ビーム輸送の基礎 ビーム光学と電磁石の基礎
1.
はじめに
前世紀の半ば前(1932年)にコック クロフトとウォルトンが静電型加速器で陽子 を初めて加速して原子核の人工的変換を行っ て以来、ヴァンデグラーフ静電加速器、サイ クロトロンが作られ、第二次世界大戦後には 線形加速器、シンクロトロンが発展してきた。
これら加速器は原子核、素粒子の研究に使用 されるばかりではなく、発生するガンマ線は 医療に用いられてきた。さらに加速器の発達 により加速された粒子線も治療に用いられる ようになり、専用の加速器も作られるように なってきた。
このように加速器に伴ってビーム光学が発展 し(ビーム光学の発展に伴って、加速器が発 展し「もちろん工学的な発展によっても」)、
また加速器の複雑化、粒子線の利用装置の複 雑化、精密化に伴って粒子線の精密かつ複雑 なビーム輸送に対する要望が強くなり、それ が技術の発展を促してきた。
ビーム輸送の要素(加速器の要素でもあ る。)である磁石について言えば、常伝導電磁 石、超伝導電磁石、永久磁石によるものなど、
磁場の強さや形など、要望によっていろいろ と発展してきた。
例えば、ビームの強収束原理の発見によって、
鉄を用いた
combined function型(複合機能 型)の偏向電磁石、収束用の四極電磁石、収 差補正用の六極電磁石等が作られるようにな った。また、強い磁石の必要性等から、これ らの超伝導磁石も作られ発展してきた。
また、永久磁石材(希土類永久磁石)の発達 によりこれらを起磁力にした二極、四極磁石 等も作られ実用に用いられている。
最近では計算機の驚くべき発展によって、
2次元、3次元の静磁場の磁場計算のみなら ず交流、トランジェントな磁場計算も苦労す
ることなくできるようになって、磁石の設計 が非常にしやすくなってきている。
この小論では、はじめにビーム光学の基礎方 程式の導出、要素である各種磁石の輸送マト リックスなどビーム輸送の基礎知識を述べ、
次に2次元の静磁場、3次元静磁場の記述、
鉄など強磁性体を用いた電磁石、それらの磁 場測定などについて述べる。
2.
磁 場 中 で の 荷 電 粒 子 の 運 動 方 程 式
2.1. 磁 場の 中の 荷 電粒 子の 運 動
荷電粒子を偏向、収束等ハンドリングする のに通常磁場を用いる。
ここでは磁場の中の荷電粒子の運動方程式を 一般性を持って、導出している
Brownの論 文
1)にそって述べる。
静磁場の中の荷電粒子の相対論的な運動方程 式は運動量の時間変化がローレンツ力に等し いので、次のベクトル方程式が成り立つ。
€
˙ P =e(
V ×
B ) (1)
ここで、
€
e
は荷電粒子の電荷、
€
V
は速度、
€
P
は
運動量の大きさである。
また、
€
T
は粒子の位置ベクトル、
€
T
は動いた
長さとする。
粒子の軌道の単位接線ベクトルは
€
d T dT
な
ので、粒子の速度、運動量は
€
(d
T dT)V
、
€
(d
T dT)P
と書ける。時間についての微分は、
€
τ
を時間として、
€
d dτ=(dT dτ)d dT =V(d dT)
なので、式
(1)は
€
V d dT
d T dTP
=eV d T dT ×
B
これを書き直すと、
€
Pd2 T dT2 + d
T dT
dP dT
=e d T dT ×
B
(2)
€
B
は磁束密度である。ところで単位ベクトル
の微分はその単位ベクトルに垂直であるから、
€
d2
T dT2
は
€
d
T dT
に垂直である。従って、
式
(2)は、
€
d2 T dT2 = e
P d
T dT×
B
(3)
と
€
dP
dT =0 (4)
と書ける。
これらは磁場の中の運動では、
€
P
は
constantof motion
であるし、静磁場による力は常に
速度に垂直であることを示している。
2
.2. Curvilinear座標系
図
2-1に示す右手系の
curvilinear座標系
€
(x,y,t)
をとる。粒子の中心軌道上の点
Oを 原点とする。中心軌道上の粒子の運動の方向 を座標
tの正の方向とする。
ここで、互いに垂直な単位ベクトル
€
( ˆ x , ˆ y , ˆ t )
を定義する。
€
t ˆ
は点
Aでの
tの正の方向を 向 い た 中 央 軌 道 の 接 線 と す る 。
€
x ˆ
は
symmetry plane
上にあり点
Aを通り
€
ˆ t
に 垂直、
€
y ˆ
は点
Aを通り
symmetry planeに垂直でこれらは右手系を作っている。即 ち
€
x =ˆ y ׈ ˆ t y =ˆ ˆ t ×x ˆ ˆ t =x ׈ y ˆ
の関係をみたしている。t の微分を
primeで表すとする。単位ベクトル
€
( ˆ x , ˆ y , ˆ t )
の
tに関 する微分は次のようになる。
€
ˆ ′ x =ht ˆ ˆ ′ y =0 ˆ ′ t =−hˆ x
(5)
ここで、h は
tの関数で
€
h(t)=1 ρ(t)
で
,€
ρ(t)
は粒子の中心軌道の曲率半径である。
2.3. Curvilinear
座標系での運動の方程
式
式
(3)を上記の
curvilinear座標系で表すこ
とにする。
€
d
T dT,d2
T dT2
を
tでの微分を用いて表す と
€
d T dT =(d
T dt) (dT dt) =
′ T T ′
€
d2 T dT2 = d
dT d
T dT
= 1 dT dt
d dt
′ T
′ T
= 1
′ T
d dt
′ T
′ T
となる。
これらから、
€
(T )′ 2d2 T dT2 =T ′ d
dt
′ T
′ T
=T ′
′ ′ T T ′ −
′ T T ′ ′
′ T 2
=
′ ′ T −
′ T T ′ ′
′ T =
′ ′ T −1
2
′ T
′ T 2
d dt
( )
T ′ 2
これを用いて、式(3)を書くと、
€
′ ′ T −1
2
′ T (T )′ 2
d
dt
( )
T ′ 2 =PeT (′ T ′ ×B ) (6)となる。
Curvilinear
座標系の線素は
€
d
T =x dxˆ +y dyˆ +(1+hx)ˆ t dt
€
(dT)2=d T ⋅d
T =dx2+dy2+(1+hx)2dt2
だから、これらを
tで微分した式から、
€
′
T =x ˆ x ′ +y ˆ y ′ +(1+hx)ˆ t
€
′
T 2 =x ′ 2+y ′ 2+(1+hx)2
€
d
dt
( )
T ′ 2=2x ′ x ′ ′ +2y ′ y ′ ′ +2(1+hx)(hx ′ +h x)′の関係が得られる。
また、
€
′ ′
T =x ˆ x ′ ′ +x ˆ ′ x ′ +y ˆ y ′ ′ + y ˆ ′ y ′ +(1+hx)ˆ t ′ +(hx ′ +h x)ˆ ′ t
に式
(5)を用いると、
€
′ ′
T =x ˆ
[
x ′ ′ −h(1+hx)]
+y ˆ y ′ ′ +t ˆ[
2hx ′ +h x′]
こ れ ら の 関 係 を 式
(6)に 代 入 す る と 、
curvilinear
座標系での運動方程式が得られ
る。
それは少し煩雑なので、
x,yとそれらの微分 の2次までとった、
€
x ˆ , ˆ y
成分の方程式は
€
′ ′
x −h(1+hx)− ′ x (hx ′ +h x)′ = e
PT ′ y ′
B t−(1+hx) B y
[ ]
′ ′
y −(hx ′ +h x)′ = e
PT ′ (1+hx) B x− ′ x
B t
[ ]
(7)
となる。
粒子の中心軌道では
x、y、x’、y’が0なので、
€
h(t)= e P0
B y(0,0,t)
の関係が得られる。ここで、
€
P0
は中心軌道の 粒子の運動量である。
2.4. Median plane
に対して対称性を持
つ磁場
median plane
に対して対称な静磁場をこ
の座標系で表すことを考える。
静磁場が
median plane対称性を持つとい
う こ と は 、 中 心 軌 道 を 含 む 平 面 に 対 し て
magnetic scalar potential€
ϕ
が座標
yの奇
関数
€
ϕ(x,y,t)=−ϕ(x,−y,t)
であることである。
従って、
€
B = gradϕ(x,y,t)注1)
であるから
€
Bx(x,y,t)=−Bx(x,−y,t) By(x,y,t)=By(x,−y,t) Bt(x,y,t)=−Bt(x,−y,t)
の関係がある。これから
median plane上で
は
€
Bx=Bt =0
で
€
By ≠0
である。
Scalar potential
が
yの奇関数であるので、
次のような展開系であらわす。
€
ϕ(x,y,t)=(A10+A11x+A12 x2
2! +A13 x3 3! +⋅⋅)y +(A30+A31x+A32 x2
2! +⋅ ⋅ ⋅)y3 3! +⋅ ⋅ ⋅
=
n=0
∞
∑
A2m+1,n xn!n (2my2m+1+1)!m=0
∞
∑
ここで係数
€
A2m+1,n
は
tの関数である。
Curvilinear
座標での線素
€
dT
は
€
dT2 =dx2+dy2+(1+hx)2(dt)2
であるから、
この座標系でのラプラス方程式は
€
∇2ϕ= 1 (1+hx)
∂
∂x (1+hx)∂ϕ
∂x
+∂2ϕ
∂y2 + 1 (1+hx)
∂
∂t 1 (1+hx)
∂ϕ
∂t
=0
になる。
これに
€
ϕ
の展開式を代入すれば、係数
Aの間 に次の関係がでる。
€
−A2m+3,n =A 2m+1,n′ ′ +nhA ′ 2m+1,n−1′
−nh ′ A 2m+1,n−1′ +A2m+1,n+2
+(3n+1)hA2m+1,n+1+n(3n−1)h2A2m+1,n +n(n−1)2h3A2m+1,n−1+3nhA2m+3,n−1 +3n(n−1)h2A2m+3,n−2
+n(n−1)(n−2)h3A2m+3,n−3
prime
は
€
d dt
を表す。
subscriptに
0がある 係数
Aの値は0であり、これらの係数は
€
t
の
関数で、係数
€
A1,n(t)
ですべて表される。
€
A1,n = ∂nBy
∂xn
x=0 y=0
なので、
midplane上の磁場
€
By(x,0,t)
で、す
べての磁場の係数が表されることになる。
磁場の各成分を書くと、
€
Bx= A2m+1,n+1 xn
n!
y2m+1 (2m+1)!
n=0
∞
∑
m=0
∞
∑
By= A2m+1,n xn
n!
y2m (2m)!
n=0
∞
∑
m=0
∞
∑
Bt = 1
(1+hx) A ′ 2m+1,n xn
n=0 n!
∞
∑
m=0
∞
∑
y2m+1
(2m+1)!
である。
粒子の運動の式を2次までとったように、
磁場の表現も2次までとることにする。
そうすると、スカラーポテンシャルは
€
ϕ(x,y,t)= A10+A11x+ 1
2!A12x2+⋅ ⋅ ⋅
y +(A30+A31x+⋅ ⋅ ⋅)y3
3!+⋅ ⋅ ⋅
€
A1n(t)= ∂nBy
∂xn
x=0 y=0
€
A30=−
[
A 10′ ′ +hA11+A12]
となる。
具体的に磁場の各成分を書くと、 次の様にな る。
€
Bx(x,y,t)=∂ϕ
∂x =A11y+A12xy+⋅ ⋅ ⋅
€
By(x,y,t)=∂ϕ
∂y =A10+A11x+ 1 2!A12x2 +1
2!A30y2+⋅ ⋅ ⋅
€
Bt(x,y,t)= 1 (1+hx)
∂ϕ
∂t
= 1
(1+hx)
[
A 10′ y+A 11′ xy+⋅ ⋅ ⋅]
midplane
上での
€
By
は
€
By(x,0,t)=A10+A11x+A12x2+⋅ ⋅ ⋅
=By
]
x=y=00+∂B∂xy x=0y=0
x+ 1 2!
∂2By
∂x2
x=0y=0
x2+⋅ ⋅ ⋅
と な る 。 第 一 項 が
dipole、 第 二 項 が
quadrupole
、第三項が
sextupole成分である。
ここで、次の
dimensionlessな量を導入して、
€
By(x,0,t)
を書けば、
€
n=− 1 hBy
∂By
∂x
x=0y=0
β= 1
2!h2By
∂2By
∂x2
x=0 y=0
γ = 1
3!h3By
∂3By
∂x3
x=0 y=0
€
By(x,0,t)=By(0,0,t)
×
[
1−nhx+βh2x2+γh3x3+⋅ ⋅ ⋅]
特に
nは
field indexと呼ばれる。
中心軌道は
€
By(0,0,t)=hP0 e
となり、各係数は
€
A10 =By(0,0,t)=h P0 e
A11=∂By
∂x x=0 y=0
=−nh2 P0 e
€
1
2!A12= 1 2!
∂2By
∂x2 x=0 y=0
=βh3 P0 e
€
A30=− ′
[
h ′ −nh3+2βh3]
Pe0
€
A 10′ =h ′ P0 e
′
A 11=−
[
2nhh ′ +n h′ 2]
Pe0
で表される。
また、2次まで展開した磁場の各成分は
€
Bx(x,y,t)= P0
e [−nh2y+2βh3xy+⋅ ⋅ ⋅] (8-1)
€
By(x,y,t)= P0
e [h−nh2x+βh3x2
−1
2(h ′ ′ −nh3+2βh3)y2+⋅ ⋅ ⋅]
(8-2)
€
Bt(x,y,t)= P0
e [h y′ −(n h′ 2+2nhh ′ +hh )xy′ +⋅ ⋅ ⋅]
(8-3)
となる。
2.5.
四極磁場、六極磁場
四極磁場は
€
By
が
xに、
€
Bx
が
yに比例する 磁場で、
€
Bx = B0
a y , By =B0 a x
と書ける。
€
B0
は四極磁石の磁極表面上での強 さで、そのアパーチャー半径が
aであるとす る。そうすると
€
∂By
∂x x=0 y=0
= B0
a =−nh2 P0 e
ここで、
€
k2q
なる量を定義すれば
€
kq2 =−nh2 =B0 a
e P0 =B0
a 1 Bρ
六極磁場の場合は、磁場は次のように表され る。
€
Bx=2B0xy
a2 , By = B0
a2(x2−y2)
六極磁場の係数は
€
1 2!
∂2By
∂x2 x=0 y=0
=B0
a2 =βh3 P0 e
となる。
€
ks2
なる量を次のように定義する。
€
ks2 =βh3= B0 a2
e P0
= B0 a2
1 Bρ
これらの量
€
kq2, ks2
は四極、六極磁場内の運 動方程式を記述するときに用いられる。
2.6.
2次の運動方程式の記述
2次の運動方程式(7)に磁場の展開式を代 入し、次の関係
€
′
T =(x ′ 2+y ′ 2+(1+hx)2)1 2 P0
P = P0
P0(1+δ)=1−δ+δ2+
を2次まで展開したものを代入する。そうす ると、2次の項までとった
x, yに対する微分 方程式が得られる。
€
′ ′
x +(1−n)h2x=hδ+(2n−1−β)h3x2 +h x′ x ′ +1
2hx2+(2−n)h2xδ +1
2 (h ′ ′ −nh3+2βh3)y2+h y′ y ′
−1
2hy ′ 2−hδ2
(9)
€
′ ′
y +nh2y=2(β −n)h3xy+h x′ y ′
− ′ h x y′ +hx ′ y ′ +nh2yδ (10)
1次の項に対する式は、
€
′ ′
x +(1−n)h2x=hδ
′ ′
y +nh2y=0 (11)
になる。式
(9)、(
10)に、
€
kq2=−nh2
を代入し
€
h→0, h ′ →0, h ′ ′ →0
とすることによっ て純四極磁場に対する2次の運動方程式
€
′ ′
x +kq2x=kq2xδ
′ ′
y −kq2y=−kq2yδ (12)
が得られる。
同様に、
€
ks2=βh3
を代入し
€
h→0, h ′ →0, h ′ ′ →0
の極限をとると2 次までの純六極磁場に対する次の式が得られ る。
€
′ ′
x +ks2(x2−y2)=0
′ ′
y −2ks2xy=0 (13)
式
(11)が偏向磁石に対する運動方程式で、
€
n≠0
の磁石を
combined function型を言う。
2.7.
粒子の軌道の展開
粒子の軌道の中心軌道からの変位を
€
x(t)
、
y(t)で表す。これらをつぎのようにテイラー
展開する。
€
x=
∑
(x|x0κy0λx ′ 0µy ′ 0νδχ)x0κy0λx ′ 0µy ′ 0νδχ y=∑
(y|x0κy0λx ′ 0µy ′ 0νδχ)x0κy0λx ′ 0µy ′ 0νδχここで、
€
x0,y0,x ′ 0,y ′ 0
は
€
t=0
での値である。
定数項は
0で
midplane対称性から
x, yの
coupling
の項も
0である。一次のテイラー係
数をつぎのように書く、
€
(x|x0)=cx(t), (x|x ′ 0)=sx(t), (x|δ)=d(t), (y|y0)=cy(t), (y|y ′ 0)=sy(t)
2次の項までとると、
xは
€
x=cxx0+sxx ′ 0+dδ
+(x|x02)x02+(x|x0x ′ 0)x0x ′ 0+(x|x0δ)x0δ +(x|x ′ 02)x ′ 02+(x|x ′ 0δ)x ′ 0δ+(x|δ2)δ2 +(x|y02)y02+(x|y0y ′ 0)y0y ′ 0+(x|y ′ 02)y ′ 02
同様に、
yは
€
y=cyy0+syy ′ 0
+(y|x0y0)x0y0+(y|x0y ′ 0)x0y ′ 0+ (y|x ′ 0y0)x ′ 0y0+(y|x ′ 0y ′ 0)x ′ 0y ′ 0 +(y|y0δ)y0δ+(y|y ′ 0δ)y ′ 0δ
とかける。
これらを式
(9),(10)に代入すると、1次、2次 の係数に対する式がでる。
€
′ ′
c x+kx2cx=0, c ′ y′ +ky2cy=0
′ ′
s x+kx2sx=0, s ′ y′ +ky2sy=0
′ ′
q x+kx2qx= fx, q ′ y′ +ky2qy = fy
(14)
ここで、
€
kx2=(1−n)h2, ky2 =nh2
で最後の式は一次
の
dispersion€
dx(t)
やドライビング項のある ものに対する式を表している。
これらの係数は
€
c(0)=1, c (0)′ =0 s(0)=0, s (0)′ =1 d(0)=0, d (0)′ =0 q(0)=0, q (0)′ =0
を満たす。
実際、多くの場合
h , nなどが一定値
(€
k2
が一 様
)をとるような要素の配置で輸送路が構成 される。即ち、一定の長さ、一定磁場の偏向 磁石、一定の強さ、長さの四極、六極磁石が ある間隔で置かれる。
こ の 場 合 、
c, sは こ の 区 間 内
sinusoidal function、
hyperbolic functionまたは単に
tの
linear functionなる。
粒子軌道が展開係数で表されるということは 軌道がマトリックスで表されると言うことで ある。
ここで、具体的に各磁場の成分(磁石)に対 する一次の粒子輸送のマトリックスを書く。
これらは式
(14)を各々の条件で解けば得られ る。
(1)
二極磁場のマトリックスは
€
Mx=
coskxL 1
kxsinkxL h
kx2(1−coskxL)
−kxsinkxL coskxL h kxsinkxL
0 0 1
€
My =
coskyL 1
kysinkyL 0
−kysinkyL coskyL 0
0 0 1
ここで、
€
kx2=(1−n)h2, ky2 =nh2
である。
(2)
四極磁場は
€
Mx,y =
coskqL 1
kqsinkqL 0
−kxsinkqL coskqL 0
0 0 1
€
My,x =
coshkqL 1
kqsinhkqL 0
−kqsinhkqL coshkqL 0
0 0 1
€
kq2 =−nh2 =B0 a
1 Bρ
になる。
(3) ドリフトスペースは
€
Mx,y =
1 L 0 0 1 0 0 0 1
である。いずれの場合も、
Lは要素の長さで ある。
(4)
エッジ効果
ここで、偏向磁石の磁極の端の磁場の効果に ついて考える。
中心軌道が磁極面に垂直に入射、または垂 直に出ていない時に、
x, y両方向に収束また は発散される効果がある。
x Beam
t x
pole face β1
ρ
図2−2 二極磁石のエッジ効果
入射の場合を考える。図
2-2に示すように 中心軌道と入射点での磁極端面の外側への法 線への角度を
β1とする(半時計回りを正とす
る)。
€
x
の所に入射した粒子は中心軌道の粒 子に対して、
€
Δθx =hxtanβ1
(1+hx) =hxtanβ1(1−hx+)
≈hxtanβ1
この角度分よけいに曲げられる。従って、
€
−Δθx
中心軌道の方にまげられることになり、
収束力を受けることになる。
t
x
pole face β1
ρ
beam B||
B⊥
B
pole
B0 t
積分路 B
図2−3 垂直方向のエッジ効果
€
y
方向に関しては、高さ
€
y>0
、角度
€
β1
で 入射した粒子は
€
Δθy=
B ⊥⋅d t
∫
nB0ρ =tanβ1
B ||⋅d t
∫
nB0ρ
の
y方向の角度の変化を受ける。
ところで、図
2-3の様な積分路をとれば、
€
B ||⋅d t −B0y
n
∫
=0となるので、
€
Δθy=htanβ1y
の発散力を受け
る。
両方向ともに入射の位置は変わらないので、
マトリックスは
€
Mx,y =
1 0 0
htanβ1 1 0
0 0 1
出口についても、同様でそのマトリックスは
€
Mx,y =
1 0 0
htanβ2 1 0
0 0 1
で与えられる。
(
€
β1, β2
の符号に注意。
€
β2
は時計回りが正 に定義されている。)
€
β1=β2=0
の二極磁石をセクター型とい う。
3.
磁石の基礎
前章では磁場の中の荷電粒子の運動の式を記 述したが、その中に、磁場成分を表すのに
dipole、
quadrupole、
sextupole field等が出 てくる。このような磁場を作るにはどのよう な形の磁石が必要なのか、どのくらいの起磁 力が必要かなど、強磁性体(鉄)を使った電 磁石について述べる。
3.1.
磁場の多重極展開
前章では運動方程式を記述するのに便利な ように、磁場を
curvilinear座標で展開した が、ここでは、磁場測定ためなど磁場の性質 を分かりやすくするために多重極展開による 表現を求める。磁場のスカラーポテンシャル を
€
ϕ
と し 、
€
z
軸 を
€
t ˆ
方 向 と す る 円 筒 座 標
€
(r,φ,z)
を用いる。そうすると、ラプラスの方 程式は
€
1 r
∂
∂r r∂ϕ
∂r
+ 1 r2
∂2ϕ
∂φ2 +∂2ϕ
∂z2 =0 (15)
になる。
まず、簡単のために
€
ϕ
の
z dependenceが
ないものとする。実際この仮定は漏れ磁場が 無視できる磁石の磁場を記述する。多くの磁 石の場合この仮定は通用する。
この場合、ラプラスの方程式は
€
∂2ϕ
∂r2 +1 r
∂ϕ
∂r + 1 r2
∂2ϕ
∂φ2 =0
この式の、
€
ϕ(r,φ)=R(r)Φ(φ)
の形の解は 、
€
n2
を定数とした
€
′ ′
Φ +n2Φ=0
′ ′ R +1
rR ′ −n2 r2 R=0
を解くことで得られる。
€
R(r)= anrn
n=0
∞
∑
の形で表される解を求めると、それは、
€
ϕ(r,φ)=
∑
cnrnsin(nφ+χn) (16)であり、
€
cn, χn
は定数である。
したがって、磁場の成分は、
€
Br=∂ϕ
∂r = n cnrn−1sin(nφ+χn)
n=0
∞
∑
Bφ =1 r
∂ϕ
∂φ = n cnrn−1cos(nφ+χn)
n=0
∞
∑
(17)
€
x,y
成分は
€
Bx By
= cosφ −sinφ sinφ cosφ
Br Bφ
で変換すれば求められ、
€
Bx= n cn
n=0
∞
∑
rn−1sin[(n−1)φ+χn]By= n cnrn−1cos[(n−1)φ+χn]
n=0
∞
∑
(18)
である。
次に一般に、磁気スカラーポテンシャルが
zにも
dependする場合は
2)
€
ϕ(r,φ,z)= Fn
n=0
∞
∑
(r,z)sin(nφ+xn)Fn = an,m(z)rm
m=0
∞
∑
として、式
(15)に代入すれば、
€
an,m(z)=0, m<n an,m(z)=− 1
m2−n2 d2
dz2
[
an,m(z)]
, m>n€
an,n(z)≡dn(z)
とすれば、
係数の間には次に関係が成り立ち、
€
an,n+2m(z)= (−1)mn!
4mm!(n+m)!
d2m
dz2m[dn(z)]
, m≥0
これらからポテンシャルは
€
ϕ(r,φ,z)= rnsin(nφ+χn)
n=1
∞
∑
× (−1)mn!r2m 4mm!(n+m)!
m=0
∞
∑
dzd2m2m[dn(z)]磁場の各成分は
€
B = gradϕ
より
€
Br = n rn−1sin(nφ+χn)
n=1
∞
∑
× (−1)m(n−1)!(n+2m)r2m 4mm!(n+m)!
m=0
∞
∑
× d2m
dz2m[dn(z)]
(19-1)
€
Bφ = n rn−1cos(nφ+χn)
n=1
∞
∑
× (−1)mn!r2m 4mm!(n+m)!
d2m
dz2m[dn(z)]
m=1
∞
∑
(19-2)
€
Bz = rnsin(nφ+χn)
n=1
∞
∑
× (−1)mn!r2m 4mm!(n+m)!
m=0
∞
∑
dzd2m+12m+1[dn(z)](19-3)
である。
ここで、
n=1が
dipole成分、
n=2が
quadrupole、
n=3
が
sextupole成分、 そのあと
n=4,5,6がそ
れぞれ、
octupole成分、
decapole、
dodecapole成分と言われる。
3.2.
磁石の複素ポテンシャルと磁極の形
いままでの章で各磁場の成分(多重極成分)
が粒子の運動にどのような寄与をするか、そ れらの成分がどのように表され、どのような 性質を持っているかを示してきた。この章で は各成分を発生させるにはどのような磁極の 形(磁極の断面)にすればよいのかを述べる ことにする。これは2次元で磁場を扱えばよ いので、複素数表示での取り扱いが便利であ る。ベクターポテンシャルを
€
A
、スカラーポ テンシャルを今までの様に
€
ϕ
とする。2次元
なので
€
A
は
z成分のみで、
€
Az ≡A
とする。
€
B = rot(A),
B =−div(ϕ)
から、
€
Bx=∂A
∂y =−∂ϕ
∂x By=−∂A
∂x =−∂ϕ
∂y
(20)
である。ここで、複素ポテンシャル
€
F(z)=A+iϕ, z=x+iy
を導入すれば、
式
(20)は、
Caucy-Riemanの正則の条件である
ので、
€
F(z)
は
zで微分可能である。
€
B ≡˜ Bx+iBy
と定義すれば
3)、
磁場は、
€
B ˜ *=idF(z)
dz (21)
と表される。
€
B ˆ (r,φ)≡Br+iBφ
を定義すれば
€
B =ˆ B ⋅˜ exp(−iφ) (22)
の回転で
€
Br, Bφ
成分に変換できる。
ここで、
€
F(z)
を原点の周りでテイラー展開を して、
€
F(z)= Cnzn
n=0
∞
∑
(22)で表すことができる。ここで、
€
Cn
は複素数で 多重極係数と言われる。
€
n=1