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特集 画像の認識・理解論文特集の発行にあたって

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Academic year: 2021

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電子情報通信学会論文誌 D Vol. J97‑D No. 8 pp. 1216‑1217 © 一般社団法人電子情報通信学会 2014 1216

特集

画像の認識・理解論文特集の発行にあたって

画像の認識・理解論文特集編集委員会 委員長  

池  内 克  史

本会情報・システムソサイエティパターン認識・メ ディア理解(PRMU)研究専門委員会と情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)

研究会は,画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)

を 毎 年 共 同 で 開 催 し て い る. 本 特 集 は, こ の MIRU2013に沿って企画されたものである.本特集で は,15編の投稿があり,査読結果から,5編の論文を 採録している.

通常の巻頭言は,これで終わるのだが,今回のMIRU は,フォーマットの大改革を行った.その趣旨とこれ に関しての本特集の位置づけについて論じたい.

MIRUは,1992年より始まったもので,国内画像処 理関連分野の研究者にとっては,夏の重要なイベント になっている.一方において,回数を重ねるにつれ,

「MIRUに制度疲労が目立つようになってきた」との 認識も広がった.これを受け,今回のMIRUからシン ポジウム本来の活発な議論を展開し研究者同士の交流 をはかる場としての役割を維持しつつ,グローバル 化,若手育成機能を強化するためのフォーマット改革 を行った.

シンポジウムの本来の役割は,研究者が一堂に会し て,議論を戦わせる場を提供するである.情報処理学 会や電子情報通信学会の研究会は,この議論の場を提 供している.しかし,各回の研究会ではどうしても聴 衆の数が限られる.そこで,研究会の既発表,未発表 は気にせず,その年度のオールジャパンの研究活動が 広く俯瞰できるよう毎年開催のMIRUが立ち上げられ た.当然,聴衆が全ての研究発表を俯瞰できるようシ ングルトラック制ともなった.

このシングルトラック制が,聴衆が増えるに従い問

題をはらんできた.一つ目は,大多数の聴衆のための 議論の希薄化,二つ目は,シングルトラックの華やか さとそれに伴うゲーム化・ガラパゴス化,三つ目は,

海外会議との競合である.以下では,これらの問題点 と今回とった対策ならびに本特集との関連について述 べる.

1) 議論の希薄化とその対策

古代ギリシャ語に源を発するシンポジウムは,講演 と討論という2部構成の討論会のことを意味する.と ころが,MIRUにおいて聴衆が増えるに従い,この講 演と討論を大会場で行うようになった.前半の講演部 分は多くの聴衆に聞いては貰えるものの,後半の討論 部分においては深い議論をしづらく,発表者にとって はフィードバックの少ない一方通行的な発表の場とな った.討論がある場合でも,度胸のある一部の方の片 寄った視点からの討論になりがちである.そこで,口 頭講演,招待講演,基調講演,一般講演といった講演 の種類を問わず,後半の討論をやりやすくするため に,インタラクティブタイムにこれらの講演と対をな すポスターを前にした討論を組み入れた.

2)華やかさとガラパゴス化とその対策

MIRUには,口頭発表と一般発表がある.特に口頭 発表は,シングルトラックで行われ,厳正な査読があ る.そのためMIRUの口頭発表は,聴きごたえがある との評判が広がった.ところが発表件数が限られてい るため,査読が厳しくなり,そこで発表することの高 級感も出てきた.真に高級であるためには毎回査読基 準が変わるようでは困る.そこで,同一の査読基準が 一 定 期 間 維 持 で き る よ う,MIRU  Conference  Editorial  Boardというおよそ3年交代のセミパーマネ

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電子情報通信学会論文誌 2014/8  Vol. J97

D No. 8

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画像の認識・理解論文特集編集委員会 委 員 長 池 内 克 史

副 委 員 長 黄 瀬 浩 一

岡 田 隆 三 ・ 阪 野 貴 彦 ・ 堀 田 政 二

安 倍   満 ・ 石 川   博 ・ 井 手 一 郎 ・ 今 岡   仁 大 町 真一郎 ・ 岡 谷 貴 之 ・ 久 野 義 徳 ・ 近 藤 一 晃 斎 藤 英 雄 ・ 佐 藤 智 和 ・ 塩 原 守 人 ・ 篠 田 浩 一 長 原   一 ・ 馬場口   登 ・ 原 田 達 也 ・ 本 谷 秀 堅 前 田 英 作 ・ 増 田   健 ・ 森   健 策 ・ 柳 井 啓 司 ントの査読専門部門をMIRU推進委員会直下に設置し

た.これにより,一定期間,同一のメンバーが,同一 の基準で論文の査読を請け負うこととなり,厳密な査 読を担保することができる.

もう一つの問題として,MIRU査読付き論文は質の 良い査読が行われた高級な論文としてMIRUコミュニ ティ内では評価されるにも関わらず,シンポジウム論 文としてほかのコミュニティから比較的軽く扱われて いるという現状がある.これでは,著者の査読を通す 努力や査読者の良質な査読を提供する努力が報われな い.今回から,MIRUの査読をパスしたものは,情報 処理学会論文誌CVAの速報論文として,そのまま論 文誌に掲載することにした.これにより,論文誌とし てのお墨付きを与えることとなり,ほかのコミュニテ ィに高級性を顕示することができ,著者と査読者の努 力を無駄にしないことになる.

なお,査読付き投稿論文は英語とした.国内の大学 や大学院において留学生が占める割合や企業研究者の うち外国人が占める割合は増えつつある.彼らにも MIRUに参加してもらい,帰国後に彼らの国とMIRU コミュニティの橋渡しをしてもらうことで世界に広が るMIRUコミュニティが形成しようとした.

3)海外競合とその対策

査読付き論文は,CVAに採録する.一方,大多数 の一般論文をどうするかという問題がある.一部国際 会議では論文誌との境目が若干曖昧になってきてい る.プログラム委員会としては,「会議の予稿集は,

議論のための資料であり,引用の対象として期待する べきではない.もし引用されたいのなら,予稿集では なく論文誌へ投稿するべきである.」との考えである.

更に,国内会議の予稿集を公開したがために,国際会 議にて二重投稿であるとか既発表論文であると判断さ

れ,不採録となることも散見される.このため,MIRU での発表のアブストラクトを集めたExtended Abstract 集は討論のための資料であるとしてその位置づけを明 確にし,その回のMIRUへの参加者に対してのみオー プンにするものの,MIRU参加者以外からは参照でき ないようにした.すなわちシンポジウムのアブストラ クトでお茶をにごさず,論文投稿して初めて一人前と いう姿勢をとった.

以上要するに,シンポジウムの本来の姿にできるだ け戻ろうとしたのが今回のMIRUの改革である.口頭 論文は,情報処理学会のCVAの速報論文になる.一 方,のこりの大多数の一般論文は,記録が残らない.

そこで,MIRUでの議論を踏まえて内容を精査し,投 稿する場合の場を準備したのが本特集の趣旨である.

5編の採択と若干数は少ないものの,一般論文として 発表された論文の中で優秀なものが選ばれている.じ っくりと味わってほしい.MIRUでの議論がどう生か されたのかをみるのも楽しい.

最後に,優れた研究成果を投稿して下さった著者の 方々,投稿論文を丁寧に査読して頂いた査読委員の 方々,査読結果を踏まえて厳正な審査をして下さった 編集委員の方々,更に,編集委員会実務の円滑な進行 に尽力頂いた編集副委員長の黄瀬浩一氏,編集幹事岡 田隆三氏,阪野貴彦氏,堀田政二氏,煩雑な事務作業 に御協力頂いた学会事務局の皆様に心より御礼申し上 げる.

いけ

うち

  克

かつ

( 正 員: フ ェ ロ ー)  1973年 京 大・ 工・ 機 械 卒,

1978年東大大学院・工・情報・博士課程了.MIT人工知能研究所,

電子技術総合研究所(現産総研),CMUロボティクス研究所を 経て,1996年東大生産技術研究所 教授.IEEEフェロー,情処 フェロー,RSJフェロー.紫綬褒章,IEEE PAMI-TC Distinguished  Researcher Award等受賞.

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