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選手位置情報を用いたサッカーの

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学). 選手位置情報を用いたサッカーの ゲームパフォーマンス分析. Game Performance Analysis Using Positional Information of players in Soccer Game. 2018年1月. 早稲田大学大学院. 植田. スポーツ科学研究科. 文也. UEDA, Fumiya 研究指導教員:. 誉田. 雅彰. 教授.

(2) 目次 第 1章. 緒 論 .............................................................................................. 1. 1. ゲ ー ム パ フ ォ ー マ ン ス 分 析 の 背 景 ........................................................... 1 2. ゲ ー ム 統 計 の 課 題 ................................................................................... 3 第 2章. 優 勢 領 域 と 攻 撃 ・ 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス の 因 果 関 係 に 関 す る 研 究 ....... 6. 1. 諸 言 ....................................................................................................... 6 2. 方 法 ....................................................................................................... 9 2. 1. 標 本 抽 出 に 関 す る 定 義 ....................................................................... 9 2. 1. 1. 有 効 攻 撃 ...................................................................................... 9 2. 1. 2. ボ ー ル 獲 得 の 方 法 と 種 類 .............................................................. 9 2. 2. 標 本 ................................................................................................. 11 2. 3. 撮 影 及 び 映 像 処 理 方 法 ..................................................................... 12 2. 4. 選 手 の 運 動 モ デ ル に 基 づ く 優 勢 領 域 の 算 出 ...................................... 17 2. 5. 測 定 項 目 ......................................................................................... 20 2. 6 奪 取 サ ー ド の 分 類 ............................................................................. 23 2. 7 統 計 的 解 析 方 法 ................................................................................. 24 3. 結 果 ..................................................................................................... 25 3. 1. 奪 取 サ ー ド A に お け る 検 定 結 果 ....................................................... 25 3. 2. 奪 取 サ ー ド M に お け る 検 定 結 果 .................................................... 25 3. 3. 奪 取 サ ー ド D に お け る 検 定 結 果 ...................................................... 26 4. 考 察 ..................................................................................................... 27 4. 1. 奪 取 サ ー ド M に て 所 有 権 移 行 が 生 じ た 場 合 ..................................... 27 4. 2. 奪 取 サ ー ド A, D に て 所 有 権 移 行 が 生 じ た 場 合 ................................ 35 4. 3. 総 合 考 察 ......................................................................................... 37 5. む す び .................................................................................................. 39. i.

(3) 第 3章. 隠 れ マ ル コ フ モ デ ル に よ る 選 手 の ポ ジ シ ョ ニ ン グ パ タ ン の 分 析 ..... 39. 1. 諸 言 ..................................................................................................... 39 2. HMM に よ る サ ッ カ ー ゲ ー ム 分 析 ........................................................ 42 2. 1. HMM に よ る ボ ー ル と 選 手 位 置 の 表 現 .............................................. 42 2. 2. HMM の 機 械 学 習 ............................................................................ 46 2. 3. HMM に よ る 識 別 ............................................................................ 51 2. 4. HMM に よ る 攻 撃 パ タ ン の 分 析 ........................................................ 53 2. 4. 1). HMM に よ る 攻 撃 パ タ ン 分 析 の 意 義 ......................................... 53 2. 4. 2). HMM に よ る 攻 撃 パ タ ン 分 析 の 必 要 性 ..................................... 54 3. 実 験 方 法 .............................................................................................. 57 3. 1. 試 合 映 像 か ら の ボ ー ル と 選 手 位 置 の 抽 出 .......................................... 57 3. 2. 有 効 攻 撃 と 非 有 効 攻 撃 の 分 類 ........................................................... 62 3. 3. 実 験 条 件 ......................................................................................... 64 4. 実 験 結 果 .............................................................................................. 67 4. 1. 状 態 数 と 識 別 率 ............................................................................... 67 4. 2. 基 準 点 を 設 け た 場 合 の 識 別 率 ........................................................... 69 5. 考 察 ..................................................................................................... 73 6. む す び .................................................................................................. 79 第 4章. 総 括 論 議 ...................................................................................... 81. 1. 結 論 お よ び 今 後 の 検 討 課 題 ................................................................... 81 2. 座 標 デ ー タ 取 得 に お け る 今 後 の 発 展 ...................................................... 83 文 献 .......................................................................................................... 85. ii.

(4) 第 1章. 緒論. 1. ゲ ー ム パ フ ォ ー マ ン ス 分 析 の 背 景 スポーツの競技力向上において必要なことは競技パフォーマンスに影響 を 与 え る 要 因 を 探 索 し ,そ れ を 遂 行 す る 能 力・技 能 を 改 善 し て い く こ と で あ る .個 人 競 技 に お け る ス ポ ー ツ 技 能 や チ ー ム ス ポ ー ツ に お け る 技 能 の 中 で も 個 人 に か か わ る ス ポ ー ツ 技 能 は 各 種 ス キ ル テ ス ト に よ っ て 測 定・評 価 が 行 わ れ て き た ( Strand & Wilson,1993) . 一 方 で チ ー ム 全 体 が 発 揮 す る 協 調 的 なパフォーマンスはこのようなスキルテストで評価できるかについて議論 が な さ れ て き た .ス キ ル テ ス ト は 試 合 で 発 揮 さ れ る ス ポ ー ツ 技 能 や そ の 環 境 を 模 し た テ ス ト パ フ ォ ー マ ン ス の 測 定 に よ っ て な さ れ る た め ,実 際 の 試 合 で 観察される技能との類似性に関して疑問が残る.これに関連して,鈴木 ( 2004) が 「 本 来 コ ー チ が 目 標 と す る 個 人 又 は チ ー ム の 状 態 は 試 合 中 の パ フ ォ ー マ ン ス を 想 定 し て い る た め ,試 合 状 況 を 最 大 限 に 類 似 さ せ た ス キ ル テ ス ト で あ っ た と し て も ,目 ま ぐ る し く 変 化 す る 試 合 状 況 や 他 者 と の 関 係 性 を 表 現 す る こ と は 不 可 能 で あ る こ と か ら ,ス キ ル テ ス ト は 試 合 の 中 で 発 揮 さ れ る 技 能 を 把 握 す る テ ス ト と し て 適 さ な い 」と 指 摘 し て い る .こ の よ う な ス キ ル テ ス ト が 抱 え る 問 題 点 か ら ,現 代 で は チ ー ム パ フ ォ ー マ ン ス の 分 析 に お い て,実際のゲームパフォーマンスから評価する方法が主流になりつつある. サッカーのゲームパフォーマンス分析を方法別に分類すると, 「ゲーム分析」 と 「 ゲ ー ム 統 計 」 に 分 け ら れ る ( 鈴 木 ・ 西 嶋 , 2002) . 「 ゲ ー ム 分 析 」 と 1.

(5) は ,専 門 家 の 視 認 的 方 法 に よ っ て 技 術 ,戦 術 ,技 能 ,チ ー ム 力 な ど を 質 的 に 評 価 し , 記 述 す る 分 析 法 で あ る ( 樋 口 , 2009) . こ の 専 門 家 の 質 的 な 評 価 に 関 し て 大 江 ほ か( 2013)は「 専 門 家 の 視 認 的 方 法 に よ る ゲ ー ム 分 析 で は , 技能,戦術,チーム力などが質的に評価され,記述される.この方法では, ゲ ー ム 中 に 発 現 す る 具 体 例 に 基 づ い て ,攻 撃・守 備 に お け る 注 意 点 ,修 正 点 を 指 摘 す る こ と に よ り ,ゲ ー ム を 専 門 的 に 総 合 評 価 で き る も の の ,分 析 者 の 主 観 性 お よ び 恣 意 性 を 排 除 す る こ と は で き な い .」と 述 べ て い る .一 方 で「 ゲ ー ム 統 計 」と は ,ゲ ー ム パ フ ォ ー マ ン ス 分 析 手 法 を 用 い て 定 量 的 に 評 価 を 行 う 手 法 で あ り ,研 究 の 初 期 に は 得 点 数 ,失 点 数 ,シ ュ ー ト 数 な ど の デ ー タ が 扱 わ れ て き た .ゲ ー ム 統 計 は ゲ ー ム 分 析 と 比 較 し て ,定 量 的 な 分 析 が 行 え る た め ,あ る 程 度 の 客 観 性 は 確 保 で き る が ,得 点 数 ,失 点 数 ,シ ュ ー ト 数 な ど の 単 純 な デ ー タ を 分 析 す る こ と に よ っ て ,複 雑 に 各 選 手 が 入 り 交 じ っ て 発 揮 されるチームパフォーマンスを評価できているか否かについては議論が残 る . こ の 点 に 関 し て 鈴 木 ( 2004) は 上 述 の よ う な プ レ ー の 成 否 の 頻 度 を 評 価 す る だ け で は 現 象 の 記 述 に 留 ま っ て お り ,現 象 の 成 因 的 な 視 点 か ら の 解 釈 が で き な い こ と を 問 題 と し て 挙 げ て い る .ま た ,Hughes & Bartlett( 2002) は こ の よ う な 一 次 元 的 で 単 調 な 統 計 で は な く ,実 際 に 監 督 や コ ー チ な ど の 専 門家が認識している質的な評価観点を測定できる多次元的指標を開発する 必要性を述べている.. 2.

(6) 2. ゲ ー ム 統 計 の 課 題 現 代 の サ ッ カ ー は 高 度 に 組 織 化 さ れ ,そ の 組 織 力 が よ り 重 要 視 さ れ る よ う に な っ て い る ( 日 本 サ ッ カ ー 協 会 技 術 委 員 会 , 2002) . そ れ を 受 け て , 組 織 の 協 調 的 な 動 き や 戦 術 に 関 す る 指 導 が 多 く な さ れ ,日 本 サ ッ カ ー 協 会 技 術 委 員 会 の テ ク ニ カ ル レ ポ ー ト に 代 表 さ れ る よ う に ,チ ー ム の 戦 術 面 に 関 す る 報 告 が 多 々 み ら れ る .し か し ,現 状 で は チ ー ム の 組 織 力 を 評 価 す る 定 量 的 測 定 法 が 不 十 分 で あ り ,そ の 評 価 方 法 の 多 く は 指 導 者 の 定 性 的 な 分 析 に 任 せ ら れ て き た . こ の 点 に 関 し て , 鈴 木 ( 2004) は 従 来 の ゲ ー ム 分 析 は 優 れ た 指 導 者 の 視 認 的 方 法 に よ っ て 行 わ れ て お り ,そ れ を 定 量 化 し 一 般 化 す る こ と で 広く競技者や指導者に理解させる試みがなされていないことを問題として 挙 げ て い る . ま た , Hughes & Bartlett( 2002) は 競 技 力 向 上 に お い て は 指 導 者 養 成 が 必 須 で あ り ,専 門 家 の 質 的 な 評 価 基 準 を 計 量 化 す る 必 要 が あ る と 主 張 し て い る .こ の よ う な 観 点 か ら ,チ ー ム 戦 術 や 組 織 力 と い っ た 協 調 的 で 専 門 的 な 集 団 の ス ポ ー ツ 技 能( 以 下:集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 )に 対 す る 定 量 的 評 価 方 法 を 確 立 す る こ と で ,競 技 者・指 導 者 の 集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 に 対 す る 理 解 が 一 段 と 深 ま り ,ま た ,そ れ ら が 共 有 可 能 な も の と な る こ と で 競 技 力 向 上 に 大 き く 貢 献 で き る と 考 え ら れ る . ま た , 鈴 木 ( 2004) は 育 成 年 代 の 指 導 者 の 評 価 基 準 を 試 合 結 果 や 大 会 成 績 ば か り に 求 め れ ば ,育 成 年 代 に お い て 習 得 す べ き 様 々 な 技 能 が あ る に も か か わ ら ず ,勝 利 に 直 結 す る 指 導 へ と 傾 倒 3.

(7) し て し ま う 嫌 い が あ る と 指 摘 し て お り ,育 成 年 代 に お い て も 同 様 に 内 容 的 側 面に踏み込んだ評価法が必要とされている. これらの問題を解決する手段として集団的スポーツ技能の定量的評価法 を 確 立 す る こ と が 重 要 で あ り , そ れ は ( 1) 競 技 者 , 指 導 者 に フ ィ ー ド バ ッ ク さ れ る 有 益 な 情 報 と し て , ( 2) 指 導 者 の 指 導 に 関 す る 詳 細 な 評 価 法 と し て , ( 3) 育 成 年 代 の 勝 利 至 上 主 義 の 緩 和 策 と し て , 競 技 力 向 上 に 結 び つ く 様々な波及的効果をもたらすものと期待できる. 集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 に 関 す る 定 量 的 な 評 価 方 法 と し て は , 境 田 ( 2006) による攻撃中に見られたシュート回数やパス本数およびその成功率に関す る 研 究 や , 坂 下 ( 2001) に よ る 試 合 中 に お け る 各 種 ス キ ル の 出 現 回 数 に よ る 分 析 な ど が あ る .し か し ,こ れ ら の 研 究 は 試 合 中 に み ら れ た 特 定 の イ ベ ン トの出現回数をカウントしていくタイプの分析であり,定量的ではあるが, なぜそのような結果に至ったのかという成因的な視点に立った分析ではな い た め ,戦 術 指 導 に 反 映 す る と い う 観 点 で は 十 分 な 方 法 と は い え な い .た と え ば ,試 合 中 の シ ュ ー ト 本 数 に 関 し て 分 析 を 行 う こ と は ,現 象 の 末 端 に 関 す る 分 析 で あ り ,な ぜ シ ュ ー ト に 至 る こ と が で き た の か と い う よ り 根 源 的 な 理 由 を 分 析 で き る こ と が 望 ま し い .そ の 根 源 的 な 理 由 を 探 る に は 各 選 手 が ど の よ う に 動 き 集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 を 発 揮 し た か を 分 析 す る 必 要 が あ り ,選 手 や ボールの位置データを用いた分析が有効であると考えられる. 近 年 の 代 表 的 な 選 手 位 置 に 関 す る 分 析 に は ,向 本 ほ か( 2014)や Buchheit 4.

(8) et al.( 2010)に よ る GPS か ら ボ ー ル と 選 手 の フ ィ ー ル ド 座 標 を 取 得 す る タ イ プ の 分 析 が み ら れ る .し か し ,こ れ ら の 分 析 で は ,試 合 中 に お け る 選 手 の 走 行 距 離 ,時 間 ,速 度 分 布 と い っ た 動 作 特 性 の 分 析 が 主 流 で あ り ,集 団 的 スポーツ技能の分析にどのように生かしていくかという点で課題が残る. こ う し た 課 題 に 応 え る た め ,本 研 究 で は ,定 量 的 評 価 法 で あ る こ と ,集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 に 対 す る 分 析 法 で あ る こ と ,選 手 の フ ィ ー ル ド 座 標 に 基 づ い た分析法であることを可能にする分析法について検討する.. 5.

(9) 第 2章. 優 勢 領 域 と 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス の 因 果 関 係 に 関 す る 研. 究 1. 諸 言 選手の位置データを用いた集団的スポーツ技能に関する分析法の研究に は 瀧 ほ か の 優 勢 領 域 に 関 す る 研 究 が あ る ( 瀧 ら , 1996) . 一 般 に , サ ッ カ ーは手でボールを扱うバスケットボールやハンドボールのように正確なボ ー ル 扱 い や 確 実 な ボ ー ル 保 持 は で き な い ( 松 本 ・ 鈴 木 , 2001) と さ れ て い る こ と か ら ,ボ ー ル の 保 持 に と っ て ,ま た 有 効 な 攻 撃 の 展 開 に と っ て ス ペ ー ス と い う 概 念 が 重 要 視 さ れ て い る .そ し て ,瀧 ら は ,ス ペ ー ス を 選 手 の 持 つ 一 種 の 勢 力 範 囲 と み な し ,ス ペ ー ス の 定 量 化 ,可 視 化 を 試 み た .具 体 的 に は , ビデオ映像か抽出した各選手の位置情報を加速度パタンに代入することで, その選手が他のどの選手よりも早く到達できる領域を優勢領域と定式化し, 双方のチームの優勢領域の広がり具合や位置関係によるチームプレーの評 価 法 を 提 案 し た . ま た , 瀧 ・ 長 谷 川 ( 1998) は , 優 勢 領 域 の 攻 撃 の 進 展 に 伴 う 時 間 的 な 変 化 を 評 価 尺 度 と し て 用 い る こ と で ,集 団 の 協 調 的 な 動 き の 評 価 を 行 っ た .そ の 結 果 ,攻 撃 開 始 か ら 得 点 シ ー ン に 向 か う ご と に 攻 撃 チ ー ム の 優 勢 領 域 は 増 加 傾 向 に あ り ,守 備 チ ー ム の 優 勢 領 域 は 減 少 傾 向 に あ る こ と を 明 ら か に し た . さ ら に , 藤 村 ・ 杉 原 ( 2004) は こ の 優 勢 領 域 の 概 念 を 用 い ,実 験 か ら 得 ら れ た 実 際 の 人 間 の 運 動 デ ー タ を モ デ ル パ ラ メ ー タ ー に 反 映 さ せ る こ と で ,よ り 現 実 に 即 し た 優 勢 領 域 の 算 出 を 行 う と と も に ,優 勢 領 域 6.

(10) がサッカーのチームワークの評価において有効な特徴量である可能性につ い て 検 証 し た .そ の 結 果 ,守 備 選 手 の 優 勢 領 域 を 攻 撃 選 手 が 奪 う こ と で 守 備 選手の働きを無効力化することができると述べている.これらの研究から, 攻 撃 チ ー ム が 優 勢 領 域 を 増 や す こ と で 攻 撃 を 行 い や す い 状 況 を 生 み 出 し ,守 備チームが優勢領域を増やすことで守備を行いやすい状況を生み出してい る と 考 察 で き ,集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 の 評 価 に と っ て 有 効 な 特 徴 量 で あ る と 考 えられる. ま た ,藤 村・杉 原 は 優 勢 領 域 の 概 念 を 応 用 し ,守 備 選 手 の 攻 撃 選 手 に 対 す る 最 小 到 達 時 間 を プ レ ッ シ ャ ー の 強 度 と 置 き 換 え る こ と で ,プ レ ッ シ ャ ー 強 度 の 時 間 的 変 化 と プ レ ー の 成 否 に 関 す る 研 究 を 行 っ た .同 時 に ,ボ ー ル を 中 心 に 考 察 し , 0〜 150km/h の 範 囲 を 1km/h で 離 散 化 し て 150 通 り , パ ス の 方 向 は 1°づ つ 放 射 状 に 360 通 り の 全 54000( 150×360) 通 り の パ ス を シ ュ ミ レ ー シ ョ ン し ,そ れ ら パ ス コ ー ス へ の 最 小 到 達 時 間 を 算 出 す る こ と で 各 選 手 が レ シ ー ブ 可 能 な バ リ エ ー シ ョ ン を RPV( Receivable Pass Variation ) と い う 指 標 に 数 量 化 し ,分 析 を 行 っ た .こ の よ う に ,優 勢 領 域 の 概 念 を 応 用 することでプレッシングやパスコースの観点からも集団的スポーツ技能の 評 価 を 行 う こ と が で き ,こ れ ら 特 徴 量 の 妥 当 性・有 効 性 を 確 認 す る こ と が で きれば,サッカーにおける多くの場面が評価可能になると考えられる. こ こ ま で 述 べ た ,こ れ ら の 特 徴 量 に 関 す る 研 究 の 手 法 や 結 論 は い ず れ も 攻 撃が成就した標本における優勢領域の経時的変化に基づいたものであった. 7.

(11) し か し ,攻 撃 が 成 就 し た 標 本 と と も に ,攻 撃 が 成 就 し な か っ た 標 本 に お け る 優 勢 領 域 の 値 を 吟 味 し な け れ ば ,攻 撃 成 就 し た 標 本 に お い て 優 勢 領 域 が 真 に 特 徴 的 な 値 を 示 し て い た か は 明 ら か に な ら ず ,攻 撃 の 成 否 と 優 勢 領 域 の 因 果 関 係 は 認 め ら れ な い .そ こ で ,本 研 究 で は ,こ れ ら の 特 徴 量 の 中 で も 優 勢 領 域 に 焦 点 を 絞 り ,攻 撃 が 成 就 し た 標 本 と 攻 撃 が 成 就 し な か っ た 標 本 間 で 優 勢 領 域 を 比 較 す る こ と に よ り ,優 勢 領 域 と 攻 撃 成 就 の 因 果 関 係 を 統 計 的 に 明 ら かにする.. 8.

(12) 2. 方 法 2. 1. 標 本 抽 出 に 関 す る 定 義 2. 1. 1. 有 効 攻 撃 本 研 究 で は ,得 ら れ た 標 本 を 有 効 攻 撃 群 と 非 有 効 攻 撃 群 に 分 類 す る .吉 村 ら ( 2002) , は ボ ー ル を 取 り 返 し た 後 , 一 連 の プ レ ー の 結 果 が , 得 点 , シ ュ ー ト ,セ ン タ リ ン グ に 結 び つ い た 場 合 お よ び ,も う ワ ン プ レ ー が 成 功 す れ ば ,得 点 ,シ ュ ー ト ,セ ン タ リ ン グ に 結 び つ く 結 果 が 予 想 さ れ る 場 合 を 有 効 な 攻 撃 と し た . ま た , 吉 村 ( 2003) は 攻 撃 に お い て 最 大 の 目 標 で あ る 得 点 を 奪 う こ と ,お よ び ゴ ー ル を 狙 う シ ュ ー ト に 至 っ た 攻 撃 を 有 効 攻 撃 と 定 義 し た . さ ら に , 樋 口 ( 2010) は シ ュ ー ト が 放 た れ た 攻 撃 , ラ ス ト パ ス が 出 さ れ た 攻 撃 ,そ し て ,攻 撃 側 チ ー ム が 相 手 ペ ナ ル テ ィ エ リ ア 内 で ボ ー ル を 保 持 し た 攻 撃 を 有 効 攻 撃 と 定 め た .こ れ ら の 先 行 研 究 を 参 考 に し ,本 研 究 で は シ ュ ー ト を 放 っ た 攻 撃 ,ペ ナ ル テ ィ エ リ ア 内 に 侵 入 し た 攻 撃 ,ク ロ ス ボ ー ル を 上げた攻撃を定性的に判断し,有効攻撃と定義した.. 2. 1. 2. ボ ー ル 獲 得 の 方 法 と 種 類 瀧 ・ 長 谷 川 ( 1998) に よ れ ば 優 勢 領 域 の 値 は 攻 撃 の 進 行 と と も に 変 化 す る た め ,異 な る 攻 撃 パ フ ォ ー マ ン ス の 標 本 間 に お け る 優 勢 領 域 の 値 を 比 較 す る 際 に は 同 様 の 局 面 に お い て 比 較 を 行 う 必 要 が あ る . 山 中 ら ( 1994) は , 攻 撃 局 面 に お け る 展 開 を ボ ー ル の 獲 得 か ら 始 ま る ,「 つ く り 」,「 し か け 」, 9.

(13) 「 く ず し 」,「 つ め 」の 4 つ の 局 面 に 分 類 し た .こ れ に よ れ ば ,途 中 で ボ ー ル を 奪 わ れ る こ と に よ っ て ,次 の 局 面 に 至 ら な い 場 合 や あ る 局 面 を 省 略 す る こ と で 速 い 攻 撃 を 行 う 場 合 が あ り ,サ ッ カ ー の 攻 撃 に お い て 局 面 の 経 由 の 仕 方 が 多 様 に 存 在 す る こ と が わ か る . ま た , 松 本 ら ( 1997) は 「 ボ ー ル 保 持 が攻撃チームと守備チームを決定する」と述べている.これらのことから, 攻 撃 に お け る 展 開 は 一 様 で は な い が ,い ず れ の 攻 撃 も ボ ー ル の 獲 得 に よ っ て 生 じ て い る こ と が わ か る .つ ま り ,攻 撃 成 就 し た 標 本 と そ れ 以 外 の 標 本 に お い て 常 に 共 通 す る 局 面 は ボ ー ル の 獲 得 時 の み で あ る こ と か ら ,優 勢 領 域 を 測 定する時点をこのボールの獲得時に統制することとした. ま た , 直 近 の 国 際 サ ッ カ ー 連 盟 ( Fédération Internationale de Football Association; 以 下 FIFA と 略 記 ) が 主 催 す る 世 界 的 な サ ッ カ ー 大 会 で あ る 2010 FIFA ワ ー ル ド カ ッ プ 南 ア フ リ カ 大 会 に つ い て の テ ク ニ カ ル レ ポ ー ト ( 日 本 サ ッ カ ー 協 会 技 術 委 員 会 , 2010) で は , ゲ ー ム に お け る 攻 守 の 切 り 替 え の 重 要 性 が 明 記 さ れ て お り ,「 攻 撃 と 守 備 の 一 体 化 」と い う 言 葉 に よ っ て 強 調 さ れ て い る . そ し て , 崔 ( 2000) は 攻 守 の 切 り 替 え は 古 く か ら 重 要 視 さ れ て お り ,現 代 サ ッ カ ー で は そ の 傾 向 が 顕 著 に な っ て い る と 述 べ て い る . さ ら に , 松 本 ら ( 1997) が 「 ボ ー ル 保 持 が 攻 撃 チ ー ム と 守 備 チ ー ム を 決 定 す る 」と 述 べ て お り ,上 述 の 攻 守 の 切 り 替 え は ボ ー ル の 獲 得 に よ っ て 生 じ る こ と と 理 解 で き る .こ れ ら の こ と か ら ,現 代 サ ッ カ ー に お い て ボ ー ル の 獲 得 時 ( =攻 守 の 切 り 替 え 時 ) は 重 要 な 局 面 で あ り , 有 効 攻 撃 と 非 有 効 攻 撃 の 比 10.

(14) 較 時 点 の 統 制 と い う 意 味 合 い と 同 時 に ,集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 の 分 析 時 点 と し ての有効性を有するものであると考える. ま た ,ボ ー ル を 獲 得 す る 方 法 は イ ン プ レ ー 中 に ボ ー ル を 奪 う 方 法( 以 下 ボ ール奪取)とボールアウトやファールからの再開による方法に大別される ( 以 下 リ ス タ ー ト ).そ し て ,ボ ー ル ア ウ ト の 間 に 守 備( 攻 撃 )陣 形 を 整 え る時間があるリスタートとその時間が比較的短いボール奪取を同一標本と し て 比 較 す る こ と に 疑 義 が 生 じ る と 考 え ,リ ス タ ー ト は 測 定 の 対 象 外 と し た . ま た ,ボ ー ル 奪 取 の 標 本 内 に ,ゴ ー ル キ ー パ ー を 経 由 し た ボ ー ル 奪 取 が い く つ か 存 在 し た が ,こ ち ら も 同 様 の 理 由 か ら 測 定 の 対 象 外 と し た .よ っ て ,ボ ー ル 奪 取 か ら 攻 撃 が 開 始 さ れ ,フ ィ ー ル ド プ レ ー ヤ ー の み の ボ ー ル へ の 関 与 によって展開された攻撃を測定の対象とした. ま た ,ボ ー ル 奪 取 の 条 件 と し て は「 同 一 の 選 手 に よ る ボ ー ル へ の 2 タ ッ チ 」, 及 び ,「 味 方 選 手 へ パ ス が 1 本 通 る 」の 2 点 に 定 め た .こ の 時 ,ボ ー ル を 奪 取 し た 時 点 は ,前 者 で あ れ ば ボ ー ル へ の 1 タ ッ チ 目 ,後 者 で あ れ ば パ ス の 出 し手がボールへタッチした時点とした.. 2. 2. 標 本 2009 年 , 2010 年 に 行 わ れ た 大 学 サ ッ カ ー 対 抗 戦 の 2 試 合 を 対 象 と し た . ま た ,ボ ー ル 獲 得 方 法 を ボ ー ル 奪 取 ,キ ー パ ー を 経 由 し た ボ ー ル 奪 取 ,リ ス タ ー ト の 3 つ に 分 類 し た 上 で ,ボ ー ル 奪 取 か ら 開 始 さ れ た 攻 撃 の み を 対 象 と 11.

(15) し た . 分 析 に 用 い た サ ン プ ル は , ボ ー ル 奪 取 総 数 が 363 サ ン プ ル で あ り , そ の 内 有 効 攻 撃 群 が 68 サ ン プ ル ,非 有 効 攻 撃 群 が 295 サ ン プ ル で あ る .そ し て ,分 析 対 象 と な っ た 攻 撃 に 対 し ,ボ ー ル を 奪 取 し た 時 点 に お け る 優 勢 領 域を測定することとした.. 2. 3. 撮 影 及 び 映 像 処 理 方 法 選 手 の. 2 次 元 座 標 デ ー タ を 取 得 す る た め に , Direct Linear. Transformation Method ( 以 下 DLT 法 ) を 用 い , 図 2-1 に 示 す よ う に , サ ッカーの試合映像上の選手位置のビデオ座標からフィールド座標を求めた. 本手法は従来の競技場縮図へトレースする筆記法よりもデータの正確性は か な り 高 い と 考 え ら れ る ( 石 井 ・ 西 山 , 1990) . ま た , DLT 法 に よ っ て 求 め ら れ た 選 手 の フ ィ ー ル ド 上 で の 位 置 と 走 行 速 度 か ら ,後 述 す る 手 順 に し た がって優勢領域の算出した.. 12.

(16) 図 2-1. ビ デ オ 座 標 と フ ィ ー ル ド 座 標 の 対 応 本 研 究 で 使 用 し た ハ イ ビ ジ ョ ン ビ デ オ カ メ ラ の 解 像 度 は 1440 × 1080 pixel で あ り , 撮 影 時 の フ レ ー ム レ ー ト は 30fps で あ る . ビ デ オ 撮 影 は パ ニ ン グ や ズ ー ム を 使 用 せ ず に 固 定 カ メ ラ 撮 影 に よ り 行 っ た .ま た ,サ ッ カ ー フ ィ ー ル ド は 非 常 に 広 い た め ,1 台 の カ メ ラ で フ ィ ー ル ド 全 体 を 撮 影 す る こ と は 困 難 で あ り ,遠 方 か ら 1 台 の カ メ ラ で 撮 影 し た 場 合 に は ハ イ ビ ジ ョ ン カ メ ラ を 使 用 し た と し て も 画 像 の 解 像 度 が 不 十 分 な た め ,選 手 の 位 置 情 報 を 高 精 度 で 検 出 す る こ と が 難 し く な る .そ こ で , 2 台 の 固 定 カ メ ラ を 用 い ,フ ィ ー ル ド の 半 面 ず つ を 撮 影 し た . 撮 影 に は SONY 社 製 の フ ル ハ イ デ ィ フ ィ ニ シ ョ ン ビ デ オ カ メ ラ を 使 用 し た .ビ デ オ カ メ ラ は メ イ ン ス タ ン ド の 最 上 階 に 設 置 し ,そ れ ぞ れ の カ メ ラ で ハ ー フ コ ー ト の コ ー ナ ー 部 分 と ハ ー フ ウ ェ イ ラ イ ンが映るように配置した. 撮 影 し た 映 像 は ,ト ム ソ ン・カ ノ ー プ ス 社 の 映 像 編 集 ソ フ ト EDIUS NEO 2 を 用 い て パ ソ コ ン へ 取 り 込 ん だ .ビ デ オ を 撮 影 す る 際 に 2 台 の ビ デ オ カ メ ラ の 同 期 処 理 を 行 わ な か っ た た め ,2 つ の 映 像 上 の 選 手 や ボ ー ル の 動 き か ら 視 認 的 に 時 間 の ズ レ を フ レ ー ム 単 位 で 調 整 し ,事 後 的 に ビ デ オ 映 像 の 同 期 を とった. ボ ー ル 奪 取 場 面 の 画 像 選 択 作 業 ,選 手 位 置 の デ ジ タ イ ズ 処 理 ,お よ び ビ デ オ 座 標 か ら フ ィ ー ル ド 座 標 へ の 変 換 処 理 は ,MATLAB 2007b( Math Works) に よ り 作 成 し た プ ロ グ ラ ム を 用 い て 行 っ た . ボ ー ル 奪 取 場 面 は , MATLAB 13.

(17) 上 に て ビ デ オ 映 像 を 30fps で 再 生 し ,目 視 で 確 認 し な が ら フ レ ー ム 単 位 で 選 択 し た .選 手 位 置 の デ ジ タ イ ズ は 手 動 デ ジ タ イ ズ に よ り 行 っ た .具 体 的 に は , デ ィ ス プ レ イ 上 に ビ デ オ フ レ ー ム 画 像 を 表 示 し ,図 2-2 に 示 し た よ う に 画 像 上の選手の両足元の中間位置を選手位置とし,その位置をマウス入力した.. 図 2-2. 選 手 位 置 の デ ジ タ イ ズ. ビ デ オ 座 標 か ら フ ィ ー ル ド 座 標 へ の 変 換 処 理 は ,選 手 の 高 さ 方 向 を 考 え な い こ と と し , 2 次 元 DLT 法 を 用 い て 選 手 位 置 の ビ デ オ 座 標 か ら フ ィ ー ル ド 座 標 を 算 出 し た .選 手 位 置 の ビ デ オ 座 標 を( U.V),フ ィ ー ル ド 座 標 を( X. Y) , と す る と , 両 者 の 関 係 は 次 式 で 表 さ れ る .. U. L1 X  L2Y  L3 L7 X  L8Y  1. V. L4 X  L5Y  L6 L7 X  L8Y  1. こ こ で , L1 か ら L8 は DLT パ ラ メ ー タ で あ る . キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン は , 図 14.

(18) 2-3 に 示 す よ う に ,サ ッ カ ー フ ィ ー ル ド の 左 右 半 面 を 撮 影 し た 2 つ の ビ デ オ 映 像 に 対 し て ,各 ハ ー フ コ ー ト の 4 隅 の 位 置 を キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン ポ イ ン ト として各ビデオ映像について行った.. 図 2-3. キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン ポ イ ン ト の 設 定. DLT パ ラ メ ー タ ー は ,4 点 の キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン ポ イ ン ト の ビ デ オ 座 標( Ui, Vi) と フ ィ ー ル ド 座 標 ( Xi, Yi) ( i=1, 2, 3, 4) を 用 い , 次 の 連 立 方 程 式を解くことにより算出した..  X 1 Y1   0 0  X 2 Y2   0 0  X 3 Y3   0 0 X Y  4 4  0 0 . 1. 0. 0. 0. U1 X 1. 0. X1. Y1. 1. V1 X 1. 1. 0. 0. 0 U 2 X 2. 0. X 2 Y2. 1. 1. 0. 0. 0 U 3 X 3. 0. X3. Y3. 1. 1 0. 0 0 X 4 Y4. V2 X 2 V3 X 3. 0 U 4 X 4 1 V4 X 4. U1Y1   L1   U1      V1Y1   L2   V1  U 2Y2   L3   U 2      V2Y2   L4   V2   U 3Y3   L5   U 3      V3Y3   L6   V3  U 4Y4   L7   U 4      V4Y4   L8   V4 . ま た , 上 式 で 求 め た DLT パ ラ メ ー タ ー を 用 い , 次 の 連 立 方 程 式 を 解 く こ と に よ り ビ デ オ 座 標 ( U, V) か ら フ ィ ー ル ド 座 標 ( X, Y) を 算 出 し た . 15.

(19) ( L1  UL7 ) X  ( L2  UL8 )Y  U  L3  ( L4  VL7 ) X  ( L5  VL8 )Y  V  L6 手 動 デ ジ タ イ ズ 処 理 で は ,選 手 の 左 右 の 足 元 の 中 心 位 置 を 視 認 的 方 法 で 判 断 し ,そ の 位 置 を デ ジ タ タ イ ズ す る こ と に 努 め た が ,マ ウ ス 入 力 時 に お け る ビ デ オ 座 標 の 誤 差 は 避 け ら れ な い .そ こ で ,手 動 デ ジ タ イ ズ に 伴 う 測 定 誤 差 を 以 下 の 方 法 に よ り 検 証 し た . 複 数 の 選 手 に つ い て , 個 々 の 選 手 位 置 を 20 回 繰 り 返 し て マ ウ ス 入 力 し ,マ ウ ス 入 力 時 に お け る ビ デ オ 座 標 の 変 動 量 を 調 べ た .そ の 結 果 ,繰 り 返 し 手 動 デ ジ タ イ ズ し た 場 合 の ビ デ オ 座 標 の 標 準 偏 差 は X 座 標 に 対 し て 1.2 ピ ク セ ル ,Y 座 標 に 対 し て 0.9 ピ ク セ ル で あ っ た . 次 に ,ビ デ オ 座 標 上 の 誤 差 が フ ィ ー ル ド 座 標 上 の 誤 差 に 及 ぼ す 影 響 を 検 証 し た .今 回 の ビ デ オ 撮 影 は フ ィ ー ル ド の 長 手 上 方 か ら 行 っ た た め ,フ ィ ー ル ド の 短 手 方 向 で 遠 方 に な る ほ ど 画 像 上 で 対 象 物 が 小 さ く 映 る こ と に な り ,ビ デ オ 座 標 誤 差 が フ ィ ー ル ド 座 標 誤 差 に 及 ぼ す 影 響 は 一 様 で は な い .そ こ で ,ビ デオ座標誤差がフィールド座標誤差に及ぼす影響を定量的に検証するため, ビデオ座標が X 方向および Y 方向に1ピクセル変化した時のフィールド座 標 値 の 変 化 量 を 調 べ た .具 体 的 に は ,サ ッ カ ー フ ィ ー ル ド を 長 手 方 向 に 106 等 分 , 短 手 方 向 に 68 等 分 に メ ッ シ ュ 分 割 し , 各 メ ッ シ ュ ( メ ッ シ ュ の 長 手 方 向 と 短 手 方 向 の 大 き さ は 1m に 相 当 )の 中 心 位 置 の フ ィ ー ル ド 座 標 に 対 応 するビデオ座標を求め,そのビデオ座標を X 方向および Y 方向に 1 ピクセ ル 分 変 化 さ せ た 時 の フ ィ ー ル ド 座 標 の 変 化 量 を 算 出 し た .ビ デ オ 座 標 1 ピ ク 16.

(20) セ ル 分 の 変 化 に 対 す る フ ィ ー ル ド 座 標 の 変 化 量 の 平 均 ,最 小 ,最 大 は ,そ れ ぞ れ 長 手 方 向 で 7.5cm,4.3cm,11.1cm,短 手 方 向 で 26.2cm,9.4cm, 50. 0cm で あ っ た . こ れ よ り , 手 動 デ ジ タ イ ズ に よ る ビ デ オ 座 標 誤 差 の 標 準 偏 差 に 対 す る フ ィ ー ル ド 座 標 の 誤 差( 手 動 デ ジ タ イ ズ に よ る ピ ク セ ル 誤 差 の 標 準 偏 差 ×ビ デ オ 座 標 1 ピ ク セ ル 分 の 変 化 に 対 す る フ ィ ー ル ド 座 標 の 変 化 量 )の 平 均 ,最 小 ,最 大 は ,そ れ ぞ れ 長 手 方 向 で 9.0cm,5.2cm,13. 3cm, 短 手 方 向 で 24. 3cm, 8. 7cm, 45. 9cm と な っ た .. 2. 4. 選 手 の 運 動 モ デ ル に 基 づ く 優 勢 領 域 の 算 出 本 研 究 の 優 勢 領 域 の 算 出 に 用 い た 選 手 の 運 動 モ デ ル は ,藤 村・杉 原( 2004) に よ り 提 案 さ れ た モ デ ル に 準 拠 し た .こ の モ デ ル に よ れ ば ,優 勢 領 域 と は 試 合 中 の 各 時 刻 に お い て ,各 々 の 選 手 に 対 し て ,「 だ れ よ り も そ の 選 手 が 早 く 到 達 で き る 点 の 集 合 」と 定 義 さ れ る .そ し て ,そ の 優 勢 領 域 を 作 成 す る た め に は ,到 達 時 間 比 較 の た め に 選 手 の 動 き 方 を 予 測 す る 方 法 が 必 要 と な る .そ の た め に は ,選 手 に 初 期 位 置 と 初 速 度 を 与 え る と 空 間 上 任 意 の 点 へ の 最 小 到 達時間が算出される運動モデルを作成しなければならない.瀧・長谷川 ( 1998) は こ の 運 動 モ デ ル 作 成 に お い て , 選 手 の 加 速 度 は 一 定 で あ る と 仮 定 し て い る .し か し ,こ の 仮 定 で は 時 間 の 経 過 と と も に 選 手 の 速 度 が 無 限 大 ま で 大 き く な る た め ,実 際 の 人 間 の 走 動 作 に お け る 速 度・加 速 度 パ タ ン と は 整 合 性 を 有 し て い な い .そ こ で ,本 研 究 は 藤 村 ら に な ら い ,「 人 が 自 力 移 動 17.

(21) する際には,その運動を打ち消す方向に運動の大きさに比例した力が働く」 と 仮 定 し た 運 動 モ デ ル の 作 成 を 行 っ た .藤 村 ら の 提 案 し た 選 手 の 2 次 元 運 動 モデルは次式で与えられる. m. d v  F  kv dt. こ こ で , m は 質 量 , v は 速 度 ベ ク ト ル , k は 抵 抗 定 数 , F  Fe は 最 大 推 進 力 ベ ク ト ル , F は 最 大 推 進 力 , e は 任 意 方 向 の 単 位 ベ ク ト ル を 表 す .上 式 の 右 辺 の 第 二 項 が 運 動 を 打 ち 消 す 力( 摩 擦 力 )を 表 し て い る .ま た ,こ の モ デ ル で は ,「 選 手 は 速 度 方 向 に か か わ ら ず ,す べ て の 方 向 に 対 し て ,等 し く 最 大 筋 力 が 発 揮 で き る 」と 仮 定 し て い る .そ し て ,こ の 微 分 方 程 式 を 満 た す 変 位 ベクトル x は次式で表される.  1e t x  x0  V max  t   .  1e t  e  v0  . こ こ で , x0 は 初 期 位 置 ベ ク ト ル , v0 は 初 速 度 ベ ク ト ル , V max  F / k は 最 大 速 度 の 大 き さ ,   k / m は 抵 抗 の 大 き さ と 質 量 に 依 存 す る 係 数 で あ り ,速 度 の立ち上がり時間に対応する.選手の運動モデルの変位に関する式より,. t  0 に お い て 初 速 度 v0 ,初 期 位 置 x0 の 条 件 を 持 っ た 選 手 が ,時 刻 t (t  0) に お いて存在可能な領域は,   1 e t 1 e t  v0 ,半径 V max  t  中心 x0      .      . で表される円内領域となる.また,藤村らは直線走行における実験を行い, 18.

(22) 実験データとモデルの比較から最小二乗法を用いて,モデル中の係数  と. V max を 求 め る 実 験 を 行 い ,   1.3, V max  7.8m/s を 得 た .本 研 究 に お い て も , こ の 係 数  と V max の 値 を 用 い る こ と と し , 全 選 手 に 対 し て 共 通 の 値とした. ま た , 初 速 度 の 算 出 は 大 江 ら ( 2007) の 研 究 を 参 考 に し た . 大 江 ら は サ ッ カ ー に お い て ボ ー ル 保 持 者 が パ ス を 出 す 時 点 の 移 動 速 度 ,ま た パ ス の 受 け 手 が ボ ー ル を 受 け る 時 点 の 移 動 速 度 に 関 す る 研 究 を 行 っ た .そ の 際 ,パ ス の 出 し 手 及 び 受 け 手 の 速 度 算 出 に は 1/3 秒 前 の 位 置 座 標 と の 差 分 を 計 測 す る こ と に よ り 速 度 を 求 め た .よ っ て ,本 研 究 に お い て も 同 様 に ,ボ ー ル 奪 取 時 点 と 1/3 秒 ( 10 フ レ ー ム ) 前 の 時 点 に お け る 位 置 座 標 の 差 分 に よ り 初 速 度 を求めた. 上 記 の 選 手 の 運 動 モ デ ル を 元 に 優 勢 領 域 を 以 下 の 手 順 に よ り 算 出 し た .ま ず ,長 手 106m,短 手 68m の サ ッ カ ー フ ィ ー ル ド を 縦 横 方 向 そ れ ぞ れ に 25cm 間 隔 で 分 割 し ,長 手 方 向 に 424 分 割 ,短 手 方 向 272 分 割 の 合 計 115328 個 の メ ッ シ ュ に 分 割 す る .次 に ,ボ ー ル を 奪 取 し た 時 点 を 初 期 時 点 と し ,選 手 の 初期位置と初速度から運動モデルを用いて各メッシュの中心位置に選手が 到 達 す る 時 間 を 全 選 手 に つ い て 求 め ,最 も 早 く 到 達 す る 選 手 の チ ー ム を 割 り 出 す こ と で ,そ の メ ッ シ ュ を 割 り 出 し た チ ー ム の 優 勢 領 域 と す る .こ の 手 順 を 全 て の メ ッ シ ュ に つ い て 行 い ,サ ッ カ ー フ ィ ー ル ド 全 体 に 対 す る 各 チ ー ム の 優 勢 領 域 を 決 定 す る .ま た ,優 勢 領 域 算 出 時 に お け る 時 間 間 隔 は 1/300 秒 19.

(23) と し ,フ ィ ー ル ド の す べ て の メ ッ シ ュ が ど ち ら か の チ ー ム の 優 勢 領 域 と し て 確 定 さ せ る た め , ボ ー ル 奪 取 か ら 15 秒 後 ま で の 時 間 区 間 に つ い て 優 勢 領 域 の 計 算 を 行 っ た .図 2-4 は ,上 記 の 手 順 で 求 め ら れ た 優 勢 領 域 の 例 を 示 し て いる. こ の よ う に し て 求 ま る 優 勢 領 域 は ,選 手 の 初 速 度 に よ っ て 選 手 の 到 達 領 域 が 異 な る こ と か ら ,選 手 の 初 期 位 置 か ら 求 め ら れ る ボ ロ ノ イ 領 域 と は 異 な っ た も の と な る .た だ し ,全 選 手 に 対 し て 係 数  と 最 大 速 度 V max が 同 一 で あ る と 仮 定 し て い る こ と か ら , 全 て の 選 手 の 初 期 速 度 が v0  0 の 場 合 は , 各 メ ッ シ ュ の 中 心 位 置 に 最 短 時 間 で 到 達 す る 選 手 は ,選 手 の 初 期 位 置 と メ ッ シ ュ の 中 心 位 置 と の 距 離 が 最 小 と な る 選 手 に 一 致 す る た め ,優 勢 領 域 と ボ ロ ノ イ 領域は一致する.. 2. 5. 測 定 項 目 優 勢 領 域 は フ ィ ー ル ド 上 の 全 て の 領 域 に 対 し て 算 出 す る た め ,優 勢 領 域 の 大 小 を も っ て 評 価 を 行 う だ け で は 有 効 な 特 徴 量 と は い え な い .そ の 解 決 策 と し て , 藤 村 ・ 杉 原 ( 2004) は ゴ ー ル や ボ ー ル に 近 い 優 勢 領 域 ほ ど 高 い 点 数 が つ き ,遠 い 優 勢 領 域 ほ ど 低 い 点 数 が つ く と い っ た 具 合 に 優 勢 領 域 を 価 値 点 に よ っ て 重 み 付 け す る こ と で ,フ ィ ー ル ド 上 に 広 が る 優 勢 領 域 に 意 味 付 け を 加 え て い る .し か し ,ど の あ た り の 優 勢 領 域 が 真 に 価 値 が あ る か と い っ た こ と は ゴ ー ル や ボ ー ル へ の 距 離 の み で は 判 断 で き な い .よ っ て 本 研 究 で は ,チ 20.

(24) ームエリアによる優勢領域の裁断作業という手法を用いて優勢領域の意味 付けを行った. 大 江 ら ( 2007) は ゴ ー ル キ ー パ ー を 除 い た フ ィ ー ル ド の 選 手 の 最 前 線 と 最 後 尾 の 幅 ,及 び 最 左 端 と 最 右 端 の 幅 と で 構 成 さ れ る 四 角 形 の 面 積 を チ ー ム エ リ ア 面 積 と 定 め ,チ ー ム の 広 が り 具 合 や チ ー ム の お お ま か な 位 置 取 り を 把 握 す る た め に 利 用 し た . 瀧 井 ( 1995) は フ ィ ー ル ド の 選 手 の 分 布 状 況 を 幅 と 厚 み と い う 言 葉 に て 表 現 し ,そ の 程 度 が 攻 撃 ,守 備 と も に 重 要 で あ る と 述 べ て い る .同 様 に ,JFA指 導 教 本( 2007)に よ る と ,プ レ ー の 原 則 と し て 攻 撃 チ ー ム は 幅 と 厚 み を と り ,守 備 チ ー ム は ボ ー ル へ の 集 中 と ゴ ー ル を 意 識 し た ポ ジ シ ョ ン へ の 集 結 を 掲 げ て い る .こ れ ら の こ と か ら ,フ ィ ー ル ド 全 体 の 中 で も ,守 備 チ ー ム の 選 手 た ち が 集 結 す る 領 域 が 分 析 や 指 導 上 に お い て 重 要 視 さ れ て い る こ と が わ か る . ま た , 1節 で 述 べ た よ う に , ス ペ ー ス は ボ ー ル の 保 持 に と っ て ,ま た 有 効 な 攻 撃 の 展 開 に と っ て 重 要 な 概 念 で あ る .し た が っ て ,フ ィ ー ル ド の 中 で も 攻 撃 の 展 開 に お け る ボ ー ル の 経 路 と な り や す い 領 域 ,守 備 選 手 が 集 中 す る 領 域 に お い て 優 勢 領 域 の 値 を 計 測 す る こ と が よ り 妥 当 で あ る . こ れ ら の 従 来 研 究 を 参 考 に し , 図 2-4の 中 央 付 近 の 四 角 形 に 示 す よ う に ,チ ー ム エ リ ア を フ ィ ー ル ド 縦 横 そ れ ぞ れ の 方 向 に お い て 座 標 の 最 小 値 と 最 大 値 を 有 す る 被 奪 取 チ ー ム の 選 手 の 内 接 す る 四 角 形 と し て 定 義 し ,チ ー ム エ リ ア 面 積 と そ の 内 に 占 め る 優 勢 領 域 を 測 定 し た .図 中 に お い て ,黒 い 矢 印 が 奪 取 チ ー ム ,白 い 矢 印 が 被 奪 取 チ ー ム の 選 手 を 表 す .ま た ,矢 印 の 終 21.

(25) 点 は ボ ー ル 奪 取 時 点 に お け る 選 手 位 置 ,矢 印 の 始 点 は そ の 10フ レ ー ム 前 の 選 手位置を表す. ま た ,こ の 時 ,チ ー ム エ リ ア 自 体 が 大 き な 値 を 示 せ ば ,選 手 の ポ ジ シ ョ ン の 良 し 悪 し や 移 動 速 度 に か か わ ら ず ,双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 が 高 い 値 を 示 す と 考 え ら れ る た め ,チ ー ム エ リ ア 内 に お け る 優 勢 領 域 の 面 積 比 を 求 め ,こ れを優勢領域比と定めた. ま た ,こ の 時 ,チ ー ム エ リ ア 以 外 の 領 域 に は 守 備 チ ー ム の 選 手 は 存 在 し て お ら ず ,さ ら に ,攻 撃 の 展 開 時 に お け る ボ ー ル の 経 路 と な ら な い 標 本 も 多 数 存 在 す る .つ ま り ,こ れ ら の 領 域 に お い て ,特 徴 量 と し て の 妥 当 性 は ボ ー ル 奪 取 後 の 攻 撃 パ タ ン に 大 き く 依 存 し て お り ( 被 奪 取 チ ー ム の DFラ イ ン の 背 後 の 領 域 で あ れ ば , DFラ イ ン の 背 後 へ の ス ル ー パ ス , ロ ン グ パ ス に よ っ て 有 効 攻 撃 に 至 っ た 場 合 な ど ),攻 撃 パ タ ン の 分 類 と い っ た 更 な る 分 析 が 必 要 と さ れ る .よ っ て ,こ れ ら の 領 域 に お い て い か な る 結 果 が み ら れ た と し て も , 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス と の 因 果 関 係 を 一 概 に 認 め る こ と は で き な い と 判 断し,本研究では分析の対象外とした.. 22.

(26) 図 2-4. 優 勢 領 域 と チ ー ム エ リ ア. 2. 6. 奪 取 サ ー ド の 分 類 ボールの奪取位置が優勢領域並びにチームエリアの値に及ぼす影響を考 慮 し ,ボ ー ル 獲 得 位 置 毎 に 優 勢 領 域 及 び チ ー ム エ リ ア の 検 定 を 行 っ た .そ の た め に , リ ー ズ ・ ミ ア ( 2007) に な ら い , 図 2-5 に 示 す よ う に , グ ラ ウ ン ド を 3 等 分 し ,ボ ー ル 奪 取 チ ー ム の 自 陣 か ら 奪 取 サ ー ド D,奪 取 サ ー ド M, 奪取サード A とした.そして,奪取サード毎に有効攻撃群と非有効攻撃群 を 比 較 す る と い う こ と で ,よ り 状 況 の 類 似 し た 標 本 同 士 を 比 較 す る こ と と し た.. 23.

(27) 図 2-5.奪 取 サ ー ド. 2. 7 統 計 的 解 析 方 法 以 上 の よ う な 条 件 で チ ー ム エ リ ア ,優 勢 領 域 ,優 勢 領 域 比 を 従 属 変 数 と す る 有 効 -非 有 効 攻 撃 群 2 水 準 の 分 散 分 析 を 各 奪 取 サ ー ド に つ い て 行 っ た . 統 計 解 析 に は IBM SPSS Statistics 19( 日 本 ア イ・ビ ー・エ ム )を 使 用 し た . ま た , す べ て の 検 定 に お け る 有 意 水 準 は 5%と し た . な お , 双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 比 は 分 布 の 尖 度 は 同 じ 値 を と り ,歪 度 は 絶 対 値 は 等 し く ,正 負 が 逆 転 し た 値 と な る .し た が っ て ,優 勢 領 域 比 を 水 準 間 比 較 し た 場 合 ,そ れ ぞ れ の チ ー ム に お け る 群 間 平 均 平 方 ,群 内 平 均 平 方 は 同 値 で あ り ,分 散 分 析 の 結 果である F 値及びその有意確率も等しくなる.. 24.

(28) 3. 結 果 3. 1. 奪 取 サ ー ド A に お け る 検 定 結 果 奪 取 サ ー ド A に お け る 検 定 結 果 を 表 2-1 に 示 す . こ れ よ り , い ず れ の 従 属変数に関しても有効攻撃群と非有効攻撃間群で有意な差はみられなかっ た. 表 2-1. 奪 取 サ ー ド A で の 要 約 統 計 量 と 検 定 結 果. 注 1:チ ー ム エ リ ア , 優 勢 領 域 の 単 位 は ㎡ , 優 勢 領 域 比 の 単 位 は %で あ る . 注 2:平 均 平 方 は 群 間 の 平 均 平 方 で あ る .. 3. 2. 奪 取 サ ー ド M に お け る 検 定 結 果 奪 取 サ ー ド M に お け る 検 定 結 果 を 表 2-2 に 示 す . こ れ よ り , チ ー ム エ リ ア と 双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 の 値 に 有 意 な 差 が み ら れ ,と も に 有 効 攻 撃 群 が 非 有 効 攻 撃 群 よ り も 高 い 値 を 示 し た ( チ ー ム エ リ ア :F( 1. 184) =5. 785, 平 均 平 方 =779297.095,p=.017<.05,奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 :F( 1.184) =4. 727, 平 均 平 方 =208214. 035, p=. 031<. 05, 被 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 25.

(29) 域 :F( 1. 184) =5. 010, 平 均 平 方 =181879. 470, p=. 026<. 05) . 表 2-2. 奪 取 サ ー ド M で の 要 約 統 計 量 と 検 定 結 果. 注 1:チ ー ム エ リ ア , 優 勢 領 域 の 単 位 は ㎡ , 優 勢 領 域 比 の 単 位 は %で あ る . 注 2:平 均 平 方 は 群 間 の 平 均 平 方 で あ る . 注 3:p<. 05 は *, p<. 03 は **, p<. 01 は ***で 表 記 し た .. 3. 3. 奪 取 サ ー ド D に お け る 検 定 結 果 奪 取 サ ー ド D に お け る 検 定 の 結 果 を 表 2-3 に 示 す . こ れ よ り , い ず れ の 従属変数に関しても有効攻撃群と非有効攻撃群間で有意な差はみられなか った. 表 2-3. 奪 取 サ ー ド D で の 要 約 統 計 量 と 検 定 結 果. 26.

(30) 注 1:チ ー ム エ リ ア , 優 勢 領 域 の 単 位 は ㎡ , 優 勢 領 域 比 の 単 位 は %で あ る . 注 2:平 均 平 方 は 群 間 の 平 均 平 方 で あ る .. 4. 考 察 本節では,まず有意差のみられた奪取サード M における検定結果につい て 考 察 し ,次 に 有 意 差 の み ら れ な か っ た 奪 取 サ ー ド A,D の 検 定 結 果 に つ い て考察する.. 4. 1. 奪 取 サ ー ド M に て 所 有 権 移 行 が 生 じ た 場 合 チ ー ム エ リ ア は ,非 有 効 攻 撃 群 よ り も 有 効 攻 撃 群 に お い て 有 意 に 高 い 値 を 示 し た .ま た ,優 勢 領 域 に つ い て も ,奪 取 チ ー ム ,被 奪 取 チ ー ム と も に ,非 有 効 攻 撃 群 よ り も 有 効 攻 撃 群 に お い て 有 意 に 高 い 値 を 示 し た .一 方 ,優 勢 領 域 の 相 対 的 な 面 積 比 で あ る 優 勢 領 域 比 に は 有 意 差 は み ら れ な か っ た .こ れ よ り ,チ ー ム エ リ ア 及 び チ ー ム エ リ ア 内 部 に お い て 定 義 さ れ た 双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 が ,攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス と 因 果 関 係 を 有 し て い る こ と が 明 ら かになった. 27.

(31) 瀧 井 ( 1995) や JFA 指 導 教 本 ( 2007) は , 守 備 チ ー ム が コ ン パ ク ト に 守 備を行うことで守備におけるパフォーマンスを向上させることができると 述 べ て い る . 図 2-7( a) , ( b) は 奪 取 サ ー ド M に お け る 非 有 効 攻 撃 群 に 対 す る 優 勢 領 域 の 事 例 を 示 し て お り , 図 2-7( c) ,( d) は 有 効 攻 撃 群 の 事 例 で あ る .こ れ ら を 見 比 べ て も わ か る よ う に ,本 研 究 結 果 も 同 様 に チ ー ム エ リ ア が 小 さ な 場 合 に 有 効 攻 撃 に 至 る こ と を 未 然 に 防 い で お り ,上 記 の 先 行 研 究と整合性を有する結果であった. ま た , 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 に 関 し て は , 瀧 ・ 長 谷 川 ( 1998) , 藤 村 ・ 杉 原 ( 2004) の 研 究 や ス ペ ー ス を 有 す る こ と の 一 般 的 な 効 果 か ら 鑑 み て , 優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と が ボ ー ル 所 有 権 の 保 持 ,有 効 な 攻 撃 の 展 開 に 寄 与 す る と 考 え ら れ た .そ し て ,今 回 の 実 験 結 果 に お い て も 同 様 に ,有 効 攻 撃 群 に お い て 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 は 有 意 に 高 い 値 を 示 し て お り ,奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 は 攻 撃 パ フ ォ ー マ ン ス の 向 上 に 寄 与 し て い る こ と が 示 さ れ た .ま た , 図 2-7 の 有 効 攻 撃 群 と 非 有 効 攻 撃 群 を 比 較 す る と ,チ ー ム エ リ ア は 有 効 攻 撃 群 に お い て 大 き く 広 が っ て お り ,同 時 に 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 も 大 き く 広 が っ て い る こ と が わ か る .そ し て ,チ ー ム エ リ ア は ,多 く の 標 本 に お い て 攻 撃 の 展 開 に お け る ボ ー ル の 経 路 で あ る と 考 え ら れ る こ と か ら ,そ の 後 の 攻 撃 展 開 に と っ て 有 利 な 状 況 下 に あ っ た こ と が 伺 え る .こ の よ う に ,優 勢 領 域 を 用 い た 分 析 に よ っ て ,こ れ ま で の 述 べ ら れ て き た 守 備 チ ー ム が コ ン パ ク ト に な ることによって守備パフォーマンスが向上するという仮説に根拠付けを行 28.

(32) うことができ,またその内部の勢力範囲の様子を可視化することができた. 一 方 ,双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 の 相 対 値 で あ る 優 勢 領 域 比 に は 有 意 差 が み ら れ な か っ た .こ れ は ,有 効・非 有 効 攻 撃 群 間 に お け る 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域の変化量と被奪取チームの優勢領域の変化量がほぼ等しかったことを示 し て い る .よ っ て ,攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス と は 無 関 係 に ,奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 が 45%前 後 , 非 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 が 55%前 後 と い う 相 対 的 な 関 係 が 通 底 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た .し た が っ て ,チ ー ム エ リ ア 内 の 優勢領域は,相対値ではなく絶対値が有用な特徴量であることが示された. 同 様 に ,相 対 値 に 有 意 差 が み ら れ な か っ た こ と か ら ,双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 の 有 意 差 は チ ー ム エ リ ア の 有 意 差 に 由 来 す る 結 果 で あ る と 考 え ら れ ,そ の 意 味 で は 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 を 小 さ く 抑 え る た め に は ,被 奪 取 チ ー ム の チ ー ム エ リ ア を 小 さ く 保 つ こ と が 最 も 妥 当 な 対 応 で あ り ,前 述 し た チ ー ム エ リ アに関する言及はチームの指導において妥当なものであると考えられる.. ( a). ( b). 29.

(33) ( c). ( d). 図 2-6. 奪 取 サ ー ド M に お け る 優 勢 領 域 の 事 例 ( a) , ( b) は 非 有 効 攻 撃 群 , ( c) ( d) は 有 効 攻 撃 群. 一 方 で , 被 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 に 関 し て は , 瀧 ・ 長 谷 川 ( 1998) の 研 究 に よ る と ,攻 撃 の 進 展 に 伴 い 攻 撃 チ ー ム の 優 勢 領 域 は 増 加 傾 向 に あ り ,守 備チームの優勢領域が減少傾向にあったと述べている.また,藤村・杉原 ( 2004) は , 守 備 選 手 の 優 勢 領 域 を 攻 撃 選 手 が 奪 う こ と で 守 備 選 手 の 働 き を 無 効 力 化 す る こ と が で き る と 述 べ て い る .よ っ て ,攻 撃 同 様 に 優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と が 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス 向 上 に 寄 与 す る と 考 え ら れ た .し か し な が ら ,本 実 験 結 果 は こ れ に 反 し て ,守 備 チ ー ム の 優 勢 領 域 が 小 さ い 時 に 高 い 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス を 示 し た .こ の 相 反 す る 結 果 を 検 証 す る た め ,守 備 チ ームが優勢領域を多く有することの効果をより詳細に考察する. こ れ ま で 述 べ た よ う に ,攻 撃 選 手 に 関 し て は ,優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と は ボ ー ル 所 有 権 の 保 持 ,有 効 な 攻 撃 の 展 開 を 行 い や す い 状 況 に あ る こ と を 意. 30.

(34) 味 し て い る .し か し ,守 備 選 手 は ボ ー ル を 保 持 し て い な い 上 に ,守 備 側 に は 後 手 , 受 身 と い う 不 利 さ が あ る ( 松 本 ・ 鈴 木 , 2001) こ と か ら , 優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と の 意 味 が 攻 撃 側 よ り も 理 解 し に く い .攻 撃 選 手 の 優 勢 領 域 を 減 ら す こ と の 重 要 性 は 本 実 験 結 果 並 び に 従 来 研 究 に よ っ て 示 さ れ た が ,守 備 選 手 自 身 が 優 勢 領 域 を 多 く 有 す る べ き か 否 か は 明 ら か に な っ て い な い .図 2-6( a) か ら ( d) を み て み る と , 優 勢 領 域 を 多 く 有 す る 守 備 選 手 は 人 口 密 度 が 低 い 領 域 に 位 置 し て い る よ う に み え る .そ の 意 味 で は ,優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と が ,高 い 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス を 発 揮 し て い る と 一 概 に 認 め る こ と は で き ず ,見 解 に よ っ て は プ レ ー に 関 与 し て い な い ,ま た は ,攻 撃 選 手 へ の 有 効 な デ ィ フ ェ ン ス を 行 っ て い な い と み な す こ と も で き る .し た が っ て ,優 勢 領 域 に 加 え ,優 勢 領 域 を 応 用 し た 特 徴 量 で あ り ,守 備 選 手 か ら 攻 撃 選 手 へ のプレッシャーの様子を定量化できるプレッシャー強度を併用して以下の 様なシミュレーションを試みた. 最 初 に ,選 手 配 置 と 優 勢 領 域 の 関 係 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 求 め た 結 果 を 図 2-7 に 示 し た .白 矢 印 で 示 し た 選 手 が 守 備 選 手 で あ り ,黒 矢 印 で 示 し た 3 人 の 選 手 が 攻 撃 選 手 で あ り ,さ ら に 左 下 の 攻 撃 選 手 が ボ ー ル 保 持 者 で あ る と 仮 定 し た . 図 2-7( a) は , 黒 矢 印 で 示 し た 3 人 の 攻 撃 選 手 か ら 白 矢 印 の 守 備 選 手 が 遠 く に 位 置 す る 場 合 で ,こ の 場 合 ,守 備 選 手 の 優 勢 領 域 は 広 く な る ( 守 備 選 手 の 優 勢 領 域 ( a) : 147m 2 ) . 一 方 , 図 2-7( b) は , 攻 撃 選 手 の 近 く に 守 備 選 手 が 位 置 す る 場 合 で あ り ,こ の 場 合 ,守 備 選 手 の 優 勢 領 域 31.

(35) が 前 者 と 比 較 し て 狭 く な る( 守 備 選 手 の 優 勢 領 域( b): 46m 2 ).こ の よ う に ,守 備 選 手 が 相 手 選 手 に よ り 接 近 す る ,相 手 の 密 集 し た エ リ ア に 入 り 込 む な ど ,積 極 的 に プ レ ー に 関 与 す る こ と で ,守 備 選 手 の 優 勢 領 域 が 低 い 値 を 取 る 傾 向 が あ る . ま た , 図 2-8( a) , ( b) は , 図 2-7 と 同 じ 条 件 下 で の 選 手 の 存 在 可 能 領 域( 最 小 到 達 時 間 )を 示 し て い る .守 備 選 手 の 優 勢 領 域 が 広 い 図 2-8( a)の 方 が ボ ー ル 保 持 者 へ の 最 小 到 達 時 間 は 長 く( 最 小 到 達 時 間( a): 3. 89 秒 ) , 図 2-8( b) の 方 が 最 小 到 達 時 間 は 短 い ( 最 小 到 達 時 間 ( b) : 1.48 秒 ).す な わ ち ,相 手 選 手 へ の 最 小 到 達 時 間 と し て 定 義 さ れ る プ レ ッ シ ャ ー 強 度 に 換 算 す れ ば , 守 備 選 手 の 優 勢 領 域 が 小 さ い 図 2-7( b) の 方 が 高 い プ レ ッ シ ャ ー を 攻 撃 選 手 に か け て い る こ と に な る .つ ま り ,守 備 チ ー ム 全 体 が 密 集 し ,攻 撃 選 手 と 近 い 距 離 を 保 つ こ と で ,守 備 チ ー ム の 優 勢 領 域 が 低 い 値 を 示 し な が ら も ,あ ら ゆ る 攻 撃 展 開 の 経 路 に お い て 高 い プ レ ッ シ ャ ー 強 度 を 与 え る 状 況 を 作 り 出 す こ と が で き ,こ れ に よ っ て 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス の 向 上 が 期 待 で き る .そ し て ,こ れ は 非 有 効 攻 撃 群 に お い て チ ー ム エ リ ア が 有 意 に 低 い 値 を 示 し ,そ の 内 部 に お い て 被 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 が 小 さ な 値 を示した本実験結果と整合性を有している.. 32.

(36) ( a). ( b). ( c). 図 2-7. 優 勢 領 域 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 ( a) 守 備 選 手 が 遠 く に 位 置 す る 場 合 , ( b) 守 備 選 手 が 近 く に 位 置 す る 場 合 ( c) 守 備 選 手 が 遠 く に 位 置 し , 高 い 初 速 度 を 有 す る 場 合. 縦 横 30m の フ ィ ー ル ド に て 1/300 秒 ご と に 4 秒 後 の 存 在 可 能 領 域 ま で 計 算 し ,優 勢 領 域 を 算 出 .ま た ,( a)~( c)に お け る 攻 撃 チ ー ム の 全 選 手 の 初 速 度 は 秒 速 4. 2m/s, ( a) , ( b) に お け る 守 備 選 手 の 初 速 度 は 4. 2m/s, ( c) に お け る 守 備 選 手 の 初 速 度 は 7. 2m/s と し た .. ( a). ( b). 33. ( c).

(37) 図 2-8. 存 在 可 能 領 域 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 ( a) 守 備 選 手 が 遠 く に 位 置 す る 場 合 , ( b) 守 備 選 手 が 近 く に 位 置 す る 場 合 , ( c) 守 備 選 手 が 遠 く に 位 置 し , 高 い 初 速 度 を 有 す る 場 合 ( a) の 各 円 は , 1/10 秒 間 隔 で 4 秒 間 の 存 在 可 能 領 域 ま で 描 画 し , ( b) ( c) の 各 円 は , 1/10 秒 間 隔 で 1. 6 秒 間 の 存 在 可 能 領 域 ま で 描 画 .. ま た ,図 2-7( c)は ,図 2-7( b)に お け る 選 手 位 置 と 同 じ 状 況 に お い て , 守 備 選 手 の 初 速 度 を 秒 速 7. 2m/s と し た 場 合 の 優 勢 領 域 を 示 し て い る . 初 速 度 が 4. 2m/s の 場 合 の 図 2-7( b) と 比 較 す る と , 守 備 選 手 の 位 置 が 同 じ で あ る に も か か わ ら ず ,守 備 選 手 の 初 速 度 が 大 き い た め 守 備 側 の 優 勢 領 域 は よ り 広 く な る こ と が わ か る ( 守 備 選 手 の 優 勢 領 域 ( c) : 61m 2 ) . ま た , 図 2-8( c)は 図 2-7( c)に 対 応 す る 選 手 の 存 在 可 能 領 域 を 示 す .こ れ よ り ,守 備 選 手 は 初 速 度 が 大 き い こ と か ら ボ ー ル 保 持 者 へ の 最 小 到 達 時 間 が 図 2-8 ( b)よ り も 短 く ( 最 小 到 達 時 間 ( c): 1.23 秒 ) ,よ り 高 い プ レ ッ シ ャ ー 強 度 を 与 え て い る こ と が わ か る .つ ま り ,前 述 の 比 較 と 異 な り ,優 勢 領 域 を 多 く 有 す る 図 2-7( c) の 方 が 高 い プ レ ッ シ ャ ー 強 度 を 有 し て い る こ と が わ か る .よ っ て ,守 備 選 手 の 場 合 ,優 勢 領 域 を 多 く 有 す る こ と が プ レ ッ シ ャ ー 強 度 の 高 い 状 況 に 相 当 す る 場 合 と ,逆 に プ レ ッ シ ャ ー 強 度 の 低 い 状 況 に 相 当 す る 場 合 が 存 在 す る .し た が っ て ,優 勢 領 域 で は 相 手 選 手 へ の プ レ ッ シ ン グ の 観 点 か ら の 評 価 に は 対 応 し き れ ず ,プ レ ッ シ ャ ー 強 度 に よ る 評 価 が 適 切 で あ る . し か し , 鈴 木 ( 2004) は サ ッ カ ー 守 備 技 能 尺 度 の 開 発 に お い て , 相. 34.

(38) 手 選 手 の み な ら ず ス ペ ー ス も 同 様 に 守 備 対 象 と し て 扱 っ て お り ,ス ペ ー ス に 対する守備,カバーリングといった観点はサッカーに根強く存在している. す な わ ち ,守 備 の パ フ ォ ー マ ン ス を 測 る 指 標 と し て ,フ ィ ー ル ド( ス ペ ー ス ) に対する最小到達時間に基づき算出される優勢領域の面積を計測すると同 時 に ,相 手 選 手 へ の 最 小 到 達 時 間 に 基 づ き 算 出 さ れ る プ レ ッ シ ャ ー 強 度 も 併 用した研究や評価法の検討が必要である.. 4. 2. 奪 取 サ ー ド A, D に て 所 有 権 移 行 が 生 じ た 場 合 チ ー ム エ リ ア ,双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 ,優 勢 領 域 比 ,い ず れ の 値 に お い ても有意な差はみられず,奪取サード A にて所有権移行が生じた場合,こ れ ら の 値 と 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス は 因 果 関 係 を 有 し て い な い こ と が 明 ら かになった.その理由として考えられるものは,奪取サード A でボール奪 取 が 生 じ た 場 合 , ゴ ー ル ま で 最 大 で 35m 程 度 , ペ ナ ル テ ィ エ リ ア ま で 20m 程度であり,本研究が扱った標本の競技水準においては,シュートを放つ, ペ ナ ル テ ィ エ リ ア 内 に 侵 入 す る ,ク ロ ス ボ ー ル を 上 げ る と い う 本 研 究 が 有 効 攻撃と定義したプレーを相手や味方の陣形にかかわらず達成できていたと い う こ と が 考 え ら れ る . 図 2-9( a) は 守 備 チ ー ム が チ ー ム エ リ ア を 小 さ く 保 っ て い た に も か か わ ら ず 有 効 攻 撃 に 至 っ て し ま っ た 例 で あ り ,図 2-9( b) は チ ー ム エ リ ア が 大 き な 状 態 で ボ ー ル 奪 取 が 行 わ れ た に も か か わ ら ず ,非 有 効 攻 撃 に 防 げ た 例 で あ る .こ の よ う な 例 か ら も ,相 手 や 味 方 陣 形 よ り も 他 の 35.

(39) 要因,とりわけ技術的な要因が大きく関与するサードであると考えられる.. ( a). ( b). 図 2-9. 奪 取 サ ー ド A に お け る 優 勢 領 域 ( a) 有 効 攻 撃 群 , ( b) 非 有 効 攻 撃 群. また,奪取サード D においてボール所有権移行が生じた場合も同様にチ ー ム エ リ ア ,双 方 の チ ー ム の 優 勢 領 域 ,優 勢 領 域 比 ,い ず れ の 値 に お い て も 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た .奪 取 サ ー ド D に て ボ ー ル を 奪 取 し た 場 合 に は , 図 2-10( a) , ( b) に 示 す よ う に チ ー ム エ リ ア が 有 効 攻 撃 群 , 非 有 効 攻 撃 群 と も に 広 い 傾 向 を 示 し た た め ,攻 撃 の 展 開 に と っ て 有 利 な 状 態 で あ る と 推 測 で き た .し か し ,他 の サ ー ド と 比 べ 相 手 ゴ ー ル ま で 最 も 距 離 が あ り ,守 備 チ ー ム が 陣 形 を 整 え る 時 間 を 多 く 有 し て い た こ と か ら ,ボ ー ル 奪 取 時 の 状 態 が 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス に 与 え る 影 響 が 比 較 的 軽 微 な も の で あ っ た と 考 え ら れ る .こ の 点 に 関 し て は ,ボ ー ル 奪 取 時 の 一 時 点 の み な ら ず ,そ の 後 の. 36.

(40) チームエリア,優勢領域の経時的な変化についても検証する必要がある.. ( a). ( b). 図 2-10. 奪 取 サ ー ド D に お け る 優 勢 領 域 ( a) 有 効 攻 撃 群 , ( b) 非 有 効 攻 撃 群. 4. 3. 総 合 考 察 以上のように奪取サード M において,チームエリア,双方のチームの優 勢 領 域 が 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス と 因 果 関 係 を 有 し て い る こ と ,チ ー ム エ リ ア と 奪 取 チ ー ム の 優 勢 領 域 に 関 し て は ,そ の 値 が 高 い こ と が 攻 撃 パ フ ォ ー. 37.

(41) マ ン ス に 寄 与 す る と い う 結 果 を 得 た .そ し て ,こ の 結 果 は 従 来 研 究 と 整 合 性 を 有 す る も の で あ っ た .一 方 で ,守 備 チ ー ム に お い て は ,従 来 研 究 と は 異 な り ,優 勢 領 域 の 値 が 低 い こ と が 守 備 パ フ ォ ー マ ン ス に 寄 与 す る と い う 結 果 が 得 ら れ た .ま た ,同 時 に 優 勢 領 域 と と も に プ レ ッ シ ャ ー 強 度 を 評 価 尺 度 に 加 味することにより,より精緻な分析を行う必要性が示された. また,奪取サード A のように相手自陣深くにおいてボール奪取した場合 と奪取サード D のような自陣深くにおいてボール奪取した場合は,これら の特徴量とは無関係に攻撃・守備パフォーマンスが決まり,奪取サード M の よ う な 中 央 付 近 で ボ ー ル 奪 取 が 生 じ た 場 合 に ,こ れ ら の 特 徴 量 に 表 さ れ る チームの陣形と因果関係を有していることが示された. これらの結果を踏まえて,今後の課題を以下に示す. 1) ボ ー ル 獲 得 時 の 1 フ レ ー ム の み を 測 定 対 象 に 限 定 し た 結 果 で あ っ た . よ っ て ,優 勢 領 域 の 時 系 列 的 特 徴 に 関 す る 検 討 を 行 い ,本 研 究 結 果 と 関 連 付 け て考察する必要がある. 2) チ ー ム エ リ ア と い う 区 画 に 限 定 し た 上 で 優 勢 領 域 に つ い て 検 討 を 行 っ た が ,他 の 区 画 に お け る 優 勢 領 域 な ら び に 区 画 の 面 積 の 値 に 関 し て も 検 証 す る 必要がある. 3) 本 研 究 で 扱 っ た 標 本 は 大 学 サ ッ カ ー に お け る 試 合 の み で あ り , 他 の 年 代 集 団 ,競 技 水 準 に お い て 本 研 究 結 果 は 適 応 可 能 で あ る か 検 証 す る 必 要 が あ る .. 38.

(42) 5. む す び 本 研 究 に お い て は じ め て 異 な る 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス 間 の 優 勢 領 域 及 び チ ー ム エ リ ア の 比 較 が 行 わ れ た .こ れ に よ り ,優 勢 領 域 及 び チ ー ム エ リ ア と 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス の 因 果 関 係 が 明 ら か に な り ,優 勢 領 域 を 特 徴 量 と し た サ ッ カ ー の 集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 の 定 量 的 評 価 法 の 確 立 に 向 け て ,そ の 特 徴 量 と し て の 妥 当 性 を 確 認 す る こ と が で き た .一 方 で ,守 備 チ ー ム に 関 し て は 優 勢 領 域 の み な ら ず ,プ レ ッ シ ャ ー 強 度 も と も に 算 出 す る こ と で ,よ り 精 緻 な 分 析 が 行 え る こ と が 示 唆 さ れ た .今 後 よ り 詳 細 な 優 勢 領 域 と 攻 撃・守 備 パ フ ォ ー マ ン ス の 因 果 関 係 を 検 証 す る こ と で ,集 団 的 ス ポ ー ツ 技 能 の 定 量 的評価法の確立を目指す.. 第 3章. 隠れマルコフモデルによる選手のポジショニングパタンの分析. 1. 諸 言 第 2 章では選手の位置データから算出した特徴量である優勢領域を用い て分析を行い,攻撃・守備パフォーマンスとの因果関係について検証した. 39.

参照

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