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都市環境負荷の長期予測シミュレータ開発と民生・産業部門CO2排出量予測 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)都市環境負荷の長期予測シミュレータ開発と民生・産業部門CO2排出量予測. 杉田 1.. 匡英. が悪化し、移住の魅力は下がり人口は減少に転じる。こ. はじめに 2008 年の洞爺湖サミットにおいて、世界全体の温室効果. のように、都市を多様な変数で構成される一つのシステ. ガス排出量を 2050 年までに 50%削減することが合意され、. ムとしてモデル化することで、都市の複雑な社会動態を. ポスト議定書に向けた都市・建築の取り組みが一層強化さ. 再現できる。そこで、本研究ではシステムの動的変化や. れることになった。一方で、日本では様々な低炭素技術が. 変数間の因果関係を容易に扱うことができるシステムダ. 開発されてきたが、エネルギー消費量は増加し続けており、. イナミクス手法によりモデル化を行う。システムダイナ. 今後は持続的な都市・建築を構築していく必要がある。そ. ミクス手法とは、時間の経過とともに変動する動作シス. こで、本研究では都市・建築の持続化に向けた施策立案を. テムの内部構造をモデル化する手法である。. 支援する方法論の構築を目指し、都市・建築を複雑な社会. システムダイナミクス手法を用いた都市システムモデ. 動態が包含された非線形の強い都市システムと捉え、シス. ルは、都市システムを表現する多様な変数及び変数間の因. テムダイナミクス手法によりその環境負荷を長期的に予. 果関係により構成される。変数間の因果関係は構造方程式. 測することによって要素技術や社会制度の普及に応じた. によって表されるが、この構造方程式を魅力乗数により推. 環境負荷削減可能量を明らかにすることを目的とする。本. 定する。魅力乗数とは、都市の住環境や職の魅力を数値化. 論では、都市環境負荷の長期予測シミュレータの開発方法. した指標であり、専門家の知見やアンケート調査に基づき、. を示すとともに、都市システムの構成要素である個別セク. ロジスティック関数などのグラフ関数に当てはめてその. タのモデル化を行い、実績値との比較によりモデル精度の 2. 検証を行った。また、個別セクタのモデルを統合し、民生・. 1.75 1.5. 2.. 魅力乗数値[-]. 産業部門における 2050 年までのCO2排出量予測を行った。 シミュレータの開発方法 都市システムにおける変数間の因果関係の概念図を図 1. 1 基準年を1とする. 0.75 0.5. に示す。人口という一つの変数を考えたとき、転入数は. 0.25 0. 移住の魅力により変化する。医療水準が高いなど居住環. 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 所得水準伸び率[-]. 境が良ければ、移住の魅力は上がり人口は増加する。し. 図 1 都市システムにおける 変数間の因果関係の概念図. かし、人口が増加すると、人口密度も増加して居住環境. 図3. 1.25. シミュレータの全体フロー図. 34-1. 図2. 所得水準による転入率 への魅力乗数.

(2) 大きさを定義する。例えば、図 2 は所得水準による転入率. 従業者セクタは、産業構造変化を表現するために、人口. への魅力乗数を示すが、これは、所得水準伸び率が 1.5 倍. に総従業者率を乗じて総従業者数を算出し、これに産業別. になれば、転入率が約 1.75 倍になるという意味である。. 従業者比率を乗じて産業別従業者数を算出するモデルと. 元来、都市システムには膨大な変数が介在するが、環. した。産業分類は第 1 次産業、第 2 次産業、第 3 次産業の. 境負荷に動的な変化をもたらす主な変数群を規定できれ. 3 分類とした。総従業者率への影響には、生産人口の増加. ば良い。また、関係性の強い変数群をセクタという概念. により従業者率が増加するとした生産人口比率による魅. でグループ化し、セクタのモデルを統合することにより. 表1. シミュレータを開発する。現在、都市システムを図 3 に. 影響因子 第3次産業従業者比率 0∼6歳一人あたり保育園延床面積 大学進学率 若年単独世帯比率 一人あたり医療業延床面積 死亡率 一人あたり市民所得 人口 住宅地価 セクタ 第3次産業従業者比率 一人あたりその他サービス業延床面積 移動率 一人あたり医療業延床面積 一人あたり市民所得 若年単独世帯比率 人口密度 大学進学率 世帯 一人あたり医療業延床面積 世帯主率 セクタ 一人あたり市民所得 第3次産業従業者比率 生産人口比率 GDP成長率 総従業者率 従業者 0∼6歳一人あたり保育園延床面積 セクタ 大学進学率 産業別 大学進学率 従業者比率 民生事業所密度 戸建住宅居住率 住宅地価 着工率 一人あたり市民所得 戸建住宅 住宅密度 戸建住宅居住率 解体率 民生 一人あたり市民所得 住宅 家庭 共同住宅居住率 セクタ 部門 住宅地価 着工率 GDP成長率 共同住宅 住宅密度 共同住宅居住率 解体率 GDP成長率 住宅地価 人口密度 事務所セクタ・ 商業地価 着工率 卸小売業セクタ・ GDP成長率 飲食業セクタ・ 民生事業所密度 その他サービス業 商業地価 セクタのその他施設 解体率 GDP成長率 宿泊客一人あたり宿泊業延床面積 着工率 商業地価 GDP成長率 宿泊業 宿泊客一人あたり宿泊業延床面積 セクタ 解体率 商業地価 GDP成長率 宿泊客 民生事業所密度 人口増加率 商業地価 着工率 医療業 GDP成長率 セクタ 医療業密度 民生 商業地価 解体率 業務 GDP成長率 部門 3∼18歳一人あたり初等・中等教育施設延床面積 着工率 初等・中等 商業地価 教育施設 3∼18歳一人あたり初等・中等教育施設延床面積 解体率 商業地価 大学進学率 教育施設 着工率 商業地価 セクタ 民生事業所密度 高等 大学進学率 教育施設 解体率 商業地価 大学 一人あたり市民所得 進学率 民生事業所密度 0∼6歳一人あたり保育園延床面積 着工率 第3次産業従業者比率 その他 商業地価 サービス 保育園 0∼6歳一人あたり保育園延床面積 業セクタ 解体率 第3次産業従業者比率 商業地価 道路密度 生産人口密度 着工率 GDP成長率 産業 製造業 製造品出荷額 部門 セクタ GDP成長率 解体率 製造品出荷額 労働生産性 GDP. 示す 16 セクタのモデルにより表現することにしている。. 出生率. 本論では、福岡市を対象として旅客交通、貨物交通、 土地、財政を除く 12 セクタのモデル化を行った。なお、 個別セクタのモデル化にあたっては、モデル化が完了し ていない他のセクタからの変数に過去の実績値を与えた。 各セクタの主要変数への影響因子を表 1 に示す。各セク タのモデルの計算フローは図 3 を参照されたい。 人口セクタは、人口構造変化を表現するために、5 歳階 級別に人口が出生数、死亡数、移動数(転出入数)により 変化するモデルとした。出生率への影響には、女性の社会 進出により出生率が減少するとした第 3 次産業従業者比 率による魅力乗数を設定した1)。死亡率への影響には、医 療水準の向上により死亡率が減少するとした一人あたり 医療業延床面積による魅力乗数を設定した2)。移動率への 影響には、住居費の上昇により移動率が減少するとした住 宅地価による魅力乗数を設定した3)。20∼24 歳の出生率、 65∼69 歳の死亡率、20∼24 歳の移動率への魅力乗数の一 例を図 4∼図 6 に示す。 世帯セクタは、世帯構造変化を表現するために、世帯 類型別に人口に世帯主率を乗じて世帯数を算出するモデ ルとした。世帯類型は若年単独、高齢単独、若年夫婦、 高齢夫婦、その他の 5 類型とした。若年単独世帯主率へ の影響には、進学に伴う離家により世帯主率が増加する とした大学進学率による魅力乗数を設定した4)。若年単独 世帯主率への魅力乗数の一例を図 7 に示す。. 0.6 0.4. 0.5. 0 0. 0.5. 1. 1 .5. 図4. 0. 1. 1.5. 2. 2.5. 0. 3. 0.6. 0.2. 0.2. 1.2. 大学進学率伸び率[-]. 図7. 1.4. 2. 2.5. 3. 0. 図5. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 3. 1. 0.4. 0 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 3. 一人あたり医療業延床面積伸び率[-]. 若年単独世帯主率への魅力乗数. 0.9. 0.95. 1. 1.05. 生産人口比率伸び率[-]. 図8. 2. 0.98 0.97 0.96. 5. 6. 7. 1.06 1.04 1.02. 0.98 1. 総従業者率への魅力乗数. 1.1. 1.2. 1.06 1.04 1.02 1 0.98. 0.96 0.95. 1. 20∼24 歳の移動率への魅力乗数 1.1. 0.94. 0.9. 第 3 次産業従業者比率伸び率[-]. 1.08. 1. 0.9. 0.8. 1.08. 0.8. GDP 成長率伸び率[-]. 34-2. 4. 1.1. 0.95. 0.93 0.85. 3. 図6. 1.01. 0.6. 1. 住宅地価伸び率[-]. 65∼69 歳の死亡率への魅力乗数. 0.8. 0. 0. 一人あたり市民所得伸び率[-]. 0.2. 0. 1. 1.5. 0.99. 1. 0.4. 1. 1. 0.8. 0.4. 0.5. 一人あたり医療業延床面積伸び率[-]. 1.2. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値 [-]. 0.5. 1. 0.5. 0. 1.2. 0.8. 0.4 0.2. 1.4. 0.6. 0.4. 0. 1.2. 0. 0.6. 0.6. 0.2. 1.4. 0.6. 0.4. 2. 0.8. 0. 1.6. 1. 0.6. 単位 相関 [-] [−] [㎡/人] [+] [-] [−] [-] [−] [㎡/人] [−] [百万円/人] [−] [円/㎡] [−] [-] [+] [㎡/人] [+] [㎡/人] [+] [百万円/人] [+] [-] [−] [人/k㎡] [−] [-] [−] [㎡/人] [−] [百万円/人] [−] [-] [−] [-] [+] [-] [+] [㎡/人] [+] [-] [+] [-] [+] [㎡/k㎡] [+] [-] [+] [円/㎡] [−] [百万円/人] [+] [戸/k㎡] [−] [-] [−] [百万円/人] [−] [-] [+] [円/㎡] [+] [-] [+] [戸/k㎡] [−] [-] [−] [-] [+] [円/㎡] [+] [人/k㎡] [+] [円/㎡] [+] [-] [+] [㎡/k㎡] [+]、[−] [円/㎡] [+] [-] [+] [k㎡/人] [−] [円/㎡] [+] [-] [+] [k㎡/人] [+] [円/㎡] [+] [-] [+] [㎡/k㎡] [+] [-] [+] [円/㎡] [+] [-] [+] [㎡/k㎡] [−] [円/㎡] [+] [-] [+] [㎡/人] [−] [円/㎡] [+] [㎡/人] [+] [円/㎡] [+] [-] [+] [円/㎡] [+] [㎡/k㎡] [−] [-] [−] [円/㎡] [+] [百万円/人] [+] [㎡/k㎡] [+] [㎡/人] [−] [-] [+] [円/㎡] [+] [㎡/人] [+] [-] [−] [円/㎡] [+] [㎡/k㎡] [+] [人/k㎡] [+] [-] [+] [百万円] [+] [-] [+] [百万円] [+] [百万円] [+]. 1.5. 1 0.8. 0.2. 20∼24 歳の出生率への魅力乗数. 0.8. 1 0.8. 0. 0∼6 歳一人あたり保育園延床面積伸び率[-]. 1.6. 1. 0.2. 2. 第 3 次産業従業者比率伸び率[-]. 1.2. 1.2. 魅力乗数値[-]. 0.8. 1.4. 1.2. 魅力乗数値[-]. 1. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 1.5. 1.4. 魅力乗数値[-]. 1. 魅力乗数値[-]. 1.2. 魅力乗数値[-]. 個別セクタのモデル化. 2. 主要変数. 魅力乗数値[-]. 3.. 各セクタの主要変数への影響因子. セクタ分類. 0.9. 1. 1.1. 1.2. 1.3. 大学進学率伸び率[-]. 図9. 1.4. 1. 1.5. 2. 2.5. 3. 民生事業所密度伸び率[-]. 第 3 次産業従業者比率への魅力乗数.

(3) 1. 0.8. 0.8. 1.6. 0.8 0.6 0.4. 1.5. 2. 0. 2.5. 1. 2. 3. 一人あたり市民所得伸び率[-]. 図 10. 4. 5. 6. 7. 8. 0 0.85. 9 10. 0.4. 8. 1 0.8 0.6. 0.9. 0.95. 1. 1.05. 1.1. 1. 1.5. 2. 4. 1.5. 2. 2.5. 3. 3.5. 0.9. 4. 戸建住宅解体率への魅力乗数. 図 12. 1.25. 1.25. 1.2. 1.2. 1.2. 1. 1.15. 1.15. 0.8. 1.05. 1.1 1.05. 0.9. 0.95. 1. 0. 1.05. 5. GDP 成長率伸び率[-]. 図 13. 10. 15. 年少人口(実績値) 年少人口(計算値). 1.5. 1.4. 0.4. 生産人口(実績値) 生産人口(計算値). 0.2. 2. 2.5. 1. 1.1. 道路密度伸び率[-]. 商業地価伸び率[-]. 事務所解体率への魅力乗数. 図 14. 160. 70. 140. 60. 1.2. 1.3. 1.4. 1 0.8 0.6. 0.2. 0 0.84. 1.5. 0 0.88. 生産人口密度伸び率[-]. 高齢単独世帯数(実績値) その他世帯数(実績値) 若年夫婦世帯数(計算値). 0.92. 0.96. 1. 1.04. 1. GDP 成長率伸び率[-]. 製造業着工率への魅力乗数. 若年単独世帯数(実績値) 高齢夫婦世帯数(実績値) 高齢単独世帯数(計算値) その他世帯数(計算値). 老年人口(実績値) 老年人口(計算値). 1. 1.6. 0.6. 0.95. 1. 20. 0.98. 0.4 1. 0.95. 1. 0 0.85. 0.96. 1.2. 1.1. 1. 2. 0.94. 事務所着工率への魅力乗数. 3. 0.5. 0.92. GDP 成長率伸び率[-]. 民生事業所密度伸び率[-]. 魅力乗数値[-]. 5. 0.4. 0. 1. 2.5. 一人あたり市民所得伸び率[-]. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 1. 6. 0.6. 0.2. 0. 7. 1.5. 0.8. 0.2. 0. 図 11. 9. 1.2. 0.4. 戸建住宅居住率伸び率[-]. 戸建住宅着工率への魅力乗数. 2. 0.6. 0.2. 住宅地価伸び率[-]. 2.5. 魅力乗数値[-]. 0.4 0.2. 0 1. 0.6. 1. 1.4 魅力乗数値 [-]. 1. 0.2 0. 1.2. 1.8. 魅力乗数値[-]. 0.5. 1.2. 1. 魅力乗数値[-]. 1. 1.2. 1.2. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 魅力乗数値[-]. 1.5. 1.4. 魅力乗数値[-]. 2. 図 15. 若年夫婦世帯数(実績値) 若年単独世帯数(計算値) 高齢夫婦世帯数(計算値). 1.5. 2. 2.5. 製造品出荷額伸び率[-]. 製造業解体率への魅力乗数. 第1次産業従業者数(実績値) 第3次産業従業者数(実績値) 第2次産業従業者数(計算値). 第2次産業従業者数(実績値) 第1次産業従業者数(計算値) 第3次産業従業者数(計算値). 100 90 80. 50. 100 80 60. 70. 従業者数[万人]. 世帯数[万世帯]. 人口[万人]. 120. 40 30. 50 40 30. 20. 40. 60. 20. 20. 10. 0. 0. 1975年. 1980年. 図 16. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 人口の比較(福岡市). 2005年. 10 0 1975年. 1980年. 図 17. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 2005年. 1975年. 世帯数の比較(福岡市). 1980年. 図 18. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 2005年. 従業者数の比較(福岡市). 力乗数を設定した5)。第 3 次産業従業者比率への影響には、. した。事務所着工率への影響には、産業の集積により着. 高学歴化により従業者比率が増加するとした大学進学率. 工率が増加するが、集積し過ぎると着工率が減少すると. 5). による魅力乗数を設定した 。総従業者率、第 3 次産業従. した民生事業所密度による魅力乗数を設定した7)。事務所. 業者比率への魅力乗数の一例を図 8、図 9 に示す。. 解体率への影響には、景気水準の向上に伴う建て替えの. 民生家庭部門の住宅セクタは、世帯構造変化による建. 増加により解体率が増加するとしたGDP成長率による魅. て方別着工傾向を表現するために、戸建住宅と共同住宅. 力乗数を設定した7)。事務所着工率、事務所解体率への魅. に分類し、総数が着工戸数と解体戸数により変化するモ. 力乗数の一例を図 12、図 13 に示す。. デルとした。戸建住宅着工率への影響には、所得水準の. 産業部門の製造業セクタは、延床面積が着工床面積と. 向上により着工率が増加するとした一人あたり市民所得. 解体床面積により変化するモデルとした。製造業着工率. 6). による魅力乗数を設定した 。戸建住宅解体率への影響に. への影響には、自動車交通網の整備水準の向上により着. は、総数に対する居住世帯数の増加により解体率が減少. 工率が増加するとした道路密度による魅力乗数を設定し. 6). するとした戸建住宅居住率による魅力乗数を設定した 。. た7)。製造業解体率への影響には、景気水準の向上に伴う. 戸建住宅着工率、戸建住宅解体率への魅力乗数の一例を. 建て替えの増加により解体率が増加するとしたGDP成長. 図 10、図 11 に示す。. 率による魅力乗数を設定した7)。製造業着工率、製造業解. 民生業務部門の個別セクタは、用途別のエネルギー消. 体率への魅力乗数の一例を図 14、図 15 に示す。. 費傾向を表現するために、事務所、卸小売業、飲食業、. 4.. モデル精度の検証 福岡市における 1975〰2005 年の実績値8), 9)を用いてモ. 宿泊業、医療業、教育施設、その他サービス業に分類し、 延床面積が着工床面積と解体床面積により変化するモデ. デル精度の検証を行った。. ルとした。このうち、教育施設は、入学形態による着工. 人口、世帯数、従業者数の比較を図 16∼図 18 に示す。. 傾向を表現するために、初等・中等教育施設と高等教育. 人口は、年少人口、生産人口、老年人口ともに実績値の. 施設に分類した。また、その他サービス業は、出生率へ. 推移を捉えている。世帯数は、若年単独世帯数、高齢単. の影響に 0〰6 歳一人あたり保育園延床面積による魅力乗. 独世帯数、若年夫婦世帯数、高齢夫婦世帯数、その他世. 数を設定したため、保育園とその他施設に分類した。な. 帯数ともに実績値の推移を捉えている。従業者数は、第 3. お、事務所セクタ、卸小売業セクタ、飲食業セクタ、そ. 次産業従業者数が若干実績値と乖離があるものの、概ね. の他サービス業セクタのその他施設は同じモデル構造と. 増減の傾向は反映されている。. 34-3.

(4) 戸建住宅(実績値). 80 70. 共同住宅(実績値). 戸建住宅(計算値). 共同住宅(計算値). 30. 12. 25. 10. 20. 8. 50 40 30. 解体戸数[千戸]. 着工戸数[千戸]. 総数[ 万戸]. 60. 15. 10. 6. 4. 20 2. 5. 10 0. 0. 0 1975年. 1980年. 1985年. 図 19. 1990年. 1995年. 2000年. 2005年. 1975年. 総数の比較(福岡市). 事務所(実績値) 事務所(計算値). 卸小売業(実績値) 卸小売業(計算値). 1980年. 図 20 250. 20. 200. 1990年. 1995年. 1975年. 2000年. 着工戸数の比較(福岡市). 飲食業(実績値) 飲食業(計算値). 25. 1985年. 宿泊業(実績値) 宿泊業(計算値). 1980年. 図 21. 医療業(実績値) 医療業(計算値). 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 解体戸数の比較(福岡市). 教育施設(実績値) 教育施設悦(計算値). その他サービス業(実績値) その他サービス業(計算値). 製造業(実績値) 製造業(計算値). 140 120. 2. 解体床面積[万m ]. 2. 着工床面積[万m ]. 2. 延床面積[百万m ]. 100 15. 10. 150. 100. 80 60 40. 5. 50. 0. 0. 20. 1975年. 1980年. 図 22. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 2005年. 延床面積の比較(福岡市). 0 1975年. 1980年. 図 23. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 着工床面積の比較(福岡市) 部門分類. に示す。総数は、実績値の推移を捉えている。着工戸数. 民生 民生家庭部門 部門 民生業務部門 製造業部門 産業 部門 建設業部門. は、1990 年頃のピークを捉えていないものの、平均値は 捉えている。解体戸数は、時間的な遅れが生じているが、. 1985年. 1990年. 1995年. 2000年. 解体床面積の比較(福岡市). 民生業務部門(実績値) 民生業務部門(計算値). 活動量 建て方別世帯類型別世帯数 用途別延床面積 製造品出荷額 建て方別着工戸数、用途別着工床面積、製造業着工床面積 建て方別世帯数、用途別延床面積、製造業延床面積 建て方別解体戸数、用途別解体床面積、製造業解体床面積. 製造業部門(実績値) 製造業部門(計算値). 建設業部門(実績値) 建設業部門(計算値). 700. 民生業務部門と製造業の延床面積、着工床面積、解体. 600. CO2 排出量[ 万t-CO2 ]. 床面積の比較を図 22∼24 に示す。延床面積は、実績値の 推移を捉えている。着工床面積は、1980∼1985 年の乖離 が大きいものの、増減の傾向は反映されている。解体床 面積は、全体的に少なく算出されているが、1991 年のピ. 500 400 300 200 100. ークは捉えている。 5.. 図 24. 算出対象 住宅の運用に伴うCO2排出量 民生業務建築の運用に伴うCO2排出量 工場の運用に伴うCO2排出量 建築物の着工に伴うCO2排出量 建築物の修繕に伴うCO2排出量 建築物の解体に伴うCO2排出量. 民生家庭部門(実績値) 民生家庭部門(計算値). 増減の傾向は反映されている。. 1980年. CO2排出量の算出対象と算出に用いる活動量. 表2. 住宅の総数、着工戸数、解体戸数の比較を図 19∼図 21. 1975年. 0 1975年. 1990年. 図 25. 民生・産業部門CO2排出量予測. 2005年. 2020年. 2035年. 2050年. 民生・産業部門のCO2排出量予測結果(福岡市). ため、何らかの環境負荷削減対策を講じていく必要がある。. 個別セクタのモデルを統合し、福岡市における 2050 年 までの民生・産業部門CO2排出量予測を行なった。本研究. 今後は、その他のセクタのモデル化を行い、シミュレータ. におけるCO2 排出量の算出対象と算出に用いる活動量を. の開発を進め、シミュレータを用いた様々な環境負荷削減 対策の有効性を検証することにつなげる。. 表 2 に示す。CO2排出量は各セクタで算出された活動量に CO2排出原単位. 8), 9). を乗じて算出する。民生・産業部門の. CO2排出量予測結果を図 25 に示す。建築物の着工や解体、 製造品出荷額の減少により建設業部門と製造業部門の CO2排出量は減少する。しかし、住宅総数や用途別延床面 積の増加により民生家庭部門と民生業務部門のCO2 排出 量が増加するため、民生・産業部門全体のCO2 排出量は 2020 年まで増加し、その後ほぼ一定に推移する。 6.. おわりに. 本報では、都市環境負荷の長期予測シミュレータの開発 方法を示し、シミュレータの構成要素である個別セクタの モデル化及び精度検証を行った。また、作成したモデルを 統合し、2050 年までの民生・産業部門CO2排出量予測を行 った。民生・産業部門全体のCO2排出量は増加傾向である. 34-4. 【謝辞】 本研究は,平成 21 年度文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)「ハビタットシ ステムの未来シナリオと環境負荷削減可能量に関する研究」(課題番号:21360277, 研究代表者:赤司泰義(九州大学))により 実施したものである.関係各位に謝意を 表します. 【参考文献】 1) 米谷信行:我が国の出生率低下の要因分析,都道府県データに基づくクロスセク ション分析,大蔵省財政金融研究所「フィナンシャル・レビュー」 ,第 34 号,pp.1-23, 1995. 2 2) 堀内四郎:死亡パターンの歴史的変遷,人口問題研究,第 57 巻,第 4 号,pp.3-30, 2001.12 3) 東京都統計部:特集「東京都における人口移動に影響を与えた要因の移り変わり」, pp.1-18,2002. 12 4) 田淵六郎:老親・成人子同居の規定要因,子どもの性別構成を中心に,人口問題 研究,第 54 巻,第 3 号,pp.3-19,1998. 9 5) (独)労働政策研究・研修機構:労働力需給推計,労働力需給モデル(2007 年版) による将来推計,JILPT 資料シリーズ,No.34,pp.1-54,2008. 3 6) 堤洋樹,他:居住者の改善行為から見た戸建住宅の建て替え要因に関する研究, 日本建築学会計画系論文集,第 556 号,pp.289-295,2002. 6 7) 黒瀬誠,他:産業別の開業率に対する地域要因の影響,47 都道府県データによる 製造業とサービス業との比較分析,地域経済研究,第 18 号,pp.19-33,2007. 3 8) 山本高広,他:都市環境負荷の長期予測シミュレータ開発と民生部門CO2排出量 予測,その 1 福岡市における 1975∼2004 年までの民生部門のCO2排出量の推計, 日本建築学会九州支部報告,第 49 号,2010. 3(予定) 9) 武田裕之,他:都市環境負荷の長期予測シミュレータ開発と民生部門CO2排出量 予測,その 2 福岡市における 1975∼2004 年までの運輸部門と産業部門のCO2排 出量の推計,日本建築学会九州支部報告,第 49 号,2010. 3(予定).

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