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アメリカ経済力の後退について石崎昭彦

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(1)

一17一

<論 説〉

ア メ リカ 経 済 力 の 後 退 に つ い て

石 崎 昭 彦

1.若 干 の 経 済 指 標

2.課

第1章 第1節

ユ, 2.

3.高 成 長 の 破 綻i 第2節"

1.

2.

3.経 済 の 悪 化 第3節 経 済 の 弱 体 化

1.レ ー ガ ノ ミ 2.

3.債 務 国 へ の 転 落 第2章 国 際 的 地 位 の 低 下

第1節 貿 易 赤 字 の 増 大 1.貿 易 の 新 動 向 2.

3.

4.

第2節 1.

2.

第3節 1.

2.

不 適 切 な マ ク ロ経 済 政 策 高 成 長 政 策 とそ の破 綻 安 定 成 長 の経 済 問 題

ケ ネ デ ィ ・ジ ・ソ ソ ソ政 権 の 高 成 長 政 策

ス タ ク フ レ ー シ ョ ソ ニ ク ソ ン ・ブ ー ム と そ の 終 焉 カ ー タ ー ・ブ ー ム と そ の 崩 壊

ックス

財政赤 字 と貿 易赤字 の著増

品 目別貿易 の変化 地 域別貿 易 の変 化 貿易 赤字増 大 の要 因

経 常収支 の大 幅赤字化 サ ー ビス貿易 の悪 化 国際資 本移動 の変化 対 外純 債務 の累積 債 権 国か ら債務 国へ の転換 ア メ リカの在外資 産残 高の変化 3.外 国 の在 米資産残 高 の変 化 第4節 ドル優位 の後退

1.ド ルの金交 換停止 2.ド ルの下 落

3.ド ルの国際通貨機 能 の低下 注

序 説

1.若 干 の 経 済 指 標

第 二 次 世 界 大 戦 終 了 直 後 の 世 界 に お い て ア メ リ カ の 経 済 力 は抜 群 に 強 大 で あ っ た 。1950年 当 時, 共 産 圏 を 含 む 世 界GNP総 額 に 占 め る ア メ リカ の

シ ェ ア は39%,西 側 先 進 国 のGNP総 額 で の シ ェ アは58%と 圧 倒 的 に 大 き か っ た ユ)。ア メ リカ の輸 出 額 は 西 側 世 界 の 輸 出 総 額 の18%を 占 め2),他 を 大 き く引 き離 して い た 。 ア メ リカ は 金 融 的 に も 強 大 で,50年 初 め に 西 側 世 界 の金 準 備 総 額350億 ド ル の70%を 保 有 し3),ド ル は 世 界 最 強 の 通 貨 で あ

った 。

こ の よ うな ア メ リカの 圧 倒 的 優 位 は 西 欧 諸 国 と 日本 が 戦 争 で 大 き な被 害 を 受 け た こ とを 一 因 とす る も の で あ った が,こ れ ら諸 国 が 戦 災 か ら経 済 的 に復 興 した50年 代 後 半 に お い て も,世 界 経 済 に お け る ア メ リ カの 優 位 に は な お 確 固 た る もの が あ っ た 。 と こ ろ が60年 代 に お け る西 欧 の経 済 統 合 に よ る急 速 な 発 展,60年 代 後 半 に 始 ま りそ の後 一 段 と 強 力 に 推 進 さ れ て きた 日本 工 業 の 世 界 市 場 へ の 進 出,70年 代 後 半 か ら の新 興 工 業 国 の 急 激 な 台 頭 と い っ た 世 界 経 済 の構 造 的 変 動 に よ っ て,ア メ リカ の 経 済 上 の 優 位 は 著 し く損 わ れ 低 下 す る に い た っ た 。 そ の 状 況 を 生 産 と輸 出 の面 か ら見 る こ とに し よ う。

第1表 に示 し た よ うに,世 界GNPに 占 め る ア メ リカ の シ ェ ア は60年 に は34%と 大 きか った が, 80年 に は22%へ と大 幅 に 低 下 し た 。 同 期 間 に 日本 は3%か ら9%に,ド イ ツは5%か ら7%にGNP シ ェ ア を 伸 ぽ した 。ECの シ ェ アは18%か ら22%

に 上 昇 し,ECは ア メ リカ に 匹 敵 す る経 済 規 模 を

(2)

̲xg一 ア メ リカ経 済 力 の 後 退 につ い て

第1表 世 界GNPと 主 要 国 の シ ェア (10億 ドル,カ ッ コ 内 は%)

年 次

7) 世 界GNP

リ カ

3)EC イ ギ リ ス

フ ラ ソ ス

西 ド イ ツ

イ タ リ ア

2)OECD諸国GDP

4)EC イ ギ リ ス フ ラ ソ ス 西 ド イ ツ イ タ リ ア

1960

1,500(100.0) 506(33.7) 39(2.6) 43(2.9) 263{17.5)

71(4.7) 58 、(3.9) 70(4.7) 32(2.1) 228(15.2)

70C4.7) 351(23.4)

3,510(100.0) 1,424(40.6)

102(2.9) 248(7.1) ユ,438(41.0)

335(9.5) zs7C7.s) 401{11.4) 167(4.8) 298(8.5)

1970

3,250(100.0) 982(30.2) 82(2.5) 196(6.0) 628(19.3) 124(3.8}

ユ48(4.6) ユ86(5.7) 93(2.9) 516(15.9) 159(4.9) ss7C21.x)

5,662(100.0) 2,059(36.4)

168(3.0) 673(11.9) 2,285(40.4) 442(7.8) 459(8.1) 623(11.0) 291(5.1) 477(8.4)

"1

12,321(100.0) 2,732(22.2)

246(2.0}

1,098(8.9}

2,74aC22.2) 509(4.1) 660(5.4) 826(6.7) 376(3.1) 1,420(11.5)

569(4.6) 3,516(28.5)

7,7a4Cioo.o>

2,688(34.9) 263(3.4) 1,059(ユ3.7) 3,053(39.6)

534(6.9) 655(8.5) 814(10.6) 396(5.1.) 641(8.3)

1ss5

14,000(100.0) 3,988(28.5)

331(2.4) 1,329(9.5) 2,250(16.1)

443(3.2) 510(3.6) 623(4.5) 858(2.6) 2,063(14.7}

354(2.5) 3,685(26.3)

8,589(1.00.0) 3,033(35.3)

299(3.5) ユ,281(14.9) 3,252(37.9)

586(6.8) 693(8.1) 866(10.1) 414(4.8) 724(8.4) (注)1)GNPは 時 価,そ の 年 の 公 定 為 替 相 場 ま た は 平 均 為 替 相 場 で ド ル に 換 箕 ソ連,中 国 のGNPは ア メ

リ カ と の 購 買 力 等 価 で ドル に 換 算.

2)GDPは1980年 価 格 に よ る 実 質GDP,そ れ を1980年 の 為 替 相 場 で ドル に 換 算 し た も の ・ 3)1960年 と70年 はEC9ヵ 国,80年 と85年 は10力 国 の 数 値.

4)EC10力 国 の 数 値.

(出 所)GNPは1960年,1970年 に つ い て は,InternationalEconomicReportofthePresident・1977・

p.138か ら.1980年 に つ い て はEconomicReportofthePresident,1982,P.355か ら,た だ し ア メ リ カ のGNPは そ の 後 の 訂 正 値 を 使 い,総 額 も 修 正.1985年 はHandbookofEconomicStatistics,1986・

pp.34‑35か ら.GDPは,OECD,NationalAccounts,1960‑‑1985,Vol.1,pp.108‑109か ら.

もつ に い た っ た 。

85年 に は ア メ リカ のGNPシ ェ ア は28%へ と急 上 昇 して い る が,こ れ は 一 時 的 な ドル高 の影 響 に

よ る。本 表 の 世 界GNPの 数 値 は 各 国 の 時 価GNP を そ の 年 の 公 定 為 替 相 場 また は 平 均 為 替 相 場 で ド ル に 換 算 して 算 出 し た もの で あ る。85年 の為 替 相 場 は 異 常 な ドル 高 で あ り,主 要10力 国通 貨 で表 わ した ドル の 加 重 平 均 価 値 は80年 に対 し て64%も 上 昇 し て い た4)。 こ れ は 主 とし て 西 欧 諸 国 通 貨 に 対 す る ドル 価 値 の 上 昇 を 反 映 し た もの で あ っ た。 円 相 場 は80年 の1ド ル=226円 か ら85年 に は1ド ル

=237円 へ と約5%上 昇 した に す ぎ な か った が5), そ の水 準 そ の もの が 大 幅 な ドル 高 で あ った 。 そ の

た め85年 に お け る 日欧 諸 国 の ドル 換 算GNPは, 特 に西 欧 諸 国 に つ い て 大 幅 な 過 小 評 価 と な った 。

ドル 高 が 是 正 され た86年 末 の 為 替 相 場 で86年 の GNPを ドル に 換 算 す れ ば,日 本 のGNPは ア メ リカ のGNPの 約 半 分,1人 当 りGNPで は 日本 は ア メ リカ に 匹 敵 す る。ECのGNP合 計 額 は ア

メ リカ のGNPに 接 近 す る で あ ろ う。

OECD諸 国 に つ い て は,1980年 価 格 に よ る各 国 の 実 質GDPを80年 当 時 の 為 替 相 場 で ドル に 換 算

(3)

ア メ リカ経 済 力 の後 退 に っ い て 一19‑一

第2表 西 側 世 界 の 輸 出 と主 嬰 国 の シsア(10億 ドル,ヵ ッコ内は%)

次1

1960 1970 ・:1 1984

出額国力本Cススッア国国他出額国力本‑C

輸 覧 霧 酌 例 鮎 の 輸 貌

ア日E展石そ品ア日E

全総先発製総先

イ ギ リス フ ラ ソ ス 西 ドイ ツ イ タ リア 発 展 途 上 国

17.3.3(100) 86.6(76.4) 19.6(17.3) 4.1(3.6) 41.6(36.?) 10.6(9.4)

6.9(6.1) 31.4{10.1)

3.6(3.2) 26.7(23.6)

61.2(100) 57.4(93.8) 12,8(20.9) 3.6(5.9) 31,3(5ユ.1)

8.3(13.6) 5.1(8.3) 10.1(ユ6。5)

2.7044) 3.8(6,2)

283.5(100) 229.2(80.8)

42.7(ユ5.1) 19.3(6.8) 112.8(39.8) 19.4(6.8) 18.Y(6.4) 34.2(12.1) 13.2(4.7) 54.3(19.2) 17.3(6.1) 37.o(YS.r)

1sz.2Cloo) ユ69.1(92.8)

29.4(16.1) 18.ユ(9.9) 90.1(49.5) ユ6.3(8.9) ユ3.6(7.5) 30.7(16.8) 11,1(6,1) 13.1(7.2)

1,83$.0(100) 1,239.5(67。4)

220.8(12.0) 129.8(7.1) 691.2(37.6}

lio.2Cs.o) Ils.o<s.s) 192.9(ユ0.5)

77.7(4.2) 598.5(32.6) 301.8(16.4) 296.7(16.1)

1,046.1(100) 936.6(89.5) 144.1(13.8) 124.5(11.9) 505.4(48.3) ss.aCs.2) 84.0(8.0) 166.9(16.0)

65.9(6.3) 109.6(10.5)

1,7ユo.2(=100) 1,214.3(7ユ.0) 217.9(12.7) 7.7Q.1(9.9}

613.4(35.9) 93.9(5.5) 97.6(5.7) 171.7(10.0) 73.3(4.3) 495.9(29.0) 164.9(9.6) 331.0(19.4)

1,07ユ.3(100) 916.0(85.5) ユ43.3(13.4) 164.9(15.4) 433.3(40.4) 62.6(5.8) 70,4(6.6) 148.6(13.9) 63.1(5.9) ユ55,2(14.5) (注)1)1960年 と1970年 はEC9力 国 の 数 値,1980年 と1985年 はEC12力 国 の 数 値.た だ し,1960年 の 製 品 輸 出

の 数 値 はEC6力 国 に イ ギ リ ス を 加 え た も の.

2)SITC5・6・7・8Fこ 属 す る 商 品 の 輸 出.

(出 所)日 本 銀 行 調 査 統 計 局 『国 際 比 較 統 計 』F"よ る.1960年 の 数 値 は 同 書1974年 版,78,85‑86頁 か ら.た だ し ECの 全 輸 出 の 数 値 は9力 国 の も の に 訂 正.1970年 に つ い て は,固 書1979年 版,90,97‑100頁 か ら.ユ980 年 と85年 に つ い て は,同 書1987年 版,3‑4,106,113‑116頁 か ら.

し たGDP統 計 が 利 用 で き る 。 同 表 に 示 し て あ る よ う に,OECD諸 国 の 実 質GDP総 額 に 占 め る ア メ リ カ の シ ェ ア は60年 に は41%で あ っ た が,85年 に は35%に 低 下 し た 。 日本 の シ ェ ア は 同 期 間 に7

%か ら15%へ と大 幅 に 上 昇 し た 。ECの シSア は 41%か ら38%へ と低 下 し た 。EC諸 国 の な か で は フ ラ ソ ス が 約S%0の シ ェ ア を 維 持 し た が,イ ギ リ ス の シ ェ ア は10%弱 か ら7%へ と 低 下 し,ド イ ツ は85年 に10%の シ ェ ア を も っ て い た 。

主 要 国 の 輸 出 シ ェ ア に つ い て み れ ぽ 第2表 の 通 り で,西 側 世 界 の 輸 出 総 額 に 占 め る ア メ リ カ の シ ェ ア は60年 の17%か ら84年 に は13%へ と低 下 し た 。 日 本 は4%か ら10%へ と シ ェ ア を 大 幅 に 伸 ぽ し,

ドイ ツ は 大 体10%台 の シ ェ ア を 確 保 し た 。 製 品 輸 出 に つ い て み れ ぽ ア メ リ カ の シ ェ ア 低 下 は 一 層 顕 著 で あ る 。 西 側 世 界 の 製 品 輸 出 総 額 に 占 め る ア メ リ カ の シ ェ ア は.i・ ・年Ỳ21か ら13%

へ と 大 幅 に 低 下 し た 。 日本 は6%か ら15%へ と シ ェ ア を 大 き く拡 大 し た 。ECの シ ェ ア は80年 代 に 入 っ て 大 幅 に 低 下 し,西 ドイ ツ の シ ェ ア も80‑84 年 に16%か ら14%に 低 下 し た 。 発 展 途 上 国 の 製 品 輸 出 シ ェ ア が60‑84年 間 に6%か ら14%へ と 急 上 昇 し た の は,新 興 工 業 国 の 躍 進 を 物 語 る も の で あ る 。84年 に は 日本 が 世 界 最 大 の 製 品 輸 出 国 と な り, 西 ドイ ツ は 第2位 を 維 持 し た が,ア メ リ カ は 第3 位 へ と転 落 し た の で あ る 。

(4)

一一20 ア メ リカ経 済 力 の 後 退 にっ い て

ア メ リ カ経 済 の 国 際 的 優 位 は 生 産 と貿 易 面 で 低 下 し た ば か りで は な い 。 世 界 最 強 の 通 貨 で あ った ドル は 主 要 国 通 貨 に 対 し て 大 幅 に 下 落 した 。 世 界 最 大 の 債 権 国 で あ った ア メ リカは 世 界 最 大 の債 務 国 に な った 。 自 由貿 易 主 義 の 唱 導 者 で あ っ た ア メ

リ カは 今 で は 保 護 貿 易 政 策 を 実 施 し て い る。

2.課 題

ア メ リカ経 済 の 国 際 的 優 位 が 低 下 した の は 上 述 し た よ うに 世 界 経 済 の 構 造 的 変 化 に よ る も の で あ るが,し か し他 方 で は ア メ リカ に 起 因 す るい くつ か の経 済 的 要 因 に よ る もの で あ った 。 第 一に,ア メ リカ の マ ク ロ経 済 政 策 は 適 切 な も の で は な か っ た 。 高 成 長 と完 全 雇 用 を 達 成 す る た め に 総 需 要 拡 大 政 策 を過 度 に 追 求 し て きた こ と は,ア メ リカ経 済 を 弱 体 化 させ る要 因 とな っ た 。 本 稿 で は この 問 題 を 第1章 で 論 ず る。

ア メ リカ の 経 済 力 後 退 の も う一 つ の 要 因 は 製 造 業 の 国 際 競 争 力が 弱 体 化 し た こ とで あ った 。 ア メ

リカ製 造 業 は 資 源 多 消 費 型 の 大 量 生 産 方 式 と し て 確 立 し,1960年 代 ま で 世 界 的 優 位 を 占 め て い た が, 石 油 危 機 に端 的 に 現 わ れ た 資 源 供 給 条 件 の変 化 と, 大 量 消 費 市 場 の変 質 に よ る需 要 の 多 様 化 の 進 展 と は,そ の よ うな ア メ リカ的 生 産 方 法 を 劣 位 化 し, そ の 国 際 競 争 力 を 弱 体 化 させ る こ と とな った 。70 年 代 に 起 こ っ た供 給 条 件 と需 要 条 件 の 構 造 的 変 化 に 最 も うま く対 応 した の は 日本 の 製 造 業 で あ った 。

日本 の 製 造 業 は マ イ ク ロエ レ ク トロ ニ ク スに 基 づ く技 術 革 新 に よっ て 資 源 節 約 的 な 多 品 種 少 量 生 産 方 式 を 導 入 確 立 した 。 そ れ は 新 た な 経 済 条 件 に 適 合 的 な 生 産 方 法 と し て 日本 の 製 造 業 に 国 際 的 優 位 を もた らす こ と とな った 。 ア メ リカ製 造 業 は この 生 産 方 法 の 転 換 を 適 切 に進 め る こ とが で きず,国 際 競 争 で 劣 位 に 立 つ こ と と な った6)。 こ の 問 題 は 興 味 深 い テ ー マ で あ る が,別 の 機 会 に 譲 っ て 本 稿 で は ア メ リカ経 済 の 弱 体 化 が そ の 国 際 経 済 関 係 に どの よ うに 現 わ れ て い るか に つ い て 考 察 し,こ の 面 か ら ア メ リカ製 造 業 弱 体 化 の 状 況 を 明 らか に す

る。 これ が 第2章 の 課 題 で あ る。

第1章 不 適切 な マ ク ロ経 済政 策

戦 後 の ア メ リカ経 済 は50年 代 か ら60年 代 に か け て は好 調 で あ り,経 済 成 長 が 加 速 し て 完 全 雇 用 が 達 成 され た が,そ の 末 期 に は イ ン フ レ問 題 に 直 面 し て 一 つ の 転 機 を迎 え た 。70年 代 か ら80年 代 に か け て は 経 済 は 不 調 で あ り,ス タ グ フ レ ー シ ョソ が 激 化 し て 経 済 力 が 弱 ま って き た 。 経 済 的 再 建 を主 要 な 課 題 と して81年 に レ ー ガ ソ政 権 が 登 場 し た 。 第 1節 で は5,60年 代 の 経 済 とマ ク ロ経 済 政 策 に つ い て 概 説 す る。 第2節 で は70年 代 不 調 期 の 経 済 を 考 察 し,第3節 で レ ー ガ ノ ミッ クス の 経 済 的 イ ソ パ ク トに つ い て 論 ず る。

第1節 高成長政策 とその破綻

■ 安 定 成 長 の 経 済 問 題

1953年 に20年 ぶ りに 共 和 党政 権 が 成 立 した 。 同 年 に 朝 鮮 戦 争 が 終 わ って ア メ リカ経 済 は 平 時 経 済 へ と転 じた 。 ア イ ゼ ソ ハ ワー 共 和 党 政 権 は 民 主 党 政 権 時 代 の制 度 改 革 と政 策 目標 を 一 般 的 に 受 け 入 れ,不 均 衡 財 政 の 効 果 な どに つ い て の非 正 統 的 考 え 方 を も容 認 した が,そ の 経 済 運 営 方 法 に お い て は 保 守 的 で 慎 重 で あ り,経 済 の安 定 を 基 本 的 に は 財 政 の 自動 安 定 装 置 と金 融 政 策 に ゆ だ ね た1)。 も っ と も,同 政 権 は 朝 鮮 戦 争 終 了 後 の景 気 後 退 期 の 54年 に10%減 税 を 実 施 し,財 政 赤 字 を 拡 大 した がf そ れ は 裁 量 的 政 策 を 意 味 す る もの で は な く,朝 鮮 戦 争 中 の 戦 時 高 率 課 税 を 終 わ らせ るた め の 減 税 で あ った 。 ア イ ゼ ソ ハ ワ ー政 権 は2期 にわ た る在 任 期 間 中,多 額 を要 す る 計 画 へ の支 出 を 抑 制 し た か ら,連 邦 財 政 支 出 の 対GNP比 は 約17‑18%台 で 安 定 し て い た 。

この よ うな政 策 の も とで 経 済 成 長 は 適 度 な もの とな っ た 。 実 質GNPの 年 平 均 成 長 率 は50年 代 前 半 に は 朝 鮮 戦 争 の た め の 軍 事 支 出 の 影 響 で4.6%

と高 率 で あ った が,そ の 後 は 低 下 し,50年 代 後 半 に は3.3%と な った 。 大 戦 前 の 水 準 を上 回 る まず まず の 成 長 率 が 達 成 さ れ た 。

53‑54年,57‑一 一58年,60年 に景 気 後 退 が 起 っ た が,自 動 安 定 装 置 の 作 用 で そ れ らは いず れ も短 期

(5)

ア メ リカ 経 済 力 の後 退 に つ い て 第3表 ア メ リカ の主 要 経 済 指 標1949‑1970年

年 次

5︒55566︒a65666869η999999999999999999999911111

GNP 1972年 価 格(10億

ドル)

492.2 554.8 579.4 .11 623.6 616.ユ

657.5 671.6 683.8

・:1 721.7 737.2 756.6 800.3

$32.5 876.4

929.3 984.8 1,0‑‑.4 1,058.ユ1 1,087.6 ユ,085.6

前年比上 昇率(%)

業数︒劫就者Qゆ万 7Q(UqU

750AUAUΨ55ρ0U6 900106

3434ハリハリ昌bハ0ハ0 87783

55ハbハ0ρ0ρ0ハb 194997

24578777777

5737827184026803007682α&&訊aLaaLαaaa臥4臥6,aa4aα

[

失 業 率1)

C%)

93309541385575725885533254446556555433

3.6 3.5 4.9

者上の)費価率%消物昇(生上⑳)働性率%労産昇( 5982261005121538735121723314123313334332

3.3 0.2 0.8

一1 .0

工.0 7.9 2.2 1 Q.S

!

567860123799249132011111122455

(注)1)軍 人 を 除 く労 働 力 人 口 の 比 率.

2)民 間 企 業 部 門 の 時 間 当 り生 産 量 の 前 年 比 上 昇 率. 3)前 年 比 上 昇 率 。

(出 所)EconomicReportofthePresident,1983 ,pp。

164,165,196,209,225カ ・ら.

で 緩 や か な もの とな った 。 しか しそ の反 面 で 低 率 で は あ るが イ ン フ レが 進 行 し て 注 目を 引 い た 。54 年 か らの 景 気 上 昇 に 伴 っ て 物 価 が 上 が り,そ の 後 の 景 気 後 退 下 で も物 価 が 下 が らず,い わ ゆ る ク リ

ー ピソ グ ・イ ソ フ レが 起

っ た(第3表 参照)。 そ れ は 一 つ に は,政 府 が 経 済 安 定 政 策 を 追 求 す る体 制 の も とで は 企 業 が 景 気 後 退 を 短 期 の も の と見 て , 景 気 後 退 に価 格 引 下 げ で対 応 し な か った か らで あ

り,ま た 一 つ に は,戦 後 労 働 組 合 の 力 が 強 くな っ て 景 気 後 退 下 で も賃 金 が 引 き上 げ られ ,寡 占企業 が これ を価 格 に 転 嫁 し た か らで あ った2)。

安 定 成 長 に よ っ て 国 民 の 生 活 水 準 は 全 般 的 に 上 昇 し,所 得 格 差 は 地 域 間 で も農 業 と非 農 業 間 で も 縮 小 し,貧 困 者 の 割 合 は 低 下 し た 。 この よ うな 良

一21一

好 な 成 果 は 基 本 的 に は 技 術 革 新 な ど市 場 経 済 の活 力 に よ る もの で あ る が,他 方 で 政 府 が 慎 重 な 経 済 運 営 を行 っ て 市 場 経 済 の 機 能 を妨 げ な か った か ら で あ っ た 。 経 済 的 安 定 と繁 栄 の な か で 深 刻 な経 済 問 題 は な くな っ た が,な お 改 善 を 要 す べ き状 況 は 存 在 し,も っ と 良好 な成 果 を 期 待 す る雰 囲 気 の 中 で そ れ が 問 題 と な った 。

第 一 に,50年 代 末 か ら失 業 が 増 大 し て き た 。 第 3表 に 示 した よ うに,失 業 率 は55‑57年 に は4%O を 少 し上 回 っ て い た に す ぎ なか っ た が,58年 に は 6.8%に 上 昇 し}そ の 後 も5.5%と 高 目 で あ った 。 当 時,完 全 雇 用 と考 え られ て い た 水 準 を 超 え て お

り,そ の 改 善 が 強 く望 まれ た の で あ る。

第 二 に,54‑60年 の6年 間 の 年 平 均 的 成 長 率 は 3,0%で あ り,こ の 数 値 は 戦 前 水 準 に比 ぺ て 高 く, 23年 間 でGNPを2倍 にす る 率 で あ り,良 好 な成 果 と考 え られ るが,こ の成 長 率 で は 完 全 雇 用 が 達 成 され な い こ と,ソ 連 や 日欧 諸 国 に 比 べ て 低 す ぎ

る こ と が 問 題 と な った 。

第 三 に,生 活 水 準 の 一 般 的 上 昇 や 社 会 保 障 制 度 の 改 善 に よ っ て 貧 困 者 層 の 比 率 は 低 下 した け れ ど

も,豊 か な社 会 の 中 で 貧 困 に 対 す る人hの 関 心 が 高 ま り,経 済 成 長 や 社 会 保 障 制 度 に よ っ て は 解 消 され な い よ うな 種 類 の貧 困 が 注 目 され て き た 。 戦 中 か ら戦 後 に か け て 多 数 の 黒 人 が 南 部 農 村 か ら都 市 に移 住 した こ とは,黒 人 の貧 困 問 題 を 改 善 し た け れ ど も,都 市 で の 黒 人 の 高 失 業,福 祉 依 存 の 増 大 な ど人 種 差 別 に か らむ 貧 困 問 題 を 国 民 の 目の 前

に 明 らか に して 見 せ た 。

第 四 に,国 際 収 支 赤 宇 が 問 題 と な っ て き た 。 58‑59年 に は 貿 易 黒 字 が 減 少 し,経 常 収支 は悪化 した が,資 本 流 出 は 高 水 準 を 維 持 した か ら 国 際 収 支 の 赤 字 が58年 か ら著 増 した 。 ドル 不 足 は ドル 過 剰 に 転 じ,ド ル は売 られ ア メ リカか ら の金 流 出 は 増 大 し,ド ル 不 安 が 起 った 。 戦 後 国 際 通 貨 体 制 に お い て は ドル が 基 軸 通 貨 で あ り,そ の ドル の 動 揺 は 国際 通 貨 体 制 の 基 礎 を 揺 が す 出 来 事 と し て 注 目 を 集 め た 。

61年 成 立 の ケ ネ デ ィ民 主 党 政 権 とそ れ を 引 き継 いだ ジ ョソ ソ ソ政 権 が これ らの 問題 の 解 決 を 図 る こ と と な った 。

(6)

一22一 ア メ リカ経 済 力 の後 退 に つ い て

2.ケ ネ デ ィ ・ジ ョン ソ ン 政 権 の 高 成 長 政 策 ヶ ネ デ ィ政 権 は 高 成 長 政 策 と社 会 改 良 政 策 を推 進 す る こ と と し,高 成 長 を これ らの 問 題 に 対 す る 最 良 の 解 答 と判 断 し て,そ れ を 最 優 先 の政 策 目標 に 設 定 し た 。 高 成 長 に よ って 完 全 雇 用 が達 成 され るば か りで な く,ア メ リカ を追 い 上 げ て い る諸 外 国 を再 び 引 き離 す こ とが で き る し,さ らに 高 成 長 に 伴 う投 資 の増 大 と生 産 性 の上 昇 は 貿 易 黒 字 を 増 大 し,対 外 投 資 の 国 内投 資 へ の 転 換 を 促 し,ド ル を 強 化 す る こ と に な る,と 考 え た か らで あ った 。 高 成 長 の た め の手 段 は ケ イ ソ ズ 的 拡 大 財 政 政 策 で あ っ た 。 議 会 は ヶ ネ デ ィ政 権 の 支 出 計 画 に 抵 抗 し た 。 国 防支 出 に つ い て は 認 め た も の の,新 規 の 社 会 福 祉 支 出 で は職 業 訓 練 計 画 や 地 域 開 発 計 画 な どを 承 認 し た に す ぎ な か っ た 。 財 政 支 出 計 画 が 順 調 に 運 べ な い 状 況 の も と で,拡 大 的 財 政 政 策 は 議 会 保 守 派 や 実 業 界 が 受 け 入 れ る大 幅 減 税 に よっ て 実 施 さ れ る こ とに な った 。 大 幅 減 税 に よ る高 成 長 政 策 に 理 論 的 武 器 を 提 供 した の が ケ イ ソ ズ 派 の ニ

ユー エaノ ミ ヅ クス で あ った 。

景 気 後 退 期 に お け る財 政 赤 字 の有 効 性 は0般 的 に 認 め られ て い た が,こ の 新 理 論 に よれ ば 景 気 が 回 復 し て い て も経 済 が 不 完 全 雇 用 の 状 態 に あ れ ば 減 税 が 必 要 で あ っ た 。 経 済 は 回 復 過 程 に あ っ て 財 政 は 実 際 に 赤 字 で あ っ た(第3表,第4表 参照)。 し か し経 済 が 完 全 雇 用 で 運 営 され る とす れ ば,現 行

の 財 政 支 出水 準 で は 財 政 は 大 幅 黒 字 に な るで あ ろ う。 この 想 定 上 の 完 全 雇 用 財 政 黒 字 が 景 気 回 復 の 阻 害 要 因 に な って 完 全 雇 用 の達 成 を 妨 げ る。 この 財 政 か らの 障 害 を 相 殺 す る よ うに 大 幅 減 税 が 行 わ れ れ ば,完 全 雇 用 が 達 成 され 財 政 は 均 衡 す る と い

うの で あ っ た3)。

1962年 歳 入 法 で 投 資 税 額 控 除 が 導 入 され た が, これ は 小 幅 の 企 業 減 税 で あ った 。62年8月 に ケ ネ デ ィ政 権 は 大 幅 減 税 を提 案 し,そ れ は 彼 の 死 後 議 会 で承 認 され,そ の規 定 が64年 歳 入 法 に 盛 り込 ま れ た。 個 入 所 得 税 は全 般 的 に 引 き下 げ られ,最 高 限 界 税 率 は91%か ら70%へ と大 幅 に 引 き下 げ られ た 。 法 人 税 率 も大 幅 に 引 き下 げ られ,加 速 減 価 償 却 制 が 導 入 され た 。 減 税 は64年,65年 の2年 間 に 段 階 的 に 実 施 され る こ と とな った 。 この 大 幅 減 税

は 後 に レ ー ガ ソ政 権 に よ っ て 高 く評 価 され る こ と に な る。 ケ ネ デ ィ減 税 は 財 政 政 策 を 大 き く転 換 さ せ た 。 こ の 時 以 降,景 気 の好 不 況 を 問 わ ず 財政 は.

赤 字 が 原 則 とな った の で あ る。

63年11月 に ケ ネ デ ィ政 権 を 引 き継 い だ ジ ョソ ソ ソ政 権 は,前 政 権 が 残 し た 未 完 の事 業 を 継 続 す る と と も に,独 自 の 「偉 大 な 社 会 」計 画 を 推 進 し,

「貧 困 に対 す る戦 争 」 を 開 始 し た 。 減 税 は 主 と し て 中 ・高 所 得 層 に 恩 恵 を 与}る もの で あ り,次 は.

貧 困 層 に 恩 恵 を 及 ぼ す こ と が政 治 的 に 有 益 で あ る と考}ら れ4),新 計 画 は 民 主 党 優 位 の 議 会 に お い て 承 認 され た 。64年 経 済 機 会 法 は 貧 困 対 策 の 開 始 を 告 げ る も の で あ り,64年 公 民 権 法 は 人 種 差 別 を 禁 止 し 少 数 人 種 に 雇 用 機 会 を 開 く画 期 的 立 法 で あ

った5)。

社 会 改 良計 画 は 財 政 支 出 を 拡 大 し,そ れ に 加 え て65年 か らは ベ トナ ム戦 争 の 本 格 化 に 伴 っ て 軍 事 支 出 が 増 大 した 。 第4表 に示 し た よ うに,財 政 支 出 は 膨 張 し,そ の 対GNP比 は68年 に は 数 年 前 よ

り2%ポ イ ソ トも上 昇 して21%に 達 した 。

3.高 成 長 の 破 綻

ケ ネ デ ィ ・ジ ョソ ソ ソ政 権 の 拡 大 的 財 政 政 策 に 促 さ れ て 高 成 長 が 実 現 す る こ と とな っ た 。 連 邦 準 備 制 度 は 金 融 緩 和 政 策 を 実 施 し,通 貨 供 給 量 を 増 大 し て 高 成 長 を 支}た 。 も っ と も,ド ル不 安 対 策 とし て 国債 管 理 を 通 し て短 期 金 利 を 引 き上 げ る一 方 で 長 期 金 利 を 引 き下 げ る と い う オ ペ レ ー シ ョ

ソ ・ツイ ス ト政 策 も実 施 し た。

61年 か ら景 気 が 回 復 過 程 に あ る最 中 に,大 幅 減 税 が 行 わ れ,社 会 福 祉 支 出 が増 大 し,さ ら に 軍 事 支 出 の 増 大 が これ に 追 加 さ れ た た め に,景 気 上 昇 は 一 段 と加 速 され た 。 経 済 成 長 率 は 第3表 に 示 し た よ うに63年 の4%か ら急 上 昇 して65,66年 に は 6%の 高 率 に 達 した 。 経 済 の拡 大 に 伴 っ て 雇 用 が 増 加 し,失 業 率 は66年 に は3%台 に低 下 し,完 全 雇 用 が 実 現 され る に い た った 。

高 成 長 政 策 は 成 功 し,ニ ュ ー エ コ ノ ミ ッ クス の 理 論 家 た ち は 高 らか に勝 利 を 宣 言 した の で あ った 。

しか し そ の 背 後 で 経 済 の 基 調 は 悪 化 し て い た 。1

%台 に あ った イ ソ フL・率 は66年 に は3%に 上 昇 し

(7)

ア メ リカ経 済 力 の 後 退 に つ い て 一一23‑一 第4表 ア メ リ カ の 連 邦 財 政,通 貨 供 給 量,金 利,1vY1年

年次

01234567890123456789012345666666666667777777777888888899999999999999999999999999911111111

連 邦 財 政1)(10億 ド ル,カ ッ コ 内 は 対GNP比)

歳 入 歳

出 隊

92.5(18.2) 94.4(18.2) 99.7(17.9) 106.6(18.1) 112.6(17.9) 116.8(17.3) 130.8(17.7) 14s.$Cls.$) 153.0(17.9) 186.9(20.1) x.92.8(].9..5) 187.1(17.7) 207.3(18.0) 230.8(18.4) 263.2C18.s) 279.1(18.3) 29$.1(17.6) 355.6(18.4) 399.6(18.4) 463.3(18.9) 517.1(19.4) 599。3(20.1) 617.S(19.?) 600.6(18.1) 666.5×18.1)

92.2018.2) 97.7(18.8) los.aO19.2) 1ユ1.3(18.9) 118.5(18.$) 118.2(17.5) 134.5(18.2) 157.5(19.8) 17$.1(20.9) 183.6(19.8) 195.6(19.$) 210.zC19.o}

230.7(20.0) 246.7(ユ9.2) 269.4(19.0) 332.3(21.8) 371.8(21.9) 409.2(21.2) 458.7(21.Z) 503.5(20.6) 590.9(22.1) 678.2022.7) 745.7(23.8) 808.3(24.3)

$51.8(23.1)

734.1(18.Fi)i946.3(24.0) 769.1(18.5)989.8(23.8)

0.3(0.1)

‑3 .3(‑0.6) 一一7 .1(‑1.3)

‑4.8(‑0.8}

‑5 .9(‑0.9)

‑1 ,4(一 一〇.2)

‑3 ,7(‑0.5)

‑8 .6(‑1.1) 一一25 .2(‑3.0) 3.2(0.3)

‑2 .8(一 一〇.3)

‐zs .oC‐z.z/

‑23 .4(‑2.0)

‑14 .9(‑1.2) 一・6.1(‑0.4) 一53 .2(‑3.5)

‑73 .7(‑4.3)

‑53 .6(‑2.8)

‑59 .2(‑2.7)

‑40 .2<‑1.s)

‑73 .8(一 一2.8)

‑78 .9(‑2.6) 一一x.27.9(‑4.1)

‑207 .8{‑6.3)

‑185 .3{一 °‑5.0) 一一212 .3{一 一5.4)

‑220 .7(‑5.3)

通 貨供給量 増 加率(%)

MYM2

6387775672262549603103134426735695446887

4.9

?.4 8.1

.,

1 8.1 4.5 9.2 1 4.1

列 動

プレ

4.82 4.60 4.50 4.50 4.5Q

4.54 5.63i 5.61 6.301

・s

7.91 5.72;

5.25

鱗 欝

..

6.5

・r

6.0 12.2 16.6

65095676089090613

633652308780828891帽←i⊥

1 10.81

:.

6.84 6.83i

・1・

12.&?E

15.27

..

.・

10.79 12.04 9.93 8.33

2.93 2.38 2.78 3.16 3.55 3.95

....

4.32 5.34

・ ・:

6.46 4.35 4.07 7.04 :・

.,

・・

5.27 7.22 10.04

11.1 14.03 10.69 8.63 9.58

.・r

.・

285098275756246912146100428OOQVO2906631185964444901466

433444455676667777891331207噌⊥■⊥﹁⊥噸⊥

(注)1) (出所)

た 。 一 次 産 品 価 格 が 上 昇 した 。66年 に は金 融 引 締 め が 行 わ れ た が 短 期 間 で 緩 和 され,景 気 は再 び上 昇 へ と転 じたoイ ソ フ レが 高 進 し,イ ソ フ レ率 は 68年 に は4.2%,69年 に は5,4%に 上 昇 した 。 ア メ リカ経 済 は す で に66年 に は 「大 砲 とパ タ ー 」 の両 方 を 負担 す る こ とが で きな くな っ て い た が,ジ ョ

ソ ソ ソ政 権 に は 増 税,あ る い は 支 出 削 減 で緊 縮 政 策 を 実 施 す る方 針 も 力 も な か っ た 。

イ ン フ レ の 高 進 は ジ ョン ソ ン政 権 が 総 需 要 拡 大 政 策 を 過 度 に追 求 した こ とに よ る も の で あ った が, そ の 基 礎 に は 経 済 の 供 給 余 力 が 減 退 し て い た と い

う事 実 が 存 在 した 。

財 政 年 度 の 数 値.対GNP比 は 引 用 者 が 計 算.2)新 発 債 の 金 利.

EconomicReportofthePresident,1987,PP .319,324,331か ら.

第 一 に,戦 後 の技 術 革 新 が ほ とん どの 産 業 に普 及 一 巡 した た め,60年 代 後 半 に は 労 働 生 産 性 上 昇 率 が 低 下 す る に い た った 。

第 二 に,高 成 長 に 伴 う雇 用 の 増 大 に よ っ て 労 働 力 不 足 が 生 じ,労 働 組 合 の 交 渉 力 が 強 くな り,賃 金 上 昇 率 が 高 ま った 。

第 三 に,60年 代 中 頃 ま で は石 油 や 農 産 物 な ど一 次 産 品 は 過 剰 生 産 気 味 で あ り,価 格 は 低 下 あ る い は横 ぽ い で あ っ た が,世 界 的 な 経 済 拡 大 に 伴 う一 次 産 品 需 要 の 増 大 は 一 次 産 品 の 供 給 余 力 を 枯 渇 さ せ,一 次 産 品 価 格 は 上 昇 へ と転 じ た 。

これ ら の供 給 制 約 が 顕 在 化 し た こ とに よ って 生

(8)

一一24一 ア メ リカ経 済 力 の 後退 に つ い て

産 コ ス トは 上 昇 し,需 要 が 拡 大 す る中 で そ れ は イ ソ フ レ高 進 の 強 力 な 要 因 と な った の で あ る。 イ ソ フ レの 高 進 に 伴 って ア メ リ カの 貿 易 黒 字 は60年 代 後 半 に は 激 減 し,資 本 流 出 は政 府 の 対 外 投 資 規 制 に もか か わ らず 増 大 し,国 際 収 支 赤 字 は 著 増 した 。 67年 か ら68年 に か け て ドル危 機 が 激 化 し,ド ル 中 心 の 国 際 通 貨 体 制 は そ の 根 底 を 揺 さぶ られ るに い た った 。

ケ ネ デ ィ ・ジ ョソ ソ ソ政 権 下 の8年 間(60‑一一68 年)の 経 済 成 長 率 は 年 平 均5.3%と 高 率 で あ っ た が,そ の た め に ア メ リカ経 済 が 支 払 った 代 償 は イ ソ フ レ高 進 と ドル 危 機 と い う形 で 現 わ れ た 。 高 成 長 は 破 綻 し た の で あ る。

第2節 ス タ ゲ フ レ ー シ ョ ン 1.ニ ク ソ ン ・ブ ー ム と そ の 終 焉

1969年 に 共 和 党 の ニ ク ソソ が 大 統 領 に 就 任 し た 。 ベ トナ ム戦 争 を 終 結 させ る こ と,イ ソ フ レ と ドル 危 機 に 対 処 す る こ とが そ の主 要 な 課 題 で あ った 。 ニ ク ソ ソ政 権 は イ ソ フ レ抑 制 の た め に 緊 縮 的 財 政 金 融 政 策 を 採 用 し た6)。 財 政 面 で は 投 資 税 額 控 除 を 廃 止 し,前 政 権 が68年 に 臨 時 の 措 置 と し て 導 入 し た 所 得 税 付 加 税 を 延 長 す る な ど し て 増 収 を 図 る一 方 で軍 事 支 出 を 中 心 に 財 政 支 出 の 抑 制 を 図 っ た 。 しか し70年 度 の 財 政 は 景 気 後 退 の 影 響 もあ っ て 赤 字 とな っ た 。 前 政 権 か ら引 き 継 いだ 社 会 福 祉 支 出 の 自動 的 増 加 傾 向 に よ って 大 幅 な 支 出 抑 制 は 困 難 で あ った 。 金 融 面 で は 連 邦 準 備 制 度 が 金 融 引 締 め 政 策 を 推 進 し,前 掲 第4表 に示 し た よ うに 通 貨 供 給 量 の伸 び は 大 幅 に 抑 制 され た 。

引 締 め政 策 が 実 施 さ れ た こ とに よ り70年 に は 景 気 後 退 が 起 こ り,生 産 は 減 少 し,失 業 率 は 年 末 に は6.1%に 上 昇 し た 。 しか しイ ソ フ レは 容 易 に は 鎮 静 化 し な か っ た。 イ ソ フ レが 長 期 に わ た って 持 続 して きた こ とか ら イ ソ フ レ期 待 が 強 ま っ て お り, 企 業 は 景 気 後 退 下 で 価 格 を 引 き上 げ た 。 労 働 組 合 は 賃 金 引 上 げ を 要 求 し,企 業 は そ れ を 受 け 入 れ た 。

こ うし て 景 気 後 退 の 最 中 に 賃 金 と物 価 が 上 昇 し, 経 済 は ス タ グ フ レ ー シ ョ ソに 陥 った 。 引 締 め 政 策 は 不 成 功 に終 わ った 。

選 挙 を 考 慮 す れ ぽ 政 策 転 換 は不 可 避 で あ った 。

ニ ク ソソ政 権 は71年 初 め に 拡 大 的 財 政 政 策 へ の 転 換 を 声 明 し,研 究 開 発 支 出 や 職 業 訓 練 計 画 支 出 な どの 増 加 と投 資 減 税 を 提 案 し た7)。金 融 政 策 は 大 幅 に 緩 和 され た 。 当 時,ニ ク ソソ が 「私 は 今 や ケ イ ソ ジ ア ソ で あ る 」 と述 べ た こ とは,こ の 転 換 を 象 徴 す る出 来 事 と して 人hの 注 目を 集 め た8)。

金 融 緩 和 に 伴 って 貿 易 収 支 は 赤 字 へ と転 じ,資 本 流 出 は 増 大 し,ド ル 危 機 が 再 燃 した 。 ア メ リカ 経 済 は ケ イ ン ズ政 策 に よ る経 済 拡大 と ドル の安 定 とを 両 立 させ る 力 を 失 っ て い た の で あ る。 引締 め 政 策 は ドル の 安 定 に 寄 与 す るが,経 済 を 景 気 後 退 に 陥 れ,政 権 の政 治 的 安 定 性 を 損 う もの で あ った 。

ニ ク ソソ政 権 は 経 済 拡 大 と完 全 雇 用 の 達 成 を 最 優 先 課 題 と定 め,そ の た め の政 策 を71年8月 に 「新 経 済 政 策 」 とし て 発 表 し た 。

「新 経 済 政 策 」 は 次 の 主 要 な措 置 か ら成 っ て い た9)。(1)ド ル の 金 交 換 性 を 停 止 す る。 ② 臨 時 の措 置 と し て有 税 輸 入 品 に10%の 課 徴 金 を か け る。(3) 90日 間 賃 金 ・価 格 ・レ ソ トを 凍 結 し,そ の 後 一 定 期 間 そ れ らを 強制 的 に 統 制 す る。(4)減税 を 行 う。

投 資 税 額 控 除 を 復 活 し,個 人 所 得 税 控 除 を 引 き上 げ,7%の 自動 車 消 費 税 を 撤 廃 す る。

一 連 の 減 税 措 置 は ケイ ソ ズ的 総 需 要 拡 大 政 策 で あ った 。 ドル の 金 交 換 停 止 と輸 入 課 徴 金 は 需 要 拡 大 に よ って 誘 発 され る貿 易 赤 字 の 増 大 と ドル 危 機 に 対 処 す るた め の政 策 で あ っ た 。 物 価 ・賃 金 統 制 は イ ソ フ レ抑 制 措 置 で あ り,ま た 人 々 の イ ン フ レ 不 安 を 取 り除 く こ とに よ っ て 経 済 拡 大 を 促 進 す る

た め で も あ った 。

「新 経 済 政 策 」 は 差 し 当 っ て は 成 功 で あ っ た 。 対 外 的 に は71年12月 の ス ミソ ニ ア ソ協 定 に よ っ て 国 際 的 通 貨 調 整 が 行 わ れ,ド ルは 主 要 国 通 貨 に 対 して 切 り下 げ られ,そ の 代 償 と し て ア メ リカ は 輸 入 課 徴 金 を 撤 廃 した 。 対 内的 に そ れ は 所 期 の 効 果 を あ げ た 。 拡 大 的 財 政 金 融 政 策 に 促 され て 景 気 は 急 速 に 回 復 し,第5表 に 示 した よ うに経 済 成 長 率 は72年 に は5.0%,73年 に は5。2%と 上 昇 し,失 業 率 は 低 下 し た 。 イ ン フ レ率 は 物 価 ・賃 金 統 制 が 効 い て72年 に は 低 下 し た 。

し か し73年 初 め に物 価 ・賃 金 統 制 が 緩 和 され, 74年 初 め に 全 廃 され る と,統 制 下 で 潜 在 化 して い

(9)

ア メ リカ経 済 力 の 後退4'つ い て 第5表 ア メ リカ の 主 要 経 済 指 標,1970‑一 一1986年

年 次

GNP 19$2年

格(

10億 ドル) 1970

1971

×972 19?3 ユ974 1975 19?6 ユ977 ユ978 ユ979

2,416.2 2,484.8 2,608.5 2,744.ユ 2,729.3

2,695.Q 2,826.7 a,95s.6 3,115.2 3,192.4

者数 前年 比

暢 野鷹万

就 業 失率 業 1)

ユ980 ユ981 ユ982 1983 ユ984 1985 1986

一 〇.3 2.8 5.0 5.2

‑0 .5

一1 .3 4.9 4.7 5.3 2.5

3,ユ87.1‑0.2i

3,248.8 3,X66.0 3,279.1 3,501.4 3,607.5 3,713.3

7$.7 79.4 82.2 85.1

...

85.8 ::

92.0 '・1

・..

99.3 1.91100.4

‑2 .5199.5

3.61100.8 6.8105.O s.olog.2

2.9i109.6

C%)

.・

5.9 5.6 4.9 5.6

FD7̀00

0787b齢b

7.1 7.6 9.7 9.6 7.5 7.2 7.0

者上的)費価率%消物昇(生上の)働性率%労産昇(

o.7 3.2 3.0 2.0

‑2 .1 2.0 2.8 1.7 1

‑1 .2

一 〇.3

1.4

一 〇.4

2.'7 2.3

1.0

5.9 4.3 3.3 6.2 ユ1.0

9.1 5.8 6.5 7.7 ユ1.3

ユ3.5 1 6.1 3.2 4.3 3.6 1.9 (注)1)軍 人 を 除 く労 働 力 人 口 の 比 率.

2)民 間 企 業 部 門 の 時 間 当 り生 産 量 の 前 年 比 増 加 率.

3)前 年 比 上 昇 率.

(出 所)EconomicReportofthePresident,1987,Pp.

246,247,280,295,312;SurveyofCurrent Business,September1987,p.58.

た イ ン フ レ諸 力 が 顕 在 化 し,イ ン フ レ率 は73年 に は6.2%,74年 に はU%に 急 上 昇 し た 。 ア メ リカ の 好 況 は 世 界 経 済 に 波 及 し,世 界 的 好 況 の なか で 石 油 や 農 産 物 な ど一 次 産 品 価 格 が 急 騰 し,こ れ が

イ ン フ レを 一 段 と高 進 させ た の で あ った 。 イ ン フ レ的 な 経 済 拡 大 に 伴 っ て輸 入 が 増 加 し, 資 本 流 出 が 増 大 し て ドル は 売 り圧 力 を 受 け,73年

3月 に は 固 定 為 替 相 場 制 は 維 持 で き な くな って 変 動 為 替 相 場 制 へ と移 行 し た 。 ドルは 下 落 し,こ れ が ま た イ ソ フ レの 加 速 要 因 と な った の で あ る。

ニ ク ソン政 権 は イ ン フ レ の 高 進 と ドル の 弱体 化 に 直 面 し て 引 締 め 政 策 へ の 転 換 を 余 儀 な くされ た 。 石 油 危 機 が こ の 好 況 に 最 後 の 止 め を 刺 し た 。OP ECは73年 秋 か ら74年 初 め に か け て 石 油 供 給 を 削 減 し,石 油 価 格 を4倍 に 引 き上 げ た 。 石 油 価 格 の 急 騰 に よ っ て 経 済 は74‑75年 に 激 しい ス タ グ フ レ ー シ ョソ に 陥っ た 。 失 業 率 もイ ソ フ レ率 も大 幅 に

一一25一

上 昇 し た の で あ る 。

要 す る に,ニ ク ソン政 権 は 「新 経 済 政 策 」 に よ っ て経 済 拡 大 の 外 的 制 約 条 件 と な っ て い た ドル の 金 交 換 性 を 停 止 し,総 需 要 拡 大 政 策 を 推 進 して 経 済 拡 大 と完 全 雇 用 を 達 成 した か に 見>2..たけれ ど も, イ ソ フ レの 高 進,ド ル の 大 幅 下 落,石 油 危 機 が そ の 好 況 を 短 期 に し て 崩 壊 させ た の で あ った 。

2,カ ー タ ー ・ブ ー ム と そ の 崩 壊

ス タ グ フ レ ー シ 鞍 ンの 中 で 景 気 は75年 中 頃 か ら 上 昇 へ と転 じた 。 景 気 回 復 は 一 つ に は 経 済 の 自律 的 回 復 に よる もの で あ っ た。 実 質 賃 金 の低 下 に よ る企 業 収 益 の好 転 は 投 資 を 刺 激 し,ま た 有 利 な 相 対 価 格 を も っ た 原 材 料 部 門 が 投 資 を 拡 大 した10)。

景 気 回 復 を 促 進 し た も う一 つ の 要 因 は フ ォ ー ド共 和 党 政 権 が 実 施 し た 拡 大 的 財 政 金 融 政 策 で あ っ たu)。

フ ォ ー ド政 権 は75年 か ら76年 に か け て 個 人 所 得 税,法 人 税 に つ い て か な り大 幅 な 減 税 を 行 っ た 。 イ ン フ レに よ る実 質 増 税 を 相 殺 す るた め の 減 税 で あ った 。 他 方 で 財 政 支 出 は 自 動 安 定 装 置 が 働 い て 失 業 手 当 な ど社 会 保 障 支 出 が 増 大 した 。 社 会 保 険 給 付 に は イ ン フ レ ・ス ライ ド制 が導 入 され て お り, 財 政 支 出 は これ に 促 され て 一 段 と増 加 した 。 減 税 が 行 わ れ て 税 収 が 伸 び ず,他 方 で財 政 支 出 が増 加 した か ら,連 邦 財 政 は 巨額 の赤 字 とな った 。 金 融 政 策 は大 幅 に 緩 和 され,通 貨 供 給 量 は 増 大 し金 利 は 低 下 した(第4表 参照)。

拡 大 政 策 に促 され て 景 気 は 急 速 に 回 復 し,76年 の 成 長 率 は4.9%の 高 率 とな っ た 。 失 業 率,イ ン フ レ率 と も低 下 した 。 イ ソ フ レ率 の 低 下 は食 料 ・ エ ネ ル ギ ー 価 格 上 昇 率 の 低 下 に よ る もの で あ った 。 しか し賃 金 は イ ソ フ レ調 整 の 遅 れ を 取 り戻 す た め に 大 幅 に 引 き上 げ られ,こ れ が 物 緬 を 押 し上 げ た 。 76年 の イ ン フ レ率 は5.8%と な り,失 業 率 は7.7%

とな お 高 率 で あ った(第5表 参照)。

76年 は 選 挙 の年 で あ り,失 業 とイ ソ フ レは 当 然 に そ の 争 点 に な った 。 イ ソ フ レを 重 視 す る共 和 党 の 現 職 候 補 フ ォ ー ドは 景 気 が 上 昇 過 程 に あ る こ と を 考 慮 して 慎 重 な 政 策 運 営 を 主 張 し た の に 対 し, 失 業 重 視 の民 主 党 候 補 カ ー タ ー は 強 力 な 景 気 刺 激

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一26一 ア メ リカ 経 済 力 の後 退6yつ い て

策 を提 唱 し,選 挙 に勝 利 した12)。カ ー タ ー政 権 は 減 税 と公 共 支 出 増 に よ る財 政 拡 大 政 策 を 実 施 し, 連 邦 準 備 制 度 は 引 き続 き金 融 緩 和 政 策 を 進 め た13)。

上 昇 局 面 に あ った 経 済 は 拡 大 政 策 に よ って 成 長 を 一 段 と促 進 され,実 質GNP成 長 率 は77年 に4.7

%,78年 に5.7%と 高 水 準 に達 した 。 雇 用 が 増 大 し て 失 業 率 は 低 下 し,78年 に は6.1%と な った 。 しか し イ ソ フ レは 高 進 し,78年 の イ ソ フ レ 率 は 7.7%の 高 率 とな っ た 。

イ ン フ レ的 経 済 拡 大 に 伴 って 輸 入 が 著 増 して 貿 易 赤 字 が 増 加 し,資 本 の 対 外 流 出 が 増 え て,ド ル は 大 量 に 売 られ,主 要 国 通 貨 に 対 し て 大 幅 に 下 落 し た 。 ドル の 下 落 は イ ソ フ レを 一 段 と加 速 し,こ れ が ま た ドル 下 落 を 促 進 し た の で あ った 。

ア メ リカ の 好 況 は 世 界 経 済 に波 及 し,世 界 的 好 況 の な か で 再 び 一 次 産 品 価 格 が 高 騰 して きた 。79 年 の イ ラ ソ革 命 を 契 機 に 石 油 供 給 不 安 が 高 ま る状

況 の 中 でOPECは 再 び 石 油 価 格 を 大 幅 に 引 き上 げ た 。80年11月 に は 石 油 価 格 は1バL/ル32ド ル と 78年 水 準 の2.5倍 に 上 昇 した の で あ った 。 これ に

よ って イ ソ フ レは 一 段 と高 進 した 。 イ ソ フ レ率 は 79年 に は11.3%,80年 に は13.5%に 達 した 。

カ ー タ ー政 権 は 引 締 め 政 策 へ と転 じ た14)。予 定 の 減 税 を 圧 縮 す る な ど して79年 度 財 政 か ら 引 締 め に か か った が,支 出 抑 制 は 困 難 で あ り,財 政 引 締 め は 不 徹 底 な も の に な ら ざ るを え な か っ た 。 連 邦 準 備 制 度 は78年 に 入 る と徐 々 に 引 締 め を 強 化 し た 。 同 年11月 に は ドル 防衛 策 を 実 施 し15),公 定 歩 合 を 8.5%か ら9.5%に 引 き上 げ る と と もに,大 口定 期 預 金 に2%の 追 加 支 払 準 備 を 課 し,フ ェデ ラル ・

フ ァ ソ ド ・v一 トも引 き上 げ た 。 金 融 引 締 め 強 化 に よ り名 目金 利 は 大 幅 に 上 昇 した が,そ れ か らイ ソ フ レ率 を 差 し引 い た 実 質 金 利 は 極 端 に 低 く,ま た イ ソ フ レ期 待 が 高 ま って い た か ら,金 融 引 締 め 政 策 は 実 体 経 済 に は 容 易 に は 浸 透 せ ず,イ ソ フ レ は 高 進 し続 け た 。 そ こで 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 は 引 締 め の有 効 性 を 高 め る た め に,新 任 の ボ ル カ ー議 長 の も と で79年10月 に 金 融 政 策 の 実 施 方 法 を 大 転 i換し たxs)。

連 邦 準 備 制 度 は こ れ ま で フ ェ デ ラ ル ・フ ァ ソ ド ・レー トを 直 接 の 管 理 目標 と し・ これ を 通 して

通 貨 供 給 量 を 間 接 に 管 理 す る と い う方 式 を 採 用 し て い た が,イ ン フ レが 高 進 す る 場 合,そ れ に 伴 っ て市 場 金 利 が上 昇 す る の で,こ の 方 式 で は 通 貨 供 給 量 を そ の 目標 値 内 に 抑 え る こ とが で き な か った 。 新 方 式 で は 通 貨 供 給 量 の 目標 値 に 合 致 す る よ うに 銀 行 準 備 の供 給 量 を 直 接 に 管 理 す る こ とに し,フ

ェ デ ラル ・フ ァ ソ ド ・レ ー トに つ い て は 大 幅 な 変 動 を 許 容 す る こ とに し た 。

新 方 式 は 効 果 的 で あ った 。 通 貨 供 給 量 は 抑 制 さ れ,金 利 は 急 騰 した 。 景 気 は 下 降 へ と転 じ,失 業 率 は80年 に は7.1%,81年 に は7.7%に 上 昇 した 。 しか しイ ン フ レ率 は 石 油 価 格 の 高 騰 名 目賃 金 の 上 昇,労 働 生 産 性 上 昇 率 の低 下 で10%を 超 え る高 率 とな っ た 。70年 代 前 半 期 の場 合 と同 様,今 回 の 場 合 も ケ イ ソ ズ 政 策 に よ る ブ ー ムは 短 期 に し て崩 壊 した の で あ る。

3,経 済 の 悪 化

70年 代 に ア メ リカ経 済 が 不 調 で あ った の は 経 済 の 基 調 が 悪 化 し て い た か らで あ った 。

実 質GNPの 年 平 均 成 長 率 は50年 代 の10年 間 に は3.9%,60年 代 に は4.1%と 高 率 で あ った が,70 年 代 に は2.8%に 低 下 した 。 経 済 成 長 の 鈍 化 は 需 要 不 足 に よ る もの で は な く,供 給 力 の 減 退 に よ る

も の で あ った 。

第 一 に,石 油 の 供 給 制 約 は 低 成 長 の 大 き な 要 因 で あ った 。50年 代 か ら60年 代 中 頃 に か け て の 経 済 発 展 は,石 油 そ の 他 一 次 産 品 の豊 富 な供 給 とそ の 低 廉 な 価 格 に 支 え ら れ て 実 現 し た もの で あ った 。 しか し70年 代 に 入 る と石 油 資 源 は 枯 渇 期 に 入 り, 石 油 需 給 は 著 し く逼 迫 す る こ と と な った 。 第 一 次, 第 二 次 の 石 油 危 機 は そ の 劇 的 な 現 わ れ で あ った 。 石 油 価 格 が 急 騰 す る と経 済 は大 き な 打 撃 を 受 け る。

産 業 の供 給 力 は 資 本,労 働,エ ネ ル ギ ー,原 料 の 利 用 可能 量 とそ れ ら の効 率 的 結 合 に 依 存 す る。 そ の 効 率 的 結 合 は そ れ ら生 産 要 素 の相 対 価 格 関 係 に よ っ て 決 ま る。 石 油 価 格 が 急 騰 す る と,従 来 の 相 対 要 素 価 格 の も と で効 率 的 で あ った 一 部 の資 本 設 備 は,新 しい 相 対 要 素 価 格 の も とで 必 要 と され る 資 本 設 備(エ ネルギー節 約的資 本設備)に 比 べ て 生 産 効 率 が 落 ち る こ とに な る。 エ ネ ル ギ ー節 約 的 生 産

(11)

ア メ リ カ経 済 力 の 後 退 につ い て

技 術 の導 入 に 遅 れ た ア メ リカ産 業 は 効 率 性 を 低 下 させ,一 部 の 資 本 設 備 の 陳 腐 化 も進 ん で,供 給 力 が 弱 体 化 し た の で あ っ た 。

第 二 に,労 働 生 産 性 上 昇 率 が 低 下 し た こ と も低 成 長 の 一 因 で あ っ た 。 民 間 企 業 部 門 の 労 働 生 産 性 (時間当 り生 産量)の 年 平 均 上 昇 率 は,50年 代 に は 3.4%,60年 代 に は2.8%で あ った が,70年 代 に は 1.3%へ と大 幅 に 低 下 し た 。70年 代 に は 労 働 力人 口が 急 増 した 。 戦 後 ベ ビ ー ・ブ ー ム世 代 が 成 人 に 達 し た た め で あ り,ま た 社 会 改 良 政 策 に 促 され て 黒 人 や 婦 人 の労 働 市 場 へ の 進 出 が 増 加 した た め で あ っ た 。 予 想 外 に 高 進 す るイ ン フ レの も と で 企 業 は 長 期 固 定 投 資 を 慎 重 に し雇 用 を 大 幅 に 増 や した 。 雇 用 の 年 平 均 増 加 数 は60年 代 に は130万 人 で あ っ

た が,70年 代 に は210万 人 に 急 増 し た(第3表 , 第5表 参照)。 他 方 で住 宅 以 外 の 民 間 総 固 定 投 資 の 年 平 均 増 加 率 は,60年 代 の5.8%0か ら70年 代 に は 3.7%に 低 下 し た 。 つ ま り産 業 の 労 働 集 約 化 が 進 み,労 働 節 約 的 技 術 の 導 入 は 進 展 しな か った 。

石 油 供 給 制 約 の 発 生,労 働 生 産 性 上 昇 率 の低 下, 石 油 節 約 的 ・労 働 節 約 的 技 術 革 新 の 停 滞 は 経 済 の 供 給 力 を 弱 め,経 済 成 長 を 鈍 化 させ た が,他 方 で は ケ イ ソ ズ政 策 に よ り総 需 要 が 拡 大 され,イ ソ フ レが 高 進 す る こ と に な っ た 。 イ ソ フ レ の 高 進 は 企 業 の 設 備 投 資 を 阻 害 し,供 給 力 を 悪 化 させ る 要 因 で あ った 。 イ ン フ レ と供 給 力 の 弱 体 化 とは 相 互 に 作 用 し あ っ て 進 ん だ の で あ っ た。 失 業 率 も上 昇 し た 。 経 済 成 長 が 鈍 化 した の に 労 働 人 口が 大 幅 に 増 え た か ら で あ った 。

イ ソ フ レ率 が60年 代 末 か ら70年 代 初 め に か け て 循 環 的 に 変 動 し な が ら全 体 とし て 上 昇 し,こ れ に 伴 っ て 失 業 率 も同 様 に 上 昇 し て い っ た こ とは,第

3表 と第5表 の数 値 か ら読 み 取 る こ とが で き る。

経 済 は イ ソ フ レの 高 進 が 失 業 の増 大 を 伴 うス タ グ フ レー シ ョン症 状 に 陥 っ た の で あ る。

経 済 は 対 外 的 に も悪 化 し た 。 ス タ グ フ レ ー シ3 ン の 中 で 産 業 の 国 際 競 争 力 は 低 下 し,貿 易赤 字が 増 大 し資 本 の 対 外 流 出 が 増 え て,ド ル は 主 要 通 貨 に 対 して 大 幅 に下 落 した 。 ま た70年 代 に は 連 邦 財 政 に お い て社 会 福 祉 支 出 が 増 大 し 国 防 支 出 が 実 質 的 に 減 少 し た こ とか ら,ア メ リカ の 対 ソ軍 事 バ ラ

一一27‑一

ソ ス が 崩 れ,国 際 政 治 に お け る ア メ リカ の 指 導 力 と威 信 が 低 下 した 。 イ ラ ソに お け る ア メ リカ大 使 館 員 人 質 事 件 や ソ連 の ア フ ガ ニ ス タ ン侵 攻 な どは そ の 端 的 な 現 れ で あ った 。

第3節 経済の弱体化

1.レ ー ガ ノ ミ ック ス

'"!年 は 大 統 領 選 挙 の 年 で あった 。 経 済 状 態 の 悪 化 は 経 済 政 策 の大 転 換 を 求 め て い た ユ8)。

最 大 の 問 題 は イ ン フ レで あ っ た 。 イ ン フ レは 名 目所 得 を 引 き上 げ た が,そ れ に実 質 が 伴 わ な い こ とか ら人hは 被 害 を 受 け た と感 じ,強 い 不 満 を 抱 い た 。 事 実,一 般 労 働 者 の 実 質 所 得 は70年 代 中 頃 か ら低 下 して きた1?)Qま た イ ン フ レに よ る 名 目所 得 の上 昇 は,納 税 者 を 高 率 の課 税 所 得 階 層 に 押 し 上 げ,そ の 税 負担 を 大 幅 に 引 き上 げ た 。 イ ン フ レ は 予 測 し難 く,経 済 生 活 に つ い て の 国 民 の不 安 感 を 高 め た 。 イ ン フ レは 高 金 利 を もた ら し,企 業 の 設 備 投 資 を 阻 害 し,生 産 性 上 昇 率 の 低 下 と低 成 長 に 導 き,経 済 を 弱 体 化 させ る,と 主 張 され た 。 イ ソ フ レは 諸悪 の 根 源 と考 え られ た の で あ っ た 。 ヶ イ ン ズ政 策 が イ ン フ レの 主 因 で あ る との 認 識 が 広 ま り,ケ イ ソ ズ 理 論 の 権 威 は 失 墜 す る に い た っ た 。 イ ソ フ レ抑 制 の た め に 通 貨 供 給 量 の 管 理 を主 張 す る マ ネ タ リズ ムが 注 目を 集 め,広 く受 け 入 れ られ る よ うに な っ た 。

財 政 政 策 も大 き な 問 題 で あ った 。 財 政 赤 字 は 民 間 貯 蓄 の 大 き な シ ェ アを 吸 収 す る こ と に よ って 経 済 成 長 を 抑 制 す るば か りで な く,イ ソ フ レの 一 因 に な る と の 理 解 か ら,そ の 削 減 に よ る財 政 の 均 衡 が 求 め られ た 。 社 会 福 祉 支 出 は 労 働 者 の 勤 労 意 欲 を 損 い,家 庭 崩 壊 の 一 因 に もな っ て い る との 認 識 か ら,行 き過 ぎ た 福 祉 国 家 の 見 直 しが 主 張 され た 。 均 衡 財 政 と 「小 さ な 政 府 」 を 主 張 す る古 典 派 理 論 が 復 活 し た 。 イ ン フ レ に よ る 税 負 担 の増 大 に 反 対

し て大 幅 減 税 の 要 求 が 強 ま り,広 範 な 支 持 を 得 た 。 しか し常 識 的 な 考 え 方 に よれ ば,大 幅 減 税 は 税 収 の減 少 を もた ら し,財 政 赤 字 を 増 や す こ とに な り,均 衡 財 政 の 圏標 とは 両 立 で き な い も の で あ っ た 。 この ジ レ ソ マ を 解 決 す る理 論 を 提 供 した の が 供 給 重 視 経 済 学(サ プ ライサイ ド・エ 盟ノ ミックス)

参照

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