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P00_P39第5回東アジア地方政府会合報告書

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(1)

5

報 告 書

東アジア地方政府会合

2014.10.27

(MON)

29

(WED)

The East Asia Local and Regional Government Congress

(2)

第5回東アジア地方政府会合報告書

【 目 次 】

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※肩書は会合当時のもので表記しております。

プログラム

ご挨拶

参加地方政府団長リスト

実務者討議

テーマ1「地域経済の振興」

テーマ2「まちづくり」

テーマ3「観光振興」

首長討議

テーマ1「地域経済の振興」

テーマ2「まちづくり」

テーマ3「観光振興」

プレゼンテーション

代表記者会見

新聞記事

資料集

◇テーマ1「地域経済の振興」

[講師スピーチ資料]

藻谷 浩介 〈(株)日本総合研究所調査部主席研究員〉

[リージョナルレポート]

・西ジャワ州

・ジョグジャカルタ特別州

・扶余郡

・フートー省

・フエ市

・福島県

・新潟県

・石川県

・徳島県

・香川県

・奈良県

・新潟市

・御所市

・明日香村

・広陵町

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◇テーマ2「まちづくり」

[講師スピーチ資料]

森地 茂 〈政策研究大学院大学・政策研究センター所長〉

[リージョナルレポート]

・山東省

・西安市

・濰坊市

・西ジャワ州

・忠清南道

・福井県

・三重県

・和歌山県

◇テーマ3「観光振興」

[講師スピーチ資料]

山田 桂一郎 〈JTIC.SWISS代表・政府認定観光カリスマ〉

[リージョナルレポート]

・江蘇省

・安徽省

・河南省

・甘粛省

・臨沂市

・東営市

・西ジャワ州

・マラッカ州

・京畿道

・公州市

・瑞山市

・慶尚北道

・トゥアティエン・フエ省

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・高知県

・奈良県

・多賀城市

・天理市

・橿原市

・斑鳩町

・下市町

・青森県

・山梨県

・長野県

・岐阜県

・静岡県

・京都府

・鳥取県

・島根県

・熊本県

・奈良県

・太宰府市

・奈良市

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(3)

第5回

東アジア地方政府会合 概要

ご 挨 拶

プログラム

第 5 回東アジア地方政府会合の開会にあたり、開催地の知事として歓迎のご 挨拶をさせていただく。日本国が誕生した時代に、ユーラシアの文明がもたらされ たのが、この奈良の地である。その当時の歴史に感謝の気持ちを込めて、新しくグ ローバル化する東アジアの中で、このようなタイプの勉強会をすることが有意義で はないかという発想のもとに開催している。 私たち地方政府には、中央政府あるいは国家のように、外交交渉、戦争、安全 保障という課題ではなく、地域振興をどうするか、住民の福祉をどのように達成す るかということに関心が集中している。この会合においても、それが共通の課題で あると実感している。 参加いただいている地方政府は、大きな州・省もあれば、小さな町もあるが、住民との距離が近く関係が深い という点は共通しているように思われる。 今回は 7ヶ国 41 地方政府に参加いただき、新たにミャンマーのマグウェイ地域政府から大臣にゲストとしてお 越しいただいた。また、ウズベキスタン大使館からもオブザーバーとして参加いただいている。多くの地方政府の 方々に参加いただいたことに感謝申し上げる。皆様の地域のご発展と参加の皆様の滞在が実り多いものとなるこ とを祈念し、開会の挨拶とさせていただく。

石原 信雄 

(一財)地方自治研究機構会長 現在、世界的に経済が停滞している中、東アジアは最も活力があるといわれて いる。その東アジア各国の地方政府がこうして一堂に会し、それぞれの地域の問 題を報告し意見交換をすることは、単にその地方政府の住民のためになるばかり でなく、その国全体のためにもなると思う。 私は、長いあいだ中央政府の立場で国の問題、地方の問題に関わってきた。中 央政府のレベルではさまざま困難な問題を抱えているが、地方政府は地域の住 民の幸せをいかに高めるかということで共通の関心を持っている。地方政府の関 係者がそれぞれの問題を出し合い、交流を深めることは、ひいては国と国との関 係改善にも大きく寄与すると、自らの経験を通して認識している。 今回は「地域経済の振興」「まちづくり」「観光振興」の 3 つのテーマについて関係地方政府の意見交換がな されるが、どれも我が国の地方政府が共通して関心を持っているテーマである。我が国は今、人口減少に悩んで おり、この問題にいかに対応し、解決するかということは、中央政府にとっても地方政府にとっても緊急の課題であ る。この問題に対処するうえでも、本日の主要テーマが解決されれば、この流れに歯止めをかけることができると 期待される。それぞれの地域が抱えている実状を出し合い、よりよい成果を上げていただくことを期待している。 ホテル日航奈良・奈良ロイヤルホテル

■10/27

(月) 14 : 00 − 16 : 30 17 : 00 − 18 : 30 19 : 00 − 20 : 30

バイ会談

エクスカーション①(興福寺国宝館)

ウェルカムレセプション

ホテル日航奈良

■10/28

(火) 08 : 30 − 12 : 00 12 : 00 − 13 : 00 13 : 00 − 13 : 30 13 : 30 − 14 : 10 14 : 10 − 17 : 40 17 : 40 − 18 : 05 18 : 15 − 18 : 50 19 : 00 − 21 : 00

オリエンテーション・実務者討議

昼食①

開会式

プレゼンテーション

首長討議

記念撮影

代表記者会見

知事招宴

ホテル日航奈良

■10/29

(水) 08 : 00 − 12 : 00 12 : 00 − 12 : 50

エクスカーション②(正倉院展・大古事記展)

昼食②

荒井 正吾 

奈良県知事

(4)

People’s Republic of China

Anhui Province

LU, Xiaomei Director, International Friendship Relations Division

Shandong Province

REN, Chaorong Deputy Counsel, General Office of CPC Shandong Provincial Committee

Weifang City

YU, Weijie Director, Weifang Bureau of Tourism

Dongying City

CHEN, Xinjun Deputy Director, Dongying Bureau of Tourism

Name Organization

Socialist Republic of Viet Nam

Phu Tho Province

VI Trong Le Vice Chairman, Phu Tho People's Council

Thua Thien Hue Province

NGUYEN Dung Vice Chairman, Thua Thien Hue People's Committee

Viet Tri City

DAO The Dung Vice Mayor

Name Organization

Republic of the Union of Myanmar (Guest)

Magway Region Government

Kyi Min Minister, Ministry of Finance

Name Organization

Republic of Korea

Gyeonggi-do Province

PARK, Gyu Cheol Deputy Director, Tourism Division

Chungcheongnam-do Province

HEO, Seung Woog Vice Governor

Gongju City

HONG, Gi Seok Head, Tourism Division

Seosan City

KIM, Jung Kyum Department Manager, Culture And Tourism Department

Gyeongsangbuk-do Province

HONG, Seog Pyo Deputy Director, Division of International Business

Name Organization

Fukui Prefecture

DOUSAKA, Tsukasa Director, Transportation and City Development Division

Yamanashi Prefecture

YOKOUCHI, Shomei Governor

Nagano Prefecture

NOIKE, Akito Director General, Tourism Department

Shizuoka Prefecture

NAMBA, Takashi Vice Governor

Mie Prefecture

TANIAI, Ryu Deputy Director General, Tourism and International Affairs Bureau

Kyoto Prefecture

HIRAI, Yuko

Wakayama Prefecture

NODA, Hiroyoshi Director General, Planning Department

Tottori Prefecture

MORITANI, Kunihiko Director General, Culture, Tourism and Sports Bureau

Shimane Prefecture

ISHIKAWA, Atsushi

Tokushima Prefecture

KAWAGUCHI, Masamichi Bureau Head, Agriculture, Forestry and Fisheries Department

Kagawa Prefecture

ASANO, Koji Assistant Director General, Commerce, Industry and Labor Department

Kochi Prefecture

TAKEZAKI, Yukihiro

Nara Prefecture

ARAI, Shogo Governor

Tagajo City

KIKUCHI, Kenjiro Mayor

Niigata City

YAMAGUCHI, Hideki Vice Mayor

Dazaifu City

OOTA, Seizou Section Manager, Department of Construction and Economy

Tenri City

NAMIKAWA, Ken Mayor

Kashihara City

MORISHITA, Yutaka Mayor

Gose City

NAKAMOTO, Toshio Chief of Section, Commerce and Industry Section

Ikaruga Town

KOJO, Toshishige Mayor

Asuka Village

MORIKAWA, Yuichi Mayor

Republic of Indonesia

Province of Yogyakarta Special Region

Kristiana Swasti Head, Women and People Empowerment Board

Name Organization

Malaysia

Melaka State

Roslan Bin Ibrahim Deputy State Secretary (Development)

Name Organization

Fukushima Prefecture

KAGEYAMA, Hiroshi Office Director, Osaka Office

Niigata Prefecture

SAITO, Takahiro Staff, International Affairs Division

Japan

Aomori Prefecture

HORI, Yoshiaki Team Leader, Bureau of Strategic Tourism and International Affairs, Marugoto Aomori Information Broadcast Team

Name Organization

Director General for Tourism Policy, Department of Commerce, Labor and Tourism

Senior Chief Coordinator, Tourism Promotion Division, Department of Commerce, Industry and Labor

(5)

概 要

-Overview-The 5th East Asia Local and Regional Government Congress

Koryo Town

YAMAMURA, Yoshiyuki Mayor

Shimoichi Town

SUGIMOTO, Tatsuaki Mayor

Nara Prefectural Assembly

IOKA, Masanori Vice Chairman

TSUBUTANI, Tomoshi Chairman, Committee on Economic and Labor

HARI, Mayumi Member, Special Policy Committee on Tourism Promotion

(6)

テーマ1

「地域経済の振興」

実務者討議

ジョグジャカルタ特別州

フートー省、フートー省ベッチ市

徳島県、香川県、奈良県、奈良県御所市、奈良県広陵町

マグウェイ地域政府(ゲスト)

インドネシア

ベ ト ナ ム

ミャンマー

参加地方政府

講    師

藻谷 浩介

(株)日本総合研究所調査部主席研究員

参加地方政府のリージョナルレポートの概要

日本・奈良県

○奈良県は、県内に就労の場が少なく、県内就業率が全国一低いため、企業誘致とともに、起業・創  業の促進を目指し、次の施策を実施。 ①起業機運醸成のための「ビジネスコンテスト」の実施 ②起業家のスタートアップ支援のための「ビジネスインキュベータの設置・運営」、「起業家や創業   支援機関のネットワーク化」、「低利融資制度」等 ③起業家マインドの養成、教育 ○女性の雇用では、就業率が全国一低いため、女性の社会進出を支援する次の施策を実施。 ①国の機関と連携した、就職相談窓口の設置・運営 ②女性の起業家の養成、ネットワークづくりの推進、翻訳者の養成 ③育児休業の取得促進のための支援制度の創設

ベトナム・フートー省

フートー省は国際社会との協力関係をますます拡大しており、政治的・社会的情勢についても安定を 保っている。政府は、一人当たりGDP の 2,000ドルから 2,200ドルへの引き上げや、毎年 22,000 人の労 働者雇用といった、社会経済の効率化を推進する新たな政策を打ち出した。 社会経済発展のための 3 つの飛躍ステップの実施 ①主要な社会経済インフラに投資リソースを投入 ②人材育成を推進 ③観光開発を促進

日本・御所市

○御所市は事業所(働く場)が少なく、若年層を中心に人口が流出し、人口の減少、少子高齢化が進  んでいる。 ○安定した就業の場の確保と地域産業の強化による人口流出の阻止、UIターンの促進を目指し、次  の重点施策を実施し、自主財源の確保と義務的経費(扶助費)の抑制に努める。 ①京奈和自動車道御所 IC 周辺の産業団地造成事業の推進 ②企業誘致を推進し、地域産業の強化と就業の場の創出を目指す ③耕作放棄地を活用し、御所ブランドの商品を検討創出 ④豊かな観光、自然資源などの当市の魅力を発信し、誘客促進を図り、活性化を図る 就業の場の確保と地域産業の強化

日本・徳島県

本県では、豊富な森林資源を背景に、林業・木材産業の振興と山村の活性化を目指して、これまで 数次のプロジェクトを実施している。平成 17 年度からの「林業再生プロジェクト」では、高性能林業機械 による間伐材の生産と合板への利用、平成 19 年度からの「林業飛躍プロジェクト」では、間伐材の更な る増産と低質材の MDF(中密度繊維板)利用を進め、間伐材の効率的な生産システムと「根元から梢 まで」利用する加工体制が整ってきたところである。 平成 23 年度からは、資源が成熟度を増す中、間伐に加え主伐を含む県産材の生産・消費量を今 後 10 年間で倍増させることを戦略目標に掲げた「次世代林業プロジェクト」に取り組んでいる。 次世代林業プロジェクト

日本・広陵町

就農に意欲のある担い手の育成・確保の一環として平成 26 年度より「広陵町農業塾」を開講。町に おける新規就農者を確保し、直売所への出荷や農産物のブランド化など本格的な生産流通を目指すこ ととしている。 農業塾の開講 県内における起業家の育成と女性の社会進出の推進

日本・香川県

我が国の経済は、消費税率の引上げによる駆け込み需要の反動減はあるものの、緩やかに回復を続 けているが、中長期的な視点では、人口減少や少子高齢化など、経済に大きな影響を与える課題があ る。このような中、「香川県産業成長戦略」に基づき、以下のような取り組みを積極的に進めている。 ○大きな可能性を秘める希少糖や生産量全国1位のオリーブなど香川の強みを生かした、新たな活力 や付加価値を生み出す成長産業の育成・集積 ○企業の競争力強化や海外展開、人材の育成・確保など各分野に共通する取り組み 「香川県産業成長戦略」に基づく施策展開

(7)

実務者討議

(歴史都市の開発と保存) 奈良は古き良きものを守り、あえて工場を作らない選択をしてきたが、それが経済的マイナス に働いた側面もある。どう開発を進めるべきか、歴史資産を保ちつつ発展を進める地域の参考 になるだろう。 (高度成長後の日本の地域産業) 広陵町では農業(ナス・イチゴ)も靴下産業も高度成長を果した日本で生き残ってきた。製 品を特化し、高くても売れるものへシフトすることで成功した例である。 (地域資源を活かした産業振興) 徳島は広大な山林を活かし林業の再生を図っている。日本の林業はコストが高く容易に東 南アジアに勝てないが、工夫と努力で対抗できるよう取り組んでいる。経済発展の中で取り残さ れる林業や農業の活性化のよい手本である。 (古くから発展した地域の課題) 御所市は発展が早かったために新たに使える土地が少なく成長が鈍化してしまった。また 古くからの観光地でもあるが、新たな担い手がないため宿泊施設が潰れ、若い世代の活力が 不足しているという典型的な日本の課題も抱えている。現在、地域の高校と人材育成について 連携する等の努力を続けている。 (循環する経済成長) 産業の成長は循環する。多くの部分で日本は先に発展したが、林業等は既に停滞し、今度 はそれが再生を始め、アジア諸国に追い付くべく努力をしている。農業の中には消えたものと生 き残ったものがある。各国の産業は直線的に成長しているのではなく、循環していることが感じ られた。 (地域経済を担う人材) 都会への人材流出は地方都市が常に直面する問題である。また人材については、地元の 産業が発展すると、次いでマネジメントやマーケティング、デザイン、商品開発などが重要とな り、それらを担う人材を地域でいかに育成するかという課題も生じてくる。 (マイクロファイナンスの導入) ジョグジャカルタは古い市街地の残る美しい都であるが、貧しい女性の生活水準改善のた めにマイクロファイナンス(1 件あたり50ドル程度の貸付)が導入された。観光地で工芸品も多 く、類似の商品との厳しい競争が強いられているが、マイクロファイナンスの実施により、商品の 質を高める指導を行うとともに、地元にお金が残るような産業づくりが行われている。 伝統工芸や観光などの地域産業を高付加価値化するためには、個人の産業を高度化する 必要がある。現在の日本の信用金庫などは、大きな規模になったために自由な動きが取れず、 少額融資のニーズには対応できていない。日本においてもマイクロファイナンスという手法を実 施していくことが必要かもしれない。

インドネシア・ジョグジャカルタ特別州

ジョグジャカルタ特別州 2012 ∼ 2017 年の中期開発計画(RPJMD)の策定 ①組織基盤を強化し、地域経済構造に基づいた観光業と、社会の繁栄に向けた民主主義の精神によ る、地域の可能性を強化する。 ②経済的弾力性を向上させる。 ③反応性の高い、適応可能な、地域経済統治体制を構築する。 ④投資、特に、不可欠な非政府/民間の投資をサポートする。

藻谷 浩介 

(株)日本総合研究所調査部主席研究員

講師コメント

地域開発計画委員会

(8)

テーマ2

「まちづくり」

実務者討議

参加地方政府

講    師

山東省、山東省濰坊市

忠清南道

福井県、和歌山県、高知県、奈良県、奈良県天理市、

奈良県橿原市、奈良県斑鳩町

森地 茂 

政策研究大学院大学・政策研究センター所長

参加地方政府のリージョナルレポートの概要

日本・和歌山県

「安全と安心」、「未来への投資」の 2 つの政策を柱に、企業や県民一人ひとりが可能性を最大限に 発揮できる社会づくりを推進する。 ①「安全と安心」の政策  •防災・減災対策の推進 •質の高い医療の確保と健康づくり •安心して暮らせる福祉社会の構 築 •生活環境の整備と治安の確保 ②「未来への投資」の政策  •紀の国わかやま国体・大会に向けてスパート •地域経済を支える産業の強化 •農林水産業の 競争力強化 •魅力ある地域づくり •成長を支える社会インフラ等の整備 •教育と文化の振興 「未来に羽ばたく元気な和歌山」の実現 南海トラフ地震対策の推進

日本・奈良県

○奈良県の最南部にある十津川村では、2011 年の台風により甚大な被害を受けた。 ○従来から過疎・高齢化対策を検討していた村では、災害からの復旧・復興を契機として、集落の維  持・再生に繋げるための取り組みを進めている。 ①地元材による応急仮設住宅、伝統様式による復興モデル住宅、集落景観に配慮した復興住宅の   建設 ②村の将来像を議論・検討する部局横断的な村内会議の立ち上げ ③今後の村づくりに繋がる「村の芯づくり」事業の実施 ○奈良県は、山間部集落の維持・再生のモデルとなるこれら取り組みを継続的に支援している。 山間部における集落再生の村づくり

日本・天理市

天理市には、歴史・文化資産、自然環境など地域ならではの資源が数多くあるが、街の活性化に活 かし切れていない。すぐに全国発信できるものや、組み合わせや手を加えることで市を代表するものに育 つ資源がある。これらを活かし産業振興・街の活性化につなげるために、次の取り組みを重点実施する。 ①エリアごとに街づくり協議会を設置し、活性化策を立案・実施 ②市のにぎわい拠点づくり ③発信力の強化 地域と共に進める発信力を持った街の活性化

日本・橿原市

○市の中心部に県立医大があり、医療や医学を中心としたまちづくりに適している。 ○利用率の低下に伴う路線バスの減便等により、公共交通空白地域が拡大傾向にある。 ○少子高齢化に伴う空き家の増加により、歴史的景観の保全等が懸念されている。 ○これらの状況を踏まえ、下記の取り組みを展開する。  ①宿泊機能や散策路の整備による医療ツーリズムの環境整備  ②公共交通ネットワークの再編や新たな移動手段の社会実験  ③空き家化した町屋の利活用と歴史的景観の保全 医療・交通・観光の各施策の連携による地域の活性化

日本・高知県

○東日本大震災の教訓や、最新の知見に基づいた新たな被害想定を踏まえ、「最大クラス (L2)」と「発 生頻度の高い一定程度の規模 (L1)」の異なる 2 つの地震を前提として、ハード・ソフトの両面から 対策を進めている。 ○知事を本部長とする「南海トラフ地震対策推進本部」において、対策を着実に推進するために定めた 南海トラフ地震対策行動計画を進めながら PDCA による不断の見直しを行っている。 ○現在、2013 年度から 3 カ年の第 2 期行動計画に基づき、津波からの避難路や避難場所、津波避難 タワーなど「命を守る」対策に最優先に取り組むとともに、本年度からは避難所確保や応急救助機関 の活動拠点の整備など、助かった「命をつなぐ」対策を本格化させている。

日本・福井県

○北陸新幹線、舞鶴若狭自動車道、中部縦貫自動車道の整備など、福井県を取り巻く高速交通体系が 大きく進展し、広域的な交流促進を進める環境が整いつつある。 ○県内市町への玄関口となる福井市が、県都としての魅力を高め、経済、観光、文化の面で県内各地を リードし、福井県全体の都市力を向上させていく必要がある。 ○県都のまちづくりについて、県と市が県都の将来像を共有し具体化を目指していくことができるよう、長 期的な視点を持って都市の再設計を構想し、次の時代に受け継ぐ県都のまちづくりの指針となる「県 都デザイン戦略」を策定した。 福井県と福井市の共同による『県都デザイン戦略』の策定

(9)

実務者討議

日本・斑鳩町

○少子高齢化の進展など社会情勢が大きく変化するなか、公的サービスに対する住民のニーズは多様 化し、従来の均一の公的サービスのみでは対応できなくなっているが、厳しい財政状況や人的状況の なか、公的サービスの拡大には限界がある。 ○2011 年に策定した第 4 次斑鳩町総合計画において、「協働」を重要なテーマのひとつとして掲げ、新 たな公的サービスの担い手として、住民等と行政とが、共通の目的を達成するために、役割分担しなが ら連携、協力して公共的又は公益的な課題に取り組む「協働のまちづくり」を進めていく方針を打ち出 し、その仕組みづくりに取り組んでいる。 斑鳩町協働のまちづくりの推進

中国・濰坊市

諸城市は世界最大規模の恐竜化石群・足跡化石群を有しており、恐竜の化石が豊富に出土するこ とから、国土資源部より「中国竜城」との名を冠せられている。ユネスコの専門家チームにより「類いまれな 地質景観」と認定。 諸城市では、世界レベルの資源を保護・活用するため恐竜文化観光区プロジェクト計画を策定。同 プロジェクトは諸城市竜都街道にて実施、計画総面積は 28 ㎢、うち中心区域の面積は 9.45 ㎢、投資総 額は 60 億元の見込み。 諸城市恐竜文化観光区 恐竜化石資源の保護と活用に向けた恐竜化石の観光開発 住みやすく、活気に満ちたまちづくり

中国・山東省

山東省では次の取り組みを進めている。 ①「第十二次五カ年計画」の作成・実行及び「第十三次五カ年計画」の検討開始 ②地域の協同発展 ③産業構造の調整と進化、インフラ整備 ④改革の全面的推進 ⑤社会事業・社会保障の整備 暮らしやすい希望の村づくり

韓国・忠清南道

○これまでの空間中心の村づくりから、人と共同体中心の村づくりへと拡大・変化させ、「生産」「定住」 「余暇」のすべての機能が活性化されるように推進 •暮らしやすい定住条件 •持続可能な生産、経済活動 •レベルの高い文化余暇生活 ○沈滞している村には、動機づけや推進力強化によって新たに村発展の機会を提供し、既に村づくりの 経験のある村には、さらに活性化するように支援して、住民が未来に希望を持って生きて行くことので きる「希望の村づくり」を推進 (災害に備えた安全・安心のまちづくり) 災害については、想定外をなくす構想力を蓄え想定内にする努力が必要である。その際想 定される事態に対して、いかに優先順位をつけて対応するかが重要。その上で不可避の想定 外の事態への対応力を養うことがポイント。 (災害時におけるロジスティクスの確保) 災害時の用地は仮設住宅用だけでなく、救援救護活動用や救援物資配送拠点用等様々 な用途に必要。防災計画には「必要」と書かれていても場所を特定していないケースが多い が、これは重要な課題である。 (過疎地の高齢化と集落再編) 過疎地の高齢化と人口減少が進み、買い物や医療など生活サービス維持の為に集約せざ るを得ず、集落再編も望まれるが、住民の地元への思いもある。将来像を見据えた奈良県と十 津川村の復旧への取り組みは参考となる。 (地域力の結集と海外へのアプローチ) 後継者を確保し魅力的なまちづくりをするには、すべて行政任せにせず、自ら参加しようとす る姿勢もポイント。また、海外観光客が持つ日本の情報が循環して日本人に伝わり活性化に結 び付く場合もある。海外マーケットへのアプローチ等、検討すべき点は多い。 (地域医療のネットワーク) 災害時あるいは高齢化の進む都市において、医療機関の人手不足は必至である。大規模 病院から地域の医師までいかにネットワーク化するか、それに合わせて交通をどう整備していく かが最大のポイント。 (山東省の発展) 山東省はバランスよく経済発展をしている。高度成長期の歪みをどう解決するかという課題 があるが、迅速果敢に政策を展開している姿勢はぜひ学びたい点である。 (韓国の先進的な取り組み) 日本よりも合計特殊出生率が低い韓国では、地方における少子高齢化対策が始まってい る。市町村合併を進め企業を誘致する、兵役免除の方法で若手医師を地方に呼び込む、オン ドル文化を活用し独居老人に共同で住んでもらう等である。韓国は首都機能移転も含め先進 的に展開しており、学ぶべき点が多い。 (人口減少対策について) 地方の農業地域や漁業地域には、高収入の雇用があっても教育や娯楽、文化などの生活 サービスが整っていないところがある。一方、大都市近郊では人口減以上に生産額が落ちてい る地域も多い。こうした問題にそれぞれ適切に対応することが必要。 (まちの魅力づくりと発信) まちづくりとは魅力を高めることである。景観、歴史、生活サービス等、魅力の感じ方は人に よって違うため、ターゲットを設定し進めることが重要。また先進的な試みを行っている地域は、 情報を発信することが重要である。

森地 茂 

政策研究大学院大学・政策研究センター所長

講師コメント

(10)

テーマ3

「観光振興」

実務者討議

安徽省、山東省東営市

マラッカ州

京畿道、忠清南道公州市、忠清南道瑞山市、慶尚北道

トゥアティエン・フエ省

青森県、山梨県、長野県、静岡県、京都府、島根県、

奈良県、福岡県太宰府市

マレーシア

ベ ト ナ ム

参加地方政府

講    師

山田 桂一郎 

JTIC.SWISS代表・政府認定観光カリスマ

参加地方政府のリージョナルレポートの概要

東営エコツーリズム発展促進の取り組み 歴史的、文化的発展から見た観光プロモーション

日本・青森県

青森県における観光の課題克服のために定めた戦略プロジェクトのうちの一つである、「青森ならで は」を強く印象付ける観光コンテンツの開発と、地域ブランドの確立を目指している。 魅力ある観光地域づくりによる地域ブランドの確立

中国・東営市

科学的根拠に基づいた計画により、特色ある観光地をシステマティックに構築する。取り組みとしては 6+10 観光地プロジェクト、観光客受入システムの一本化、旅行会社のブランディング戦略の推進、競争 力のある旅行市場の仕組みづくり、東営市の観光ブランド「黄河が海に流れ入る地・龍の飛び立つ地 ―東営」の PR、生態系との共存・持続可能な発展をコンセプトとする観光経済モデル形成など。東営 エコツーリズムを速やかに実現し、国内外に知られるリゾート地とすることを目指す。

マレーシア・マラッカ州

 現在、マラッカには、町の各地で、文化、風習、史跡、宗教的祝祭、伝統的な祝典など、旅行者に提案 できるものが数多く存在する。 経済成長(GDP)に大きく貢献する観光産業を開発することが最大の使命: ○毎年 100 万人の旅行者の増大(2013 年の旅行者数は 1431 万人で、2014 年には 1500 万人の旅 行者数が見込まれる) ○2014 年はマラッカでの滞在期間を 3 泊以上に延長させる 白頭山脈探訪列車の運行による地域経済の活性化

韓国・慶尚北道

○白頭山から智異山まで続く朝鮮半島の最大最長の山脈である白頭山脈のうち、江原道、忠清北道、 慶尚北道の境界地域の自然の山林において、鉄道路線と周辺観光資源を活用した融合型クリエイ ティブ観光を実現することで地域経済を活性化。 ○すばらしい自然景観を守ることを優先させるあまり、交通が不便で観光客が容易にアクセスできなかっ た状況を、創造的マインドにより観光資源化することに成功し、今では列車の全座席が売り切れるな ど、韓国を代表する観光商品にまで成長した。  (慶尚北道、奉化郡:人口 4 万人、財政自立度 10.5%、老人人口比率 30.3%)

ベトナム・トゥアティエン・フエ省

トゥアティエン・フエ省は数々のグローバル観光団体から高い評価を受けており、多様な観光発展の 可能性を秘めた、このエリアで最も魅力的な観光目的地のひとつに数えられている。 この地の観光産業を集中したプロフェッショナルな活動へと発展させ、観光プロモーションにおける弱 点とプロ意識の欠如を改善するため、そして観光産業を促進する具体的戦略を策定するため、トゥアティ エン・フエ省は国内他エリアおよび地域全体からの観光において他にはない競合上の優位性を見いだ す必要がある。これがビジネスの基盤となり、総合的プロモーション戦略を方向づけるだろう。 「トゥアティエン・フエ観光産業の発展」 ①本質的価値と不朽の特性を備えた「観光目的地トゥアティエン・フエ」のブランディン  グにより、フエ市を中心に据えたフエ観光産業を形成 ②市場をセグメント化し、各市場(国内、国外)に向けた観光プロモーション戦略を実施 ③トゥアティエン・フエ省観光プロモーションのブランディング・プロセスにおける関係  者の参与を促進 訪ねてみたい公州、再び訪れたい公州

韓国・公州市

○百済の古都・公州には長い歴史が育んだ文化がいたるところに点在している。 ○美しい自然景観を誇る公州の多様な名所を紹介。 ○一度来たら、また訪れたくなる公州にするために、下記の重要取り組みを実施。 ①輝く世界文化遺産であふれる百済に出会う ②四季のお祭りを楽しむ ③韓屋村で文化体験 ④のんびり歩ける遊歩道・公州名品散策道

(11)

実務者討議

韓国・瑞山市

瑞山は「文化の集積した国際観光都市」をめざして次のような取り組みを実施。 ①外国企業の投資誘致による世界テーマパーク建設 ②ローマ法王の訪れた海美邑城・殉教聖地を世界的観光名所とするための事業 ③海外観光客誘致および国際観光交流事業 ④ステイ型観光の活性化事業 ⑤国内観光客の誘致および観光ブランドイメージの向上事業 ⑥百済・内浦文化圏の開発と文化財復元・保存事業により歴史的観光資源化を推進

日本・長野県

○長野県は日本有数の山岳県である。雄大な山岳やさわやかな高原、美しい景観、優れた雪質のス ノーリゾート、多様な魅力にあふれる温泉などは、長野県の強みであり、「山岳高原を活かした世界水 準の滞在型観光地づくり」を推進している。 ○具体的には、「NAGANO モビリティ」(トレッキングやサイクリングなどのアクティビティを楽しみながら、 移動自体を楽しむ新しい旅行スタイル)の構築、「スノーリゾートNAGANO」の推進などに取り組んで いる。 ○登山者の増加に伴い、遭難件数が増加しているため、登山者の安全対策、独自の山岳ガイド制度な どに取り組んでいる。 山岳高原を活かした世界水準の滞在型観光地づくり

日本・島根県

2012 年は、日本最古の歴史書「古事記」が編纂されてから 1300 年を、また 2013 年は、島根県出雲 市にある日本を代表する古社「出雲大社(いずもたいしゃ)」が 60 年ぶりの遷宮(平成の大遷宮)を迎え たことから、この歴史的な節目に、古事記や日本書紀、出雲国風土記(いずものくにふどき)にも描かれ、 現在まで島根で受け継がれている歴史遺産や伝統・文化などを観光資源として活用して観光誘客を 図るため、県と市町村、経済界等が共同で、2010 年から 4 年をかけて「神々の国しまねプロジェクト」を実 施した。2013 年度からは「ご縁の国しまね」をキャッチフレーズに、観光誘客キャンペーンを展開している。 「ご縁の国しまね」の観光誘客プロモーション 瑞山市の観光振興とマーケティング戦略 山梨県の観光戦略 外国人観光客の誘致促進について

韓国・京畿道

○観光産業の質的成長を図る。 •キャンプ場の活性化、家族向け商品の開発 •すぐれた観光プログラムおよび施設への「品質認証制度」の推進 •高付加価値医療観光の活性化 ○地域単位で官民協力モデルを推進。 •官民観光マーケティング専門家協議体の発足および共同マーケティング •医療観光活性化のための協力体制の確立 滞留型の国内・海外観光客誘致 滞留型観光の取り組み

日本・山梨県

○山梨県では 2004 年 2 月に「観光立県富士の国やまなし」を宣言し、観光振興を総合的に推進するた め観光部を設置。 ○2009 年には産学官が連携して観光振興を推進するため、社団法人やまなし観光推進機構を設立。 ○更に 2011 年 12 月、「おもてなしのやまなし観光振興条例」を制定し、この条例に基づき2012 年 3 月 に「やまなし観光推進計画」(計画期間 2011 ∼ 2018)を策定。 ○現在、同計画に基づき、「おもてなし戦略」、「地域資源活用戦略」、「インバウンド観光戦略」等を柱に 観光施策を展開。 「唐模国際村の中仏共同観光事業」 友好都市を利用した共同観光振興事例

中国・安徽省

唐模は安徽省南部の黄山市徽州区潜口鎮にある古集落である。その歴史は唐の時代に遡り、徽州 文化の香りを今に伝えている。2007 年より、安徽省は友好都市の仏フランシュ・コンテ地域と共同で観 光振興に取り組み、唐模国際村共同観光事業を実施。唐模村の民家の様式や自然・文化環境を保護 しながら、「フランス民宿」と古民家を融合した農村旅館という新しい方式を開発した。それにより、両都市 間の交流・協力分野の拡大、唐模観光地∼黄山観光エリアの知名度向上など、経済効果と社会的利 益を生み出した。 ※フランス民宿:フランス民宿協会は、農村のバカンス用別荘や地元住民の別荘を観光客に貸し出して 体験してもらい、その中から人気の高い場所を選抜してブランド化しているが、そのなかで最も代表的 なブランドが「フランス民宿」。現在、協会所属の民宿は5 万 8000 件、年間の営業利益は12 億ユーロ。

日本・太宰府市

太宰府市は太宰府天満宮や九州国立博物館並びに大宰府跡等 3 ケ所の特別史跡と5ヶ所の国指 定史跡など、歴史的文化遺産を多く有しており、年間約 760 万人が観光に訪れるが平均滞留時間 168 分(2012 年 11 月調査)となっている、現在の太宰府天満宮一局集中の通過型観光から市内を回遊す る滞留型観光を推進し、滞留時間の増大を図ることにより観光及びそれにともなう関連産業の振興につ ながる取り組みを行っている。

日本・奈良県

○2013 年は、日本を訪れる外国人が 1,000 万人をはじめて突破した。 ○2020 年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、今後、日本全体で外国人観光客 を受け入れる環境を整備する必要がある。 ○奈良は 1300 年前、かつて平城京に都があった時代、比類なき国際性が展開されていた。 ○オリンピック開催を機に、平城京の時代を彷彿させるよう、またその後のさらなる発展ができるよう、2020 年に向けて外国人観光客の誘客に努める。

(12)

新ゴールデンルートの形成 京都府及び関西広域連合における海外観光客誘客の取り組み

日本・京都府

京都府における観光振興は、京都府独自の取り組みと合わせて、関西広域連合広域観光・文化振興 局の事務局も担っており、広域的な取り組みも実施している。 〈京都府〉 ○2013 年の京都府の外国人宿泊者数は、115 万人であり、前年に比べ大幅に増加 ○外国人宿泊者数の 98.3%が京都市内に宿泊 ○2020 年の東京オリンピック等に向け、更なる京都への海外観光客の誘客促進の取り組み実施  •海外プロモーションや関西広域連合、近隣府県と連携したメディア等への京都観光の PR  •府内全ての宿泊施設での 24 時間多言語コールセンターの運用や無料 Wi-Fi 環境の整備等、外国   人観光客が安心、快適に旅行できる、おもてなし環境の整備  •国際会議等、コンベンション誘致 〈関西広域連合〉 ○関西広域連合 11 構成府県市で共同してインバウンド事業を展開 ○世界において「KANSAI」の認知度を高める取り組みや情報発信等を実施 ○訪日外国人観光客の関西来訪率 33.3% 、訪問外客数 約 345 万人(25 年度)

日本・静岡県

○日本と海外の地方レベルの観光交流の促進に当たり、海外からの訪問者の受入れの核となる地域だ けでなく、複数の地域に跨る広域的な対応が必要である。 ○中央日本エリアには、富士山はじめ世界水準の観光資源が多数あることから、これらを活用し、地方 空港を利用した、新しい広域観光ルート「新ゴールデンルート」を形成する。 (観光開発・地域資源の活用と自然保護のバランス)開発収入に頼りすぎるのではなく、利活用収入の中から保全の仕組みを作らなければ、持続 可能な長期開発プロジェクトはできない。 (商品のブランディング) 観光商品の開発において、ブランド化するためには高い品質が必要であり、観光客からの 評価を上げ続けるためには、商品の質を高める努力をし続けなければならない。 (顧客満足度の重要性) 事故や災害等が発生した際に試されるのは、地域本来の力である。地域本来の力は、顧客 満足度を高め、観光客から信用と信頼関係を得るようなサービスを提供することで培われる。 (地域内外との連携による観光振興) 地域内外で連携する最大のメリットは、多様なアイデアを複合的に掛け合わせることで、新し いクリエイティブなものができるということである。相手の模倣ではなく、互いの魅力を引き出しな がら、その地域でなくてはならないという特異性を持たせることが重要である。 また連携において重要なポイントは、共通したテーマやコンセプトを持つということである。共 通したテーマ、コンセプトがあれば、共通したストーリーができる。逆にそれらを元に観光商品を 作らないと、ブランドの共有ができない。 (品質保証制度) 品質保証制度は、マーケティングにおける大事な要素であるが、質が良いと保証するだけでな く、質を上げ続ける経営努力を促すような認証制度でなければ成功しない。 (インバウンドの推進) インフラ整備するだけでは観光客は集まらない。インバウンドにおいて本当に大切なのは、観 光客からみて、その地域に旅行する理由や目的、必然性がなければ観光客は動かず、マー ケットも動かないということである。また、滞在型の観光地となるためには、「お金を使わせる理 由」ではなく、「時間を使わせる理由」が必要である。 リピート率を向上するためには顧客満足度を絶えず調査するべきであり、公州市の「サイ バー市民」のようにファンを囲い込むような施策が重要である。 (観光振興における行政機関が目指すべき成果) 最終的には「観光客数」よりも「売上」・「利益」が大切であり、利益を上げるためには、観光 客数の増加だけでなく客単価を上げなければならない。客単価を上げるには、観光客に時間 を長く使ってもらうための理由・目的が必要である。行く理由・目的、必然性と共に時間を使 わせる仕組みの構築が重要である。 (観光振興において求められる地域の個性・地域性) 観光客に提示しなければならないものは、地域の個性・地域性そのものである。自然環境 では他の観光地との差を付けることができないが、地域固有の生活文化は地域の個性をより 出すことができる。旅は異文化体験であり、非日常ではなく異なる日常が、その地域に行く理由 の一つになるのである。「今だけ」、「ここだけ」、「あなただけ」とお客様へ商品やサービスを提 示し、観光客にその地域に行く目的・理由・必然性を見出してもらうことが必要である。

山田 桂一郎 

JTIC.SWISS代表・政府認定観光カリスマ

講師コメント

(13)

テーマ1

「地域経済の振興」

首長討議

首長討議

ジョグジャカルタ特別州

フートー省、フートー省ベッチ市

福島県、徳島県、香川県、奈良県、新潟県新潟市、

奈良県明日香村、奈良県広陵町

マグウェイ地域政府(ゲスト)

インドネシア

ベ ト ナ ム

ミャンマー

国の産業は直線的ではなく、循環しながら伸びている。先に発展したところは必 ず停滞を始め、後から伸びてきたところにもいずれ停滞する分野が現れる。そして 停滞の中から次のブレイクスルーが生まれてくる。午前の実務者討議ではこうした 点がクリアになった印象がある。 アジア諸国の 1980 年以降の 1 人当たりGDP の推移を見ると、停滞する日本 と急速に進展する東南アジア諸国との対比が明確に読み取れる。日本はアジア諸 国に先立って発展を遂げたが、当時の日本の競争相手は欧米のみであり、日本人 の細やかさと勤勉さで対抗できる運のよさがあった。それに対し、現在成長しつつ ある東南アジア諸国は、先に成長した東アジア各国と競争せねばならず、たいへ ん厳しい局面に置かれている。 しかし、経済は一国だけで伸びていくものではない。先に豊かになった国や地域が、後に産業を渡していくこと で順番に豊かになっていく。それが全体の利益になることをアジアの人たちは十分に理解している。またアジアの 人々は、地域を愛し、自分が育った土地に貢献しようという思いが強く、海外での教育や研修の後、自国に帰る傾 向が強い。これがアジア発展の原動力となっている。 現在、アジア諸国が抱える人口問題には、人口増加問題と人口減少問題の 2 つがある。インドネシアやベトナ ムなどでは、右肩上がりに人口が増加しており、増え続ける人びとにいかに仕事を創出するかが大きな課題となっ ている。一方、日本全体としては人口減少が始まっているが、逆に東京の人口減少期を経た後の再集中化といっ た現象が発生している。 アジア各国は成長が速く、日本がたどった道をより短い期間で歩むであろう。日本はこの間、景気対策に頼り生 産年齢人口減少への対策が遅れたことから、どの地域も莫大な財政赤字を抱え込むことになった。各国には、産 業を活性化させ、人口が一直線に増え続ける段階を脱出しつつ、安定した生産年齢人口を保てる国を目指して いただきたいと思う。そのための解決策は、デンマークやフランスのように、商品のブランディングを行い、良い物を 高く売ることによって適切な人件費を実現し、税金を子どもを育て教育することに有効的に使うことである。ミャン マーの教育の無償化など、発展段階からすでにゴールを見据えている国もある。人を教育し、適切な給料を払え る社会が安定して生き残るのであり、その社会の実現に向け、日本もアジア各国も努力を続けていくことが望まれ る。

参加地方政府

講    師

藻谷 浩介

(株)日本総合研究所調査部主席研究員

藻谷 浩介 

(株)日本総合研究所調査部主席研究員

講師スピーチ

首長討議参加の方々

日本・福島県

景山 博

大阪事務所長

日本・徳島県

河口 正道

農林水産部林業飛躍局長

日本・香川県

浅野 浩司

商工労働部次長

日本・奈良県

前田 努

副知事

日本・奈良県

中 幸司

産業・雇用振興部長

日本・新潟市

山口 英樹

副市長

日本・明日香村

森川 裕一

村長

日本・広陵町

山村 吉由

町長

ミャンマー外務省

Soe Han

政務局東アジア大洋州課長

インドネシア・

ジョグジャカルタ特別州

Kristiana Swasti

女性・地域強化委員会委員長

ベトナム・ベッチ市

DAO The Dung

副市長

ベトナム・フートー省

VI Trong Le

(14)

参加地方政府による意見交換の内容

1.

地域の人材育成と産業支援

(1)東南アジアの起業支援(マイクロファイナンス等)

(2)クラウドファイナンス

2.

地域における産業振興への取り組み

(1)地域資源を活かした産業支援

(2)新たな発想による地域振興

(3)地域課題への取り組み

ミャンマー・

マグウェイ地域政府

Kyi Min

財務大臣

日本・奈良県議会

粒谷 友示

経済労働委員会委員長 ○貧困家庭の女性を対象とした経済発展のためのプログラムとしてマイクロファイナンスを実施。現在 40 グループが地方政 府から資金提供を受けて、軽食や野菜、バティック織の製作、販売等を行っている。地域のポテンシャルを優先しそれぞれ の地域に適した事業内容を考え、持続的に実行しようと努めている。順調に成長しており、今後もグループ数を増やしたい と考えている。 ( インドネシア・ジョグジャカルタ特別州 ) ○貧困からの脱出と新たな住宅建設を目指し、ミニ金融を実施している。ベッチ市の場合、初期段階では自治体や NGO 等 からの資金援助があるが、メンバー自身が資金を提供することもある。対象者の選考は、グループ内で行われ、貧困脱出 やスラム解消の住宅建築の計画などが審査され、承認を得て初めて貸し出される。 ( ベトナム・ベッチ市 ) ○21 の生協組織(CO-OP)と5 つの NGO が 50 億チャットまでの貸付を行っており、また中央政府も地元住民に対し、毎年 500 億チャットの貸付を行っている。 ( ミャンマー・マグウェイ地域政府 ) ○地域が発展するためには、地域の自立が必要であり、地域住民自身が自分たちのまちを良くする意識が必要である。「企 業は人なり」と言われるように、地域で良い人材を、良い後継者を育てるということが大切である。人口減少化の日本にお いても、ジョグジャカルタ特別州のマイクロファイナンスの取り組みは参考となるのではないか。 ( 日本・奈良県議会 ) ○最近の若手の起業事例では、クラウドファイナンス(インターネットを通しての資金調達)で資金を補い事業を実施したもの がある。事業内容は、公民館を再生して外国人向けの宿泊所を作ろうというもの。投資者は全国の明日香村ファンであり、 観光と一体となった事業でもあるため、今後の成長に期待している。 ( 日本・明日香村 ) ○農作物そのものの価値を高めて売る直販所の充実と、加工品をブランド化して販売する二点を推進。加工品を「明日香ブ ランド」として関東圏への販売を目指し(外への販売)、村で「チャレンジショップ」という小規模なブースを用意し、観光客に 対し村の産物を販売する場を提供している(内での販売)。 ( 日本・明日香村 ) ○新潟市は日本の中で一番水田の多い政令指定都市であることから、農産物の加工・販売までを包括する六次産業を推 進し、拠点となる農産物の加工支援センターを作り、直売所の整備も順次進めている。 ( 日本・新潟市 ) ○人口減少に歯止めをかけ、島を活性化するための起爆剤として現代アートを活用し、3 年ごとに「瀬戸内国際芸術祭」を 開催。先に海外で紹介されたことで日本人が注目するようになり、2 回目の昨年は百万人が来場した。この芸術祭におい て、島民が主体となり地域の魅力のひとつである「食」を提供している。外から入ってきたもの(現代アート)に地域にもともと あったもの(「食」)を効果的に活用する取り組みを進めている。 ( 日本・香川県 ) ○過疎化に直面していた徳島県神山町では、情報通信環境を整備するとともに、海外の芸術家が住み込みで活動を行い ながら地域の人との交流を進める「アーティスト・イン・レジデンス」を行っている。芸術と優れた情報通信環境を融合し、 自在に全世界と情報の入手・発信ができることで国際的な交流が有名になった。今では IT 企業やレストランなども入り、 町の人口は増加に転じている。また上勝町では、気温差が大きい山間部で容易に手に入る色合いの良い葉っぱを、食膳 の「つまもの」として売り出し、販路に乗せることに成功した。お金にならないはずの新しい地域資源を軸に地域ビジネスを 創出したユニークな例である。 ( 日本・徳島県 ) ○基幹産業である農業は東日本大震災前の 80%まで回復。原発事故による風評被害がまだ払拭できない中で、米の全袋 検査を始め農産物のリスクコミュニケーションや、TVタレントを起用した県産農産物の PR によるイメージ作戦を展開して いる。一方で、県産干し柿は有名で、関西でも人気があったが、原発事故以降、一時取引がなくなる事態に直面した。昨 年には、農家の努力により試験的に一部再開することができた。 ( 日本・福島県 ) ○奈良県は可住地面積が狭い、日帰り観光が多い等の課題がある。現在 9 つの分野で産業振興に取り組んでおり、国際 級ブランドホテルの誘致等を進めている。歴史と土地を有効活用しつつ、保存も同時に行うということを奈良の強みとする 産業振興を目指している。 ( 日本・奈良県 )

(15)

首長討議

(4)新しい観光産業

3.

産業の発展と文化の保存

(1)無形文化としての伝統的な子育て・教育の伝承

(2)地域独自の教育

(3)遺跡の保護と開発

○広陵町は靴下産業が盛んであったが、安価な外国製品に押され衰退傾向にある。今でも靴下の生産高は日本一であり、 「靴下デザインコンテスト」の実施や県産綿と富岡製糸場の生糸をコラボした靴下の企画など、企業の取り組みに対し、町 としても応援している。 ( 日本・広陵町 ) ○「飛鳥ニューツーリズム協議会」では昨年から教育旅行として4人程のグループで1軒の農家に泊まる「農家民泊」という 体験プログラムを実施している。海外からの来村者もあり、今年はすでに国内2,000泊、海外1,000泊を達成している。また 今年の10月から、超小型の二人乗り電気自動車で周遊し明日香村を体感してもらう「MICHIMO」という事業を開始した。 ( 日本・明日香村 ) ○遺跡を保護しローカルカルチャーを発展させるため、2 年前より中央政府から資金援助を受けている。行政が親に対し、地 域の文化や子守歌等をはじめとした伝統的な育児モデルを指導している。 ( インドネシア・ジョグジャカルタ特別州 ) ○誕生時からいろいろな教育を開始している。ベトナムには多種多彩の子守歌があり、「母親の子守唄の中で子供は成長 する」という言い伝えもある。 ( ベトナム・フートー省 ) ○広域自治体と基礎的自治体の役割を併せ持つという政令指定都市としての強みを活かし、教育委員会と産業部門が協 力する形で、宿泊型の農業体験ができる施設(アグリファーム)を今年 6 月に開設した。子どもたちが農業に親しむと同時 に環境教育を受けることができるプログラムである。 ( 日本・新潟市 ) ○小学 6 年生時に、石舞台の前で観光ボランティアを体験する取り組みを昨年より導入した。明日香村について勉強するだ けでなく、訪れた人に説明できることを目指している。 ( 日本・明日香村 ) ○中国の文化大革命の影響を受け、神社や寺院などがほとんど破壊された時期があったが、1970 年代にはその間違いを 認識し、解消に努めた。1990 年代から多くの遺跡が復旧され、現在は国家プロジェクトとして、フン王廟周辺遺跡の修復 等を行っている。また、市街地や工業団地を開発する際、特別な遺跡に影響が及ばないよう都市計画を策定している。 ( ベトナム・フートー省 ) ○ミャンマーでは中央政府が文化遺産の保護についてガイドラインを制定し、地方政府がそれを実施している。ミャンマーの 社会においては、仏教の僧侶が人々に対して非常に影響力を持つため、僧侶を通した住民への文化遺産保護の働きか けや、学校における子供たちへの歴史遺産保護に関する教育を地方政府において実施している。博物館や大学におい ても古代の文化を教え、国の伝統を保護している。 ( ミャンマー・マグウェイ地域政府 ) 午前の実務者討議と午後の首長討議を通してさまざまな話題が提示されたが、改めて 思うのは、今回参集した各国地方政府の皆さまが取り組んでいる課題は、GDP の差や経 済発展の差などにはあまり関係がないということである。まさに今、同じ時代に、同じような 課題に直面し、同じことに取り組んでおられる。 多岐にわたった事例が紹介され、それぞれの地域に学ぶべきポイントがあった。特にマ イクロファイナンスや地域文化の保存・教育など海外の事例に対し、日本側の参加者から の質問も出され、大いに参考となる意見交換であった。 参加地方政府は歴史的遺跡を持つ地域が多く、地域独自の良さや伝統をいかに残すかという課題も共通す るものであった。その中で、東南アジアの方々が物心両面の文化の保存に十分に留意しつつ、開発を進めている 姿勢に感銘を受けた。 他の参加者の事例を聞き「いい話だ」と感じたことを、自らの地域に積極的に取り入れることはまったく自由であ る。今後、実際に各地を訪問し交流を深めながら、最先端の方向を学び合うことで、もっと素晴らしいアジア、もっと 素晴らしいそれぞれの地域を実現できることと思う。 地域レベルの産業をテーマにした国際交流はなかなかイメージしにくいものかと思われたが、実は大変実りの 多いものであったと各参加者が実感できたと思う。惜しみなく貴重な情報を提供いただき、また真摯に耳を傾けて くださった参加地方政府の皆さまに、心より御礼を申し上げる。

藻谷 浩介 

(株)日本総合研究所調査部主席研究員

総 括

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