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大開口部を有する建築物に作用する津波波力に関する実験的研究

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Academic year: 2022

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(1)B-69. 平成22年度. 土木学会北海道支部. 論文報告集. 第67号. 大開口部を有する建築物に作用する津波波力に関する実験的研究 Experimental Study on Tsunami Force Acting on a Building with a Large Opening 釧路工業高等専門学校建築学科 釧路工業高等専門学校専攻科 独立行政法人土木研究所寒地土木研究所. 1.まえがき 日本における津波研究は世界をリードしてきたが,陸 上建築物と津波の相互作用に関する研究は比較的少ない. 特に,建物形状については単純な直方体を用いる場合が 多く,建物の形状を考慮した研究は極めて少ない.2005 年に公表された内閣府の津波避難ビル等に係るガイドラ イン 1)(以下,ガイドラインと記す)においては,直 方体構造物を対象とした朝倉ら 2)の実験結果を基本と しており,他の形状についても同様な波圧分布から類推 する手法を提示している.しかしながら,津波避難施設 を合理的に設計したり,様々な形状が混在する市街地の 津波による建物被害を精度よく予測,検証するためには, 建築物の形状の違いによる津波波力の相違についての基 本的な知見が必要である. これまでに,建物形状を考慮した研究例として,奥田 らの研究3),4)がある.奥田らは,RC 造 3 階建て校舎 を対象として,開口の有無による津波荷重の相違につい て 3 次元数値シミュレーションによる検討を行い,開口 部の面積が 40%までであれば線形に津波力が低減する ことを示している.しかしながら,奥田らの研究で対象 としている開口部は窓を想定したものであり,壁一面が 開口となるような場合は想定していない. そこで本研究では,1 階が駐車スペース等に利用され るような比較的大きな開口部を有する建築物を想定し, 津波が作用した場合の波圧や波力の特性について水理模 型実験により検討した. 2.実験条件 実験は,(独)土木研究所寒地土木研究所の 2 次元造 波水路(幅 0.8m×高さ 2.0m×長さ 22.0m)を使用して 行った.建物模型は,図-1 に示すように,静水面より 高い陸上部(汀線から 0.7m)に 2 分力計を介して水路 上方から吊るした.建物模型は 1 階沖側を壁面の無い開 口面とし,図-1 に示すように,沖側外壁,1 階天井面 および岸側内壁に波圧計を設置した. 津波の造波は造波板を沖から岸に向かって一回作動さ せる方法で行い,その作動距離と作動時間を変化させて 表-1 に示す 5 種類の波についてデータの計測を行った. ここで,表-1 に示す津波高は,模型を設置しない状況 での模型設置位置の津波の水深である.なお,各ケース について 3 回測定した. 3.実験結果および考察 図-2 に,CASE-2 の壁面に作用する波圧の時系列変. ○正員 正員. 加藤雅也(Masaya Kato) 細川挙(Aguru Hosokawa) 山本泰司(Yasuji Yamamoto). 図-1 実験模型と計測器配置(単位:mm) 表-1 津波の条件 造波板 作動時間(sec) CASE-1 CASE-2. 0.03 7.0. CASE-3 CASE-4 CASE-5. 津波高(m) ηmax 0.05 0.07. 5.0. 0.05 0.08. 動を示す.この図から,津波が建物 1 階内部に侵入し, 内壁に衝撃性を伴う大きな圧力が作用していることが分 かる.その後やや遅れて,壁面に沿う水位の上昇に伴っ て沖側外壁に取り付けた波圧計の数値が上昇しているが, 圧力変動に衝撃性は見られず重複波圧が作用している. このような波圧の時系列変動は,今回行った実験ケース では,津波高が最も小さく 2 階沖側壁面に水位が達しな い CASE-1 を除いて,概ね同様な特性が見られた.ただ し,津波高が大きくなると岸側内壁に作用する衝撃波圧 が増し,造波板作動時間が短い場合は内壁と沖側外壁の 波圧の位相差が小さくなる傾向があった(図-3 参照). 図-4 に,CASE-5 の波力の時系列変動を示す.水平 波力,鉛直波力ともに,最初に衝撃荷重が作用した後重 複波力が作用し,時間経過とともに波力は緩やかに減少 している.本ケースでは水平波力を上回る鉛直波力が作 用しており,このような大きな開口面を有する建築物に おいては,鉛直壁面だけでなく 1 階天井面の安全性につ いて検討する必要性があることがわかった..

(2) 土木学会北海道支部. 12 10. 波圧(gf/cm²). 第67号. 3. CASE-2. 2.5. CASE-3. 2. CASE-4. 1.5. CASE-5 ガイドライン. 1 0.5 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. Pmax/ρgηmax. 図-5 鉛直波圧分布の比較. 8 7. CASE-2. CASE-3. 6. CASE-4. CASE-5. 5 4 3. 2. 8. 1. No.1. 0. 6. No.4. 4. No.5. No.6. No.7. 波圧計番号. No.2. 2. 図-6 1 階天井面の波圧分布の比較. 0 -2 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 4.あとがき 1 階沖側に大きな開口を有する建築物に作用する津波 波力を調べるために水理模型実験を行った.その結果, ガイドラインに示される波圧分布とは異なる大きな波圧 が作用する場合があること,また,鉛直方向にも大きな 荷重が作用するので天井面の安全性にも配慮する必要が あることがわかった.. 時間(s). 図-2 波圧の時間変動(CASE-2) 70 60 波圧(gf/cm²). 論文報告集. 3.5. Z/ηmax. 図-5 に,波圧の鉛直分布の比較を示す.前述したよ うに沖側外壁面と岸側内壁面では波圧の変動に位相差が あるが,図-5 では各測定位置の最大値(測定 3 回の平 均)を示している.また,図中の実線は,ガイドライン に示されている波圧分布である.津波高が小さい場合は, 概ねガイドラインに示されている波圧分布を用いれば安 全に設計できるといえる.しかしながら,津波高が大き くなると,CASE-5 のように 1 階内壁に作用する波圧が ガイドラインに示された推定法による波圧を大きく上回 る可能性があることがわかった.これは,ポケット状の 1 階部分に津波が侵入することにより,管路における水 撃と同様な状態が生じたのではないかと考えられる.ま た,CASE-5 と CASE-3 の比較から,1 階内壁に作用す る波圧には,造波板の作動時間の違いによる津波先端部 の流速の違いの影響もあると考えられる. 図-6 に,1 階天井面に作用する波圧分布の比較を示 す.1 階天井面に作用する波圧は,概ね建物内部に向か って増加する傾向がみられる.. Pmax/ρgηmax. 平成22年度. 50 40. No.1. 30. No.2. 20. No.3. 10 0 -10 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 謝辞 本研究の実験を行うにあたり,(独)土木研究所寒地 土木研究所寒冷沿岸域チームの皆様をはじめ多くの方々 のご協力を賜りました.ここに記して謝意を表します.. 時間(s). 図-3 波圧の時間変動(CASE-5) 25. 波力(Kgf). 20 15 鉛直波力. 10 水平波力. 5. 0 -5. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 時間(s). 図-4 波力の時間変動(CASE-5). 18. 参考文献 1)内閣府:津波避難ビル等に係るガイドライン,巻末 資料②構造的要件の基本的な考え方,2005. 2)朝倉ら:護岸を越流した津波による波力に関する実 験的研究,海岸工学論文集,第 47 巻,土木学会, pp.911-915,2000. 3)奥田ら:建築物に作用する津波のシミュレーション, 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.195-196, 2007. 4)奥田・阪田:建築物に作用する津波のシミュレーシ ョンその 2 開口部の影響,日本建築学会大会学術講 演梗概集,pp.77-78,2008..

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