他とよりよくかかわることを通して自分らしさを発 揮できる子どもの育成?
著者 鹿児島大学教育学部附属幼稚園
ファイル(説明) おわりに 参考資料
研究の成果と課題 検証結果
研究の実際 研究の実際 研究の実際 研究の実際
研究テーマについて 研究の方向
研究テーマ
表紙̲はじめに̲目次
URL http://hdl.handle.net/10232/14947
I 研究テーマ
他とよりよくかかわることを通して自分らしさを発揮できる子どもの育成
I
E 研究テーマの設定理由
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時代の要請から今日,都市化や情報化などの経済社会の急激な変化により私たちの生活は便利になり,
欲しい物をいつでも手に入れたり インターネット上で必要な情報を得たりといったこ とが容易になってきた。私 た ち は , 多 く の 情 報 や 電 子 機 器 , 食 べ 物 な ど の あ ふ れ る も の に 固 ま れ , 物 質 的 に 豊 か な 生 活 を 送 っ て い る と 言 え よ う 。 そ の 一 方 で 急 激 な 経 済 社 会 の 変 化 の 影 に は , 自 然 環 境 の 減 少 や 少 子 化 , 人 間 関 係 の 希 薄 化 な ど が 社 会 問 題 と し て 挙 げ ら れ て い る 。 こ の よ う な 時 代 の 中 で , 現 代 の 子 ど も た ち は , 人 や も の , 自 然 と の 「 直 接 的なかかわり」が非常に少ない環境に置かれていると言える。
例えば,
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人との直接的なかかわり」という面では,少子化に伴い,近所に一緒に遊ぶ 友 だ ち が 少 な く な り , 子 ど も 同 士 が 集 団 で 遊 ぶ 機 会 が 減 少 し て き た。このことにより,友 だ ち と 遊 ぶ 中 で 生 ま れ て く る 葛 藤 体 験 を 含 む 様 々 な 体 験 の 機 会 が 失 わ れ つ つ あ る。ま た , 人 と か か わ る こ と が 苦 手 だ と 感 じ た り , 人 と 直 接 か か わ ら な く て も 物 事 が 済 ん で し
まったりという 人間関係の希薄化により,家庭や地域の教育力の低下も指摘されている。
「ものとの直接的なかかわりj という面では,都市化や情報化の進展により,生活空 間の中から自然や広場などの遊び場が少なくなる一方で,テレビゲームやインターネッ
トなどの室内遊びが増えてきている。こうした状況の中で,
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ものJ
とのかかわりが偏っ てしまい,体を動かす体験の不足による運動能力の低下が指摘されている。「自然との直接的なかかわり
J
という面では,地域社会や家庭の変化,都市化による 自 然 環 境 の 減 少 に よ り 自 然 体 験 や 直 接 自 然 と 触 れ 合 う こ と で 生 ま れ て く る 感 動 体 験 の 機 会が失われつつある。知 識 は あ る も の の , 土 や 砂 を 直 接 触 る こ と を た め ら っ た り , 虫 を 怖がったり,戸外で遊ぶことに消極的であったりするなどの子どもの姿が見られるようになってきている。
幼児期は,自分で見る,聞く,触る,嘆く、、,味わうなどの感覚といった直接的な経験 により, 心 を 揺 り 動 か さ れ , 感 動 す る よ う な 体 験 と 出 会 い , そ し て , 経 験 と言 葉 が 結 び 付 き , 自 分 の 気 持 ち を 言 葉 で 表 現 で き る よ う に な る 時 期 で あ る。この直接的なかかわり が不足してしまうと,子どもたちは,自分の気持ちをうまく表現する術を獲得できず,
自分らしさを発揮することができない。自分らしさを発揮するためには,この直接的な かかわりが不可欠であると言える。
中央教育審議会答申 平成 17年 「 子 ど も を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 を 踏 ま え た 今 後 の 幼 児 教 育 の 在 り 方 に つ い て 」 に お い て も , 幼 児 教 育 の 充 実 を 重 視 し , 家 庭 や 地 域 社 会 の 教 育力の再生 ・向上を重点施策としている。ここでは,
I
人生において幼児期は心情,意欲,態 度 , 基 本 的 生 活 習 慣 な ど , 生 涯 に わ た る 人 間 形 成 の 基 礎 を 培 う 重 要 な 時 期 で あ る 」 こ と を 再 確 認 し て い る 。 子 ど も は , 遊 び の 中 で 人 や も の , 自 然 と い っ た 対 象 に 主 体 的 に か か わ り , 自 己 を 表 出 し , そ こ か ら 外 の 世 界 に 対 す る 好 奇 心 が 育 ま れ , 探 索 し , 知 識 を 蓄 えるための基礎が形成される。さらには,その対象とのかかわりにおける自己表出を通 して,子どもの発達にとって最も重要な自我が芽生えるとともに,人とかかわる力や他 人の存在に気付く力など,自己を取り巻く社会への感覚を養っていく 。
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このような力を育むために,子どもの自発的, 主体 的 な 活 動 で あ る 「 遊 びjの機会を 十分に確保し,
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環境を通して行う教育」のもと,子どもたちが興味や関心をも って人や もの,自然、とよりよいかかわり方ができるように,どのような対象と,どのようにかか わらせていくのかを考えることが重要である。幼稚園の特性を生かして,子どもたちが 家庭での生活だけでは味わえない様々な経験をもつことができるように,そして,子ど もたちが対象とのかかわりを通して,初めて知った喜びやこれまでとは違う自分に気付 き, 子どもたちがよりよ く成長 していけるように保育を構想していくことが私たちに求 められていると考える。2 本園の実態から
本国は,鹿児島大学,附属小学校,附属中学校と隣接した鹿児島市の中心部に位置する。 中心部ということから周辺地域は都市化が進んでいるが,本国は平成8年の園舎改築に伴 い圏内に豊かな自然環境を構成した。子どもたちが四季折々の季節を感じ,動植物との触 れ合いを通して豊かな心が育まれる環境を目指している。
子ど も た ち の 実 態 と し て 素 直 で 明 る く 自由にのびのびと意欲的に活動する子が多く,
圏内に広がる様々な自然、への関心も高い。また 異年齢の交流も多く,年長児が園のリー ダーとして活躍する姿が多く見られる。年長児は,自由感溢れる幼稚園生活の中で,自分 のしたいことを見付け思い思いの遊びを楽しんでいる。これまでの経験を生かして,新し いことに意欲的に取り組みながら,友だちと誘い合って遊び,自分たちで役割分担をした り,遊びの進め方を話し合ったりする姿が見られる。2年保育 3年保育が混合となる年 中児は,入国 ・進級当初,初めての幼稚園生活に戸惑う姿や新しい学級で20名から 35 名へと人数が増えたことにうれしさもある一方,不安を感じる姿も見られた。しかし,次 第に友だちへの関心も高ま ってきて 自分の好きな遊びを中心にして一緒に遊ぶ姿が見ら れるようになってきた。3年保育となる年少児は,家庭から初めての集団生活となる幼稚 園でなかなか母親と離れられずにいた子どもたちも,園への安心感や保育者との信頼関係 を土台としながら少しずつ自分のしたいことを見付けることができるようになってきた。 幼稚園生活を思う存分に楽しんでいる子どもたちだが,なかなか自分の思いを言葉や行 動に出せなかったり,自分の好きな遊びを見付けるのに迷ったりする姿も見られる。例え ば,保育者に自分の思いを伝えたいのだが 「先生 これ ・・・」とうまく自分の気持ちを 表現できない子どもや,友だちの遊びに加わりたいがうまくその気持ちを伝えられない子
どもが見られる。
また,本園の子どもたちの家庭状況を見てみると 子どもたちは広範囲の地域から通園 しており,その多くが核家族である。本年度実施したアンケート調査によると,自分たち の住んでいる地域とのかかわりが薄く,地域の活動に参加したことがある子どもが少ない ことや近所で一緒に遊ぶ同世代の友だちが少ないこと,室内で過ごすことが多く,体を動 かして遊ぶ機会が少ないことなどが分かった。子どもたちは都市部に住んでいることもあ り,豊かな自然環境に乏しく,見たり,聞いたり,触ったりするなどの感覚を通した直接 的な自然との触れ合いが少ない状況にある。
そこで,家庭や地域と連携しながら,子どもたちが,人やもの,自然と積極的にかかわ りながら遊びを展開し,様々な経験をもつことができる保育を構想していくことが大切で ある。このように,人やもの,自然との直接的なかかわりによ って子どもたちは,自分を 表現すること,つまり自分らしさを発揮することができるようになると考える。
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これまでの研究から本園は,
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その子らしさが輝く園生活J
というテーマを掲げ,平成 5年から約 10年間,「環境
J r人間関係J r道徳性」に着目して研究を進めてきたO 研究を進める中で,その
子らしさが輝くとは「人・もの等とのかかわりの中で,遊びに没頭し,その中でお互い
のもち味を認め合い,刺激し合う過程を通じ,学び,変わり,高まっていこうとする姿
である」と定義する二とができた。この定義を基盤としながら, r
環境J r人間関係」に
r
環境J r人間関係」に
ついて研究を進め,身近にある自然が子どもたちに問いかけるものの奥深さを再認識し たり,子どもが人とかかわり生活する中で互いに刺激し合いながら様々なものに対する 興味・関心を深めたり 人と生活することの心地よさを味わったりしていることについ て事例を通してまとめることができた。
平成 13年度からの「道徳性j の研究では,幼稚園で道徳性の芽生えを培うことの大 切さについて着目し,入国から修了までの幼児期に子どもたちに経験し,育ってほしい ことについて分類した。道徳性の芽生えを培う研究をさらに幼稚園での「学び」へと視 野 を 広 げ , 平 成 16年 度 か ら は 『 学 び を 育 む 』 を 研 究 テ ー マ と し て 研 究 を 進 め て き た。 幼稚園での子どもたちの「学び」とは,総合的な活動としての遊びの中で,子どもたち
なりに課題発見し,試行錯誤しながら,気付き,発見し,それを生活へと生かそうとす ることと捉え,現在の保育に生かしている。
これまでの研究から,子どもたちは環境とかかわりながら,生活に必要な様々なこと を学び育んでいることが分かった。そこで,今回の研究では,これまでの研究を踏まえ ながら,その子らしさ,つまり自分らしさを発揮する姿や他とよりよくかかわる姿につ いて事例を挙げながら述べていきたいと考える。自分らしさを発揮できる子どもを育て る た め に 保 育 者 と し て ど の よ う に 援 助 し て い け ば よ い の か , 環 境 構 成 は ど の よ う に 工 夫・改善していけばよいかなど,研究を進めながらまとめていきたい。
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