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雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

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Academic year: 2021

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アクアノルディックウォーキングで腕動作による運 動効果を高める開閉型無杖ハンドグリップツールの デザインと試作

著者 川初 清典, 花井 篤子, 山本 敬三

雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

巻 8

ページ 29‑31

発行年 2017

URL http://id.nii.ac.jp/1136/00002711/

(2)

─  ─ 29

2018年3月 March,2018 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第8号

Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University Vol.8

アクアノルディックウォーキングで腕動作による運動効果を高める 開閉型無杖ハンドグリップツールのデザインと試作

On Design and Pilot Manufacture of Hand Grip Tool for Aqua-Nordic Walking

川 初 清 典

1)

  花 井 篤 子

2)

  山 本 敬 三

2)

Kiyonori K

AWAHATSU1)

  Atsuko H

ANAI2)

  Keizo Y

AMAMOTO2)

キーワード:水中ノルディックウォーキング,ハンドグリップツール,虚弱者,健康運動

1)北翔大学生涯スポーツ研究センター

2)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科

(29 〜 31)

Ⅰ.背 景

 我が国は世界で未曾有の超高齢者社会を進み続けてい る。メタボ危険因子の重症化不安に更に高齢依存性心身 虚弱(Frailty)の増加が加重され運動指導の対応を要 している。その運動手法開発が進みノルディックウォー

キング

1),2)

や水中ノルディックウォーキング

3)

等,各様

の歩行研究・指導も進められている。高齢依存性の廃用 性筋萎縮,肥満,腰痛や下肢関節症(以下,高齢期フレ イルティ)ではこの水中ウォーキングが勧められている。

今日,水中ノルディックウォーキングは啓発段階にあり 科学的解明の成績は未だ乏しい。

Ⅱ.位置づけ

 高齢期フレイルティの水中ウォーキングでは水圧の効 果や体重キャンセルの効果を応用するが先の研究(新居,

他,2009)では二律背反的に,効果を得る水深では接地 摩擦が少なくてキックが不良になり,加えて,粘性抵抗 を体幹・下肢とポールが受けて並進が阻まれポールの前 方振出しリズムが乱れて初期のウォーキングが成り立た ない不具合を認めた。今日の実情は腰の水位以下での歩 行に終始しているので,これを胸の水位まで深めて水泳 と同様な水準の水治療効果が得られるウォーキング手法 の重要性を考え,ポール軸を有せず,腕の前後運動に合 わせて開閉するハンド・ツールの考案が着想された。

 今,高齢・超高齢者のロコモ障害症候群がもたらす多 種の疾患・症状への不安と対策の問題が老年学を初め心 臓病学や糖尿・腎臓病学,更には認知症学などの学会で

異口同音に声高である。ロコモ症候群になればそれら慢 性疾患の予防やリハビリの運動も不能状態に陥り容易に 要介護者へと悪化する。高齢・超高齢者ではその予防に ウォーキングが最も現実的な運動手法になっている。高 齢期フレイルティでは水中のエアロビクスや体操,歩行 が重視されるが前2者は運動の振り付けを要し個人での 実践が容易でない。本構想のアクアノルディックウォー キング用のハンド・ツールはこれに付随する難点を克服 し高齢期フレイルティに水中ウォーキングを有用にし得 る開発として位置づけられる。

Ⅲ.目 的

 ウォーキング・ノルディックウォーキングが超高齢者 社会でも重視されるところ廃用性筋萎縮,肥満,腰痛 や下肢関節症に水中ウォークが良く勧められているが,

ポールと体幹・下肢が浮力と粘性抵抗に阻害され期待の 歩行動作が得られていない。本研究は,それらの困難を 克服できる無杖・開閉型ハンド・ツールを考案・試作し て水中(アクア)ノルディックウォーキング手法の改善 デザインを明示し,1・2の初期試験を行い開発ツール と考案歩行手法の有用性を検討することを目的とした。

Ⅳ.デザイン

 ドイツのネムコメド社から写真1に示す製品「アクア

ハンドル」が発表されたところ

4)

,本研究は更なる改良

を加えてアクアノルディックウォーキング手法の改善デ

ザインを提案する。先のアクアハンドルはポール軸の難

点を解除した。但し,本研究の構想の観点からはこの方

(3)

─  ─ 30

アクアノルディックウォーキングで腕動作による運動効果を高める開閉型無杖ハンドグリップツールのデザインと試作

式には体験的に依然として別の難点が付随している。第 1に,アクアハンドルは固定形状であり水中では上肢の 後方押し出しの有効性を高めるが,続く前方振り出しで は除水抵抗が大きいままであり,腕運動がダンベル体操 様になって歩行態様が写真1に見られるようにその体を なせない点であり,第2に,その除水抵抗によって前方 振り出し時に上体が後方に引きつけられて立ち上がって しまい連続歩行が困難になる点である。故に,写真1で は腹部に錘ベルトを着用して極端な前後開脚の筋トレー ニング型の姿勢になっているが高齢者・虚弱者の健康づ くり歩行にとっては動作の円滑性に乏しい。本研究の提 案は水中用に形状変形性ハンド・ツールを開発し,上肢 の後方押し出し時に逆漏斗形状をなすツールが1方向性 に水抵抗を受けて受圧強度を最大にして全身の並進を推 進し,ツールが体側から後方へ振り切られる局面でツー ルの受圧面を上方に向けて浮力を抑止し,逆に前方振り 出し時には反対面に受ける水抵抗でこうもり傘様に閉じ られて受圧強度が最少化され並進性を損なわない構造・

機能を水中歩行に有効化する着想に至った。手の平に水 掻きを着ければ済むとしても,それでは水泳動作のイ メージに支配されて歩行性が満足されないのでグリップ 型ツールによるウォーキング方法が構想された。

 高齢期では加齢が進むほどフレイルティが進行し諸疾 患の罹患が多くなり重症度を増し運動状況が劣悪化する ところ,本研究では水の有する力を借りてこれらの高齢 者にも依然としてノルディックウォーキングの運動を以っ て健康の保持・増進行動を継続できる有効な手法を考案・

提示する特色を有している。また,それで得られる円滑 な水中歩行様式の形成も特色になるデザインとした。

Ⅴ.試 作

 試作品には水中での多様な変形性・耐容性に富む軟性 樹脂膜の素材を考え,可塑変形性ポリプロピレン棒材で 骨格機能を備えた形状変形性円錐型ハンド・ツールを開 発・試作した(写真2)。上肢の後方押し出し時に逆漏 斗形状をなすツールが1方向性に水抵抗を受けて受圧強 度を最大にして全身の並進を推進し,ツールが体側から 後方へ振り切られる局面でツールの受圧面を上方に向け て浮力を抑止し,逆に前方振り出し時にはツール反対面 に受ける水抵抗でこうもり傘様に閉じられて受圧強度が 最少化される構造・機能を水中歩行に適用するツールを 試作した。

Ⅵ.試用成績

 サイズを異にする数組を試作し,内,開き出し直径 330mm,ツール軸高120mm,円錐底角35度の製品の試 用が水中ウォーキング時の運動に優れた有用性が観察さ れた。

付 記

 本研究は日本学術振興会科学研究費(基盤研究C;課 題番号17k01761)による研究の一部であり,北翔大学 北方圏生涯スポーツ研究センターの選定事業として行わ れた。

写真1 Nemcomed GmbH(ドイツ)社製(Intervision  Co.,Ltd.)のアクアハンドル(2010)

写真2 本研究の試作の水中ノルディックウォーキング 用ハンドグリップツール一組

無色透明の軟性樹脂膜がクラゲ状の開閉動作に供される形状変形 性円錐型の試作ツール。写真中に白線状に見える可塑変形性ポリ プロピレン棒材で骨格機能を備えさせ,末広になる先端に力線を つけて運動時の円錐形の開き出し角度を規定している。上のツー ルは開き出した部位を底面にして立て上面から,下のツールは閉 じ込み途中を投影状態で撮影されている。

固定形状の逆漏斗型水中運動具であり,グリップ端子を握って水 の粘性抵抗に対して腕動作をする。床面を突くポール軸を有せず 流暢な腕の前後振動がなされる。

(4)

─  ─ 31

北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第8号

 本研究に於いて,申告すべき利益相反状態は存在しな い。

引用文献

1)Liedke  D,  Lagerstroem  D.:Nordic  Walking Megatrend,  gesundheitsport  oder  natuerliche  Bewegungsweise?  Bewegungstherapie  und  Gesundheitsport, 20:1 6, 2004.

2)Schiffer  T,  Knicker  A,  Montanarella  M,  et  al.:

Mechanical  and  physiological  effects  of  varying  pole  weights  during  Nordic  walking  compared  to  walking.  Eur  J  Appl  Physiol,  111(6):1121 1126,  2011.

3)新居大介,三輪浩二,山本敬三他:水中ポールウォー キング手法の健康運動効果の検討,電子情報通信学 会「信学技報」108,25 30,2009.

4)Nemcomed:AquaKinetiks,  www.aqua-kinetiks.

de/(2017年8月10日)

参照

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