• 検索結果がありません。

Dimethyl Sulf oxide,a Versatile Reaction Medium and Reactant in Organic Reactions.(Part 1) Takeo SATO* * Tokyo Metropolitan University, the Faculty of

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Dimethyl Sulf oxide,a Versatile Reaction Medium and Reactant in Organic Reactions.(Part 1) Takeo SATO* * Tokyo Metropolitan University, the Faculty of"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ジ メチ ル ス ル ポ キ シ ドの 有 機 反 応 に お け る

溶 媒お よ び 試 薬 と して の 応 用(そ の1)

雄*

Dimethyl Sulf oxide,a

Versatile Reaction Medium and

Reactant

in Organic Reactions.(Part

1)

Takeo SATO* I.ジ メ チ ル ス ル ポ キ シ ド  1.ジ メ チ ル ス ルホ キ シ ドの性 質 ジ メチ ル ス ル ポ キ シ ド,以 下DMSOと 略 称,は 最近 有機 化 学反 応 の各 分 野 で 急速 に応 用 範 囲 を広 げつ つ あ る興 味 あ る反 応 溶 媒 で あ り反 応 試 薬 で あ る。 この 方 面 で の 最 近 の進 歩 に つ い て 紹介 す る前 に,ま つDMSO自 身 につい て簡 単 に の べ て お く。DMSOは 極 性 の大 きい 吸 湿 性 の 無色 の液 体 で あ り,水 とは 自由 に混 和 す る。 沸 点 は189℃ で あ る が長 時 間加 熱 す る と少 量 の分 解 を伴 う。 有機 合 成 化 学 へ の応 用 の第1と してDMSOが 極 めて す ぐれ た溶 媒 で あ る と い う こ とが あ げ られ る。 ほ とん どの芳 香 族 化 合 物,ア セ チ レ ンを含 む不 飽 和 化 合 物,窒 素 お よび イ オ ウ化 合 物 を き わ め て容 易 に溶 か す の み で な く多 くの 無 機 塩,高 分 子,樹 脂 のす ぐれ た 溶 媒 で あ る。 溶 解度 の デ ー タ につ い て は テ ク ニ カル ブ レテ ィン1)を 参 照 さ れ たい 。 第2に DMSOの 誘 電 率 は 活 性 水 素 を もた ない 溶 媒 中 で は最 高 表1DMSOの 物理化 学的性 質 の も の で あ って 溶 質 はDMSO中 で は容 易 に イオ ン化 し て反 応 に関 与 で き る。 ま た そ の 求核 的性 質 の た め にDM SOは カ チ オ ン とは溶 媒 和す る が水 素 結 合 に与 る活 性水 素 を も た ない の で アニ オ ンに は 溶 媒 和 が少 な い 。 こ れ ら の原 因 で各 種 の 反 応 に 溶 媒 と して た とえ ば ア ル コー ル類 に代 えてDMSOを 用 い る こ とに よ って 好結 果 が 得 ら れ る こ とと な る。 特 に 塩 基 触 媒反 応 の溶 媒 と して き わ め て 広 く用い られ てい る。 第3にDMSO自 身 反 応 に関 与 して 多 数 の イ オ ウ を含 む グル ー プ た とえ ばCH,SCH2-, CH3SOCH2-,CH3S-,(CH3)2S-S- ,(CH3)2+i-S(=O)-, (CH3)2SO-等 と して導 入 され得 る。 本 総 説 は第2,第3 の 応 用,す な わ ち 有機 化 学 反 応 を促 進 す る溶 媒 お よび 各 種 新反 応 を 行 う反 応 試 薬 として のDMSOに つい て の べ る2)。  2.DIVISOの 構 造3∼5)イ オ ウ の価 電 子 は3s23P4 で あ るが 硫 化 メチ ル(1)で は3sお よび3p軌 道 に非 共 有 電 子 対 を も ってい る。酸 化 されてDMSOに な った さい の イ オ ウの ま わ りの電 子 状 態 は古 くか ら半 極 性 結 合 型 の (2)と 共 有 結 合型 の(3)が 考 え られ た。 化 学 的 に イ オ ウ -酸 素 結 合 は(3)で 期 待 され る付 加 反 応 を行 わ ず,パ ラ コー ル の測 定 か ら も(2)の 構 造 が正 しい と考 え られ る。 DMSOは 安 定 な ピ ラ ミッ ド構 造 を 持 って お り,そ の ジ メ ンシ ョンは(4)の 如 くで あ る6)。非共 有 電 子 対 と して 存 在 す る3s電 子 は と な りのp-軌 道 と結 合 す る能 力 は な く,イ オ ウ上 の プ ラス の電 荷 は とな りの 炭 素 が カル ボ ニ ウム イ オ ン とな るの を不 利 にす る。 事実 イ オ ウか ら電 子 が放 出 され る型 の共 役 は ス ル ホ キ シ ド類 に は 知 られ て い *東 京 都 立 大 学 理 学 部 化 学 教 室(東 京 都世 田谷 区 深 沢 町1-950)

* Tokyo Metropolitan

University

, the Faculty of

Science

(1-950,

Fukazawa-cho,

Meguro-ku ,

Tokyo)

(2)

ジメチルスルポキシ ドの有機反応 におけ る溶媒お よび試薬 としての応用(そ の1) 769 な い 。 ま た とな りに ラジ カル が で き た時 の 電 子 共 有 型 の 共 役 も スル フ ィ ドよ り弱 い 。 し か し と な りの カル バ ニ オ ン は きわ めて 安 定 化 され る こ とに な る 。DMSOア ニ オ ン につ い て は後 で くわ し く述 べ る こ とに す る。 そ の他 DMSOの 性 質 に つい て は つ ぎ の よ うな物 理 化 学 的 測 定 が あ るが 文 献 をあ げ るに と どめ る。誘 電 率 と水 素 結 合7), 紫 外部 吸 収8),ラ マ ンス ペ ク トル9)10)双極 子 モ ー メ ン ト 11,12)等に つ い て 報 告 され て い る 。  3.DMSOの 熱 に対 す る安 定 性DMSOは 酸 が 存 在 す る と加 熱 に よ って い ち じ る し く分 解 しや す くな る 性 質 が あ る 。Nace,Monagle13)は ハ ロゲ ン化合 物 とDM SOの 反 応 で 硫 化 メ チ ル,メ チル メル カ プ タ ン,メ チル ジ ス ル フ ィ ドの生 成 を み とめ,さ らに反 応 で で き る酸 を の ぞ か な い と大 量 の ホ ル ム ア ルデ ヒ ドが で き る こ と を見 」出 した 。 スル ホ キ シ ドの酸 に よ る分 解 はKenny14)ら に よ って も くわ し く調 べ ら れ てい る。Traynelisら15)は DMSO自 身 を72hr,190℃ に加 熱 して3.7%の 低 沸 点 物 質 を得,そ の組 成 はパ ラホ ル ム ア ル デ ヒ ド(1.9%), 硫 化 メ チ ル,メ チル ジ ス ル フ ィ ド,ビ ス メチ ル チ オ メ タ ン と水 で あ る こ と を報 告 した 。DMSOの 蒸 留 残 留 物 に ジ メ チ ル スル ホ ンが 存 在 す る こ と もわ か った 。 す なわ ち 一つ ぎ の よ うな反 応 が 起 って い る と考 え られ る こ の 分 解過 程 は 次節 で のべ るDMSOの 光 に対 す る挙 動 と比較 す る と興 味深 い 。  4.DMSOの 酸 化 お よ び 還 元DMSOは 硝酸6), 過 マ ン ガ ン酸 カ リ ウム17),オ ゾ ン17),電 解酸 化18)光酸 化 -19,20)によって ジ メ チ ル ス ル ホ ン とな る。 た とえば 光 酸 化 に つい て見 る と増 感 剤 と して メ チ レン ブ ルー の 存 在 で酸 素 を吹 き込 み な が ら光 を照 射 す る と99%収 量 で ジ メチ ル ス ル ホ ン が得 られ た19)。 酸 素 が存 在 し なけ れ ば 光 の 照 射 に きわ め て安 定 で 少 量 の 硫 化 メ チル とジ メチ ル スル ホ ンが 得 られ るの み で あ る。 す な わ ち熱 分 解 反 応 の 最 後 の反 応 が起 る の み で あ る。  亜鉛 や 硫 酸 はDMSOを 硫 化 メ チ ル に 還 元 す る21)。 DMSOを 含 め ス ル ホ キ シ ド類 の定 量 は還 元 法 を と って お り,塩 化 ス ズ(Ⅱ),塩 化 チ タ ン(Ⅲ)等 が還 元 剤 とし て 用い られ る22,23)。硫 化 水 素 とDMSOの 反 応 で は イオ ウ, 硫 化 メチ ル お よび水 が で き る。 パ イ ロフオ ー リ ック ニ ッ ケ ル と加 熱す る と炭 素一イ オ ウ結 合 が 開裂 して メ タ ン,水 お よび硫 化 ニ ッケル が得 られ る24)。酸 化 オ ス ミウ ム(田) の存 在 でDMSOは 硫 化 メ チ ル とジ メ チ ル スル ホ ン に な る25)。塩 素 に よ り酸 化 開裂 して メ タ ン ス ル ホ ク ロ リ ド と な る26)。  5.酸 お よ び ハ ロゲ ン化 アル キル によ る塩 の 生 成 DMSOは 弱 塩 基 で あ り酸 類 と塩 を作 る。DMSOの 定 量 法 として 酢 酸 中で 過 塩 素 酸 を用 い る滴 定 法 が あ るが,ス ル フ ィ ドスル ホ ンは 共 に塩基 性 が ない の で 妨 害 し ない27, 28)。 過 塩 素 酸 塩(5,X=ClO4)は 不 安 定 だ が29),硝 酸 塩 (5,X=NO3)は 結 晶 と して 得 られ21,30),硫 酸 塩(5,X=H SO4)の 存 在 も報 告 され てい る31)。 〓ハ ロ ゲ ン酸 の 場 合 は 塩(6)(X-Brま た は1)の 生 成 が み と め ら れ る が 不 安 定 で あ る32)。 フ ッ化 ホ ウ 素 と錯 化 合 物,mp.53℃ を 作 る11,33)。   DMSOを 過 剰 の ヨ ウ 化 メ チ ル と加 熱 す る と結 晶 状 の ヨ ウ化 ト リ メ チ ル ス ル ポ キ ソ ニ ウ ム(7)が 析 出 し て く る34,35,36)。 この 塩 は 安 定 で あ り,塩 化 銀35),ス ル ホ ン酸 銀36),硝 酸 銀36)に よ って そ れ ぞ れ 相 当 す る塩 に か え られ た 。O-ア ル キ ル化 合 物(8)も 反 応 を注 意 深 く制 御 す る こ とに よ り得 られ る こ とが わ か っ た36)。す な わ ち芳 香 族 スル ホ ン酸 の メ チ ル,エ チル,ベ ン ジル エ ステ ル とDMSOの 反 応 を 逼 当 な所 で止 め る と50∼90%収 量 で(8)を 与 え た。O -ア ル キ ル化 合 物 はS-ア ル キル 化 合 物(7)に 異 性化 す る。 DMSOの スル ホ キ ソニ ウム塩 は重 水 中で す み や か な 水 素 交 換 を行 う36,37)。過 剰 な重 水 中で(7)は88%の 重 水 素 交換 を 行い,熱 分解 でDMSO-d6が で き 同時 に 重 水 素 化 され た ヨ ウ化 メ チル が生 成 す る37)。

(3)

770 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (24)

〓II.反

応 溶媒 と して のDMSO

 塩基 触 媒 反 応 の 溶 媒 と して のDMSOの 利 用 につい て は次 号 で のべ る こ と と して,こ こで は 主 と してハ ロゲ ン 化 合 物 の各 種 の 反 応 にDMSOを 溶 媒 と して用 い た例 を き わ め て簡 単 に紹 介 した い 。  フ ッ素 イ オ ンに よ る活 性 化 され た 芳 香 族 ハ ロゲ ン化 合 物 の 求 核 的置 換 反 応 はDMSOを 溶 媒 にす る と温 和 な条 件 で 可 能 とな る38,39)。2,4-ジニ トロク ロル ベ ンゼ ン と フ ッ化 カ リウム の反 応 は ニ トロベ ンゼ ン中 で は200。Cで 4hrを 要 す るがDMSO中 で は95∼100℃,2.5hrで 78%収 量 で2,4-ジ ニ トロフ ル オ ルベ ンゼ ン を与 え る38)。 4-フ ル オ ル ニ トロベ ンゼ ンに つ い て も同様 の実 験 が行 わ れ た40)。Miller,Parkerは 無 機 ア ジ ド,チ オ シ アナ トハ ロゲ ン化 物 と芳 香族 ハ ロゲ ン化 合 物 との反 応 は メ タ ノ ー ル 中 で 行 うよ りもDMSO中 で 行 う方 が す み や か に起 る こ とを見 出 して い る41)。塩 化 ベ ンジ ル とチ オ シ ア ン酸 ナ ト リウ ム との反 応 はDMSO中 で行 うと きわ め て す み や か に起 る42,43)。ニ トリル 合 成 に も応 用 され,た と えば1一 プ ロム ベ ンゾ シ ク ロブ テ ン とシ ア ン化 ナ ト リウ ムの 反 応 は メ タ ノー ル 中 で は30%,DMSO中 で は93%収 量 で 目 的 の ニ ト リル を 与 え た44)。DMSOを 溶 媒 としてハ ロゲ ン化 アル キル か ら も,第 一 級 ハ ロゲ ン化 合 物 で は90% 収 上,第 二 級 ハ ロゲ ン化 合 物 で は65∼70%収 量 で相 当 す る ニ ト リル を得 てい る45,46,47)。ハロゲ ン化 ア ル キ ル と 亜 硝 酸 ナ トリ ウム との反 応 をDMSO中 で 行 うこ とに よ りニ トロア ル カ ンが常 温 で46∼66%収 量 で 合 成 さ れ た48,49)。同様 に α-ハロエ ス テ ル か ら α-ニ トロエ ス テ ル が得 られ る49∼52)。こ の反 応 も常 温 で65∼90%収 量 で 進 行 す るが,オ キ シ イ ミノ エ ス テル の生 成 をふ せ ぐた め フ ロル グ ル シ ンを 加 え て お く50)。4,6-ビ ス ク ロル メチ ル ー m-キ シ レ ンは メ タ ク リル 酸 ナ トリ ウム とDMSO中 で 反 応 して容 易 に エ ス テル を与 え る53)。   Clark54)は カ ル ボ ン酸 の熱 分 解 に よ る脱 炭 酸 反 応 に DMSOを 溶 媒 と して 用い 好 結 果 を得 た。 こ の熱 分 解 に お け る活性 化 エ シ タ ル ピ ー とエ ン トロ ピー がDMSOと 他 の 溶 媒 に つ い て調 べ られ てい る55,56)。ア セ チ レン反 応 に も応 用 面 が 見 出 され る。DMSOへ の ア セ チ レン の溶 解 度 は15℃ で100lb/sq.in.で は14.8と 大 き く,ま た DMSOを 用い る こ とに よ って 反 応 に も好 結 果 が得 られ た。Blumentha157)は カ ル ボ ニ ル化 合 物 とア セ チ レ ンの 反 応 をDMSO中 で 行 ってい る 。 エ ポ キ シ ド,ア ル キ ル ハライ ド,炭 酸 ガ ス もナ ト リウム ア セ チ リ ドとDMSO 中 で 容 易 に反 応 す る58)。そ の 他,ス ル フ ィ ド,ジ ス ル フ ィ ドの 合 成59),ジ ス ル フ ィ ドの 開裂60),エ ス テ ル の加 水 分 解61),グ ル コ シ ドの メシ ル エ ス テ ル よ りメ チ ル エ ー テ ルへ の反 応62)等の諸 反 応 に溶 媒 と して 用 い られ い ず れ も, 好 結 果 を得 て い る。 III.DMSOに よ る ア ル コ ー ル 類 の 脱 水 反 応   DMSOに よ って ア ル コー ル類 か ら不 飽 和 化 合 物 を生 成 す る反 応 に つ い て 最 近 い くつ か の報 告 が でて い る が, この 脱 水反 応 は酸,塩 基 の 存 在 な しで起 る の が特 徴 で あ る。 更 にジ オ ー ル か ら環 状 工 ー テ ル,ベ ンジ ル ア ル コー ル 類 か ら はエ ー テ ル の 生 成 が 見 られ る。  1.ア ル コ ール 類 の脱 水 によ るオ レ フ ィ ンの 生 成 後 に酸 化 反 応 の項 で のべ る よ う に スル フ ィ ドをDMSO と加 熱 す る と酸 素 交 換 で スル ポ キ シ ドを与 え る反 応 が あ るが下 記 の反 応 で は酸 化 が起 らず 水酸 基 が 脱 水 を う け た 。この よ うな 脱 水反 応 は 第二,第 三 級 ベ ン ジ ル型 ア ル コ ー ル お よび 脂 肪 族 の第 三 級 アル コー ル で は一 般 に起 るこ とが 示 され た63)。アル コー ル を4∼8倍 量のDMSOと 160∼180℃ で9∼16hr加 熱 して 表2の 結 果 を 得 た 。 さ らに は げ しい 条 件,190℃ で48hr加 熱,に よ って は 脂 肪 族 第 二 級 アル コール も脱 水 生 成 物 を与 え る。1-ペ ン タ ノ ー ル,β-フ ェネ チ ル ア ル コー ル,シ ク ロヘ キ サ ノー ル,3-メ チル-2-ブ タ ノ ール,た ブ チ ル ア ル コー ル か ら は オ レフ ィン は 得 ら れ な か っ た。 たペ ンチ ル アル コ ー ル,2一 メ チ ル-2-ヘ キ サ ノ ール の脱 水 生 成 物 は1-オ レ フ ィ ン と2-オ レフ ィン の等 量 混 合 物 で あ った 。 生 成 オ レ フ ィ ンの 比率 は 少 量 の硫 酸 を入 れ て も変 わ らない 。 カル ボ ニ ウム イ オ ンを経 る1硫酸 水 溶 液 の反 応64)で は2一 オ レ フ ィンの 方 が圧 倒 的 に 多 く生 成 す る が63,65),カル ボ ニ ウ ム イ オ ン を経 る機 構 で も反 応 で生 成 す る オ レフ ィン比 は変 動 し うる こ とが わ か って お り66,67),DMSOに よ る脱 水 も カル ボ ニ ウ ムイ オ ン機 構 で説 明 され る 。  1,2-ジ フ ェニル-1-プ ロパ ノー ル をDMSO中 で 加 熱 す る と脱 水 して シ スーお よび トラ ンス 型 の メチ ル ス チ ル ベ ンが得 られ る が,シ ス型 か ら トラ ンス 型 へ の転 位 を ふ せ ぐ条 件 で反 応 させ てみ る とエ リ トロ型,(9)ト レオ 型 (10)両 方 か ら同 様 に50%以 上 の シ ス 型 の メチ ル ス チ ル ベ ンが と り出 され た。 こ の こ と は(9)お よび(10)が カ ル ボ ニ ウム イ オ ン と な り共 通 の 中 間 体,ト ラ ン スーラ

(4)

(25) 表2ア ル コー ル類 の脱 水 に よ る オ レフ ィン の生 成 aガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー に よ るオ レ フ ィ ンの%比 エ ノ ニ ゥ ム ィ オ ン(11)68)を 生 成 し てい る こ と を 示 す 。〓 1-ア ル キ ル シ ク ロア ル カ ノー ル の脱 水 が 同 様 に行 わ れ た69)。1-イ ソプ ロ ピル シ ク ロ ヘ キ サ ノニ ル か ら2-シ ク ロヘ キ シ ル プ ロペ ン を生 成 して い る こ とは 中 間 体 に カ ル ボ ニ ウム イ オ ンが で きて い る こ と を示 す 。 〓な お エ ー テ ル よ りオ レフ ィ ンが生 成 す る反 応 も報 告 さ れ て い る69)。 〓  2.ア ル コ ール 類 の脱 水 によ る エ ー テル の生 成1-フ ェニ ル-1-プ ロパ ノ ー ル は前 節 で のべ た よ うにDMSO と加 熱 す る とオ レフ ィ ンを与 え る が,DMSOの 量 を少 な くす る とエ ー テ ル を生 成 す る こ とが わ か った69)。す な わ ち175。Cで9hr加 熱 す る条 件 で 表3の 結 果 を得 た 。 表31-フ ェ ニル-1-プ ロパ ノー ルか らエ-テ ル の生 成 同 様 の 分 子 間脱 水反 応 は ベ ンズ ヒ ドロー ル で も起 り同様 の条 件 で87.5%収 量 で ベ ンズ ヒ ド リル エ ー テ ル を与 え た70)。   第 一 級 アル コー ル お よび 多 くの第 二 級 脂 肪 族 アル コ ー ル はDMSOと 加 熱 して も脱 水 に よ って オ レ フ ィン を与 え な い こ とはす で に のべ た 。 と ころ が1,4-ジ オ ー ル で は分 子 内脱 水 反 応 が 起 り環 状 エ ー テ ル を生 ず る こ とが 分 った71)。た とえば つ ぎの よ うなテ トラ ヒ ドロ フ ラ ン誘 導 体 の合 成 が行 われ た。〓

(5)

772 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (26)  こ の 反 応 は1,4-ジ オ ー ル の み で な く,1,5-お よ び1-6-ジ オ ー ル に つ い て も 試 み ら れ た69)。 テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン,テ ト ラ ヒ ド ロ ピ ラ ン,オ キ セ パ ン は そ れ ぞ れ70,47, 24%収 量 で 得 られ た 。 な お 同 条 件 下 で エ チ レ ン グ リ コ ー ル か らエ チ レ ンオ キ シ ドの 生成 は 見 られ な か っ た が,長 時 間DMSOと 加 熱 す る とDMSOの 分 解 で で き る ホル ム ア ル デ ヒ ドと反 応 して54%で1,3-ジ オ キ ソ ラ ンが で き る15)。 関 連 した 反 応 と して1,4-ジ ケ トンか らブ ラ ン誘 導 体 が 合 成 さ れ た69)。

IV.DMSOに

よ る酸 化 反 応

  DMSOに よ る アル コー ル の脱 水 反 反 に は 同 時 に酸 化 反 応 が 伴 うこ とが あ る こ とは す で に の べ た 。 こ れ か らの べ るDMSOに よ る酸 化 反 応 におい て も第二 級 のハ ロゲ ン化 合 物,ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル で は脱 離 生 成 物 の生 成 が 見 られ る72,73)。こ の酸 化 反 応 で 特 に興 味 あ る 点 は第 一 級 の アル コ ール,ハ ロゲ ン化 合 物,エ ス テ ル か ら選 択 的 に ア ル デ ヒ ドを生 成 す る こ とで あ る。  1.α-ハ ロ ケ トンのDMSOに よ る 酸 化Kornblum ら7りは α-ハロケ トンの よ うな 活 性ハ ロゲ ン 化 合 物 は 単 にDMSOと 常 温 で混 合 す るだ けで 相 当 す る α-ジカ ル ボ ニル 化 合 物 を与 え る こ とを 見 出 し た 。 ω-プロ ム アセ トフ ェ ノ ン とそ の誘 導 体 は こ の方 法 で71∼95%収 量 で ア リー ル グ リオ キ サ ー ル を生 成 した。(表4参 照) C6H5COCH2Br+CH3SOCH3 →C6H5COCHO+CH3SCH3+HBr プ ロム 酢 酸 エ チ ル か ら も常温34)あるい は70℃75)で 反 応 を行 い グ リオ キ シ ル酸 エ チ ル を 得 て い る。 ス テ ロイ ド α-プ ロム ケ トン で は脱 臭 化 水 素 反 応 と酸 化 反応 の 両反 表4DMSOに よ る α-ハ仁 ケ トンの 酸 化 応 が 認 め ら れ た76)。4β-プ ロ ム-3-ケ トー5β-コ ラ ン 酸 メ チ ル(12)をDMSO中 で 加 熱 す る と ジ ケ ト ン(13)と α,β-不 飽 和 ケ ト ン(14)を 生 成 し た 。 ハ ロ ゲ ン が 第3級 炭 素 に 結 合 して い る5-プ ロ ム ー5α-コ レ ス タ ン-3β-オ ー ル-6-オ ン ア セ タ ー ト は70%収 量 で 脱 離 生 成 物 を 与 え た 。2α-プ ロ ム-5α-コ レ ス タ ン-3-オ ン(15)はDMSO 中 と炭酸 水 素 ナ トリ ウム の存 在 で加 熱 す る と複 雑 な生 成 物 を 与 え た(16∼21)。 この反 応 の立 体 化 学 的 考 察 と 反 応 機 構 が し らべ られ た77)。   2.ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル のDMSOに よ る 醒化 / Kornblumら78)は 脂 肪 族 第一 級 アル コ ール や ハ ロゲ ン 化 ベ ンジ ル も一 た ん トシ ラー トに 変 え て 炭酸 水 素 ナ トリ ウ ムの 存 在 でDMSOと 反 応 させ れ ば酸 化反 応 が起 る ヒ と を報 告 して い る。 この方 法 で65∼80%の 収 量 で ス ル ホ ン酸 エ ス テ ル を経 て ア ル デ ヒ ドが合 成 され た(表5参 照)。ベ ンジ ル 型 トシ ラー トで は反 応 温 度100℃ で5min. 加 熱,飽 和 化 合 物 の トシ ラー トで は150℃ で3min.問 加 熱 す る とい う条 件 が用 い られ た。 ハ ロゲ ン化 合 物 か ら

(6)

表5DMSOに よる トシ ラー トお よび ハロ ゲ ン化 合 物 の 酸 化 aト シ ラー トに 変 え(か らDMSOと 処 理 す る の 反 応 は つ ぎ の如 く進 む 。〓 こ の 機 構 はHunsbergerら75)が プ ロ ム 酢 酸 エ チ ル に つ い て 提 出 した も の と 同 様 で あ り,中 間 体(22)の 存 在 は Winstein36)ら に よ っ て 明 ら か に な っ てい る 。Nace13,79a) も ス ル ホ ン 酸 ア ル キ ル のDMSOに よ る 同 様 の 反 応 を 報 告 し て い る が,さ ら に 塩 化 お よ び 臭 化 ベ ン ジ ル で は ス ル ホ ン酸 に か え る こ と な く直 接 ア ル デ ヒ ドへ 酸 化 で き る こ と を 報 告 し てい る 。 ま たJohnsonは ヨ ウ 化 物 を 用い る こ と に よ り直 接 ア ル デ ヒ ド,ま た は ケ ト ン が 得 ら れ る こ と を 報 告 し てい る79b)(表5参 照)。Hunsbergerら75)に よ っ て プ ロ ム 酢 酸 エ チ ル とDMSOの 反 応 は くわ し く し ら べ ら れ つ ぎ の 反 応 式 が 確 認 さ れ た 。 〓 さ らに つ ぎの3つ の 副 反 応 が 起 って い る こ とが 明 らか と な り,こ れ らを の ぞ く こ とに よ って グ リオ キ シ ル酸 エ チ ル の収 量 が 増 大 す る。 〓〔1〕 〓〔2〕 〓〔3〕 反 応 〔1〕はDMSOに よ る臭 化 水 素 の 酸 化 で あ り80℃ 以 上 で簡 単 に起 る 。〔2〕の 反応 で で き る スル ポ ニ ウム化 合 物 はDMSO中 で は 容 易 に反 応 〔3〕に よ って 分 解 す る。 した が って これ ら副 反 応 を の ぞ くた め に は 反 応 を 70∼75℃ で 行い,臭 化 メ チ ル を通 じて硫 化 メ チル と反 応 させ て,臭 化 トリメ チ ル ス ル ポ ニ ウム に変 え て しま い 反 応2)と3)を お さえ る こ とが 必 要 とな る 。DMSOに よ るハ ロゲ ン化 合 物 の酸 化反 応 機 構 もス ル ホ ン酸 ア ル キ ル につ い て 考 えた もの と全 く同 様 で あ り,中 間体(22) にお い て トシ ラー トアニ オ ンが ハ ロゲ ンの ア ニ オ ンで置 き か わ っ た も の を考 えれ ば よい 。  3.ア ル コ ール のDMSOに よ る 酸 化Pfitzner, Moffatt80)は 化 合 物(23)とDMSO,無 水 の オ ル ト リン 酸,ジ シ ク ロヘ キ シル カル ボジ イ ミ ドを混 ぜ 数 時 間 室 温 で放 置 す る こ とに よ って90%収 量 で アル デ ヒ ド(24) を得 た 。 〓p-ニ ト ロベ ン ジル アル コー ル や1-オ ク タ ノー ル も そ れ ぞ れ 相 当 す るア ル デ ヒ ドに高 収率 で酸 化 され こ の反 応 が 極 めて 一 般 的 な ア ル デ ヒ ド合 成 法 で あ る こ とが 示 され た81)。(表6,7,8参 照)。 テ ス トス テ ロ ン(25)か ら△4 -ア ン ドロス テ ン-3,17-ジ オ ン(26)を 得 る反 応 につい て 種 種 条 件 をか え た と ころ,酸 と して は リ ン酸,亜 リン酸 シ ア ノ酢 酸,リ ン酸 ピ リジ ニ ウム が 用 い られ る こ とが わ か っ た81)。塩 化 水 素,硫 酸 で は酸 化 が起 らな い が ピ リジ ン塩 として は用 い られ る。 表6DMSOに よ るペ ソ ジ ル ア ル コ ー ルの 酸 化

(7)

774 有機合成化学 第23巻 第9号(1965) (28) 表7DMSOに よる 脂肪 族 ア ル コー ル の酸 化 表8DMSOに よ る ステ ロ イ ドの 水 酸 基 の 酸 化  ベ ン ジル 型 アル コー ル は酸 触 媒 が な くて も条 件 に よ っ て は アル デ ヒ ドへ 酸 化 す る こ とが で き る 。Traynelis82) ら はベ ンジ ル ア ル コー ル をDMSO中 で酸 素 を吹 き込 み 乍 ら還 流 して ベ ンズ ア ル デ ヒ ドを高 収 量 で 得 た 。安 息 香 酸 へ の酸 化 は酸 素 を通 じて もほ とん ど起 ら ない こ とが わ か った 。 この さい酸 素 は酸 化 に は用 い られ て い な い が, 過 酸 化 物 で 代用 で き る こ とか ら ラジ カル反 応 が起 って い る こ とが わ か る。 酸 化 に用い られ たDMSOは 硫 化 メ チ ル とな り,実 際 に生 成 が 確 め られ て い る(表6参 照)。 C6H5CH2OH+CH3SOCH3 →C6H5CHO+CH3SCH3+H2O ベ ン ジル アル コー ル の パ ラ位 置 に電 子 供 給 基 が 存 在 す る と反 応 は促 進 され,電 子 吸 引基 は反 応 を おそ くす る。 カ ル ボ ニル 基,シ ア ノ基 等 の 極性 基 がDMSOと コ ンプ レ ッ ク ス を作 る こ とは す で に 知 られ てお り,こ の た め 生 成 した アル デ ヒ ド基 が酸 化 か ら保 護 されて い る の であ ろ う と考 え られ る 。事 実 ベ ンズ アル デ ヒ ドのDMSO溶 液 を 190℃ で 還 流 して おい て酸 素 を吹 き こん で も87%の 原 料 が 回 収 さ れ てい る(24hr)。 ベ ンジ ル アル コー ル の DMSO溶 液 に酸 素 を送 り込 み 乍 ら光 を 照 射 す る とベ ン ズ ア ル デ ヒ ドへ の酸 化 が 起 る こ とが わ か った83)。DMSO を溶 媒 と して用 い る と アル デ ヒ ド段 階 へ の 光酸 化 は促 進 され,ア ル デ ヒ ドの酸 へ の 酸 化 は 逆 に 阻 害 され る。 こ の 場 合 は酸 素 が 酸 化 に用 い られ,DMSOは 大 部 分 回 収 さ れ る 。   Bartonら84)はKornblum型 反 応74,78)が ア ル コ ー ル の ギ 酸 エ ス テ ル で も 起 る こ と を 見 出 し て い る 。 こ こで 必 要 な ジ メチ ル ス ル ホ キ ソ ニ ウム塩(27)はDM SOと ク ロル ギ酸 アル キル との 反応 で合 成 で き る と思 わ れ る。 実際 に これ らを まぜ る と炭 酸 ガ ス を発 生 して(27) を生 じ過 剰 の トリエ チ ル ア ミン に よ って ア ル デ ヒ ドま た は ケ トン と硫 化 メ チ ル に分 解 した 。反 応 は エ ー テ ル 中 に 酸 化 す る アル コ ール を とか し,ホ ス ゲ ンを加 え て ク ロル ギ酸 ア ル キル を合 成 し,15℃ でDMSOを 加 え炭 酸 ガ ス の 放 出 後 ト リエチ ル ア ミン を加 え る こ とに よ っ て完 成 す る。 こ の方 法 は 脂 肪 族 アル コー ル を ア ル デ ヒ ドに変 え る の に よい 方 法 で(表7参 照)と くに他 の方 法 で合 成 の む ず か しい コハ ク酸 ア ル デ ヒ ドが高 収量 で合 成 され 得 る こ と は 興 味 あ る。 メ ン トー ル,コ レス タ ノ ール(表8)で は反 応 は うま く行 か な い 。さ らに ケイ 皮 アル コー ル,ベ ンジ ル ア ル コー ル で は酸 化 され ず に相 当す る塩 化 物 とな った 。   4.DMSOに よ る チオ ール お よ び ス ル フ ィ ドの 酸 化 チ オ ール はDMSOに よ りきわ めて 容 易 に ジ ス ル フ ィ ド に酸 化 され,さ ら従 来 の酸 化 剤 に く らべ 選択 性 が 大 き く た とえば ア ミ ノ基 を もつ チ オ ー ル を ジ ス ル フ ィ ドに 変 え る こ とが で き る。Wallaceら85)は チ オー ル をDMSOま た はTMSO(テ トラ メチ レ ンスル ホ キ シ ド)で酸 化 す る とジ スル フ ィ ドが 得 られ,ス ル ポ キ シ ドは スル フ ィ ドに 還元 され る こ とを 見 出 して い る 。 そ し て そ の反 応 性 は ArSH>ArCH2SH>RSHの 順 で あ る こ と を報 告 してい る 。芳 香 族 チ オ ー ル は 常温 で反 応 す る ので 選 択 的 酸 化 が 可 能 で あ る 。空 気 に よ る酸 化 をふ せ い で 実 験 を行 い つ ぎ の反 応 式 が確 認 さ れ た。 酸 化 剤 として はDMSO,TMSO 2RSH+R2SO=RSSR+R2S+H2O が ジ イ ソ プ ロピ ル スル ポ キ シ ド,ジ-n-ブ チ ル ス ル ホ キ シ ドよ りす ぐれ てい る。 ジチ オ ー ル も酸 化 され,1,4-ブ タ ン ジ チ オ ール,1,3-プ ロパ ンジ チ オ ー ル は相 当 す る ジ チ ア ン を与 えた85)。 Yianniosら86)も 同 様 の 反 応 を 行 っ てい る が,Wallace ら の 結 果 と あ わ せ て 表9,10に 示 す 。

(8)

表9DMSOに よ るチ オ ー ルRSHの 酸 化 に よ る ジ ス ル フ イ ドの合 成 表10DMSOに よ る べ ン ゼ ンチ オ ー ル と誘 導体 の 酸 化  スル フ ィ ドを過 酸 化 水 素,硝 酸 等 を用 い て スル ポ キ シ ドに酸 化 す る反 応 は不 満 足 な ものが 多 く,ス ル ホ ン に ま で 酸 化 され る こ とが 多い 。DMSOを 酸 素 供 与 体 として, 酸 応 交 換 反 応 で スル ホ キ シ ドを合 成 す る例 が 報 告 され て い る87)。例 と して テ トラ ヒ ド ロチ オ フ ェン の場 合 を示 す 。 スル フ ィ ド を50%過 剰 のDMSOと160∼175℃ で 8∼12hr加 熱 し,生 成 す る硫 化 メチ ル を のぞ き 表11の 結 果 を得 た 。 スル ホ ンの 生 成 はみ と め られ ず,ま た 酸 の 触 媒 効 果 はみ と め られ なか っ た。 表11DMSOに よ る ス ル フ ィ ドの酸 化  5.DMSOに よ る そ の 他 の 酸 化 反 応 エ ポ キ シ ド は触 媒 量 の フ ッ化 ホ ウ素 の 存 在 でDMSOに よ りa-オ キシ ケ トン と硫 化 メ チ ル を与 え る88)。シ ク ロヘ キ セ ンオ キシ ドは67%収 量 で2-オ キ シ シ ク ロヘ キ サ ノ ン を 与 え,ス チ レ ンオ キ シ ドは57%収 量 で フ ェナ シ ル ア ル コ ール を 与 え る 。2β,3β-エ ポ キ シ-5a-コ レ ス タ ン(28)お よ び2a,3a-エ ポ キ シ-5a-コ レ ス タ ン(29)は ケ トー ル (30)を そ れ ぞ れ55,45%お よ び(31)を そ れ ぞ れ11, 19%収 量 で 与 え る 。  2-ア ミ ノフ ル オ レ ンのDMSO溶 液 を48%臭 化 水 素 酸 と処 理 す る と核 の 臭素 化 が起 り89),酸 の か わ りに 臭化 エ チ ル を用 い る とア ミノ基 の エ チ ル化 と核 の 臭 素化 が同 時 に起 る。ρ-ニ ト ロア ニ リン も同 様 に反 応 す るgo)2-ア ミノ フ ル オ レ ンはDMSO中 で臭 化 ベ ン ジ ル と反 応 して つ ぎの よ うな ア ゾ メ チ ン(32)を 高 収 量 で与 え る91)。こ の反 応 はベ ン ジル ア ミノ基 が つ ぎ の よ うに反 応 した も の と考 え られ る。  ジ フ ェニ ル ケ テ ン-Np-ト リルイ ミ ンのDMSO溶 液 に酸 を加 え る とア ミ ドが 生 成 した92)。ジ フ ェニ ル ケ テ ン か ら も同 様 な反 応 で ベ ンジ ル 酸 が で きた 。DMSO-メ タ ノー ル 溶 液 を用 い る と メチ ル エ ー テ ル とな る。 この反 応 機 構 はつ ぎ の よ うな もの で あ る と考 え られ る。   二 置換 お よび 三置 換 シ ランがDMSOア ニ オ ン に よ り 酸 化 され る こ とが報 告 され て い る93)。

(9)

776 有 機 合 成 化 学 第23巻 第9号(1965) (30)

(昭 和40年3月2日 受 理)

1) Dimethyl Sulfoxide (DMSO) Technical Bulletin 1962 Crown Zellerbach Corp., Chemical Products Division, Camas, Washington, U.S.A; Technical Data, TD-176, Fischer Scientific

Co., U.S.A.

2) Dimethyl Sulf oxide, Reaction Medium and Reactant, 1962, Crown Zellerbach Corp., Chem-ical Products Division, Camas, Washington, U.S.A.

3)

C.C. Price, S. Oae, "Sulfur

Bonding"

The

Ronald Press, New York, 1962

4) W.A. Pryor, "Mechanism of Sulfur Reactions"

McGraw-Hill

Book Co. Inc. 1962

5) C.C. Price, Chem. and. Eng. News. Nov., 30, 58 (1964)

6) O.Bastiansen, H.Viervoll, Acta. Chem. Scand. 2 702 (1948)

7)

P. Barnard, J.N. Fabian, H.P. Koch, J. Chem.

Soc. 2442 (1949)

8) J. Schurz, H. Stubchen, Z. Electrochem. 61 754 (1957)

9) M. Goehring, Chem. Ber. 80 219 (1947) 10) R. Vogel-Holger, Acta. Phys. Austriaca. 1 311

(1948)

11) F.A. Cotton, R. Francis, J. Arm Chem. Soc. 82 2986 (1960)

12) HI. Schlafer, H.P. Otiz, Z. Anorg. Allgem. Chem. 313 178 (1961)

13) H.R. Nace, J.J. Monagle, J. Org. Chem. 24 1792 (1959)

14) W.J. Kenny, J.A. Walsh, D.A. Davenport, J. Arm Chem. Soc. 83 4019 (1961)

15) V.J. Traynelis, W.L. Hergenrother, J. Org. Chern. 29 221 (1964)

16) D.W. Goheen, C.F. Bunnet, ibid. 26 1331 (1961)

17) T.B. Douglas, J. Am. Chem. Soc. 68 1072 (1946)

18)

F. Huebenett, H. Doerf f urt, Ger. P.1, 034,171

19)

G.O. Schenk, C.H. Krauch, Ber. 96 517 (1963)

20)  佐 藤 ら,未 発 表

21)

A. Saytzeff, Ann. 144 148 (1867)

22)

D. Barnard,

K.R. Hargraves,

Anal.

Chim.

Acta. 5 476,536 (1951)

23)

R.R. Legault,

K. Groves, Anal.

Chem. 29

1495 (1957)

24) R. Mozingo, USP 2, 371, 641

25) D.P. Sorensen, H. R. Davis, USP 2, 870, 215 , 2,870,216

26) SW. Lee G. Dougherty, J. Org. Client. 5 81

(1940)

27) C.A. Streuli, Anal. Chem. 30 997 (1958) 28) D.C. Wimer, ibid. 30 2060 (1958)

29) J. de Pascual Teresa, Anales Soc. esfian.fis y quint. 45 B 235 (1949); CA 44 3935d (1950) 30) P. Nylen, Z. Anorg. Allgem. Chem. 246 22

7(1941)

31) S. Oae, T. Kitao, Y. Kitaka, Cliem. Ind. (Lon don) 291 (1961)

32)

W. Steinkopf, S. Muller, Ber. 56 1926 (1923)

33)

R.G. Laughlin, J. Org. Cheat. 24 864 (1960)

34)

R.T. Major, H.J. Hess, ibid. 23 1563 (1958)

35)

R. Kuhn, H. Trischmann,

Ann. 611 117 (1958)

36)

S.G. Smith,

S. Winstein,

Tetrahedron

3 317

(1958)

37) F.A. Cotton, J.H. Fassnacht, W.D. Horrocks Jr.,

N.A. Nelson, J. Chem. Soc. 4138 (1959)

38)

G.C. Finger, C.W. Kruse, J. Am. Chem.. Soc.

18 6034 (1956)

39)

G.C. Finger, L.D. Starr, ibid. 81 2674 (1959)

40)

C.A. Kingsbury, J. Org. Chem. 29 3262 (1964)

41)

J. Miller, A.J. Parker, J. Am. Chem. Soc. 83

117 (1961)

42)

R. Fuchs, A. Nisbet, ibid. 81 2371 (1959).

43)

R. Fuchs, GB.

McCrary,

J.J.

Bloomfield,

ibid. 83 4281 (1961)

44)

M.P. Cava, R.L. Little, DR. Napier, ibid. 80

2260 (1958)

45)

L. Friedman,

H. Shechter, J, Org. Chem., 25

877 (1960)

46)

R.A. Smiley, C. Arnold, ibid. 25 257 (1960)

47)

R.A. Smiley, USP 2, 912, 455

48)

D.E.

Hardies,

N. Kornblum,

J.W.

Powers,

USP 3,014,972

49) N. Kornblum,

J.W. Powers,

J. Org. Chem.

22 455 (1957)

50)

N. Kornblum, R.K. Blackwood, J.W. Powers,

J. Ant. Chem. Soc. 79 2507 (1957)

51)

N. Kornblum, J.W. Powers, USP 2, 816, 909

52)

N. Kornblum,

R.K. Blackwood, Org. Synth.

37 37 (1957)

53)

F. Fekete, USP 2, 830, 078

54)

L.W. Clark, J. Phys. Chem. 60 825 (1956)

55)

L.W. Clark, ibid. 61 699 (1957)

56)

L.W. Clark, ibid. 65 1651 (1961)

57)

J.H. Blumenthal, USP 2, 996, 552

58)

J.H. Blumenthal,

USP 3, 028, 423

59)

R.E. Oesterling,

USP 3, 006, 964

60)

A. Schoeberl, H. Grafje, Naturwissenschaften

43 445 (1956)

(10)

ジメチル スルポキシ ドの有機反応 におけ る溶媒お よび試薬 としての応用(そ の1) 777

61) D.D. Roberts, J. Org. Chem. 29 2039 (1964)

62)

D.H. Hall, E.P.M.

Eades, L. Long Jr. , J.

Am. Chem. Soc.86 3579 (1964)

63)

V. J. Traynelis,

W. L. Hergenrother

, J. R.

Livingston, J.A. Valicenti, J. Org. Chem. 27

2377 (1962)

64)

P. F. G.

Prail,

B. Saville,

Chem.

& Ind.

(London) 495 (1960)

65)

J.F. Norris, J.M. Joubert; J. Am. Chem. Soc.

49 873 (1927)

66)

M.S. Silver, ibid. 83 3484 (1961)

67)

P.S. Skell, I. Starer, ibid. 81 4117 (1959)

68)

F.A.A. Elhafez, D.J. Cram, ibid. 15 339 (1953)

69) V. J. Traynelis,

W. L. Hergenrother , H. T.

Hanson,

J.A. Valicenti,

J. Org. Chem.

29

123 (1964)

70)

T. Sato, A. Takatsu,

K. Hata, Bull.

Chem.

Soc. Japan.

37 902 (1964)

71) B.T. Billis, P.E. Beck, J. Org. Chem. 28 1388

(1963)

72) H.R. Nace, Chem. & Ind (London) 1629 (1958)

73) H.R. Nace, J. Am. Chem. Soc. 81 5428 (1959)

74) N. Kornblum,

J.W. Powers, G.J. Anderson,

W.J. Jones, H.O. Larson,O.Levand,

W.M.

Weaver, ibid. 76

6562 (1957)

75)

I.M. Hunsberger,

J.M. Tien, Chem. & Ind.

(London) 88 (1959)

76)

R.N. lacona, A.T. Rowland, H.R. Nace, J.

Org. Chem. 29 3495 (1964)

77)

H.R. Nace, R.N, lacona, ibid. 29 3498 (1964)

78)

N. Kornblum,

W.J. Jones, G.J. Anderson, J.

Am. Chem. Soc. 81 4113 (1959)

79)

a) H.R.

Nace,

USP

2,888,488

b)

A.P.

Johnson, J. Chem. Soc. 520 (1964)

80)

K.E. Pfitzner, J.G. Moffatt, J. Am . Chem.

Soc. 85 3027 (1963)

"The

Synthesis

of

Nucleoside-5'-aldeh.yde"

81)

K.E. Pfitzner,

J.G. Moffatt,

ibid.

85 3027

(1963) "A New and Selective

Oxidation

of

alcohols"

82) V.J. Traynelis,

W.L.

Hergenrother,

ibid. 86

298 (1964)

83)

T. Sato, E. Yamada, T. Akiyama , H. Inoue,

K. Hata, Bull. Chhem. Soc. Japan.

38 1225

(1965)

84)

D.H.R. Barton, J. Chem. Soc. 1855 (1964)

85)

T.J. Wallace,

Chem. & Ind.

(London)

504

(1964); T.J. Wallace, J. Am. Chem. Soc. 86

2018 (1964)

86)

C.N. Yiannios, J.V. Karabinos, J. Org. Chem .

28 3246 (1963)

87)

S. Searles, Jr. H.R. Hays, ibid. 23 2028 (1958)

88)

T. Cohen, T. Tsuji, ibid. 26 1681 (1961)

89)

H.Gilman,

J. Eisch, J. Am. Chem. Soc. 77

3862 (1955); T.L. Fletcher,

M.J. Namkung ,

Hsi-Lung

Pan, Chem. & Ind. (London) 660

(1957)

90)

T.L. Fletcher, Hsi-Lung

Pan, J. Am. Chem.

Soc. 18 4812 (1956)

91)

T.L. Fletcher, Hsi-Lung Pan, J. Org. Chem.

24 141 (1959)

92)

I. Lillien, ibid. 29 1631 (1964)

93)

R.J. Quellette, D.L. Marks, Tetrahedron

Le

tters 46 3449 (1964)

94)

J. Murto, Suomen Kemistilehti

1334 92 (1961)

「報 文 執 筆 に 当 って 特 に注 意 して 頂 きた い こ と」

報 文 執 筆 に 当 っ て は本 会 の報 文 投 稿 規 定 を よ く読 ん で 頂 きた い 。 特 に 下 記 の点 に は十 分 注 意 され た い 。 1.印 刷 物 と して 未 発 表(内 外 誌 を問 わ ず)で あ る こ と。 2.有 機 合 成 化 学,有 機 合 成 化 学 工 業 お よび そ れ らに 関連 ナ る化 学 な い し技 術 に 関 す る 研 究 で あ る こ と。 3.独 創 的 な 内容,価 値 あ る結 論 ま た は新 しい事 実 を含 ん で い る こ と。 4.論 理,数 式,実 験記 述 お よび 図 表 な どに誤 りが な い こ と。 5.簡 潔 明 瞭 で あ りか つ機 械 的 に 分割 され て い な い もの で あ る こ と。(機 械 的 分 割 と は た とえ ば 研 究 の対 象,方 法 な ど大 部 分 が共 通 の 内容 を別 個 の論 文 とす る こ と で あ る)。 6.報文 は 総 説 の よ うな緒 言 を省 き,冗 長 に しな い こ と。 7.和 文 要 旨は得 られ た 新 しい知 見 だ け を簡 潔 明瞭 に表 わ した も の で あ る こ と。 8.本 文 と実 験,図 表 の記 述 な どが重 複 して な い こ と。 以 上

参照

関連したドキュメント

An example of a database state in the lextensive category of finite sets, for the EA sketch of our school data specification is provided by any database which models the

(II) The existence and uniqueness of the solution to the saturated-unsaturated flow model written for di ff usive form of Richards’ equation was proved in the three dimensional case,

Submitted May 21, 1999.. The plan of the paper is as follows. In Section 2, we describe the micro-model for flow in a partially fissured medium. In Section 3, we recall

Two numerical examples are described to demonstrate the application of the variational finite element analysis to simulate the hydraulic heads and free surface in a porous medium..

Two numerical examples are described to demonstrate the application of the variational finite element analysis to simulate the hydraulic heads and free surface in a porous medium..

– Free boundary problems in the theory of fluid flow through porous media: existence and uniqueness theorems, Ann.. – Sur une nouvelle for- mulation du probl`eme de l’´ecoulement

proof of uniqueness divides itself into two parts, the first of which is the determination of a limit solution whose integral difference from both given solutions may be estimated

An explicit expression of the speed of the oil- water interface is given in a pseudo-2D case via the resolution of an auxiliary Riemann problem.. The explicit 2D solution is