1 6 8 タネ ムラ
種 村
医 学 博 士 乙第644 号(
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ムツ コ睦
子
昭和59 年 1月20 日 氏名(生年月日〉 本 籍 学 位 の 種 類 学 位 授 与 の 番 号 学 位 授 与 の 日 付 学 位 授 与 の 要 件 学 位 論 文 題 目 学 位 規 則 第5
条 第2
項該当(博士の学位論文提出者〉 各 種 近 交 系 マ ウ スMycob
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に 対 す る 感 受 性 1 ) 腹 腰 内 感 染 例 に つ い て 2 ) 皮 下 感 染 例 に つ い て 論 文 審 査 委 員 ( 主 査 〉 教 授 吉 岡 守 正 〔 副 査 〉 教 授 肥 田 野 信 , 教 授 杉 野 信 博論 文 内 容 の 要 旨
目的 実験的マウス抗酸菌症において,マウス系統によっ て,結核菌, らい菌,鼠ライ菌等に対する感受性に著 しい差があることが報告されている.しかし,抗酸菌 のなかで,.
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(トリ型菌〉に対するマウスの感 受性に関して,マウスの系統聞の差を検討した報告は 見当らない.著者は,各種近交系マウスにトリ型菌を 感染させ,感受性を比較した. 方法 実験に使用したマウスは, C3H, C57BL/6 , DDD , BALB/c , kk の5系統であり,感染に用いたトり型菌 はrgberchki 株である.本菌株の小川培地 2週間培養 菌を減菌生理食塩水で菌浮遊液とし, 0.5mg/0.5ml , 及び、. 05mg/0. O 5ml ずつを腹腔内接種し, 0.025mg/ 0.25ml を胸部皮下に接種した.成績の判定は, A) 経 時的に殺し或いは死亡したマウスについて,臓器の 肉眼的所見及び,肺,肝,牌,腎のスタンプ標本の抗 酸染色により抗酸菌保有単核細胞数を顕微下で数え, 川口等の判定法に準じて病変の軽重を判定した.なお 定量培養法によって臓器内生菌単位を測り,一部病理 組織標本によって観察した. B) 菌接種後, 05 週観察 し,その聞における生存週数からみた感受性について 観察した.なお, この聞の死亡マウスはすべて上記と 同様の方法で検索し, トリ型菌によるものであること を確認した.皮下接種においては.上記の他,接種部 の結節の大きさ,潰蕩等についても観察した. 結 果 菌接種後, 10-20 逓で,肺,肝,牌,腎に病変が認 められたが, C3H 以外の4系統マウスで30-40 週に死 亡するものが, C3H 系マウスではこの期になっても著 明な病変は認められなかった.抗酸菌保有単核細胞の 数も系統聞の差はあったが,C
3H
以外の4
系統では多 数認められ,病理組織標本によっても証明された.特 に, KK マウスは最も強い病変を示した. C3H マウス では,他系統と異って,抗酸菌保有細胞は少数に過ぎ ず,組織標本では, リンパ球,多核球等の防禦反応所 見が見られた.また, この成績に一致して,肺,肝, 牌 か ら の 定 量 培 養 に よ る 成 績 で も 菌 接 種 後03週 に は C3H 系以外のマウスでは,臓器1mg 当り015-10 6の集 落が認められたのに比べて ,C
3H
では01 2-10 3/mg で あった.生存日数では C3H 系以外のマウスは25-30 週 で殆んど死亡したが, C3H では05 週間の観察中死亡す るものはなかった.皮下接種法においては,腹腔内接 種より内臓病変は一般に軽度で05 週の間, C3H では殆 んど変化が認められず,他系統においては20-40 週に 軽い病変が認められた.しかし接種部の結節は C3H では02 週,他系統でも03週以降に治癒傾向がみられ, 5 0 週生存のものでも肉眼的には結節を触れないものが 多かった. 考察 C3H, C57BL/6 , DDD , BALB/C , kk の5系統マ ウスはいずれもトリ型結核菌に対して,感受性を示し-806-た.腹腔内接種法では, kk マウスでも最も著明に,C57 B L/ 6, DDD ,及びBALB/C はこれに次ぎ, C3H マウ スでは非常に軽度の感受性を示した.皮下接種では 05 週間観察を行なったがし、ずれも病変は軽かった.川口 らは,鼠ライ菌を皮下接種した実験で、