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物権的請求権と請求権規範

著者

三野 陽治

著者別名

Y. Mino

雑誌名

東洋法学

31

1・2

ページ

1-38

発行年

1988-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003560/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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物権的請求権と請求権規範

三 野 陽 治

  目 次 一、序 論 二、物権的講求権と不当利得 三、物権的請求権と不法行為 四、返還請求の権利濫用と土地使用 五、物権的請求権と請求権規範の問題点 序 論  私法上の法律関係は権利義務にょり構成される。権利者が義務者に対しその有する物権または債権にょり一定の行 為を請求しうるとぎに権利者は請求権を有するという。請求権は債権に基づいて生ずるのみならず、物権やその他の       ︵1︶ 権利または法律関係からも生ずる。     東洋法 学      一

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    物権的講求権と請求権規範       二  また不法行為や不当利得返還請求権というとき、それらは、損害賠償債権・不当利得返還債権というのと全く異な らない。これらにおいては、損害賠償を求めうる、または不当利得の返還を求めうる実体法的法律関係︵権利者の地        ︵2︶ 位︶のすべてを表わしているからであるとされる。  AがBに何かを請求する。法律家はAが正しいか否かを理解すべきである。法技術的にはこれを、AはBに請求権 をもつか、そしてこれが是認されるときは、何を目的として︵例えば金額について︶、そして何を原因としてという ことを探究すべぎであるとして表現する。誰が誰に対して、何をそして如何なる原因で、これがすべての主張される        ︵3︶ 請求権の場合に探究されるべき四つの観点であると考えられる。  債権法はこの何が原因かを探究するときに活動する。何が原因かということは法の如何なる規定によるかの意味で ある。法的根拠なしには請求権は与えられない。このような請求権の承認についての法規により配置される規定を請       ︵4V 求権基礎または請求権規範という。民法の中で債権法は特に多くの重要な請求権規範とその補足規定の中に規定され        ︵5︶ る前提要件を規定する。そこで債権法は主張される請求権の判断のための特に重要な拠り所である。  客観法はその中で国家の構成員が生活する法秩序と同じ意味である。客観法は各法規より成立する。私法の或る ︵完全なまたは不完全な︶法規が個人に他人または物に関する関係で保護された地位を保障するとき、その地位の保 護が保護される人の意思による限り、権利と呼ばれる。権利が完全な法規︵命令を含む︶に基づくとき一つの請求権 甕たは請求権規範と呼ばれる︵例ドイッ民法四四三条二項、六〇四条一項、八一二条一項、八二三条一項。反対例九        ︵6︶ 〇三条!所有権ー命令なぎ法規に基づく権利︶。誇求権規範は事件解決のための中心概念である。

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 請求権の十分な探究はその存在に法がこの法的効果を付与した要件前提によって行われる。すべての請求権、一般 にすべての規範は要件と法的効果から成り立つ︵多くは補足的であるか選択的であるか幾つかの要件を以って︶。請求       ︵7︶ 権規範の場合には、その法的効果は一人の者が他の者に或る行為、受忍、不作為を要求しうることである︵イ塀卿鰻雛照︶。  物権は支配権である。例えば所有権は物に関する基本的には制限のない支配を所有者に与える。この支配はすべて の者に対して主張される︵が餌ヲ護﹀、むしろこれは基本的には他人の存在を顧慮せずに成立する。このことから、所有 者から物を奪取し、毅損し、物に関する所有権を争いまたはその他の方法で侵害する者はドイッ民法九八五条等、八 二三条一項一〇〇四条の前に置かれ、従って物の返還、損害賠償、侵害の停止に義務づけられる。この請求権は所有        ︵8︶ 権に関係するすべての者に対して効力を有する。  債権は全く別である。それは基本的には債権者のためにのみ、そして債務者のためにのみ成立する。第三者は債権 関係に関与するものでなく、それを顧慮する必要はなく、そしてそれからの利益を自己のために求めることはでぎな ︵9︶ い。またこのような債権の相対性、物権の絶対性は弩鉱oぎ筍房o霊讐︵対人訴権︶と8ぎぎ冨導︵対物訴権︶ の区別の名残りを引く考え方であって、前者は当初から被告適格をもつ者が特定人であるのに対し、後者は被告適格       ︵10︶ をもつ者は不特定であること︵物権に基づく支配を妨げる者は何人でも被告とされうること︶に由来するとされる。  個々の場合の解決に入るために、先づある物を他人に要求する者は契約によるか法規による請求権をもつか否かを 問題とすることが合理的であると考えられる。法律上生ずる請求権を三つに分けることがでぎる。すなわちドイッ民 法八二一条以下、八二三条以下、九八五条以下。この場合この問題は、人は契約、不当利得、不法行為または所有権

    東洋法学       三

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    物権的請求権と請求権規範       四 から請求権を有しうるということを内容とする。これが四つの最も重要な民法の請求権集団である。それは同意義的 に並存し、協議されるぺき例外の場合を除いて、基本的には並列的に主張しうるし、裁判官により認められうる。た しかにこれ以外に他の、例えば占有からの八六一条以下一〇〇七条、事務管理からの六七七条以下、窪たは遺産占有 者に対する二〇一八条以下のような重要な請求権集団が存在する。このような問題設定により各場合の一般的性格が 多くの場合一層明確に認識される。さらに実際には債権法上の請求権に優先して物権的請求権が審査される場合があ る。この順位効果の正当性については争われている。如何なる順序に於いて各請求権を審査するかは全く各事情にょ る。そこで先づ契約上の請求権を審査することが合目的的である。それはこれを肯定する場合には、所有者占有者関 係が存在することが明らかになるからである。しかしこの場合に九九二条はその停止的効果を規定し、そして不法行       ︵韮︶ 為請求権を排除するとされる。ドイッ民法九九二条は禁止されまたは刑罰的行為により占有を奪った占有者は不法行 為の責任を負うとする。  我が国では法的保護に値いする利益が侵害される場合、過去の損害に対しては、不法行為による損害の賠償を認 め、また、現在および将来における侵害に対しては、侵害排除原状回復請求権を認めようとするのであって、不法行       ︵鴛︶ 為による救済が物権に限定されないのと同様に、侵害排除請求権も、物権に限定されないものと解するわけである。 そして侵害排除原状回復の請求権が、債権その他法的保護に値いする利益についても否認できないとするならば、い       ︵B︶ わゆる物権的請求権は、物権だけの効力とはいえなくなるであろうとされる。  また物権は、物を直接に支配し、物に関する利益を直接に享受しうるものとされる権利であるから、もし他から妨

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害されて、かような権利の円満な行使ができないときは、物権者は、権利内容たる物権の円満な支配状態を回復する        ︵M︶ ため、妨害者に対して、妨害の除去を請求することができるのである。このような物権的請求権と不法行為の関係 は、物権に対して妨害がなされ、よってすでに損害が生じた場合には、かかる過去の損害を填補するため、不法行為       ︵15︶ にもとづく損害賠償請求権の認められることは、いうまでもない︵馳樽九条︶とされる。そして両者の関係について、妨 害排除請求の場合には、その効果として、具体的な原状回復の事実状態を生じ、それがまた、当事者双方にとって新 たに重大な利害関係を生ずることになるわけであるから、不法行為の場合のように、単に、被侵害利益の強固さの程 度と、侵害行為の悪性の度合いとが相関的に考慮されるのみならず、そのうえ、さらに、妨害排除の実現を認めるこ とによって生ずべき侵害者の犠牲の程度と、妨害排除を否認することによって生ずる被害者の不利益の程度なども相       ︵1 6︶ 関的に考慮して、妨害排除請求権の存否が決定されるとする見方がある。そして不法行為の場合には損害賠償請求を 認めるべきかどうかの観点から事が決せられるに反し、この場合には妨害を排除して原状を回復させることが適当か どうかの観点から判定されるのであるから、不法行為による損害の賠償を認めても妨害排除・現状回復は許さない事      ︵17︶ 例も生じうるとされる。  また物権以外の権利にも妨害排除を認める理由として、不法行為との関係について次のように説く見解がある。荷 も権利たる以上、債権であろうと物権であろうと、其の種類を問わず、不可侵性を有するのであるから、これを故意 又は過失によって、違法に侵害した者は、損害賠償の責を負うことは今や学説判例の一致するところとなった。果し てそうとすれば、不法行為に対する救済手段として、被害者は損害賠償の外に、妨害停止並に排除の請求をも為し得     東洋法学      五

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    物権的請求権と請求権規範      六        ︵18︶ べきではあるまいかとする。そしてさらに、権利が不可侵性を有していても、其の侵害が損害賠償債権を発生せしめ る為には、侵害の故意又は過失を要するのが我が民法の採っている原則である。此の原則の考えるところは、侵害が 客観的違法として損害賠償の原因となる為めには、主観的違法をも要するとなすものであって、債権侵害に於て其の 最も顕著な実例を見出す。果してそうとすれば、これと同様に侵害が妨害排除並に停止の請求を許すに至る為めに は、やはり、状態の違法と共に主観的違法とが兼ね具わらねば、客観的違法を発生せしめない精神であると解すべき ではあるまいか。従って、絶対的物権の侵害並に相対物上権︵物に対する直接支配を内容とし且つ公示の事実を具う る債権例えば不動産賃借権︶の侵害以外に於ては、侵害者の故意又は過失があることが、排除請求の要件と解すべぎ   ︵珀︶ であると説くものである。  物権的請求権を考えるにあたり、物の返還請求や妨害排除を請求する場合には、物権的請求権のほかに、占有訴 権、・契約法上の請求権、不当利得、不法行為責任としての損害賠償の一方法である原状回復、さらには債権者代位権          ︵20︶ の転用等が間題となることをも考慮すべきである。物権的請求権の行使の場合に不当利得の返還責任との関係が間題 となり、この場合に特に所有者と占有者の間の法律関係の規定を如何に解するかに関係する。       ︵21︶  物権的返還請求権が問題となるときに︾統一的請求権という法律構成との立場により、物権と債権の混溝状況を前 提とした統一的請求権−対世的主張が可能な物権的性格を潜在化させながら、債権関係当事者間ではもっばら債権規 範による規律が認められる﹁縦型の統一的請求権﹂ーが認められることになるので、このかぎりにおいては、︵縦型 の︶統一的請求権という構成自体、物権と債権の峻別という現行私法の規範構造の意味に対する一つの問いかけ乏い

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    ︵22︶ う側面をもつとする見方がある。  また物権的請求権と不当利得返還請求権との関係について、各当事者間の法的関係は多様で、かならずしもつねに 所定の類型のどれか一つにあてはまるほど単純ではなく、権利者が受くべぎ保護の態様には、無限のバラエティがあ る、ということがでぎる。契約上の請求権・不当利得返還請求権・不法行為にもとづく損害賠償請求権・物権的請求       ︵23﹀ 権・占有訴権等は、原告の受くべぎ保護の態様のいわば理念を示すものであるとする説がある。  多くの実体法上の教義的利益は異なった法的効果による規範競合を生ずる。すべての法的効果の要求が具体的に実 現されることが不可能なときは、衝突解決がさけえない。例えぽ物の返還に関して、一つの規範集団がすべての関係 する果実の引渡義務とすべての出掲の補償の権利をも含み、これに対して他の規範集団は余分の果実と利用的出損の 補償のみを命ずるときは、一つは他の矛盾する規定に少なくとも思惟必要的に劣らなければならない。  競合する民法上の請求権基礎の詳細を概観するときは、多くのこのような規範矛盾に突き当り、それは明瞭な衝突       ︵24︶ 規範にょり解決されず、従って解釈と法形成の方法により法学により統一されなければならないと考えられる。  物権的請求権の行使と不法行為による損害賠償請求権または不当利得返還請求権との関係について考察する。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ 奥田昌道債権法の概要 奥田昌道前掲 一一頁 ゑ巳赫鋤欝αq躍罵Φ旨ωoぴRv 譲o一鍵§鐙、男詩g房3①ぴ  東洋 法 学 注釈民法⑯ 一〇頁 ωoび蕊9g洋喧︾質略一こ 騨鋤。○‘ω﹂︸ おo o穿¢ど 七

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24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10  9  8  7  6  5

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≦o一凝餌譜に割犀⑦馨ω9①ぴ£  物権的請求権と請求権規範 ゆ●勲 ≦o㍍αQgpαq箆冨馨ω9Φお卑如. 霜o一凝山昌αq距落馨ωo誇さ勲餌・ 薯o篤αq欝αq霊ぎ馨。 。3R”餌●餌。 譲o露αq餌βぴR敦ざ馨ω9のさ僧即 奥田昌道前掲 二一頁 ≦o鷺αQ餌βαq舅鋳o馨零竃さ拶如 舟橋諄一 舟橋諄一 舟橋諄一 舟橋諄一 舟橋諄一 舟橋諄一 平野義太郎 平野義太郎 好美清光 加藤雅信 加藤雅信 鈴木禄弥 ご目●dお巳鋤国αぴ一︾

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        。04ω.総ざ 民法における物権法の地位、注釈民法⑤ 九頁 前掲 九頁 物権法 二三頁 前 掲 二四頁 前掲 三七頁

前掲三九頁

 判例民事法 大正一二年度 繍八七頁  前   掲 一八九頁 物権的請求権 注釈民法㈲ 四二頁 財権法の体系と不当利得法の構造 五二四頁 前掲 五二五頁 物産法の研究 二二七頁     U器胸蒔窪蕪簿07ω窃溶N①で<Φ浮巴ぎδ一簿︾霧鷲8富超ω部臼αoωωOじ ご︸ お謡あ◎逡 八

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二 物権的請求権と不当利得  ドイッ民法八ご一条は不当利得に関する規定であり、これは人があるものを他人の給付により取得したか、または その他の方法により取得したか否かを区別する。この区分は広い範囲の意味をもつ。何故なら、それに従って法的原       ︵1︶ 因についての問題が様々に答えられるからである。人が他人の給付により利得したという場合はその取得が有利な行        ︵2︶ 為特に他人の法律行為的処分行為に基づく場合に成立する。その最も重要な場合は有効な物権的譲渡行為である。  他人の給付以外の方法の利得は特に他人の権利への作用をなす利得者自身の行為により成立する。人が自己に属し ない物を所有者またはその他の利用権者の承諾なしに無権限で使用または消費した場合がこれにあたる。その利得は        ︵3︶ その使用を得るために普通なさねばならない出掲を免れたこと、さらに簡単にいうと取得した使用利益の価値である。 我が民法の不当利得の規定について法律上ノ原因ナクシテの意味もこの点が含まれる。  法的原因なくしてなされた給付の返還請求は意図されたがしかし成立せずまたは法的に無効でありその給付が内部 的に関係する債権法関係の回復に奉仕する。給付が受領者に債権法上当然に帰属しないときに、それが法的原因なく してなされる。これに反してその他の方法により取得された利得の返還請求は法的財貨帰属の保護に奉仕する。この        ︵4︶ 場合は取得が財貨帰属に従って他人に当然に帰属するとぎのみ、それは法的原因なくして取得されるとされる。  不当利得法の他の請求権規範との関係に係わる問題は一挙に明らかにされるのではなく、細かい分析の方法でなさ れるべぎであるから、その第一段階として八二一条の不当利得法上の一般条項の探究がなされるべきである。     東洋法 学       九

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    物権的請求権と請求権規範      一〇  近代不当利得法理論はそのため八一二条に於いて規定される給付により実現されたものとその他の方法により実現 されたものへの利得過程の分離を取り上げるが、しかしこの区分は法条から当然生ずるのではない強い選択性を以っ て構成する。この構成の必要性に関する理論は目下殊ど議論の余地のない命題を主張する。それは何時法的原因なき 取得行為がなされたか、そして唯の負担にそれはいれられるかという不当利得法の中心間題に対する解答の場合の争        ︵5︶ なぎ確証に基づいている。不当利得法の現実の意昧がこの概念の具体化により成立し発生する。  この場合この認識のみが不当利得返還請求権には種々の修正の使命が委されており、そしてこのための法的原因を 欠くということの判断規準は一方では財貨取引法に於ける不当利得返還請求権の機能と他方は国家的財貨帰属法に於 けるそれに従って建てられるということを導く。この他に不当利得返還請求権の種類の区別は八一二条以下の多くの 個々の規定にとって重要である。八一三条八一四条八一五条八一七条並びに八一九条二項と八二〇条は給付不当利得        ︵6︶ 返還請求権のみに関係するとされる。  財産法を財産の帰属に関するものf財産帰属法iと財貨の移転に関するものf財貨移転法ーとに分けて考察するこ     ︵7︶ とがでぎるとする見方がある。そして財産帰属法に属するものとしては、財貨そのものの排他的帰属に関する法と他 人の財貨からの返還請求権に関する法と財貨移転法に属するものとして全契約およびいわゆる給付利得の返還請求権       ︵8︶ に関する法があるとし、この二つの返還請求権を不当利得の一類型とする。  不当利得行為の区分の後の第一の段階は給付不当利得の明確な形成と給付なき不当利得に対する優位的地位の基礎 づけである。一般的な見解によると一つの利得が給付行為にょりなされたときは、給付なぎ不当利得の余地はないこ

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とになる。これは数人の者の関与する場合に現実的な意味をもつ。それはこの場合不当利得が生ずるか否かのみなら ず、どこに一つまたは数個の不当利得返還請求権の当事者を求めるべきかが問題であるからである。給付関係の優位 は給付の受領者を契約に関係のない第三者の補償請求権に優先的に保護する。或る人が他人の給付行為によりこの者 との有効な契約に基づいてあるものを取得したときは、この契約はこのものの上に権利を有する第三者に対しても法 的原因としての効力を有する。給付が無効な契約に基づくときでさえ、契約当事者のみが不当利得返還請求権の相手 方とみなされるが、しかしそのものの上に例えば建築または加工︵畑剛畑民法︶により関係するであろう法的地位をもつ第        ︵9︶ 三者はみなされない。そこで給付不当利得返還請求権は丁度給付関係の逆である。  また不当利得法の基本的機能は、財貨移転秩序に毅疵がある場合に財貨の移転を矯正し財貨の帰属を回復すること  ︵皿︶ にあるとする見方がある。そして不当利得法には二種の機能があり、一つは、財貨の帰属の回復であり、一つは、殻 疵ある財貨移転秩序にもとづく財貨移転の矯正、いいかえれば正当な財貨移転秩序にもとづかない財貨移転の矯正で  ︵H︶ あるとする。  この債権関係の相対性を強く維持することで、その法的安定性に拘らず、国家的物権的財貨帰属の中に具体化され る保有利益に対して取引利益が優先される。この領域では、すべての者はその相手方のみと話合しなければならない ということの要求をする法的取引に於ける信頼保護のますます増大する要請が不当利得返還請求権の二つの主たる類        ︵12︶ 型の分化の発展の進行の背後にある原動力である。  この基礎的な不当利得返還請求権の二つの区分とその順位関係を以って確実に必要と考えられる不当利得返還請求

    東洋法学      

・一.一

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    物権的請求権と講求権規範      二一 権の限界と不当利得返還請求権の正しい当事者の選択が目的とされる。従って給付不当利得返還請求権と給付なき不 当利得返還請求権とは別々に所有者占有者関係に対立することになる。  この区分によると給付概念は不当利得法の要点になる。古い学説は、給付は他人の財産の意識的増加であるとい う。しかし不当利得返還請求権の当事者を決めるこの概念の機能に関しては、この古い概念はあまりに広すぎると思 われる。何故なら例えばそれは債権関係の単なる履行補助者としての第三者につながりうるからである。従って新し        ︵捻︶ い理論にょると目的設定すなわち財貨移転の債権法上の計画基礎に対する関係が給付概念の中に取り入れられるとさ れる。そしてこのような見方からドイッ民法八一二条の不当利得規範と九八五条の返還請求権に関する関係をみる。 ドイツ民法八一二条と九八五条から生ずる物自体の返還講求権の関係は問題ないと考えられうる。  通説と正しい見解によると無効な実現行為の場合には二つの要件は充足されうる。何故なら占有は履行の対象をな しうるから、占有引渡のための法的原因の欠敏は要件的に8区馨δ8ω器段o良ωをも取り出すからである。二つの 請求権基礎は内容的に同一になる、すなわち両方とも引渡は除去の忍容のみでなく履行場所に於いての準備を意味す る。消滅時効期間は三十年である。強制執行または破産に於ける債権者の法的地位にとって引渡請求権の要件的実体 法的資格は重要ではない。従って一般的にも所有権返還請求権と給付不当利得返還請求権はその範囲で相互に排除し ないと考えられている。所有権返還講求権と不当利得返還請求権の間には更に真の請求権の複数が成立する。所有権 返還請求権は所有権と分離しえぬという想定に従うと、請求権基礎競合の他の請求権発生の規範と一致しえないから   ︵1 4︶ であるとする。

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 所有物返還請求権と不当利得返還請求権との関係については、物権変動について有因性の構成をとる我が民法の下 では学説が分れている。法律行為が取消された場合には﹁多数ノ場合二於テハ物上請求権ノ行使二因ル全部返還ノ関 係ナリ何トナレハ物権行為ノミ存シテ其物権行為ノ取消サレタル場合ニハ固ヨリ物権ノ移転ナキヲ以テ其物権ヲ根拠 トシテ物自身ノ返還ヲ請求シ得ヘキハ勿論債権行為ト物権行為ト両者共二存在スルモ其両者二付テ環疵ノ存在シ両者        ︵狢︶ 共二取消サレタル場合ニハ又物権ハ当然復旧シ従ッテ物上請求権ノ行使ヲ為スコトヲ得レハナリ﹂とし、さらに﹁不 当利得返還ノ関係ヲ生スル場合ハ取消二因リテ第七百三条二所謂法律上ノ原因ノ消滅シ而シテ取消サレタル行為二基       ︵1 6︶ ケル利益力尚相手方二存スル場合之ナリ﹂とする説がある。また所有権の取得が売買贈与その他の契約によって生ず る場合に、その契約が無効であったり、取消されたりすると、所有権の移転も生じない。すなわち所有権の取得とい       ︵”︶ う受益は生ぜず、占有または登記という受益を生ずるに止まるとし、所有権が移転せず、占有の移転だけであれば、       ︵鰺︶ 占有を返還しなければならないとする学説がある。そしてこの場合目的物の返還について所有物返還請求権と占有の 不当利得返還請求権とが競合するとし、占有者が目的物を占有する関係は不当利得の関係に他ならないから、特殊の不 当利得の内容を規定したものとして、返還が原物でなされる場合には、七〇三条以下の規定を排除して、所有権に基       ︵捻︶ づく返還請求権と占有者との関係の一八九条ー一九一条、一九六条を適用すべぎとする見方がある。さらに財産法を       ︵20︶ 財貨帰属法と財産移転法とに分ける立場よりは、A所有の不動産につぎBがAと売買契約を締結してその引渡を受け たところ、契約が無効であったとか取り消されたという場合、Aの返還請求権は、給付利得の返還を内容とするもの       ︵飢︶ として財貨移転法に属し、Aが所有権に基づいてBに対し返還を請求することは認められるべぎでない。そして一八

    東洋法学      

ニニ

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    物権的請求権と請求権規範      一四 九条ー一九一条、一九六条の規定は、これがなければ各該当事項につき適用されることとなるべぎ一般法としての七        ︵22︶ 〇三条七〇四条七〇九条に対して、特則たる性質を有するとする。

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鳩山秀夫前掲四一六頁

我妻 栄 債権各論 九八九頁

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︵18︶ 我妻 栄 ︵珀︶松坂佐一 ︵20︶ 広中俊雄 ︵21︶ 広中俊雄 ︵22︶広中俊雄 前  掲 一〇六五頁 事務管理・不当利得 四二頁 前掲 一頁 前掲 二四九頁 前掲 二五六頁 三 物権的講求権と不法行為  ドイッ民法九八五条は、所有者は物の引渡を占有者に請求しうると規定する。この引渡請求権の目的は所有者に物 の占有を与えることである、この場合動産か不動産かの問題は関係ない。勿論占有者が所有者に対して占有すべき権 利を有するとぎはこの請求は正当ではなく︵九八六条︶、この占有すべぎ権利が物権に基づくか、債権に基づくかは   ︵1︶ 関係ない。損害賠償請求権︵物の穀損滅失による︶収益の返還費用の償還の規定の場合には、立法者は区別するのが 適当と考える、すなわち善意の占有者ー自己の占有すべき権利を信ずるーは悪意のまたは禁止された私力により有責       ︵2﹀ 的にあるいは可罰的行為により占有を取得した占有者より有利な地位に置かれるべぎである。占有取得のさいに自己 が占有すべき権利を有しないことを知りまたは重大な過失で知らない者は悪意である︵九九二条一項九九三条二項︶。 さらに事後にすなわち占有取得後に、占有の権限なきことを認識した者は悪意である︵九九〇条一項後段︶。いわゆる 訴訟係属後の占有者すなわち物の返還請求訴訟が提起される占有者は悪意の占有者と同様の地位に置かれる︵九八九 ︵3︶ 条︶。     東洋 法 学       一五

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    物権的請求権と請求権規範       一六  禁止された私力または可罰的行為にょり有責的に占有を取得した占有者の地位は更に不利である。すなわちこの者       ︵4︶ は如何なる軽減もうけず不法行為法により全損害について責任を負う︵九九二条︶。所有者は占有者に対L︶占有物及び        ︵5︶ 占有物から生じた利益︵2暮N§磯象︶の返還ならびに損害賠償を請求しうる。  九八五条は二点で理解の困難さが考えられる。一つは通常は所有者への単なる物の返還のみでは十分ではない。返 還されるべぎ物は占有者のところで駿損することがあり、占有者は物から収益を取得し、それに費用を支出する。す なわち盗まれた自動車をその後発見した者はその自動車のみの返還請求をするのではないだろう、むしろ減少した価 値の補償さらに占有者が取得した使用利益等の補償を講求するであろう。他方占有者はその自動車の価値を一般的に 高めたことを主張するであろう。そこで法は返還請求権と並んで所有者の損害賠償と収益の返還の請求権および占有 者の出掲の請求権を規定しなければならない。  第二の理解の困難さは、上述の行為と共に他の請求権−契約と不法行為からのーが返還請求権と競合しうることに ある。この個々の誇求権の要件が法に於いて異って規定されているときは、競合を如何に解決すべきか。例えば占有 者が盗まれた自動車を軽過失で買いそして駿損したときは、彼は八二三条一項により二四九条と関係して全損害の賠       ︵6︶ 償義務がある。他方九九〇条一項は損害賠償を悪意の存在に、それ故にー少なくともー重過失の存在に結び付けると される。所有者占有者関係法︵九八五条以下︶については通説によるとこの請求権も基本的には契約不当利得不法行 為と並んで主張されるが、三つの重要な例外がある。すなわち不法行為法は所有者占有者関係に於いては九九二条に ついてのみ適用され従って原則的には適用なく、いわゆる九九二条の閉鎖的効力であり、この点に善意占有者︵九九

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        ︵7︶ 三条︶の特権が存するとされる。  不法行為法と所有権返還請求権の関係の問題には特に文献に於いて、所有者占有者関係に影響する競合間題が十分 に論じられる。立法者自身はそれをすべての他の規範衡突よりも詳しく論ずるのみならず、所有者占有者関係を意識 的には一部では不法行為的所有権保護の制限として、一部にはその補充として形成する。所有者占有者関係の二つの 規定がたとえ明瞭に不法行為法に関係し衡突解決の場合に立法者の歴史的主観的観念が共に関係させられるとして も、これまで判例と学説に於いて大体はその限界と正しい理論的基礎に関してのみ一致する。いわゆる排他説が支配 的であり、すなわち所有者占有者関係はそれで完全な特別規定であり、それと並んで不法行為より生ずる占有者の責 任を許さないという原理から出発する。しかしこの原理は特に法外な権限なき他主占有者の場合には破られねばなら ない。消滅時効期間と九九二条にいう方法で占有を取得しない悪意の占有者の責任の現実的に重要な場合に理論的基        ︵8︶ 礎づけの不十分さが示される。        ︵9︶  次の不法行為的規定は要件的に九八五条と競合する。すなわち八二三条一項八二三条二項と八二六条である。八二 三条一項の所有権侵害は所有権の成立せる物への他人の不当な作用ーその奪取穀損使薦⋮と所有権の権限に属する使       ︵鶏︶ 用のその他の妨害i例えば煙騒音等の過度の発生によりーと不当だがしかし有効な所有者の処分である。八二三条二 項は他人の保護を目的とする法規に違反し他人に損害を加えた場合、八二六条は善良の風俗に反する方法で他人に損 害を加えた場合である。  しかしこの個々の要件への包括は不法行為的効果の同一によりそれ以上の役割を果さない。不法行為上と所有権返

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    物権的請求権と請求権規範      一八 還請求権の請求権基礎は権利者のために物の所有と占有に於いて具体化されうるすべての利益の保護に役立つ。不法 行為的損害補償は物の実質の駿損と破壊、所有権の喪失と侵害、収益の欠損とその他の引渡さざる損害のための調整 を含む︵二四九条︶。所有権返還請求権的損害補償は対象的に同じ範囲である。しかし引渡さざる損害は遅滞の前提の 下にのみ補償を請求しうる︵九九〇︶。二つの責任の競合の重大な区別は時効期間と偶然の損害に関して成立する。  二つの規範集団の対立は重要な共通性のあることをみなければならない。すなわち二つの責任競合は所有権侵害を 懲罰する。実体的法的原因のこの共通性は多くの場合看過されるし、八二三条は絶対権自身を保護対象と規定し、所 有権返還請求権の附属効果は物権的請求権の不履行または不完全な履行にむすび付けられているという差異により不 明瞭になっている。従って九八七条以下はたしかに一般的債権法上の履行侵害法の機能に従って、所有権返還請求権 の特別の履行侵害法として理解されうるが、しかし多くの場合そうであるように、それは競合解消にとって重大な意 味をもつ具体的機能的な要素として誤解されてはならない。これに対してこのような配慮が元来間違った方向に導か れないために、物権的講求権関係のすべての履行侵害従って物が鍛損され、消滅しまたはその他の理由から返還され えない︵九八九条︶効果を生ずる占有者のすべての行為は物権的請求権の不完全履行のみでなく、常に絶対的物権の       ︵n︶ 侵害でもあることを強調すべぎであるとする見方がある。  また民法の解釈として不法行為責任としての金銭賠償と物権的請求権とは、事実上併存して生じることが多いが、        ︵鎗︶ 各々別個独立の請求権である。そして不法行為として賠償されるべき﹁損害﹂と、物権的請求権で排除されるべぎ        ︵捻︶ ﹁妨害﹂とは区別されうるとされる。

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 我が民法に於いては、所有物返還請求権の相手方が、目的物を滅失もしくは穀損したことによって、又は単に目的 物を保留することによって、所有者に損失を及ぼした場合には、所有者は、損害賠償を請求し得ることがあるであろ う。また、相手方が目的物を使用収益して利益を得たとぎは、所有者から利得の償還を請求し得ることがあるであろ う。さらに、相手方が目的物に費用をかけたときは、相手方から所有者に対してその償還を請求し得ることがあるで あろう。ドイッ民法︵紘鉱㏄談条︶及びスイス民法︵焔陀鉱笹は、所有権に基づく物上請求権と関連して、これ等の点につい て詳細な規定を設けている。わが民法の解釈としては、占有に関する規定︵玖弍鱗︶に従い、その不充分なところは、       ︵錘︶ 不法行為・不当利得等の規定にょるべきものとされている。そして占有に関する三つの規定は本権の訴において本権 関係が明確となり、本権と占有が一致しないことが明らかになった場合に、本権者と占有者との間の法律関係を処理       ︵15︶ するために、占有に与えられた特別の効力であるとする。  所有権者以外の者が無権限で目的物を占有しているときは、所有権者は、その者に対して所有権に基づく返還請求        ︵蜀︶ 権︵所有物返還請求権︶を有する。A所有の土地の上に土地使用権限を有しないBが建物を所有しその土地を占有し        ︵1 7︶ ている場合には、Aは土地所有権に基づいてBに対し建物収去・土地明渡を請求しうる。  また所有権はいわば絶対的な権利であり、その侵害は原則として違法性を帯びる。他人の所有物を奪い、その利用       ︵18︶ を妨げ、あるいはこれを損壊し、その価値を減少させるのが、不法行為になるのである。そして物権の侵害の場合のよ       ︵19︶ うに、不法行為と別に物権的請求権が生じるならば、それによって妨害排除ないし妨害予防の請求がでぎることにな る。さらに我が国では、金銭賠償の建前をとっているので、物権的請求権は別個の性質をもつものとして、不法行為     東洋法学      一九

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    物権的請求権と請求権規範       二〇       ︵20︶ による損害賠償請求権との競合を認めてよいとして、請求権競合を認める見方がある。  占有者の責任を規定する民法一九〇条の果実の返還、代価の償還の義務と不法行為による損害賠償責任との関係に ついて次のような判例がある。すなわち﹁故意又ハ過失ユ因リ不法二他人ノ所有物ヲ占有シ其所有権ヲ侵害シタル者 ハ、之二因リテ所有者ガ其ノ物ヨリ収得シ得ベカリシ果実ヲ失ヒタル損害ヲ賠償スベキ義務アルコト民法七〇九条ノ 規定二依リ明ナリ。民法一九〇条ハ悪意ノ占有者ガ本権者二対シ果実ヲ返還シ又ハ其ノ代価ヲ償還スル義務アル旨ヲ 規定セルモ、此規定ハ民法七〇九条ノ適用ヲ排除スベキ趣旨ヲ包含セズ、又必ズシモ同条二先ヂテ適用セラルベキモ ノニ非ズ︵当院昭和6年︵オ︶第鰯号同年m月妬旦冨渡判決参照︶此等規定二依ル所有者ノ占有者二対スル請求権ハ 各其要件及範囲ヲ異ニスルモ競合併存スルヲ妨ゲザルモノニシテ、唯所有者ガ何レカ一方ノ請求権ユ依リ果実又ハ其 代価ヲ受ケタル場合ニハ、其範囲二於テ他方ノ請求権モ亦消滅二帰スルモノト解スルヲ相当トス。故二、若シ所有者 ガ占有者二対シ民法七〇九条二基キ不法行為ヲ原因トシテ、得ベカリシ果実ヲ失ヒタル損害ノ賠償ヲ請求スル場合ニ ハ、占有者二故意又ハ過失アルコトヲ必要トスベキコト論ヲ侯タズ  而シテ、善意ノ占有者ガ本権ノ訴二於テ敗訴シタルトキハ其起訴ノ時ヨリ悪意ノ占有者ト看倣サルベキコトハ民法 一八九条二項ノ規定スルトコ冒ナルモ、此規定ハ占有ノ効力二関シ占有者ノ善意ナルト悪意ナルトニ依リ法律上ノ効 果ヲ異ニスル場合二右起訴ノ時ヨリ悪意ヲ擬制シタルニ過ギズシテ、不法行為ノ要件タル故意又ハ過失ヲモ擬制スル モノニ非ズ。従テ、所有者ガ民法一九〇条二依り占有者二対シ果実又ハ其代価ノ償還ヲ請求スル場合ニハ、占有者二 故意又ハ過失ノ有無ヲ問ハズ本権ノ訴提起ノ時以後生ズベキ果実又ハ其ノ代価ヲ請求シ得ベキモ、民法七〇九条二依

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り得ベカリシ果実ヲ失ヒタル損害ノ賠償ヲ請求スル場合ニハ、右起訴ノ時二於テ既二占有者二故意又ハ過失アルニ非        ︵飢︶ ザレバ、其時以後ソ果実二相当スル損害賠償ヲ請求シ得ベキモノニ非ズ﹂とする。従って、一九〇条と不法行為の関 係については.この規定は、悪意占有者の果実返還および代価償還だけに関するものであって、一般不法行為の規定       ︵器︶ の適用を排除する趣旨ではないと解される。また本条を、ただちに不法行為の要件たる故意・過失と同視することは     ︵23︶ 許されないとされる。また民法一八九条二項の規定は占有者の果実取得権につき悪意を擬制したものであって、それ       ︵24︶ 以上に、不法行為の要件である故意・過失を擬制したものではないと解される。

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12 1王 10 9  8  7  6  5  4  3  2  1

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 東洋法 学

お謡矯ω﹂①ρ 二一

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︵招︶ ︵忽︶ ︵15︶ ︵驚︶ ︵17︶ ︵B︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵21︶ ︵22︶ ︵23︶ ︵24︶ 物権的請求権と請求権規範 好美溝光 我妻 栄 田中整爾 広中俊雄 広中俊雄 加藤一郎 加藤叫郎 加藤一郎 舟橋諄一 舟橋諄一 舟橋諄一 大判昭和一八年六月一九日民集二二巻 前掲 四九頁 物権法 一六九頁 占有権の本来的効力と本権に関する効力 物権法二版 二四四頁 前掲 二四四頁 不法行為 一〇七頁 前  掲 二二二頁 前  掲 五三頁       四九一頁 物権法 三二頁

前掲三一一頁

前 掲 一三〇頁 注釈民法ω 四三頁 一二一    四 返還請求の権利濫用と土地使用  物権的請求権の行使が権利濫用となって妨害排除の講求が認められない場合にも、土地所有権の侵害について、不 法行為または不当利得の請求が認められるとするのが判例であり、 ﹁本件土地所有権の侵害については、不法行為ま たは不当利得に関する法規により救済を求めるのであれば格別、原状回復を求める本訴のような請求は、私権の本質        ︵王︶ である社会性、公共性を無視し、過当な請求をなすものとして、認容しがたい﹂とするものがある。

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 また電気株式会社Yが他人Xの所有の土地の下に発電所用水路としてトンネルを作ったのでXはYに妨害排除とし てトンネルの撤去を請求した事件について次の如ぎ判例がある。 ﹁凡ソ所有権二基ク返還請求権若クハ妨害排除請求権ハ返還若クハ排除ノ尚可能ナル場合二限リ存在シ、一旦其ノ事 ノ不能二帰シタル以上或ハ不法行為二関スル法規二依リテ以テ救済ノ方法ヲ講ズルノ外アルベカラザルハ寧質自明ノ 数ナリ︵大正四年︵オ︶第七七六号同五年二月一六日民三判決参照︶。而シテ所謂能ト不能ハ法律上若クハ事実上ノ理 由二出ヅルコトアルノ、・・ナラズ、或ハ社会経済上ノ理由二出ヅルコト又コレアリ。夫ノ民法第二〇一条第一項但書ノ 如キ第二三四条第二項ノ如キ即是ナリ。  原審ノ確定セル事実二依レパY会社ハ川辺川第二発電所用水路トシテ幅員四米突長サ六一六米突六ノ燧道ヲX所有 地底二無断ニテ掘墾シ工事ヲ竣成セシメタルモノニシテ、斯ルハ実二Xノ所有権ヲ不法二侵害スルモ亦甚ダシト云ハ ザルベカラズ。而モ已二当該工事ノ竣成セシメタル現在二於テ之ヲ撤去シ新二水路ヲ設クルコトハ事実上又ハ法律上 固ヨリ不能ナラザルト共二、其ノ巨大ナル物資ト労力の空費ヲ来シ社会経済上ノ損失 カラザルモノアルヲ顧ルトキ ハ、Xノ所有権二基ク妨害排除ハ最早不能二帰シ、Xトシテハ唯損害賠償ヲ得テ甘ンゼザルベカラズハ之ヲ上叙判示 二照シ又多言ヲ侯タザラムナリ。然リト雛モXタルモノ其ノ救済ノ足ラザルヲ患ヒズシテ可ナリ。何者損害賠償モ亦        ︵2︶ 原状回復ノ一方法二外ナラザレバナリ。原判決ハ終局二於テ正当ナルヲ失ハズ﹂とする。  このように土地の権限なぎ使用の場合に、所有権に基づく返還請求または妨害排除請求が権利濫用となって許され ないときには、この法に反する土地の使用に対する救済方法として不当利得または不法行為の救済が認められること

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二三

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    物権的請求権と請求権規範       二四 になる。そして前の判例はこのような場合には原状回復は認められないとするが、後の判例は損害賠償請求も原状回 復の一方法として考えて土地所有権の救済をみるようである。  権限なく土地を他人が使用する場合に物権的請求権によりその返還を請求することが権利濫用となってこの請求が できないときでも、その権限なき土地につき不当利得または不法行為により救済を請求しうることになるが、如何な る場合に不当利得が成立し、また如何なる場合に不法行為が成立するであろうかの問題がある。そこで不当利得制度 と不法行為制度の関係について考察してみる必要がある。  不法行為は、違法な作為・不作為にょり他人に加えた損害あるいは他人の権利を侵害することにより他人に加えた 損害を賠償する義務を認める制度であるが、不当利得は、法律上正当とされることなく他人の意思にそわない財産的 利益の取得あるいは他人に帰属すべき財産が正当の理由なしに帰属すべからざる者に帰属している利益をその他人に       ︵3︶ 復帰せしめる義務を認める制度であるとする見方がある。  また不当利得制度は、公平に反する財産的価値の移動が行われた場合に、受益者からその利得を取戻して損失者と の間に財産状態の調整を図ることを目的とする。したがって不当利得制度においては、受益者側の利得︵財産増加︶ に重点がおかれる。この点は被害者の蒙った損害の填補を目的とする不法行為制度においては、先づ被害者側の損害       ︵婆︶ ︵財産減少︶に重点がおかれるのと異るとする。そして或る人が権限なくして他人の家を利用した場合には、果して 家屋の所有者が自らこれを利用しまたは他人に賃貸し得たか、またこれを欲したか否かを問うの必要なく、常に家賃       ︵5︶ 相当額の損失があると解してよいとする。そして利得者が他人の物または権利を使用収益または消費した場合、他人

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の物の占有を侵奪した場合の如きは利得が利得者の行為に基づく場合である。かかる利得者の受益行為は他人の財産 に介入するものであるから、これをなすことを正当となす権利、例えば賃借権、地上権その他の使用収益権を有しな       ︵6︶ い限り違法であり、その利得は不当性を帯びる。利得者の行為が不法行為となる場合には、損害賠償請求権と不当利       ︵7︶ 得返還請求権とが競合し前者が短期消滅時効によって消滅した後にも存続するとする。また他人の土地を権限なしに 用益するのは利得が利得者の行為の事実上の効果として生ずる場合であり、このような場合の利得者の行為は、多く の場合、損失者に対する不法行為となる。       ︵8︶  従って、損失者は損害賠償の請求権を取得する。そして両請求権は成立要件を異にし、不法行為の賠償請求権は損 失者が損害を被ればそれだけで成立するが、不当利得の返還請求権は、さらにその損害によって加害者に利得を生じ       ︵9︶ なければならないとされる。これに対して、この場合、端的に他人の家屋を権限なしに利用した不法占拠者の所有権       ︵扮︶ 帰属侵害による利得を中心に考えればよいのではないであろうか。侵害利得であり、しかも不法行為的侵害としての 性格をも有する類型の場合は、原則的に利得を﹁吐ぎ出させる﹂ことを中心にその返還を考える、ということでよい         ︵n︶ のではないであろうかとする見方がある。  さらに、通説はすべての債権関係の共通の特徴としてそこで債権という権利の原因として単一の法的効果のみを考 える。すなわちドイツ民法二四一条の意味の債権的講求権である︵債権関係により債権者は債務者に履行を請求しう る︶。  要件の側からの債権の共通の根本思想は否定される。すなわち債権が規制する経済的またはその他の生活過程は単

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    物権的請求権と講求権規範       二六 一ではないということである。債権的請求権はすべての債権関係にとって共通の法的効果であるということはたしか に正しい。しかしこの法的効果の単一性は思いつきのものではありえない。むしろ債権関係の意味で債務とは不法に 抑留しているものを与え、返還しまたは補償しなければならないということである。そしてこの場合契約的債務は約 束の回復に関係し、その違反はすでに約束受領者に帰属されている価値を抑留していることになる。従って債権は回       ︵η︶ 復思想という括弧にょり総括される。法的効果の単一はこのように説明されるとする見方がある。  そして債務は不法に抑留されていることの回復をしなければならないことである。抑留されているものの提供を求 める請求権にょり不法に抑留されること自身が補償されるときはこのようになる。抑留されうるものは保有すべき財 貨であることもあるしまたは一般的行為と財貨の交換に営利的に参加する自由でもありうる。獲得される財貨の保護 が問題である限り、法は抑留される財貨の給付請求権を保障する。物権法上の例は占有者の所有老への返還義務であ る︵ドイツ民法九八五条︶。  債権法に於いては回復義務の主たる場合は契約上の約束の履行請求権、事務管理の履行請求権、消極的なすなわち 侵害の排除または停止に向けられた請求権と不当利得の返還である。財貨獲得の自由の保護は特に消極的になされる が、しかし利得返還請求権によっては実現されない。何故なら、たしかに財貨については不当に利得されうるが、し        ︵捻︶ かし自由については不当に利得されうるということはありえないからであるとされる。  不法に抑留されるもの自身が提供されることができないときは、法は多くの場合損害賠償を命ずる。すなわち抑留 されることから損害が生ずる。従って回復義務と異って容易に同一視できる履行対象を欠くことになる。損害は評価

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されねばならない。更に現実的な過程を仮定的な過程と比較すべきである。これは加害の結果に至った行為の評価を 含む。損害は加害者に客観的にー基本的にはー主観的に帰責されえねばならない。それ故に加害者の行為を判断する 行為規範を必要とする。それは財産保護と自由保護に関係する。この行為規範は先づ探究されてそれから加害的行為 に適用されなければならない。不法行為法はi適用される規範技術のすべての差異の場合にー命ぜられる行為規範の このような補充の総体である。  それ故に不当利得の規定は違法な財貨帰属を修正しようとし、不法行為法は不法な行為を回復しようとする。多く の不法行為的行為規範を構成するために、そして平等な評価を行うために、絶対的に保護される法的利益が考えられ る。このように不法行為のための保護客体として絶対的に保護される権利を構成すること︵生命身体所有権︶ー不法       ︵M︶ 性探究︵不法性指示︶の目的ーは勿論二つの領域の区別の場合に考慮すべき体系的な困難さを生じさせる。  人が他人の一つ又は二つの法的保護領域を侵害したときに当然に行為の不法性が生じるものではない。 器旨鷺9 一器留誘の原則は不当利得の領域にのみ無制限に適用される。侵害行為が不当すなわち違法か否かは不法行為にとっ       ︵轟︶ ては行為の価値と生じる結果の間の評価に基づき決まる。  特定の人Aの単独の使用と利用に属する物がその者の支配領域でなくBという人の他人の支配領域にあるときは、 新しい帰属のための法的原因が存在しない場合には、BはAに対してその物について不当に利得している。その物は 帰属される物の間違った範囲の中にある。それは客観的違法状態である。従って不当利得法は帰属する財貨の所持の 状態を保護する。不当利得法は所有の目的のために財貨の人への国家的帰属に従事するが、不法行為法は、その名の

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    物権的請求権と請求権規範      二八 示す如く、他人に対して不法である人間の行為を規制する。人は人間の行為によって他人の帰属すべき財産の法的に 保障された状態もその自由領域をも侵害しうる。        ︵蜀︶  それ故に不法行為法は所持の可能性と取得の可能性の二つの領域を保護するとする。そして侵害行為が許されぬす なわち不法であるか否かは不法行為にとっては行為の価値と生じた結果の不価値の間の評価に基づいて決められる。        ︵η︶ 従って、不法行為の不法性は財貨帰属に基づくのではなく、加害行為に関する価値決定に基づくとする。  さらに、物権的請求権の行使の場合に、権利濫用理論が適用されるためには、設置者側に具体的に妥当な保護を求 めるべぎ資格があることが、必要である。とくに、かれが他人の土地を占拠し、その上に建物等を設置したことが倫 理的にみていちじるしく非難さるべぎものでないことが必要であり、少なくとも重大な過失ないし故意の存する場合       ︵娼︶ には、保護を受ける資格がないとすべきである。権利濫用が認められる場合にも、それはもちろん土地所有者が全面 的に抑圧されてしまう趣旨ではない。それはその土地の利用をかれから剥奪しはするが、その代償は金銭によって与 えられなければならない。すなわち、土地所有者は設置者に対し、不当利得の返還ないし不法行為にもとづく損害賠        ︵B︶ 償の請求をなしうるとされる。  対抗力を具備しない土地賃借者に対する建物収去土地明渡請求が権利濫用となって許されない場合にも土地占有者 に損害賠償の請求ができるとする判例がある。すなわち﹁建物収去・土地明渡を講求することが権利の濫用として許 されない結果として、上告人が建物収去・土地明渡を拒絶することができる立場にあるとしても、特段の事情のない かぎり、上告人が右の立場にあるということから直ちに、その土地占有が権原に基づく適法な占有となるものでない

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ことはもちろん、その土地占有の違法性が阻却されるものでもないのである。したがって、上告人が被上告人に対抗 しうる権原を有することなく、右土地を占有していることが被上告人に対する関係において不法行為の要件としての 違法性をおびると考えることは、被上告人の本件建物収去・土地明渡請求が権利の濫用として許されないとしたこと となんら矛盾するものではないといわなければならない。されば、上告人が前記土地を占有することにょり被上告人       ︵20︶ の使用を妨害し、被上告人に損害を蒙らせたことを理由に、上告人に対し、損害賠償を命じた原判決は正当である﹂ とする。そして本判決は権利行使が権利濫用となっても、土地占有が適法化するものでなく、また、不法行為の要件 である違法性を阻却するものでもないと判示するが、適法占有に転化するとみるか、転化しないが違法性は阻却する と解するか、それとも本判決のように断ずるかによって、本件に即していえば、従前の賃料、不当利得、不法行為に       ︵溢︶ よる損害というふうに、請求の額に差異を生ずることは、当然であるとされる。しかし賃借権が対抗力を具備せぬこ とを理由に明渡を求める場合や賃貸借解除を理由として賃借権を否認し、明渡を求める場合に、その明渡を求めるこ とが権利濫用とされるときは、対抗力を具備したもの、或は解除が無効で賃貸借は継続するものとして効力を認めて ︵22︶ よいとする。しかし既往に何らの権限なしに不法占有が始められた場合において、所有権に基づく妨害排除請求が否       ︵23︶ 認されたとき、その占有が合法化すると解することは行ぎ過ぎであり、不法占有状態がそのまま継続することになる       ︵雛︶ とする見方がある。そして本件の場合には越境建築による土地の不法占拠の問題とは区別すべぎであるとする見方が ある。

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2王 20 19 18 17 16 15 14 13 12 1王 10  9  8  7  6  5  4  3  2  王

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鈴木禄弥 前掲 六五頁 鈴木禄弥 物権法の研究 譲o詫αQ鋤謬σq匁悶Φ暮ωoびoび 專o剛健餌oαq蒙脚o類鍍o犀巽︸︸ 譲o深αq勲βαq男涛Φ嘗ωoびのさ 譲o謀αqm”αq男鮮o馨ωoげoび 薫○罵αq餌⇒ぴq男詩Φ暮ωo冨び 薯o罵αq鋤鐸αq男涛①誉ωo誇ぴ 中井美雄 中井美雄 我妻 栄 我妻 栄 松坂佐一 松坂佐一 松坂佐一 松坂佐一 谷β知平 大判昭和一 最判昭和四〇年三月九日 民集一九巻二号  物権的請求権と請求権規範

       二三三頁 一年七月一七β 民集一五巻一七号 一四八一頁 事務管理・不当利得・不法行為の制度、注釈民法㈹一頁 事務管理・不当利得 四六頁 前掲 四七頁 前掲 六九頁 前掲 六九頁 債権各論 一〇〇七頁 前  掲 一〇〇七頁 不当利得と不法行為、注釈民法⑬ 六九六頁 前掲 六九六頁       ωoび巳曾Φo算︾刈︾段こごo o99嵩 勲鉾○‘ψ禽凝‘ 鉾勲○;ψ欝o o︸ 輿鉾○こψ①禽︸ 鉾鉾○こψ無○ ○属‘ 鉾鉾○‘ω●①お” 六四頁 最高判昭和四三年九月三日 民集二二巻九号 一七六七頁 石田喜久夫 民商法雑誌 六〇巻五号 六九七頁 三〇

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︵22︶ ︵23︶ ︵24︶ 谷口知平 権利濫罵の効果 末川先生古稀記念 谷口知平 前掲 二五頁 石田喜久夫 前掲 六九七頁 権利の濫矯 上 二四頁 五 物権的請求権と請求権規範の問題点  本質的に単一の生活過程に数個の講求権規範が要件的概念的に、それがすべての点に於いて同じ法的効果を規定せ ずに、適合するときは、民法上の規範競合の問題が生ずる。法規の免れえない複雑性とその発展の継続のために規範 競合は法典の中に於いても法の欠陥と同様に原則的には避けることのできないものである。殊に所有者占有者の関係 は契約外の債権法上の責任複合と競合し、そこで競合問題の多くを生ぜしめる。実体法は先づ第一に契約外の法的効 果の間に衝突解決をなすべきである。更に幾つかの具体的に実現される請求権基礎がそれと同様に個々の講求権を⋮ 法的取引に於ける処分対象と同様にー生ぜしめるか否かにも関係する。これに反して訴訟法に於いては訴訟の対象は 実体法上の請求権規範と無関係であることは永い間もはや争われていない。そこではそれは一般的に法的視点の役割 のみを果す。たしかに現在の民法理論に於いて最近基本的努力が実体法と訴訟法に於いて統一した請求権概念を目的 としている。その統一は実体法から行われるべきである。実体法に於いても、幾つかの請求権基礎はそれは単一の請 求権を生ずるというように総括されるからである。このような一つの請求権の内容的形成は種々の請求権を基礎づけ       ︵i︶ る規範集団から最も適する規定を綜合することにより形成されるとする見方がある。

    東洋法学       三一

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    物権的請求権と請求権規範      三二  そしてこのような選択のために、最近の競合理論も古くから維持された指示よりもよい指示を与えることを知らな い、すなわち衝突する諸規定の順位関係をその規範目的の注意深い探究により見い出すことを知らない。法規の概念 的関係からは順位関係へのより確実な結論が可能ではない。同霞呂9段齢留8αq簿竃αq斜窪段巴一という古い競合規定 も一つの指示のみを示すが、しかし論理的に当然に一般法の排除に至るのではない。  法律要件は確定的そして明瞭な概念的限界をもたないから、規範競合の確定とその解消の間の思想上明確な区別が          ︵2︶ 不可能なことが多くあるとされる。  物権的引渡請求権の不履行と不完全な履行のための損害賠償義務に関して債権法の一般規定の所有者占有者の関係 は明瞭である。このために不当な占有者はドイツ民法九八九条九九〇条の前提要件の下にのみ責任を負う。二七五条 以下の一般的履行侵害法は所有者占有者関係が積極的に規定するような対象に干渉しないことは争われていない。  これに反して所有者占有者関係の補充への債権法の適罵可能性についての大いに争われている問題は一括して肯定 または否定を以っては答えられえない。たしかにこの適用に基本的な障害はないという点で一致しうるが、しかしそれ は一般的に適用可能であるという判断基準にまかされるのではない、そこですべての問題になる規定を特に規範目的 と利益状態に従って解決すべきである。この領域に於ける最も争われている問題の場合−二八一条の所有権返還請求 への適用可能性ーの場合には、二八一条による代位物の引渡義務以外に占有者は第三者の側からの履行責任にも責任 を負うかに従って区別すべぎである。通常は法律行為により取得された代位物の場合がこの場合であるから、少なくと        ︵3︶ もこの場合には二八一条は適用されえないとされる。所有者占有者関係の一般的不法行為との競合の従来多くそして

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詳細に論述された問題の中で善意の自主占有者の特権化に関してのみ一致している。すべての解釈批評家は、占有者は 不法行為法に従っては責任を負うべきではないことを主張する。しかしその他の限界問題に関しては錯綜した様々の 解釈の選択が示されている。衝突規範として意味される九九三条二、三項と九九二条の効力範囲に関しては意見が分 れている。立法者の主観的観念によるとたしかに所有者占有者関係は不法行為法を一般的に排除する特別規定として 考えられた。すなわち不法行為による占有取得︵九九二条︶のみが不法行為責任の効果を発生せしめるべきである。 しかしその背後に具体的な差異の認識が存しない、むしろ所有権保護の完全が必要と考えられる。それは占有取得に よる占有者の行為の不法行為的構成に確信があるのでなく、従って所有権保護の欠陥の予防をしなければならないと 考えられるからである。それ故に九九二条は民法上の不法行為の要件に関する不十分なそして今日陳腐な見解に基づ くから、それから、不法行為となる占有取得のみが八二三条以下により責任を負担するが、しかしその他の占有者の 加害行為は専ら所有権返還請求法により判断すべぎであるという逆説を引き出すべきではない。このために不法行為 法は競合的には善意の占有者のためにのみ、しかも善意の他主占有者にも有効と考えられる法律関係が彼に与えるで あろう権限の枠内で排除すべきである。他主占有者の過度の行為は九九一条二項八二三条以下による責任を発生させ        ︵4︶ るi或る場合は直接適用により、その他の場合には類推適用の方法によりとする見方がある。所有者占有者関係の規 定と不法行為の規定の適用に関するドイッの学説である。  ドイッ民法では所有者は占有者に対し占有物及び占有物から生じた利益︵2簿§轟窪︶の返還ならびに損害賠償を     ︵5︶ 請求しうることに関する規定︵九八五条︶があるが、我が国ではこれらについては、それぞれ、善意占有者の果実収得

    東洋法学       三三

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