• 検索結果がありません。

教員養成大学新入生の適応に関する一研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "教員養成大学新入生の適応に関する一研究"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

教員養成大学新入生の適応に関する一研究

著者 上田 敏見, 柳川 光章

雑誌名 奈良学芸大学紀要. 人文・社会科学

10

1

ページ 91‑103

発行年 1961‑03‑15

その他のタイトル A Study of Adjustment Problems in a Teachers College Freshmen

URL http://hdl.handle.net/10105/4790

(2)

教員養成大学新入生の適応に関する一研究

上   田   敏  見 碑 ;i! ."・:  章

1 問     題

大学におけるカウンセリングの歴史の古いアメリカにおいては、大学生の適応状鮭に関する研 究がかなり以前から数多く行なわれており、近年においてもJ. V. Hanna and A. Crossman (1), H. C. Lindgren (2), M. T. Tate and V. A. Musick (3), N. Lowenstein and V.

Yates (4), N. Kogan (5), L. Moser (6), J. Summerskill and C. D. Darling (7). R.

W. Matteson (8),I. L. Berger and A. R. Sutker (9), R. C. Scarf (10)などの研究が見 られる。この中、新入生を扱ったものは(1), (2), (4), (6), (8), (9), (10)であり、

質問紙法、インベントリー、文章完成法、プロブレム・チェック・リスト、自己評定尺度法など、

さまざまなアプロ‑チがなされているOわが国においても、最近漸くこの領域の研究に関心が高 まり、数年におよぶ東大の研究(ll) (16),沢田慶輔・他の研究(12),藤原勉(13),中西信男

・武衛孝雄(14) (15),の研究などが、チェック・リストやインベントリー形式を用いて行なわ れて来たO その他、同志社大学(17)や横浜国立大学(18)においても同様の調査がなされた占

本研究は、地方小都市の、教員養成大学の新入生が当面する適応問題の実鮭を、プロブレム・

チェック・リストを通じて客観的に把姦し、カウンセリングの基礎資料とすると共に、かれらの 入学后の大学生活への適応過程を追究しようとするものである。この報告においては、入学当初、

学生の抱いた適応上の諸問題を領域別・項目別・性別に概観し、他大学において得られた結果と 比較し、併せてカウンセリングの必要性の有無を検討するにとどめ、その他の点については、別 の機会にゆずりたいと思う。

混 方     法

⊂1〕対     象

奈良学芸大学へ昭和35年4月に入学した新入生、男子87名、女子77名、合計164名。

【2コ 方     法

Mooney Problem Check List (ll)の日本版ともいうべき「学生・生徒生活調査票」 (MP CL ‑59‑C,東大学生相談所版)を用いた。この調査票は6貢の折り込み式になっていて、第 1両に氏名・年令など学生の記入すべき事項および一般的注意・記入要領が記きれている。第2

・3 ‑ 4面には次のような12領域(各領域毎に30項目) 360項目の短文が記され、第5面には問 題項目に対する感想および付加したいと思うことと問題の要約を記入するスペース、第6面には

この調査票の評価と問題解決の意志についての回答らんが設けられている。

領域およびその内容:

健康〔HPD〕 (健康および身体発達について)、経済〔FLE〕 (経済状態、住居などについ

(3)

92 教員拳成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川)

て)、教養〔SRA〕(社交・娯楽・余暇利用について)、社会性〔SPR〕(対人的な反応の諸 特徴などについて)、性格〔PPR〕(自分の性格などについて)、異性〔CSM〕(異性関係・性

・結婚などについて)、家庭〔HF〕(家庭・家族のことについて)、人生〔MRL〕(人生観・信 働・道徳などについて)、修学〔ACW〕(勉学および大学への適応について)、将来(FVE〕

(進学・職業など将来のことについて)、教育内容・方法〔CTP〕(講義・クラス・教師などに ついて)、思想〔PPS〕(政治・社会などについて)

項 目 の 具 体 例:

1 疲れやすい。

66 奨学金が貰えるかどうか心配である。

132 異性と約束するのがへたである。

196 あまりに他人をうらやんだり、ねたましく思いすぎる。

261 まちがいをしないかと心配する。

266 異性というものに失望した。

272 家で子供援いきれる。

280 人生には希望がない。

282 理論や抽象方面のことが不得手だ。

348 理想とする職業と、自分の能力とが調和しない。

351 学校の成績は、能力を正当に評価してほしい。

357 戦争の危険が増大していくのが不安である。

一室で全員一緒に調査目的の説明をきいた後、先ず、学生は第1面の所要事項を記入し、「注 意」および「記入要領」をよく読んでから、第2面以下の項目を番号噸にたどり、かれが現に気

になっている問題や悩んでいる問題があれば、その下にアンダーラインを引く。この作業が全部 すむと、第4面の下端の指示にしたがってアンダーラインを引いた各項目をもう一度読み返して、

その中で特に悩んでいる項目の番号を○でかこむ。このチェックが終ると、次に、第5・6面の 記入を行なう。このような手続によって調査がなされたが、全員記入完了に約50分を要した。調 査時期はオリエンテーシ冒ン・ウイークの1日(昭和35年4月11日)をあてた。

Ⅱ 結 果 と そ の考察

【1】領域別の反応傾向

アンダーラインとサークル(○)のそれぞれについて、反応数と回収数から12領域別の平均反 応数を求めた結果は、Tablel,Table2 に示す通りであった。個人の反応総数は、男子におい てはアンダーラインが2から101、サークルが0から23;女子においてはアンダーラインが1か

ら132、サークルが0から37の範囲であった。Tablel に見られるように、アンダーラインの 反応の多い領域は修学・性格・教養・社会性・思想・将来で、少ない領域は家庭・異性・教育内 容および方法となっている。サークルについてもほぼ同様の傾向が見られ、多いのは修学・性格

・社会性・将来・教養という領域、少ないのは異性・教育内容および方法などの領域である。両 者を通じて、修学・社会性・性格・教養などの領域に適応上の間塩が多く、異性・教育内容およ び方法などの領域には比較的問題が少ない傾向がみとめられる。この傾向はLowensteinなどの 見出した傾向(4)とほぼ似ている。これは新入学直后の時期に調査したため教師や講義につい ての知識が不足していること、記名方式による調査のため異性に対する適応問題を卒直に衰現出

(4)

教員養成大学新入生の適応に鴎する一研究(上田・柳川)

(注)平均反応数=

Table 2  鐸‖或別平均反応数及び順位

(サークルについて)

l 男  子(Nニニ87)

料一寸義鵜謡†有義

健   康l 36 経++濯自  51

人   生 修   学 将   来 療育内容二 方   法

思   想1 30

(注)平均反応数

0.4[  7

反応数l言付憲日頃 女  子(N=77)

.・∵!・

3[ 39

1   F−l ̄        ▼

0・2j謡−−一三

合  計(N=164)

反応数ほ応打頂位

73!0・4 E

75! 0.5

6

0

27一49

0.2! 12

0.3i   8

:烹ヒ

0.5;  41 90l. 0.51  4

 ̄   、− 11

0・319 い   .し・ご

111

可二重[至1 11

48[0.3[ 9

(5)

94 教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川)

来ない抵抗があったのではないかと考えられる。

この結果を他大学における結果と比較してみると、Table3のようになる。この表中、横浜 国立大の場合は新2年生についての結果であるが、他はいずれも新入生について、入学后間もな い頃行なった調査結果である。なお、方法としては、いずれも同一のチェック・リスト方式を用 いている。

この表によれば、大学の性格によって適応問題の多少の領域に差異のあることが目につく。す なわち、東大生においては健康の領域がつねに1・2位を占めているが、他大学生では中位以下

である。これに対し、本研究 Table 3  領域別平均反応数による順位の比較

(サークルについて)

本研究 昭35.

Nこ=164

東   大 儒課慄志等

昭32.I 昭33. 画面 ̄「画面1滴「

N=1917!N=2019;N=2052j N=142個=1735

健   康l  71 1] 1] 2

性   格j  21 6 異   境‖ 12[

家   庭l  8 人   生[ 10

予  ・芋  1   5   ・1 将   二乗1  4[ 3

教習内容・

方   法

−l ̄ ̄  l−

11… 11l12

㌣1−1二

※ 昭和34年産新2年生

一., ▼ ̄. ̄ ̄ ̄ll ̄    −n−. ̄・1 1

3; 4.5[

±i=□

9[ 4.5.1

−一______」

および横浜国立大の結果では 修学が首位、性格が2位に立 っている。同志社大では教育 内容・方法が首位、修学が2 位、教養が3位となっている。

なお経済は同志社大では比較 的下位に属するが、他大学で は上位文は中位にあることも 興味深い。これとほぼ逆の傾 向を示すのが思旭の領域であ

る。社会性・性格の領域も同 志社大と他の3大学において は趣を若干異にしているよう である。同志社大の学生にお いては中位であるに対して、

東大・本学・横浜国立大では 上位にランクされている。こ のような相異は、おそらく、

各大学の学生集団層の差にも とづくものと考えられ、さら には学生の所属する学部・学 科による偲向差も当然考えられる(11),(17)所である。

次に性差について考察してみよう。先ず反応数の平均は、アンダーラインの場合、男子は32.35、

女子は30.96、SDは男子24.30、女子22.05となり、才検定の結果、両者間に有意差をみとめるこ とが出来なかった(£=0.381,ダニ162)。サークルの場合の平均は、男子6.87、女子5.70で、S Dは男子5.25、女子7.95となり、やはり有意の性差は見出せなかった(Z=1.120,〃=162)。こ のように、総反応数に関しては男女間に差異がないといえる。又、領域別平均反応数および噸位 に関する性差も、Tablel,Table2 にみられるように、明らかでない。むしろ、個々の項目に ついて検討する際に明確化するものではないかと思われる。同一の領域に属していても、男女に よって悩みとする項目は異なっていると考えられるからである。

【2二】反応率高位の項目

アンダーラインした360項目の個々について、男子・女子・合計のそれぞれの反応率(%)を

(6)

教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川) 95

算出し、その中で男女合計の反応率が19.5%以上の項目を抜き出し、項目番号、順位、領域、反 応率などを示したのが Table4である。反応率19.5%以上の項目数は360項目中、男子は31、

女子は42あり、X2検定(2×2分剖表)をしてみるとX2=1.845となり有意差をみとめられな Table 4  反応率高位の項目及び反応率   (アンダーライソについて)

憶.甘 項++目つ

将東に対して、ぱく然とした不安が ある。

80; 2;真の友人を求めている

≡一工

73131教養をもっと高めたい。

29針  3

三五

好きでない科目もとらねばならない。

5i人との応援がへたである。

√悔蒜些細なことにこだわりすぎる

項目の属する 餌     域

反 応 率(%)

男 子!女 子

采[ 36.01 36.8[ 35.1

会  性

34・8】28・7[41・6

・llllll−− −1−   −・−−一   ..  − 、一  .

・    _−・1

41.6日*

25.3

教育内容・方法i 32.9 教     養

[性   格 7I奨学金が貰えるかどうか心配である言経    済 7 庸吾学の陛力がない

ノ_j

9i他人の感情を気にする。

16F lO

L L。Y _−−

102i ll

おくびようで、恥ずかしがりやであ る。

自分の縫力に自信がもてない 121効果的な勉強の仕方がわからない。

12[とても旅行がしてみたい。

141口で答えるのが苦手だ。

270l15 3異性と清らかに交際したい

2251」と

15

字がへたである

簡指身のほ

いハ

18 劣等感がある

んとうの姿がつかめな

240[19i正直者が馬鹿をみている 云 ̄「云 ̄0 ̄丁神料料元云

306i 20i休暇中アルノミイトが必蓼である

 ̄妄 ̄ ̄ほ竺悠手L輿輿撃鰭,至誠りあつかったらよいかわからない

基礎的学力が出来ていない 私の職業遺択が賢明 すぐ顔が赤くなる

103j 26

−ITI−

223l26 28

修     学 社  会  性 社  会  性 修     学 修     学

かどうか顧問だ言将 書くことが苦手である。    ;修 自分自身を、うまく言菜で言い表わ 修 せない。

世の仁和こは不正や不蓑が多すぎる。l恩 281勉強の方法がうまくない。   :修

285!28

319

大学で、落籍しはしまいかと心配だ言修 他人の意見にすぐ左右されてしまう。1社

⑧ *∴:::鐙ilevelで有意の性差あり。

1

32・2;33・8

」警十空割

29.3[ 29.91 28.6i

28.7( 32.2 28.71 33.3 28.0 27.4 26,2 25.6 25.61 24.1

24.4; 34.5

格j 22・0

:・日 い

 ̄1

1

−−−1

りL・

l

25.3118.2

−−− ̄ ̄ ̄  1−

28.7; 27.3

.−  :−;.  ミ・−、  ・i

前 ̄高手!19.5l22・1:・−  .  ・llllllllllll.−一      一 1       −−        −   1 .....−l l

結語「芸完封

l l    _−___L16・9ii

学;20.11 31.0 7.8 い拍 学!20当 20・7l19・5日

−、一一−   、  一

怒l19・5[空5」聖_・工

学119・5上7・2」聖上

姦完工雲上霊鳥鵠

l_r l

(7)

96 教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川)

かった。同様にして、サークルの場合の反応率高位(男女合計で4.9%以上)の項目を示したの がTable5 である。Table6 は、Table4 およびTable5

月を抜き出してまとめたものである。

Table 5  反応率高位の項目及び反応率

真の友人を求めている。

些細なことにこだわりすぎる。

自分の駆カに自信がもてない。

他の学科に転科したい。

字がへたである。

奨学金が貰えるかどうか心配である。

劣等感がある。

人との応接がへたである。

おくびようで恥ずかしがりやである。

基礎的学力が出来ていない。

語学の賠力がない。

神経質である。

112!13

139113

159113

クラスはもっと楽しい場所でありたい 他人の感情を気にする。

自分自身のほんとうの姿がつかめない とても旅行がしてみたい。

自信がない。

171試験が心酉巳だ。

285 j 17

−− ̄    −       . − −

.ご・h IT

306】17

大学で落第Lはしまいかと心配だ。

好きでない科目もとらねばならない。

休暇中アルノミイトが必要である。

において有意の性差をみとめた項

(サークルについて)

社 会 可11・6

.・     ∴ llり

㌃一一一意l

修     学 経     済 社  会  性 教     養 社  会  性 修     学 修     学 性     格

教育内容・方法

社  会  性 人     生 教     養 性     格 修     学 修     学

教育内容・方法

経     済

聖と3.4

7.8 5.2 6.5 7.8 0.0】 10,4

4.91 4.61 5.2

1−−

I J− −−.・. ̄

l      】

−    .

㊧ 言∴鐙巨evelで有意の性差ありo

Table4 によれば、領域別平均反応数による噸位では中位以下にあった領域、たとえば将釆

・人生・経済・教育内容および方法・異性などの中にも深刻な適応問題項目のひそんでいること が分る。これをさらにつきつめた形で示しているのがTat)le5 である。この両表から、すでに 見て来た問塩の多い領域の中でも真に悩みとしている具体的事項を拾い出せるし、さらに、領域 別把握には浮び上らなかった悩みの個々の問題項目が明確にみとめられる。Table4 および Table5の項目中、重複しているもの、すなわち非常に大きな悩みと考えられる項目番号を挙げ

(8)

教貞養成大学新入生の適応に蝿する一研究(上田・柳川)

Table 6  有意の性差を認めた項目 l項目

−\‥ 横   坑

!−.・川

ア ン ダ ー ラ

信頼水準j性+差圭】+が

学『   7.721

空才__軋」3・729

二1−    −‥

l

159 285

319

人    生ill  5.135I 修   学日  3.859

社  会  性

:亘桓

−.

   ̄    1

3.859!

li−j

0.01: MくF  日   8.774

0.01i M>F

垂j至

−. F

0.05;MくF

−一 ▼、し_   _

ク    ル

信根水準]性  差 0.011 MくP

0.05[ MくF l[  7.395(   0.01

一一.・し1 \1 い、

会 性lI (2・962)! (0・10)

−       −     、       −         .

格[!(1.204)i

97

MくF

l.∴一一1    −日−・!  M F

1

4.365[ 0.05[M>F

てみると、80、22、102、66、140、131、16、44、104、23、139、159、315、285、295、306の 16項目で、Table5 中の全項目の約8割に達している。

Table5 と東大(昭和34年度)の結果(16)とを比較してみると、東大における反応率の上 位から10位までの中で重複している項目番号は、80(東大9位)、22(東大6位)、66(東大1位)、

16(東大5位)、159(東大4位)の5項目にすぎない。ここにも大学間の差異の一断面がみられ るのである。東大の他の5項目の内容は、「専門課程への進学が希望通りできるかどうか不安で ある」(2位)、「今すぐにアルバイトがほしい」(3位)、「私の職業的な適性を知りたい」(6 位)、「疲れやすい」(8位)、「将来に対して、ぼく然とした不安がある」(10位)である。地 方小都市の大学生にはみられない切迫した悩みの一面を示すものといえるであろう。

次に、Table6によって、反応率高位の項目にみられる性差を検討してみよう。先ず、項目番 号102(自分の能力に自信がもてない)と285(大学で落第Lはしまいかと心配だ)の2項目は、

アンダーラインにおいても、サークルにおいても、一貫して、有志に女子に多いことがみとめら れる。アンダーラインに関して女子に多いのは、項目番号73、159、319の3項目、反対に男子に 多い項目は、225、103の2項目である。サークルについては、80が女子に多く、23が男子に多い。

このように、女子は社会的適応や人生・教養の領域の中に切実な問題を多くもつが、男子には神 経質に悩むものが多いといえよう。又、男女共に修学に関する悩みは多いがその問題とする点は 異なり、女子では自己の能力・及落といった本質的な面を、男子では文字の拙劣さとか書くこと

というような比較的皮相的な面を問題視し、苦しむものが多いのである。

このような慣向は、サンプルの偏りからすれば、必ずしも一般大学の男女学生間の差異を示す ものとは考えられないであろう。なお、反応率高位の項目に限定して得られた結果であって、こ れだけのデータから本研究対象の性差を断定することも危険であるが、教員養成を主とする本学 学生の性差傾向がほぼ反映されていると思われる。女子学生には比較的優秀な、広い視野をもっ た思索的傾向の強い学生が多いが、将来の進路がほぼ限られているため、男子にはどちらかとい

えば regressive な学生が多いという事情にもとづくと考えられるのである。

(9)

98 教員養成大学新入生の適応に閑する一研究(上田・柳川)

【3】問 題 の 概 要

360項目のチェックを終えてから記入する「あなたが最も悩んでいる問題の概要をわかりやす く書いて下さい」の回答を領域別に整理すると、Table7 となる。無応答者が相当あったが、観 城として多いのは修学・将来・社会性である。社会性では1%レベルの有意の性差(X2=6.649)

をみとめたが、これは〔2】の結果と一致する。その他の績城における性差は有意でなかっ た。

このような限定した集約的な形でとらえると、将来の領域にも切実な問題が相当多数みられる ことは興味深い。しかし、チェックの結果と踪合してみれば、やはり修学・社会性の領域に多く の深刻な適応問題のあることが明らかである。修学に関するこの傾向はMoser の研究結果(6)

に近いように思われる。

Table 7  領 域 別 分 布  (概要の応答について)

全   体

[餌  域

i高一一 騎

1芸一一一

j旦

応答数i %

:一    一‥・

養! 1 3.7 9.6 0.7

会  慎‖  19[14.0 性     格

l生・一一淵

l家

し±_−_」_ −_生

;修   学

将     来

教育内容・方法 忠     恕

11 i

l l l

2一5

8

5

8

男   子l 女   子 ;性 応答数l グ右】応答数l %:差

竺_ll ′ヲ」__聖

5l 7.91

±⊥才軋___?_上空

5; 6・8日 14 9i 12.3日   2

二二 ‥二 3.2ij

:仁計寺∃

1−F一一一一一一一u一一「一一一一一一一一一一一、−−−−−1

0.7, 010.0,日 1;1.6

−−− −−一ん一一一一−一一...  一一一一一一J

急二工訃一一三度

0! 0.01   2; 3.2

11 −「 ̄ 二、日

4; 5.5日   11 1.6

計 −1361100 ! 73[100 −  63jlOO

⑭ Nこ=男子87ク女子77,計1糾。無応答数=男子34フ 女子23フ 計57

%は応答総数をこ対する各餌妓別responseのパーセント。

**・‥‥・1%1evelで有志の性差あり。

【4】本調査票 の評価 このような形 式の調査票に記 入することが、

学生によってど のように評価さ れているかは、

Table8,Table 9に示される。

Table8から、

この調査票が学 生の当面してい

る問題をよくと らえていると思 うものが86%の 多数であること が判明したが、

これはあくまで も大学の新入生 としての傾向で あることを忘れ てはならないで あろう。入学后、他にも面接法・投射法など人間の深層の問題を把握する方法があることを学べ ば、これほど高率の支持を維持できないように考えられるからである。

Table9 によれば、この調査の価値をみとめないものが34.8%あり、無応答(10.9%)と合 するとほとんど半数に近い学生が、本調査票の積極的な価値をみとめていない。このことは注目 に値する。或る学生は、「他人に問題があることを示しても、文相談しても、結局何にもならな い。自分の問塩は、結局は、自分によってしか解決できないものであり、又、どうにもならない こともあるのだから。」と述べ、他にも同様な回答が数名あった。これらのものは本調査の目的

(10)

教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川) 99

およびカウンセリングの効果についての認識が不足していたものと思われるから、この結果を基 礎資料として展開されるガ

イダンスないしカウンセリ ングの成果を知れば、その 評価は自ら多分に変化する ことであろう。しかしなが ら、問題をもちながら表明 できないものや表明しよう

とする努力さえしないもの が、なおかなりあることは 看過すべきでない。この種 の学生は他の方法をまたね ば検出できないこと、つま り、この形式の調査票には 明らかに限界があること、

このような学生に対してこ

Table8 この調査票であなたが「しるし」をつけた項目が、あなた の当面している間塩や悩んでいる問題を、よくとらえてい ると思いますか。

−      1      −

箋薫曇堤等

7(9.1グム),;16(9.8%);

3(3.5%); 4(5.2%)! 7(4.2%)

この調査票およびこの調査票に記入することは、あなたに とって価値があると思いますか。

1:男子(87名)

Ii一二∵二一二誓一一一讐

!恩    う;! 45(51・7タの; 44(57.1%)

五五五㌃√㌃有料 ̄「右京謡う

l       日 日.°  一一 ‥

凍 応 答日 11(12.7%)1 7(9.1%)

合計(164名);

89(54.3クの 57(34.8ヲの 18(10.9タの

そカウンセリングの手をさしのべなければならないことを考えさせられるのである。

【5】カウンセリングの必要性

TablelOは、「もし機会があったら、あなたはここに書きこんだ項目の全部、またはそれらの うちどれかについて、本学の誰かに相談しようと、思っていますか」に対する回答をまとめたも

TablelO  相談しょ う と思 う か。

男   丁[女  J 合   計

相談しょうと思っている 思 っ て い な い 無    反    応

崇芸十芸芸

7(8・1%)[ 3(3.9クの 87(100%=  77(100形)

Tablell  相談相手を知っているか。

男   子 女   子

知 っ  て い る! 25(28.7%)i  23(29.9ヲ′の 知  ら  な  いil 44(50.6%)[ 40(51.9%)

i−‥−.一つ

43(26.2%)j

−_.,__     −___.▼___1

10(6.1%)[

164(100%)[

合   計 48(29.3%)

84(51.2タの 無    反    応  18(20.7%)l 14(18.2好日  32(19.5ワの 計   187(100%)! 77(100%):164(100%)

の、Tablell は、

「もし相談すると したら、相談相手 になるような人を 知っていますか」

に対する回答をま とめたものである。

相談しようと思 うものが67.7%も ありながら、相談 相手になるような 人を知らないもの が51%、無反応を も含めると70%に も達している事実 はおどろくべきも のといわねばならない。

東大の資料(16)によれば、相談しようと思っているものは、招和30年度60.7%、昭和31年度 65.1%、昭和32年度57・4%、昭和33年度62・3%、昭和34年度60.0%である。この点についてはほ ぼ本研究結果と同一傾向といえよう。ただ、これらはいずれも新入学時の結果であって、大学生

(11)

100 教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川)

活にとけ込んで適応していくにつれてこの比率は減じていくものと予想される。

なお、相談しようと思っていないものや無反応者の中にも、カウンセリングを必要とするもの・

が相当数潜在しているとみるべきであるから、以上のデータから、大学におけるカウンセリング の必要性を大いにみとめねばならないと考えられる。

Ⅳ 要     約

教員養成を主とする大学の新入生男女合計164名に対し、プロブレム・チェック・リスト(学 生・生徒生活調査票 MPCL ‑59‑C)を施行し、入学直后にかれらが抱く適応上の諸問題を 把握し併せてカウンセリングの必要性について検討しようとした。その結果は大要、次の通りで m&

(1) 12領域360項目に対する個人の反応数のrange は、アンダーラインにおいては男子2

‑101、女子1‑132;サ‑クルにおいては男子0‑23、女子0‑37で、個人平均は前者において 男子32.35,女子30.96、后者においては男子6.87,女子5.70であっtzc ともに有意の性差はみと められなかった。

(2) 12領域別に平均反応数を算出して検討してみると、修学・社会性・性格などの領域に適 応問塩が比較的多く、異性・教育内容および方法などの領域には問塩が少ない傾向があった。性 差は明らかでなかった。

(3)反応率高位の項目を抽出して検討を加えた結果、領域別考察においては目立たなかった 領域の中にも深刻な問題項目のひそんでいることが判明した。これらの項目についてそれぞれ性 差検討を行なった結果、若手の項目において有意の性差をみとめることが出来た。

(4)新入生の最も悩んでいる問題の要約によれば、修学・将来・社会性の領域に間組が集中 する傾向があった。有意の性差がみとめられたのは社会性の領域のみであった。

(5)以上を綜合して、本研究対象の新入生にあっては、修学ならびに社会性の領域に多数の・

深刻な適応問題があり,数こそ多くはないが切実な問題が将来の領域にもあることが明らかにさ mm

(6)この調査票は学生の当面している問題や悩みをよくとらえているとの評価が大多数であ ったが、その価値を積極的にみとめないものが約半数あった。

(7)新入生のカウンセリングに対する要望はまことに大きく、大学におけるこの面の充実の, 必要性が確証されたO

なお、今后、学生相談室‑来室する学生が、カウンセリングの進展につれて適応問題をいかに 変容させていくか、又、一般学生の示す大学生活への適応過程はいかなる形をとるか、などにつ・

いて、他のアプロ‑チをも併用しながら追究していきたいと思うo 文     献

(1) J. V. Hanna and A. Crossman : The problems of freshmen entering Washington Squareこ

College, New York University. Counseling, 1954, 12(7), 2‑3.

(2) H. C. Lindgren : The use of a sentence completion test in measuring attitudinal changes

(12)

教員養成大学新入生の適応に関する一研究(上田・柳川) 101

among college freshmen. /. soc. Psychal., 1954; 40サ79‑92.

・(3) M. T. Tate and V. A. Musick: Adjustment problems of college students. Soc. Forces, 1954;

33, 182‑185.

(4) N. Lowenstein and V. Yates : How freshmen feel about college. Personn. Gutd. ]., 1955?

33, 379‑380.

(5) N. Kogan : Studies of college students. /. counsel. Psychol., 1955; 2, 129‑136.

(6) L. Moser : Analyzing some of the transitory fears of entering college freshmen. Coll. & Umv., 1955, 30, 282‑283.

t?) J. Summerskill and C. D. Darling : Sex differences in adjustment to college. /. educ. Psychol., 1955, 46, 355‑361.

(8) R. W. Matteson : Self‑estimates of college freshmen. Personn. Gutd. /., 1956, 34> 280‑284.

(9) I. L. Berger and A. R. Sutker : The relationship of emotional adjustment and intellectual capacity to academic achievement of college students. Ment. Hyg., N. Y., 1956j 40, 65‑77.

R. C. Scarf : Differential scores and unstable personality. ]. educ. Psycho!., 1957, 48, 268‑272.

(ll) R. L. Mooney and L. V. Gordon : Mooney Problem Check List (1950 Revision), Psychological Corporation, 1950.

‑(12)中村弘道・他:学生のフラストレ‑シヨソについて(日本心理学会第20, 21, 22, 24回各大会発表) 昭31一昭35.

113)沢田慶輔・他1.大学生のフラストレーションについての研究(日本か理学会第23回大会発表)昭34.

(14)藤原勉1.女子短大生のフラストレーションについて(日本心理学会第230大会発表)昭34.

(15)中西信男・武衛孝雄.・大学生活の適応に関する研究(Dj (2) (日本教育心理学会第1回給金発表)昭34.

uG)武衛孝雄・中西信男:学生生活の適応に関する研究(4) (日本教育心理学会第2回総会発表)昭35.

u7)東大教養学部:学生部だより No. 28, 12‑18.昭34.

(18)同志社大学学生部学生相談所: The Doshisha Counseling第2号,昭34. ll. 16.

(19)横浜国立大学1.学生・生徒生活調査票college板調査結果. (未公刊プ1)ソト)昭35.

(20)小山直之・毛利昌三・中村正夫・犬丸供:現代学生の不安・悩みに関する研究一中央と地方大学との JIL軒IIL考察‑‑ (教"ftt会心Fll‑mT、第1巻fg 1?.‑. ‑42‑ 50)コ35.

(昭35年11月1日受理)

(13)

102 m.mm.mx^mxi^.om&K.mtz,-m^ c±h - wd SUMMARY

A Study of Adjustment Problems in a Teachers College Freshmen

TOSHIMI UEDA and MITSUAKI YANAGAWA

Department of Psychology, Nara Gakugei University, Nara, Japan

PURPOSE :

There have been a variety of studies of adjustment problems among college freshmen in U.

S. A., some of which have shown the significance of researches of this kind. But, here in Japan, it is only in recent years that similar researches have been made. The purpose of the present paper is to find the number and kinds of adjustment problems in a local teachers college freshmen, and to examine the necessity of the counseling system there.

PROCEDURE :

In the present study, a Japanese revision of the Mooney Problem Check List (revised by Tokyo University) was administered to a group of 87 male and 77 female freshmen in a teachers college, Nara, Japan, shortly after their entrance into the college (April ll, 1960). The revised check list consists of 12 categories, each of which is composed of 30 items respectively. These categories are as follows:

HPD (health and physical development), FLE (financial, living conditions and enviro- nment), SRA (social and recreational activities) , SPR (social and personal relationships).

PPR (personality traits), CSM (companions, sex and marriage), HF (home and family), MRL (morals), ACW (adjustment to college work), FVE (future vocation and education), CTP (class, teachers and lectures), PPS (present politics and society).

FINDINGS :

( 1 ) The average number of the adjustment problems checked for each student was 32-35 for men and 30.96 for women in case of "underline". It was 6.87 for men and 5.70 for women in case of "circle". The total number of problems in individual cases ranged from 2 to 101 for men and from 1 to 132 for women in the former case, and, from 0 to 23 for men and from 0 to 37 for women in the latter, indicating a wide range of individual differences. None of the sex differences obtained were statistically significant.

(2) There seemed to be a tendency thata large number of adjustment problems were found in such categories as ACW, SPR and PPR, and that they fell least in the cate- gories of CSM and CTP. Sex differences remained rather obscure (Table 1 and Table 2).

(3) Analysis of the data in terms of items frequently checked indicated a new phase of fact that there were a few, but very serious problems in categories other than ACW, SPR and PPR, which was not so clear-cut in the analysis of categories of very high incidence (Table 4 and Table 5). Statistically significant sex differences were found in several of these items (Table 6).

(4) Summarization by the freshmen of their problems they concerned about most

seriously indicated that they suffered most from the problems belonging to such catego-

(14)

5

cM*fc^f?A*©jHsKK:|8-t 2>-W% (±ffl - fDJ I I) 103

ries as ACW, FVE and SPR. In the analysis of sex differences obtained, none but one (in SPR) were statistically significant (Table 7 ).

( 5 ) Grossly interpreted, it may be concluded that the freshmen concerned most about college work and social, personal relationships, and that there were a few but very serious adjustment problems in the area of their future vocation and education.

(6) Evaluation by the subjects of the check list was made. Most of them recognized that the list was very well designed as a tool to identify their adjustment problems, but, it was only about half of them that appreciated the value of the list (Table 8 and Table9).

(7) The fact that most students needs help in terms of counseling, and the urgent

necessity of establishing counseling system in the college, was strongly evidenced (Table

10 and Table ll).

参照

関連したドキュメント

Keywords and Phrases: moduli of vector bundles on curves, modular compactification, general linear

She reviews the status of a number of interrelated problems on diameters of graphs, including: (i) degree/diameter problem, (ii) order/degree problem, (iii) given n, D, D 0 ,

В данной работе приводится алгоритм решения обратной динамической задачи сейсмики в частотной области для горизонтально-слоистой среды

For instance, Racke & Zheng [21] show the existence and uniqueness of a global solution to the Cahn-Hilliard equation with dynamic boundary conditions, and later Pruss, Racke

We present sufficient conditions for the existence of solutions to Neu- mann and periodic boundary-value problems for some class of quasilinear ordinary differential equations.. We

Based on properties of vector fields, we prove Hardy inequalities with remainder terms in the Heisenberg group and a compact embedding in weighted Sobolev spaces.. The best constants

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Definition An embeddable tiled surface is a tiled surface which is actually achieved as the graph of singular leaves of some embedded orientable surface with closed braid