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岩手県の一年

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Academic year: 2021

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52:1335

<シンポジウム(3)―12―1>東日本大震災:あれから一年

岩手県の一年

高橋

寺山 靖夫

(臨床神経 2012;52:1335) Key words:東日本大震災,いわて震災医療支援ネットワーク,生活習慣病,認知症 東日本大震災は,未曽有の被害をおよぼし,岩手県内の死者 および行方不明者の合計は 7,045 名を数えるにいたった.震 災発生当初,全国から約 120 チーム 600 人の DMAT が岩手 に入り,1 週間までで,約 180 名の航空搬送,750 名の陸路搬 送を対応した.その後,メンバーは,一斉に帰途につき,それ を受け,ポスト DMAT としての医療支援チームの受け入れ 窓口としていわて震災医療支援ネットワークを構築し受け入 れの一本化を図ることにより,ある程度スムーズな医療支援 体制を提供することができた. 認知症をふくめた弱者に目を向けると,高齢者を中心に津 波による犠牲者がでたが,岩手では,難を逃れた認知症患者の うち,重症者は施設に入所した例が多かった.一時は,定員の 2 倍,3 倍の患者を受け入れた施設もあったが,ケアスタッフ の懸命の介護で,患者の笑顔を絶やさずに介護できていたよ うに見受けられた.施設入所できず,避難所に退避した認知症 患者では,避難直後に環境変化にともなう BPSD がみられ た. いわて震災医療支援ネットワークでは,被災地における食 生活の制限,運動不足による生活習慣病ハイリスクの状態や 凝固亢進状態の調査と疾患予防のため,ネットワーク開始 4 日目の 3 月 22 日から,避難所を回り,避難所避難者,自宅避 難者を対象に,問診,血圧測定に加えて,血液凝固機能や HbA1c 採血をふくめた検診事業をおこなった.避難所におけ る高血圧者の頻度は高く,発災 3 カ月にわたって続いた.高 LDL コレステロール血症の頻度も高く,避難期間が延びるに つれて少しずつ上昇していった.このような避難者の身体ス トレスへの暴露が,将来的に,心・脳血管障害,認知症をはじ めとする高齢者の精神疾患の発症にどのようにかかわるか, 今後,国とともに被災市町村を中心とした前向きな疫学研究 がおこなわれていく予定である. ※本論文に関連し,開示すべき COI 状態にある企業,組織,団体 はいずれも有りません. 岩手医科大学病院神経内科・老年科〔〒020―8505 岩手県盛岡市内丸 19―1〕 (受付日:2012 年 5 月 25 日)

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