_
特集 「 人 間 力 」 と 学 力 の 関係 を 問 う 〈 4 >
「 生 活力 」 と し て の 「 言語力 」 : 小 学校 英語 の 場合
コ ミュ ニ
ケ
ー ショ ン能力
の伸長を目指 す 文字学 習 に 焦点 を あ
てた 試
み上 越教 育大学
北 條 礼 子
小 学校 英 語 に お け る 生 活 力 と し て の 「言語 力 」
小 学 校 英 語にお ける 生活 力 と して の
「 言
語 力」
とは, な んで あろう
か。 まず
, 頭に浮
かぶ の は, や は りコ ミュ ニ ケー シ ョ ン能力
という
こ とに な ろう
。 実 際, 近い 将 来小学校
に英 語が導
入 され るこ とが予想
さ れ てい る が , 現 状 は そのた めの準
備が あ ま り整っ てい ない 。確
か に, ア ジ ア諸
国 をみて も小学校
段 階で 英 語 を教科
として教 えて い ない 国 は ほ とん ど なく
, 同 じEFL ( 外
国語と しての 英
語)環
境にある中国
,韓 国
,台 湾
と比べ て も小 学校英 語教育
はは るか に遅れ を
取
っ て い る状況
にある とい っ て も過 言
で は ない 。本稿 では, 文 部 科 学 省 中央 教 育 審 議 会 教 育 課 程
部
会 分科
会 「外
国語専
門部
会 」 が 日本の 小学
校 英 語 を どの よう
に位置
づけ
てい るの か と文部科学省
の調 査 結 果か ら小 学 校 英語 教育
の現 状が どの よう
に なっ てい るの か を ま と め, 次 に児
童 ・生徒
の文字指 導
へ の意
識に関 する調 査 結 果につ い て 述べ , 最 後 に,コ ミュ ニ ケー シ ョ ン
能力
の一つ であ り, 教 員, 児 童に とっ て 現 実 的に必要で あ り実 現可能な文字
に対す
る 理解
を伸 張
させ る文
字指導
の例を紹 介 する。1
.小 学 校 英 語 の 位 置 づ け
平
成18 年 3 月
に文部科学省 中央教 育審議会教 育
課程部会
分科会 「 外
国 語専
門部会」
が審議結 果 を報 告
した。「 外
国語専
門部 会」
に よる報告 内容
は,小 学 校 にお け る英 語 教 育の現 状 と課 題,
小
学校
に おける英 語教 育
の 目標
と内
容,小 学校に お ける英
語教育
に関す
る教育条件
,小学校
に おけ
る英 語 教 育の 教 育 課 程上 の位 置づ け, の4 点
にまと め ら れてい る。こ こ で は, こ の
う
ち,小 学校
にお ける英語教育
の現状
と課題
, と小
学
校にお ける英 語 教 育の 目標 と内
容 の2
点を,簡単
に概観 す
る。1
.1
小 学 校に お け る英 語 教 育の 現 状 と課 題まず, 小学 校に おける英 語教
育
の現状 と課 題 につ い て は, 次の3
点に お い て 小学校
英語教育
を充実
さ せ る必要
が ある と報 告 さ れ てい る。 一 つ 目は, 小 学 生の 柔軟
な適応力
を 生 かすこ と に よ る英語力
の向
上 であ
る。 これ は最
近の 小 学生 はテ レ ビ等
を通 じて外
国人や異文化
に接 す
る機会
が多
い こ とか ら,現 在
中学 校で実施
されて い る挨 拶,自
己紹介
などの活動
は小 学生 に よ りふ さ わ しい もの で あ り, こ の よう
な活動
が将 来児
童の実
践 的 なコ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力を育 成 するう
えで の 素 地 となる という
可 能性 である。 二 つ 目は グロ ーバル 化へ の進展へ の 対応で ある が , 国 際 的に小 学 校で の英 語教 育の必要 性が 高 ま り, 英
語科
の小学校
へ の導
入が進
んでい るこ と や, 国内
で も保 護者等
か ら 小 学 校 英 語 教 育の 必修 化へ の期 待が強 くなっ て きてい る こ とか ら, 小 学 校での英 語 教 育 を充 実 する こ とに よ り, 次 世 代を担
う
子 どもた ちの国 際 的視 野に立つ コ ミュ ニ ケー シ ョ ン能 力 を育 成 する必 要 性であ る。 三つ 目は, 教 育の機 会 均 等の
確
保であるが, 現 在 全 国の90
% を超 える 公立小 学校 で, 総 合 的 な各
週の 時 間等に おい て英 語活 動が実 施さ れて い るが , 活 動内
容や授 業 時 間 数には か な りの ば らつ きが あ り, 中 学校 入 学 時に共 通の 基
礎
が もて る よう
, 必 要 な教 育 内 容 を提 供 する必 要性である。1
.2
小 学 校に お け る英語 教 育の 目標 と内 容次
に,小学校英 語教 育
の 目標
と内容
は どの よう
に捉
え られ てい る であろう
か。
外
国語専
門部会
は以 下の よう
に報 告 して い る。1
.2
.1 教育
目標
小
学
校段
階の 英語教 育
の 目標
につ い て は, まず 次
の大
きな2
つ の考 え方
が「生活力」と して の 「言語力」 :小学校英 語の場 合 示 さ れてい る。
小
学校段 階
で は,音 声
を柔軟
に受
け止め るの に適
して い る こ と な ど か ら,音 声
を中 心 と し たコ ミュ ニ ケー シ ョ ン活
動 や,ALT ( 外
国語指導
助手)
を
中心
とし た外 国人
との交流 を
通して ,音声
,会話表
現,文法
などの スキル
面
を 中心に英語力
の向
上 を 図る こ と を重視 す
る考
え方
小学校段 階
で は,言語
や文化
に対す
る関
心や意欲
を高
め るの に適
して いる こ と か ら, 英
語
を使
っ た活動
をする こ と を通 じて , 国語や我が 国の文
化 を含め, 言 語や文 化 に対 す る理 解 を深め る と ともに,ALT
や留 学生等
の外 国 人 との交 流 を通 して,積 極 的に コ ミュ ニ ケー シ ョ ン を図ろう
とす
る態 度の育
成 を 図 り, 国 際 理解
を深
め る こ とを重 視す
る考
え方以 上 の
2
つ の考
え方
は,前 者
が 英語の ス キル をよ り重 視 する考
え方で あ る の に対
し,後 者
は国際
コ ミュ ニ ケー シ ョ ン をより
重視 す
る考
え方
であ
る。その
うえ
で,外 国語専
門部会
と し て,総合 的
に勘 案
し,中学校
で の英語教
育
を見
通 して,何
のた め に英語
を学
ぶ のか という動 機
づけ
を重視 す
る との観 点
や,言 語
や コ ミュ ニ ケー シ ョ ン に対す
る理解
を深
め るこ とで国語 力
の育
成 に も寄 与 する との観 点か ら,の考え方 を基 本 とするこ とが適
当
で ある と し,こ の 場 合で も
の側 面につ い て , 小 学生 の 柔軟な
適
応力
を 生 か して , 英語
の 音声
や基 本 的 な表 現に慣れ親 しみ, 聞 く力
を育
て る こ とな ど は, 教 育 内容として適 当と考 えら れ る, と して い る。 ど ち ら に して も,
実
践 的コ ミュ ニ ケーシ ョ ン能
力
を 重視して い るこ と に な る、、1
.2
.2
中 ・ 高等
学 校にお ける英
語教育
との関係
外
国語専
門 部会
は,小 学校
の英語教育
を充 実す
る に当
たっ て, 小学校
の 教 育 目標 を 以下の よう
な方 向
で検 討す
るこ とが適当
であ
る と報告
して い る。その
方 向
と は, 小学校段
階の子 ども
の柔軟
な適 応力
を生かす
こ とが有効
であ り, 基 本 的 な単 語や表 現 を用い て , 英 語で聞 くこ と, 話 す こ と な どの 言 語 活 動 を実 際に行っ て み る ことに よ り, 英 語を通 して積 極 的に コ ミュ ニ ケ ー シ
ョ ン を 図ろ うとする態 度の育 成 を図っ た り,言語や 文化へ の
体
験 的な 理解
を図っ た
りす
る こ と,併
せ て英語
の音声
や会話
に慣
れ る こ とが 適 当で ある という
こ とであ
る。 さ らに同部
会で は, その 際, 英語 に対 する児 童の関 心 ・意欲を高め るた め,
子
どもの発
達段
階にふ さわ しい言語
の使
用場面
を設 定す
ること が 必要で ある と してい る。
1
.2
.3
教育
内容
外
国 語専
門 部会
は, 教 育内
容 と して, 子 ど もに とっ て身
近 な言 語の使
用場
面 を設定
し, 英語
での コ ミュ ニ ケー シ ョ ン に対 す
る積極性
を身
につ けさせ, 適し た テーマ で 言語や文化 (
国 語 ・日本
の伝 統文
化な ど)
につ い て理解
させる こ とが適 当で ある と して い る。 さ ら にテーマ にふ さ わ しい 基
本
的な単語
や 表 現 例を用い , 音 声 面 中 心の ス キル を身につ けさせ, また英 語 を学ぶ こ とに よ り, 異文
化理解 ば か りで な く, 国語や自
国 文 化につ い て も併せ て理 解 を深 め る こ と が可 能 な内
容 必 要である と述べ てい る。こ こか ら, 小 学
校
英 語 教 育で は, とくに音声
面 中心の コ ミュ ニ ケー シ ョ ン が重
要 視 されてい る ことが わ かる。2
.小 学 校 英 語 教 育 の 実 施 状 況 現 状
さて , それで は, 小 学 校 英 語 教 育の 実 情は ど
う
なっ てい るの であろう
か。2
.1
平 成18
年 度 小 学 校 英 語 活 動 実施 状 況 調 査 結 果か ら文 部科 学 省は, 全 国の公立小
学
校 を対 象
に,平
成15 年 度
か ら毎年小学校 英 語 活動 実 施
状 況 調 査 を実 施 してい るが,4
回 日となる18年 度
は,対 象 校
が22
,031
校で あっ た。 主 な結 果 は以 下の とおり
で ある。ま
ず
, 英 語 活 動 実 施 学 校 数 で ある が, 全国
の 公 立 小学 校 22
,031 校
のう
ち,21
,116
校が何 らか の 英 語活動
を実施
しており
,実施 割合
は95
.8
% になって い る。 な お, 平 成
17 年
度の 実 施割
合は93
.6
% で あり
,前
回よ り2
.2
ポ イ ン ト増 加 してい た。また, 平 成
18年
度 小学
校英 語年
間実施
時 間 数 は表1
に示 す と お りで ある が,3
年生以上 で は約85
% が総合 的な学
習の時
間内
で実施
さ れてい る。次に, 英 語
活動年 間平均 時
間数
は表 2
に示 す とお りで あるが,6
年 生でみる と,
14
.8 時 間
となり
,平
成17 年度
は13
,7
時 間で あっ たの で ,1
.1
時 間増
え「生 活 力 」 と しての 「言 語 力」 :小学校英 語の場合 表
1
平成18
年 度小学校英語年間 実 施 時間数第 1 学年 第 2 学年 第 3 学年 第 4 学年 第 5 学 年 第 6学年 総合 的 な学習の時間
85
.6
%84
,7
%84
.7
%85
.0
% 特 別活 動 (ク ラブ活動や学校 行事 など)
59
.0
% 59.0
%19
%3
、0
% 2.9
%2
,8
% その他 (教 育課 程外の 時 間 )
31
.3
%30
.9
%L8
%1
.7
%1
.7% 1.9
% 研 究 開 発学校, 構造改 革特区 に お け る 教 科等と しての 実施
9
.7
%10
.0
%10
.7
%10
.5
%10
.7
%10
.3
%計
100%
(14&478 時 間)
100%
(153ρ98 時 間)
100%
(263 .740 時間)
100%
(272 ,11 時 剛
100%
(291847 時間)
100%
(304236 時間)
表
2
活動時間数別学校数第
1
学年 第2
学年 第3
学年 第4
学年 第5
学年 第6
学年1
〜3
時 間27
.4
%26
.4
%14
.6
%13
.6
%12
.2
%11
」%4 〜ll時間 51,4% 52.0% 442% 43.9% 42 .3% 42.7%
12
〜22
時間 ユ6
ユ%16
.2
%24
.9
%25
.5
%25
.6
%25
.796
23 〜
35
時 間 4.2%45
% 13.3
% 13.9
% 16,4% 16,8
%36
〜70
時 間0
.9
%0
.9
%3
.0% 3,1% 3.4% 3.6%71
時間以 上0
.02
%0
,02
%0
,04
%0
.04
%0
.05
%0
.1
%計
100.0%
17,401 校
100.0%
17,579校
100.0%
19,775 校
100.0%
19
ρ75校100.0%
20
,173
校100.0%
2
α576
校て い た。 こ こか ら
平
成18 年
度に は6 年
生で毎月 1
回 強の割
合で活 動 が 行われ たこ とがわか る。また,
英語活動
の 主た る指導者
であ
る が表 3
に示す
とおり
であ
る。 こ の項
目 は
「 学級担 任」 「
英 語指導
担 当教員」 「 中
・高等学校
の 英 語 教員」 「 特 別 非 常 勤講師」 「
そ の他 ( 校
長 ・教
頭な ど) 」
の5 項
目 で調
査が行
わ れ た。 表2
から,
各
学年
とも指 導 者は学 級 担 任が多
く, い ずれ も90
% 以上 に なっ てい る。さ らに, 活 動 内容である が , その 結 果は表
4
に示 す とお りである。各
学 年と も, 「歌や ゲー ム など英 語に親しむ 活 動 」が
95
% 以E
となっ て い る。6 年
生で み る と,「 歌
や ゲ ーム な ど英語
に親
しむ活動」
は97
,6
% となっ て おり
,前
回の調 査 時の97
.1
% よ りわず
かに数値
が あ がっ て い る。文 部科 学 省は, 小 学 校 英 語教 育に おい て文 字 指 導 を推 奨 してい ない が, こ
表
3
英語 活 動の主た る指導 者 別 時 間 数第 1 学年 第 2 学 年 第 3 学 年 第 4 学年 第 5 学 年 第 6 学年 学級 担 任 教員
94
.8
%94
.7
%94
.6
%94
ユ%93
.5
%92
.9
%英語指導担 当教員 17% 1.
8
% 2.0
% 2.1% 2.1% 20.8
% 中 ・高の 英語教員0
.4
%0
.4
%0
.5% α5%0
.9
%1
.4
% 特 別 非 常 勤 講 師L8
%1
.8
%1
,7
%1
,7%1
.8
%1
.9
% その他 鮫 長,教頭等)1
.3
%1
.3
%1
.3
%L6
%1
.9
%1
.7
% 言【’ 100.0%148
,478
時 間
100.0%
153
,098
時 間
100.0%
263
,740 時 間100 ,0%
272
,115
時 間
100.0%
291
,847
時 問
100.0304
,
236
時 間
表
4
活 動内容 (複数回答)第 1 学年 第 2 学年 第 3学年 第 4学年 第 5学年 第 6学年 歌や ゲーム な ど英語に親 し
む活動
99.3% 99.3% 97.7% 98.5% 98.5% 97.6%
交流 活 動 など実 体 験 を通 じて
i
英 語 や 異 文 化に触れる活 動36
.5
%36
.8
%40
.3
%41
.4
%43
.7%45
.0
%簡単 な 英会話 (挨 拶, 自己
i
紹 介 )の 練 習84
.5
%87
.0
%93
.2
%95
.1
%96
.3
%96
.4
%英 語の発 音の練習
63
,3
%64
.4
% 72.6
% 74.2% 76.9% 77 .7% 文字 に触れ る 活動17
.7%189
%29
.0% 34.5% 42.8% 46 .8% その他(上記に属 さ ない もの)2
.5
% 2.6
%3
ユ%3
.0
%3
.7
%3
.9
%の
結
果を み る と,文字
を扱う活動
が どの よう
な もの なの か につ い て の詳
細 は 不 明である が,第 1
学年
か ら17
.7
%の小 学 校 が 文字に触れ る活 動 を 開始 して おり
,第 5 学年
で は42
.8
% ,第 6 学年
で は46
.8
% と な っ てお り, 小学校 高学 年
では全 小学校
の4 割強
の小学校
が何
らかの文字
に触
れ る活 動
を行
っ て い るこ とが 見て
取
れる。3
.英 語 の 文 字導 入 に 関す る 児 童
,生 徒 の 意 識 に
つ いて
3
.1
小 学 校 英語 活 動に お ける文 字の 導 入に関 する調査筆 者は, 平 成
15
(2002 )年 12
月に ,C 県 S
町の 小学校
全8 校
の6 年
生416
名
, 中学 校 全4
校1
年生468
名, 同2
年 生257
名 を対象
に小 学 校 英 語 活 動に関す
る意
識につ い て調査
を実施
した。 な おこ こ にあ げ た対象者
は有効
同答数
で「生 活 力 」 と しての 「言語力 」 :小学校英語の場合
あ
る。調
査 を実 施
し た 旧S 町
は,首 都 圏 30km
に位 置 す
る調
査当時
人 口約 46
,000
人の 町で あっ たが,現在
は隣接
し て い たK 市
と合併
し て い る。 旧S
町
で は平成 12 年 4 月
より
町独 自
の取 り組
みを 開始
した。 国際
理解教 育
の 一環 として の「
小学校
英 語活動」
であっ たが , その 目的は, 英 語活動
の 実 施 を と お して児
童が異 文
化 を理解
し, 共 に生 きてい く資質
や能 力, コ ミュ ニ ケ ーショ ン の 基 礎 的 能 力 を
育
成す
る こ とであっ た。 旧S
町で は小学
校 教員
の み によ り小
学校
英語活動
カ リ キュ ラム が作
成 さ れ,年
間10 時
間程度
の活動
が実施
さ れ て い た。
当時, 調
査
の対象者
となっ た中 学1 年
生 は全 員が小 学校
英語活動
を経験
し, 中 学 校2
年 生 は小 学校自
由裁 量に よ り, 小 学 校 英 語活動
を経験
し た こ との ない 生
徒
もい た。 こ の調
査の 目的は, 小学校
英 語活動
を経
験 して い る 途 中の6 年
生, かつ て小 学校英語活動
を経
験 したことの ある中学 i 年
生, 中 学2 年
生の
同活動
に対 す
る意 識 を 明 らかにするこ とであっ た。 また, 中学 校2 年
生 を 対象
に小 学校
英語活動
の経験
の有 無
に よ る意
識の 差がある か どう
か も併せ て明らか にするこ と を 目的と して い た。
調 査 項 目は全 部で
39
項 目であっ た が, こ こで はこ の39
項目のう
ち文字
の導
入に関す る6
項 目 を取 り上 げ, 結 果を紹
介す る。 文 字の 導入 に 関する質 問項 目内
容は小 学6 年
生用の 項 目 を 例 に取
る と,「
アル フ ァ ベ ッ トを読め る よ う に な りたい」 「
アル フ ァ ベ ッ トを書
ける よう
になり
たい」 「
かん たん な英 語の 単 語 を読
め る よう
に な りたい」 「
か ん た ん な英語
の単 語
を書 け
る よう
にな り たい 」 「か んたんな 英 語の文
を読め る よう
になり
たい」 「
か ん た ん な英語
の文
を書
ける よう
に な りた い」
で あっ た。 なお,調
査実施 当時
旧S 町
の小 学 校
で は英 語の 文 字の 導 入は行われてい なか っ た。
ア ン ケー トの 形 式は, 「
5
まっ た くそう
思う」
「4
ど ち ら か という
と そ う思 う」 「3
どちらで もない 」 「2
どち ら か という
と そう
思 わ ない」 「 1
まっ た くそ う思わ ない 」か ら成 る
5
段 階尺 度形式
で あ り,各
項目の 結 果を1
か ら
5
の数値
に換算
した。3
.2 小学
生の文 字の導 入に関 する意 識小
学
校6 年
生児
童の文字導
入に関す
る各
項 目の平
均 と標準
偏差 を求
め た が,その結 果は表
5
に示 す とお りで ある。表
5
小学校6
年生児童の文字導入に関する各項 目の平均 と標準偏差 (SD
)(N
=416
)項 目 項 目内容 平均
SD
1
アルフ ァ ベ ッ トを読め る ようになりたい4
.19 1
.22 2
アル フ ァ ベ ッ トを書けるようになりたい4
.23 1
.19 3
かんたんな 英 語の 単 語 を 読 める よ うにな りたい423 1
.15 4
か ん た んな 英語の 単語を書ける ようにな りたい4
.18 1
.20 5
かんたんな 英 語の 文 を読めるようにな りたい4
.24 1
.17
6 か ん た んな 英 語の 文を書ける よ うにな りたい
420
1,22
さ ら に, こ の6
項 目につ い て解釈
しや すい よう
に5
段 階尺 度の5
と4
を肯 定
,3
を 中立 ,2
と1
を否定
とし, その 度 数 を再集
計 し,X2 検 定
を行 っ た 結 果は表6
に示 す とお りで ある。表
6
小学校6
年生児童の文字導入に関する各項目の集計結果 とX2
検定結果(N
=416
)集計結果 κ2検定結 果
項 目 肯定 1 中 立 1 否 定 κ2
啣 P 多重 比較 (pく仍 )
1 311
:66
:39 323
。88
* * 肯定〉中立〉否定 2312
:72
1
32 33076
* * 肯定〉中 立〉否定3 319
:61
1
36
354ρ3 * * 肯定〉中立〉否定4 320
:55
1
41 37587
* * 肯定〉中立≒否定5 325
: 501
41 375
.87
* * 肯定〉中立 ≒否定6 320
: 561
40
356 .61
* * 肯定〉中立≒ 否定* *P 〈.
0
ユ以 上の 表
5
,6
の 結 果で あるが, まず
表5
をみ る と, アル フ ァ ベ ッ トの読
み書 き, 簡
単
な英単
語の読
み書
き,簡単
な英 文
の読
み書
きにつ い て,各項
目の平 均は
5
点満 点 中,4
.19
か ら4
.24
を推 移 し てい た。 次に表 6
のX2 検
定の結 果 をみる と, アルフ ァ ベ ッ トの 読み書 き, 簡
単
な英単
語 を読
むこ とにつ いて は肯 定 的 な 意見 が最 も多 く, 次い で中 立の 意 見, 否 定 的な意 見 とい
う
順に なっ て い た。 また簡単
な英単
語 を書 く
こ と,簡単
な英文
の読
み書
きにつ い ては,