水質汚染事故による水道の被害及び水道の異臭味被害状況について 1.調査内容及び方法 (1)水質汚染事故による水道の被害状況 水道事業者等が通常予測できない水道原水の水質変化により、水道水を供給 するにあたって問題が生じ、令和元年度に取水・給水の制限・停止や特殊薬品(粉 末活性炭等)の使用等を行った水質汚染事故による被害について、都道府県等を 通じて水道事業者、水道用水供給事業者、専用水道(以下「水道事業者等」とい う。)を対象に調査を行った。 (2)異臭味等による水道の被害状況 湖沼の富栄養化等の水道水源状況の悪化により、令和元年度に水道原水がカ ビ臭等による異臭味被害を受け、応急的な対応を行った水道事業者等の数及び 給水栓で異臭味の被害を受けた利用者数を、都道府県を通じて水道事業者等(専 用水道を除く。)を対象に調査を行った。 2.調査結果 (1)水質汚染事故による水道の被害状況 水質汚染事故の発生状況等を表1-1から1-2、図1-1から1-3に示 す。令和元年度に水質汚染事故発生件数は 133 件で、水質汚染事故により被害 を受けた水道事業者等の延べ数は 194 であった。水道の事業形態別では上水道 事業が 99、簡易水道事業が 5、専用水道が 10、水道用水供給事業が 80 であっ た。また、水源別の発生状況は、全 85 水源のうち表流水が 67 水源、伏流水4水 源、地下水7水源、その他7水源となっている。原因物質別では油類が 68.4% (91 件)と最も件数が多く、続いて有機物 12.0%(16 件)となっている。また、 汚染原因としては、不明が全体の 70.1%、その他が 14.4%を占めるが、工場等 6.2%、車両 5.2%、農業・畜産業 2.6%、土木工事 1.5%となっている。
図1-1 水質汚染事故により被害を受けた水道事業者等の経年変化 上水道 91 1 75 (1) 118 (6) 97 (2) 99 (2) 96 (2) 簡易水道 5 (2) 16 (6) 2 (0) 2 (1) 5 (3) 6 (2) 専用水道 17 (1) 18 (2) 22 (4) 7 (0) 10 (0) 15 (2) 水道用水供給 19 (1) 24 (5) 31 (1) 48 (0) 80 (0) 40 (2) 合 計 132 (5) 133 (14) 173 (11) 154 (3) 194 (5) 157 (8) 表1-1 水質汚染事故による被害を受けた水道事業者等の経年変化 平 均 平成28 平成27 平成29 平成30 令和元 37 43 34 51 32 62 91 57 62 45 49 44 56 54 45 48 51 51 56 42 41 36 49 154 44 46 91 75 118 97 99 14 21 11 14 12 19 13 11 9 11 15 15 16 18 12 12 9 19 12 15 15 12 11 7 5 8 5 16 2 2 5 8 6 3 4 3 8 8 3 2 6 0 4 3 3 4 8 7 5 6 7 8 10 6 4 6 8 17 18 22 7 10 4 7 7 10 5 10 23 6 18 7 7 17 9 17 12 1015 14 12 9 11 18 15 15 10 29 19 24 31 48 80 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R01 水 道 事 業 等 数 年 度 用水供給 専用水道 簡易水道 上水道
表 流 水 伏 流 水 地 下 水 他 表 流 水 伏 流 水 地 下 水 他 表 流 水 伏 流 水 地 下 水 他 表 流 水 伏 流 水 地 下 水 他 表 流 水 伏 流 水 地 下 水 他 計 北海道 4 1 1 5 1 6 東北 3 2 1 1 5 2 7 関東 9 1 8 18 18 中部 5 2 1 1 7 2 9 近畿 11 1 2 1 3 1 14 4 1 19 中国 7 1 2 1 7 4 11 四国 1 1 1 九州 4 4 2 6 4 10 沖縄 4 4 4 小 計 44 1 3 6 1 2 3 5 1 1 17 1 67 4 7 7 85 合 計 合計欄の( )内の数字は、被害を受けた水道事業者数を示す。 合 計 54(99) 区 分 上水道 表1-2 水質汚染事故による被害を受けた水源数(令和元年度) 6(5) 7(10) 18(80) 85(194) 用水供給 専用水道 簡易水道
図1-2 水質汚染事故における水質汚染項目(令和元年度、全 133 事故) 図1-3 水質汚染事故の汚染原因(令和元年度、全 133 事故) 油類 68.4% 有機物 12.0% 濁度 2.3% 臭気 0.8% pH 0.8% 農薬 0.8% 無機物 2.3% 界面活性剤 0.0% アンモニア態窒 素 3.0% その他 6.8% 工場等 6.2% 車両5.2% 農業・畜産業 2.6% 土木工事 1.5% その他 14.4% 不明 70.1%
(2)異臭味等による水道の被害状況 近年の異臭味等による水道の被害発生状況は、表2-1、図2-1のとおりで ある。また、図2-2は令和元年度に浄水で異臭味被害を受けたとして報告のあ った事例についての異臭味の種類別割合を示す。湖沼の富栄養化等の水源水質 の悪化により、カビ臭等の異臭味による被害を受けた人口(以下、「異臭味被害 人口」という。)は、平成2年度のピーク時に 2 千万人台まで増加したが、高度 処理の導入等により改善し、平成 19 年度以降は、300 万人以下で推移している。 令和元年度の異臭味被害人口は約 224 万人であり、平成 30 年度の約 168 万人か らは増加した。異臭味被害を受けた水道事業者数は 124 あり、平成 30 年度の 129 からは減少した。令和元年度の状況を地域別に見ると、異臭味被害人口は近畿、 中国地方が多い。また、北海道は前年度に比べて大きく増加した。 表2-1 水道における異臭味の障害の発生状況 注)※1被害事業者数には原水のみに異臭味が発生し、浄水では被害が発生していない事業者を 含む。また、被害事業者数の()内の数字は、水道用水供給事業者の数を内数で表したも のである。 ※2被害人口とは、浄水で1日以上、異臭味による被害が発生した浄水場の給水人口である。 また、被害人口は、百の位を四捨五入し、千人単位で表示しているため、各ブロックの総 計と計の数は必ずしも一致しない。 被害人口 (千人)※2 被害人口 (千人)※2 被害人口 (千人)※2 被害人口 (千人)※2 被害人口 (千人)※2 北海道 4 184 5 0 4 0 5 0 8 (1) 300 東 北 5 (1) 0 7 (1) 7 5 7 10 (2) 45 8 (2) 12 関 東 49 (19) 26 60 (21) 297 39 (11) 792 53 (20) 185 49 (17) 266 中 部 11 (2) 459 10 (4) 49 6 (3) 118 10 (5) 245 8 (3) 140 近 畿 12 76 19 (2) 118 30 (4) 381 19 (4) 514 21 (4) 997 中 国 16 (2) 340 17 (2) 341 18 (2) 413 17 (3) 316 15 (1) 456 四 国 7 (1) 56 6 10 3 204 8 (1) 370 4 4 九 州 10 214 11 36 13 66 7 0 11 69 計 114 (25) 1,355 135 (30) 858 118 (20) 1,981 129 (35) 1,675 124 (28) 2,244 地 域 被害事業 者数※1 被害事業 者数※1 被害事業 者数※1 平成29年度 平成30年度 平成28年度 令和元年度 被害事業 者数※1 被害事業 者数※1 平成27年度
図2-1 水道における異臭味被害の発生状況経年変化 図2-2 浄水における異臭味被害の種類別内訳(令和元年度、41 件) 注)被害別に該当する異臭味項目を選択(複数回答あり) 898498 98 106 80 97 82 81 78 686666 59 68 59 66 83 74 82 77 67 66 98 123 134 82 114 135 118 129 124 19,567 2,244 0 5,000 10,000 15,000 20,000 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R01 異 臭 味 被 害 人 口 ( 千 人 ) 被 害 事 業 者 数 年 度 被害事業者数 対象人口 83%, 34 5%, 2 5%, 2 0%, 0 2%, 1 0%, 0 5%, 2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 カビ臭、土臭 植物性臭気 魚臭 腐敗臭 薬品臭 硫化水素臭 その他 件 数 ( 件 )