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2 平成 28 年度に講じた施策 [ 重点施策 Ⅰ] 水産業の早期再開に向けた支援 (1) 漁港 漁村 p 漁港復旧の取組震災により県内にある142 漁港 ( 県管理漁港 27 港, 市町管理漁港 115 港 ) の全てが被災しました 壊滅的な被害を受けた各漁港の早期復旧は, 本県水産

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(1)

2 平 成 2 8 年 度 に 講 じ た 施 策

[重点 施 策Ⅰ] 水 産 業 の 早 期 再 開 に 向 け た 支 援

( 1 ) 漁 港 ・ 漁 村 【 p 2 8 - 3 1 】

① 漁 港 復 旧 の 取 組 震 災 に よ り 県 内 に あ る 1 4 2 漁 港 ( 県 管 理 漁 港 2 7 港 , 市 町 管 理 漁 港 1 1 5 港 ) の 全 て が 被 災 し ま し た 。 壊 滅 的 な 被 害 を 受 け た 各 漁 港 の 早 期 復 旧 は , 本 県 水 産 業 の 復 興 に と っ て 不 可 欠 で あ る こ と か ら , 全 漁 港 を 一 日 で も 早 く 使 用 で き る よ う 復 旧 作 業 を 進 め て い ま す 。 な お , 本 格 復 旧 工 事 は 平 成 2 3 年 1 2 月 か ら 着 手 し , 平 成 2 9 年 3 月 末 現 在 , 災 害 査 定 件 数 ベ ー ス の 着 手 率 は 9 3 % ( う ち 県 管 理 漁 港 9 1 % , 市 町 管 理 漁 港 9 4 % ) と な っ て い ま す 。

( 2 ) 漁 場 ・ 資 源 【 p 7 - 9 】

① 漁 業 活 動 の 支 障 と な っ て い る ガ レ キ の 撤 去 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 大 津 波 に よ り , 膨 大 な 量 の ガ レ キ が 漁 場 に 流 出 し た こ と か ら , 養 殖 漁 場 の 周 辺 な ど , 漁 場 へ 流 入 し た ガ レ キ を , 起 重 機 船 を 用 い て 撤 去 し ま し た 。 ま た , 底 び き 網 漁 業 の 操 業 時 に 回 収 さ れ る ガ レ キ の 処 理 を 支 援 し ま し た 。 ● み や ぎ の 漁 場 再 生 事 業 起 重 機 船 な ど に よ り 養 殖 漁 場 を 中 心 に ガ レ キ 撤 去 を 行 い , 平 成 2 3 年 度 か ら 平 成 2 8 年 度 ま で に 1 7 5 ,6 1 4 m3( 平 成 2 8 年 度 実 績 1 ,5 6 7 m)の ガ レ キ を 回 収 し ま し た 。 ● 漁 場 生 産 力 回 復 支 援 事 業 漁 業 者 が 行 う ガ レ キ 回 収 へ の 支 援 を 行 い , 平 成 2 3 年 度 か ら 平 成 2 8 年 度 ま で に 1 0 4 , 4 4 2 m3( 平 成 2 8 年 度 実 績 5 6 3 m) の ガ レ キ を 回 収 し ま し た 。 ② 栽 培 漁 業 の 種 苗 放 流 支 援 平 成 2 7 年 1 0 月 に 稼 働 を 再 開 し た 本 県 種 苗 生 産 施 設 で , 国 の 「 被 災 海 域 に お け る 種 苗 放 流 支 援 事 業 」 を 活 用 し , ア ワ ビ , ヒ ラ メ な ど の 放 流 用 種 苗 を 他 県 の 種 苗 生 産 施 設 な ど か ら 購 入 し , 中 間 育 成 な ど の 後 に 県 内 各 地 で 放 流 を 行 い ま し た 。 な お , 新 し い 本 県 種 苗 生 産 施 設 で の 中 間 育 成 後 の 放 流 は 震 災 後 初 と な り ま し た 。 ( 種 苗 放 流 支 援 の 内 容 ) 魚 種 種 苗 購 入 先 /本 県 生 産 購 入 数 量 放 流 数 量 放 流 時 期 ア ワ ビ ( 公 社 )北 海 道 栽 培 漁 業 振 興 公 社 奥 尻 町 6 0 0 千 個 ( 10~ 20mm サイズ) 5 0 千 個 (40~ 50mm サイズ) 3 1 6 千 個 ( 3 0 m m ) 5 0 千 個 (40~ 50mm サイズ) 6 月 6 月 宮 城 県 水 産 技 術 総 合 セ ン タ ー 1 , 2 9 1 千 個 (平 均 2 5 m m サ イ ズ ) ― 平 成 29 年 度 放 流 用 計 1 , 9 4 1 千 個 ( 1 0 ~ 5 0 m m サ イ ズ ) 3 6 6 千 個 ( 3 0 ~ 5 0 m m )

(2)

魚 種 種 苗 購 入 先 /本 県 生 産 購 入 数 量 放 流 数 量 放 流 時 期 ヒラメ ( 公 財 ) 茨 城 県 栽 培 漁 業 協 会 1 5 0 千 尾 ( 3 0 m m サ イ ズ ) ― ― ( 一 社 ) 岩 手 県 栽 培 漁 業 協 会 2 7 0 千 尾 ( 3 0 m m サ イ ズ ) 2 0 0 千 尾 ( 8 0 m m ) 8 月 計 4 2 0 千 尾 ( 3 0 m m サ イ ズ ) 2 0 0 千 尾 ( 8 0 m m ) ③ 東 日 本 大 震 災 に よ り 被 災 し た 漁 場 の 復 旧 整 備 東 日 本 大 震 災 に お け る 津 波 や 地 盤 沈 下 な ど に よ っ て 多 く の 干 潟 や 澪 が 消 失 し た た め , 漁 場 環 境 の 悪 化 や 漁 場 生 産 能 力 が 低 下 し , ア サ リ 漁 業 を は じ め と し た 漁 業 生 産 へ の 影 響 が 懸 念 さ れ て い ま す 。 こ の た め 県 で は , 平 成 2 5 年 度 か ら 国 の 「 水 産 環 境 整 備 事 業 」 を 活 用 し , 被 災 し た 干 潟 の 復 旧 整 備 を 行 っ て い ま す 。 平 成 2 8 年 度 は , 万 石 浦 ・ 松 島 湾 の 一 部 地 区 で 干 潟 の 造 成 工 事 を 実 施 し ま し た 。

( 3 ) 養 殖 業 【 p 1 1 - 1 5 】

① 「 宮 城 県 養 殖 振 興 プ ラ ン ( 再 生 期 ~ 発 展 期 ) 」 の 進 捗 平 成 2 7 年 8 月 に 策 定 さ れ た「 宮 城 県 養 殖 振 興 プ ラ ン( 再 生 期 ~ 発 展 期 )」 に 基 づ き , カ キ , ホ タ テ ガ イ , ギ ン ザ ケ , ホ ヤ , ノ リ , ワ カ メ の 主 要 養 殖 種 の 課 題 解 決 を 目 指 し , 漁 村 地 域 の 活 性 化 と 高 品 質 で 安 定 し た 養 殖 生 産 体 制 の 構 築 と 収 益 性 の 高 い 養 殖 経 営 の 実 現 に 向 け て , 様 々 な 試 験 研 究 の 取 組 が 行 わ れ ま し た 。 ② 漁 業 者 へ の 情 報 提 供 や 養 殖 指 導 の 実 施 漁 業 者 自 ら の 復 旧 , 復 興 に 向 け た 取 組 を 支 援 す る た め , 水 産 業 普 及 指 導 員 と 試 験 研 究 機 関 が 連 携 し て , 養 殖 種 苗 安 定 確 保 の た め の 環 境 調 査 ,幼 生 分 布 調 査 , 生 育 状 況 調 査 な ど を 実 施 し , 漁 業 者 へ の 情 報 提 供 を 行 い ま し た 。 ま た ,ワ カ メ 養 殖 や ホ ヤ 養 殖 に 必 要 な 種 苗 の 人 工 採 苗 な ど の 技 術 指 導 も 実 施 し ま し た 。 ● 情 報 提 供 養 殖 通 報 : 種 ガ キ 2 4 報 , ノ リ 3 2 報 , ホ タ テ ガ イ 1 0 報 , ワ カ メ 1 2 報 , ホ ヤ 5 報 , 松 島 湾 ワ カ メ ・ コ ン ブ 漁 場 水 質 8 報 。 ● 養 殖 指 導 な ど 「 ワ カ メ 養 殖 指 導 」 , 「 ホ タ テ ガ イ ・ 種 ガ キ 浮 遊 幼 生 及 び 付 着 調 査 」 , 「 マ ボ ヤ 人 工 採 苗 指 導 」 , 「 ノ リ 養 殖 指 導 」 な ど を 実 施 し ま し た 。 ③ 水 産 業 共 同 利 用 施 設 の 復 旧 支 援 震 災 に よ り 被 災 し た 水 産 業 共 同 利 用 施 設 の 復 旧 整 備 に 係 る 支 援 を 行 い ま し た 。 ● 水 産 業 共 同 利 用 施 設 復 旧 整 備 事 業 被 災 し た 共 同 利 用 施 設 ( カ キ 処 理 場 , ノ リ 加 工 施 設 や 作 業 場 ) の 本 格 的 な 復 旧 整 備 を 図 る た め , 平 成 2 3 年 度 か ら 平 成 2 8 年 度 ま で に 2 5 1 件 ( 平 成 2 8 年 度 実 績

(3)

は 2 2 件 ) に 係 る 支 援 を 行 い ま し た 。

( 4 ) 漁 船 漁 業

① 漁 船 , 漁 具 の 復 旧 支 援 漁 業 者 が 円 滑 に 漁 業 を 再 開 で き る よ う ,共 同 利 用 す る 漁 船 の 建 造 ,中 古 船 取 得・修 繕 , 定 置 網 な ど 漁 具 購 入 費 用 を 補 助 す る た め 共 同 利 用 小 型 漁 船 建 造 事 業 及 び 共 同 利 用 漁 船 等 復 旧 支 援 対 策 事 業 を 実 施 し ま し た 。 そ の 結 果 ,平 成 2 8 年 度 末 ま で に 新 造 船 2 ,9 2 5 隻( 平 成 2 8 年 度 実 績 は 3 4 隻 ), 中 古 ・ 修 繕 船 7 7 3 隻 ( 平 成 2 8 年 度 実 績 は 0 隻 ) , 定 置 漁 具 1 8 0 ヶ 統 ( 平 成 2 8 年 度 実 績 2 ヶ 統 ) , 漁 労 設 備 1 , 2 0 3 件 ( 平 成 2 8 実 績 は 3 3 件 ) な ど 生 産 基 盤 の 再 取 得 を 支 援 し ま し た 。

( 5 ) 流 通 加 工 【 p 1 6 - 1 8 】

① 水 産 物 加 工 流 通 施 設 の 復 旧 支 援 水 産 加 工 業 の 早 期 復 旧 を 図 る た め ,水 産 業 共 同 利 用 施 設 復 旧 支 援 事 業 や 水 産 業 共 同 利 用 施 設 復 旧 整 備 事 業 を 活 用 し , 市 町 ,漁 業 協 同 組 合 , 水 産 加 工 業 協 同 組 合 な ど が 所 有 し て い た 施 設 や 設 備 の 整 備 に 対 し 支 援 し ま し た 。ま た ,中 小 企 業 等 グ ル ー プ 施 設 等 復 旧 整 備 補 助 事 業 に よ り ,被 災 し た 水 産 関 係 中 小 企 業 グ ル ー プ の 施 設 や 設 備 の 復 旧 を 支 援 し ま し た 。 ● 水 産 物 加 工 流 通 施 設 整 備 支 援 事 業 被 災 し た 漁 協 , 水 産 加 工 業 協 同 組 合 な ど の 共 同 加 工 施 設 ,排 水 処 理 施 設 な ど の 共 同 用 施 設 の 整 備 に 係 る 費 用 を 支 援 し ま し た 。 平 成 2 4 年 度 か ら 平 成 2 8 年 度 末 ま で に 3 5 事 業 者 3 5 施 設 ( 平 成 2 8 年 度 実 績 は 7 事 業 者 7 施 設 ) の 費 用 を 支 援 し ま し た 。 ● 中 小 企 業 等 グ ル ー プ 施 設 等 復 旧 整 備 補 助 事 業 被 災 し た 中 小 企 業 の 復 旧 支 援 と 地 域 経 済 の 回 復 を 目 的 と し「 地 域 経 済 の 中 核 」 を 形 成 し 復 興 の リ ー ド 役 と な る 中 小 企 業 の グ ル ー プ を 認 定 し ,復 旧 整 備 に 係 る 費 用 を 支 援 し ま し た 。 平 成 2 3 年 度 か ら 平 成 2 8 年 度 ま で に 2 7 グ ル ー プ を 認 定 し , 7 5 8 者 に 対 し て 補 助 金 を 交 付 決 定 し , 平 成 2 8 年 度 末 ま で に 6 6 2 者 が 事 業 を 完 了 し ま し た ( 平 成 2 8 年 度 実 績 は ,4 グ ル ー プ 2 7 者 に 交 付 決 定 し ,繰 越 事 業 も 含 め 4 8 者 が 事 業 完 了 ) 。 ② 水 産 流 通 加 工 業 の 人 材 確 保 に 対 す る 支 援 水 産 加 工 業 の 復 興 の た め に は , 復 旧 し た 生 産 能 力 を 最 大 限 活 用 す る た め の 人 手 ( 人 材 ) の 確 保 が 不 可 欠 で あ る こ と か ら , 仮 設 住 宅 な ど か ら 水 産 加 工 場 な ど 職 場 へ の 通 勤 手 段 の 確 保 や , 従 業 員 宿 舎 の 整 備 に よ り , 就 業 環 境 の 整 備 支 援 を 行 い ま し た 。 平 成 2 8 年 度 は , 3 団 体 に 対 し , 遠 隔 地 か ら の 送 迎 な ど に 必 要 な 運 転 手 及 び 送 迎 車 両 の 確 保 に 係 る 経 費 を 支 援 し ま し た 。 ま た , 2 1 事 業 者 に 対 し , 外 国 人 技 能 実 習 生 を 含 む 従 業 員 宿 舎 の 修 繕 ・ 整 備 に 係 る 支 援 を 行 い ま し た 。

(4)

( 6 ) 試 験 研 究 【 p 1 9 - 2 5 】

① 水 産 試 験 研 究 機 関 の 復 旧 整 備 被 災 し た 4 ヶ 所 の 水 産 試 験 研 究 機 関 の 復 旧 整 備 が 行 わ れ て き ま し た が , 平 成 2 8 年 度 は 気 仙 沼 市 波 路 上 岩 井 崎 の 水 産 技 術 総 合 セ ン タ ー 気 仙 沼 水 産 試 験 場 の 復 旧 整 備 が 完 了 し ま し た 。 こ れ に よ り 水 産 試 験 研 究 機 関 全 て の 復 旧 整 備 事 業 が 完 了 し , 試 験 研 究 の 体 制 が 整 い ま し た 。 ② 試 験 研 究 震 災 後 の 漁 場 環 境 の 安 全 性 を 確 認 す る た め 水 質 ・ 底 質 調 査 を 定 期 的 に 実 施 す る と と も に , タ ラ や イ カ ナ ゴ な ど の 魚 類 資 源 調 査 , ノ リ , ワ カ メ な ど の 養 殖 漁 場 調 査 を 実 施 し ま し た 。 調 査 結 果 に つ い て は , 操 業 時 の 漁 場 選 定 や 養 殖 施 設 の 適 正 管 理 な ど , 安 定 操 業 や 養 殖 生 産 に 活 用 さ れ る よ う , 漁 協 や 漁 業 者 に 対 し て 情 報 提 供 し ま し た 。

( 7 ) 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 影 響 へ の 対 応 【 p 8 0 】

① 管 理 体 制 の 維 持 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ り , 周 辺 環 境 に 放 射 性 物 質 が 放 出 さ れ た こ と を 受 け , 平 成 2 4 年 4 月 1 日 に 放 射 性 セ シ ウ ム の 新 た な 基 準 値 ( 放 射 性 セ シ ウ ム 1 0 0 ベ ク レ ル / k g ) が 設 定 さ れ た こ と か ら , 基 準 値 を 超 え る 水 産 物 を 市 場 に 流 通 さ せ な い 対 応 が 求 め ら れ て い ま す 。 こ の こ と か ら 県 で は , 安 全 ・ 安 心 を 確 保 す る た め の 対 策 な ど 検 討 や 情 報 共 有 な ど を 行 う た め , 漁 業 団 体 , 流 通 加 工 団 体 な ど 宮 城 県 の 水 産 関 係 団 体 で 組 織 す る 「 宮 城 県 水 産 物 放 射 能 対 策 連 絡 会 議 」 を 設 置 し , 平 成 2 8 年 度 に お い て も 本 体 制 を 維 持 し , 本 県 水 産 物 の 安 全 性 確 保 に 努 め ま し た 。

(5)

課 名 事 業 費 ( 千 円 ) [ 決 算 額 ] 事 業 名 水 産 業 振 興 課 6,224,254 小 型 漁 船 及 び 定 置 網 共 同 化 支 援 事 業 水 産 都 市 活 力 強 化 対 策 支 援 事 業 水 産 物 加 工 流 通 施 設 復 旧 支 援 事 業 水 産 物 加 工 流 通 施 設 整 備 支 援 事 業 加 工 原 料 等 安 定 確 保 支 援 事 業 水 産 系 試 験 研 究 機 関 管 理 費 県単独試験研究費 受託試験研究費 水産業改良普及事業 水 産 系 試 験 研 究 機 関 災 害 復 旧 費 水産技術総合センター気仙沼水産試験場復旧整備事業 水 産 業 基 盤 整 備 課 漁 港 復 興 推 進 室 27,841,118 水 産 基 盤 整 備 災 害 復 旧 費 漁 港 施 設 機 能 強 化 事 業 費 海 岸 保 全 施 設 整 備 事 業 費 み や ぎ の 漁 場 再 生 事 業 漁 場 生 産 力 回 復 支 援 事 業 水 産 環 境 整 備 事 業 費 栽 培 漁 業 種 苗 放 流 支 援 事 業 資 源 管 理 ・ 漁 場 改 善 推 進 事 業 水産業共同利用施設復旧整備事業 養 殖 振 興 プ ラ ン 推 進 事 業 養殖生産物衛生管理対策事業 農林水産経営支援課 789 漁 業 経 営 震 災 復 旧 特 別 対 策 資 金 企 業 復 興 支 援 室 10,180,097 中 小 企 業 等 グ ル ー プ 施 設 等 復 旧 整 備 補 助 事 業 新 産 業 振 興 課 48,391 中 小 企 業 等 施 設 設 備 復 旧 支 援 事 業 ※ 過 年 度 繰 越 が あ る 場 合 は 過 年 度 繰 越 を 含 む 金 額 を 記 載 し て い ま す 。

(6)

- 主 な 取 組 -

① 漁 業 活 動 の 支 障 と な っ て い る ガ レ キ の 撤 去 に つ い て

(関 連 事 業:み や ぎ の 漁 場 再 生 事 業 ,漁 場 生 産 力 回 復 支 援 事 業 )

1 は じ め に

東 日 本 大 震 災 に 伴 う 津 波 に よ り , 膨 大 な 量 の ガ レ キ が 漁 場 に 流 出 し , 本 県 水 産 業 の 復 興 に 大 き な 支 障 と な り ま し た 。 県 で は , 震 災 直 後 か ら 起 重 機 船 な ど の 大 型 重 機 に よ る ガ レ キ 撤 去 を 進 め る と と も に , 漁 業 者 自 ら が 行 う 漁 場 の 清 掃 活 動 に 助 成 を 行 う な ど , 漁 場 の 早 期 復 旧 に 向 け た 取 組 を 行 っ て き ま し た 。

2 主 な 取 組 内 容

( 1 ) 大 型 重 機 に よ る ガ レ キ 撤 去 ( み や ぎ の 漁 場 再 生 事 業 ) 起 重 機 船 や バ ッ ク ホ ウ 台 船 な ど の 大 型 重 機 に よ る 沿 岸 漁 場 に 堆 積 し た ガ レ キ の 撤 去 及 び 処 分 。 ( 2 ) 漁 業 者 自 ら が 行 う 漁 場 清 掃 活 動 へ の 助 成 ( 漁 場 生 産 力 回 復 支 援 事 業 ) 沖 合 底 び き 網 漁 業 の 操 業 時 に 回 収 さ れ る ガ レ キ の 処 分 。

3 取 組 の 成 果

平 成 2 8 年 度 は ,大 型 重 機 な ど に よ る ガ レ キ 撤 去 量 が 1 ,5 6 7 m3,漁 業 者 自 ら が 行 う 漁 場 清 掃 活 動 で は 5 6 3 m3と 合 計 で 2 ,1 3 0 mの ガ レ キ が 漁 場 か ら 撤 去 さ れ ま し た 。県 内 の 漁 場 で は 概 ね 操 業 が 再 開 さ れ て い ま す が ,依 然 と し て 沖 合 漁 場 で は ガ レ キ が 入 網 す る な ど ,操 業 や 養 殖 の 支 障 と な っ て い ま す 。撤 去 量 は ,前 年 度( 平 成 2 7 年 度 )に 比 べ る と 横 ば い で 推 移 し て い ま す が , 次 年 度 に お い て も 引 き 続 き , こ れ ら ガ レ キ の 撤 去 作 業 を 行 う こ と と し て い ま す 。 漁 場 ガレキの撤 去 量 ( 水 産 業 基 盤 整 備 課 ) 取 組 内 容 漁 場 ガ レ キ 撤 去 量 ( 単 位 : m3 合 計 主 な 回 収 場 所 H 23年 度 H 24年 度 H 25年 度 H 26 年 度 H 27年 度 H 28年 度 1 重 機 な ど に よ る ガ レ キ 撤 去 1 49 ,29 3 1 6, 235 4 ,2 67 2 ,6 79 1 ,5 73 1 ,5 67 1 75 ,61 4 養 殖 漁 場 な ど の 沿 岸 2 漁 業 者 が 行 う 漁 場 清 掃 活 動 8 4, 228 9 ,2 98 7 ,3 22 2 ,1 71 8 60 5 63 1 04 ,44 2 沿 岸 及 び 沖 合 漁 場 合 計 2 33 ,52 1 2 5, 533 1 1, 589 4 ,8 50 2 ,4 33 2 ,1 30 2 80 ,05 6 % 起 重 機 船 に よ る 漁 場 ガ レ キ の 撤 去 沖 合 底 び き 網 漁 船 で 回 収 さ れ た ガ レ キ

(7)

- 主 な 取 組 -

② 栽 培 漁 業 の 種 苗 放 流 に つ い て

(関 連 事 業 : 栽 培 漁 業 種 苗 放 流 支 援 事 業 )

1 事 業 の 概 要

東 日 本 大 震 災 に よ り , 県 内 の 種 苗 生 産 施 設 が 壊 滅 的 な 被 害 を 受 け , 種 苗 の 生 産 や 放 流 が 不 可 能 な 状 況 に な っ た こ と か ら , 資 源 の 減 少 に よ る 漁 獲 量 の 落 ち 込 み が 懸 念 さ れ て い ま す 。 こ の た め , 県 で は , 平 成 2 7 年 1 0 月 に 稼 働 を 再 開 し た 種 苗 生 産 施 設 の 生 産 体 制 が 整 う ま で , 国 の 「 被 災 海 域 に お け る 種 苗 放 流 支 援 事 業 」 を 活 用 し , ア ワ ビ , ヒ ラ メ , ア カ ガ イ な ど の 放 流 用 種 苗 を 他 県 の 種 苗 生 産 施 設 な ど か ら 購 入 し , 県 内 各 地 で 放 流 し て い ま す 。 ま た , 一 部 の さ け ふ 化 場 が 震 災 に よ っ て 生 産 不 能 に な っ た こ と に よ り , さ け 来 遊 資 源 の 減 少 が 懸 念 さ れ ま し た 。 こ の た め , 震 災 の 影 響 が 残 る 間 も , さ け ふ 化 放 流 事 業 を 継 続 し て 来 遊 資 源 を 回 復 さ せ る こ と を 目 的 に , 放 流 用 種 苗 の 購 入 を 支 援 し ま し た 。 加 え て , 河 川 で 採 捕 す る 採 卵 用 親 魚 の 不 足 も 懸 念 さ れ た こ と か ら , 海 産 親 魚 の 購 入 も 支 援 し て 種 卵 の 確 保 を 図 り ま し た 。

2 平 成 2 8 年 度 種 苗 放 流 実 施 内 容

( 1 ) ア ワ ビ 種 苗 の 購 入 及 び 放 流 ・ 購 入 先 : ( 公 社 ) 北 海 道 栽 培 漁 業 振 興 公 社 , 奥 尻 町 ・ 購 入 個 数 : ( 公 社 ) 北 海 道 栽 培 漁 業 振 興 公 社 3 0 m m サ イ ズ 3 1 6 千 個※ ※ 本 県 種 苗 生 産 施 設 で 中 間 育 成 後 に 県 内 各 地 に 放 流 奥 尻 町 4 0 ~ 5 0 m m サ イ ズ 5 0 千 個 ( 合 計 3 6 6 千 個 ) ・ 事 業 主 体 : 宮 城 県 ( 業 務 委 託 : (公 財 )宮 城 県 水 産 振 興 協 会 ) ( 2 ) ヒ ラ メ 種 苗 の 購 入 及 び 放 流 ・ 購 入 先 : ( 公 財 ) 茨 城 県 栽 培 漁 業 協 会 , ( 一 社 ) 岩 手 県 栽 培 漁 業 協 会 ・ 購 入 尾 数 : ( 公 財 ) 茨 城 県 栽 培 漁 業 協 会 3 0 m m サ イ ズ 1 5 0 千 尾 ( 一 社 ) 岩 手 県 栽 培 漁 業 協 会 3 0 m m サ イ ズ 2 7 0 千 尾 ・ 放 流 尾 数 : 8 0 m m サ イ ズ 2 0 0 千 尾 ・ 事 業 主 体 : 宮 城 県 ( 業 務 委 託 : (公 財 )宮 城 県 水 産 振 興 協 会 ) ( 3 ) ア カ ガ イ 種 苗 の 生 産 及 び 配 布 ・ 配 布 個 数 : 2 m m 8 4 0 千 個 ・ 事 業 主 体 : 宮 城 県 ( 4 ) さ け 稚 魚 の 放 流 支 援 ・ 放 流 尾 数 : 4 1 , 3 9 6 千 尾 ・ 海 産 親 魚 購 入 尾 数 : 8 3 2 尾 ・ 事 業 主 体 : 宮 城 県 さ け ま す 増 殖 協 会

3 事 業 実 施 期 間

平 成 2 4 年 度 ~ 平 成 2 9 年 度 ( 水 産 業 基 盤 整 備 課 ) % さ け 稚 魚 の 放 流 状 況 ヒ ラ メ 種 苗 の 放 流 状 況

(8)

- 主 な 取 組 -

③ 東 日 本 大 震 災 に よ り 被 災 し た 漁 場 の 復 旧 整 備 に つ い て

(関 連 事 業 : 水 産 環 境 整 備 事 業 )

1 事 業 概 要

志 津 川 湾 ・ 万 石 浦 ・ 松 島 湾 な ど の 内 湾 域 で は , 海 域 環 境 の 改 善 や 魚 介 類 の 産 卵 ・ 育 成 場 の 確 保 , ア サ リ 漁 場 へ の 利 用 を 目 的 と し て , 干 潟 の 造 成 や 海 水 交 換 を 促 進 す る た め の 作 澪 ( さ く れ い ) な ど の 漁 場 整 備 が 行 わ れ て き ま し た 。 し か し , 東 日 本 大 震 災 に お け る 津 波 や 地 盤 沈 下 な ど に よ っ て 多 く の 干 潟 や 澪 が 消 失 し た た め , 漁 場 環 境 の 悪 化 や 漁 場 生 産 力 の 低 下 , ア サ リ 漁 業 を は じ め と し た 漁 業 生 産 へ の 影 響 が 懸 念 さ れ て い ま す 。 宮 城 県 で は , 平 成 2 5 年 度 か ら 国 の 「 水 産 環 境 整 備 事 業 」 を 活 用 し て , 被 災 し た 干 潟 の 復 旧 整 備 を 行 っ て い ま す 。 平 成 2 8 年 度 に は , 万 石 浦 ・ 松 島 湾 の 一 部 地 区 で 干 潟 の 造 成 工 事 を 実 施 し ま し た 。

2 取 組 内 容

○ 整 備 計 画 及 び 平 成 2 8 年 度 実 績 海 域 名 工 区 数 ( 面 積 ) 施 工 状 況 事 業 年 度 志 津 川 湾 1 (1.5ha) 干 潟 造 成 完 了 H25~ 27 万 石 浦 3 (7.7ha) 干 潟 造 成 完 了 ( 石 巻 湾 工 区 , 他 2 工 区 ) H25~ 28 松 島 湾 7 (6.7ha) 干 潟 造 成 施 工 中 ( 磯 崎 工 区 ,他 3 工 区 ) 〃 完 了( 野 々 島 工 区 ,他 2 工 区 ) 2.3ha H25~ 29 鳥 の 海 1 作 澪 : 1.3km 作 澪 完 了 H26~ 27

3 取 組 の 成 果

宮 城 県 の 干 潟 で は , 主 に ア サ リ は 満 3 才 で 殻 長 3 c m に 成 長 し , 漁 獲 さ れ ま す 。 最 も 早 く 復 旧 し た 万 石 浦 の 干 潟 で は , 完 成 後 に 初 め て 着 底 し た ア サ リ が 平 成 2 8 年 に 満 2 才 に な り ま し た 。 こ の た め 宮 城 県 漁 協 で は , 平 成 2 8 年 6 月 6 日 に 生 息 密 度 を 把 握 す る た め に 試 験 採 取 を 実 施 し ま し た ( 写 真 1 ) 。 そ の 結 果 , 殻 長 2 c m 以 上 の ア サ リ が 1 ㎡ あ た り 8 5 5 個 採 集 さ れ , 順 調 に ア サ リ が 増 殖 し て い る こ と が 明 ら か に な り ま し た ( 写 真 2 ) 。 平 成 2 9 年 に は , こ れ ら の ア サ リ が 殻 長 3 c m 以 上 に 成 長 す る た め , 震 災 後 休 止 し て い た ア サ リ 漁 業 が 再 開 で き る 見 込 み で す 。 ア サ リ の 試 験 採 取 風 景 採 取 さ れ た ア サ リ ( 水 産 業 基 盤 整 備 課 )

(9)

- 主な 取組-

激甚災害について(8/16から9/1の暴風雨及び豪雨による養殖施設災害復旧)

(関連事業:8/16から9/1の暴風雨及び豪雨による養殖施設災害復旧事業)

1 被害の状況について

平成28年8月に相次いで発生した台風10号などの影響により,カキなど養殖施設の破 損,養殖生産物の脱落,防波堤の一部損壊などにより水産業関連では20億円近くの被害が 発生しました。養殖施設については特にカキの被害が大きく,鳴瀬地区においてはカキ養殖 筏の8割が被害を受けました。

2 養殖施設の復旧について

養殖施設の復旧は既に始まっており,平成29年度中に復旧を完了する計画で進めていま す。 東日本大震災から5年が経過し,ようやく軌道に乗ってきた中での台風被害だっただけに 漁業者の心的被害も甚大であり,本事業において早急に復旧を図るために引き続き支援して いきます。 平 常 時 の カ キ 養 殖 筏 被 害 時 の カ キ 養 殖 筏 養 殖 生 産 物 の 被 害 養 殖 生 産 物 の 被 害 (水産業基盤整備課)

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-主な取組-

⑤「宮城県養殖振興プラン(再生期~発展期)」の進捗状況について

(養殖振興プラン推進事業)

1 概要

震災後,生産者をはじめとする水産関係者の懸命な努力により,多くの養殖業で復旧が 進んでいます。一方で,養殖水産物の品質向上対策や後継者不足への対応など,震災前か らの課題が残されており,震災による販路の喪失や,原発事故による風評被害など,震災 後に発生した新たな課題に対する対策も求められています。そこで,これらの課題を解決 し,漁村地域の活性化と高品質で安定した養殖生産体制の構築と収益性の高い養殖 経営を 実現するため,平成27年8月に「養殖振興プラン」を策定しました。 また,平成28年度から,養殖業を取り巻く多くの課題を解決するため,養殖種ごとに 様々な試験研究を行っています。

2 具体的な取組内容

カキ,ホタテガイ,ギンザケ,ホヤ,ノリ,ワカメを主要な養殖魚種と位置付け,下表 のような様々な試験研究的な取組を行っています。これらの取組により,「養殖振興プラ ン」に記載の様々な課題の解決を目指します。 (水産業基盤整備課) 養殖種名 事業名 事業内容 ワカメ 早取りワカメ生産による経営向上対策事業 早取りによる高品質生ワカメの評価,効率的で収益性の高い生産体 制の検討 ホタテガイ ホタテガイ地先種苗安定確保促進事業 県内で種苗を確保した「地先種苗」による,ホタテガイの安定生産体 制の構築 剥きガキの生産開始直後の身入りを良好にするため,早期産卵の 促進とその後の身入り回復に必要な手法を検討 殻付きカキ出荷の際に必要なサイズを揃え,身入りの良いカキを生 産するため,ばらし時期,蓄養方法等を検討 殻付きガキの出荷時に必要な細菌浄化について,現場で最適な浄 化基準を検討 ノリ ノリ養殖最適生産モデル構築事業 各々のノリ養殖漁場に最も適し,生産者の所得が最大となる生産モ デルの構築を検討 ギンザケの高付加価値化のための技術開発事業 活け締めの普及,活け締めに係る課題解決に向けた取組を実施 ホヤ ホヤ病障害対策生産技術開発 ホヤに付着し,品質低下の原因となっているコブコケムシについて, その生態を明らかにしてホヤ養殖への被害軽減策を検討 養殖振興プラン推進事業における主要養殖魚種の取組み カキ 高品質カキ提供事業 ギ ン ザ ケ

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-主な取 組-

⑥養殖業の復旧・復興に向けた取組について

( 関 連 事 業 : 水 産 業 改 良 普 及 事 業 , 養 殖 振 興 プ ラ ン 推 進 事 業 )

1 養殖生産物の生産状況について

東日本大震災により,本県沿岸で行われていた養殖業は壊滅的な被害を受けましたが,漁 業者は各種補助金を活用するなどして復旧作業にあたりました。平成28年度の生産状況を 震災前と比較すると,生産量は68%,金額では89%と着実に回復の方向にあります。 項目 生産量 金額 生産量 比率 金額 比率 生産量 比率 金額 比率 トン 億円 トン % 億円 % トン % 億円 %

養殖種 (A) (B) (A1) (A1)/(A) (B1) (B1)/(B) (A2) (A2)/(A) (B2) (B2)/(B)

カキ 4,186 46 1,722 41% 24.6 53% 1,627 39% 19 41% 9~5月 ノリ 24,784 52 15,318 62% 41.2 79% 15,133 61% 51.1 98% 10月~5月 670百万枚 414百万枚 409百万枚 ワカメ 13,693 22 10,105 74% 21 95% 11,116 81% 23.2 105% 12月~5月 コンブ 1,199 0.8 451 38% 0.26 33% 157 13% 0.2 25% 4 ~6月 ホタテ 12,095 33 8,496 70% 31.6 96% 7,340 61% 31.5 96% 周年 ホヤ 8,644 11 4,687 54% 5.7 52% 5,571 64% 5.8 53% 周年 ギンザケ 13,710 59 13,007 95% 57.2 97% 12,159 89% 67.6 115% 3~8月 計 78,311 223.8 53,786 69% 181.6 81% 53,103 68% 198.4 89%   震災前 中庸3カ年平均 平成27年度漁期 平成28年度漁期(H29.4月末日現在) 養殖 種別 漁期 (参考)代表的な養殖対象種の震災後の生産状況 出典:宮城県漁業協同組合共販実績など

2 養殖種類ごとの生産状況について

(1)カキ

カキは,各浜で共同カキ処理施設が再整備され,生食用のむき身の生産が可能となりまし た。平成28年度は,10月10日に生食用むき身生かきの初入札が行われ,宮城県漁業協 同組合の全14支所から出荷されました。4月末現在の生産量は,前年比94%,生産額は 77%となりました。 また前年度から試験的に,生食用むき身の出荷期間がこれまでの3月31日から5月31 日にまで延長され,唐桑と大島の2地区から出荷されました。延長期間中の出荷量は,平成 27年度は5.6トン,平成28年度は50.7トンが見込まれており「春ガキ」のニーズ が高まっています。 一方,カキの生産量・価格は前年度漁期を下回りました。その理由としては,28年8月 の台風などで養殖カキが脱落したことや,12月19日に県漁協と塩釜市漁協が実施したノ ロウイルス自主検査において11海域中10海域で陽性になり,12月24日までむき身で の出荷を自粛したこと,ノロウイルス陽性検出後の単価の下落などが影響していると考えら れます。

(2)ノリ

ノリ養殖業では,協業体グループや法人が設立され,多くの生産者が新たな経営形態で生 産を再開させています。平成28年度漁期は11月22日の初入札から4月28日まで21

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回の入札が行われ,生産量は前年比104%,生産額は130%となりました。高水温など により全国的に不作となった影響を受け,12.48円/枚という近年稀にみる高単価とな りました。今後も健苗育成,病障害対策を徹底することで生産量,生産額の安定化を図って いきます。

(3)ワカメ

平成28年度漁期の初入札会が4月28日に行われました。生産量は前年比123%,生 産額は前年比123%となりました。震災前との比較では,生産量は81%の回復ですが, 高単価に支えられて生産額は105%と震災前を超えました。

(4)コンブ

コンブ養殖の多くはワカメ養殖との兼業で行われています。近年,国内の塩蔵コンブの在 庫過剰が続いていることから,平成28年度も生産量,生産額ともに低調に推移し,震災前 の3割を下回りました。

(5)ホタテガイ

震災後、ホタテガイ養殖は,養殖期間が短く早期出荷が可能なことから,多くの生産者が 北海道や青森から「半成貝」を購入して養殖する方法を行うようになりました。しかし,半 成貝産地の自然災害や海外へのホタテガイ輸出の増加により,本県への半成貝の供給減や価 格高騰,出荷時期の偏りなどといった課題が生じています。このため,他県産半成貝に依存 した養殖を見直して,地先海面で天然採苗した種苗による養殖に取り組む生産者も徐々に増 加しています。 震災前との比較では,平成28年度の生産量は61%の回復に留まっていますが,生産額 は96%まで回復しています。今後,地種を用いた養殖が増加することで,周年出荷と生産 額の増加が期待されます。

(6)ホヤ

ホヤは,震災後,各浜で取り組んだ人工採苗と鮫浦湾で天然採苗した種苗が3年子に成長 した平成26年度から本格的に出荷が再開されました。 震災前,宮城県産ホヤの国内消費量は2~3千トンでしたが,一昨年は4千7百トン,昨 年は5千5百トンと宮城県産ホヤの消費は着実に伸びています。 また,平成28年度には,韓国へ輸出できずに余剰となった7,682トンのホヤの陸上 処分が行われました。 震災前と比較して,平成28年度の生産量は64%,生産額は53%となっていますが, 処分したホヤの量を生産量に加えると,13,253トンとなり,震災前比157%に達し ています。

(7)ギンザケ

ギンザケ養殖は,多くの生産者が「がんばる養殖復興支援事業」を活用し,復旧・復興を 進めてきました。本事業に取り組む中で,経費に占める飼料費の高い割合を見直すため,従

(13)

活 け 締 め 処 理 に よ り 血 液 が 抜 け て 身 色 が 鮮 や か な 「 み や ぎ サ ー モ ン 」 ( 手 前 ) 「みやぎサーモン」のお造り 来,エクストルーデッドペレット(Extruded Pellet,EP)に加水していた給餌方法を「無加 水給餌」に改めることで飼料コストの見直しを図り,また,輸入ギンザケとの差別化を図る ため,「活け締め処理」による高品質な刺身用ギンザケの出荷に取り組みました。 また,平成25年度に設立したギンザケ生産者団体などで構成される「みやぎ銀ざけ振興 協議会」では,宮城県産養殖ギンザケの認知度向上,販路拡大などのPR活動を進めてきま した。 平成28年度の生産量は12,159トンで、そのうち2,834トン(23%)が活け 締め出荷されました。震災前と比較して生産量は89%,生産額は115%となっており, 高単価を反映した結果となっています。 みやぎ銀ざけ振興協議会は,活け締めによる鮮度保持処理を行い,刺身で食べられる高品 質なギンザケを「みやぎサーモン」として,ブランド化を進めています。 (水産業基盤整備課)

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-主な取 組-

⑦-1 共同利用施設の復旧整備について(養殖等関連施設)

( 関 連 事 業 : 水 産 業 共 同 利 用 復 旧 整 備 事 業 )

1 水産業共同利用施設の整備状況

平成23年度から水産業共同利用施設復旧整備事業を活用し,共同利用施設の復旧整備に 取り組んでいます。事業開始当初は,共同処理場や養殖施設などの養殖業の再開に必要不可 欠な施設の整備が中心でしたが,現在は,収穫物の水揚げ作業に必要な荷揚げクレーンや漁 船上架施設,共同漁具倉庫など養殖業の作業環境の復旧のための施設整備が中心となってい ます。

2 平成28年度の復旧状況

平成28年度は前年からの繰越事業も含め,荷揚げクレーン,漁船上架施設,共同漁具倉 庫など22件の復旧が完了し,養殖業の作業環境の改善が図られました。一 方 で , 関 連 事 業 の 進 捗 に よ り 用 地 整 備 が 遅 れ た こ と で ,国 が 定 め る 集 中 復 興 期 間 中 に 事 業 化 で き な か っ た 事 業 要 望 も 残 っ て い ま す 。県 と し て は ,関 連 復 旧 工 事 の 進 捗 に 合 わ せ 引 き 続 き 施 設 整 備 を 支 援 し て い き ま す 。 ・ 共 同 カ キ 処 理 場 ・ 水 産 物 荷 捌 き 施 設 と 荷 揚 げ ク レ ー ン ・ 漁 船 上 架 施 設 ・ 共 同 漁 具 倉 庫 (水産業基盤整備課)

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-主な取組-

⑦-2 共同利用施設の復旧整備について(流通加工関係)

水 産 物流 通 加工 施 設 はそ の 大部 分 が沿 岸 域 に立 地 して い たこ と か ら ,沿 岸 漁業 と 同様 に被 害 は大 き く,震 災 時は 数 多く の 冷凍 冷 蔵 施設 や 加工 施 設が 流 失 しま し たが ,補助 事 業の 活 用な ど によ り 着 実に 復 旧が 進 んで い ま す。

1 水産業共同利用施設復旧支援事業

水 産 加 工 業 協 同 組 合 な ど が 所 有 す る 冷 凍 冷 蔵 施 設 な ど の 共 同 利 用 施 設 の 応 急 復 旧 や 早期 事 業再 開 に必 要 不 可欠 な 加工 機 器類 の 整 備 を 行 う事 業 です 。 修 繕 が必 要 だっ た 施 設は ほ ぼ復 旧 が 完 了 し てお り ,本事 業 は平 成 2 8年 度 で終 了 しま した 。

2 水産業共同利用施設復旧整備事業

水 産 加工 業 協同 組 合 など が 所有 す る冷 凍 冷 蔵施 設 や ,製 氷 施設 な ど の 共 同 利用 施 設の 整備 (新 築)を 行う 事 業 です 。 震 災 から 6 年が 経 過 し,水 産物 の 水揚 げ の 回復 に 合わ せ て,概 ね 冷蔵 庫 や水 産 加工 場 が整 備 され つ つあ り ま す。し かし ,一部 の 地 域で は ,土 地 区画 整 理 や嵩 上 げ工 事 の遅 れ によ り ,着 工 でき な い 施設 も あり ,水産 業 の 復興 に は ,魚 市場 の 復 旧と と もに 背 後施 設 の受 け 入れ 体 制整 備 が 不可 欠 であ る こと か ら ,これ ら の施 設 の早 期 の 復旧 完 了 が 求 めら れて い ます 。 ● 水 産業 共 同利 用 施 設復 旧 支援 事 業 ● 水 産業 共 同利 用 施 設復 旧 整備 事 業 整備 された加 工機 器 (魚 体処 理 機) 復 旧した冷 凍冷 蔵 施設 ( 水 産 業 振 興 課 ) 単位:千円 事 業 実 施者 数 完 了 事 業者 数 H23 採 択 分 実績額 H24 採 択 分 実績額 H25 採 択 分 実績額 H26 採 択 分 実績額 H27 採 択 分 実績額 82 82 14,951,632 4,607,190 401,498 434,537 102,153 単位:千円 事 業 実 施者 数 完 了 事 業者 数 H23 採 択 分 実績額 H24 採 択 分 実績額 H25 採 択 分 実績額 H26 採 択 分 実績額 H27 採 択 分 実績額 H28 採 択 分 実績額 H29 へ の 繰 越額 38 35 9,642,865 2,548,029 4,189,102 5,595,628 945,413 1,097,773 2,527,691

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-主な取組-

⑧ 中小 企業 等グル ープ 施設 等復旧 整備 補助事 業」 を活 用した 水産

加工業の復旧について

水 産 物流 通 加工 施 設 はそ の 大部 分 が沿 岸 域 に立 地 して い たこ と か ら ,沿 岸 漁業 と 同様 に被 害 は大 き く,震 災 時は 数 多く の 冷凍 冷 蔵 施設 や 加工 施 設が 流 失 しま し たが ,下記 事 業の 活 用な ど によ り 着 実に 復 旧が 進 んで い ま す。

◇ 中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業

被 災 し た 中 小 企 業 等 グ ル ー プ が 一 体 と な っ て 進 め る 復 興 事 業 計 画 を 県 が 認 定 し た 場 合に ,復興 事 業計 画 に 不可 欠 であ る ,被 災 し た施 設 設備 の 復旧 整 備 費用 の 一部 を 補助 す るも の です 。 こ れ まで 水 産加 工 類 型グ ル ープ と して , 2 7グ ル ープ が 認定 さ れ , 7 5 8事 業 者に 89 4 億円 の 交付 決 定 が行 わ れま し た。 水 産 加工 類 型グ ル ー プの 圏 域別 認 定状 況 と 補助 事 業の 進 捗状 況 は 下記 の とお り です 。 ● 圏 域別 認 定グ ル ー プ数 ・ 交付 決 定事 業 者 数・ 完 了事 業 者数 な ど (平 成 28 年 度末 時 点 ) 圏域 認定 グ ルー プ 数 交付 決 定事 業 者数 当初 交 付決 定 額 完了 事 業者 数 確定 交 付額 気仙沼・本吉 5グ ル ープ 19 5 者 27 2 億円 16 3 者 20 6 億円 石巻 13 グ ルー プ 43 7 者 53 7 億円 38 1 者 40 7 億円 仙台 9グ ル ープ 12 6 者 85 億 円 11 8 者 6 8 億 円 計 27 グ ルー プ 75 8 者 89 4 億円 66 2 者 68 1 億円 復 旧した水 産加 工 施 設 復 旧した水 産加 工 設備 (自 動真 空 包装 機) ( 水 産 業 振 興 課 )

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- 主な 取組-

⑨水産加工業人材確保支援事業について

水 産 加 工 業 の 復 興 の た め に は , 復 旧 し た 生 産 能 力 を 最 大 限 活 用 す る た め の 働 き 手 ( 人 材 )の 確 保 が 不 可 欠 で す 。こ の た め ,仮 設 住 宅 な ど か ら 水 産 加 工 場 な ど の 職 場 へ の 通 勤 手 段 の 確 保 や ,従 業 員 宿 舎 の 整 備 支 援 に よ り 働 く 方 の 就 業 環 境 を 整 備 す る こ と で , 円 滑 な 水 産 加 工 品 の 生 産 力 向 上 に よ る 復 興 が 進 ん で い ま す 。

1 従業員通勤確保支援事業

水産業協同組合などが実施する遠隔地からの送迎や繁忙期のパート職員送迎に必要な運転 手及び送迎車両などの確保に係る経費について支援する事業です。

2 従業員宿舎整備事業

外国人技能実習生を含む従業員の宿舎の修繕・整備に係る費用について支援する事業です。 平 成 2 8 年 度 の 実 績 ● 従 業 員 通 勤 確 保 支 援 事 業 認 定 団 体 数 : 3 団 体 3 , 4 5 0 , 4 1 1 円 ● 従 業 員 宿 舎 整 備 事 業 認 定 事 業 者 数 : 2 1 事 業 者 3 3 9 , 2 6 9 , 0 1 2 円 所 在 市 町 村 補 助 事 業 者 数 交 付 決 定 額 気 仙 沼 市 5 者 9 6 , 2 9 3 , 5 6 0 円 南 三 陸 町 1 者 2 0 , 0 0 0 , 0 0 0 円 石 巻 市 8 者 9 0 , 8 1 5 , 4 5 2 円 女 川 町 2 者 3 9 , 7 6 0 , 0 0 0 円 塩 竈 市 5 者 9 2 , 4 0 0 , 0 0 0 円 計 2 1 者 3 3 9 , 2 6 9 , 0 1 2 円 整 備 さ れ た 従 業 員 宿 舎 従 業 員 宿 舎 の 内 部 (水産業振興課)

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- 主 な 取 組 -

⑩水産技術総合センター気仙沼水産試験場の竣工について

1背景

旧「気仙沼水産試験場」は昭和44年に気仙沼市波路上内沼に建設され,県北部海域の 試験研究の拠点として気仙沼湾などの漁場環境調査,アワビ・ウニなどの磯根資源調査, ワカメ・ホタテ養殖の技術支援などに取り組んできました。しかし,東日本大震災の巨大 津波により,施設が全壊しました。北部地域の沿岸漁業が創造的な復旧を成し遂げるため には,地域漁業の牽引役として本施設の再建が不可欠でしたが,大規模な地盤沈下などに より,同地での再建は困難な状況であったため,良質な飼育水を安定的に取水可能なこと や,早期着工が可能であることなどを総合的に勘案し,気仙沼市波路上岩井崎に移転整備 を行いました。

2 施設の概要

( 1 ) 竣 工 平 成 2 8 年 6 月 ( 2 ) 所 在 地 宮 城 県 気 仙 沼 市 波 路 上 岩 井 崎 1 0 7 ( 3 ) 主 要 施 設 【 本 庁 舎 】生 物 検 査 室 ,生 物 測 定 室 ,放 射 能 測 定 室 ,生 物 化 学 実 験 室 ,環 境 分 析 室 な ど 【 種 苗 生 産 棟 】 オ ー プ ン ラ ボ ( 種 苗 生 産 室 ), 恒 温 飼 育 室 , 精 密 培 養 室 , 粗 放 培 養 室 測 定 調 合 室 な ど ( 4 ) 特 徴 ・ 本 庁 舎 は 3 階 建 で 事 務 室 ・ 会 議 室 を 2 階 , 図 書 室 ・ 分 析 室 を 3 階 に 配 置 ・ 種 苗 生 産 棟 は 養 殖 業 者 へ の 種 苗 生 産 技 術 学 習 , 実 際 の 種 苗 生 産 の オ ー プ ン ラ ボ と し て 開 放 ・ 恒 温 飼 育 室 や 微 小 藻 類 の 精 密 培 養 室 を 設 け , 藻 類 の み な ら ず , 二 枚 貝 の 種 苗 も 生 産 可 能 ( 5 ) 業 務 紹 介 【 増 養 殖 技 術 の 改 良 ・ 普 及 と 新 品 目 の 開 発 】 タ オ ヤ ギ ソ ウ ・ ホ タ テ ガ イ ・ マ ガ キ ・ ギ ン ザ ケ な ど の 養 殖 技 術 開 発 及 び 改 良 ワ カ メ の 品 種 改 良 , マ ボ ヤ 人 工 採 苗 技 術 改 良 ・ 普 及 , 養 殖 通 報 の 発 行 な ど 【 磯 根 資 源 の 維 持 増 大 , 増 養 殖 場 の 開 発 】 ア ワ ビ ・ ウ ニ の 潜 水 調 査 , ブ ロ ッ ク へ の ア ラ メ 移 植 な ど 【 資 源 管 理 技 術 の 開 発 普 及 】 魚 市 場 で の 水 揚 魚 体 長 測 定 , 水 揚 魚 の 耳 石 年 輪 に よ る 年 齢 査 定 な ど 【 漁 場 環 境 の 保 全 と 水 産 物 の 安 全 確 保 】 水 質 ・ 底 質 の 定 期 観 測 , 貝 毒 プ ラ ン ク ト ン 調 査 な ど (水産業振興課) 竣 工 式 の 様 子 オ ー プ ン ラ ボ ( 種 苗 生 産 室 )

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-主 な取組-

気仙沼水産試験場調査船「海翔」の5年3ヶ月ぶりの里帰りについて

1 調査船「海翔(かいしょう)」について

調査船「海翔」は,平 成9年にヤマハ大船渡製造(株) で建造され,気仙沼水産試験場 の船外機付き調査船として,宮城県北部海域の増養殖場の海洋環境調査などで活躍 してい ました。しかし,東日本大震災の津波 により流失し,行方不明となっていました。 ○スペック 総トン数:1.1トン 長さ×幅×深さ: 6.32m×1.92m×0.72m0.72 m 馬力数:60kw

2 「海翔」の帰還と漂流経路の解明について

平成28年5月12日,行方不明となっていた調査船「海翔」が,沖縄県の宮古島市の沖 合約6キロの海上で発見され,第11管区海上保安部宮古島海上保安署により宮古島市博 愛漁港に陸揚げされました。 そ の 後 ,海 上 及 び 陸 上 輸 送 に よ り 気 仙 沼 ま で 運 搬 さ れ ,平 成 2 8 年 6 月 8 日 に 行 わ れ た 気 仙 沼 水 産 試 験 場 の 竣 工 式 に 合 わ せ て ,5 年 3 ヶ 月 ぶ り に 帰 還 す る こ と が で き ま し た 。 ま た ,ハ ワ イ 大 学 の 協 力 に よ り ,海 流 や 風 ,過 去 に 発 見 さ れ た 漂 流 船 の デ ー タ な ど か ら シ ミ ュ レ ー シ ョ ン し た と こ ろ ,震 災 後 2 年 で ア メ リ カ 西 海 岸 付 近 ま で 流 さ れ た 後 3 年 5 ヶ 月 か け て 宮 古 島 付 近 ま で 流 れ 着 い た 可 能 性 が あ る こ と が 分 か り ま し た 。 (水産業振興課) 震災前に活躍する「海翔」 5年2ヶ月ぶりに発見され,宮古島 博愛漁港に陸揚げされた「海翔」 (宮古島海保撮影) 5 年 3 ヶ 月 ぶ り 気 仙 沼 水 産 試 験 場 へ戻ってきた「海翔」 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で計算された「海翔」の漂流経路 (ハワイ大学国際太平洋研究センターMaximenko 博士・Hafner 博士提供)

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- 主な 取組-

⑫-1 定地水温観測所の復旧について

南北に海岸線が連なる宮城県沿岸域は,地域によって海洋環境が著しく異なり,急深な リアス式海岸である牡鹿半島以北は寒流の親潮,水深100m以浅の浅海域が広がる 牡鹿 半島以南は暖流の黒潮から派生する 北上暖水や気温の影響を強く受けます。このため ,本 県では全県に計7箇所の定地観測所を設置し(図1),地域によって特色がある 養殖業や 漁船漁業を営む上で重要な水温情報を提供してきました。しかしながら,東日本大震災に よる津波により,江島を除く6箇所の観測所が被災しました(図2)。 このため,県では順次復旧に努め,平成28年度に最後に残っていた歌津と田代島の2箇 所が復旧し(図3),震災前と同様全7箇所の定地水温の情報提供が可能となりました。 各観測所の水温情報は,WEB上の「みやぎ水産NAVI」で公開しており,当日の午前 10時と午後3時の水温の他,前年水温及び平年水温との差を比較したデータを掲載してい ます(図4)。また,「みやぎ水産NAVI」では,県内10箇所の各産地魚市場の日別水 揚量や表面海水の日別衛星画像(漁業情報サービスセンター提供)の情報も掲載しています ので,是非ご覧ください。 ( 水 産 技 術 総 合 セ ン タ ー ) 航走 するみやしお(199 トン) 39゜00’ N 38゜30’ 38°00’ 石 巻 塩 釜 志 津 川 気 仙 沼 女 川 閖 上 金 華 山 141° 141゜30’ 142° E ● ● ● 田代島 歌 津 江 島 ● ● ● 気仙沼 (杉ノ下) 佐須浜 桂島 ●亘理 図 1 観測所の 位置図 図 2 被災した 歌津観測所 図 3 復旧した 歌津観測所(水温 ブイ ) 図 4 江島の月 旬別平均水 温の推移

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- 主な 取組-

⑫-2 松島湾における漁場環境(水質および底質など)の把握について

1 漁場環境保全について

内 湾 は 藻 場 や 干 潟 な ど が 発 達 し ,生 物 の 育 成 場 と し て 重 要 な 海 域 で す 。ま た ,生 産 性 が 高 く 穏 や か な 環 境 の た め ,カ キ や ノ リ 養 殖 な ど 多 く の 漁 業 者 が 利 用 す る 重 要 な 漁 場 で も あ り ま す 。 一 方 で 内 湾 は 外海に 比 べ て 海 水 交 換 が 悪 く ,環 境 汚 染 に 対 し て 脆 弱 と い っ た 特 徴 が あ り ま す 。 水産技術総合センターでは,内湾(松島湾・万 石浦)における漁場環境の把握を目的に長期的な 調査を行っています。毎回の調査で得られた結果から,現在の漁場環境を把握すると共 に過去のデータと比較することで,経年的な変化(環境悪化していないかなど)を評価 して情報発信しています。

2 調査内容

( 1 ) 水質 調 査 :透明度, 水温, 塩分, pH,化 学的酸 素要求 量(CO D), 無機栄 養 塩 (リン酸態リン,アンモニア態窒素,亜硝酸態窒素,硝酸態窒素),溶存酸素量(D O)の調査を偶数月に実施。 (2)底 質・生物モニタリ ング調査 :化学的酸素要求量(COD),全硫化物,強熱減量, 泥分含有率,マクロベントス分布状況調査を5月に実施。またアマモ場の分布状況 を5~6月に実施。アマモ生育密度は 目視により5段階で評点。

3 調査結果の取りまとめ方法の検討

上 記 の 調 査 項 目 は 漁 場 環 境 を 評 価 す る 指 標 で あ り ,現 在 は 測 定 値 を 公 表 し て い ま す が , 項 目 が 多 い ほ ど 視 覚 的 に も 直 感 的 に も 結 果 を 理 解 す る こ と が 難 し く な り ま す 。そ こ で ,複 数 あ る 調 査 結 果 か ら 類 似 し た 傾 向 の デ ー タ を 分 類 し 合 成 す る こ と で , 調 査 結 果 を 縮 約 す る 手 法 を 検 討 し て い ま す 。今 後 は 複 雑 な 調 査 結 果 を よ り わ か り や す く 発 信 し て い き ま す 。 (水産技術総合センター)

(22)

- 主な 取組-

⑫-3 水産加工業の復興支援について

1 復興する水産加工企業等への支援状況

県内の水産加工企業は,震災からの復興に向けた取組を進めていますが,失われた販路が 回復していないことなど,依然として厳しい状況が続いています。 水産技術総合センター水産加工開発部(以下「加工開発部」という。)では,県内の水産 加工企業の復興を支援するため,平成27年10月に石巻市魚町に再建した水産加工公開実 験棟(以下「実験棟」という。)を活用し,各種加工機器を使った水産加工品の試作や技術 指導,講習会を行いながら企業支援などに取り組んできました。

2 新たな支援体制の構築に向けて

・震災からの復興を進める県内水産加工企業への支援体制と,水産加工に関する試験研究 の充実強化を図るため,平成29年3月1日に加工開発部を水産技術総合センター本所 から公開実験棟に配置換を行う組織の見直しを行いました。 ・加工開発部が実験棟に常駐することで,水産加工企業の施設利用・相談窓口としての機 能や施設を利用した水産加工に関する試験研究体制が強化され,これまで以上に復興支 援に向けた体制が整備されました。

3 相談,試作対応状況など

・実験棟では,施設の加工機器類を利用し水産加工企業などが行う新商品開発や,商品の 試作改良の指導支援を進めています。 ・平成28年度の施設の機器利用実績は89件となっています。 【主な相談・試作内容】 ○相談 ○試 作 対 応 ・筋子の変色原因 ・ サ バ 燻 製 品 ・ワカメのボイル用水による品質の違い ・ 乾 燥 品 ( ホ タ テ , カ キ ) ・ 未 利 用 深 海 魚 に よ る 商 品 開 発 ・ フ リ ー ズ ド ラ イ ( ホ ヤ , サ メ 肉 ほ か ) ・蒲鉾の常温保存 ・ 干 物 の 真 空 包 装

4 主な取組について

◆ 宮 城 県 水 産 練 り 研 究 会 試 作 検 討 会 の 実 施 ・ 平 成 2 9 年 2 月 に ,産 業 技 術 総 合 セ ン タ ー と 連 携 し ,実 験 棟 を 利 用 し て 新 た な 商 品 開 発 に 向 け て 3 種 類 の 「 か ま ぼ こ 」 の 試 作 を 実 施 し ま し た 。 (水産技術総合センター) 水産練り研究会試作検討会 水産加工公開実験棟 ○ 水 産 練り 研 究会 ・ 会 員 : 県 内 の 蒲 鉾 製 造 業 者 ほ か3 1 名 ・ 活 動 内 容 : 水 産 練 り 製 品 の 製 造 ・流 通・販 売に 関 す る 技 術 や 知 識 の 向 上 を 図 って い ます 。

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- 主な 取組-

⑫-4 高品質な殻付きカキの安定出荷に向けた取組について

1 目的

近年,オイスターバーなどで殻付きカキの需要が増えていますが,通常のむき身用から選 んだ殻付きカキでは,殻の大きさや身入りのばらつきが大きいため,評価が低くなってしま います。 サイズが揃った身入りが良い殻付きカキを出荷するためには,選別後に再度蓄養し身入り を良くする必要があります。 そのため,選別後の餌料環境や蓄養密度・期間などの蓄養条件を検討し,高品質な殻付き カキの生産条件を明らかにしました。

2 取組内容

むき身用に水揚げされたカキを写真1の様に直 径40cm,高さ20cm,目合い 2.5cmの丸カゴを用いて蓄養し ました。 カゴは水深1mに養殖筏から吊り下げ ,同じ水 深 に 餌 と な る 植 物 プ ラ ン ク ト ン 量 の 目 安 と な る クロロフィル計を垂下しました。 試験は3回実施し,1回目と2回目は20個の カキを丸カゴに収容し,約1週間間隔で4回,1 カ ゴ ず つ 取 り 上 げ て 殻 長 ・殻 幅 ・殻 高 ・全 体 重 量 ・ 軟 体 部 重 量 ・軟 体 部 の 乾燥 重 量 ( ※ ) を 計 測 しま した。 3回目の試験は,収容密度による影響を調べ る ため10個入れのカゴと20個入れのカゴを1, 2回目と同じ条件で吊り下げ,1週間間隔で3回 各々1カゴずつ取り上げ計測を実施しました。 <結 果の概要> 1回目の試験では,2週目の中間までクロロフィル濃度が低い状態が続いていたため に,軟体部湿重量に対する乾燥重量比(以降,湿乾比)が低下し ましたが,2週目の後 半から3週目の中間にかけてクロロフィル濃度は上昇し,湿乾比も上昇し ました。 2 回 目 の 試 験 で は , 1 週 目 終 盤 か ら 2 週 目 に か け て ク ロ ロ フ ィ ル 濃 度 が 半 減 し た た め,湿乾比は1%以上低下しました。 3回目の試験では,10個入れと20個入れを比較すると,10個入れの方が湿乾比 が高くなりました。 カキの身入りの指標となる湿乾比は,漁場の餌の量の指標となるクロロフィル濃度の 変化にともない1週間程度の短期間で影響を受けることが分か りました。また,丸カゴ への収容密度が低い方が,湿乾比が高くなることも分かりました。 以上のことから,殻付きガキを出荷する際には,出荷1週間以上前に餌料 の量が十分な 漁場へ吊り下げる必要があり,餌の密度が低い場合には,収容密度を低く抑えることによ り,身入りの向上が期待できることが分かりました。 ※乾燥重量:カキの軟体部(身の部分)を85℃の乾燥機内で48時間乾燥した時の重量。 乾湿比が低い程,水分を多く含んだ身であったことを示します。 (水産技術総合センター,東部地方振興事務所水産漁港部) 写真1 試験用丸カゴ

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- 主な 取組-

⑫-5 震災前後の種がき調査結果について

1 背景

宮城県は東日本大震災以前,広島県に次いで国内の約1/4のカキを生産しており,加え て,国内販売量の約80%を占める最大の種ガキ生産県でもありました。水産技術総合セン ターでは,震災以前から種ガキ採苗の時期に石巻湾を中心として浮遊幼生調査や付着稚貝 調査を行ってきましたが,震災以降は松島湾および万石浦に調査範囲を広げ,生産者に情 報提供を行ってきました。ここでは,石巻湾における震災前後12年間の調査結果を取りま とめました。

2 調査方法

浮遊幼生調査は2005~2016 年に石巻湾(2005~2010 年 11 点,2011~2016 年 10 点) で行いました。2005~2010 年は 7~8 月,2011~2016 年は 6~9 月に週 1~2 回,北原式 プランクトンネットを用いて 2.5m曳きで幼生を採集しました。幼生はサイズで区分し, 250μm以上のものを大型幼生として計数し,全点の平均値を算出しました。付着稚貝調 査は 2005~2016 年に石巻市佐須浜(2011 年は万石浦湾口部)で行いました。ホタテ原 盤 10 枚を用いた試験連を垂下し,付着数を計数しました。

3 調査結果

震災前の石巻湾では,全幼生数が1,000 個体/100L を超えたのは年間 2~10 回で,年毎 の最大値は,2,398~10,733 個体/100L でした。大型幼生数は,2010 年を除いて年間 1~ 2 回 100 個体/100L を超え,年毎の最大値は,2010 年(35 個体/100L)を除いて 110~413 個体/100L の範囲でした。震災以降は,全幼生数は 2016 年に 4 回 1,000 個体/100L を超 えましたが,これ以外の年は年間 0~2 回に留まりました。年毎の最大値は 610~1,665 個体/100L で,震災前と比べて明らかに少なくなっていました。大型幼生数は,2015 年 (年間 1 回)を除いて 100 個体/100L を超えることはなく,年毎の最大値は,2015 年(174 個体/100L)を除いて 15~75 個体/100L の範囲でした。以上より,震災前と比べて震災後 は,幼生の出現数は少なくて期間も短く ,特に大型幼生 の出現数は著しく少なくなりました。 石巻市佐須浜では,震災前は付着数が 100 個/日を超え た日は年間 8~17 日で推移し,年毎の付着数の最大値は 248~849 個/日でした。震災後は,2011 年は付着数が 100 個/日を超えた日が年間 29 日,最大値が 3,760 個/日 で,特異的に付着日数が長く ,付着数も多い年でしたが, これ以外の年は付着数が 100 個/日を超えた日は年間 0~ 日で,最大値は 97~192 個/日と震災前と比べて付着日数 は短く,付着数も少ない結果でした。 2015 年の石巻湾と松島湾のカキ生産量は,震災前 (2005~2009 年平均)と比べて 44.7%に留まっており, 母貝の減少が幼生の発生,稚貝の付着に影響していると 考えられ,復興途上の本県カキ養殖業を振興するために, 今後も浮遊幼生調査や付着稚貝調査を継続し,適切な 採苗のタイミングを関係漁業者に周知する必要があり ます。 図 1 H22( 上 ) 及 び H28( 下 ) の カ キ 浮 遊 幼 生 の 発 生 状 況 ( 水 産 技 術 総 合 セ ン タ ー ) 0.1 1.0 10.0 100.0 1,000.0 10,000.0 100,000.0 6/1 7/1 8/1 9/1 (個) 大型幼生 全幼生 0.1 1.0 10.0 100.0 1,000.0 10,000.0 100,000.0 6/1 7/1 8/1 9/1 (個) 大型幼生 全幼生 H22 H28 ⑧

参照

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