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出現しつつある合衆国気候変動法

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出現しつつある合衆国気候変動法

著者 ファーバー, ダニエル・A

雑誌名 明治学院大学法学研究 = Meiji Gakuin law journal

巻 87

ページ 127‑145

発行年 2009‑08‑31

その他のタイトル The Emerging U.S. Law of Climate Change

URL http://hdl.handle.net/10723/1814

(2)

出現しつつある合衆国気候変動法

ダニエル

A.

ファーバー

(1)

(訳

辻   雄一郎

(監訳)

阿 部   満

 ブッシュ政権が終焉を迎え,合衆国の気候変動法は,新しい時代に入ろうと しています。ブッシュ政権下で,この問題に関して合衆国政府がやってきたこ とはとても残念なものでした。クリントン政権は京都議定書を支持しましたが,

合衆国上院は承認しようとしませんでした。ジョージ・W・ブッシュは 2000 年の大統領選挙戦の間に二酸化炭素の規制を公約しましたが,大統領選出後す ぐに破棄しました。彼は京都議定書を拒否しました。彼は,京都議定書は負担 が重く,中国やインドのような国々に対して意義のある制限を掛けていないと 主張しました(2)

 代わりに,ブッシュ大統領は二酸化炭素の「原単位(intensity)」を削減する 政策を支持しました。原単位とは,経済生産1ドル当たりの温室効果ガス排出 量を意味しています。これはほとんど現実的な効果を上げてこなかったといえ ます。なぜなら原単位が下がるよりも早い割合で生産量が上昇するからです。

連邦政府は民間部門の自発的な努力も奨励しています。問題の重大性と緊急性 とを考慮すれば,これらすべてはまさに微々たるものといえます(3)

 ブッシュ政権の見解は,実のところ一度は気候変動の現実を確かに認めまし たが,合衆国だけでなく中国やインドも拘束する包括的な解決策が採択される まで何も重要なことを行うべきではないというものでした。問題全体に対する 一国の排出の寄与が少ないゆえに,単独の行動は全く無意味だと考えられてい

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128 ました。

 それでも,これから見ていくようにブッシュ政権下ですらホワイトハウスの 外では進歩がありました。州政府はこの問題に驚くほど率先して取り組み,連 邦最高裁もこの争点に取り組みました。さらに,いくつかの既存の連邦法を気 候変動問題に適用するための土台も整備されました。オバマ大統領が就任すれ ば,これらの既存の法律に従いすぐに行動に移されるよい見込みがあります。

 さらに,包括的な連邦立法が来年あるいは再来年のうちに制定されそうです。

新しい法律は,クリーン・テクノロジーを発展させるインセンティブと一体と なった,キャップ・アンド・トレード・プログラムに基づくものとなりそうです。

Ⅰ.州の役割

 気候変動はグローバルな問題です。国際的なレベルあるいは少なくとも国家 レベルで対応されることが期待されるでしょう。しかしながら,合衆国では州 政府が,気候変動に取り組むことに予想もしないほど活動的でした。この活発 さは,一つにはブッシュ政権の怠慢に対する不満の表明だったのかもしれませ ん。

 カリフォルニア州は,ワシントンから働きかけがないのにも関わらず気候変 動に取り組むことを選択した州政府の行動を示す良い例証です。カリフォルニ ア州が最初に取り組んだ重要な問題は,発電所からの二酸化炭素です。一つの 解答が再生可能なエネルギーです。エネルギー源の転換を可能にする点で再生 可能エネルギー利用割合基準(renewable portfolio standards)は州による規制の重 要な選択肢です。これらのプログラムは,発電の一定パーセントを風車のよう な再生可能な電力源から発生させることを求めています。カリフォルニア州の プログラムでは 2011 年までに 33%という野心的目標を掲げています(4)。この 目標が達成されるかどうかまだ明らかでないにもかかわらず,シュワルツネッ

(4)

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ガー州知事は,最近一層厳格な目標を掲げました。カリフォルニア州の公益事 業委員会も,カリフォルニア州の電力供給会社に対して低炭素源の電力を購入 すること,たとえば,石炭火力発電所から水力発電に電力源を切り替えること を求めようとしています(5)

 カリフォルニア州は,省エネルギーのリーダーでした。過去数十年に渡って 他州の個人あたりのエネルギー利用量が増加しているのに対し,カリフォルニ ア州の個人あたりのエネルギー利用量は変わらず安定してきました。エネル ギー規制分野の一つに,冷蔵庫や空調器具といった電化製品についてのエネル ギー効率基準があります。カリフォルニア州の見積もりでは,カリフォルニア の電化製品の基準によって 2020 年までに 300 万ドルの節約を消費者にもたら し,三つの新しい発電所の必要性を失わせます。

 発電所からの二酸化炭素に取り組む以外にも,カリフォルニア州は運輸部門 からの二酸化炭素排出にも取り組んできました。カリフォルニア州大気資源委 員会(California Air Resource Board 略称CARB)は,2009 年モデルから新車の二 酸化炭素排出を 30%(カリフォルニア州内での製造会社の販売を平均して)削減す るように命じています。A.B. 1493 あるいはパブリー法(Paveley Act)として知 られれている州の制定法は,カリフォルニア州大気資源委員会に対して「自動 車から排出される温室効果ガスの最大限実行可能で費用効果の高い削減」を達 成するように命じているのです。自動車業界は,本法の有効性を争いましたが,

現在まで勝訴していません(6)。現在合衆国の自動車製造会社は経済的問題から 財政支援を求めていますが,そのためにより厳しい規制を受け入れることを迫 られるでしょう。

 残念なことに,このカリフォルニア州法は別の問題に遭遇してしまいました。

大気清浄化法(Clean Air Act)は,カリフォルニア州の新車に対する規制は連邦 環境保護庁(EPA)によって承認されなければならないとしています。現在ま でEPAは,他の汚染物質についてはカリフォルニア州がより厳格な基準を適

(5)

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用することを常に承認してきました。しかしながらブッシュ政権下,EPAは,

カリフォルニア州がその新車に対する基準の特別な必要性がカリフォルニア州 にあることを立証していないとして,今回のカリフォルニア州の規制への承認 を拒否しました(7)。オバマは,就任後にこの決定を撤回すると公約しました。

カリフォルニア州は,ブッシュ政権のこの決定を争う訴訟も連邦裁判所に提起 していたのです。

 一方,カリフォルニア州はA.B. 32 と呼ばれる包括的な州法を制定して前進 しています。本法は,京都議定書に従って温室効果ガスを著しく削減すること を求めています。A.B. 32 は,この目的をどのように達成するかについてほと んど指示をしておらず,CARBに必要な規制を課すように委ねています。現在 のCARBの計画は,特定の経済部門に対する様々な措置とともにキャップ・

アンド・トレード制度を求めています(8)。また,新しいカリフォルニア州法

(S.B.375)も土地利用方式の変更を求めていますので,都市が今後ロサンジェ ルスのように長距離に渡って拡大しつづけることはないでしょう。この既存の

「都市スプロール現象(urban sprawl)」とよばれる都市パターンは,高いガソ リン消費を引き起こします。

 知事の承認とリーダーシップを受けて,カリフォルニア州の立法府は,気候 変動について精力的な行動を取ってきました。その理由の一つは,カリフォル ニア州民が環境保全に強く関わってきたことと,及びカリフォルニア州が水需 要の点で気候変動にとりわけ脆弱であることです。もうひとつの理由は,かつ てコンピュータ産業でそうであったように,州はクリーン・テクノロジーの開 発で世界の中心になりたいと望んでいることです。

 カリフォルニア州の規制の努力は,新しい連邦法のモデルとなるかもしれま せん。他州も重要な措置を講じてきました。たとえば,北東部諸州は,最近に なってRGGIと呼ばれるキャップ・アンド・トレード市場のための排出権(枠)

(emission allowance)を出し始めました(9)。合衆国の諸州は,EU,カナダの州

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(province)政府,他の外国機関と協調するために活発な対話にも加わってきま した。これらの州の努力の存在は,連邦政府に対して,各州の不統一なプログ ラムの寄せ集めではなく,統一的な全国的プログラムを提供するよう行動すべ きだという圧力を掛けています。

II.裁判所の役割

 合衆国連邦最高裁は,2 年前にはじめて気候変動に関する事件について判決 を出しました(10)。本件の連邦最高裁判決は,大きな前進でした。最高裁は,気 候変動が人間の活動によって引き起こされたものであること,そして排出規制 が問題に取り組む助けになることを公式に認めたのです。

 事件は,自動車から排出される温室効果ガスに関するものでしたが,争点は,

カリフォルニア州が温室効果ガスの排出を規制できるのか,ではなく,連邦政 府が規制できるのか,でした。連邦の大気清浄化法は,政府に対して自動車か らの汚染物質で人間の健康や福祉を危機に脅かすものに規制値を設定するよう に命じています。ブッシュ政権は,温室効果ガスは本法にいう「汚染物質」に 該当せず,規制を出す権限を連邦政府は有しないという立場を取りました。さ らに,ブッシュ政権は,たとえかりに温室効果ガスを規制する権限があったと しても,その権限を行使することは賢明ではないと主張しました。というのは,

第一に,ブッシュ政権によれば,中国のような国々との国際的な交渉を利用す るほうがより適切であるからであり,第二に,温室効果ガスの排出規制は,自 動車燃料効率についての連邦規則に抵触するかもしれないからです。

 マサチューセッツ州ほかの原告らは,政府に対して自動車からの排出を規制 するよう求める訴訟を提起しました。5 対 4 で,最高裁は,大気清浄化法の解 釈についてのブッシュ政権の主張を退けました。

 最高裁はこれらの主張を考慮する前に,原告適格の有無を最初に判断しなけ

(7)

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ればなりませんでした。合衆国法では,原告適格には三つの要件が存在します。

(1)原告が現実の損害を被らなければならない,(2)損害が被告の行為によっ て生じたものでなければならない,(3)裁判所が救済を提供できなければな らない,です。したがって,最高裁は,気候変動の現実と原因そして,合衆国 の運輸部門での規制が効果を生じるかかどうかを判断しなければなりませんで した(11)

 原告適格の最初の要件は,現実の損害または損害への直接的な脅威です。こ の要件について,最高裁は,「気候変動に伴う損害は深刻でかつ,はっきりと 認められる」と述べました。実は,最高裁は,連邦政府自らが称賛するある科 学報告書に依拠することができました。その報告書は,既に発生している環境 変動を認めており,その中には「過去数千年と比較して 20 世紀の間に,山岳 氷河が地球規模で後退し,冠雪範囲が縮小し,河川湖沼の雪解けが早まり,急 速に海面が上昇した」ことが含まれます(12)。最高裁は,海面上昇によって浸水 するだろう沿岸部の財産規模を理由に,海面上昇がマサチューセッツ州の利益 に対する特別の脅威となると述べました(13)

 第二の要件は因果関係ですが,EPAは,人の作りだした温室効果ガスと温 暖化との間の因果の結びつきの存在を認めていました(14)。したがってブッシュ 政権は,気候変動の科学性に疑問を投げかける副大統領候補のサラ・ペイリン

(Sarah Palin)のような共和党の一部よりも進歩的でした。

 しかしながらEPAは,原告が求めているところの政府の特定の行為は重大 な影響を及ぼさないだろうと主張しました。その理由は,自動車は温室効果ガ ス発生源の一つに過ぎず,また全体として見た場合,合衆国はこれらのガスの 一部にしか責任を負わないことにあります。最高裁は,この「小刻みな一つ一 つの措置は連邦裁判所の舞台で攻撃されえないという過った前提」を退けまし た(15)。最高裁は,行政機関は必ずしも主要な社会的問題を一度に解決するわけ ではないことを強調しました。むしろ行政機関は,しばしば一歩ずつ経験を踏

(8)

133 まえながら方策を変えていきます。

 さらに,この最初の特定の措置は,決して重要でないとはいえないでしょう。

最高裁によれば,「運輸部門からの排出は,本国全体の二酸化炭素排出量の三 分の一以下に過ぎないが,それだけを考慮しても,まだ合衆国は,EUや中国 には遅れを取るものの,世界で三番目の二酸化炭素排出国に位置することにな る」のです(16)

 結局,裁判所の判決は地球温暖化問題を救済しえないとする政府の主張を退 けました。最高裁によれば「自動車排出規制は,それだけで地球温暖化の流れ を逆行させるものとはいえないだろうが,このことは,EPAが温暖化の進行 を遅らせたり,程度を和らげたりする措置を取る義務があるかについて判決す る管轄を裁判所が有しないことを決して意味しない」のです(17)

 最高裁が述べるように,政府は,温室効果ガスの自発的な削減努力を強く支 持してきましたが,もし仮に政府が「排出量の削減が将来の地球温暖化にはっ きりとした影響を及ぼさないと考えているとするならば,政府は,そのような 努力をわざわざ取らないだろう」といえます。ブッシュ政権が自発的な二酸化 炭素削減を後押したことが,強制的削減を支持することに至ってしまったのは 幾分皮肉的です。

 原告適格についての最高裁の判決を要約して,スティーブン裁判官は,以下 のように述べました。気候変動が原因である海面の変化は,「すでにマサチュー セッツ州に損害を与えており,かつ今後も与え続けていくだろう」,「大災害の リスクは,まだ差し迫ったものではないがしかし現実のもである」,そして,「も し上訴人の求める救済が与えられれば,幾分そのリスクは減少するだろう」(18) このことは,原告に対して原告適格を与えるのに十分でした。

 最高裁の法廷意見の主題は,たとえ,合衆国内で販売される新車のような特 定の温室効果ガス排出源が全体に対して小さな割合しか寄与していないとして も,これらの排出源からの排出を削減することには意義がある,ということで

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す。古いことわざを引用すれば,千里の道も一歩からです。

 最高裁の判断は,裁判所が気候変動法の発展において役割を果たしうること を明らかにしました。この役割には,新しい気候変動立法の解釈が含まれるで しょう。しかしながら,次章で見るように,既存の連邦法の解釈も含まれるで しょう。

Ⅲ.気候変動と戦うための既存の連邦法の適用

 Massachusetts v. EPA において原告適格を認めたあと,最高裁は,EPAが大 気清浄化法の解釈をいくつかの点で誤ったと判断しました。EPAは,二酸化 炭素は大気清浄化法にいう「汚染物質」に該当しないと主張しました。最高裁 は,この見解が制定法の明らかな文言に矛盾すると判断しました。最高裁は,

EPAがその決定において許されない他事考慮を行ったと判断しました。

 われわれは,これらの政策判断を審査する専門的知識も権限も有しないが,

これら政策判断が温室効果ガスの排出が気候変動に寄与しているかどうかと 無関係なのは明らかである。ましてや,これらの政策判断が科学的判断をす ることを拒む合理的な正当化事由にはなり得ない。とりわけ,確かに大統領 は外交関係に広範な権限を有してはいるが,その権限は国内法の執行を拒む までには及ばない(19)

 特筆すべきは,最高裁がEPAの裁量を限定したことです。EPAは,大気清 浄化法が温室効果ガスを規制する最良の方法であるかどうかを考慮することが できるのではなく,EPAは,因果関係の科学的争点のみを考慮できます。最 高裁は,EPAに対して自動車からの温室効果ガスが人間の健康や福祉に脅威 となるかどうかを判断するように命じました。

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 最高裁の判決は,EPAは最終的に三つの選択肢を有していると指摘しまし た。(1)気候変動が人間の健康や福祉に危険をもたらすという事実認定,(2)

気候変動は人間の健康や福祉に危険を及ぼさないという事実認定,(3)気候 変動が人間の健康や福祉に危険を及ぼすかどうかについて判断するための十分 な証拠がないという認定です。今のところEPAは,どの判断も取っていません。

ブッシュ政権は,最高裁が本判決を下して以来,いかなる行動もとるまいと抵 抗しています。明らかに,ブッシュ政権は,最高裁が科学的争点のみを判断せ よと命じたにもかかわらず,温室効果ガスを規制することは悪い政策であると 信じてつづけてきました。

 EPAのトップには一時期,気候変動は人間の福祉に危険を及ぼすという判 断をする用意がありましたが,ホワイトハウスは彼を押しとどめました。代わ りにEPAは,大気清浄化法の可能な解釈について 500 ページにも及ぶ文書を 公表し,これについてパブリックコメントを求めました(20)。これは少なくとも 一面において最高裁判決の実施を引き延ばそうとする努力の一つでした。しか しながら,最高裁判決の指示を遵守して温室効果ガスは損害を及ぼす気候変動 を実際に引き起こしていると事実認定をした後,次に何をすべきなのか,とい うもっともな疑問もあり,検討されなくてはなりません。

 解決されるべきいくつかの技術的な争点が存在しますが,当然,自動車か ら排出される温室効果ガスに対する大気清浄化法の適用へと向かいます。EPA が危険と判断するやいなや,EPAは,新車による現在の排出を削減する適切 な基準を設定する必要があります。しかしながら,発電所のような固定発生源 に本法を適用するか,というより興味深い争点がさらに存在します。

 いったんある汚染物質が大気汚染物質としてリストされると,大気清浄化法 はEPAに対して人間の健康または福祉に対する損害を避けるための安全基準 を決定するように求めます。そして州は,これらの安全基準を,人間の健康へ の影響については短期間の最終設定期限内に,人間の福祉への影響については

(11)

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「合理的な期間」内に達成する計画を実施するように求められます。この仕組 みは地域の汚染問題には有意義ですが,短期間の期限が非現実的でかつ州単体 では問題を解決できることのできない,気候変動のような地球規模の問題にふ さわしいものとはいえません。しかし,本法はある程度の柔軟性を有しており,

気候変動問題に適応させることができるかもしれません(21)

 500 ページに及ぶ文書においてEPAは,問題を解決するためのいくつかの 方法を調査しました。一つの選択肢は,人間の健康ではなく福祉についての脅 威と判断するというものです。汚染物質が健康に対してではなく福祉に脅威 を与えているのだとすれば,EPAはより広範な柔軟性を有し,遵守のための 合理的な期間を設定できるでしょう。もうひとつの可能性は,健康への影響と 判断した上で,すぐに全国的に必要基準の達成を適用除外として,遵守しない 州に対しては,多少の柔軟性を持たせた一連の要求を発する方法です。大気清 浄化法のある特別規定は,州が国際的な排出源からの汚染が原因で大気基準を 州が達成できない場合,一定の猶予を与えています。この規定は,気候変動の 文脈において厳格な期限を強要することを避けるのに用いることが可能でしょ う。本法の他の規定には,特別に新規排出源を対象にしているものがあります が,これらの規定は気候変動に対応するのに十分柔軟であると思われます。

 したがって,大気清浄化法を気候変動に適用することは最初は見込みがなさ そうに思えますが,気候変動の問題に本法を合理的にうまく適応させる方法が あるように思われます。これは気候変動を扱う理想的な方法とはいえませんが,

うまく機能するかもしれません。もし連邦議会が気候変動に特別の立法措置を 取らないならば,大気清浄化法はオバマ政権に進むべき別の道を提供します。

 気候変動に適用可能な別の既存の法律は,絶滅の危機に瀕する種の保存に関 する法律(ESA:Endangered Species Act)です(22)。ESAは,危機に瀕した,ある いは脅かされた種の存在を危険な状態に至らしめる行為を連邦機関が実行する ことを禁止しています。ESAは,州政府や民間部門にも種を危機に至らしめ

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る行為を禁止しており,生息環境を変える行為も含まれます。政府は北極海の 氷が溶けだしているため,すでにホッキョクグマは危機に瀕していると認定し ています。問題は,ホッキョクグマを保護するために政府はどのような措置を 取るべきか,ということです。

 政府の行為の多くは,例えば化石燃料の生産や使用を増加させるなど,気候 変動の問題に寄与する可能性があります。環境保護主義者は,これらの政府の 行為がホッキョクグマや他の種を「危険にさらし(jeopardize)」ており,ESA は化石燃料を政府が奨励することを禁止していると主張します。この理論では,

たとえば新規石炭火力発電施設に対する認可も違法視されるでしょう。

 ブッシュ政権は,温室効果ガスの排出に適用されないように「危険にさらす こと(jeopardy)」を定義する規制を進めることを決定しました(23)。さらに一般 的に,この規則案は,個々特定の行為の影響と認識可能な環境上の変化とを結 び付けられない蓄積効果を本法の適用範囲から閉め出そうとしています。要す るに,政府は,認識可能な損害という概念について,Massachusetts v. EPAで 政府が主張と同様の狭い定義を利用しようとしています。そうすれば,政府の 個々特定の行為と気候変動の結びつきを認めることを避けることができます。

 たとえば,発電での石炭利用を拡張する大規模な連邦プログラムを考えてみ ます。この規則案では,プログラムはホッキョクグマを「危険にさらす」とは 判断されません。しかし,Massachusetts v. EPAに従えば,アラスカ州とアラ スカ州のホッキョクグマを研究する科学者は,ホッキョクグマに対する損害と いう点で最高裁は原告適格を認めるでしょう。この規制案は技術的にいうと最 高裁の判決に抵触しません。というのもここでの法的争点は原告適格ではなく この法律の適用だからです。しかし,EPAのアプローチと最高裁アプローチ との間には明確な知的対立が存在します。最高裁は,政府が認めようとしない 因果関係を認めるでしょう。

 同様の争点が環境影響評価書の関係でも生じます。全国環境政策法(NEPA:

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National Environmental Policy Act)は,重大な環境影響を伴う主要な連邦の行為に

は環境影響評価書EIS(Environmental Impact Statement)が添付されることを求め ています。EISは,行為の影響と可能な代替案を検討しなければなりません(25)。 そうすると次の疑問が浮上します。本法の目的に照らすと,どの時点から気候 変動が行政行為の影響であるとみなされるのでしょうか?

 この点に関する重要な判決において,巡回裁判所は自動車の燃費基準を再検 討するように求めました。なぜなら行政当局が燃料使用による気候変動への影 響を検討していなかったからです。 行政当局は,影響はあまり些細で間接的 であって考慮を要求することはできないと主張しましたが,裁判所は,この明 白な環境への影響が考慮さるべきであると判断しました。

 これらの既存の法律は,気候変動問題に取り組むための作業に用いることが 可能です。この可能性は,連邦議会に対して気候変動をもっと直接的に扱う新 しい法律を制定することへの圧力を加えています。

Ⅳ.新しい連邦立法への展望

 連邦議会は,ここ数年,気候変動の立法を検討してきました。昨年,キャッ プ・アンド・トレードに基づいた法案が上院を通過する寸前までいきました。

包括的な気候法案が通過する見込みは 2009 年に強まるでしょう。なぜなら連 邦議会における民主党の票差の優位が大きくなるからです。加えて,オバマ大 統領はそのような立法を支持することを明らかにしてきました。

 ただ立法の多くの主要な特徴はまだ決定されておらず今後の課題です。議会 にかつて提案された諸法案は四つの次元で異なっています。最初の次元とは,

キャップのレベルです。いくつかのプログラムは,どれだけ迅速に,そしてど れだけ包括的に排出を削減するかという点で野心的です。選挙運動中,オバマ は積極的な削減を支持しました。

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 第二の次元は,取引(trading)プログラムの範囲です。いくつかのプログラ ムは発電所だけを対象にしている一方,他のプログラムは炭素源を広範にカ バーしています。経済学的視点から見れば,広範な適用範囲を備えたプログラ ムのほうが優れています。なぜならよりコストの低い排出削減手段を許容する からです。同じ理由で,経済学者は,植樹といったカーボンオフセットを支持 しています。ただし,環境保護主義者は,カーボンオフセットを認める要件に ついて,その監視と執行に懸念を持っています。

 第三の次元は,許可(permit)の割り当てです。許可を過去の排出量に従っ て企業に割り当てる法案もありますが,一部あるいはすべての許可をオーク ションにかけることを求めているものもあります。許可のオークション・プロ グラムは,多くの経済学者に好まれており,炭素税と類似の実際的な効果を有 しています。オークションが利用されると,次に収入をどのように扱うかとい う問題が浮上します。考えられる方策には,再生可能エネルギー技術の改良に 対する助成,気候適応の努力への支援,連邦政府の財政赤字の削減,鉄道や水 利供給の改良といったインフラへの支出などが含まれます。許可の価格は消費 者にゆだねられますが,景気後退の折にはとりわけ人気のないものかもしれま せん。

 四つ目の次元は,当該プログラムの州の既存の気候変動プログラムに対する 影響です。連邦プログラムは,すべての州の努力に優越するかもしれません。

あるいは,一定の制約の下で,州に個別のキャップ・アンド・トレード・プロ グラムを実施させたり,電気公益事業について再生可能エネルギー利用割合基 準のような気候変動規制を実施したりすることを認めるかもしれません。

 これら四つの次元で合意を形成することは容易なことではないでしょう。し かしながら,議会は,いくつかの方向から,そうすべき圧力を受けています。

合衆国の世論は,ますます気候変動に対する行動を支持しています。国際的領 域,とりわけ気候変動交渉に関するコペンハーゲン会議の見地からの圧力もあ

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るでしょう。最後に,もし議会が行動を起こさない場合,オバマ政権が議会の 承認なしに大気清浄化法に従って気候変動規制を実施するという可能性は増加 します。これらの理由の全てから,現在の経済危機の混乱にも関わらず,議会 は行動を起こしそうです。

 キャップ・アンド・トレード以外には,既存の再生可能エネルギー技術の利 用を奨励したり,新しいテクノロジーの開発を奨励したりする努力もあるで しょう。これらのいくつかは,既存産業への規制変更に左右されるでしょう。

たとえば,電力供給網は拡張され,近代化される必要があります。そうすれば 再生可能エネルギー源は遠く離れた都市にも電力を供給できます。新しいエネ ルギー技術に対する直接的な財政支援があるえるでしょう。何らかの褒賞や特 別研究資金のような新しい技術開発に対する付加的なインセンティブもありえ ます。エネルギー効率もこの図式の重要なひとつであり,より効率性の高い技 術を構築し,電力消費の少ない電化製品を利用するように求められるでしょう。

オバマ政権は,クリーン・エネルギー・テクノロジーの開発と利用を強く理解 していますし,新しいエネルギー省の長官はバークレーの科学者で,低炭素運 輸燃料の開発に尽力してきました。

 関連する問題は,合衆国は国際的な気候変動協定の観点から何をするか,と いうことです。最もありえる答えは,拘束力のあるコミットメントに同意する ことですが,国内政策に合致するものだけでしょう。また合衆国は,技術移転,

なにがしかのクリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)の 支援,及び気候変動適応措置への財政支援に関するいくつかのコミットメント を結ぶ用意があるでしょう。

 しかしながら,発展途上国,とりわけBRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)

と呼ばれる国々の排出コントロールについての明確なロードマップなくして,

合衆国が主要なコミットメントを結ぶことは難しいことでしょう。条約は,上 院で三分の二,つまり 66 人の上院議員の同意を必要とします。上院の民主党

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は 60 人未満ですから,気候変動の協定のためには 6 ないし7名の共和党の上 院議員の票が必要となるでしょう。このことは,協定がどこまで積極的な内容 となるかについて,制約をかけることは明らかです。しかし,合衆国は少なく とも再び交渉のテーブルにつき,現実的なコミットメントを進んで結ぶでしょ う。

Ⅴ.気候変動適応

 緩和措置を講じたとしても,一定程度の気候変動は不可避であって,実際す でに起こっています。この避けられない気候変動により,合衆国や他の場所で 適応措置を必要とするでしょう。

 たとえば,合衆国の西半分はとても乾燥しています。農業は灌漑に依存し,

都市用水は長距離運ばれなければなりません。コロラド川のような既存の河川 のいつくかは,現在,農業従事者や急速に発展する都市によって完全に利用さ れ尽くされています。しかし,国のこの部分はより一層乾燥するといってよい でしょうし,いずれにせよ,豪雨と氾濫を挟んだ極端な干ばつを経験するでしょ う。このことにより,既存の水利制度を何百万ドルも費やして大規模に改修す ることが必要になるでしょう(26)

 カリフォルニア州では,問題が若干異なります。カリフォルニア州は,シェ ラ・ネバダ山脈の雪に大きく依存しています。その雪は,春に雪解けして,夏 には農業従事者に水を提供します。将来,降水量は同じかもしれませんが,冬 の降水は雪から雨に変わるでしょう。これらの雨水は,深刻な氾濫をもたらし,

新しい氾濫統制措置が必要とされるでしょう。また,農業従事者は水を大抵冬 よりも夏に必要としますので,新しい貯水施設が必要とされるでしょう(27)。  合衆国でその他に適応が必要なことには,ハリケーンの影響を受けやすい合 衆国東部の川沿いや沿岸部における洪水予防が含まれます。氾濫原の拡大を防

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ぐことは重要なことといえるでしょう。熱波の増大が予想され,数年前にヨー ロッパで発生したような熱波による死亡を予防する措置が求められています。

いくつかの疾病は,より温暖な気候によって,一層流行しやすくなり,マラリ アのような疾病に対する新しい公衆健康措置が求められるでしょう。

 適応措置の計画は,合衆国の多くの場所で始まったばかりです。主要な問題 は財政であることは確かです。適応措置に対してどれだけ連邦政府から財政支 出されるべきでしょうか?適応措置によって直接便益を得る地域からはどれだ けでしょうか?

 法制度の変更も必要とされるでしょう。水利権に関する現在の法律は,修正 されるべきでしょう。地下水の利用は現在あまり規制されていませんが,修正 されるべきでしょう。建築に関する法律も修正されるべきです。これらの措置 に関する検討は迅速を要します。なぜなら気候変動は予想されたものよりも一 層速く発生しつつあるからです。

Ⅵ.結論

 バラック・オバマがジョージ・W.・ブッシュに取って代われば,多くの合衆 国の政策は変わるでしょう。政策の見解の相違は,気候変動やエネルギー政策 同様,劇的に異なるでしょう。ブッシュ政権は石油燃料産業の支援に貢献して きました。ブッシュはその地位を離れるまで,合衆国における石炭採掘と石油 掘削を拡大してきました。再生可能なエネルギーへの熱意はほとんどなく,ガ ソリンの利用削減に対する熱意など全くありませんでした。大統領も副大統領 も長らく石油産業と結びついてきました。

 対照的に,オバマとジョセフ・バイデン(Joseph Biden)は,気候変動立法と クリーン・テクノロジーの熱烈な支持者です。バイデンの過去を振り返ると,

その支持はとりわけ長期にわたります。民主党は,選挙期間中,強力なキャッ

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プ・アンド・トレード計画を支持し,新しい雇用と事業を創造する「グリーン・

エコノミー」が必要であると主張してきました。彼らは,また,一般的に多国 間共同政策(multilateralism)を指向しており,とりわけ気候変動交渉において そうです。したがって,政治の世界で確実なものはありませんが,連邦政府が 気候とエネルギー問題で劇的な行動をとる期待は有望だといえます。

【付記】 本稿は,2009 年 1 月 10 日明治学院大学白金校舎法律科学研究所で開催され た明治学院大学法学部学術講演会におけるファーバー教授の講演原稿の翻訳で ある。当日の通訳は,辻雄一郎氏(Center for California Environmental Law and

Policy研究員,現・駿河台大学法学部専任講師),司会は阿部が担当した。本稿は,

英文の講演原稿を基に,当日の辻氏の通訳原稿に阿部が加筆・修正をおこなっ たものである。従って,本稿における日本語表現及び事実認識等は阿部の責任 に帰す。

(1) カリフォルニア大学バークレー校ロースクール教授(Sho Sato Professor of Law, University of California, Berkeley),同大学エネルギー・資源グループ議長(Chair of the Energy and Resources Group, University of California, Berkeley)

(2) Donald A. Brown, The U.S. Performance in Achieving Its 1992 Earth Summit Global Warming Commitments, 32 Envtl. L. Rep. 10741(2002).参照。

(3) ブッシュ政権による以後の行動を評するものとして, Administration to Focus on Voluntary Efforts as More States Move to Regulate Emissions, 37 Env. Rep S-11 (Jan.

20, 2006)

(4) カリフォルニアの再生可能エネルギー利用割合基準Californiaʼs renewable port- folio standardについては,,下記のサイトの資料を参照http://www.cpuc.ca.gov/

puc/energy/electric/renewableenergy/ 。

(5) Order Instituting Rulemaking to Implement the Commissionʼs Procurement Incen- tive Framework and to Examine the Integration of Greenhouse Gas Emissions Standards into Procurement Policies, Decision 07-01-039(January 25, 2007), available at http://ww.cpuc.ca.gov/PUBLISHED/FINAL_Decision/64072.htm. 米国では,公 に対して電力を販売する会社は,通常自ら発電をおこなわない。代わりに他の 会社から電力を購入する。

(19)

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(6) こ の 判 決 と 連 邦 制 度(fderalism)に 関 す る 議 論 に つ い て は, Daniel A. Farber, Climate Change, Federalism, and the Constitution, 30 Ariz. L. Rev. 879, 889-890

(2008)参照。

(7) Margot Roosevelt, EPA Chief Justifies Denial of Waiver for California, L.A. Times, March 1, 2008 参照。

(8) カリフォルニア大気資源委員会「スコーピング・プラン」California Air Resourc- es Board, Scoping Plan(2008), available at http://www.arb.ca.gov/cc/scopingplan/

scopingplan.htm. 参照。

(9) Farber, supra note 6, at 884.参照。

(10) Massachusetts v. Environmental Protection Agency, 127 S. Ct. 1438(2007).

(11) 本判決の原告適格理論を広範に検討する論稿として, Daniel A. Farber, A Place- Based Theory of Standing, 55 UCLA L. Rev. 1505(2008).参照。

(12) Id. at 1455.

(13) Id. at 1456.

(14) Id. at 1457.

(15) 127 S. Ct. at 1457.

(16) Id.

(17) Id. at 1488.

(18) Id.

(19) Id. at 1463.

(20) Advance Notice of Proposed Rulemaking: Regulating Greenhouse Gas Emissions under the Clean Air Act, July 11 2008 , available at http://www.epa.gov/climat- echange/anpr.html .

(21) 大気清浄化法(Clean Air Act)の該当部分の紹介として, Daniel A. Farber, Jody Freeman, Ann E. Carlson, and Roger W. Findley, Cases and Materials on Environ- mental Law 539-599(7th ed. 2006).参照。

(22) 絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)関する議論 については,,同上 at 191-275.参照。

(23) Julia Cart, California Sues Over Proposed Change to Endangered Species Act, Mercury News, December 30, 2008, available at http://www.mercurynews.com/science/

ci_11339694 参照。

(24) NEPAの 基 礎 に つ い て は,Farber, Freeman, Carlson and Findley, 前 掲 注 21, at 441-512.参照。

(25) Center for Biological Diversity v. National Highway Traffic Safety Administra- tion, 508 F.3d 508 (9th Cir. 2007). この争点を詳細に議論するものとして Erica

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Schroeder, A New Mandate for CAFÉ Standards from the Ninth Circuit, 35 Ecology Law Quarterly 645 (2008)[student note].参照。

(26) 南西部における気候変動影響については, http://www.climas.arizona.edu/ .参照。

(27) Leonard Anderson, Climate Change Threatens California Water Supply, Reuters, May 9, 2007, available at http://www.reuters.com/article/environmentNews/

idUSN0936310120070509 参照。

参照

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