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沖縄県の就学援助制度の現状と課題

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(1)

要旨

 本論では、まず先行研究等からみえてくる全国 ・ 沖縄県の子どもの貧困の現状について考 察し、そして筆者の実施した沖縄県内の市町村教育委員会を対象とした調査を通して、県内 の就学援助制度の現状と課題(特に準要保護に焦点化)について分析 ・ 考察した。

 筆者実施の調査結果から、以下の 4 点について提案した。①研修の実施=研修の実施率が 低いことやその対象が限定されていることが課題である。少なくとも学校事務職員や管理者 に対する研修は必須とすべきで、さらに担任等教職員も対象とすること、②積極的な広報=

必要な家庭にサービスが届くように保護者対象の説明会を年に複数回もつこと、また気にな る家庭には積極的に個別 ・ 直接的に声をかけその必要性を確認すること、③申請期限の延長

=行政の事務手続上一定の期間を設け受け付けることはやむを得ないといえるが、その場合 でも「4 ~ 12 月まで」のように比較的長く期間を設定し順次受け付けるのが望ましい、④メ ガネ等代金の支給=全国に比し沖縄県の場合、“幼稚園 ・ 小学校”段階での視力低下が進行し ている。ゆえに、先進事例にならい積極的に支給していくこと、など。

 最終的に、本県の抱える課題に対しては、沖縄振興特別推進交付金の積極的活用、高等学 校など高等教育へのスクールソーシャルワーカー配置等を提案した。

キーワード:

子どもの貧困、就学援助制度、アンケート調査、子供の貧困対策大綱、スクールソー シャルワーク

はじめに

 昨今の沖縄県の子どもを取り巻く環境は厳しいものがある。とりわけ注目されているのが、

不登校児童生徒数の多さである。文部科学省(以下、文科省)によると沖縄県内の 2012(平 成 24)年度の 1,000 人当たりの不登校児童・生徒数は 11.2 人(全国:10.9 人)である。また、

県内の高等学校における不登校生徒数も増加傾向にある。1,000 人当たりの不登校生徒数は 30.6 人であり、全国の 17.2 人に比してもかなり高い。加えて、その延長線上にあると考えら れる中途退学者の数・率ともに高い傾向にある。2012(平成 24)年度の沖縄県は 902 人(1.9%)

となっている(全国:51,781 人、1.5%)

。さらに、県内 2 ヵ所の児童相談所で受け付けた、

沖縄県の就学援助制度の現状と課題

_ 県内市町村教育委員会へのアンケート調査を通して _

比 嘉 昌 哉

沖縄国際大学人間福祉研究 第 11 巻 第 1 号 2015 年 3月

(2)

児童虐待通告件数も 363 件(2012(平成 24)年度)と漸減であり、高止まり傾向といえる。

これらの子どもの抱える諸問題は、少子化の流れとは逆行する形で右肩あがりに増えている。

諸課題の背景には家族の抱える複雑な問題、子育てしづらい社会、社会の経済状況の悪化な どがあげられる。

 筆者は大学で教鞭を執ることに加えて、日常的に県内のスクールソーシャルワーカー(以下、

SSWr)配置事業のスーパーバイザーとしての役割も担っている。その中で子どもの問題に関 わると、特に問題の根幹部分に子ども(家庭)の貧困問題が横たわっていて、 大きな課題で あると認識している。本論で取りあげる子どもに対する公的な経済的支援は、「要保護」とよ ばれる生活保護法における教育扶助と「準要保護」と呼ばれる就学援助制度という二つの側 面をもつ。

 ここでは子どもの貧困を現す一つの指標になる就学援助率、つまり学校現場において子ど もを支える就学援助制度に焦点をあてる。沖縄県内の就学援助については、沖縄県教育庁教 育支援課のまとめによると

、2012(平成 24)年度に援助を受けた児童生徒は過去最多を更新 し 2 万 8,055 人(前年比 1,161 人増)で、全児童生徒に占める就学援助受給者の割合を示す受 給率は 19.3%となっている。約 5 人に 1 人が支援を受けている計算である。

 本論Ⅰ.では先行研究からみえてくる全国の子どもの貧困の現状について考察する。まず 文科省のデータや「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの調査データ(2013)を中 心に全国の現状をみていく。さらに、Ⅱ.ではまず沖縄県内の子どもを取り巻く社会環境に ついて言及し、次に沖縄県の子どもの貧困について、反貧困・反失業沖縄県ネットワークの 調査(2011)を元にその現状・課題について考察する。

 Ⅲ.ではⅠ . 及びⅡ . の内容を勘案し筆者が実施した沖縄県内 41 市町村の教育委員会(以下、

教委)を対象とした調査を元に、現在の就学援助制度の現状と課題(特に準要保護に焦点化)

について考察する。その目的は経済的援助が必要な児童生徒へそのサービスが届くように就 学援助に関する課題を解決することである。加えて、Ⅳ.ではそれまでにみえてきた就学援 助制度の諸課題に対し、具体的に対応策を考え提案していきたい。

 日本国憲法第 26 条第二項には「義務教育はこれを無償とする」という規定があるにもかか わらず、実質的には公立小・中学校における授業料の未徴収と教科書の無償提供のみである。

多くの子どもたちがその家庭(保護者)の経済的困難により学ぶ機会を奪われており、将来 に対する不利を蓄積している、さらにそれが負の連鎖として継続しているという現実を無視 してはならないと考える。

Ⅰ.全国の子どもの貧困

1.全国の現状

 ここでは、全国の子どもの貧困の現状を概観する。その前に「相対的貧困」について定義

したい。相対的貧困とは、途上国等における衣食住の不足からくるその日をどう生きるかと

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いう「絶対的貧困」とは異なり、豊かさの中にある貧困をさす。経済協力開発機構(以下、

OECD)によると、具体的に相対的貧困にある世帯を「世帯所得を世帯人員数で調整した値が 社会全体の中央値(標準的な値)の 50%未満の世帯」と定義している。本論においても本定 義をもとに議論を進めていくこととする

 2012(平成 24)年度において、就学援助制度を利用する公立小中学生は約 155 万人おり、

多くの自治体では就学援助の認定に生活保護基準を用いている。現安倍政権が 2013 年 8 月、

2014 年 4 月、2015 年 4 月の 3 段階で生活保護(生活扶助)の総額を 6.5%減らす方針を固め ている。そのため、就学援助制度にもその影響が及ぶのではないかというのが世間一般の懸 念である。それに対し、文科省は生活保護減額の影響により、当該制度に影響が出ないよう に対策を立てると表明している。しかし、実態は異なっている。朝日新聞が 2014(平成 26)

年 3 月に全国の各自治体(県庁所在地市、指定市、東京 23 区)を対象に行った調査によると、

生活保護基準を参考にした結果就学援助にも影響がおよび対象者が減る見込みであると、9 つ の自治体担当課は回答している

。また、毎日新聞が全国主要市区(74 市区)を対象に行った 調査でも同様の結果が出ている。支給枠を縮小した市区が約 1 割を占め、一方で自治体の努 力によって、支給枠の縮小を回避すべく特別措置を施していた

 これらによると、生活保護を減額する一方で低所得世帯への手厚い支援を地方に求める国 の姿勢に自治体担当者は困惑している様子がうかがえる。本来、就学援助制度は義務教育に 関わる制度であるため、国が統一して基準を定める必要があると考える。そうしなければ、

自治体間の格差は拡がるばかりであろう。

2.経済的援助を受ける子どもの推移

 文科省のデータをもとに就学援助制度の実態をみていきたい。その指標の一つが「経済的 援助を受ける子どもの推移」【図 1 参照】である 。

 下図をみて分かるように右肩あがりに経済的援助を要する児童生徒数が増加している。2005

(平成 17)年に国庫補助が一般財源化された影響で、その後多くの自治体で他市町村との均衡、

あるいは景気悪化に伴う各自治体の厳しい財政状況を理由に基準を厳しくしたり、この時期 に実施された市町村合併を契機に基準を揃えたりする動きがあった(雁 2012)。

 2012(平成 24)年度には経済的援助を要する児童生徒は約 155 万におり、就学援助率は 15.6%である。10 年前の 2002(平成 14 )年度の約 115 万人、10.7%と比較すると人数では約 40 万人、割合では約 5%増である。

 但し、前述のように今後さらに実施される生活保護費の減額やそれによる就学援助費への

影響があれば、統計上の数字は減少に転じる可能性がある。もしもそのように数字上の変化

があれば、それは実態を表す数字ではなくなり、必要な子ども・家庭に経済的援助が届いて

いないことを意味する。そのことは数字上のマジックで注視する必要がある。

(4)

3.「就学援助制度に関する調査集計結果報告(第二次報告)」(「なくそう!子ども の貧困」全国ネットワーク)

次に「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークが、2011 ~ 2012 年にかけて行った「就 学援助制度に関する調査」

をもとに就学援助制度の実態及び課題等をみていくこととする。

本調査は全国の 200 自治体から回答を得た調査である。

 その結果について筆者の視点より、準要保護を中心にみていくと以下の 5 点をポイントと してあげることができる。1 点目が「準要保護率のばらつきについて」である。全児童生徒に 占める準要保護を受けている者の割合(準要保護率)は「5 ~ 10% 未満」と「10 ~ 15% 未満」

が最も多くともに 30.3%である。次に「15 ~ 20% 未満」が 15.9%、さらに「5%未満」「20 ~ 30%未満」もそれぞれ 9.7%、12.3%となっており、自治体間で幅がありばらつきがみられる。

 2 点目が、「就学援助の関する条例の制定及び同事務に関する要綱 ・ 規則の制定等について」

である。条例に関しては、93.5%とほとんどの自治体で制定していない。逆に、事務に関する 要綱・規則についてはほとんどの自治体で制定していることがわかった(92.5%)。加えて、

専任事務職員の配置については「配置なし」(59.4%)が約 6 割占めている。

 3 点目が、「教職員に対する研修の実施について」である。結果は、実施している自治体が 51 自治体(25.5%)にとどまり、約 4 分の 3 の自治体で実施されていなかった。

 4 点目が「就学援助制度の住民への広報について」である。問いとしては「広

・ ・

く住民へ広報

されているか」(傍点、筆者)ということであったが、約 9 割が「はい」と回答している。広

という言葉は回答する側の主観で捉え方が異なるということを考慮に入れなければならな

いが、9 割が肯定的な回答をしていることは高い数値をさしているといえよう。その中で「ホー

ムページ(以下、HP)」(86.0%)と「広報誌」(71.5%)の割合が高くなっている。「その他」

(5)

には、FM・ケーブル放送、チラシ ・ 文書の配布、学校便り、町内回覧、入学説明会・懇談 会での文書配布、入学通知書に文書を同封するなど各自治体の工夫がみられる。

 5 点目が、 「案内書の全家庭への配布」の有無と、 「外国語の案内書」の有無についてである。

前者の場合、約 8 割が小中学生のいるすべての家庭に案内書が配布されていると回答している。

後者については 45 自治体(22.5%)が外国語の案内書があると回答している。内容としては、

英語と回答した自治体が最も多く 40 自治体あり、次に中国語(28 自治体)、ポルトガル語(25 自治体)、スペイン語 ・ ハングル語(ともに 17 自治体)、タガログ語(16 自治体)となっている。

 以上 5 点について考察すると、1 点目の「準要保護率のばらつき」は国の一般財源化に伴い 予想されたことではある大きな格差になっているといえる。生まれ住んでいる自治体によっ てサービスを受けることができる・できないというのは避けなければならない。2 点目の「条 例及び要綱 ・ 規則の判定等について」である。要綱・規則については事務的に必要であると いうことから 9 割以上が制定しているが、条例についてはかなり低い制定率といえ全国で子 どもの貧困がクローズアップされている昨今の現状からすると各自治体の地域住民の関心を 高め、条例制定に結びつけ環境を整備していきたいところである。加えて、専任事務職員の 配置について、約 6 割が「配置なし」というのは同制度の適正な運営を図る専任担当者の不 在という側面から課題といえよう。

 3 点目は、「教職員の研修の実施について」である。支援する側が就学援助制度の内容(必 要性、手続き等)を熟知してなければ、どんなに良い制度でも絵に描いた餅になってしまう。

そういう意味では研修の実施率の低さは大きな課題といえよう。藤安(2012)は、教職員研 修会の必要性を説き、実施後に単に事務職員だけの課題とするのではなく、学校全体の課題 として認識することを強調している。4 点目は「住民への広報について」である。全国各地で さまざまな取り組みがなされており、各自治体で先進事例を参考にしなければならないと考 える。最後が「案内書について」である。8 割が全家庭へ配布しているとあるが、その内容に ついては吟味が必要であろう。年に 1 回の配布では必要な家庭に情報が届かない可能性がある。

また小学校 1・4 年や中学 1 年に限定した配布を行っている自治体もある。一方、外国語の案 内書については地域の実情において対応していくことが必要不可欠と考える。つまり、地域 によっては、多言語の案内文が必要なところもあり、行政側の準備いかんでは申請者数に差 が生じるといえよう。外国語の案内書に加えて、「やさしい日本語」での案内文作成を行って いる自治体もあり参考になる。

Ⅱ.沖縄県の子どもを取り巻く社会環境と子どもの貧困の現状

 ここでは沖縄県の子どもを取り巻く社会環境について取り挙げ課題等を明らかにしていく。

また、反貧困 ・ 反失業沖縄県ネットワークが行った就学援助に関する調査(2011)をもとに

その現状・課題等を述べていく。

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1.沖縄県の子どもを取り巻く社会環境

 第一にあげられるのが、合計特殊出生率とひとり親家庭の多さである。2012(平成 24)年 の沖縄県の合計特殊出生率は 1.69(全国:1.41)であり、全国一である。これは、少子化の進 む日本で 39 年連続 1 位であり誇らしいことといえよう。それに関連し全人口に占める 14 歳 以下の年少人口の割合も 17.6%(全国:12.8%、2014(平成 26)年 4 月)となっている。但し、

沖縄県も全国同様に少子化に向かっており年々子どもの数は減ってきている。

 その一方で、若年(十代)出産の多さが課題

といえよう。2012(平成 24)年における沖 縄県の 10 代の出産割合は 2.8% であり、全国の 1.2%に比し 2 倍以上となっている。その原因 を特定することは難しいが、筆者はその要因としては、IT による性情報の氾濫、価値観の多 様化、性教育の遅れ、若年者の出産に寛容な社会等があげられると考える。また、その背景 には全国ワースト 1 の離婚率(2009 年= 2.6:人口千人対、[全国:2.01])、全国の約 7 割とい われる県民所得(2009 年= 2,049 千円)の低さ、若年層(15 ~ 29 歳)の失業率の高さ(2012 年=沖縄県:14.8%、[全国:7.4%])

などがある。

 ところで、2014(平成 26)年に厚生労働省(以下、厚労省)が発表した 2012(平成 24)年 における全国の子どもの貧困率は 16.3%と過去最高を更新したが、そのうち、「大人 1 人で子 どもを育てている世帯」の貧困率は 54.6%である。前述のように、離婚率が高い沖縄県は全国 に比しひとり親家庭の出現率は高く約 2 倍である。具体的には母子家庭が 5.46%(全国:2.65%)、

父子家庭が 0.90%(全国:0.48%)が現状である。

 第 2 が学力の問題である。沖縄県では高校生による運動系部活動の活躍(特に野球やハン ドボール等)はめざましいものがある。その一方で、全国学力 ・ 学習状況調査(以下、学力 調査)においては 2007(平成 19)年の調査開始以来全国の底辺をさまよっているのが実状で ある。2014(平成 26)年度調査では、小学校の平均正答率が上昇し全国最下位から脱出し全 国との差は縮まったが、中学校においてはなお全教科とも最下位であり沖縄県の教育行政の 抱える大きな課題となっていることに間違いはない。筆者は、学力調査はあくまでも学力の 一指標にすぎないと考える。つまり、その結果のみに一喜一憂すべきではない。また、筆者 がここで強調したいのは「子どもたちの家庭環境」である。全国同様に、沖縄県でも「早寝 ・ 早起き・朝ご飯」とスローガンを掲げ生活習慣を確立すべく取り組んでいるが、成果はどう であろうか。

 後述するように、子どもの学力と保護者の経済力や学歴との正の相関関係はデータとして 証明されており、さらに広く捉えた場合、「子どもたちの家庭環境」と子どもの学力との関係 を否定する人はいないであろう。早寝 ・ 早起きの生活習慣が確立されておらず、保護者が朝 食を準備しない・できない家庭環境の子どもが学校において落ち着いて授業に集中できるで あろうか。それに類似した光景は子どもたちを支援する SSWr の実践活動では日常的にみら れるものである。すなわち、家庭環境への介入なしには学力向上への道のりは困難といえる。

 加えてこの学力に関連し、沖縄県の高等学校等進学率と大学等進学率について述べていき

たい。2010(平成 22)年 5 月 1 日現在の進学率はともに全国最下位であり、高等学校等が

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94.3%(全国 98.0%)、大学等が 36.9%(全国 54.3%)となっている。義務教育時、いやそれ より以前の家庭環境がその後の進学に大きな影響を与えていることは想像に難くない。筆者 は、経済的な困難が普通に得られている人間関係や教育的体験を奪い、それらが進学率を低 下させていると考える。換言すると、貧困が子どものさまざまな機会を剥奪しているのである。

2.「就学援助制度の周知拡充について」(反貧困 ・ 反失業沖縄県ネットワーク)

 次に反貧困 ・ 反失業沖縄県ネットワーク(以下、反貧困県ネットワーク)が 2010(平成 22)

年度に沖縄県内の 41 市町村教委に対して行った調査「就学援助制度の周知拡充について」

の結果を通して考察する。

 その結果について筆者の視点より以下の 5 点をポイントとしてあげる。1 点目が「受給率に ついて」である。沖縄県の特徴(親世代の完全失業率の高さ、非正規雇用の比率の高さ、所 得の低さ、若年出産や離婚率の高さ等)を勘案し他府県と比較すると、本県の受給率はかな り低いと指摘している。つまり、実態を現していないと強調する。

 2 点目が「広報と周知徹底について」である。広報誌の活用についてはスペースと内容、掲 載回数とともに積極的な活用を促している。また、HP 等のネットの活用については、それを 活用できる環境にない者への配慮も指摘する。民生委員の活用については、受給率との関係 からその関与が受給率を引き下げているとし、その関与をなくすべきと主張している。

 3 点目が、「申請時の添付書類及び手数料について」である。同制度の主旨から経済的困難 から就学困難に至っているということが要件であり、保護者が健康であるか、失業している か否かに左右されてはならないとし、さらに給食費の完納証明書等を求めることは趣旨から 逸脱し不適切であると述べている。

 4 点目が「申請受付期間と遡及給付について」である。期間の長短が申請率 ・ 受給率に及ぼ す影響を指摘し、昨今の経済情勢からすると 1 年を通して随時受け付けることを推奨している。

そして遡及については、申請時期に関わらず 4 月から遡及することを求めている。

 5 点目が「給付内容と基準、給付方法について」である。実費支給が一部の自治体におけ る一部の援助費目に限定されているとした上で、義務教育は無償であるという大原則に照ら して、実費支給とすべきとしている。また、子どもたちが肩身の狭い思いを味わうことなく、

教育効果をより発揮していくためにとりわけ、給食費と修学旅行費については直ちに実費支 給を行い、卒業アルバム代についても支給対象に加えるべきであると指摘している。

 以上 5 点について筆者の考察を述べる。1 つ目の受給率については沖縄県の親世代の完全失

業率の高さ、非正規雇用の比率の高さ、所得の低さ、若年出産や離婚率の高さ等の特徴を加

味すると、指摘のようにその割合は低いように感じる。それは、2 つ目の広報と周知徹底につ

いてとも関連すると考える。つまり、一部の自治体で積極的な広報 ・ 周知活動を行ってはい

るもののまだ不十分である。広く積極的に広報 ・ 周知をすれば潜在的にニーズをもつ多くの

子ども ・ 家庭も申請する機会が増えるであろうと予測する。加えて、民生委員の関与につい

ては否定的な見解だが、これについて筆者は民生委員の就学援助制度への関わりについて焦

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点をあてた追加調査が必要と考える。

 3 つ目の添付書類等についてであるが、日本国憲法(第 26 条)、教育基本法(第 4 条)、学 校教育法(第 19 条)を持ちだすまでもなく、自治体の義務としてサービスを提供しなければ ならない。子ども ・ 家庭が経済的困難から就学困難に至っているという要件を満たすのであ れば、当事者も学校関係者(広く支援者)も“権利としてサービスを受けることができる”

という視点に考え方を変えていかなければならない。

 4 つ目の申請期間と遡及給付についてであるが、家庭の経済状況から急に支援を要する事態 が発生する場合が想定される。そのような場合に申請期間が限定されていると必要な時に活 用できない。大阪府吹田市では、関係者の努力により年間を通して随時受け付けるようになっ ており、更に土曜日受付も導入されている(藤井:2012)。ウィークデイには申請できない保 護者にとっては有り難い対応であるといえる。5 点目の給付内容と基準、給付方法についても 前述ように日本国憲法等の精神に則り、自治体間で格差が生じないようにしなければならな い。また支給されている場合でも一部支給で“良し”とするのではなく、実費支給に切り替 えていくことも現行サービスの改善点の一つといえよう。

Ⅲ.調査からみえてくる沖縄県の就学援助制度の現状と課題

 次に筆者の実施した調査をもとに、沖縄県における就学援助制度の現状と課題について言 及していく。厚労省の調査によると、子どもの貧困率は 2003(平成 15)年の調査より右肩上 がりで上昇(悪化)している。具体的には 2009(平成 21)年に 15.7%であったものが、2012(平 成 24)年に 16.3%となっており、実に 6 人に 1 人が貧困状態にある。昨今の社会全体の経済 情勢を受けて、子どもの貧困に対する関心も徐々に高まってきており、2013(平成 25)年に は「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が制定された。一方、Ⅱで取り上げた反貧困県ネッ トワークの調査は 2010(平成 22)年に実施したものであり、それ以降沖縄県の子どもたちは、

全国傾向と同様に厳しい状況にあるであろうか。それをここでは「就学援助制度(準要保護)」

という切り口で検証していきたい。

 本調査では、反貧困県ネットワークの調査結果も踏まえて、ここ数年間の県内の就学援助 制度の現状と課題を考察していくため、反貧困県ネットワークの調査の質問を参照に質問項 目を設定した。但し、本調査では専任事務職員の配置の有無や市部 ・ 町村部の就学援助率の 比較を行うため新たな質問項目も加えている。

1.調査の目的 ・ 方法

 調査の目的は、沖縄県内全 41 市町村の就学援助制度[2013(平成 25)年度]の実態及び課 題を明らかにすることで、経済的支援が必要な子ども及びその保護者(家庭)へきちんと支 援が届きそれにより、彼らの抱える諸々の問題を軽減し、最終的には解決に導くことにある。

 なお、筆者の調査を実施するにあたっての仮説として以下の 2 点をあげる。1 点目が教委に

(9)

おける就学援助担当の専任事務職員の配置についてである。「なくそう!子どもの貧困」全国 ネットワークの調査では全国の約 6 割が「配置なし」であったことから、沖縄県の市町村教 委においても同様に、専任事務職員の配置率は低いと予測する。

 2 点目は、反貧困県ネットワークの調査より、浮かび上がった市部と町村部の就学援助率の 差についてである。反貧困県ネットワークの調査では、県内の 11 市のうち 10 市が就学援助 率 10%を超え、特に沖縄市、那覇市では 20%を超えていた。これらより、3 年を経た本調査 時[2013(平成 25)年度]においても、本県では町村部に比し市部の就学援助率は高いので はないかと予測した。

 調査の方法は、郵送によるアンケート調査である。調査対象者(アンケート回答者)は、

各自治体において就学援助制度を主として担当している者とし、実施期間は、2014(平成 26)

年 6 ~ 7 月である。アンケートの回収に関しては、郵送、ファクシミリ又は電子データの 3 通りの方法で行い、回収率は 87.8%(= 36/41)である。

 また、調査の主な内容は以下である。①各自治体における児童生徒総数及び就学援助認定 者数、②就学援助に関する条例 ・ 規則等の制定、③専任事務職員の配置や研修の実施、④広 報及び直接 ・ 個別の対象確認、⑤受給の認定要件や申請書の提出先、⑥民生委員の判断、申 請期限及び遡及(追加申請)、⑦添付書類、⑧給食費等である(いずれも 2013(平成 25)年 度実績で回答いただいた)。

2.調査の結果・考察

 調査の結果 ・ 考察については、大別して「基礎情報・就学援助率について」、「準要保護に ついて」の 2 点から言及することとする。

(1)基礎情報・就学援助率について

 回答のあった 36 自治体の全児童生徒数は 132,160 人であり、そのうち 26,329 人が就学援助(要 保護+準要保護)を受給している。全体の就学援助率は 19.9%となっている。内訳をみてみると、

児童(小学生)が、18.7%、生徒(中学生)が 22.4%となっており、児童(小学生)に比し生 徒(中学生)の受給率が高くなっていることが分かる【表 1 参照】。

表 1 就学援助率

全児童生徒(人) 受給者数(人) 就学援助率(%)

児童(小学校)生徒(中学校)児童(小学校)生徒(中学校)児童(小学校)生徒(中学校)

88,610 43,550 16,593 9,736 18.7 22.4

132,160 26,329 19.9

 また、自治体別にみてみると、就学援助率の最高が 27.3%であり、就学援助率が 20%を超

えている自治体が6市町、うち 4 自治体が市部となっている。さらに、市部と町村部で比較

したところ、市部(10 自治体)が 20.9%、町村部(26 自治体)が 15.9%となっている【表 2

参照】。これまでの全国・県内の傾向と同様に、都市部における就学援助率が高くなっている。

(10)

表 2 就学援助率の市部と町村部の比較

市部(10) 町村部(26) 全体(36)

就学援助率(%) 20.9 15.9 19.9

(2)準要保護について

 ここからは、就学援助制度のうち「準要保護」に焦点をあててみていくこととする。

 ①条例 ・ 規則等の制定

 就学援助に関する条例については、前述のように「『なくそう!子どもの貧困』全国ネット ワーク」の調査でも 6.5%の自治体しか制定していなかったが、今回の調査において県内で制 定している自治体はゼロであった。また今後制定の予定があると回答した自治体も 1 自治体 にとどまる。規則 ・ 要綱についても全国と同様の傾向があり、27 自治体(75.0%)が制定して おり、未制定の 9 自治体(25.0%)を大きく上回る【表 3 参照】。とはいえ、先述のように全 国の制定率(92.5%)からすると、県内のそれは低いといえる。

表 3 準要保護に関する条例及び規則・要綱の制定

条例 規則・要綱

あり なし あり なし

今後制定の予定

自治体数(36) 0 36 あり なし 27 9

1 35

割合(%) 0 100.0 75.0 25.0

②専任事務職員の配置、研修の実施

 専任事務職員については、20(57.1%)の自治体が配置し、15(42.9%)の自治体が未配置 と回答している(1 自治体は無回答)。以上より、6 割近くが専任事務職員を配置しているおり、

全国のその比率とは全く逆になっていることがわかった。続いて、市部と町村部を比較して

みると【図 2 参照】、市部 90%に対し町村部は 42%の配置となっており、2 倍以上の開きがあ

る。もちろん、人口規模によっては専任事務職員を配置することは困難かもしれないが、複

雑なニーズをもつ家庭に対しては専任でより詳しい情報をもつ職員が対応することが望まし

いと考える。

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 また研修については、36 のうち 11 の自治体が実施していると回答し、実施率は約 3 割と少 ない(30.6%= 11/36)。さらに市部と町村部で比較してみると、「専任事務職員の配置」と同 様の傾向がみられる【図 3 参照】。つまり、研修実施率が市部では 80%であるのに対し、町村 部では 12%と大きな開きがある。他方、その研修対象者の多くは、学校事務職員や教頭等の 管理者である。支援する側である行政や学校教職員の就学援助制度の理解なしに、ニーズの ある子ども・家族にそのサービスは届かない。それゆえ、研修対象者の拡大やその内容充実 が求められる。

 ③広報及び直接 ・ 個別の対象確認

 「広く住民に広報しているか」との問いには 26 自治体の担当者が「はい」、10 自治体の担当 者が「いいえ」と回答している。加えて、尋ねた広報の方法については「お知らせ(案内文)

チラシ・文書等」が最も多く 22 自治体、「HP への掲載」が 16 自治体、「広報紙(誌)」が 20 自治体となっている。某自治体では、社会福祉協議会との連携や民生委員、メールを活用し ての広報に努めていた。一方、「お知らせ(案内文)チラシ・文書等」を実施していても、実 態として年に 1 回限りの配布であれば、制度の周知には限界があるであろう【添付資料 1 参照】。

 加えて尋ねた「全家庭を対象に直接 ・ 個別に確認しているか」という問いには、8 自治体の みが「はい」と回答しているが、比較的小規模な自治体に多くなっている。その働きかけは、

「学校教職員」からが一番多く 24 自治体、「教育委員会」からが 17 自治体、その両方からが 9 自治体となっている。さらに、その他の働きかけとしては少数ではあるが、「民生委員からの 働きかけ」(3 自治体)、「関係する各課からの働きかけ」(2 自治体)となっている。他方、外 国語での「お知らせ(案内文)」(英語)は 1 自治体にとどまった。

 就学援助制度については、広報が重要なのはいうまでもない。つまり、サービスを知らな ければ申請に至らないのであり、ニーズがあるところに必要なサービスが提供されないとい うことになる。他方、外国語での「お知らせ(案内文)」(英語)は 1 自治体にとどまったこ とは今後の課題となろう。グローバルな社会において、沖縄県でも米軍基地が存在するがゆ え英語を母国語とする者が多いが、それに加えて、中国語などを母国語とする者も多く移入 している

10

ことも念頭において対策を立てていくべきであろう。

 ④受給の認定要件や申請書の提出先

 認定要件としては、「収入」や「所得」(一方のみまたは、両方)をあげているのは 17 自治

(12)

体であり、逆に「収入」「所得」をいずれも要件にあげていないのが 19 自治体であった。

 金額以外の要件としては、「市町村民税非課税」をあげている自治体がほとんどであり、そ の他に「生活保護世帯」、「生活保護の停止 ・ 廃止を受けた世帯」等をあげていた。

 また、申請書の提出先としては、回答いただいた市町村のうち、30 は「学校」をあげ、23 は「教 育委員会」をあげている。さらにその両方を申請の窓口としているのは 17 自治体にとどまる。

申請書の提出先については、保護者の心理的ブレーキになる要素(子どもに迷惑をかけたく ない、他人に知られたくない等)に配慮して「学校」「教育委員会」の 2 ヶ所での申請を可能 とすべきと考える。

 ⑤民生委員の判断、申請期限及び遡及(追加申請)

 申請や認定のプロセスにおいて民生委員の判断が原則必要になるかという問いに対し、12 の自治体が「必要」と、23 の自治体が「不必要」と回答している。民生委員の関与については、

プラス ・ マイナス両方の評価がある。マイナスの側面とは、民生委員に所見を求めることで 認定抑制の方向に働いてしまうということである。他方、プラスの側面とは民生委員の関与 を義務づけることで認定率が向上したという自治体も存在する(藤安:2012)。筆者は民生委 員の果たす役割は大きいと考える。学校事務職員・管理者の同制度理解の必要性については 前に指摘したが、民生委員にも同様に研修の機会を確保し、本来の主旨を踏まえた上で子ども・

家庭支援に関わることを期待したい。

 次に申請はいつでも可能かどうかついて尋ねたところ、13 の自治体が「はい」と回答して いる。期間を決めて受け付けているのが、22 自治体である。期間については、年度当初の 4

~ 7 月頃にかけて 1 ~ 3 ヶ月で期限を設けているのが 10 自治体、4 ~ 12 月までと比較的長く 期間を設定し順次受け付けているのが 9 自治体、年度末(前年の 1 ~ 3 月)に期間を設けて いるのが 3 自治体などさまざまである。

 遡及については、「ある」と答えたのが 10 自治体であるが、その遡及期間はかなり限定的 でほとんどが 1 ~ 2 ヶ月である。ほとんどの自治体が「遡及なし」である。上記にある 4 ~ 12 月にかけて比較的長く期間を設定している自治体の場合でも、追加申請の場合は申請月も しくは、申請月の翌月 1 日に認定している自治体が多い。なお、申請期限及び遡及(追加申請)

についての考察は後述したい。

 ⑥添付書類

 申請時の添付書類については、「住民票謄本」「所得証明書」を求める自治体がそれぞれ 21、

29 自治体である。ここで気になるのは、少数意見であるがその他で「給食費完納証明書」(2)、

「幼稚園入園料等完納証明書」 (2)、 「学校校納金状況調査」 (2)、 「失業の証明書」 (2)、 「診断書」 (5)

等があがっている点である【( )の中は自治体数】

11

。就学援助制度の本来の主旨からすると

「経済的理由」により就学が困難になっていることが要件となるべきで、添付書類に「給食費 完納証明書」、「幼稚園入園料等完納証明書」、「学校校納金状況調査」等を求めること、さら には保護者の「失業の証明書」「診断書」を求めることも不適切であると考える。

 さらに、添付書類にかかる手数料について尋ねたところ、「全額免除」「一部免除」がそれ

(13)

ぞれ 10、1 自治体となっており、残りの 23 自治体が「免除なし」となっている。すでに免除 を行っている自治体においては、保護者が申請時に当該自治体に委任するシステムを整備し 手数料を支払わなくてもよい措置がとられている。現時点において「免除なし」の自治体は 先進自治体を参考に早急に整備してほしいものである。

 ⑦給食費・修学旅行費・メガネ等代金

 給食費については、7 自治体を除き 29 自治体が「全額支給」と回答している。「一部支給」

のうち 3 自治体では給食費の 70 ~ 75%を支給している。また、特筆すべきは 2 自治体におい ては就学援助制度に関係なく全児童生徒に対して給食費を全額免除していることである【添 付資料 2 参照】。人間の食欲という根源的な欲求を満たしてあげることを第一に考えると、就 学援助対象児童生徒に限定せず、全児童生徒を対象に拡げ、全額免除していくことが理想と 考える。それは、不適切な家庭環境にあり、夏休み等長期の休み後に体重が極端に減少して 登校する子どもや家庭において偏った食生活をする子どもたちが少なからず存在する実態を 考慮すると、いかに学校給食が重要であるかが分かる。

 また、修学旅行費については「全額支給」が 6 自治体にとどまり、多くが「一部支給」で小学校、

中学校それぞれで金額の上限を定め補助を行っている。最高額は、小学校 1 万 6 千円で、中 学校 7 万円となっている。金額については、地域(自治体)によって旅行先や日程、プログ ラム等が異なるので単純には比較できないが、授業の一環で行う行事でありさらに事前事後 学習等の実施が必須であることを考えると、経済的な理由で不参加になることは避けなけれ ばならない。言うまでもなく、理想としては全額支給が望ましいと考える。

 最後のメガネ等代金については、1 自治体の「一部支給」(上限 2 万円)を除き、他の自治 体の補助はない。先述の「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークが行った調査でもメ ガネ ・ コンタクトレンズ代を支給している自治体は全国で 2.5%にすぎない。メガネ等代金に ついては、筆者も大きな課題として認識するため後述することとする。

 Ⅲ.を締めくくるに当たり、事前に立てた仮説について述べる。1 つ目の専任事務職員の配 置については、筆者の予測に反し本県の配置率(約 6 割)は高い結果であった。しかしながら、

市部(90%)と町村部(42%)の配置率には大きな開きがあり、町村部での専任事務職員の 配置に課題があるといえる。2 つ目の就学援助率の市部、町村部での差については筆者の予測 通りであり、市部が 20.9%に対し町村部が 15.9%と 4 ポイントの開きがあり、町村部に比し市 部が高率であった。とりわけ、4 市が就学援助率 20%を超えかなりの高率であった点は特筆 すべきであろう。

 また、調査のプロセスにおいて複数の担当者から「別の自治体はどうなっているのか」と

いう主旨のご質問をいただいた。これらのことから、担当者自身手探りで業務にあたってい

ることがわかった。2005(平成 17)年の一般財源化を契機に、各自治体でその取り組み体制

等に格差が生じるというのは予想されたことである。今後は、県主導で「就学援助制度担当

者連絡協議会(仮称)」を開催するなど、定期的に市町村の担当事務職員等を対象に研修を実

施し、その中で情報交換や先進地域(県外含む)の取り組みの紹介を行うこと等を提案したい。

(14)

Ⅳ.就学援助制度改革についての提案

1. 沖縄県における喫緊の課題

(1)研修の実施

 まずは、就学援助に関する教職員等に対する研修の実施である。本調査でも明らかになっ たように研修の実施率が低く、また対象が学校事務職員や管理者に限定されていることが課 題であるといえよう。少なくとも直接その事務を担う学校事務職員や管理者については必須 とすべきで、さらに子どもたちに直に関わる担任等教員に対する研修も積極的に行う必要が あると考える。

 加えて、昨今の教員の多忙さを考慮すると、教員以外の第三の支援者、例えば SSWr、スクー ルカウンセラー、教育相談員、巡回教育相談員、小中アシスト相談員

12

、民生児童委員ら児童 生徒と関わりをもつ可能性のある支援者への研修も同様に実施してはどうか。

(2)積極的な広報

 先述のように広報活動は非常に重要な位置づけといえる。なぜならば、本制度は申請主義 であり保護者が制度の存在を知らない場合は申請すらできない。自治体によっては入学前の オリエンテーション等の場面で同制度の説明等を実施している。そのこと自体はよいことで あるが、小学校で 6 年間、中学校で 3 年間の期間があり、その間に家庭の経済状況が変わる ということは大いにあり得る。その場合に同制度を把握していれば申請に至るであろう。急 なニーズに対応するため、小中学校ともに年に複数回(少なくとも学期に 1 回)の保護者対 象の説明会を設けてはどうであろうか。なお、湯田(2009)の行った全国調査でも保護者対 象の説明会の実施率は低く約 2 割となっている。全国的にも大きな課題の一つといえる。

 説明会実施時に重要なのは、家庭の経済状況が理由で子どもたちの就学が困難になってい る状況を支援する、子どもが安心して学校で学び・遊び・生活するという本制度の本来の主 旨をきちんと踏まえるということである。経済的支援を受けること=スティグマにならない ような配慮が求められる。

 これまで指摘しているように、全世帯に「お知らせ(案内文)チラシ・文書等」を配布す るのは当然であり、その後当該家庭の状況をみて、個別 ・ 直接的に声かけをするなどして必 要性を確認する過程は非常に重要といえよう。そもそも家庭の経済状況などは個別的なもの であるため、ケースバイケースの対応が求められる。この場合に、子どもに関わる関係者の 同制度理解があれば支援につながる。

 加えて、対象者に合わせた情報提供が必要と考える。換言すると、情報弱者への対応である。

外国語及びやさしい日本語(ルビを打つなど文書に配慮する)を使った「お知らせ(案内文)」

の作成である。保護者の中には身体に障がいを有するなど特別に支援が必要な方も存在する。

今回の調査で外国語での「お知らせ(案内文)」(この場合英語のみ)を準備しているのは一

自治体にとどまる。本県おける米軍基地の存在や今後ますます進んでいくことが予想される

グローバル社会への対応としては、地域ごとにニーズを把握しそれに対応できる「お知らせ(案

(15)

内文)」の作成が求められる。さらに窓口における細やかな対応(通訳の設置、土曜日の受付)

等行政サービスの向上が求められてくるといえる。

(3)申請期限及び遡及(追加申請)

 今回の調査では、13 の自治体が申請期限を設けていない。期限を設けずいつでも申請を受 け付けるということが理想と考えるが、行政の事務手続上一定の期間を設定することはやむ を得ないといえる。但し、期間を設ける場合でも短期間ではなく 9 自治体が設定しているよ うに、「4 ~ 12 月まで」のように比較的長く期間を設定し順次受け付けるのが望ましい。先述 のように家庭の経済状況は個別的で急変することも考えられるため、臨機応変に対応できる ように期間を設定すべきであろう。

 また、遡及については 10 自治体が行っているが、その期間はかなり限定的(1 ~ 2 ヶ月)であっ た。理想は、年度のいつ申請してもその年度については許可することとし 4 月から遡及して ほしい。遡及しない理由として、某自治体担当者は「(年度途中で受け付け遡及することは)

提出期限を守った方に不公平感が生じる」と回答している。一見合理的な意見に聞こえるが、

筆者としてはさまざまな理由により年度途中で申請せざるを得ない者が存在すること、さら にルールに縛られることにより必要な支援が得られないことの方が大きな問題と考える。

(4)メガネ等代金の支給

 近年、子どもたちの視力低下は年々進んでおり、2013 (平成 25)年度現在で裸眼視力 1.0 以 下の割合(沖縄)は、幼稚園が 27.1%、小学校が 34.6%、中学校が 48.7%、高等学校が 58.3%となっ ており、学校段階が進むにつれて確実に低下している。全国も同様の傾向を示すが、さらに 沖縄県と全国のそれを比較すると、本県の場合、幼稚園・小学校の割合が全国に比し高い割 合となっている【文科省(2014)、表 4 参照】。中学校以降に全国に比し、低い割合になって いることについては別に分析・考察が必要と思われるが、幼稚園・小学校の早い時期にメガ ネが必要な状況があれば、早期に対応すべきと考える。

 視力低下の背景には、テレビの視聴やゲームの使用等の関連も指摘されるが、上記の実態 を考慮するとメガネ等代金の補助は決して一部の子どもの利益にとどまらない。それゆえ、

メガネ等代金の補助については、現時点では数少ない先進事例にならい積極的に取り組んで いく必要があろう。

表 4 裸眼視力 1.0 未満の割合(%)

2013(H25)年度 幼稚園 小学校 中学校 高等学校

全 国 24.5 30.5 52.8 65.8

沖縄県 27.1 34.6 48.7 58.3

出典:文科省(2014):「平成 25 年度 学校保健統計調査(平成 26 年 3 月)」

(5) その他の取り組み

 これまで述べてきたように、沖縄の子どものおかれている現状は厳しいものがあり、われ

われ大人は決して安閑としてはいられない。他の都道府県にない課題が沖縄にあれば、本県

(16)

に特化した形で対策を打ち立てていかなければならない。その際には、地域の特性に応じて 活用できる「沖縄振興特別推進交付金(以下、特別交付金)」

13

等を積極的に活用しつつ、行 政のみではなく、NPO 法人等民間の活力も最大限に活用しながら取り組んでいくことも求め られてくる。先に指摘した、子どもたちの学力の低さに対しては、中長期的に施策を計画し 実施していく。よく言われるように、教育にはお金がかかりその効果が現れるまでに時間を 要する。現在でも、特別交付金を活用し沖縄の特殊性に配慮し離島の子どもや出身者を支援 するための事業(「離島 ・ へき地における学習支援事業」「離島児童 ・ 生徒支援センター整備 事業」等)を実施し、さらに貧困の連鎖を防止することを目的に保護者に対する就労支援と 子どもへの学習支援を実施する「子育て総合支援モデル事業」や「母子家庭生活支援モデル 事業」を実施している。

 言うまでもなく、上記の事業の効果についてはきちんと検証し、次につなげなければなら ない。現在の子どもに現れてくる問題は子どもの発達段階に応じていろいろな形で生じてく る。そのため、子どもたちに生じている諸問題を環境との交互作用で捉え、保護者を含めそ の生活基盤を整え、諸関係機関との連携の中で支援する SSWr の配置は必要不可欠と考える。

本県でも高等学校に特別交付金を活用し 2012(平成 24)年度から「教育相談 ・ 就学支援事業」

を開始し、「教育相談 ・ 就学支援員」と称しソーシャルワーカー等を配置している。一定の成 果を上げつつその必要性を認められているのが、原則、単年度事業であること、配置される 教育相談 ・ 就学支援員の身分が不安定であるため、社会福祉士や精神保健福祉士等の有資格 者を配置するのが難しいこと及び、予算の関係上配置している学校が 10 数校と限定されてい るなどの課題がある。子どもの貧困を解消していくには、就学前から義務教育期間中はもち ろんのこと、その後の高等学校、大学など高等教育においても切れ目なく支援を継続してい くことが望まれる。そういう意味では、現在義務教育段階にとどまっている本県の SSWr 配 置を高等学校等においても早期に実施し、家庭の経済的貧困が理由で示す子どもたちのさま ざまなシグナルをキャッチし支援につなげていくことが求められる。

2.全国的レベルでの取り組み

(1)子供の貧困対策大綱とスクールソーシャルワーカーの役割

 2014(平成 26)年 8 月には子供の貧困対策大綱(以下、大綱)

14

が閣議決定された。その

中で就学援助対策の充実が重点施策として指摘されている。そのポイントは、「就学援助ポー

タルサイト(仮称)」を整備するなど、同制度の適切な運用、広報 ・ 周知、各市町村における

活用 ・ 充実などである。社会情勢の変化に伴い制度は改正されていくことが常であるが、前

述のように国の責任が後退し市町村の財政的理由が原因でサービスが縮小されていくことが

あってはならない。また、今回の大綱には、具体的な数値目標は明示されなかったことは非

常に残念である。高等教育に係る経済的支援(奨学金制度)に比し、義務教育期間は就学援

助制度が存在するというだけで満足するのではなく、経済的不利から生じる負の連鎖を最小

限にとどめるために、早期発見 ・ 支援の考え方からより充実させなければならない。そのた

(17)

めに、われわれ市民が監視しながら制度の動向を見守りつつ、先進地域のグッドプラクティ スを推し進めることも重要であろう。

 一方、大綱ではすべての子どもが通う小中学校を子どもの貧困対策の「プラットフォーム(拠 点)」と位置づける。その学校に SSWr を配置し子どもに生じる様々な問題に対処することを 期待され、2013(平成 25)年度現在の約 1,500 人から 5 年後には大幅な増員を目標としてい る。特に経済的ニーズの高い地域には重点的に配置することがうたわれている。筆者として は、このように子どもに関わる専門職として SSWr が期待され、今後増員されていくことを 喜ぶ反面、懸念もする。換言すると、社会から大きく期待されるということは、それは同時 に責任を問われるということになる。SSWr は、増員とともに、子どもたちの SOS に寄り添い、

さらに社会的責務に応えることができるように資質の向上に努めなければならない。特に本 論の主テーマである就学援助制度の理解は必須であり、子どもたちの抱える諸々の問題の根 幹部分に“家庭の経済的貧困あり”という認識をもち支援していくことが求められる。

(2)保護者の経済力 ・ 学歴と子どもの学力の関係 

 さらに、大綱では教育、生活、経済と並んで保護者の就労についても支援の大きな柱とし て位置づけている。それはこれまでの調査研究等によって、保護者の経済力 ・ 学歴と子ども の学力との関係に正の相関関係あることが証明されているからである。

 お茶の水女子大学(2014)によって、全国レベルで行われたアンケート調査では、世帯収 入が高いほど子どもの学力が高い傾向がみられた。また、保護者の最終学歴についても、学 歴が高いほど子どもの学力が高い傾向がみられ、この場合父・母の学歴を比較すると、母学 歴の方が強く子どもの学力に影響しているのがわかっている。さらに、世帯収入と保護者の 学歴の合成変数である「家庭の社会経済背景(以下、SES)」と子どもの学力を比較したとこ ろと、SES が高いほど子どもの学力は高く最大で 23.9 ポイント(数学 B )の差があった。

 上記のデータは、ある程度予測されたことではあるが、ここまで明確に影響が出ていると いうことは何らかの対応をしなければならないと考える。佐藤方宣(2014)は、上記の結果 に対し、本来学力は本人の努力に帰せられるはずなのに、保護者の経済力・学歴に作用され る部分があまりにも大きいとすれば、それは社会の責任として対処していく問題といえる、

と強調する。

 子どもの貧困について、現在の日本では家族の自己責任という考え方がまだ根強い。その

ために、まず必要なのは一市民・子どもに関わる大人の「子どもの貧困」に対する理解では

ないだろうか。その上で、今後は「子どもの貧困」に対する正しい認識に基づき、就学援助

制度をはじめ、国(行政)がどれだけ教育(子どもたち)にお金を投資し

15

、本格的に取り組

んでいくかが問われてこよう。

(18)

おわりに

 最後に今後の課題について 2 つの視点から述べてまとめにかえたい。1 つ目が研究上の課題 である。今回先行研究及び、筆者の実施した調査より沖縄県における就学援助制度の実態を 明確にし、その課題を明らかにしたことは成果といえよう。一方、調査の限界としては、① 今回のアンケート対象者が支援する側である行政担当者であったこと、②就学援助に関する 研修の内容把握までは至っていないこと、③認定者数(申請が認められた者)だけを把握し ていること、つまり申請はしたがそこから漏れた者の割合を把握していないことなどがあげ られ、今後の課題と考える。取り急ぎ、当事者である子どもや保護者を調査対象とし、その 声をひろう必要があろう。

 2 つ目の視点は、実践上の課題についてである。今後は今回明らかになった課題に対し、先 述のように県主導で「就学援助制度担当者連絡協議会(仮称)」を開催し、市町村教委のバッ クアップを行うこと、さらに市町村教委が就学援助を必要とする子どもたち(家庭)に同制 度の積極的活用を促すなど具体的に対処していくことを求めたい。また、見えにくい子ども の貧困に対し予算の重点的な配分を行うと同時に、限られた予算を効果的に活用し行政 ・ 民 間が協働し改善に向けてソーシャルアクションを起こしていかなければならない。本県では、

他都道府県で先進的に始められている子どもたちの夜間の居場所作り(食事の提供、学習支 援等)に早急に取り組む必要がある。

 加えて、各自治体が予算に縛られることも考えられるため、申請から漏れた者の生活実態 やその者へのその後の支援はどうなっているのか等追跡調査も必要不可欠である。なぜなら ば、2014(平成 26)年 6 月に公表された文科省の「平成 26 年度における就学援助実施状況調 査」では切り下げた実態を過小評価しているとも捉えられ、本制度の実態が見えにくくなっ ているからである。

 再三指摘しているように、子どもの貧困への対応は領域横断的な研究が求められる。筆者 としては、現場において SSWr とともに子ども ・ 保護者を直接支援することと併行して、福祉・

教育の領域だけでの研究では限界があるため、今後は他の領域(経済学、医学、心理学、公 共政策学等)の研究者と協働し研究を進めていきたい。

謝辞:お忙しい中、本調査にご協力いただきました各市町村教育委員会の就学援助制度担当

者の皆様には、この場を借りて深くお礼を申し上げます。

(19)

1 文科省(2014.3.) 「平成 24 年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」。

2 琉球新報(2014.2.15.)「就学援助 1161 人増最多 県内 12 年度 不況で 2 割受給」。

3 厚労省の「国民生活基礎調査」によると、2009(平成 21)年では 112 万円を貧困線とし、

それ以下を貧困家庭とみなしている。なお、1997(平成 9)年より減少傾向にある。

4 朝日新聞(2014.4.3.)「就学援助、縮小続出、生活保護に連動、基準下げ 9 市区」東京朝刊。

5 毎日新聞(2014.4.30.)「〈就学援助〉縮小回避 6 割 ・・・ 生活保護減額 74 市区本紙調査」。

6  「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク(2013):『就学援助制度に関する調査集計 結果報告(第二次報告)』。

7 若年(10 代)の妊娠・出産の課題については、本人・パートナーともに学業途中、未婚、離婚、

妊娠・分娩・育児に関する知識が乏しい、受診時期の遅れ、妊婦健診を受けない、人工妊 娠中絶にいたることが多いなどがあげられる【村山陵子ほか(2005) 「文献にみる 10 題の妊 娠・出産の支援の動向と課題」 『思春期学』23(1)。安達久美子(2008)「わが国の 10 代の 出産の動向と諸外国の現状」『思春期学』26(1)。赤井由紀子ほか(2010)「十代妊婦の支 援体制への課題」『川崎医療福祉学会誌』20(1)】。

8 2012(平成 24)年の全体の失業率は、沖縄県が 6.8%、全国が 4.3%となっている。

9 反貧困 ・ 反失業沖縄県ネットワーク(2011)「就学援助の現状と課題」。

10 2010(平成 22)年の沖縄在外国人登録者数は 8,933 人であり、国籍別内訳は上位から、米 国 2,183 人、中国 2,011 人、フィリピン 1,643 人、韓国 ・ 朝鮮 714 人となっている(沖縄県(2012) :

『平成 24 年 沖縄県勢要覧 みえる・わかる・おきなわ』)。

11 これら少数意見については、アンケート用紙に回答者に明記していただいた部分及び筆 者がアンケート送付時に回答者に添付いただいた関連資料を読み取った結果であり、全数 把握したものではないということを断っておきたい。

12 「小中アシスト相談員」とは、地方公務員法に定める非常勤の嘱託員であり、2014(平成 26)年度から沖縄県内教育事務所に配置される。不登校及び問題行動の未然防止、早期発見、

早期対応及び早期解決を図る。

13 沖縄県(2014.5.) : 「平成 26 年度 沖縄振興交付金事業計画書(沖縄振興特別推進交付金)」。

14 正式には「子供の貧困対策に関する大綱について」(内閣府)となっており、子どもの貧 困対策の推進に関する法律(平成 26 年)第 8 条の規定に基づき定められた

 【内閣府(2014):http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/pdf/taikou.pdf】。

15 現在日本は、国内総生産(GDP)に占める公教育支出の割合が OECD の中でも最低レベ ルにある。具体的には、文科省の発表したデータによると、日本が 3.6%に対し、OECD 平 均は 5.4%となっている。日本の場合、特に高等教育に係る公費支出の割合が低い(日本:

0.5%、OECD:1.1%)のが特徴といえる。

  また、2011(平成 23)年度の社会支出を政策分野別にみて、その割合に着目してみると「高

齢」46.5%、「家族」5.7%であり、同分類の中でも第 1 位となっている「高齢」分野に偏っ

(20)

た配分になっているのが分かる。高齢分野の充実も必要だが、それ以上に未来の社会を担 う子ども・家庭への投資を行っていく分配割合の再検討が必要と考える。

 【文科省(2014):「国内総生産に対する学校教育費の比率(2009 年)」『教育指標の国際比較 平成 25(2013)年版』】

○その他の主な参考文献

・湯田伸一(2009):『知られざる就学援助―驚愕の市町村格差―』学事出版。

・雁咲子(2012):「子どもの貧困とセーフティネット - 就学援助制度を中心として -」『跡見学 園女子大学マネジメント学部紀要』14。

・藤安京子(2012)「国・県・私立学校にも支給」『元気がでる就学援助の本-子どもの学び を支えるセーフティネット-』かもがわ出版。

・藤井ひとみ(2012)「学校は保護者の味方です」『元気がでる就学援助の本-子どもの学び を支えるセーフティネット-』かもがわ出版。

・文科省(2014):「平成 25 年度 学校保健統計調査(平成 26 年 3 月 28 日)」

・ユニセフイノチェンティ研究所・阿部彩 ・ 竹沢純子(2013):「イノチェンティレポートカー ド 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較 特別編集版」日本ユニセフ協会。

・国立大学法人お茶の水女子大学(2014):「平成 25 年度 全国学力 ・ 学習調査(きめ細かい調 査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」『平成 25 年度 学力 調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究』。

・佐藤方宣(2014.4.26.):「日本診断 格差の継承断ち切れ」『琉球新報』朝刊。

・浅井春夫(2014):「子どもの貧困の今日的特徴」『経済』228。

(21)

Abstract

 This study overviews and analyzes the current national statistics of child poverty as well as the statistics of Okinawa. Based on these statistics, I interviewed the teachers’

consultant of Municipal Board of Education in Okinawa. The purpose of this interview was to identify and examine “Shugaku-Enjo-Seido”, a kind of financial support/aid for children in poverty. I specially focus on “Jun-yo-hogo” that targets the children who have risk for poverty.

 The results of this research show four important issues/points that teachers and school social workers should immediately consider and commit. ① Implementing more seminar/training regarding the social service/child poverty/etc. “Shugaku-Enjo-Seido”.

More attention is needed for the seminar/training because of limited attendee and low implementation rate.  I can say that at least school officers, school administrators and teachers should attend this seminar/training. ② Useful ways to provide information to families who need social supports. Repetitive orientation-meeting for parents is one idea.

Direct action to target families also effects to provide information. ③ Period to apply the social services should be flexible, for example from April to December. ④ Provide the money for extra expense, not covered by the law such as for glass. Compared to the other prefectures, children of Okinawa, especially age of 12 and under, are weak-sighted.

 This study summarizes offering two recommendations to the board of education/the child welfare agencies in Okinawa. ① Make efficient use of Government funds/grants, such as

“Okinawa Shinkou Tokubetsu Suishin Koufu-kin ”. ② High schools and Higher Education should employ school social workers to support students and their parents in poverty.

Keywords: child poverty, Shugaku-Enjo-Seido (schooling expense assistance system), survey, outline of measures of child poverty, school social work

“Shugaku-Enjo-Seido (Schooling expense assistance system) in Okinawa prefecture

−Through the questionnaire to Municipal Education Committee −

Masachika Higa

表 2  就学援助率の市部と町村部の比較 市部(10) 町村部(26) 全体(36) 就学援助率(%) 20.9 15.9 19.9 (2)準要保護について  ここからは、就学援助制度のうち「準要保護」に焦点をあててみていくこととする。  ①条例 ・ 規則等の制定  就学援助に関する条例については、前述のように「『なくそう!子どもの貧困』全国ネット ワーク」の調査でも 6.5%の自治体しか制定していなかったが、今回の調査において県内で制 定している自治体はゼロであった。また今後制定の予定があると回答した自治

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