和解 内容 の確保 と裁判官の役割
‑ ア メ リカの ク ラス ・ア クシ ョンにお け る公正 な 和解内容 の確保 と裁判官 の役割を手がか りとして‑
川 嶋 四 郎
1.日本法の現状 と問題の所在
今 日,大規模 な公害 ・環境訴訟事件 の被害者 は,損害賠償 によ る救済 は と も か く,差止請求 による司法的救済 を,ほとん ど享受 していないように思 われる。
た とえば,大阪空港訴訟 (差止請求却下 1)),東海道 新幹線 訴訟 (差止 請求棄 却 2)),豊前環境権訴訟 (差止請求却下 3)),国道43号線訴訟 (差止請求却下 4)), 厚木基地訴訟 (差止請求却下 5)),横 田基地訴訟 (差止請求却下 6))な どの公 的機関や巨大企業 に対す る差止請求訴訟 (「公共的差止訴訟 7)」)は,いず れ も その判決 の結果か ら明 らかなよ うに,いわば 「冬 の時代」にあ ると言 って も過 言で はない。 したが って,被害者 は,いわゆる4大公害訴訟事件以来徐 々 に確 立 されて来 た損害賠償 による事後的な救済で満足す る̀はかないのである (本稿 で は,大規模 な公害 ・環境訴訟事件 における差止請求訴訟 と損害賠償請 求訴 蕊 とを包括す るもの と して,「公共訴訟」 とい う用語 を用 いて考察 を加 え て行 く
1)最高裁昭和56年 (1981年)12月16日大法廷判決 『民集』35巻10号1369頁。
2)名古屋高裁昭和60年 (1985年)4月12日判決 『判例時報』1150号30頁。
3)最高裁昭和60年 (1985年)12月20日第2小法廷判決 『判例時報』1181号77貢。
4)神戸地裁昭和61年 (1986年)7月17日判決 『判例時報』1203号 1貢。
5)東京高裁昭和61年 (1986年)4月9日判決 『判例時報』1192号1貢。
6)東京高裁昭和62年 (1987年)7月15日判決 『判例時報』1245号3頁。
7)この手続構造等 について は,拙稿 「『公共的差止訴訟 』の基本的手続 構 造」『一 橋論叢』98巻3号441貢 (1987),「『公共的差 止訴 訟 』にお け る差止 判決 の修 正
(1)(2・完)」『民商法雑誌』97巻4号483頁,5号653貢 (1988)を参照。
〔81〕
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ことに した い。)0
この よ うな現状 にあ って ,確 か に 「公 共訴訟 」 は,原 告 が被 告 (企 業 ・国 ) の法 的責 任 を明確 にす る ことに意義 を求 め,判 決志 向 に傾斜 Lやす い と も言 え るで あ ろ うが , しか しなが ら,長 期戦 を強 い られ多大 な費用 ・時 間 ・労 力 の提 供 を止 む な くされ る被害 者 に とって ,和 解 に よ る救 済 は,いわ ゆ る恒 久 救 済 対 策 8)(た とえ ば ,サ リ ドマ イ ド和 解 の 「財 団法人 い しず え 9)
」
の設立 な ど) 等 を も取 り込 む ことがで き,極 めて魅 力 的 かっ有 益 で あ り注 目に値 す るよ うに思 わ れ る。 損 害 賠償 は と もか く,と りわ け,差 止 め の成果 を得難 い裁 判 例 の存 在 を前 に して,被害 者 に と って の微 か な光 明 は,和 解 を通 じて の差 止 請 求 内容 の 獲 得 とそ の貫徹 で あ る。近 時 ,和 解 の行 なわれ た 「公共 訴訟」 事件 の典型例 と して ,た とえ ば東 海 道 新 幹線訴 訟事 件 10),大 阪空港訴訟 事件 11),安 中公 害 訴 訟 事 件 12)な ど 13)を挙 げ る ことがで きる。 また,薬 害 ・製造 物責任 が問題 とされ た事件 にまで 目を 向 け た 場 合 に は,サ リ ドマ イ ド訴訟事件 14),ス モ ン訴 訟 事 件 15),カ ネ ミ訴 訟 事 件 16), ク ロロキ ン訴訟 事件 17)な どを も挙 げ る ことが で き る。 か な り長 期 に わ た った これ らの訴訟事 件 に関 す る和解 は,必然 的 に,和 解形成 過程 にお い て 裁 判 官 が いか な る役割 を果 たす べ きか とい う問題 を提示 して い るよ うに思 わ れ る。 と り わ け本稿 は,和解 自体 の もつ イ ンパ ク トを踏 まえて ,裁判官 の役 割 を どの よ う
8)たとえば,豊田誠 ‑中村雅人 「恒久救済対策の法理」『法律時報』50巻 5号34貢 (1973)など参照。
9)森島昭夫 「サ リドマイ ド『いしずえ 』,森永 ヒ素 ミルク中毒 『ひか り協会 』設立 後三年間の経験」『ジュリス ト』656号66亘 (1978)参照。
10)『朝 日新聞』1986年 (昭和61年)3月26日夕刊。
ll)久煤井‑匡 「公共事業差止訴訟の現状 と課題」『法律時報』56巻10号36頁,39頁 (1984)参照。
12)『朝 日新聞』1986年 (昭和61年)6月13日朝刊。
13)その他,久保井 「前掲論文」 (註11)40貢註5,7,8参照。
14)これに関 しては,松野嘉貞‑石垣君雄 『集団訴訟 における訴訟手続上の諸問題 』 (司法研究報告書29輯 1号196頁以下 (1978))参照。
15)これに関 しては,淡路剛久 『スモン事件 と法』60貢以下 (有斐閣 1981)参照。
16)『朝 日新聞』1987年 (昭和62年)6月25日夕刊。
17)『朝 日新聞』1988年 (昭和63年)6月7日朝刊。
に考 え るべ きかを問題 と して行 きたい。
これは,「公共訴訟」事件 における裁判上 また は裁判外 の和解 (以下 で は, 単 に和解 と記述す る。) が,「波及効」 を有す ることに由来 す る。 元来 「波 及 効」 の概念 は,判決効 に関 して,既判力な どの制度 的な効力 に対比 して論 じら
れた。小島教授18)は,「公共訴訟」の裁判効 が対立 当事者 の枠 を越 えて公共 の 全部 または一部 に 「波及効」 を もた らす ものであるとされ,また,伊 藤教授 19)
も 「波及効」 とは判決の制度上 の効果 (既判力 など) を基礎 と し,当事 者 が紛 争解決 に向か って行動す るさいに役立っ判決 の事実上 の効果 であ り,第三者 に
も及ぶ ものであるとされた。 ところが 「波及効」 は,現在 の ところ必ず しも理 論的 に十分解明 されているとは言 えず,また実務 的に も好意的 に受 け取 られ て い るとは言 えない20)よ うに思われ る。 しか し,現 実 問題 と して,「公共 訴訟 」 事件 において はこの効果 の認識 は不可欠 であ り,裁判所 も実際 には考慮 の内 に 入れているよ うに思 われ る。 た とえば,東海道新幹線訴訟事件 で名古屋 高裁21)
は,当該事件 の判決 で減速 を命 じた場合 ,その効果が他 の新幹線 区間 に も影 響 す ることを指摘 しているのであ る。 これ らの例 か らも明 らか な よ うに,「波 及 効」 の内容 は多種多様であるが, 本稿 は,とりわ け,「非当事者 に対す る波及効」
に着 目 したい。確かに,このよ うな 「波及効」 とは言 って も,非 当事 者 は別訴 を妨 げ られない し,仮 に利益 を受 けるよ うな場合 には,問題がな い よ うに も思 われ るで あろう。 しか しなが ら,公害 ・環境訴訟事件 における被害者 の中には, 費用 ・時間 ・労力 ・体調等 の諸種 の制約 や同種 の事件 に関す る (敗訴)判決 の 存在 とい う厳然た る事実 の前 に別訴 の提起や訴訟参加 を断念せざるをえない者 も存在 し,また,原告 の適切 な訴訟遂行 に期待 をか け22)それ に鎚 らざ るを得 な い者 もあ り,た とえ勝訴 の場合 に非当事者が利益 を享受す るとは言 って もそ の
18)小島武司 『民事訴訟の基礎法理』115貢,117亘 (有斐閣 1988,初 出 1977)な ど。
19)伊藤虞 「確認訴訟の機能」 『判例 タイムズ』339号28頁,32貢註5 (1976)など。
20)奈良次郎 「判決効 をめ ぐる最近 の理論 と実務」 『新 ・実務民事訴訟講座2〔判決 手続通論Ⅱ〕』291頁,293頁以下 (日本評論社 1981)など。 なお,後註23参照。
21) 『判例時報』1150号30頁,72貢。
22)小 島 『前掲書 』 (註18)135‑37頁。
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可能性 の有無 には問題 もあ り,さ らには利益 の押付 けの問題 や よ り少 な い利益 に甘ん じなければな らないおそれ もないことはない (被害者 の自己決定権 に由 来す る諸問題 の存在)。 したが って,この種の 「波及効 」 か ら,非 当事者 を保 護すべ′き要請が生 じるのであ る。 さ らにまた,この要請 を契機 と して,裁判官 は,個別 の事件処理 の枠内で はあるが,一定 の公的な政策形成 の一翼 を担 うべ き使命 を負 うべ きで はないだろ うか。
このよ うに,「非当事者 に対す る波及効」 に焦点 を当 て た場合 に,その よ う な効力 は,実 は,「公共訴訟」事件 の和解 に も多 か れ少 なかれ存在 す る23)と言 え るであろ う。 そ して,非当事者 の被 るおそれのあ る不利益 につ いて も,先 に 判決 の 「波及効」で述べたの とはぼ同様 の ことが妥 当す るのである。 たとえ ば, 東海道新幹線訴訟事件 において,当該新幹線沿線で騒音が和解内容通 りに75ホ
ン以下 に抑え られた場合 には,和解形成過程で当事者 とな ったか否 かにかか わ らず,その沿線 に居住す る住民 (被害者)全体 が,和解 による利益 を享受 す る ことになる。 つ ま り,その和解 は,少 な くとも差止 めに関す る部分 につ いて は 和解 の当事者でない者 に も直接 的な影響 を及 ぼす ものであ ったのである。 確か に,非当事者 は別訴 を妨 げ られないが,しか しなが ら,和解条 項 の中 に万 が一 騒音 の差止条項 が盛 り込 まれていなか った場合,別 の救済方法 (振動の差止め)
に一層 の利益 を感 じる者がいる場合,さ らによ り以上 の救済 を欲す る者 が い る 場合,その被害者 が先 に述べたように提訴 を断念せざるをえないよ うな者 で あ るときには,裁判官 は,その者 の利益保護 のために,和解形成 過程 にお いモ何 らかの役割 を演 じることを要請 され るので はないだろ うか。
このよ うな 「波及効」 か らの保護 のためには,当事者適格 (「代表の十分性」)
や訴 えの利益 の審理 ・判断を通 じての規制方法 も考 え られ るであろう。 しか し, (詳論 は別 の機会 に譲 らざるをえないが)形式的 ・手続的 な訴 訟要件 の レベル で被害者救済 の途 を遮断す ることは基本的に妥 当で はないだろ う。 したがって,
23)新堂 ,小 島発言 「プ ラクテ ィス研究会 ・和解 (1)」『法 の支配 』41号103貢
(1976),大石発言 「座談会 ・和解 と訴訟運営」後藤 ‑藤田編 『訴訟上 の和解の理 論 と実務 』191頁 (西神 田編集室 1987)参照。
和解形成過程へ裁判官 が積極 的に関与す ることによ り公正 な和解内容 を確保す べ き要請が顕在化す るのであ る。 裁判上 の和解 (訴訟上 の和解,起訴前の和解) の場合 には,十分 とは言 えないまで も,裁判官 が多少 とも関与す ることによ り, 和解 内容 の公正 さはある程度確保 され る余地 がある。 これ に対 して,秘密 裡 に 交渉が行 なわれた結果形成 された和解 (そ して訴えの取下 げ)の場合 に は,和解 当事者でない者 で差止 めによ り影響 を受 ける者 が参加す る機会 を失 な って しま うよ うな事態 は,極力回避 されねばな らない。特 に,東海道新幹線 訴 訟 にお い て は,和解交渉が秘密裡 に行 なわれて いた24)とされ る。 事件 が
一
旦訴訟手 続 に 上 されていたよ うな場合 には,裁判官 は非当事者 の利益 を保護す るため に何 らかの活動 を要請 され るのではないだろ うか。就中,「公共訴訟」 事件 の よ うに, 和解内容 の 「波及効」 が当事者以外 の者 にまで及ぶ場合 には,当該事件 の担 当 裁判官 は,本来的 には当事者 の 自主的な交渉 に委ね られ処分権主義 に服 す る和 解 の形成 に一定 の規制 を加 え,公正 な和解内容 を確保す るために,積 極 的 な役 割 を演 じるべ きで はないだろ うか。
とりわけこの要請 は,「公共的差止訴訟」事件 の もつ 「救済方 法 の多様 性 と い う特殊性」 によ り増幅 され るように思われ る。 つ ま り,具体的な侵害排 除手 段 (異体 的救済方法,た とえ ば個 々の騒音 防止措 置 な ど) が多数 存在 し,一 定 の権利侵害 とそ こか らの具体的救済方法 との対応関係が いわば1対多対応 の 関係 にあ るとい う特殊性 ゆえ に,最適 な異体的救済方法の選定 ・形成 をめ ぐり 多数 の原告 の中で意見 の相違 が生 じ,利害対立 (「原告側 の多極化」)が生 じる 場合があ る。 したが って,各意見を適切 に主張 で きる代表者 が,和解 の交 渉過 程 に参加 し自己の見解 を述べ る機会が保障 され る必要性が生 じるのであ る。 さ
らに,原告団の中 に一定 の異体 的救済方法 につ いての主張 を適切 に述べ る こと がで きる者がいない場合 には,原告以外で和解 内容か ら影響 を受 ける者 の意 見 陳述 の機会が,その形成過程 において十分 に保障 されたか否かが問われ るべ き である。損害賠償を内容 とす る和解 の場合以上 に,差止 め とい う救済方法 に関 す る和解形成過程で は,このよ うな個 々の具体 的救済方法 につ いて利益 を有 す
24)『朝 日新聞』1986年 (昭和61年) 3月5日夕刊。
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る者 の参加 また はその者 の利益 保護 の要請 が著 しく表面化 す るので あ る。
ところで,和解 と りわ け訴訟上 の和解 は,従来 か らその意義 や性 質 に関 して 活発 な議論 25)が展 開 され て来 た。 そ して近時 で は,さ らにそれ らを越 え た和 解 学 の必要性 26)が唱 え られ てお り,た とえば裁判官 によ る和解 の技術 に関す る論 文27)や本人訴訟 にお け る和解 の研究 28)が公 けにされ,和解形成過程 が徐 々 に解 明 されつつ あ る。 今 や和解 によ る紛争解決 は,裁判官 に とって も判決 と並 ぶ正 しい紛争解 決方法 29)と して位 置付 け られ るに至 って い る。 しか しなが ら,「公 共訴訟」事 件 にお ける和解 ,と りわ けその形成過程 にお ける裁判官 の果 たすべ
き役割 につ いて は,十分 に明 らか にされて い る とは言 え ないのが現状 の よ うに 思 われ る。 確 か に,多種多様 で精 微 な手続 規範 によ る規制 の下 に置か れ た判 決 形成過程 (判決手 続) に対 して,それ らの規制 か ら解放 された和解形成 過 程 が 紛争 当事者 に と って魅力 的 な一面 を持 つ 30)ことは否 めないで あろ う。 しか しな が ら,本来公正 に解決 され るべ き訴訟事件 の要請 に鑑 み,和解形 成 過 程 に対 す るあ る程度 の規制 は不可避 で あ るよ うに思 われ る。 和解 が,立 法 を先 取 り し, 法 の補充 ・創造機 能 を有 す るとい う指摘 31)さえな されて い る今 日,一 定 の客 観 的 な内容 を備 えた公正 な和解 内容 の確保 は焦眉 の課題 の よ うに思 われ る。
25)たとえば,石川明 『訴訟上の和解の研究』 (慶応通信 1966),最近のもの として, 兼子‑‑松浦馨‑新堂幸司‑竹下守夫 『条解民事訴訟法』712貢以下 (竹下執筆)
(弘文堂 1986)など参照。
26)竜寄書助 「市民のための民事訴訟 (下)」『判 例 タイ ムズ』452号16頁以下 (1981, 同 『証明責任論』 (有斐閣 1987)所収)。
27)草野芳郎 「和解技術論」『判例 タイ ムズ』589号8頁 (1986),伊藤博 「和解勧試 の技法 と実際」『司法研修所論集』1984‑ Ⅰ 22貢,後藤‑藤田編 『前掲書』 (註 23)所収の各論文などを参照。
28)棚瀬孝雄 『本人訴訟の研究』80頁以下 (弘文堂 1983)。
29)伊藤博 「前掲論文」 (註27)23頁,草野 「前掲論文」 (註27) 9貢,田中豊 「民 事第一審訴訟における和解について」『民事訴訟雑誌』32号133頁 (1986)など 。 30)太田知行‑穂積忠夫 「訴訟上の和解」『法社会学講座6〔紛争解決 と法2〕』115
貢,122貢 (岩波書店 1972)0
31)小島,浅沼,小林,中島発言 「前掲座談会」 (註23)98‑99貢,川 口,大石,藤田 発言 後藤‑藤田編 『前掲書』 (註23)130‑31頁。
32)具体的には,人種による別学解消訴訟,雇用差別解消訴訟,環境訴訟,刑務所 ・ 精神病院の改善訴訟など。
そ こで,本稿 は,「公共訴訟」事件32)と果敢 に取 り組んでい るアメ リカ法 を手 がか りと して,そ こか らささやかなが らも日本法への示唆を得 ることを 目的 と
したい。 そのさい,クラス ・アクシ ョン (classaction)制度33)にお け る裁 判 所 による和解 の許可制度 を素材 にす る。 確か に,我が国 にはこの制度 は存在 し ないが(なお,あま り知 られていない34)とされ るが,公害紛 争処理 法42条 の 7な い し9に,クラス ・アクシ ョン類似 の代表当事者 の制度 があ る。), しか し,ク ラス ・アクシ ョンで解決 されている訴訟事件 と,我が国 の 「公共訴訟」事件 と の間 には共通 の性質 (原告 の多数性 と 「原告側 の多極化」,「具体的救済方法 の 多様性 とい う特殊性」,判決 ・和解 の広汎 な影響力 (「波及効」)な ど) が あ る。
さ らに,な るほど,クラス ・アクシ ョンの場合 には自発 的な代表 原告 によ るク ラス構成員 の権利 を穀損す るおそれや代表原告 によるクラス ・アクシ ョン制度 の濫用 のおそれ とい うその制度固有 の問題があるが,しか しなが ら,後述 の よ うに,それ らの危倶 を払拭 し代表原告以外 のクラス構成員 の利益 を保護 す る読 みの中に,我が国 における 「非当事者 に対す る波及効」 の問題 を考察す る糸 口 が兄 い出 され るように思 われ る。
2.ク ラ ス ・ア ク シ ョン にお け る公 正 な 和 解 内容 の確 保
クラス ・アクシ ョンは,1回 の訴訟手続で多数 の被害者 を集団的 に救済 で き る点 に絶大 な利点 を有 している。 少額多数被害者 の救済 を求 めあ るいは公的な 制度 ・組 織 や 巨大 な企業 に対 して そ の 内容 的 な改 善 を求 め る 「公 共 訴 訟 (publiclawl頂gation,institutionalreform litigation)35)」の多 くは,クラス ・
33)た とえば,初期 の もの として,谷 口安平 「多数 当事者紛争 とデ ュー ・プ ロセ ス」
『法学論叢』78巻5号 1貢 (1966),田中英夫 ‑竹内昭夫 『法 の実現 における私人 の役割』70貢以下 (東京大学 出版会 1987,初 出 1972)など参照。
我が国で は主 と して消費者被害 ・公害 の救済 を目的 として 「損害賠償 ク ラス ・ アクシ ョン」が紹介 されて来 たが,アメ リカで は 「イ ンジャンクシ ョン (差止 め)
・クラス ・アクシ ョン」 も活用 されているので,今後 は後者 の研 究 も不 可欠 で あ るよ うに思われ る。
34)藤 田耕三 「訴訟上 の和解 と裁判外紛争処理手続」後藤 ‑藤 田編 『前掲書』 (註23) 40貢,44頁 (1987)0
35)一般 には,大沢秀介 『現代 アメ リカ社会 と司法‑ 公共訴訟 を め ぐって‑ 』 (慶 応通信 1987),同 『現代型訴訟 の 日米比較』 (弘文堂 1988)参照。
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アクシ ョンの手続 によ り提起 されている36)。 この場合,一旦 クラス ・ア ク シ ョ ンと して訴 えが提起 された以上 ,その手続運営 は,裁判所 の厳格 な コ ン トロー ルに服す ることにな る。 和解 の場合 も決 してその例外で はない。連邦民事訴訟 規則23条 (e)項37)によれば,クラス ・アクシ ョンは裁判所 の許可 (approval)
な しには取下 げ (dismissal) または和解 (compromise)をなす ことがで きな いのであ る。 したが って,典型的 には,クラス ・アクシ ョンで提起 され た 「公 共訴訟」 において両当事者が和解 に至 った場合 には,コンセ ン ト・デ ィク リー
(consentdecree)を締結 し,この規定 によ り裁判所 の許可が得 られれば,その 和解 内容っ ま りコンセ ン ト・デ ィク リーは有効 とな る38)ので あ る。 実 際 に も,
「公共訴訟」 は,この コンセ ン ト・デ ィク リーで終 了 す る場合 が多 い39)とされ る。 なお,アメ リカで は,1983年 の連邦民事訴訟規則16条 の改正 に よ り,プ リ
トライアル ・カ ンファレンス (pretrialconference)の 目的の一つ と して和 解 の促進が明示 され40),また,一般的 に言 って も,我 が国 同様 ア メ リカ にお け る 和解 の盛行 には41),目を睦 るものがあるのである。
そ こで,以下で はまず,この23条 (e)項 の立法趣 旨を尋ね (‑ 1)),次 に, 通常 の場合 (クラス ・アクシ ョン維持決定後 の和解許 可 の場合),公正 な和解 内容 を確保す るために,この許可制度が,いかな る手続的要件 の下 で運営 され その公正 さが判断 されているかを論 じ (‑ 2)),さ らに,この制度 の潜脱 が 問 題 となる特別 の場合 (クラス ・アクシ ョン維持決定前 の和解 の場合) に も言及
36)See e.g.Special Project:The RemedialProcess in Institutional Reform Litigation,78C oLUM.L.REV.784,870(1978).
37)FED.R.CIV.P.23(e)(1966).SeealsoFED.R.CIV.P.41(a)(1966).
38)L.Anderson, TheApprovalandInterpretation of ConsentDecrees
inCivilRightsClassActionLitigation,1983U.ILL.L.REV.579,583.
39)Note,TheModification c'f ConsentDecreesin InstitutioTialReform Litigation,99H ARV.L.REV.1020(1986).
40)SeeFED.R.CIV.P.16(a)(5)(1983).
41) なお,アメ リカにお ける和解一般 につ いて は,小島武 司 「米 国 にお け る訴 え提 起 後 の和解」 後藤 ‑藤 田編 『前掲書』53貢 (1987),小林秀之 「プ リトライアル手続 ・
和解 の肥大化 と連邦民訴規則 の改正 (上)(下)」『判 例 タイ ム ズ』512号32頁 , 513号28頁 (1984),同 『アメ リカ民事訴訟法』 (弘文堂 1985)所収)を参照。
し (‑ 3)),アメ リカで 「公共訴訟」事件 における和解 の処理を託 され た裁判 官がいかな る役割 を果 た しているかを考察す ることに したい。
1)立法趣 旨
クラス ・アクシ ョンの制度 は,17世紀 のイ ングラン ドにおけるエクイ テ ィ裁 判所 の手続 の中にすでに存在 していた42)。 これが,18世紀 のアメ リカに継受 さ れ,1849年,ニ ュー ・ヨーク州 の民事訴訟法典であ るいわゆるフ ィール ド法典
(FieldCode.1948年制定) の改正 によ り初 めて明文化 され た。 しか しここで は,クラス ・アクシ ョンと して訴 えを提起 しうる場合が規定 されていた に留 ま
/
り,和解 の許可 に関す る規定 は存在 しなか った。連邦裁判所 におけるク ラス ・ アクションの規定 と して は,1912年 に連邦 エ クイ テ ィ規則 (FederalEquity Rule)38条 が制定 されたが,その内容 はフィール ド法典 とほぼ同 じものであ っ
た。 したが って,ここに も和解 の許可 に関す る規定 は存在 しなか った。 その後
1937年 に至 り,連邦法上 コモ ン ・ローとェクイテ ィの手続 を統合 した連邦民事 訴訟規則が制定 され,その23条で クラス ・アクシ ョンが規定 された。 ここで初 めて,クラス ・アクションにおける和解 の許可 に関す る規定が設 け られ たので ある。 同条 (C)項43)は次 のよ うに規定 されていた。
「(C)取下 げまたは和解.クラス ・アクシ ョンは,裁判所 の許 可 な しには 取下 げまたは和解 をなす ことがで きない。実現が求 め られた権利 が本条 (a) 項 (1)号44)に規定 された ものである場合 には,申出のなされ七 取 下 げ また は 和解 についてのノーテ ィスは,裁判所 の指示す る方法で クラスの全構成 員 に与 え られねばな らない。 その権利が (a)項 (2)号 および (3)号 に44)規定 さ
42)以下 の沿革 につ いて の叙 述 は,A.Homburger,StateClassActionsand
theFederalRule,71CoLUM・L.REV.609(1971),上原敏夫 「集団的救済 制度 の基礎的研究」『法学研究 (一橋大学)』11号105頁,208頁以下 (1979)による。
43)Id.at626n.94.
44)同条 (a)項 は次 のよ うに規定 されて いた。
「(a)代表 .クラス構成員 の数が非常 に多数であるため,その全員を当事者 とす ることが実行困難であ り,その全員 の適切 な代表 を公正 に保証 す る者 は,単 独 ま たは複数で,以 下に規定す る場合 には,訴 えまたは訴え られ る。 す なわ ち, ク ラ スのためにまたはクラスに対 して実現が求 め られた権利 の性質が,
90 商 学 討 究 第39巻 第2号
れ た もの で あ る場 合 に は,裁 判 所 が要 請 す る場 合 に の み ノー テ ィスが与 え られ ね ば な らな い。」
まず ,この許 可 に関 す る規 定 の立 法 趣 旨 と して ,起 草 者 と して 活 躍 した J.
Moore45)教 授 は,主 と して株 主 の代 表 訴 訟 に お け る和 解 ・取 下 げ を 具 体 例 と して 引 きな が ら46),お お む ね次 の よ うに述 べ た。
< ク ラス ・ア ク シ ョ ンに お け る和 解 の許 否 が ,連 邦 地 方 裁 判 所 の裁 量 (dis‑ cretion)に委 ね られ る と して ,そ の さい重 要 な問 題 は,現 実 に は当事 者 とな ら なか った ク ラス構 成 員 (absentclassmember)の有 す る 「間 接 利 益 (indirect interest)」の評 価 の 問題 で あ る。
当 初 ク ラス ・ア ク シ ョンで は,この種 の利 益 は考 慮 され なか った。 そ こで は, 他 の者 の訴 訟 参 加 (intervention)の許 可 決 定 また は判 決 言 渡 しま で は,原 告 が 自由 に和 解 を な し訴 え を取 下 げ る こ とが で き る権 利 を有 す る とされ ,ま た判 決 は現 実 に は当事 者 とな らなか った者 を拘 束 せ ず ,原 告 の訴 訟 の結 果 如 何 に か か らわ ず ,ク ラス構 成 員 は別 訴 の提 起 が可 能 で あ る とされ た。 ま た ,取 下 げ を
(1)合有的な (joint)もしくは共有的な (common)ものであ るとき,また は第1次的な権利者が権利の実現を拒否 したためそのクラスに属す る構成 員 が権 利 を実現す る資格を有す るに至 った という意味で第2次的な ものであるとき,
(2)個別的な ものであ り,かつ訴訟 の対象がその訴訟で争われ て い る特 定 の財 産 に影響 を与えまたは影響を与え るおそれのある請求権 についての判 断で あ ると
き,
(3)個別的な ものであ り,それ らの個別的権利 に影響す る共通 の法律 問題 また は事実問題があ りかつ共通の救済方法が求 め られているとき。」Id.
45)J.Moore& M.Cohn,FederalClassActions,32ILL. L J.307,321‑25 (1937).
46)当時 は,代表訴訟 (derivativesuit)とともに,クラス ・アクションが規定 され ていた。
なお現在 は,FED.氏.CIV.P.23.1(1966).に, 「‑・‑訴訟 〔代表訴訟 〕は, 裁判所の許可な しには取下 げまたは和解をなす ことがで きない。提案 され た取下 げまたは和解 のノーテイスは,裁判所が指示す る方法 によ り,株主 また は構成員 に与え られねばな らない。」 と規定 されている (〔 〕内は,川嶋)。
ここで簡単 に,代表訴訟 における和解の規制 の沿革を見て行 くこととす る (W.
Haudek,TheSettlementand Dismissalof Stochholders'ActionsI PartI, 22Sw.L.J.767,768‑770(1968)を参照)0
クラス ・アクションが行なわれた当初か ら,代表原告 は,ク ラスまた は会社 に
許容すべ き実際的な理 由 も存在 した。つ ま り,原告 は,敗訴 の場 合 には一般 に 裁判費用 を負担 しなければな らないが,それを回避 で きる途が開かれ るべ き要 請‑ つ ま りその意思 に反 して判決言渡 しまで訴訟遂行 を強制す べ きで はな い
とい う要請‑ がそれである。 とい うのは,このよ うな結果 を承認 しな けれ ば, 提訴 の意欲 自体 を滅過 しかねないか らである。
しか し他方 ,現実 には当事者 とな らなか った者 も,不完全 なが らも一 定 の権 利 を有 している。 それ は,訴訟参加 または判決言渡 しによ り完全 な ものとなり, 原告 の自由な取下 げを阻止 しうる類 いの ものである。 また原告 が 自己 と同 じ状 況 にある他 のすべての者 のために訴 えを提起 しなければな らないときに は,そ れ らの者すべての利益が考慮 されなければ,和解 および取下 げが許 され ない場 合 も存在す る。 た とえば,株主 の代表訴訟 において他 の株主 の権利 を害 す るお
それのある場合 には,無制限 の取下 げは許 されないので ある。
義務 を負 わないとい うのが広 く受 け容 れ られ た理論 で あ った。 代 表 原告 は,裁 判費用 のすべてを負担す るので,任意でかっ好 ま しいと考 え る条件 で取下 げ また は和解 をす ることがで きた。 それは,他 の クラス構成員が訴訟 参加 しまた は判 決 の言渡 しまで可能であ った。 したが って,代表原告 は,秘 密裡 の和解 形 成過程 で 分配 に与か る権利 を有せず,また,訴 えの取下 げに対 して異議 を 申 し立 て る こと
もで きなか った。一旦訴訟 が取 り下 げ られれば,訴訟参加 も不可能 なのである。
このような 自由な取下 げ ・和解 に対す る唯一 の コ ン トロール と して,判 例 上 , 会社 またはクラスの権利 に関す る和解 は,詐欺 お よび不誠 実 (fraudandbad faith)を理 由 として,禁止 または取 り消す ことがで きた。 この機先 を制す るため
に,1930年代 ,会社 の和解 を司法的な許可 に任意 に服 させ る制度 が徐 々 に普及 し たのである。
しか し,代表訴訟 の濫用 もまた行 なわれた。ほとん どの代表 訴 訟 は,会社 また は かな りの数 の クラス構成員 の権利 に関係 している。 それゆえ に,被 告 に と って, 原告 を買収す るとい う誘惑 は大 きか った。本案で勝 ち 目の無 さそ うな多 くの代 表 訴訟が,単 に,秘密裡 の和解 を得 る目的のためだ けに提 起 され た し,また,その よ うな和解 は,本案で勝 ち目のある訴訟 を抑制す るために も悪用 された。 さ らに, 秘密裡 の和解 が行 なわれた場合で も,代表訴訟 を申 し立 て た株主 は,費用 ・労 力
の一層 の投入 を回避す るとい う目的のためにのみ,取下 げることもしば しばであっ た。取下 げまでに提訴期間の経過等 によ り,他 の株主 は別訴 の提起 を頻繁 に遮 断 されたのである。 そ うす ると,クラス構成員の利益 も失 なわれたので あ る。ク ラス 構成員への ノーテ ィスな しに訴訟 を終了 させ ることは,行 なわれ た悪行 のす べ て を隠蔽す るのに も役立 った。 その結果 ,蚊帳の外 に置かれ た ク ラス構成 員 は,権 利 を主張す ることがで きな くなったのである。つ まり,代 表 訴 訟 は,本来 それ が 保護 を意図 した権利 の実現 を打 ち砕 くための道具 とな るおそれがあ ったのである。
9̲9 商 学 討 究 第39巻 第2号
このよ うな当事者 (代表原告) の和解 ・取下 げの自由を保障すべ き要請 と非 当事者 (代表原告以外 の被害者)の「間接利益」を保護すべ き要請 との調整 は,和 解 および取下 げを権利 と して承認す るので はな く,裁判所 の裁量 に服す る問題
と して処理す る中 に兄 い出す ことがで きる47)。 どんなクラス ・アクシ ョンで も, た とえば通謀 (collusion)によ りなされた取下 げは許 されないであろう.>
ここで注 目され るべ きことは,代表原告 によ る訴訟遂行 の結果 既判 力 (res judicata)が現実 に当事者 とはな らなか った クラス構成員 (以下,単 に クラス 構成員 と呼ぶ。) に も及ぶか否かの論議 とは切 り離 された形 で問題 が論 じられ ている48)ことであ り,とりわ け,クラス構成員 の 「間接利 益」 が問題 に され,
しか も代表原告 と同種 の被害者全体 の利益が考慮 されなければな らないとされ ている点である。 このよ うな考 えの背景 には,和解 の有す る 「現実 に当事者 と はな らなか ったクラス構成員 に対 す る波及効 」 の認識 が存在 し,そ の よ うな
「波及効」 を受 けるおそれのあるクラス構成員 を保 護 す べ き任務 を,和 解 の許 可 の制度 を通 じて,裁判所 が負担す ることを宣言 しているのである。 これ は, 和解 の許可 をなす裁判所 の任務 が,単 にクう ス ・アクシ ョンや代表訴訟 の濫 用
の防止 とい ういわば消極 的な機能 を越 えて,公正 な和解 内容 の確保 とい う積極 的な機能 として位置付 け られて いると考 え られ る点で も,特筆 に値す るよ うに 思 われ る。
その後1966年 に,同規則 は全面的 に改正 された。 しか し,クラス ・ア クシ ョ ンにおける和解 および取下 げの許可 に関す る規定 は,当初 の規定 を基本 的 に踏 襲 した ものであ った。つ ま り,同規則23条 (e)項 は,あ らゆる タイ プの ク ラ
ス ・アクシ ョン (同条 (b)項49)) について,共通 に適用 され る もの と して, 47)この よ うな見 解 を 明確 に打 ち 出 した初 期 の論 文 は,C.McLaughlin,
Capacity ofPlaintiff‑Stockholderto TerminateaStochholder'sSuit, 46YALE.L ∫.421(1937)である。 この論文が,起草者にも影響を与えた。
SeeW .Haudek,Supranote46at770‑71.
48)3B ∫.MooRE,FEDERAL PRACTIDE 2d ed, §§23.08‑23.13 (1965),Note, FederalClassActions:A SuggestedRevisionofRule23,46C oLUM・L.
REV̲818,824‑25(1946).
49)F ED.氏.C IV.P.23 (b)には,次のようなタイプのクラス ・アクションが規定
次 のよ うに規定 された。
「クラス ・アクシ ョンは,裁判所 の許可 な しには取下 げまたは和解 をす る こ とがで きない。申出のあ った淑下 げまたは和解 に関す るノーテ ィスが,裁 判所 の指示す る方法 によ りクラスの全構成員 に与え られねばな らない。」
この規定の趣 旨について,C.Wright教授,A.Miller教授 ,M.Kane教 授 は,その註釈書50)の中で,クラ不の代表者が判決 の言渡 しまた は和解 による 請求権 の満足 に至 るまで に挫折 した場合 に,クラス構成員 の権利 に影響 を与 え る不正 または不公平 な和解 ・取下 げか ら,現実 には当事者 とな らなか った ク ラ ス構成員 の権利 を保護す るものであ る と述 べて い る。 また,L..Anderson教 授51)は,この規定 に関連 して,裁判所 は,不公正 な和解 か ら現 実 に当事者 とな らな っかたクラス構成員を保護すべ き義務 を負担すべ きことを指摘 している。
さ らに,論文 Developments‑ClassActions52)は,ク ラス ・ア ク シ ョン制度
されている。「(1) あるクラスに属す る個 々の構成員 によ りまたはそれ に対 して 個別 に訴訟が遂行 され ると,以下 のよ うなおそれがある場合,(A)そのクラスに 属す る個 々の構成員 ごとに矛盾 あるいは相異 な る判決がな され,相手方 が い くつ かの互 いに相反す る行為基準 に従 わ され るおそれ,(B)そのクラスに属す る個 々 の構成員 との関係でなされた判決 が,事実上 その訴訟 の当事者 とはな らなか った
、他 の構成員 の権利 を処分 した りまたはその権利 を保護す ることを著 し く困難 に し た り妨 げた りす ることになるおそれのある場合。
(2) あるクラスの相手方が クラスに属す る者全員 にあて はまるよ うな理 由で行 為 しまたは行為 をせず,それゆえにクラスに属す る者全員 のた め に行為 の終局 的 イ ンジャンクシ ョンまたはそれ に対応す る宣言 的救済 を与 え るのが適当な場合。
(3) あるクラスに属す る構成員 に共通 な法律上 または事実上 の問題 の方 が個 々 の構成員だけに関連す る問題 に比 べて支配的であ りかっその争 いにつ いて公正 か つ効率的に判決 を下す上で利用で きる他 の手段 よ りもクラス ・アク シ ョンの方 が 優れていると裁判所 が判断 した場合。 この判断 に関連す る事項 の中 に は次 の もの が含 まれ る。(A)クラスに属す る個 々の構成員が攻撃防禦方法 を 自らコン トロー ルす ることにどのよ うな利益 を有す るか,(B)当該争 いにつ きクラスに属す る構 成員 によ りまたは これに対 してすでに提起 されている訴訟があればその程度 と性 質,(C)この裁判所 にその請求 に関す る訴訟 を集中す ることが望 ま しいか望 ま し
くないか,(D)クラス ・アクシ ョンと した ときに予想 され る訴訟運 営上 の困難 さ。」
50)7BC.W R工GHT,A.M ILLER & M . K ANE, F EDERAL P RACTICE AND P ROCEDURE,
2ded.§1797at340‑43(1986).
51)L.Ander・son,Supranote38at586‑89.
52)DevelopmentsintheLaw‑ClassActions,89HARV.L.REV.1318,1353,