となり

(19)

を使って (7.14) となり、特異点を持たない ( )が求まる。 ii)c1= 0 で c3≠ 0 の場合、 =− 3 または = 2 である。   の項は (7.15) であるが、整理して (7.16) となり、 5の項 (7.17) は (7.18) とまとまる。(7.16)と(7.18)を連立すると (7.19) となり、 =− 3 の場合には (7.20) となり、束縛解が求まる。(7.16)を使って計算すると (7.21) が求まる。

(20)

(7.22) (7.23) の解から が求まり (7.24) と特異点を持たない F( )が求まり、束縛状態の解が存在する。   = 2 の場合にも(7.19)を計算すると (7.25) となる。(7.18)からは (7.26) となり、解 (7.27) (7.28) が求まる。さらに を使って (7.29) が求められる。 iii)c1≠ 0 で c3= 0 の場合には =− 1 となるが   の項 (7.30) は整理して (7.31) となり、 = ならば = 0 となって束縛解は求まらない。 iv)c1≠ 0 かつ c3≠ 0 の場合にも =− 1 となる。   の項

(21)

(7.32) を整理して (7.33) となり、 の項 (7.34) は (7.35) とまとまる。さらに 5の項 (7.36) は (7.37) となる。  (7.33)を(7.35)に代入し、 + ≠ 0 であることを使うと (7.38) が求まる。(7.37)に(7.33)、(7.38)を代入すると、 − ≠ 0 、c1≠ 0 を考慮して (7.39) が求まる。 =− 1 に対し二つの解が存在する。  (7.33)より (7.40) となり、( + )( − )=162 の場合には(7.37)は2 (7.41) となる。このときの解は (7.42) (7.43) となり

(22)

を使って (7.44) が求まる。  ( + )( − )=36 の場合には(7.37)から2 (7.45) となるので (7.46) (7.47) が求まる。 から (7.48) が求まり、 ( )に特異点はなく、束縛状態の解となることがわかる。

₈  結果

 以上の計算の結果をまとめておく。 > 0 なら > となる束縛解が存在する。エネル ギーは 3 次方程式 (8.1) の解として求まる。具体的には   = 2 の場合      = 3 の場合

(23)

        = 4 の場合            = 5 の場合   

(24)

      = 2            となる。  波動関数が 1 項のみからなる解は一般解が簡単に求まる。指数関数部分の は(2.30)の の項から決まり、一般解は 2 として (8.2) となる。エネルギーは の項から決まり (8.3) なる 3 次方程式の解として求まる。このとき角運動量は = − 1 となる。波動関数は (8.5) (8.4) であり、係数 は規格化条件 (8.6) を満たすように決められる。

(25)

 より項数の多い解も = − 1 ,−( − 2 ), − 3 ,· · · ,(− 1 )の状態がエネルギー 的に縮退しており、(8.51)で与えられる解を持つ。ただし = 5 の例に見られるように項 数が多くなるとこの方程式とは異なる 3 次方程式を満たす解が枝分かれしてくる。

参考文献

Shibata, Y. and H. Tezuka (1994) Confinement and Infinite Potential. Z. Phys. C 62: 533-537.

Tezuka, H. (1995) Confinement by Polynomial Potentials. Z. Phys. C 65:101-104. Tezuka, H. (2013) Analytical Solutions of the Dirac Equation with a Scalar Linear

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Tezuka, H. (2015) Bound State Solutions of Dirac Equation with Repulsive Scalar Linear Potential. AIP Advances 5:087113 (1-6).

大高一雄(2002) 基礎量子力学.丸善 川村清(1996) 量子力学Ⅰ.産業図書 倉本義夫、江澤潤一(2008) 量子力学.朝倉書店 鈴木克彦(2013) シュレディンガー方程式.共立出版 手塚洋一(1994) クラインパラドックスと閉じ込め.東洋大学紀要 自然科学篇 第38号: 1-17. 手塚洋一(1996) 相対論的調和振動子ポテンシャル:等しい大きさのスカラーおよびベク  トルポテンシャルの場合.東洋大学紀要 自然科学篇 第40号:1-13. 手塚洋一(2003) 距離rに逆比例するポテンシャルをもつDirac 方程式の束縛解.東洋大 学紀要 自然科学篇 第47号:17-38. 仲滋文(2007) 新版シュレーディンガー方程式.サイエンス社 前野昌弘(2011) よくわかる量子力学.東京図書 松居哲生(2011) 量子力学.講談社

参照

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