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4-1. 事業創発・事業支援 「平成の地域ブランド創出プロジェクト活動」について : 地域から発信する心地よい暮らし

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Academic year: 2021

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- 11 - 滋賀県立大学 准教授 森下 あおい 今回、「平成の地域ブランド創出プロジェクト活動」において、衣服デザインの開発を担当している。このプロジェクト は、滋賀県の高島地域における綿織物に着目したもので、産地の生産技術を活かした新たなブランドの創出をめざ している。 ここ数年来、日本では多数の地域ブランドに関する取り組みが行われてきた。しかしそれらの実情を見ると、地域 ブランドとしてのシンボル性は美しくまとめられているものの、地域が持っている本質的な価値とデザインが結びつけ られず、製品が地域の表層的なメッセージの表現に終わっているものも少なくない。その理由として、少数の専門家 や下請け的な企業の中で手掛けられる地域ブランドにおいては、生産の流れを各担当者が総合的に捉え、戦略的 にブランドを構築していくことの難しさが挙げられる。さらに衣服においては、機能性や品質といった有形の価値以上 に、目に見えない価値、すなわちイメージや流行に代表される時代性を、伝統を重んじてきた地域ブランドにどう位 置付けるのかが曖昧になる。美しさや目新しさといった感覚的な価値と切り離すことのできないデザインの特性から、 これまで衣服は地域ブランドの対象としてあまり扱われてこなかったと言える。 そこで、このプロジェクトでは地域に蓄積されてきた品質や技術を土台にしながら、使い手がどのような場面で、ど のようにモノを感じるのかという提案を、人の生活空間への関連付けから丁寧に導き出していくことが必要であると 考えた。そして一昨年より、大学間と企業、その他広い領域から担当者が議論を重ね、滋賀県の地域の持つ風土や 文化の在りようから、「環境」・「安心」というキーワードを抽出し、衣服を媒体として「心地よい暮らし」を提案すること に至った。 高島地域では古く江戸時代から高島縮が織られ、近年の高度成長期以降には産業用資材から帆布、クレープなど の軽布に至る、極めて幅広い種類の綿織物が生産されるようになった。中でも強撚糸によって織物表面に「しぼ」を 出したクレープ織物は、肌と布の間のランダムな空隙から生まれる涼やかな感触が湿度の高い日本の環境に適し、 肌着や寝装具用として多数全国に出荷されてきた。こうした点から、本課題は高島産地の強みである天然繊維の特 徴を明確に打ち出しながら、余暇や日常の中での衣服が担うコミュニケーションの役割に着目し、高島地域の綿織 物を「リラックスウェア」としてデザイン提案し、着ることの楽しみや、着ることによる心の満足を創り出そうとするもの である。そのためには、今後、着用場面の意味付けをより明確に表現してくことが重要である。また、技術面では素 材と衣服形態の関係を衣服パターンから検討するとともに、身体への負担などの運動機能面についても調査、分析 を進める。 ものづくりにおいてデザインの担う役割は、素材と技術の本質的な価値を統合させ、人の心に潜在している欲求を 読み取りながら理想とする生活を導き出していくことにある。今回のプロジェクトでは、具体的なかたちとしてのデザ イン以上に、心地よい暮らしを作り出すという位置付けを明確に示しながら、地域の資源を次代に繋げていくことに 意義があると考えている。 滋賀県には天然繊維を中心とした有数織物産地が存在しているが、これまで最終製品を扱ってこなかったために その認知度は高いとは言い難い。しかし、そのものづくりはこの土地であるからこそ築かれてきたと言え、土地に深 い眼差しを向ける、人と風土を背景とした地域には、それを進化させるエネルギーが存在すると常々感じている。 現代の生活に根ざした滋賀ブランドの創出によって、心地よい暮らしを多くの人に伝えられるよう努めたい。

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