全文

(1)

申 請 権

﹂ 概 念 の 展 開

村 上 裕 章

(2)

は じ め に

申 請権

﹂は

︑実 定 法上 の用 語で あ る﹁ 法令 に基 づ く申 請﹂ を裏 打 ちす る概 念と し て︑ 行政 争訟 法 及び 行政 手続 法 上︑ 重 要な 役割 を果 た して いる

︒し か し︑ この 概念 が出 現し た経 緯は 必 ずし も明 らか では な い︒ ま た︑ 申請 権﹂ 概念 を前 提 とし た現 行法 上 の義 務付 け訴 訟 につ いて は︑ 様 々な 問題 も指 摘 され てい る︒ そこ で︑ 別稿

おい て︑ 申 請権

﹂ 概念 が 生成 し︑ 確 立し た 過程 を明 らか にし た︒ 本稿 では

︑こ れ に続 き︑ 同概 念が 実 定法 上さ らに 確 固と した 地位 を 占め るに 至っ た 経緯 を︑ 行政 手 続法 にお ける

﹁ 申請 に 対す る処 分﹂ の 法定

︵一

︶と

︑ 行 政事 件訴 訟法 改 正に よる 義務 付 け訴 訟の 明文 化

︵二

︶に 即し て 検討 する

一 展 開 そ の 一

⎜ 行 政 手 続 法 に よ る

﹁ 申 請 に 対 す る 処 分

﹂ の 法 定

1 問 題 の 背 景

別稿

で見 たよ う に︑ 行政 事件 訴 訟法 によ って 不 作為 の違 法確 認 訴訟 が法 定さ れ

︑こ れ を裏 打ち する 概 念と して

﹁申 請 権

﹂が 判例 通説 に よっ て承 認さ れ るに 至 った

︒ 申 請権

﹂は

︑ 申請 に対 して 適法 な応 答 を求 める 点で

︑手 続 的 な権 利で あ るこ とか ら︑ 行 政手 続上 の概 念 とし ても 有用 で ある こと は明 ら かで ある

︒ この 点に いち 早 く着 目し たの は 今村 成和 であ る

︒今 村は

︑一 九 六六

︵昭 和四 一

︶年 に 刊行 され た教 科 書に おい て︑ 行 政 主体 に対 する 個 人の 権利 を﹁ 実 体法 上 の 権利

﹂ と﹁ 手 続法 上の 権 利﹂ に 分類 し︑ 後 者に つ いて

︑ 行 政聴 聞 の当 事者 と なる 権利

﹂︑ 行 政不 服申 立お よ び訴 訟 を 提起 する 権利

﹂︑ 申 請の 権利

﹂の 三種 類を 挙げ る︒ そ し て︑ 申請 の権 利﹂

(法政研究 84‑1‑ )42 42

(3)

に つい て︑ 法 令の 規 定に より

︑個 人 が︑ 行政 機関 に 対し

︑何 ら かの 行為 をな すべ き こと を申 請す るこ とが で きる もの と され て いる 場合 に認 め ら れ る権 利 で あ る﹂ と し て︑ 実 体 法 上の 権 利 の 有無 に か か わ らず

︑国 民 は︑ 適 法 な 申請 に よ って

︑行 政庁 に 対し

︑適 法な 応 答を 求め る権 利 を有 して いる

﹂ とす る︒ 具体 的 には

︑ 申請 は︑ 行政 庁 に対 し︑

①適 法 な 申請 であ れば こ れを 受理 すべ き こと

︑② 受理 し た申 請に 対し て は︑ 相当 の期 間 内に 応 答す べき こと

③応 答は

︑法 に 定 める 手続 に従 い

︑か つ︑ 法に 適 合し た内 容の も ので ある べき こ とを 求め る意 思 表示 で あり

︑行 政庁 は これ に対 応す る 義 務を 負う とし て いる

︒そ して

︑ 不作 為の 違法 確 認訴 訟︵ 行政 事 件訴 訟法 三条 五 項︶ は

②に つい て出 訴 を認 めた もの で あ り︑ 皇居 前広 場 使用 拒否 処分 取 消訴 訟︵ 最大 判 昭和 二八 年一 二 月二 三日 民集 七 巻一 三 号一 五六 一頁

︶ は③ の請 求を 認 め る趣 旨と 解し て よい とす る

やや 時代 が下 る が︑ 一九 八三

︵ 昭和 五八

︶年 に刊 行さ れた 教科 書 にお いて

︑兼 子 仁は

︑ 利益 的行 政処 分 の申 請﹂ と

﹁不 利 益行 政処 分の 同 意﹂ を区 別し た 上で

︑前 者の 申 請手 続に つい て

︑ 国 民か ら 行政 処 分の

﹁申 請﹂ を なし うる のは

︑ 行 政庁 に行 政処 分 の決 定義 務が あ るだ けで なく

︑ 現行 法制 上申 請 制度 が採 られ 国 民に 申 請権 が保 障さ れ てい る場 合で あ る

﹂と し︑ 行 政措 置 を求 める 国民 の 法益 は︑ 実体 法 的・ 特 殊 法的 には 多様 であ るが

︑そ れが 相当 程度 に強 い もの であ る とき には

︑行 政 処分 の申 請権 と いう 行政 法的

・ 手続 法的 な保 障 があ るも のと 条 理解 釈 して よい であ ろ う︒ この 申請 権 の 保障 は︑ たん な る請 願や 苦情 申 出や 陳情 とち が い︑ 行政 庁が 申 請に 対し

︑公 正 な処 理 と﹁ 相当 の期 間 内﹂ にお ける 処 分 決定 とを 義務 づ けら れる とい う 制度 的し くみ に 示さ れる

と述 べて いる

︒ そこ で︑ 行 政手 続法 を 制定 する に当 たっ て は︑ 手続 的な 権利 とし て の﹁ 申 請権

﹂を 具 体 化す る こ とが 重 要 な 課題 と な った

︒以 下で は

︑申 請に 関す る 手続 に焦 点を 当 て︑ 行政 手続 法 制定 以前 の諸 提 案を 概 観し た上 で︑ 同 法の 制定 過程 を 検 討す る︒

(4)

2 行 政 手 続 法 制 定 以 前 の 提 案

⑴ 国家 行 政運 営 法案 一九 五二

︵昭 和 二七

︶年 に国 会 に提 出さ れた

﹁ 国家 行政 運営 法 案

は︑ 行政 機 関が

﹁ その 所掌 する 行 政事 務を 適切 に 運 営す るた めに 必 要な 基準 を定 め る﹂ 一条

︶ とい う 目的 か ら もわ かる とお り︑ 行 政 運営 的な 目的 で作 成さ れ たも ので あ って

︑行 政手 続 法と は観 点を 異 にす る︒ もっ とも

︑ 許可 等 の処 理﹂ に関 す る規 定︵ 九条

︶ があ り︑ そこ で は︑ 許可 等の 申 請が あっ たと き は︑ 行政 機 関は

︑ 関 係者 の利 害関 係 を十 分尊 重し

︑ 公平 且つ 速や かに 処理 しな けれ ば なら ない

﹂こ と

︵一 項

︶︑ 法律 の定 める と ころ によ り

︑一 定期 間内 に 何ら の措 置が な され な かっ た とき は︑ 許 可等 が あっ た もの とみ なす こ と︵ 二 項︶

︑こ の 場 合︑ 関 係者 か ら申 請が あっ た とき は︑ 処分 行 政機 関は 許可 等が あっ た こと を証 明 しな けれ ばな らな い こと

︵ 三項

︶︑ 許 可 等の 更新 に つき 処分 行政 機 関の 定め る期 間 内に 申請 があ っ た場 合︑ 更新 の 処分 が確 定す る まで

︑ 従前 の許 可等 が なお その 効力 を 有 する こと

︵五 項

︶等 が定 めら れ てい た︒

⑵ 行政 手 続法 草 案 一九 六四

︵昭 和 三九

︶年 に公 表 され た臨 時行 政 調査 会︵ 第一 臨 調︶ 第三 専門 部 会第 二 分科 会の

﹁行 政 手続 法草 案

︑ 総 則︵ 第一 章︶

︑手 続

︵第 二章

︶︑ 苦情 処理 手続

︵ 第三 章︶ から な る︒ 総則

︵第 一章

︶ には

︑法 令に 基 づく 申請 が適 法 であ ると きは

︑ 行政 庁は

︑当 該 申請 を 受理 した 上︑ 受 理証 を交 付し な け れば なら ない こ と︵ 一一 条︶

︑申 請 が不 適 法で あっ て 補正 で きる とき は︑ 行 政庁 は︑ 相当 の期 間を 定め て︑ 補正 をさ せ た後

︑受 理し な けれ ばな らな い こと

︵一 二条

︶︑ 行 政庁 は︑ 申請 を受 理し た場 合に お いて

︑ 何ら かの 処分 を しな けれ

(法政研究 84‑1‑ )44 44

(5)

ば なら ない とき は

︑当 該申 請を 受 理し た日 から 一 定期 間︵ 法律 に 定め があ ると き はそ の 期間

︑な いと き は三 か月

︶以 内 に 何ら かの 処分 を し︑ 申請 人に 通 知し なけ れ ばな らな いこ と︵ 一 六 条︶

︑当 該 期間 内 に通 知し なか った と き は︑ 原 則と し て当 該申 請に 対 する 容認 があ っ たも のと みな す こと

︵一 八条

︶︑ 行 政庁 が法 令に 基 づき 許可 等を し よう とす ると き は︑ あ らか じ め許 可等 の申 請の 手続

︑許 可基 準そ の他 法令 の 施行 のた め必 要な 事 項を 定め

︑公 表 しな け れば なら な いこ と

︵二 一 条︶

︑ 継続 的 性質 を有 する 許 可等 につ いて 更 新の 申請 が適 法 にな され たと き は︑ 有 効期 間満 了後 も

︑行 政庁 が当 該 申 請を 拒否 する ま では

︑な おそ の 効力 を有 す るこ と︵ 二 二条

︶な ど が 定め られ てい た︒ 受 理﹂ 概 念が 用い ら れて いる と とも に︑ 申請 が 不適 法で ある 場 合や

︑申 請に 理 由が ない 場合 に

︑行 政庁 が応 答 をし な けれ ばな らな い か︑ 必ず しも 明 確 では ない よう に 思わ れる

︒ 手続

︵第 二章

︶ には 聴聞 手続

︵ 第二 節︶ と弁 明 手続

︵第 三節

︶ が含 まれ てい る が︑ 適 用対 象は 個別 法 で定 めら れる こ と とさ れて おり

︑ 現在 の申 請に 対 する 処分 もこ れ に含 まれ る可 能 性が あっ た︒ そ こで は

︑聴 聞手 続及 び 弁明 手続 に基 づ く 処分 につ いて の み︑ 理由 付記 を 義務 付け る規 定 があ った

︵一

〇条 一項 三号

︑ 一〇 九 条︶

⑶ 行政 手 続法 研 究会

︵第 一次

︶ 報告 一九 八三

︵昭 和 五八

︶年 に公 表 され た﹁ 行政 手 続法 研究 会︵ 第 一次

︶報 告

以下

﹁第 一次 研究 会 報告

﹂と いう

︶ は︑ 総 則規 定︵ 一︶

︑処 分 手続 規 定︵ 二

︶︑ 命 令 制定 手続 規定

︵三

︶︑ 特 別手 続規 定︵ 四

︶の 四部 分か ら構 成さ れ る︒ こ のう ち

︑処 分手 続規 定 は︑ 申請

︵第 五

︶︑ 告知

︑聴 聞等

︵ 第六

︶︑ 処分 基準

︵第 七︶

︑文 書 閲覧

︵第 八︶

︑処 分 の理 由付 記︵ 第 九

︶か らな る︒ 行 政手 続法 草案 と 異な り︑ これ ら の規 定は 原則 と して すべ ての 処 分に 適 用さ れる

︒ 申請 に関 する 規 定︵ 第五

︶に お いて は︑ 法令 に 基づ く申 請は

︑ 法令 の定 める 官 署に 到 達し たと きに そ の効 力を 生ず る こ と︵

〇五

〇一 条

︶︑ 行政 庁が 申請 を 受け たと きは

︑ 遅滞 な く 当該 申請 が適 法で ある か どう かを 審査 し︑ 適 法 であ ると

(6)

き は︑ 直ち に当 該 申請 の内 容に つ いて

︑審 査を しな けれ ばな らな い こと

〇五

〇二 条︶

︑申 請が 不適 法で あっ て補 正す る こと が でき るも ので ある とき は︑ 行政 庁は

︑相 当 の 期間 を定 めて

︑そ の 補 正を 命ず るこ とが で き るこ と

︵〇 五〇 三 条

︶︑ 行政 庁は

︑申 請 が不 適法 で補 正 でき ない とき

︑ また は 申 請人 が補 正命 令に 従わ な いと きは

︑当 該 申請 を 却下 する こ と︵

〇五

〇四 条

︶︑ 申請 の内 容ま た はこ れに 関連 す る事 項に つ いて

︑ 申請 人に 対し

︑作 為ま たは 不作 為を 要 請す ると き は︑ 文書 によ っ てし なけ れば な らな いこ と︵

〇 五〇 五条

︶な ど が定 めら れて い る

こ こで は﹁ 受理

﹂ 概念 は用 いら れ て おら ず︑ 申請 が 法令 の定 める 官 署に 到達 した 場 合︑ 行政 庁が 何 らか の処 分を す べき 旨 が明 確化 され て いる

︒ 告知

︑ 聴聞 等に 関す る 規定

︵ 第六

︶は 一 応 すべ ての 処分 に適 用さ れ る︒ もっ と も︑ 告知 が 行 わ れ るの は

︑侵 害処 分

︵ 特定 の者 に対 し て義 務を 課し

︑ 又は 権利 を 侵害 する 効果 をも つ 処分

﹂︶ が なさ れ ると き︵

〇 六〇 一条

︶の ほか

︑ 法令 に 基づ く申 請に 対 する 何ら かの 処 分を しよ うと す る場 合に おい て

︑当 該申 請が 認 容さ れ ない こと につ い て法 律上 の利 益 を 有す る者 があ る こと を行 政庁 が 知っ たと き︵

〇六

〇三 条︶

︑競 願事 案︵ 法 令に 基づ い て二 以上 の申 請が な され

︑ いず れ かの 申請 が認 容 され れば 他の 申 請が 認容 され え ない 関係 があ る 場合

︶に つい て 何ら か の処 分を しよ う とす ると き︵

〇 六

〇四 条︶ に限 ら れる

︒聴 聞手 続 が求 めら れる の も︑ 不利 益処 分

︵〇 六〇 八条 一 項︶ の ほか

︑競 願事 案 に限 られ

︵同 条 二 項︶

︑そ れ以 外の 処 分に は意 見陳 述

︵〇 六

〇六 条︶ と公 聴会

︵〇 六

〇 七条

︶ の規 定の みが 適 用さ れる

︒ これ に対 し︑ 処 分基 準︵

〇七

〇 一条

と 理由 附 記︵

〇九

〇一 条10

の規 定 は︑ 原 則と して すべ て の処 分 に適 用さ れる

⑷ 神奈 川 県自 治 総合 研究 セン タ ー﹁ 行政 手続 と 住民 参加 に関 す る研 究﹂ 国に おけ る行 政 手続 法の 検討 と 並行 して

︑一 九 八六

︵昭 和六 一

︶年 に神 奈川 県 自治 総 合研 究セ ンタ ー の﹁ 行政 手続 と 住 民参 加に 関す る 研究

﹂ 以下

﹁神 奈 川県 研究

﹂ とい う︶ が 公 表さ れた11

この 研究 に つい ては

︑本 稿 の観 点 から は︑ 次 の 二点 が特 に注 目 され る︒

(法政研究 84‑1‑ )46 46

(7)

第一 に︑ 行政 処 分手 続の 類型 論 が提 示さ れて い る点 であ る︒

Ⅱ 自治 体行 政手 続 の類 型と 法的 整 備の 可能 性﹂ 兼子 仁 執筆

︶に おい て

︑ 地方 自治 レベ ル にお いて も一 般 行政 手 続 法制 の整 備を めざ そう と する とき は︑ 自 治体 行 政の 過程 を なる べく 全体 的 にと らえ

︑一 般 行政 手続 の視 点か ら分 類整 理す る とい う︑ 新 しい 作業 が 必要 であ る12

と して

︑ 職権 処 分関 係手 続13

﹁申 請等 処理 手 続﹂ とい う分 類 が示 され

︑研 究 全体 もこ の分 類 に基 づ いて 構成 され て いる

︒後 に見 る と おり

︑行 政手 続 法の 構成 は本 研 究か ら示 唆を 受 けて いる よう で ある

︒ 第二 に︑ 三面 関 係を 重視 して い る点 であ る︒ こ のこ とは 研究 の 表題 から も明 ら かで あ るが

Ⅰ 序論

﹂ 成田 頼明 執 筆

︶に おい ては

︑ こ の研 究の 主要 な ねら いは

︑法 的 な仕 組 み とし ての 行政 手続 の整 備・ 充実 を図 る中 で住 民 参加 の要 請 をい かに して そ の中 に組 込む かと い うこ とに ある14

と明 示 され てい る︒ 特 に︑

Ⅳ 申請 等処 理手 続﹂ の﹁ 3 申請 等 手続 と第 三者 の 関与

﹂ 大橋 洋一 執 筆︶ にお いて は

︑第 三者 の関 与 の諸 形態 が詳 細 に検 討さ れて い る15

⑸ 行政 手 続法 研 究会

︵第 二次

︶ 中間 報告 行政 手続 法の 制 定に 当た って 直 接の 検討 対象 と され たの は︑ 一 九八 九︵ 平成 元

︶年 に 公表 され た﹁ 行 政手 続法 研究 会

︵第 二 次︶ 中間 報告16

以下

﹁第 二 次研 究会 中間 報 告﹂ とい う︶ で ある

︒そ の内 容 は第 一 次研 究会 報告 と ほぼ 同様 であ る が

︑次 のよ うな 違 いも ある

︒ 第一 に︑ 総則 規 定︵ 第一 章︶

︑処 分 手続 規定

︵第 二 章︶

︑ 行政 指 導手 続規 定︵ 第 三章

︶ の三 部構 成と な って おり

︑命 令 制 定手 続規 定と 特 別手 続規 定が 削 除さ れる とと も に︑ 処分 手続 規 定か ら行 政指 導 に関 す る規 定が 除か れ てい る︒ 第二 に︑ 処 分手 続規 定 中に 申請

︵第 三

︶が おか れて いる 点は 変わ ら ない が︑ そ の内 容と し て︑ 申 請人 に 対 す る教 示

︵〇 三

〇一 条︶

︑申 請人 への 援助

〇三

〇六 条︶

︑処 理 期間

︵〇 三〇 七 条︶

︑ 届出 等 の扱 い

︵〇 三〇 八条

︶ の規 定が 新た に 設 けら れて いる

(8)

第三 に︑ 告知

︑ 弁明

︑聴 聞等

︵ 第四

︶に 関す る規 定は

︑侵 害 処分

︵ 特定 の者 を名 宛 人と して これ に義 務 を課 し︑ 又 は 権利 を制 限す る 処分

﹂︶ に対 して の み適 用す るこ と とさ れて いる

〇四

〇一 条参 照

︶︒ これ は二 面関 係 を重 視す る方 向 に 転換 した もの と 見る こと もで き よう17

処 分基 準

︵第 五︶ の規 定 が原 則と して す べて の 処分 に適 用さ れ る点 は変 わっ て い ない が︑ 理由 付 記︵ 第七

︶の 規 定は

︑侵 害処 分 及び 申請 を拒 否 する 処分 にの み 適用 さ れる こと とな っ てい る︒

3 行 政 手 続 法 の 制 定

⑴ 概観 一九 九〇

︵平 成 二︶ 年一

〇月 に 発足 した 臨時 行 政改 革推 進審 議 会︵ 第三 次行 革 審︶ は

︑一 九九 一︵ 平 成三

︶年 一月

︑ 公 正・ 透明 な行 政 手続 部会

︵以 下

﹁部 会﹂ とい う

︶を 設置 し︑ 行 政手 続法 の制 定 作業 が 開始 され た︒ 部会 は︑ 改正 の 方向 性を 審議 決 定し た上 で︑ 小 委員 会を 設置 し て具 体的 な検 討 を行 わ せた

︒小 委員 会 は︑ 同年 六月 七 日

︑ 行政 手続 法︵ 仮 称︶ 要 綱案

︵小 委 員会 案︶

﹂ 以下

﹁小 委員 会案

﹂ とい う︶ を 部 会に 報告 した

︒部 会 で は︑ 関 係機 関 のヒ アリ ング 等 を経 て︑ 同年 七月 二六 日︑ 行 政手 続法 要綱 案︵ 第 一 次部 会案

︶﹂ 以 下﹁ 第 一次 部会 案﹂ とい う︶ を 作 成し た︒ 部会 で は︑ これ をパ ブ リッ ク・ コメ ント 等に 付し た上 で︑ 同年 一一 月二 九日

︑ 行政 手続 法要 綱 案﹂ を 含む

﹁公 平

・透 明な 行政 手 続部 会報 告﹂ を 第三 次行 革審 に提 出し た︒ 同審 議会 は︑ 同 年一 二 月一 二日

︑同 報 告を 修 正す るこ と なく 答申 とし て 政府 に提 出し た

︒ 政府 では

︑行 政 手続 法要 綱案 に 沿っ て立 案作 業 を進 め︑ 一九 九 三︵ 平成 五︶ 年 五月 二 四日

︑行 政手 続 法案 等を 国会 に 提 出し た︒ 同法 案 は︑ 衆議 院解 散 に伴 って 廃案 と なっ たが

︑国 会 に再 提出 され

︑ 同年 一 一月 可決 成立 し

︑一 九九 四︵ 平 成 六年

︶一

〇月 か ら施 行さ れた

(法政研究 84‑1‑ )48 48

(9)

以下 では

︑処 分 に関 して

﹁申 請 に対 する 処分

﹂ と﹁ 不利 益処 分

﹂を 二つ の柱 と する 考 え方

︵以 下﹁ 二 本立 て構 想﹂ と い う︶ が採 用さ れ た経 緯と

︑申 請 に対 する 審査

・ 応答 義務 に関 す る規 定が 形成 さ れた 経 緯を 検討 する

⑵ 二本 立 て構 想 の採 用 先に 見た よう に

︑第 二次 研究 会 中間 報告 にお いて は︑ 処分 手 続規 定﹂ の 中に 申請 に 関す る規 定が おか れ てい た︒ 部 会 では 同報 告が 検 討の 基礎 とさ れ

︑当 初の 章立 て もほ ぼそ れに 沿 った もの とな っ てい た18

これ に対 し︑ 一 九九 一︵ 平成 三

︶年 二月 二六 日 の第 六回 部会19

び同 年三 月五 日 の第 七 回部 会20

フリ ー

・ト ーキ ング に お いて

︑申 請に 関 する 手続 を整 備 すべ きで ある と の意 見が 強く 主 張さ れた

︒上 記 の通 り

︑第 二次 研究 会 中間 報告 にお い て も︑ 申請 に関 す る条 文が かな り 設け られ てい た が︑ 部会 の委 員 から は︑ 侵害 処 分中 心 の案 と受 け止 め られ たよ うで あ る

︒ 以上 のよ うな 議 論を 受け て︑ 同 年四 月一 九日 の 第一 三 回部 会に お いて

︑ 当 面具 体 化を 進め る手 続に 関す る 検討 の基 本 的方 向に つい て

︵案21

﹂が 示 され た︒ そ こで は︑ 申請 に係 る処 分の 手 続︵ 一︶

︑侵 害処 分 の手 続︵ 二

︶︑ 行 政 指導 手続

︵三

︶ とい う構 成に な って おり

︑処 分 につ いて は二 本 立て 構想 が採 用 され てい る︒ こ うし た構 想が 提 案さ れた 背景 に は︑ 事 務局 とな った 総 務庁 にお いて

︑ 上記 の神 奈川 県 報告 から 示唆 を 受け て︑ 申 請に 基 づく 処分

﹂と

﹁ 職権 に基 づく 処 分﹂ と いう 分類 に基 づ き︑ 事前 に各 省 庁に 対す るア ン ケー ト調 査を 行 って いた とい う 事情 が あっ たと のこ と であ る22

第一 三回 部会 で は︑ 冒頭

︑ 3つ の 手続

︵ 申請 に係 る処 分 の手 続︑ 侵 害処 分手 続︑ 行政 指導 手続

︶を 検 討 し︑ そ の後 で 地方 公共 団体 を 含め 適用 に関 す る問 題を 検討 す るこ とと した い23

との 説 明が あ り︑ 特 に異 論は 述べ ら れな かっ た︒ これ を受 けて 開 催さ れた 同年 五 月一

〇日 の第 一 回小 委員 会で は

︑事 務方 の作 成 にな る

﹁行 政手 続法

︵ 案24

﹂ 以 下﹁ 事 務 局案

﹂と いう

︶ が配 布さ れた

︒ この 案に おい て も︑ 処分 につ い ては

︑ 申請 に対 す る処 分の 手続

﹂ 第 二章

︶と

﹁侵 害

(10)

処 分手 続﹂ 第 三章

︶ の二 本立 てと な って いる

︒ 同年 六月 二七 日 付け の﹁ 行政 手 続法 要綱 案︵ 総 則︑ 補則25

﹂ にお い て︑ 侵害 処 分﹂ が

﹁不 利益 処分

﹂ と改 称さ れた が

︑ 二 本立 て構 想は そ のま ま維 持さ れ

︑現 行法 とな っ た︒

⑶ 申請 に 対す る 審査

・応 答義 務 上記 の通 り︑ 行 政手 続法 草案 に おい ては

︑申 請 の﹁ 受理

﹂に 関 する 規定 がお か れ︑ ま た︑ 申請 が不 適 法な 場合 や︑ 理 由 がな い場 合に 処 分を する 必要 が ある か が必 ずし も 明確 では なか った

︒こ れ に対 し︑ 第 一次 研究 会 報告 では

︑ 受 理﹂ 概 念は 用い られ て おら ず︑ また

︑ 申請 が法 令の 定 める 官署 に到 達 した とき には

︑ 行政 庁 は当 該申 請の 審 査を する 義務 が あ ると する 趣旨 が 明確 に示 され て いた

︒第 二次 研 究会 中間 報告 も

︑文 言に 若干 の 違い は あっ たが

︑同 様 であ る︒ 第一 回小 委員 会 で示 され た事 務 局案 には

︑申 請 の効 力の 発生

︵ 五条

︶︑ 手続 上の 要 件の 審査

︵六 条

︶︑ 不適 法な 申請 の 処 理︵ 七条

︶︑ 申請 内 容の 審 査︵ 八 条︶

︑補 正命 令︵ 九 条︶

︑却 下︵ 一

〇条

︶に 関 する 規 定が おか れて いた

︒審 査を 手続 上 のも のと 実体 上 のも のに 分け

︑ 不適 法な 申請 の 処理 を明 示し て いる 点が 異な る が︑ 実 質的 には 第二 次 研究 会報 告と 同 内 容と いえ る︒ 第一 回小 委員 会 にお いて は︑ 角 田禮 次郎 部会 長 が︑ 事務 局案 が

﹁受 理﹂ とい う 言葉 を 使わ ずに 書か れ てい る点 が重 要 で あり

︑こ れは 法 令に 定め る官 署 に申 請が 到達 し た以 上︑ 遅滞 な く審 査を すべ き であ る とす る趣 旨で あ って

︑そ うで あ れ ば申 請の 効力 に 関す る規 定は 不 要で はな いか と いう 意見 を述 べ た26

これ に対 し︑ 第 一次 研究 会報 告 及び 第二 次研 究 会中 間報 告に 関 与し た塩 野宏 部 会長 代 理と 小早 川光 郎 委員 は︑ 申請 の 効 力に 関す る規 定 が設 けら れた の は︑ 申請 の効 力 を明 示し

︑受 理 概念 を否 定す る ため で あり

︑そ の趣 旨 が明 確に なる の で あれ ば︑ この 規 定を 削除 して も 差し 支え ない と の趣 旨の 発言 を した27

(法政研究 84‑1‑ )50 50

(11)

こう した 議論28

受 け て︑ 小 委員 会案 にお い ては

︑ 申 請に 対 する 審査 義務

﹂ 第四

︶︑ 不 適 法な 申 請 に 対 する 応 答﹂ 第五

︶と いう シン プ ルな 規定 とな っ た︒ 第一 次部 会 案及 び行 政 手続 法要 綱案 も︑ 文 言 の細 かな 修正 を除 き︑ ほぼ 同様 で ある

︒そ の後

︑ 法案 化に 際し

︑ 第四 と第 五を 統 合す る形 で第 七 条と なり

︑こ れ が現 行 法と なっ た︒ なお

︑第 一回 小 委員 会で は︑ 申請 の効 力に 関す る検 討﹂ と

﹁申 請に 対す る応 答義 務 に関 する 判例

﹂と い う 資料 が配 布 され てお り29

行 政事 件訴 訟法 三 条五 項と の関 係 が意 識さ れて い るこ とが わか る

︒こ の 点に つい ては 特 に議 論は 見ら れ な かっ た︒

4 小 括

以上

のよ うに

︑ 行政 手続 法は

︑ 申請 権﹂ の 有無 によ り︑ 処分 を﹁ 申 請に 対す る 処分

﹂ と﹁ 不 利益 処分

﹂を 区分 する 二 本立 て構 想を 採 用し た︒ また

︑ 法令 に定 める 官 署に 申請 が到 達 した 以上

︑行 政 庁は 当 該申 請の 審査 義 務を 負い

︑不 受 理 等の 対応 をし て はな らな いこ と が明 確化 さ れた

︒ こう して

︑行 政 手 続法 は︑ 申請 権﹂ 概念 を基 礎と して 行 政手 続を 体 系化 する とと も に︑ その 内容 を 具体 化し たと い うこ とが でき る

︒そ の結 果︑ こ の概 念 は︑ 行政 争訟 法 と行 政手 続法 を 貫 く基 本概 念と な った

︒ この こと を明 確 に示 して いる の が︑ 一九 九九

︵ 平成 一一

︶年 に 公刊 され た小 早 川光 郎 の教 科書 であ る

︒小 早川 は︑ 当 初

︑ 申請 権﹂ 概念 に 懐疑 的と も見 え る記 述を 行っ て いた30

し かし

︑ 本書 にお いて は

︑ 申請 が適 正に 取 り扱 われ るべ き こ と﹂ を﹁ 申請 権

﹂の 内容 とし

︑ 一 方で は︑ 申請 の 処理

︑す な わち 申請 につ いて の 審査 およ び申 請に 対す る 応答 とし て の何 らか の処 置 が︑ 遅滞 なく 行 われ る べき こと

︵行 手法 七条

︑ 行審 法二 条 二項

︑ 行訴 法五 条等 を 見よ

︶︑ 他 方で は︑ 行 政機 関に おい て 違法 な仕 方で 申 請を 拒否 して は なら ない こと を

︑意 味す る31

と 述べ る ほか

︑随 所で

﹁ 申請 権﹂ 概念 を

(12)

援 用し てい る32

二 展 開 そ の 二

⎜ 行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 に よ る 義 務 付 け 訴 訟 の 明 文 化

1 問 題 の 背 景

義務

付け 訴訟 を 認め るか 否か は 戦後 早く から の 懸案 とな って い たが

︑二

〇〇 四

︵平 成 一六

︶年 の行 政 事件 訴訟 法改 正 に より

︑よ うや く 明文 化さ れる に 至っ た︒ その 過 程で

︑ 申 請 権﹂ 概 念が 義務 付け 訴 訟の 類型 化の ため に用 い られ ると と もに

︑訴 訟要 件を 定め るに 当 たっ て も重 要な 役割 を 果た し︑ こ の概 念は 実 定法 上さ らに 確固 とし た 地位 を 占 める に 至 った

︒ 他方 で︑ 現行 法 上の 義務 付け 訴 訟に つい ては

︑ 申請 型に つい て 取消 訴訟 等の 併 合提 起 を義 務付 けて い る点

︵以 下﹁ 併 合 提訴 要件

﹂と い う︶ や︑ 非申 請 型に つい て﹁ 重 大な 損害

﹂を 要 求し てい る点

︵ 以下

﹁ 重損 要件

﹂と い う︶ など につ い て

︑疑 問も 提起 さ れて いる とこ ろ であ る33

以下 では

︑ 申請 権

﹂概 念が 果た し た役 割に 着目 し つつ

︑行 政事 件訴 訟法 改正 まで の 議論 を概 観し た上 で︑ 同法 改正 の 経過 を検 討す る こと にし たい

(法政研究 84‑1‑ )52 52

(13)

2 行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 ま で の 議 論

⑴ 概観 別稿 でも 見た よ うに

︑行 政事 件 訴訟 法の 制定 に 当た って は︑ 義 務付 け訴 訟を 認 める こ とが でき るか に つい て見 解の 対 立 があ り︑ 明文 で 規定 され るに は 至ら なか った

︒ しか し︑ 立案 関 係者 は︑ 義務 付 け訴 訟 が法 定外 抗告 訴 訟︵ 無名 抗告 訴 訟

︶と して 認め ら れる 余地 は残 し てお り︑ この 点 はそ の後 の判 例 学説 の展 開に 委 ねら れ るこ とに なっ た34

行政 事件 訴訟 法 制定 後に おい て は︑ 周知 の通 り

︑義 務付 け訴 訟 につ いて

︑全 面 否定 説

︑補 充説

︑独 立 説が 対立 し︑ こ の うち 補充 説が 判 例通 説と 見ら れ てい た︒ 本稿 では

︑行 政 事件 訴訟 法改 正 によ って 明文 化 され た義 務付 け 訴訟 との 関連 で 重要 と 思わ れる

︑義 務 付け 訴訟 の類 型 論

︑補 充説 の根 拠 付け

︑ 請求 権﹂ 概 念に つい て検 討 する

⑵ 義務 付 け訴 訟 の類 型論 現行 法上 の義 務 付け 訴訟 は︑ 法 令に 基づ く申 請 を前 提と する 申 請型

︵行 政事 件 訴訟 法 三条 六項 二号

︶ と︑ これ を前 提 と しな い非 申請 型

︵同 項一 号︶ に 分け て規 定さ れ てい る︒ この よ うな 分類 は︑ 既 に改 正 前の 学説 によ っ て主 張さ れて い た

︒ まず

︑原 田尚 彦 は︑ 一九 七二

︵ 昭和 四七

︶年 の 論文 に お いて

︑ 許 認可 申 請の 不作 為な いし 拒 否処 分に 対す る救 済﹂ が 求め られ る場 合 と︑ 第三 者 に対 す る警 察介 入請 求権

﹂な い し﹁ 規制 権限 発動 請求 権﹂ が主 張さ れる 場合 を 分け て論 じ てい た35

阿部 泰隆 も︑ 一 九七 七︵ 昭和 五 二︶ 年の 論文 に おい て︑ 授 益的 行 政行 為の 発給 を 求め る場 合﹂ と

︑ 第三 者に 対す る

(14)

侵 益的 行政 行為 の 発給 を求 める 場 合﹂ を分 けて 論 じて いた36

もっ とも

︑こ れ らの 論者 にお い ては

︑類 型化 の 基準 が﹁ 申請 権

﹂の 有無 にあ る のか

︑ 原告 の利 害状 況 にあ るの か︑ 必 ず しも 明確 では な かっ た︒ この 点に 洗練 を 加え たの が塩 野 宏で ある

︒塩 野 は︑ 一九 八三

︵ 昭和 五八

︶年 の 論文 に おい て︑ 申請 権 の有 無を 基準 と す る﹁ 申請 満足 型 義務 づけ 訴訟

﹂ と﹁ 直接 型 義務 づけ 訴訟

﹂の 分 類 と︑ 原告 たる 私 人の 側の 利益 状況

﹂に 基づ く﹁ 利 益 享受 型﹂ と﹁ 妨 害排 除型

﹂の 分 類を 立て

︑両 者 は分 類の 観点 が 異な るこ とを 明 らか に した37

現 行法 上 の分 類は

︑こ の う ち前 者に 基づ く もの であ る︒

⑶ 補充 説 の根 拠 付け 補充 説の 代表 的 な論 者で ある 原 田尚 彦は

︑ 行政 庁 の第 一次 的判 断 権の 専属 の理 論

﹂に つい て︑ 無名 抗告 訴訟 を論 ず る に際 しき わめ て 重要 であ り︑ 従 来の 三権 分立 論 のド グマ のた んな る 焼き 直し とみ るべ き もの では ない

﹂と し て︑ 司 法 審査 はや はり 事 後審 査を 原則 と する とみ る のが 正当38

であ ると す る︒ もっ とも

︑ 事前 的な 司法 介入 を要 求 する 必要 が 顕著 であ り︑ し かも それ が行 政 の責 任体 制に 支 障を 及ぼ すお そ れの ない 場合 に まで

︑ 事前 的司 法介 入 を排 斥す るも の で はな い39

とし

︑ 無 名抗 告訴 訟と し ての 義務 づけ 訴 訟等 の利 用 が許 され るの は︑ 法 定 抗告 訴訟 によ って は ど うし ても 救 済の 実効 が得 ら れな い場 合︑ す なわ ち他 に適 切 な救 済手 段が 存 しな い場 合に 厳 に限 ら れる べき であ る40

とす る

︒ その 上で

︑ 許認 可 申請 の不 作為 な いし 拒否 処分 に対 する 救 済は

︑ 法定 の抗 告訴 訟 によ っ ても

︑い ち おう 達 成可 能で あ る﹂ とし つつ

︑ 申請 が部 分的 に 拒否 され た場 合 につ いて は救 済 が困 難で ある と して 義 務付 け訴 訟の 提 起を 認め てい る41

こ のよ うに

︑申 請 権が 認め られ る 場合 につ いて は

︑取 消訴 訟中 心 主義 によ り︑ 補 充的 に のみ 義務 付け 訴 訟の 提起 を認 め て いる とい える

(法政研究 84‑1‑ )54 54

(15)

他方

︑ 新し い公 権

﹂で ある

﹁第 三 者に 対す る警 察 介入 請求 権﹂ な いし

﹁規 制権 限 発動 請求 権﹂ に つい ては

︑ 国民 に 行 政権 限発 動請 求 権が 実体 法上 承 認さ れる なら ば

︑こ れを 貫徹 す るた めの 訴訟 手 続が 用 意さ るべ きこ と はも はや 誰の 目 に も明 らか であ る42

とし て いる

︒ この 場合 につ い ては

︑上 記の よ うな

﹁請 求権

﹂ が実 体 法上 認め られ る なら ば︑ 補充 性 は 要件 とな らな い とも 読め る︒ 同じ く補 充説 に 立つ 塩野 宏は

︑ 問 題は

︑原 告の 救 済と 行 政の 遂行 の便 宜 のバ ラン スを いか に 確保 する かに つい て︑ 立 法権 に裁 量の 余 地が ある かど う か︑ もし ある と すれ ば︑ それ は どの よう なも の であ る か︑ とい う点 に ある

﹂と し︑ 行 政 事件 訴訟 法は 法 定外 抗告 訴訟 に つい て︑ 取 消訴 訟 中心 主義 と いう

︑ 一つ の解 答を 示 した とみ るの が︑ 実 定 法の 認識 と して は素 直で あ ると 思わ れる43

とす る︒ 立法 政 策の 問題 と捉 え る点 が原 田と は 異な る

︒ そこ で︑ 申 請満 足 型義 務づ け訴 訟 は︑ 原則 とし て 許さ れず

︑現 行法 上は

︑申 請 拒 否処 分の 取消 訴訟 の途 を とる べし と いう 形の 交通 整 理が 行わ れて い ると みる こと が でき よう

﹂と し つ つ︑ 取消 訴訟 を 中心 とす る法 定抗 告訴 訟 の途 をと る こと によ って

︑ 原告 に非 合理 的 な負 担を 負わ せ る場 合に は︑ 申 請満 足型 義務 づ け訴 訟 が認 めら れる べ きで ある

﹂と し て

︑申 請が 部分 的 に認 容さ れた 場 合と

︑申 請に 対 して 何ら 処分 が 行わ れな い場 合 に限 っ て︑ 義務 付け 訴 訟が 認め られ る と する44

他方

︑行 政過 程 にお いて 私人 の 申請

⎜行 政処 分 とい うシ ステ ム がと られ てい な い場 合 につ いて

︑取 消 訴訟

・不 作為 の 違 法確 認訴 訟は 働 く余 地が なく

︑ 私 人に

︑実 体法 上 の請 求権 があ る 限り

︑直 接型 義 務づ け訴 訟を 利 用で きる

﹂が

︑ 問 題 は︑ いか なる 場 合に 私人 が公 権 力の 発動 を 求め る実 体法 上の 請 求権 があ るか

︑で あ る﹂ とす る45

そ して

︑ いわ ゆる 裁 量の ゼロ への 収 縮が さら に進 ん で︑ 私人 の当 該 行為 の発 動に 対 する 実体 法上 の 請求 権 へと 昇華 する 要 件﹂ につ いて

︑ 単に 実体 法の みな ら ず︑ 訴訟 法上 の シス テム にも 目を 配ら な けれ ばな らな い﹂ と し︑ 日本 では

﹁取 消 訴訟 中 心主 義が 採 用さ れ︑ 公権 力 の行 使に かか る 実体 法上 の請 求 権と の対 応関 係 に着 目し たシ ス テム は

︑少 なく とも 明 示的 には とら れ

(16)

て いな い﹂ とし て

︑ その 趣旨 が︑ 申 請満 足型 義務 づ け訴 訟 で は︑ 取 消訴 訟に 対す る 補充 訴訟 とし て現 れた と ころ であ る が︑ 実体 法上 の 場面 にお いて は

︑こ れが 請求 権 の成 立に おけ る 補充 性と して 整 理で き るよ うに 思わ れ る﹂ とす る︒ そ し て︑ かか る 観点 か らす れば

︑紛 争 の実 体が 私人 間 のも ので ある とき

⁝⁝ には

︑私 人間 の民 事訴 訟が 適切 に 機能 する 限 り︑ これ によ ら しめ るの が法 の 趣旨 とす ると こ ろで あっ て︑ 制 定法 上特 段の 指 示が な いと きに

︑ド グ マー ティ ッシ ュ に

︑公 権力 の発 動 を求 める 私人 の 請求 権を 構 成す るの は︑ わ が国 の 場合 には

︑無 理 のよ う に解 され る﹂ と し︑ 公 権力 の 発動 を裁 判上 訴 求す る以 外に

︑ 他に 妨害 排除 の 適切 な訴 訟的 方 法が なく

︑か つ 被害 者 に金 銭上 の塡 補 は別 とし て︑ 受 忍 を要 求す るこ と が被 害の 性格 上 許さ れな い場 合 には

︑請 求権 の 成立 の可 能性 が ある と 解さ れる

﹂と す る46

以上 の通 り︑ 塩 野は

︑立 法政 策 とし ての 取消 訴 訟中 心主 義に よ って 補充 説を 根 拠付 け てい る︒ もっ と も︑ 申請 満足 型 に つい ては とも か く︑ 直接 型に つ いて

︑民 事訴 訟 との 関 係で の補 充 性を 要求 して いる 点に つ いて は︑ 行訴 法 が義 務づ け 訴訟 につ いて 明 定し なか った と いう こと から

︑ 民事 訴訟 と義 務 づけ 訴訟 の関 係 まで 定 めた と解 する の は飛 躍と いう も の では なか ろう か47

とい う 有力 な 批判 があ る︒ こ のよ うに

︑非 申 請型

︵直 接型

︶ につ い ては

︑補 充性 の 根拠 が必 ずし も 明 確で はな かっ た よう に思 われ る48

⑷ 請求 権﹂ 概念 原田 尚彦 は︑ 国民 の許 認可 請求 権 の保 護の 達成

﹂ が問 題 と なる 場合 につ いて は︑ 義務 付け 訴訟 は補 充的 に のみ 認め ら れる とす る49

ま た︑ 上記 の通 り

︑ 第三 者に 対す る警 察介 入 請求 権﹂ な いし

﹁規 制 権 限発 動請 求権

﹂が 実 体 法上 承認 さ れる 場合 にも

︑ 義務 付け 訴訟 は 認め られ ると して い る︒ こ のよ うに

︑義 務 付 け訴 訟を 提起 する た めに は︑ 請求 権﹂ が 必要 との 前提 に 立つ よう であ る

︒ 塩野 宏は

︑申 請 満足 型義 務付 け 訴訟 につ いて は

︑取 消訴 訟中 心 主義 を理 由と し て︑ 例 外的 にの み提 起 を認 める が︑ そ

(法政研究 84‑1‑ )56 56

(17)

の 際﹁ 請求 権﹂ に は特 に言 及し て いな い50

他方

︑ 直接 型に つい て は︑ 実体 法上 の 請求 権 があ る限 り提 起 でき ると して い る51

申請 満 足型 に つい ては 定か で はな いが

︑直 接 型に つい ては や はり 実体 法上 の 請求 権 が必 要と 解し て いる よう であ る

︒ 阿部 泰隆 も︑ 義務 づけ 訴訟 が認 容 され るの は国 民 が行 政 行 為発 給請 求権 を有 する 場 合で ある から52

など と 述べ てお り

︑同 様の 前提 に 立つ よう であ る

︒も っと も︑ 次 のよ う に指 摘し て いる 点が 注目 され る︒ 実 体法 上の 請求 権 の要 否に つ いて は︑ 行政 庁 が実 体行 政法 に より 束 され て おり

︑こ の点 を 争う

﹁法 律上 の 利益

﹂ を有 する 者が い れば

︑そ れで そ の 者は 行政 の権 限 発動 請求 権を 有 する ので ある

︒ 義務 づけ 訴訟 の 場合 には 特に 実 体法 上 の請 求権 が必 要 だな どと

︑取 消 訴 訟と 異な る見 方 をす る必 要は な い53

⑸ まと め この よう に︑ 行 政事 件訴 訟法 改 正前 の時 点に お いて は︑ 申請 型

︵申 請満 足型

︶ と非 申 請型

︵直 接型

︶ の分 類は 既に 提 示 され てい たも の の︑ 義務 付け 訴 訟に 関す る制 度 設計 を含 めた 立 法論 はほ とん ど 検討 さ れて いな かっ た

︒ま た︑ 当時 は 補 充説 が判 例通 説 だっ たが

︑非 申 請型 につ いて は︑ 行政 の第 一 次的 判断 権の 法理

﹂や

﹁ 原告 の救 済と 行政 の 遂行 の便 宜 のバ ラン ス﹂ が 一般 的に 挙げ ら れて いた もの の

︑そ の根 拠が 必 ずし も明 らか で はな か った

︒さ らに

︑ 義務 付け 訴訟 に つ いて は実 体法 上 の﹁ 請求 権﹂ が 一般 に前 提と さ れて いた が︑ そ の意 味に つい て も不 明 確な 点が 残さ れ てい た︒

3 行 政 事 件 訴 訟 法 の 改 正

⑴ 概観 二〇

〇一

︵平 成 一三

︶年 六月

︑ 司法 制度 改革 審議 会が 意見 書を 提 出し

︑ 司 法の 行 政に 対す るチ ェッ ク 機能 の強 化﹂

(18)

と して

︑義 務付 け 訴訟 の明 文化 を 含む 行政 事件 訴 訟法 の改 正を 提 言し た︒ 同年 一 二月

︑ 内閣 に司 法制 度 改革 推進 本部 が 設 置さ れ︑ 同本 部 にお かれ た行 政 訴訟 検討 部会 に おい て具 体的 な 検討 が行 われ た

︒同 部 会は 二〇

〇四

︵ 平成 一六

︶年 一 月 に﹁ 行政 訴訟 制 度の 見直 しの た めの 考え 方﹂ を 公表 し︑ これ を 具体 化す る形 で 行政 事 件訴 訟法 の改 正 が行 われ た︒ 本稿 の問 題関 心 に基 づき

︑以 下 では

︑併 合提 訴 要件 及び 重損 要 件の 成立 過程 に 着目 し て検 討を 加え る

⑵ 併合 提 訴要 件 上記 の通 り︑ 行 政事 件訴 訟法 改 正前 の段 階で は

︑義 務付 け訴 訟 の制 度設 計は ほ とん ど 論じ られ てい な かっ たが54

検討 会 の議 論に おい て は︑ 早く から

︑ 申請 型義 務付 け 訴訟 を取 消訴 訟 や不 作為 の違 法 確認 訴 訟の 延長 線上 に 位置 付け る考 え 方 が表 明さ れて い た︒ 二〇

〇二

︵ 平成 一四

︶年 三 月一 九日 の第 二回 検 討会 で︑ 小 早川 光郎 委 員は

︑ 取 消判 決 に付 随し て

︑こ うい う理 由 で取 り消 した 場 合に は︑ 行政 庁 とし てこ うい う こと をす べき な んで す よと いう 説示 を

︑訴 訟法 的に ど う いう こと にな る のか 問題 はあ る かも しれ ませ ん が︑ 裁判 所が 行 政庁 に対 して す ると い う方 式が あっ て もい いの では な い か﹂ と述 べて い る55

なお

︑同 年一 一 月二 一日 の第 一

〇回 検討 会や

︑ 二〇

〇三

︵平 成 一五

︶年 三月 二 六日 の 第一 五回 検討 会 等に おい ては

︑ 行 政の

﹁第 一次

︵ 的︶ 判断 権﹂ を 援用 して

︑取 消 判決 にと どめ る のが 原則 であ り

︑義 務 付け 判決 は例 外 的と する 市村 陽 典 委員 と︑ 紛争 の 一回 的解 決の 観 点か ら︑ 取消 判 決が 原則 とす る 水野 武夫 委員 と の間 に 意見 の対 立が あ った56

同年 四月 二五 日 の第 一六 回検 討 会で は︑ 芝池 義 一委 員 が︑ 拒 否処 分に つい ては 取 消訴 訟の 延長 で義 務付 け 判決 を考 え る︑ それ から 不 作為 につ いて は 不作 為の 違法 確 認訴 訟の 延長 に おい て義 務付 け 判決 を 出し うる 場合 に は義 務付 け判 決 を 出す とい う仕 組 みが 考え られ ま す︒ つま り取 消 訴訟 プラ ス義 務 付け 訴訟

︑そ れ から 不 作為 の違 法確 認 訴訟 プラ ス義 務 付 け訴 訟と いう 感 じの 制度 にす る のが 一つ の制 度 作り のあ り方 で はな いか

﹂と 述 べて い る︒

(法政研究 84‑1‑ )58 58

(19)

同年 五月 二三 日の 第 一七 回検 討会 で配 布 され た﹁ 行 政の 作為

・不 作為 の給 付を 求め る 訴え

︑ 確認 の訴 え の 主 な論 点

︵補 充

︶﹂ に おい て は︑ 法令 に基 づ く申 請が なさ れ た場 合と

︑第 三 者に 対す る処 分 を求 め る場 合を 挙げ た 上で

︑前 者に つ い て不 作為 の違 法 確認 訴訟 及び 拒 否処 分取 消訴 訟 との 関係 を検 討 する 必要 があ る 旨が 記 載さ れて いる

︒ 第一 七回 検討 会 では

︑小 早川 委 員が

︑ 原告 の方 で 義務 付け まで 求 めた い︑ しか し 場合 によ って は 取消 しで もい い よ︑ と いう とき に︑ 裁 判所 が事 案を 審 理し てこ の事 件 は取 消し 止ま り の方 がよ かろ う と思 っ たら そこ で切 る

︑原 告の 意に 反 し ては いけ ない の です けれ ども

︑ どこ まで 裁判 を すれ ばい いの か とい うこ とを 裁 判所 が

︑裁 量か もし れ ませ んけ れど も 自 分で 土俵 を設 定 して

︑そ の上 で

︑判 決に 熟し た らそ こで 判決 し てし まう とい う やり 方 がで きな いの か

︒そ こは 今ま で の 訴訟 の常 識か ら する と違 うの か もし れま せん が

︑行 政訴 訟の 場 合に は︑ どれ だ けを 行 政に 差し 戻す の かと いう

︑役 割 分 担の 問題 があ り ます ので

︑そ う いう こと が考 え られ るの では な いか とい う感 じ がい た しま す﹂ と述 べ てい る︒ この 問題 につ い ては

︑同 年一 一 月七 日の 第二 五 回検 討会 にお いて 本 格的 に議 論さ れた

︒市 村委 員が

︑ 申 請 の拒 否処 分 が既 にあ って い る場 合︑ これ は

︑ま ず理 屈の 問 題と して 拒否 処 分が ある ので す から

︑ その 拒否 処分

︑ 今ま でだ った ら 取 消訴 訟で それ を なく して いく と いう プロ セス が あり ます

︒そ の パタ ーン の処 分 を義 務 付け ると いう こ とに なる とき に も

︑や は り 思考 の順 序と して は 取消 事由 があ って

︑ま ず 取り 消さ れる べき な のか

︒ そし て︑ そ の 次 に正 し い 処 分は 何 だ った のだ ろう と

︑こ うい う順 番 にな ると 思う の です

﹂と 発言 し てい る︒ その 後︑ 小早 川 委員 が︑ 義 務付 け の申 立て だけ れ ども 処分 の 取消 判決 で応 える と 言う こと を訴 訟手 続上 出 来る よう に して おく

︒裁 判 所の 判断 でそ れ が出 来る よう に

︑も し出 来れ ば その 方が いい の かな と いう 気は する の です

︒﹂ それ と

︑ 義 務付 け訴 訟の 枠 の中 で︑ 原告 の 申立 てに 拠る か 拠ら ない かは と もか く︑ 取消 判 決で 行 政庁 へ戻 すと い う場 合に も︑ そ れ で訴 訟が 終結 す るこ とに なる の か︒ それ とも

︑ それ は中 間判 決 みた いな こと で

︑義 務 付け 訴訟 がま だ 残っ てい ると い う こと で︑ 行政 庁 に対 して

︑脅 し では ない です け れど も︑ そう い う土 俵は ちゃ ん と残 し てお くと いう こ とに する のか

(20)

私 はど っち とい う こと はな いの で すが

︑両 方あ り 得る のか なと

﹂ と述 べて いる

︒ これ に応 える 形 で︑ 深山 卓也 委 員が

︑ 論理 的に は

︑申 請拒 否処 分 があ った 場合 の 義務 付け は民 事 訴訟 的に 考え れ ば︑ 訴 訟物 は二 つあ る とい う話 で︑ ま ず取 り消 して

︑ 取消 しの 判断 の 基準 時は 処分 時 で︑ 義 務付 けは 口頭 弁 論終 結時 で義 務 付 けを する のだ か ら︑ 普通 なら 併 合が 強制 され る か︑ ある いは 包 含さ れて いる と いう こ とに なる と思 う ので す︒

⁝⁝ い ず れに せよ

︑一 部 認容 と同 じよ う な意 味で

︑取 消 しに とど める 場 合を 許容 すべ き だと 思 うの です

︒た だ

︑そ れは 一般 論 に 委ね ると 駄目 な ので

︑規 定を 設 けざ るを 得な い と思 いま すし

⁝⁝ 実質 的な 一 部認 容 であ る取 消判 決 が出 来る とき の 要 件を

︑義 務付 け を求 めて いる の に︑ 取消 しで サ ービ スを 十分 だ と裁 判所 が認 め るこ と が出 来る 類型 と いう もの を⁝

⁝ 要 件を 課し て︑ 設 ける とい う必 要 があ るの では な いか と思 いま す

﹂と 述べ てい る

︒ こう した 議論 を 受け て︑ 同年 一 一月 二八 日の 第 二六 回検 討会 で 配布 され た﹁ 義 務付 け 訴訟 の法 定︵ 検 討参 考資 料・ 補 充

︶﹂ にお いて

︑ 申請 に対 する 処 分を 求め る場 合 の義 務付 け訴 訟 の要 件の 特例 を 適用 す るた めに は︑ 救 済の 必要 性に 関 す る要 件⁝

⁝の 存 在を 訴訟 上明 ら かに する 観点 か ら︑ その 訴え に おけ る義 務付 け の請 求 は︑ 申請 拒否 処 分の 無効 確認 若 し くは 取消 しの 請 求又 は不 作為 の 違法 確認 の請 求 とと もに しな け れば なら ない こ とと し ては どう か﹂ と され た︒ この 点 に つい て特 に異 論 は述 べら れず

︑ 同年 一二 月二 二 日の 第二 七回 検 討会 で配 布さ れ た﹁ 行 政訴 訟制 度の 見 直し のた めの 考 え 方﹂ に併 合提 訴 要件 が取 り入 れ られ

︑現 行法 と なっ た︒ 以上 の通 り︑ 併 合提 訴要 件が 採 用さ れた 主た る 理由 は︑

①義 務 付け 訴訟 につ い て︵ 拒 否処 分の 取消 し や不 作為 の違 法 確 認な ど︶ 柔軟 な 解決 を可 能と す るこ と︑

②救 済 の必 要性

︵申 請 を行 った が拒 否 処分 を 受け

︑ま たは 何 らの 処分 もな さ れ なか った こと

︶ を明 らか にす る こと

︑③

︵拒 否 処分 を取 り消 す こと によ り︶ 法 律関 係 を明 確化 する こ とな どに あっ た と 解さ れる57

また

︑行 政の 第一 次 的判 断権 の法 理 を背 景と して

︑ 取消 判決 が原 則 であ り

︑義 務付 け判 決 は例 外で ある と の 発想 が影 響を 及 ぼし た可 能性 も ある

(法政研究 84‑1‑ )60 60

(21)

⑶ 重損 要 件 申請 型に 比べ

︑ 非申 請型 につ い ては

︑議 論が や や遅 く始 まっ た

︒二

〇〇 三︵ 平 成一 五

︶年 五月 二三 日 の第 一七 回検 討 会 で配 布さ れた

﹁ 行政 の作 為・ 不 作為 の給 付 を求 める 訴え

︑確 認 の 訴え の主 な論 点︵ 補 充︶

﹂で は︑ 第 三者 に 対す る処 分 を求 める 場合 に つい て︑ ど のよ う な範 囲で 行政 の 作為 の 給 付を 求め る訴 えが 認め ら れる のか につ いて は︑ 実体 法上 作 為の 給付 を求 め る請 求権 が認 め られ るか どう か の問 題に 尽き る のか

︑そ れと も

︑実 体 法上 の請 求権 の 存否 の問 題に 加 え て︑ 訴訟 法上 の 問題 とし ても 何 らか の考 慮が 必 要な のか

︑な ど につ いて 検討 す る必 要 があ る﹂ と記 載 され てい る︒ こ れ は上 記の 塩野 説

︵2

⑶︶ を踏 ま えた もの と解 さ れる

︒ 第一 七回 検討 会 にお いて

︑小 早 川委 員は

︑規 制 権限 発動 型に つ いて も︑ 第三 者 から の 申立 ての 仕組 み をで きる だけ 立 法 で作 るべ きだ と した 上で

︑こ う した 対応 がな い 段階 で は︑ 今 のよ うな きち んと あ らか じめ 設計 され た裁 判 所と 行政 庁 との 役割 分担 と いう こと がで き ませ んの で︑ 本 当に 必要 な場 合 には

︑裁 判所 が 直に 登 場せ ざる を得 な いだ ろう

︒そ の 場 合に は︑ おそ ら く︑ 著し い損 害 が生 ずる おそ れ があ ると いう こ とで 義務 付け 訴 訟を 認 めて もい いの で はな いか

﹂と 発 言 して いる58

同年 一一 月七 日 の第 二五 回検 討 会で 配布 され た

﹁義 務付 け訴 訟 の法 定︵ 検討 参 考資 料

︶﹂ に おい て は︑ 法令 上 申請 権 を 有し ない 者が そ の処 分又 は裁 決 を求 める こと は

︑当 該行 政実 体 法が 予定 して い ない の では ない か︒ そ れに もか かわ ら ず

︑義 務付 け訴 訟 を認 める こと に より 申請 権を 認 めた のと 同じ 結 果と なる こと を 認め る には

︑そ の処 分 又は 裁決 がさ れ な いこ とに より 生 ずる 損害 が著 し く大 きい 場合 な ど原 告の 不利 益 の程 度が 極め て 大き く

︑そ のた め義 務 付け 訴訟 によ る 救 済の 必要 性が 高 い場 合に 限ら れ るべ きで はな い か﹂ と記 載さ れ てい る︒ 第二 五回 検討 会 にお いて は︑ 水 野武 夫委 員と 福 井秀 夫委 員が

︑ 一義 性の 要件 が ある 以 上︑ 上記 のよ う な限 定を する 必 要 があ るの か︑ と いう 趣旨 の問 題 提起 を行 った

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