ジ メチ ル ス ル ポ キ シ ドの 有 機 反 応 に お け る
溶 媒お よ び 試 薬 と して の 応 用(そ の1)
佐
藤
武
雄*
Dimethyl Sulf oxide,a
Versatile Reaction Medium and
Reactant
in Organic Reactions.(Part
1)
Takeo SATO* I.ジ メ チ ル ス ル ポ キ シ ド 1.ジ メ チ ル ス ルホ キ シ ドの性 質 ジ メチ ル ス ル ポ キ シ ド,以 下DMSOと 略 称,は 最近 有機 化 学反 応 の各 分 野 で 急速 に応 用 範 囲 を広 げつ つ あ る興 味 あ る反 応 溶 媒 で あ り反 応 試 薬 で あ る。 この 方 面 で の 最 近 の進 歩 に つ い て 紹介 す る前 に,ま つDMSO自 身 につい て簡 単 に の べ て お く。DMSOは 極 性 の大 きい 吸 湿 性 の 無色 の液 体 で あ り,水 とは 自由 に混 和 す る。 沸 点 は189℃ で あ る が長 時 間加 熱 す る と少 量 の分 解 を伴 う。 有機 合 成 化 学 へ の応 用 の第1と してDMSOが 極 めて す ぐれ た溶 媒 で あ る と い う こ とが あ げ られ る。 ほ とん どの芳 香 族 化 合 物,ア セ チ レ ンを含 む不 飽 和 化 合 物,窒 素 お よび イ オ ウ化 合 物 を き わ め て容 易 に溶 か す の み で な く多 くの 無 機 塩,高 分 子,樹 脂 のす ぐれ た 溶 媒 で あ る。 溶 解度 の デ ー タ につ い て は テ ク ニ カル ブ レテ ィン1)を 参 照 さ れ たい 。 第2に DMSOの 誘 電 率 は 活 性 水 素 を もた ない 溶 媒 中 で は最 高 表1DMSOの 物理化 学的性 質 の も の で あ って 溶 質 はDMSO中 で は容 易 に イオ ン化 し て反 応 に関 与 で き る。 ま た そ の 求核 的性 質 の た め にDM SOは カ チ オ ン とは溶 媒 和す る が水 素 結 合 に与 る活 性水 素 を も た ない の で アニ オ ンに は 溶 媒 和 が少 な い 。 こ れ ら の原 因 で各 種 の 反 応 に 溶 媒 と して た とえ ば ア ル コー ル類 に代 えてDMSOを 用 い る こ とに よ って 好結 果 が 得 ら れ る こ とと な る。 特 に 塩 基 触 媒反 応 の溶 媒 と して き わ め て 広 く用い られ てい る。 第3にDMSO自 身 反 応 に関 与 して 多 数 の イ オ ウ を含 む グル ー プ た とえ ばCH,SCH2-, CH3SOCH2-,CH3S-,(CH3)2S-S- ,(CH3)2+i-S(=O)-, (CH3)2SO-等 と して導 入 され得 る。 本 総 説 は第2,第3 の 応 用,す な わ ち 有機 化 学 反 応 を促 進 す る溶 媒 お よび 各 種 新反 応 を 行 う反 応 試 薬 として のDMSOに つい て の べ る2)。 2.DIVISOの 構 造3∼5)イ オ ウ の価 電 子 は3s23P4 で あ るが 硫 化 メチ ル(1)で は3sお よび3p軌 道 に非 共 有 電 子 対 を も ってい る。酸 化 されてDMSOに な った さい の イ オ ウの ま わ りの電 子 状 態 は古 くか ら半 極 性 結 合 型 の (2)と 共 有 結 合型 の(3)が 考 え られ た。 化 学 的 に イ オ ウ -酸 素 結 合 は(3)で 期 待 され る付 加 反 応 を行 わ ず,パ ラ コー ル の測 定 か ら も(2)の 構 造 が正 しい と考 え られ る。 DMSOは 安 定 な ピ ラ ミッ ド構 造 を 持 って お り,そ の ジ メ ンシ ョンは(4)の 如 くで あ る6)。非共 有 電 子 対 と して 存 在 す る3s電 子 は と な りのp-軌 道 と結 合 す る能 力 は な く,イ オ ウ上 の プ ラス の電 荷 は とな りの 炭 素 が カル ボ ニ ウム イ オ ン とな るの を不 利 にす る。 事実 イ オ ウか ら電 子 が放 出 され る型 の共 役 は ス ル ホ キ シ ド類 に は 知 られ て い *東 京 都 立 大 学 理 学 部 化 学 教 室(東 京 都世 田谷 区 深 沢 町1-950)
* Tokyo Metropolitan
University
, the Faculty of
Science
(1-950,
Fukazawa-cho,
Meguro-ku ,
Tokyo)
ジメチルスルポキシ ドの有機反応 におけ る溶媒お よび試薬 としての応用(そ の1) 769 な い 。 ま た とな りに ラジ カル が で き た時 の 電 子 共 有 型 の 共 役 も スル フ ィ ドよ り弱 い 。 し か し と な りの カル バ ニ オ ン は きわ めて 安 定 化 され る こ とに な る 。DMSOア ニ オ ン につ い て は後 で くわ し く述 べ る こ とに す る。 そ の他 DMSOの 性 質 に つい て は つ ぎ の よ うな物 理 化 学 的 測 定 が あ るが 文 献 をあ げ るに と どめ る。誘 電 率 と水 素 結 合7), 紫 外部 吸 収8),ラ マ ンス ペ ク トル9)10)双極 子 モ ー メ ン ト 11,12)等に つ い て 報 告 され て い る 。 3.DMSOの 熱 に対 す る安 定 性DMSOは 酸 が 存 在 す る と加 熱 に よ って い ち じ る し く分 解 しや す くな る 性 質 が あ る 。Nace,Monagle13)は ハ ロゲ ン化合 物 とDM SOの 反 応 で 硫 化 メ チ ル,メ チル メル カ プ タ ン,メ チル ジ ス ル フ ィ ドの生 成 を み とめ,さ らに反 応 で で き る酸 を の ぞ か な い と大 量 の ホ ル ム ア ルデ ヒ ドが で き る こ と を見 」出 した 。 スル ホ キ シ ドの酸 に よ る分 解 はKenny14)ら に よ って も くわ し く調 べ ら れ てい る。Traynelisら15)は DMSO自 身 を72hr,190℃ に加 熱 して3.7%の 低 沸 点 物 質 を得,そ の組 成 はパ ラホ ル ム ア ル デ ヒ ド(1.9%), 硫 化 メ チ ル,メ チル ジ ス ル フ ィ ド,ビ ス メチ ル チ オ メ タ ン と水 で あ る こ と を報 告 した 。DMSOの 蒸 留 残 留 物 に ジ メ チ ル スル ホ ンが 存 在 す る こ と もわ か った 。 す なわ ち 一つ ぎ の よ うな反 応 が 起 って い る と考 え られ る。 こ の 分 解過 程 は 次節 で のべ るDMSOの 光 に対 す る挙 動 と比較 す る と興 味深 い 。 4.DMSOの 酸 化 お よ び 還 元DMSOは 硝酸6), 過 マ ン ガ ン酸 カ リ ウム17),オ ゾ ン17),電 解酸 化18)光酸 化 -19,20)によって ジ メ チ ル ス ル ホ ン とな る。 た とえば 光 酸 化 に つい て見 る と増 感 剤 と して メ チ レン ブ ルー の 存 在 で酸 素 を吹 き込 み な が ら光 を照 射 す る と99%収 量 で ジ メチ ル ス ル ホ ン が得 られ た19)。 酸 素 が存 在 し なけ れ ば 光 の 照 射 に きわ め て安 定 で 少 量 の 硫 化 メ チル とジ メチ ル スル ホ ンが 得 られ るの み で あ る。 す な わ ち熱 分 解 反 応 の 最 後 の反 応 が起 る の み で あ る。 亜鉛 や 硫 酸 はDMSOを 硫 化 メ チ ル に 還 元 す る21)。 DMSOを 含 め ス ル ホ キ シ ド類 の定 量 は還 元 法 を と って お り,塩 化 ス ズ(Ⅱ),塩 化 チ タ ン(Ⅲ)等 が還 元 剤 とし て 用い られ る22,23)。硫 化 水 素 とDMSOの 反 応 で は イオ ウ, 硫 化 メチ ル お よび水 が で き る。 パ イ ロフオ ー リ ック ニ ッ ケ ル と加 熱す る と炭 素一イ オ ウ結 合 が 開裂 して メ タ ン,水 お よび硫 化 ニ ッケル が得 られ る24)。酸 化 オ ス ミウ ム(田) の存 在 でDMSOは 硫 化 メ チ ル とジ メ チ ル スル ホ ン に な る25)。塩 素 に よ り酸 化 開裂 して メ タ ン ス ル ホ ク ロ リ ド と な る26)。 5.酸 お よ び ハ ロゲ ン化 アル キル によ る塩 の 生 成 DMSOは 弱 塩 基 で あ り酸 類 と塩 を作 る。DMSOの 定 量 法 として 酢 酸 中で 過 塩 素 酸 を用 い る滴 定 法 が あ るが,ス ル フ ィ ドスル ホ ンは 共 に塩基 性 が ない の で 妨 害 し ない27, 28)。 過 塩 素 酸 塩(5,X=ClO4)は 不 安 定 だ が29),硝 酸 塩 (5,X=NO3)は 結 晶 と して 得 られ21,30),硫 酸 塩(5,X=H SO4)の 存 在 も報 告 され てい る31)。 〓ハ ロ ゲ ン酸 の 場 合 は 塩(6)(X-Brま た は1)の 生 成 が み と め ら れ る が 不 安 定 で あ る32)。 フ ッ化 ホ ウ 素 と錯 化 合 物,mp.53℃ を 作 る11,33)。 DMSOを 過 剰 の ヨ ウ 化 メ チ ル と加 熱 す る と結 晶 状 の ヨ ウ化 ト リ メ チ ル ス ル ポ キ ソ ニ ウ ム(7)が 析 出 し て く る34,35,36)。 この 塩 は 安 定 で あ り,塩 化 銀35),ス ル ホ ン酸 銀36),硝 酸 銀36)に よ って そ れ ぞ れ 相 当 す る塩 に か え られ た 。O-ア ル キ ル化 合 物(8)も 反 応 を注 意 深 く制 御 す る こ とに よ り得 られ る こ とが わ か っ た36)。す な わ ち芳 香 族 スル ホ ン酸 の メ チ ル,エ チル,ベ ン ジル エ ステ ル とDMSOの 反 応 を 逼 当 な所 で止 め る と50∼90%収 量 で(8)を 与 え た。O -ア ル キ ル化 合 物 はS-ア ル キル 化 合 物(7)に 異 性化 す る。 DMSOの スル ホ キ ソニ ウム塩 は重 水 中で す み や か な 水 素 交 換 を行 う36,37)。過 剰 な重 水 中で(7)は88%の 重 水 素 交換 を 行い,熱 分解 でDMSO-d6が で き 同時 に 重 水 素 化 され た ヨ ウ化 メ チル が生 成 す る37)。
770 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (24)
〓II.反
応 溶媒 と して のDMSO
塩基 触 媒 反 応 の 溶 媒 と して のDMSOの 利 用 につい て は次 号 で のべ る こ と と して,こ こで は 主 と してハ ロゲ ン 化 合 物 の各 種 の 反 応 にDMSOを 溶 媒 と して用 い た例 を き わ め て簡 単 に紹 介 した い 。 フ ッ素 イ オ ンに よ る活 性 化 され た 芳 香 族 ハ ロゲ ン化 合 物 の 求 核 的置 換 反 応 はDMSOを 溶 媒 にす る と温 和 な条 件 で 可 能 とな る38,39)。2,4-ジニ トロク ロル ベ ンゼ ン と フ ッ化 カ リウム の反 応 は ニ トロベ ンゼ ン中 で は200。Cで 4hrを 要 す るがDMSO中 で は95∼100℃,2.5hrで 78%収 量 で2,4-ジ ニ トロフ ル オ ルベ ンゼ ン を与 え る38)。 4-フ ル オ ル ニ トロベ ンゼ ンに つ い て も同様 の実 験 が行 わ れ た40)。Miller,Parkerは 無 機 ア ジ ド,チ オ シ アナ トハ ロゲ ン化 物 と芳 香族 ハ ロゲ ン化 合 物 との反 応 は メ タ ノ ー ル 中 で 行 うよ りもDMSO中 で 行 う方 が す み や か に起 る こ とを見 出 して い る41)。塩 化 ベ ンジ ル とチ オ シ ア ン酸 ナ ト リウ ム との反 応 はDMSO中 で行 うと きわ め て す み や か に起 る42,43)。ニ トリル 合 成 に も応 用 され,た と えば1一 プ ロム ベ ンゾ シ ク ロブ テ ン とシ ア ン化 ナ ト リウ ムの 反 応 は メ タ ノー ル 中 で は30%,DMSO中 で は93%収 量 で 目 的 の ニ ト リル を 与 え た44)。DMSOを 溶 媒 としてハ ロゲ ン化 アル キル か ら も,第 一 級 ハ ロゲ ン化 合 物 で は90% 収 上,第 二 級 ハ ロゲ ン化 合 物 で は65∼70%収 量 で相 当 す る ニ ト リル を得 てい る45,46,47)。ハロゲ ン化 ア ル キ ル と 亜 硝 酸 ナ トリ ウム との反 応 をDMSO中 で 行 うこ とに よ りニ トロア ル カ ンが常 温 で46∼66%収 量 で 合 成 さ れ た48,49)。同様 に α-ハロエ ス テ ル か ら α-ニ トロエ ス テ ル が得 られ る49∼52)。こ の反 応 も常 温 で65∼90%収 量 で 進 行 す るが,オ キ シ イ ミノ エ ス テル の生 成 をふ せ ぐた め フ ロル グ ル シ ンを 加 え て お く50)。4,6-ビ ス ク ロル メチ ル ー m-キ シ レ ンは メ タ ク リル 酸 ナ トリ ウム とDMSO中 で 反 応 して容 易 に エ ス テル を与 え る53)。 Clark54)は カ ル ボ ン酸 の熱 分 解 に よ る脱 炭 酸 反 応 に DMSOを 溶 媒 と して 用い 好 結 果 を得 た。 こ の熱 分 解 に お け る活性 化 エ シ タ ル ピ ー とエ ン トロ ピー がDMSOと 他 の 溶 媒 に つ い て調 べ られ てい る55,56)。ア セ チ レン反 応 に も応 用 面 が 見 出 され る。DMSOへ の ア セ チ レン の溶 解 度 は15℃ で100lb/sq.in.で は14.8と 大 き く,ま た DMSOを 用い る こ とに よ って 反 応 に も好 結 果 が得 られ た。Blumentha157)は カ ル ボ ニ ル化 合 物 とア セ チ レ ンの 反 応 をDMSO中 で 行 ってい る 。 エ ポ キ シ ド,ア ル キ ル ハライ ド,炭 酸 ガ ス もナ ト リウム ア セ チ リ ドとDMSO 中 で 容 易 に反 応 す る58)。そ の 他,ス ル フ ィ ド,ジ ス ル フ ィ ドの 合 成59),ジ ス ル フ ィ ドの 開裂60),エ ス テ ル の加 水 分 解61),グ ル コ シ ドの メシ ル エ ス テ ル よ りメ チ ル エ ー テ ルへ の反 応62)等の諸 反 応 に溶 媒 と して 用 い られ い ず れ も, 好 結 果 を得 て い る。 III.DMSOに よ る ア ル コ ー ル 類 の 脱 水 反 応 DMSOに よ って ア ル コー ル類 か ら不 飽 和 化 合 物 を生 成 す る反 応 に つ い て 最 近 い くつ か の報 告 が でて い る が, この 脱 水反 応 は酸,塩 基 の 存 在 な しで起 る の が特 徴 で あ る。 更 にジ オ ー ル か ら環 状 工 ー テ ル,ベ ンジ ル ア ル コー ル 類 か ら はエ ー テ ル の 生 成 が 見 られ る。 1.ア ル コ ール 類 の脱 水 によ るオ レ フ ィ ンの 生 成 後 に酸 化 反 応 の項 で のべ る よ う に スル フ ィ ドをDMSO と加 熱 す る と酸 素 交 換 で スル ポ キ シ ドを与 え る反 応 が あ るが下 記 の反 応 で は酸 化 が起 らず 水酸 基 が 脱 水 を う け た 。この よ うな 脱 水反 応 は 第二,第 三 級 ベ ン ジ ル型 ア ル コ ー ル お よび 脂 肪 族 の第 三 級 アル コー ル で は一 般 に起 るこ とが 示 され た63)。アル コー ル を4∼8倍 量のDMSOと 160∼180℃ で9∼16hr加 熱 して 表2の 結 果 を 得 た 。 さ らに は げ しい 条 件,190℃ で48hr加 熱,に よ って は 脂 肪 族 第 二 級 アル コール も脱 水 生 成 物 を与 え る。1-ペ ン タ ノ ー ル,β-フ ェネ チ ル ア ル コー ル,シ ク ロヘ キ サ ノー ル,3-メ チル-2-ブ タ ノ ール,た ブ チ ル ア ル コー ル か ら は オ レフ ィン は 得 ら れ な か っ た。 たペ ンチ ル アル コ ー ル,2一 メ チ ル-2-ヘ キ サ ノ ール の脱 水 生 成 物 は1-オ レ フ ィ ン と2-オ レフ ィン の等 量 混 合 物 で あ った 。 生 成 オ レ フ ィ ンの 比率 は 少 量 の硫 酸 を入 れ て も変 わ らない 。 カル ボ ニ ウム イ オ ンを経 る1硫酸 水 溶 液 の反 応64)で は2一 オ レ フ ィンの 方 が圧 倒 的 に 多 く生 成 す る が63,65),カル ボ ニ ウ ム イ オ ン を経 る機 構 で も反 応 で生 成 す る オ レフ ィン比 は変 動 し うる こ とが わ か って お り66,67),DMSOに よ る脱 水 も カル ボ ニ ウ ムイ オ ン機 構 で説 明 され る 。 1,2-ジ フ ェニル-1-プ ロパ ノー ル をDMSO中 で 加 熱 す る と脱 水 して シ スーお よび トラ ンス 型 の メチ ル ス チ ル ベ ンが得 られ る が,シ ス型 か ら トラ ンス 型 へ の転 位 を ふ せ ぐ条 件 で反 応 させ てみ る とエ リ トロ型,(9)ト レオ 型 (10)両 方 か ら同 様 に50%以 上 の シ ス 型 の メチ ル ス チ ル ベ ンが と り出 され た。 こ の こ と は(9)お よび(10)が カ ル ボ ニ ウム イ オ ン と な り共 通 の 中 間 体,ト ラ ン スーラ(25) 表2ア ル コー ル類 の脱 水 に よ る オ レフ ィン の生 成 aガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー に よ るオ レ フ ィ ンの%比 エ ノ ニ ゥ ム ィ オ ン(11)68)を 生 成 し てい る こ と を 示 す 。〓 1-ア ル キ ル シ ク ロア ル カ ノー ル の脱 水 が 同 様 に行 わ れ た69)。1-イ ソプ ロ ピル シ ク ロ ヘ キ サ ノニ ル か ら2-シ ク ロヘ キ シ ル プ ロペ ン を生 成 して い る こ とは 中 間 体 に カ ル ボ ニ ウム イ オ ンが で きて い る こ と を示 す 。 〓な お エ ー テ ル よ りオ レフ ィ ンが生 成 す る反 応 も報 告 さ れ て い る69)。 〓 2.ア ル コ ール 類 の脱 水 によ る エ ー テル の生 成1-フ ェニ ル-1-プ ロパ ノ ー ル は前 節 で のべ た よ うにDMSO と加 熱 す る とオ レフ ィ ンを与 え る が,DMSOの 量 を少 な くす る とエ ー テ ル を生 成 す る こ とが わ か った69)。す な わ ち175。Cで9hr加 熱 す る条 件 で 表3の 結 果 を得 た 。 表31-フ ェ ニル-1-プ ロパ ノー ルか らエ-テ ル の生 成 同 様 の 分 子 間脱 水反 応 は ベ ンズ ヒ ドロー ル で も起 り同様 の条 件 で87.5%収 量 で ベ ンズ ヒ ド リル エ ー テ ル を与 え た70)。 第 一 級 アル コー ル お よび 多 くの第 二 級 脂 肪 族 アル コ ー ル はDMSOと 加 熱 して も脱 水 に よ って オ レ フ ィン を与 え な い こ とはす で に のべ た 。 と ころ が1,4-ジ オ ー ル で は分 子 内脱 水 反 応 が 起 り環 状 エ ー テ ル を生 ず る こ とが 分 った71)。た とえば つ ぎの よ うなテ トラ ヒ ドロ フ ラ ン誘 導 体 の合 成 が行 われ た。〓
772 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (26) こ の 反 応 は1,4-ジ オ ー ル の み で な く,1,5-お よ び1-6-ジ オ ー ル に つ い て も 試 み ら れ た69)。 テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン,テ ト ラ ヒ ド ロ ピ ラ ン,オ キ セ パ ン は そ れ ぞ れ70,47, 24%収 量 で 得 られ た 。 な お 同 条 件 下 で エ チ レ ン グ リ コ ー ル か らエ チ レ ンオ キ シ ドの 生成 は 見 られ な か っ た が,長 時 間DMSOと 加 熱 す る とDMSOの 分 解 で で き る ホル ム ア ル デ ヒ ドと反 応 して54%で1,3-ジ オ キ ソ ラ ンが で き る15)。 関 連 した 反 応 と して1,4-ジ ケ トンか らブ ラ ン誘 導 体 が 合 成 さ れ た69)。
IV.DMSOに
よ る酸 化 反 応
DMSOに よ る アル コー ル の脱 水 反 反 に は 同 時 に酸 化 反 応 が 伴 うこ とが あ る こ とは す で に の べ た 。 こ れ か らの べ るDMSOに よ る酸 化 反 応 におい て も第二 級 のハ ロゲ ン化 合 物,ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル で は脱 離 生 成 物 の生 成 が 見 られ る72,73)。こ の酸 化 反 応 で 特 に興 味 あ る 点 は第 一 級 の アル コ ール,ハ ロゲ ン化 合 物,エ ス テ ル か ら選 択 的 に ア ル デ ヒ ドを生 成 す る こ とで あ る。 1.α-ハ ロ ケ トンのDMSOに よ る 酸 化Kornblum ら7りは α-ハロケ トンの よ うな 活 性ハ ロゲ ン 化 合 物 は 単 にDMSOと 常 温 で混 合 す るだ けで 相 当 す る α-ジカ ル ボ ニル 化 合 物 を与 え る こ とを 見 出 し た 。 ω-プロ ム アセ トフ ェ ノ ン とそ の誘 導 体 は こ の方 法 で71∼95%収 量 で ア リー ル グ リオ キ サ ー ル を生 成 した。(表4参 照) C6H5COCH2Br+CH3SOCH3 →C6H5COCHO+CH3SCH3+HBr プ ロム 酢 酸 エ チ ル か ら も常温34)あるい は70℃75)で 反 応 を行 い グ リオ キ シ ル酸 エ チ ル を 得 て い る。 ス テ ロイ ド α-プ ロム ケ トン で は脱 臭 化 水 素 反 応 と酸 化 反応 の 両反 表4DMSOに よ る α-ハ仁 ケ トンの 酸 化 応 が 認 め ら れ た76)。4β-プ ロ ム-3-ケ トー5β-コ ラ ン 酸 メ チ ル(12)をDMSO中 で 加 熱 す る と ジ ケ ト ン(13)と α,β-不 飽 和 ケ ト ン(14)を 生 成 し た 。 ハ ロ ゲ ン が 第3級 炭 素 に 結 合 して い る5-プ ロ ム ー5α-コ レ ス タ ン-3β-オ ー ル-6-オ ン ア セ タ ー ト は70%収 量 で 脱 離 生 成 物 を 与 え た 。2α-プ ロ ム-5α-コ レ ス タ ン-3-オ ン(15)はDMSO 中 と炭酸 水 素 ナ トリ ウム の存 在 で加 熱 す る と複 雑 な生 成 物 を 与 え た(16∼21)。 この反 応 の立 体 化 学 的 考 察 と 反 応 機 構 が し らべ られ た77)。 2.ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル のDMSOに よ る 醒化 / Kornblumら78)は 脂 肪 族 第一 級 アル コ ール や ハ ロゲ ン 化 ベ ンジ ル も一 た ん トシ ラー トに 変 え て 炭酸 水 素 ナ トリ ウ ムの 存 在 でDMSOと 反 応 させ れ ば酸 化反 応 が起 る ヒ と を報 告 して い る。 この方 法 で65∼80%の 収 量 で ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル を経 て ア ル デ ヒ ドが合 成 され た(表5参 照)。ベ ンジ ル 型 トシ ラー トで は反 応 温 度100℃ で5min. 加 熱,飽 和 化 合 物 の トシ ラー トで は150℃ で3min.問 加 熱 す る とい う条 件 が用 い られ た。 ハ ロゲ ン化 合 物 か ら表5DMSOに よる トシ ラー トお よび ハロ ゲ ン化 合 物 の 酸 化 aト シ ラー トに 変 え(か らDMSOと 処 理 す る の 反 応 は つ ぎ の如 く進 む 。〓 こ の 機 構 はHunsbergerら75)が プ ロ ム 酢 酸 エ チ ル に つ い て 提 出 した も の と 同 様 で あ り,中 間 体(22)の 存 在 は Winstein36)ら に よ っ て 明 ら か に な っ てい る 。Nace13,79a) も ス ル ホ ン 酸 ア ル キ ル のDMSOに よ る 同 様 の 反 応 を 報 告 し て い る が,さ ら に 塩 化 お よ び 臭 化 ベ ン ジ ル で は ス ル ホ ン酸 に か え る こ と な く直 接 ア ル デ ヒ ドへ 酸 化 で き る こ と を 報 告 し てい る 。 ま たJohnsonは ヨ ウ 化 物 を 用い る こ と に よ り直 接 ア ル デ ヒ ド,ま た は ケ ト ン が 得 ら れ る こ と を 報 告 し てい る79b)(表5参 照)。Hunsbergerら75)に よ っ て プ ロ ム 酢 酸 エ チ ル とDMSOの 反 応 は くわ し く し ら べ ら れ つ ぎ の 反 応 式 が 確 認 さ れ た 。 〓 さ らに つ ぎの3つ の 副 反 応 が 起 って い る こ とが 明 らか と な り,こ れ らを の ぞ く こ とに よ って グ リオ キ シ ル酸 エ チ ル の収 量 が 増 大 す る。 〓〔1〕 〓〔2〕 〓〔3〕 反 応 〔1〕はDMSOに よ る臭 化 水 素 の 酸 化 で あ り80℃ 以 上 で簡 単 に起 る 。〔2〕の 反応 で で き る スル ポ ニ ウム化 合 物 はDMSO中 で は 容 易 に反 応 〔3〕に よ って 分 解 す る。 した が って これ ら副 反 応 を の ぞ くた め に は 反 応 を 70∼75℃ で 行い,臭 化 メ チ ル を通 じて硫 化 メ チル と反 応 させ て,臭 化 トリメ チ ル ス ル ポ ニ ウム に変 え て しま い 反 応2)と3)を お さえ る こ とが 必 要 とな る 。DMSOに よ るハ ロゲ ン化 合 物 の酸 化反 応 機 構 もス ル ホ ン酸 ア ル キ ル につ い て 考 えた もの と全 く同 様 で あ り,中 間体(22) にお い て トシ ラー トアニ オ ンが ハ ロゲ ンの ア ニ オ ンで置 き か わ っ た も の を考 えれ ば よい 。 3.ア ル コ ール のDMSOに よ る 酸 化Pfitzner, Moffatt80)は 化 合 物(23)とDMSO,無 水 の オ ル ト リン 酸,ジ シ ク ロヘ キ シル カル ボジ イ ミ ドを混 ぜ 数 時 間 室 温 で放 置 す る こ とに よ って90%収 量 で アル デ ヒ ド(24) を得 た 。 〓p-ニ ト ロベ ン ジル アル コー ル や1-オ ク タ ノー ル も そ れ ぞ れ 相 当 す るア ル デ ヒ ドに高 収率 で酸 化 され こ の反 応 が 極 めて 一 般 的 な ア ル デ ヒ ド合 成 法 で あ る こ とが 示 され た81)。(表6,7,8参 照)。 テ ス トス テ ロ ン(25)か ら△4 -ア ン ドロス テ ン-3,17-ジ オ ン(26)を 得 る反 応 につい て 種 種 条 件 をか え た と ころ,酸 と して は リ ン酸,亜 リン酸 シ ア ノ酢 酸,リ ン酸 ピ リジ ニ ウム が 用 い られ る こ とが わ か っ た81)。塩 化 水 素,硫 酸 で は酸 化 が起 らな い が ピ リジ ン塩 として は用 い られ る。 表6DMSOに よ るペ ソ ジ ル ア ル コ ー ルの 酸 化
774 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (28) 表7DMSOに よる 脂肪 族 ア ル コー ル の酸 化 表8DMSOに よ る ステ ロ イ ドの 水 酸 基 の 酸 化 ベ ン ジル 型 アル コー ル は酸 触 媒 が な くて も条 件 に よ っ て は アル デ ヒ ドへ 酸 化 す る こ とが で き る 。Traynelis82) ら はベ ンジ ル ア ル コー ル をDMSO中 で酸 素 を吹 き込 み 乍 ら還 流 して ベ ンズ ア ル デ ヒ ドを高 収 量 で 得 た 。安 息 香 酸 へ の酸 化 は酸 素 を通 じて もほ とん ど起 ら ない こ とが わ か った 。 この さい酸 素 は酸 化 に は用 い られ て い な い が, 過 酸 化 物 で 代用 で き る こ とか ら ラジ カル反 応 が起 って い る こ とが わ か る。 酸 化 に用い られ たDMSOは 硫 化 メ チ ル とな り,実 際 に生 成 が 確 め られ て い る(表6参 照)。 C6H5CH2OH+CH3SOCH3 →C6H5CHO+CH3SCH3+H2O ベ ン ジル アル コー ル の パ ラ位 置 に電 子 供 給 基 が 存 在 す る と反 応 は促 進 され,電 子 吸 引基 は反 応 を おそ くす る。 カ ル ボ ニル 基,シ ア ノ基 等 の 極性 基 がDMSOと コ ンプ レ ッ ク ス を作 る こ とは す で に 知 られ てお り,こ の た め 生 成 した アル デ ヒ ド基 が酸 化 か ら保 護 されて い る の であ ろ う と考 え られ る 。事 実 ベ ンズ アル デ ヒ ドのDMSO溶 液 を 190℃ で 還 流 して おい て酸 素 を吹 き こん で も87%の 原 料 が 回 収 さ れ てい る(24hr)。 ベ ンジ ル アル コー ル の DMSO溶 液 に酸 素 を送 り込 み 乍 ら光 を 照 射 す る とベ ン ズ ア ル デ ヒ ドへ の酸 化 が 起 る こ とが わ か った83)。DMSO を溶 媒 と して用 い る と アル デ ヒ ド段 階 へ の 光酸 化 は促 進 され,ア ル デ ヒ ドの酸 へ の 酸 化 は 逆 に 阻 害 され る。 こ の 場 合 は酸 素 が 酸 化 に用 い られ,DMSOは 大 部 分 回 収 さ れ る 。 Bartonら84)はKornblum型 反 応74,78)が ア ル コ ー ル の ギ 酸 エ ス テ ル で も 起 る こ と を 見 出 し て い る 。 こ こで 必 要 な ジ メチ ル ス ル ホ キ ソ ニ ウム塩(27)はDM SOと ク ロル ギ酸 アル キル との 反応 で合 成 で き る と思 わ れ る。 実際 に これ らを まぜ る と炭 酸 ガ ス を発 生 して(27) を生 じ過 剰 の トリエ チ ル ア ミン に よ って ア ル デ ヒ ドま た は ケ トン と硫 化 メ チ ル に分 解 した 。反 応 は エ ー テ ル 中 に 酸 化 す る アル コ ール を とか し,ホ ス ゲ ンを加 え て ク ロル ギ酸 ア ル キル を合 成 し,15℃ でDMSOを 加 え炭 酸 ガ ス の 放 出 後 ト リエチ ル ア ミン を加 え る こ とに よ っ て完 成 す る。 こ の方 法 は 脂 肪 族 アル コー ル を ア ル デ ヒ ドに変 え る の に よい 方 法 で(表7参 照)と くに他 の方 法 で合 成 の む ず か しい コハ ク酸 ア ル デ ヒ ドが高 収量 で合 成 され 得 る こ と は 興 味 あ る。 メ ン トー ル,コ レス タ ノ ール(表8)で は反 応 は うま く行 か な い 。さ らに ケイ 皮 アル コー ル,ベ ンジ ル ア ル コー ル で は酸 化 され ず に相 当す る塩 化 物 とな った 。 4.DMSOに よ る チオ ール お よ び ス ル フ ィ ドの 酸 化 チ オ ール はDMSOに よ りきわ めて 容 易 に ジ ス ル フ ィ ド に酸 化 され,さ ら従 来 の酸 化 剤 に く らべ 選択 性 が 大 き く た とえば ア ミ ノ基 を もつ チ オ ー ル を ジ ス ル フ ィ ドに 変 え る こ とが で き る。Wallaceら85)は チ オー ル をDMSOま た はTMSO(テ トラ メチ レ ンスル ホ キ シ ド)で酸 化 す る とジ スル フ ィ ドが 得 られ,ス ル ポ キ シ ドは スル フ ィ ドに 還元 され る こ とを 見 出 して い る 。 そ し て そ の反 応 性 は ArSH>ArCH2SH>RSHの 順 で あ る こ と を報 告 してい る 。芳 香 族 チ オ ー ル は 常温 で反 応 す る ので 選 択 的 酸 化 が 可 能 で あ る 。空 気 に よ る酸 化 をふ せ い で 実 験 を行 い つ ぎ の反 応 式 が確 認 さ れ た。 酸 化 剤 として はDMSO,TMSO 2RSH+R2SO=RSSR+R2S+H2O が ジ イ ソ プ ロピ ル スル ポ キ シ ド,ジ-n-ブ チ ル ス ル ホ キ シ ドよ りす ぐれ てい る。 ジチ オ ー ル も酸 化 され,1,4-ブ タ ン ジ チ オ ール,1,3-プ ロパ ンジ チ オ ー ル は相 当 す る ジ チ ア ン を与 えた85)。 Yianniosら86)も 同 様 の 反 応 を 行 っ てい る が,Wallace ら の 結 果 と あ わ せ て 表9,10に 示 す 。
表9DMSOに よ るチ オ ー ルRSHの 酸 化 に よ る ジ ス ル フ イ ドの合 成 表10DMSOに よ る べ ン ゼ ンチ オ ー ル と誘 導体 の 酸 化 スル フ ィ ドを過 酸 化 水 素,硝 酸 等 を用 い て スル ポ キ シ ドに酸 化 す る反 応 は不 満 足 な ものが 多 く,ス ル ホ ン に ま で 酸 化 され る こ とが 多い 。DMSOを 酸 素 供 与 体 として, 酸 応 交 換 反 応 で スル ホ キ シ ドを合 成 す る例 が 報 告 され て い る87)。例 と して テ トラ ヒ ド ロチ オ フ ェン の場 合 を示 す 。 スル フ ィ ド を50%過 剰 のDMSOと160∼175℃ で 8∼12hr加 熱 し,生 成 す る硫 化 メチ ル を のぞ き 表11の 結 果 を得 た 。 スル ホ ンの 生 成 はみ と め られ ず,ま た 酸 の 触 媒 効 果 はみ と め られ なか っ た。 表11DMSOに よ る ス ル フ ィ ドの酸 化 5.DMSOに よ る そ の 他 の 酸 化 反 応 エ ポ キ シ ド は触 媒 量 の フ ッ化 ホ ウ素 の 存 在 でDMSOに よ りa-オ キシ ケ トン と硫 化 メ チ ル を与 え る88)。シ ク ロヘ キ セ ンオ キシ ドは67%収 量 で2-オ キ シ シ ク ロヘ キ サ ノ ン を 与 え,ス チ レ ンオ キ シ ドは57%収 量 で フ ェナ シ ル ア ル コ ール を 与 え る 。2β,3β-エ ポ キ シ-5a-コ レ ス タ ン(28)お よ び2a,3a-エ ポ キ シ-5a-コ レ ス タ ン(29)は ケ トー ル (30)を そ れ ぞ れ55,45%お よ び(31)を そ れ ぞ れ11, 19%収 量 で 与 え る 。 2-ア ミ ノフ ル オ レ ンのDMSO溶 液 を48%臭 化 水 素 酸 と処 理 す る と核 の 臭素 化 が起 り89),酸 の か わ りに 臭化 エ チ ル を用 い る とア ミノ基 の エ チ ル化 と核 の 臭 素化 が同 時 に起 る。ρ-ニ ト ロア ニ リン も同 様 に反 応 す るgo)2-ア ミノ フ ル オ レ ンはDMSO中 で臭 化 ベ ン ジ ル と反 応 して つ ぎの よ うな ア ゾ メ チ ン(32)を 高 収 量 で与 え る91)。こ の反 応 はベ ン ジル ア ミノ基 が つ ぎ の よ うに反 応 した も の と考 え られ る。 ジ フ ェニ ル ケ テ ン-Np-ト リルイ ミ ンのDMSO溶 液 に酸 を加 え る とア ミ ドが 生 成 した92)。ジ フ ェニ ル ケ テ ン か ら も同 様 な反 応 で ベ ンジ ル 酸 が で きた 。DMSO-メ タ ノー ル 溶 液 を用 い る と メチ ル エ ー テ ル とな る。 この反 応 機 構 はつ ぎ の よ うな もの で あ る と考 え られ る。 二 置換 お よび 三置 換 シ ランがDMSOア ニ オ ン に よ り 酸 化 され る こ とが報 告 され て い る93)。
776 有 機 合 成 化 学 第23巻 第9号(1965) (30)
(昭 和40年3月2日 受 理)
文
献
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