1 【サイトトップ】>【コンサルタント試験】>【問題解説】>【衛生】 2018 年 07 月 01 日 第44回(2016 年度)労働衛生コンサルタント試験 (労働衛生関係法令)の解説と正答 柳川行雄
内容
1 はじめに ... 2 2 解説と試験協会発表正答 ... 3 (1)問 1(試験協会発表正答 3)難易度1 ... 3 (2)問 2(試験協会発表正答 1)難易度5 ... 8 (3)問 3(試験協会発表正答 4)難易度3 ... 11 (4)問 4(試験協会発表正答 4)難易度4 ... 14 (5)問 5(試験協会発表正答 4)難易度2 ... 16 (6)問 6(試験協会発表正答 3)難易度1 ... 17 (7)問 7(試験協会発表正答 1)難易度3 ... 18 (8)問 8(試験協会発表正答 3)難易度4 ... 20 (9)問 9(試験協会発表正答 2)難易度5 ... 22 (10)問10(試験協会発表正答 4)難易度4 ... 24 (11)問11(試験協会発表正答 1)難易度2 ... 25 (12)問12(試験協会発表正答 3)難易度3 ... 28 (13)問13(試験協会発表正答 4)難易度1 ... 31 (14)問14(試験協会発表正答 5)難易度5 ... 35 (15)問15(試験協会発表正答 4)難易度2 ... 392 1 はじめに 本稿は、労働衛生コンサルタント試験を受験しようとされている方のために 実際の試験問題についての解説をしているものである。なお、各設問に対する正 答としては(公財)安全衛生技術試験協会が公表したものを表示している。 本稿の解説は、私のオリジナルの文章である。コンサルタント試験の受験学習 の参考にして頂ければ幸いである。 さらに、私の主観によって難易度を付した。5段階で示し、数値が大きくなる ほど難しいという意味である。 難易度1と2の問題を確実に正答すれば足切りの40%に達し、さらに難易度 3の問題をすべて正答すれば合格ラインの60%に達する。難易度4と5の問題 を正答すれば、衛生法令や記述の試験が合格ラインに達していなくても合格す る可能性が出るようになるだろう。 ただ、本年の法令の試験は全体的に易しかったように思う。難易度4又は5で あっても正答すべきと思われるものもかなりある。合格のためには、衛生法令で できる限り高得点を取っておくというつもりで勉強をした方がよさそうだ。た だ、何が難しいかは、それぞれの専門によっても異なると思うので、あくまでも 参考程度にとどめて欲しい。 なお、本稿では法令の条文を引用するにあたって、数字をアラビア数字にする などの修正を行っている。
3 2 解説と試験協会発表正答 (1)問 1(試験協会発表正答 3)難易度1 問1 事業場の安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法 令上、正しいものはどれか。 (1)事業者は、常時使用する労働者数が50 人の造船業の事業場では、そ の事業の実施を統括管理する者を総括安全衛生管理者として選任すると ともに、関係請負人の作業間の連絡、調整等を行うため統括安全衛生責 任者を選任しなければならない。 (2)事業者は、常時使用する労働者数が300 人の清掃業の事業場では、第 一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理 者免許を有する者又は医師、歯科医師若しくは労働衛生コンサルタント のうちから、衛生管理者を2人以上選任しなければならない。 (3)事業者は、常時使用する労働者数が600 人で、そのうち常時 30 人の 労働者が重量物の取扱い等重激な業務に従事している事業場では、衛生 管理者を3人以上選任し、そのうち少なくとも1人を専任の衛生管理者 としなければならない。 (4)事業者は、常時使用する労働者数が500 人で、そのうち有害業務につ いては常時100 人の労働者が土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく 飛散する場所における業務に従事している事業場では、その事業場に専 属の産業医に労働者の健康管理等を行わせなければならない。 (5)事業者は、常時使用する労働者数が500 人で、そのうち常時 50 人の 労働者が硫酸及び亜硫酸のガス、蒸気等を発散する場所における業務に 従事している事業場では、その事業場に専属の産業歯科医に歯又はその 支持組織に関する事項について労働者の健康管理等を行わせなければな らない。 (1)総括安全衛生管理者は安衛法第10 条第1項で選任が義務付けられてお り、同第2項により「当該事業場においてその事業の実施を統括管理する 者」を充てなければならないとされている。そして、選任が必要な業種、 規模は安衛令第2条に規定があり、造船業などの製造業は300 人以上の事 業場に選任義務がある。従って、50 人以上とする本肢の前段の記述は誤り である。 一方、統括安全衛生管理者は、安衛法第15 条第1項によって、特定元
4 方事業者(労働者の数が政令で定める数未満のものを除く。)に選任が義 務付けられている。造船業は、安衛令第7条第1項により特定元方事業者 である。また、義務が除外される労働者の数は造船業については、同第2 項により50 人未満とされている。そして、統括安全管理者に行わせるべ き職務は、安衛法第15 条第1項により「元方安全衛生管理者の指揮及び 第30 条第1項各号の事項」とされており、ここには「関係請負人の作業 間の連絡、調整」が含まれている。従って、本肢の後段の記述は正しいと いえる。 以上より、前段が誤っていることから、本肢は誤りである。 (2)衛生管理者の選任の義務については、安衛法の第12 条に規定されてい る。本肢の場合の要件は以下の通りとなる。 ① 資格 安衛則第7条第1項第3号イの規定により、清掃業の事業にあ っては、衛生管理者は、第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管 理者免許を有する者又は安衛則第10 条各号に掲げる者(医師、歯科医 師、労働衛生コンサルタント及びその他厚生労働大臣の定める者)でな ければならない。 ② 事業場規模 安衛則第7条第1項第4号の規定により、常時雇用する 労働者数が、200 人を超え 500 人以下の事業場では、業種に関わりなく 2人の衛生管理者を選任しなければならない。 本肢は、上記①に関し、第二種衛生管理者免許を挙げていること及び厚 生労働大臣が定める者を挙げていないことにより、誤りとなる。 (3)安衛則第7条第1項第4号の規定により、3人の衛生管理者を選任しな ければならないのは、業種に関わりなく常時雇用する労働者数が、500 人 を超え1,000 人以下の事業場である。従って本肢の事業場は常時雇用する 労働者数が600 人であるから、3人の衛生管理者を選任しなければならな い。 一方、安衛則第7条第1項第5号により、「常時500 人を超える労働者 を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18 条各号に掲 げる業務に常時30 人以上の労働者を従事させるもの」は、衛生管理者の うち少なくとも1人を専任としなければならない。そして、「労働基準法 施行規則第18 条各号に掲げる業務」には「重量物の取扱い等重激なる業 務」が含まれる。 本肢の事業場は「常時使用する労働者数が600 人で、そのうち常時 30 人の労働者が重量物の取扱い等重激な業務に従事している」のであるか ら、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任としなければならない。従っ て、本肢は正しい。
5 【労働安全衛生規則】 (衛生管理者の選任) 第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定 めるところにより行わなければならない。 一~三 (略) 四 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲 げる数以上の衛生管理者を選任すること。 事業場の規模(常時使用する労働者数) 衛生管理者数 50 人以上 200 人以下 1人 200 人を超え 500 人以下 2人 500 人を超え 1,000 人以下 3人 1,000 人を超え 2,000 人以下 4人 2,000 人を超え 3,000 人以下 5人 3,000 人を超える場合 6人 五 次に掲げる事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも一 人を専任の衛生管理者とすること。 イ 常時1,000 人を超える労働者を使用する事業場 ロ 常時500 人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又 は労働基準法施行規則第18 条各号に掲げる業務に常時 30 人以 上の労働者を従事させるもの 【労働基準法施行規則】 第18条 法第36条第1項ただし書の規定による労働時間の延長が 2時間を超えてはならない業務は、次のものとする。 一 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における 業務 二 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における 業務 三 ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる 業務 四 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所におけ る業務
6 五 異常気圧下における業務 六 削岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業 務 七 重量物の取扱い等重激なる業務 八 ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務 九 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、 亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニ リン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散 する場所における業務 十 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務 (4)産業医の選任は安衛法第13 条第1項に規定されている。そして、産業 医を事業場に専属としなければならない事業場について、安衛則第13 条 第1項第3号に規定されている。その要件は、下記の①又は②のいずれか に該当することである。 ① 常時1,000 人以上の労働者を使用する事業場 ② 下記イからカに掲げる業務に常時500 人以上の労働者を従事させる事 業場 本肢は、常時使用する労働者数が500 人であるから①に該当せず、その うち有害業務については常時100 人の労働者が土石、獣毛等のじんあい又 は粉末を著しく飛散する場所における業務に従事しているのであるから② にも該当しない。従って本肢は誤りである。 【労働安全衛生規則】 第13条 法第13条第1項の規定による産業医の選任は、次に定め るところにより行わなければならない。 一及び二 (略) 三 常時1,000 人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業 務に常時500 人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、そ の事業場に専属の者を選任すること。 イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所におけ る業務 ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所におけ る業務 ハ ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされ る業務
7 ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所にお ける業務 ホ 異常気圧下における業務 ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与 える業務 ト 重量物の取扱い等重激な業務 チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務 リ 坑内における業務 ヌ 深夜業を含む業務 ル 水銀、砒素、黄りん、弗化化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青 酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り 扱う業務 ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、 硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼ ン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉 じんを発散する場所における業務 ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務 カ その他厚生労働大臣が定める業務 (5)安衛法令には、歯科医師に労働者の健康管理等を行わせなければならな いとする規定は存在しない。従って本肢は誤りである。 もっとも、安衛則第14 条第5項は、「事業者は、令第 22 条第3項の業 務に常時50 人以上の労働者を従事させる事業場については、第1項各号 に掲げる事項のうち当該労働者の歯又はその支持組織に関する事項につい て、適時、歯科医師の意見を聴くようにしなければならない」とする。し かし、同項には、常時使用する労働者数についての限定はなく、硫酸及び 亜硫酸のガス、蒸気等を発散する場所における業務についても定められて いない。 【労働安全衛生法施行令】 (健康診断を行うべき有害な業務) 第22条 法第66条第2項前段の政令で定める有害な業務は、次の とおりとする。 一~六 (略) 2 (略) 3 法第66条第3項の政令で定める有害な業務は、塩酸、硝酸、硫
8 酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な 物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務とする。 【労働安全衛生規則】 (産業医及び産業歯科医の職務等) 第14条 (1項から4項まで略) 5 事業者は、令第22条第3項の業務に常時50人以上の労働者を 従事させる事業場については、第一項各号に掲げる事項のうち当該 労働者の歯又はその支持組織に関する事項について、適時、歯科医 師の意見を聴くようにしなければならない。 (2)問 2(試験協会発表正答 1)難易度5 問2 特定粉じん発生源に設ける局所排気装置の要件に関する次の記述のう ち、粉じん障害防止規則上、誤っているものはどれか。 (1)屋内作業場において、研磨剤を用いて手持ち式又は可搬式動力工具以 外の動力により金属を研磨する箇所に設ける局所排気装置については、 ろ過除じん方式又はスクラバによる除じん方式の除じん装置を付設した ものを除き、その排出口を屋外に設けなければならない。 (2)局所排気装置のダクトは、その長さができるだけ短く、ベンドの数が できるだけ少なく、かつ、適当な箇所に掃除口を設ける等掃除しやすい 構造のものとしなければならない。 (3)除じん装置を付設する局所排気装置で、吸引された粉じんによるファ ンの腐食又は摩耗のおそれはないが、爆発のおそれがあるときは、その 排風機は、除じんをした後の空気が通る位置に設けなければならない。 (4)局所排気装置のフードは、粉じんの発生源ごとに設け、かつ、外付け 式フードにあっては、当該発生源にできるだけ近い位置に設けなければ ならない。 (5)屋内作業場の砂型を用いて鋳物を製造する工程において、型ばらし装 置を用いて砂型を壊す箇所に設ける局所排気装置については、そのフー ドは、上方吸引型の外付け式フード以外のフードとしなければならな い。 (1)粉じん障害防止規則(以下、本問及び次問の解説において「粉じん則」
9 という。)第11 条第1項第4号は、局所排気装置の要件として、「排出口 は、屋外に設けられていること。ただし、移動式の局所排気装置又は別表 第二第七号に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置であって、ろ 過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあっ ては、この限りでない」としている。 ここで、本号但書にある「別表第二第七号に掲げる特定粉じん発生源」 については、次のように定められている。 【粉じん則】 (局所排気装置等の要件) 第11条 事業者は、第4条又は第27条第1項ただし書の規定により 設ける局所排気装置については、次に定めるところに適合するものと しなければならない。 一~三 (略) 四 排出口は、屋外に設けられていること。ただし、移動式の局所排 気装置又は別表第2第7号に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所 排気装置であって、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じ ん装置を付設したものにあっては、この限りでない。 五 (略) 別表第1(第2条、第3条関係) 一~六 (略) 七 研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力によ り、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、若しく は金属を裁断する場所における作業(前号に掲げる作業を除く。) 八 (以下略) 別表第2(第2条、第4条、第10条、第11条関係) 一~六 (略) 七 別表第一第七号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内 の、研磨材を用いて動力(手持式又は可搬式動力工具によるものを 除く。)により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取 りし、又は金属を裁断する箇所 八 (以下略) 従って、本肢の「屋内作業場において、研磨剤を用いて手持ち式又は可
10 搬式動力工具以外の動力により金属を研磨する箇所に設ける局所排気装 置」は、本号但書にいう「別表第二第七号に掲げる特定粉じん発生源に設 ける局所排気装置」に該当する。 従って本肢が、「ろ過除じん方式又はスクラバによる除じん方式の除じ ん装置を付設したものを除き」としているのは、誤りである。 (2)粉じん則第11 条第1項は局所排気装置の要件を定めているが、その第 2号に「ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少な く、かつ、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造のも のであること」とされている。従って本肢は正しい。 (3)粉じん則第11 条第1項第3号に「前条第一項の規定により除じん装置 を付設する局所排気装置の排風機は、除じんをした後の空気が通る位置に 設けられていること。ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがな く、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、この限りでな い」とされている。本肢は爆発の恐れがあるので、但書の要件に該当しな い。従って本肢は正しい。 (4)粉じん則第11 条第1項第1号に「フードは、粉じんの発生源ごとに設 けられ、かつ、外付け式フードにあっては、当該発生源にできるだけ近い 位置に設けられていること」とされている。従って本肢は正しい。 (5)粉じん則第11 条第1項は、局所排気装置の要件を定めており、その第 5号において「厚生労働大臣が定める要件を具備していること」としてい る。この規定を受けて「粉じん障害防止規則第11 条第 1 項第 5 号の規定 に基づく厚生労働大臣が定める要件」(昭和54 年7月 23 日労働省告示第 67 号:最終改正平成 12 年 12 月 25 日労働省告示第 120 号)が定められて いる。 この告示の第1号ロに、「次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源にお いては、それぞれ同表の下欄に掲げる型式のフード以外のフードを有する ものであること」とされ、「粉じん則別表第2第14 号に掲げる箇所」のう ち「砂型をこわし、又は砂落しする箇所」については、「上方吸引型の外 付け式フード」以外のフードを有するものでなければならないこととなっ ている。 この粉じん則別表第2第14 号に掲げる箇所とは、「別表第1第 15 号に 掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、型ばらし装置を用いて砂 型を壊し、若しくは砂落としし、又は動力(手持式動力工具によるものを 除く。)により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇 所」である。そして、別表第1第15 号に掲げる作業とは「砂型を用いて 鋳物を製造する工程において、砂型を造型し、砂型を壊し、砂落としし、
11 砂を再生し、砂を混練し、又は鋳ばり等を削り取る場所における作業(第 7号に掲げる作業を除く。)。ただし、水の中で砂を再生する場所における 作業を除く」のことである。 従って本肢は正しい。 本問は、(2)、(3)及び(4)については、正しいと分からなければなら ない。一方、(1)と(5)は、かなり細かいことである。局所排気装置の設 計を行っている受験生を別とすれば、分からなくてもやむをえないのではない だろうか。 その意味で、産業保健の受験生にとっては、本問は確率2分の1の捨て問と 割り切ってよい問題かもしれない。 (3)問 3(試験協会発表正答 4)難易度3 問3 じん肺健康診断の実施、記録の保存などに関する次の文中の A ~ E に入る語句などの組合せとして、じん肺法令上、正しいものは (1)~(5)のうちどれか。 ① 事業者は、粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する 労働者であった者に対して、じん肺健康診断を行ったときは、 A があると診断された労働者について、所定の提出書に B 及びじん 肺健康診断の結果を証明する書面を添えて、所轄都道府県労働局長に 提出しなければならない。 ② 事業者は、じん肺健康診断を行ったときは、遅滞なく、じん肺健康 診断に関する記録を作成し、当該記録及びじん肺健康診断に係る B を C 年間保存しなければならない。 ③ 事業者は、都道府県労働局長から労働者のじん肺管理区分の決定に ついて通知を受けたときは、遅滞なく、当該労働者に対して、その者 について決定されたじん肺管理区分及び D 事項を通知しなければ ならない。 また、事業者は、労働者に対してじん肺管理区分及び D 事項を 通知したときは、当該通知を受けた労働者が E を受けた旨を記入 し、かつ、署名又は記名押印をした書面を作成し、これを3年間保存 しなければならない。
12 A B C D E (1)肺機能の エックス 7 その者の じん肺管理 障害 線写真 保健指導 区分に基づ に係る く措置 (2)肺機能の 肺機能の 5 その者が じん肺管理 障害 スパイロ 留意すべ 区分に基づ グラム き く措置 (3)じん肺の エックス 5 その者の じん肺管理 所見 線写真 保健指導 区分に基づ に係る く措置 (4)じん肺の エックス 7 その者が 当該通知 所見 線写真 留意すべ き (5)じん肺の 肺機能の 5 その者の 当該通知 所見 スパイロ 保健指導 グラム に係る まず、粉じんによる障害対策の法令には、(作業環境測定法を別にして) Ⅰ 安衛法 ⇒ 安衛令 ⇒ 粉じん則 Ⅱ じん肺法 ⇒ じん肺法施行規則 の2つの系統があることを押さえておこう。Ⅰは粉じんによる障害の予防のた めの法令であり、Ⅱは、じん肺に関する健康管理のための法令であると考えてお けばよい。 前問の問2はⅠに関するもので、本問はⅡに関するものである。 そして、①はじん肺法第12 条に関するものである。第12条の条文から明ら かなように、 A には「じん肺の所見」が入り、 B には「エックス線写真」 が入る。 なお、厳密に言えば本条の都道府県労働局長への書面の提出義務は、じん肺法 第7条から9条の2までの規定によるじん肺健康診断を行ったときに関するも のである。本肢の「粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働 者であった者に対して、じん肺健康診断を行ったとき」であっても、それがじん 肺法の第7条から9条の2までの規定によるものでなければ義務はないことと
13 なるが、受験テクニックとしてそこまで考える必要はない。 【じん肺法】 (事業者によるエックス線写真等の提出) 第12条 事業者は、第7条から第9条の2までの規定によりじん肺健康 診断を行ったとき、又は前条ただし書の規定によりエックス線写真及び じん肺健康診断の結果を証明する書面その他の書面が提出されたとき は、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、じん肺の所見があ ると診断された労働者について、当該エックス線写真及びじん肺健康診 断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面を都道府県労 働局長に提出しなければならない。 次に、②はじん肺法第17 条にかかるものである。第 17 条の条文から明らか なように、 B には「エックス線写真」が入り、 C には「7年」が入る。 【じん肺法】 (記録の作成及び保存等) 第17条 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行ったじ ん肺健康診断及び第11条ただし書の規定によるじん肺健康診断に関す る記録を作成しなければならない。 2 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の記録及びじん 肺健康診断に係るエックス線写真を7年間保存しなければならない。 また、③はじん肺法第14 条第2項及び3項にかかるものである。ここで、第 14 条第1項にいう前条第2項の決定とは「じん肺管理区分の決定」のことであ る。第14 条第2項の条文から明らかなように、 D には「その者が留意すべ き事項」が入る。また、同第3項にいう「その旨」とは、前項の通知をしたとい うことでるから、 E には「当該通知」が入る。 【じん肺法】 (通知) 第14条 都道府県労働局長は、前条第2項の決定をしたときは、厚生労 働省令で定めるところにより、その旨を当該事業者に通知するととも に、遅滞なく、第12条又は前条第3項若しくは第4項の規定により提 出されたエックス線写真その他の物件を返還しなければならない。 2 事業者は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、厚生労
14 働省令で定めるところにより、当該労働者(厚生労働省令で定める労働 者であつた者を含む。)に対して、その者について決定されたじん肺管 理区分及びその者が留意すべき事項を通知しなければならない。 3 事業者は、前項の規定による通知をしたときは、厚生労働省令で定め るところにより、その旨を記載した書面を作成し、これを三年間保存し なければならない。 従って、本問の正答は4となる。 (4)問 4(試験協会発表正答 4)難易度4 問4 高気圧障害などを防止するため事業者が講ずべき措置に関する次のイ ~ニの記述のうち、高気圧作業安全衛生規則上、正しいもののみの組合 せは(1)~(5)のうちどれか。 イ 労働者を作業室において高圧室内業務に従事させるときは、作業室の 気積を、現に当該作業室において高圧室内業務に従事している労働者1 人について、3立方メートル以上としなければならない。 ロ 高圧室内作業については、高圧室内作業主任者技能講習を修了した者 のうちから、作業室ごとに、高圧室内作業主任者を選任しなければなら ない。 ハ 空気圧縮機により潜水作業者に送気する場合において、圧力調整器を 使用させないときは、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下における送 気量を、毎分60 リットル以上としなければならない。 ニ 潜水作業者にゲージ圧力1メガパスカル以上の気体を充てんしたボン ベからの給気を受けさせるときは、2段以上の減圧方式による圧力調整 器を潜水作業者に使用させなければならない。 (1)イ ロ (2)イ ハ (3)イ ニ (4)ロ ハ (5)ハ ニ イ 高気圧作業安全衛生規則(以下、本問の解説において「高圧則」という。)
15 第2条からの出題である。同条には、「事業者は、労働者を作業室において 高圧室内業務に従事させるときは、作業室の気積を、現に当該作業室におい て高圧室内業務に従事している労働者一人について、4立方メートル以上 としなければならない」とされている。従って、本肢は誤りである。 ロ 高圧則第 10 条には、「事業者は、令第六条第一号の高圧室内作業につい ては、高圧室内作業主任者免許を受けた者のうちから、作業室ごとに、高圧 室内作業主任者を選任しなければならない」とある。「技能講習」としてい るところが誤りである。 ハ 高圧則第 28 条第1項には、「事業者は、空気圧縮機又は手押ポンプによ り潜水作業者に送気するときは、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下にお ける送気量を、毎分60 リットル以上としなければならない」とある。第2 項においては、潜水作業者に圧力調整器を使用させる場合の例外規定を設 けているが、本肢は「圧力調整器を使用させないとき」としているので、第 2項の適用はない。従って本肢は正しい。 (送気量及び送気圧) 第28条 事業者は、空気圧縮機又は手押ポンプにより潜水作業者に送気 するときは、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下における送気量を、 毎分60 リットル以上としなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、事業者は、潜水作業者に圧力調整器を使用 させる場合には、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下において毎分 40 リットル以上の送気を行うことができる空気圧縮機を使用し、か つ、送気圧をその水深の圧力に0.7MPa を加えた値以上としなければな らない。 ニ 高圧則第30 条には、「事業者は、潜水作業者に圧力1MPa 以上の気体を 充てんしたボンベからの給気を受けさせるときは、二段以上の減圧方式に よる圧力調整器を潜水作業者に使用させなければならない」とある。従って 本肢は正しい。 以上より、本肢の正答は(5)となる。
16 (5)問 5(試験協会発表正答 4)難易度2 問5 電離放射線障害の防止に関する次の文中の A ~ C に入る語句 などの組合せとして、電離放射線障害防止規則上、正しいものは(1) ~(5)のうちどれか。 事業者は、管理区域内において男性の放射線業務従事者の受 ける A が5年間につき B ミリシーベルトを超えず、か つ、1年間につき C ミリシーベルトを超えないようにしな ければならない。 A B C (1)等価線量 50 20 (2)実効線量 50 20 (3)実効線量 100 30 (4)実効線量 100 50 (5)等価線量 150 50 本問は、電離放射線障害防止規則第4条に関するものである。本問では「男性」 となっており、2項は女性に関するものなので2項は本問では気にしなくてよ い。なお、本問の「男性」を「労働者(女性(妊娠する可能性がないと診断され たもの及び第六条に規定するものを除く。)を除く。)」あるいは「男性及び女性 (妊娠する可能性がないと診断された者又は第六条に規定する者に限る)」とし ても、同じことである。 同条第1項より、4が正答となる。 (放射線業務従事者の被ばく限度) 第4条 事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以 下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が五年間につき百 ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超 えないようにしなければならない。 2 事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠 する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除 く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを 超えないようにしなければならない。
17 (6)問 6(試験協会発表正答 3)難易度1 問6 事務所の衛生基準について事業者が講ずべき措置に関する次のイ~ニ の記述のうち、事務所衛生基準規則上、正しいもののみの組合せは (1)~(5)のうちどれか。 イ 労働者を常時就業させる室における一酸化炭素の含有率(1気圧、温 度25 度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。)を 100 万分の 50 以下としなければならない。 ロ 労働者を常時就業させる室の温度が15 度以下の場合は、暖房する等 適当な温度調節の措置を講じなければならない。 ハ 機械による換気のための設備について、はじめて使用するとき、分解 して改造又は修理を行ったとき及び3か月以内ごとに1回、定期に、異 常の有無を点検し、その結果を記録して、これを3年間保存しなければ ならない。 ニ 日常行う清掃のほか、大掃除を、6か月以内ごとに1回、定期に、統 一的に行わなければならない。 (1)イ ロ (2)イ ハ (3)イ ニ (4)ロ ハ (5)ハ ニ イ 事務所衛生基準基則(以下、本問の解説において「事務所則」という。) 第3条第2項には、「事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含 有率(1気圧、温度25 度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割 合をいう。以下同じ。)を、それぞれ百万分の 50 以下及び百万分の5千以 下としなければならない」とある。従って、本肢は正しい。 なお、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して 供給することができる設備)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を 調節して供給することができる設備)を設けている場合は、室に供給される 空気について、一酸化炭素の濃度を百万分の10 以下(外気が汚染されてい
18 るために、一酸化炭素の含有率が百万分の10 以下の空気を供給することが 困難な場合は、百万分の20 以下)としなければならないことも覚えておく 必要がある。 ロ 事務所則第4条には、「事業者は、室の気温が 10 度以下の場合は、暖房 する等適当な温度調節の措置を講じなければならない」とある。従って、15 度以下とする本肢は誤りである。 なお、現実には15 度でもやや低いと思われる。コンサルタントの実務に おいては最低条件である法令の数値にとらわれずに適切な温度となるよう にするべきである。 ハ 事務所則第9条には、「事業者は、機械による換気のための設備について、 はじめて使用するとき、分解して改造又は修理を行なつたとき、及び2月以 内ごとに1回、定期に、異常の有無を点検し、その結果を記録して、これを 3年間保存しなければならない」とある。従って、「3か月以内ごとに1回」 点検するとしている本肢は誤りである。なお、保存期間の3年は正しい。 ニ 事務所則第 15 条第1項は、「事業者は、次の各号に掲げる措置を講じな ければならない」とし、その第1号で「日常行う清掃のほか、大掃除を、六 月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと」を示す。従って、本肢は正 しい。 以上より、正答は(3)となる。 (7)問 7(試験協会発表正答 1)難易度3 問7 常時50 人以上の労働者を使用する事業場において実施する心理的な 負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」とい う。)及びその結果に基づく医師による面接指導等に関する次の記述の うち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。 (1)ストレスチェックは、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を 受けた看護師若しくは衛生管理者が行わなければならない。 (2)事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対し、当該ストレスチ ェックを行った医師等から、遅滞なく、当該ストレスチェックの結果が 通知されるようにしなければならない。 (3)事業者は、ストレスチェックを受けたすべての労働者に対し、医師に よる面接指導を実施しなければならない。
19 (4)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作 成して、これを3年間保存しなければならない。 (5)事業者は、ストレスチェック及び面接指導を実施した後、遅滞なく、 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄都道府県 労働局長に提出しなければならない。 (1)安衛法第66 条の 10 第1項は、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省 令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者 (以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を 把握するための検査を行わなければならない」とする。 これを受けた安衛則第52 条の 10 の規定は次のようになっている。ここ には、衛生管理者は含まれていないので誤りである。そもそも、衛生管理 者は“管理”を行うべき者であり、医療職ではない。衛生管理者がストレ スチェックを行うことなどあり得ないことである。 【安衛則】 (検査の実施者等) 第52条の10 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者 は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。 一 医師 二 保健師 三 検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大 臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士 (2)同じく安衛則第52 条の12は、この検査について「検査を受けた労働 者に対し、当該検査を行った医師等から、遅滞なく、当該検査の結果が通 知されるようにしなければならない」と定める。従って、本肢は正しい。 【安衛則】 (検査結果の通知) 第52条の12 事業者は、検査を受けた労働者に対し、当該検査を行 った医師等から、遅滞なく、当該検査の結果が通知されるようにしな ければならない。 (3)安衛法第66 条の 10 第3項は、「事業者は、前項の規定による通知を受 けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮し
20 て厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受け ることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚 生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければな らない」としている。医師による面接指導を行う対象は、「心理的な負担 の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当 するもの」であって、「ストレスチェックを受けたすべての労働者」では ない。従って、本肢は誤りである。 なお、ここにいう「厚生労働省令で定める要件」とは、安衛則第52 条 の15 に「法第 66 条の 10 第3項の厚生労働省令で定める要件は、検査の 結果、心理的な負担の程度が高い者であって、同項に規定する面接指導 (中略)を受ける必要があると当該検査を行った医師等が認めたもの」と されている。 (4)安衛法第66 条の 10 第4項は、「事業者は、厚生労働省令で定めるとこ ろにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければなら ない」とし、これを受けた安衛則第52 条の 18 は「事業者は、面接指導の 結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存 しなければならない」としている。保存すべき期間は3年ではなく5年で ある。従って、本肢は誤りである。 (5)安衛則第52 条の 21 は「常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、 1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査 結果等報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなけれ ばならない」としている。 報告をしなければならない事業者は「常時50 人以上の労働者を使用す る事業者」のみであり、報告は「1年以内ごとに1回、定期に」行えばよ く「遅滞なく」行う必要はない。また、報告先は、所轄労働基準監督署長 であって所轄都道府県労働局長ではない。本肢は誤っている。 (8)問 8(試験協会発表正答 3)難易度4 問8 次の業務のうち、労働安全衛生法に基づく特別教育を行わなければな らない業務として、誤っているものはどれか。 (1)潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する 業務 (2)高圧室内作業に係る業務
21 (3)有機溶剤等を用いて行う作業に係る業務 (4)酸素欠乏危険場所における作業に係る業務 (5)ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務 安衛法第59 条第3項は「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で 定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当 該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない」 としている。 これを受けて、いくつかの省令で特別の教育を受けなければならない業務を 定めている。 【高気圧作業安全衛生規則】 (特別の教育) 第11条 事業者は、次の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に 対し、当該業務に関する特別の教育を行わなければならない。 一 (略) 二 作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する 業務 三 (略) 四 (略) 五 (略) 六 高圧室内業務 【酸素欠乏症等防止規則】 (特別の教育) 第12条 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就 かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わ なければならない。 一~五 (略) 2 前項の規定は、第二種酸素欠乏危険作業に係る業務について準用す る。この場合において、同項第一号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠 乏等」と、同項第二号及び第五号中「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠 乏症等」と読み替えるものとする。 【電離放射線障害防止規則】 (透過写真撮影業務に係る特別の教育)
22 第52条の5 事業者は、エックス線装置又はガンマ線照射装置を用い て行う透過写真の撮影の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に 対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない。 一~四 (略) (1)高圧則第11 条第1項第2号により正しい (2)高圧則第11 条第1項第6号により正しい (3)このような規定はない。本肢は誤りである。 (4)酸欠則第12条第1項は第一種酸素欠乏危険作業に係る業務について特 別教育を義務付けており、第2項で第二種酸素欠乏危険作業に係る業務に ついて特別教育を義務付けている。 一方、酸素欠乏危険場所とは、第一種酸素欠乏危険作業及び第二種酸素欠 乏危険作業である(酸欠則第2条第7号参照)。そして、酸素欠乏危険作業 とは、本肢にいう「酸素欠乏危険場所」における作業である(酸欠則第2条 第6号)。 従って、本肢は正しい。 (5)電離則第52 条の5第1項により正しい。 (9)問 9(試験協会発表正答 2)難易度5 問9 労働安全衛生規則に定める衛生基準に関する次の記述のうち、誤って いるものはどれか。 (1)事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占め る容積及び床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、労働者 1人について、10 立方メートル以上としなければならない。 (2)事業者は、労働者を常時就業させる場所の照明設備について、1年以 内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。 (3)事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわること のできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを 備えなければならない。 (4)事業者は、常時50 人以上又は常時女性 30 人以上の労働者を使用する ときは、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を、男性用と 女性用に区別して設けなければならない。 (5)事業者は、炭酸ガス濃度が1.5 パーセントを超える場所には、関係者
23 以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示 しなければならない。 (1)安衛則第600 条は「事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気 積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間 を除き、労働者一人について、10 立方メートル以上としなければならな い」としている。従って本肢は正しい。 (2)安衛則第605 条第2項は、「事業者は、労働者を常時就業させる場所の 照明設備について、6月以内ごとに一回、定期に、点検しなければならな い」としている。従って1年以内ごとに1回とする本肢は誤っている。 照明設備の信頼性の低かった時代に作られた条文である。当時、1年に 1回の点検では、間隔が長すぎたのであろう。現時点では、やや時代遅れ となっているかもしれない。 (3)安衛則第615 条は、「事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中 しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用するこ とのできるいすを備えなければならない」としている。従って本肢は正し い。 まれにすわる暇がある程度に忙しい職場ならいすを備えなくてもよいと いうことである。条文を知らないと、迷うかもしれないが、この条文がで きた当時は、めったに使わないようなものを備えてもしかたがないという ことだったのであろう。これも、やや時代遅れの条文である。まれにでも すわる機会があるのなら、いすは備えておいた方が良い。 (4)安衛則第658 条は、「事業者は、常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上 の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休 養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」としている。 従って本肢は正しい。 なお、女性30 人のみを使用する場合に、男性用の休養室又は休養所を 設ける必要がないことは当然である。休養室又は休養所を一か所だけ設け て、それを“女性用”にしておけばよい。ただし、女性30 人と男性1人 を使用する場合は男性用の休憩室を設けなければならない。 (5)安衛則第585 条第1項は、「事業者は、次の場所には、関係者以外の者 が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければ ならない」とし、その第4号に「炭酸ガス濃度が1.5 パーセントを超える 場所」等を挙げる。従って本肢は正しい。
24 (10)問10(試験協会発表正答 4)難易度4 問10 労働安全衛生法令に基づいて実施する作業環境測定の測定対象 A、測 定頻度B 及び測定結果の記録を保存すべき期間 C の組合せとして、正 しいものは次のうちどれか。 A B C (1)空気中のアクリロ 6か月以内 5年 ニトリルの濃度 ごとに1回 (2)空気中の放射性 1か月以内 30 年 物質の濃度 ごとに1回 (3)空気中のノルマル 1年以内 5年 ヘキサンの濃度 ごとに1回 (4)空気中のベンゼン 6か月以内 30 年 の濃度 ごとに1回 (5)空気中の鉱物性 6か月以内 5年 粉じんの濃度 ごとに1回 特殊健康診断と作業環境測定は、6月を超えない期間ごとに1回実施すると いうものが多い。従って、受験テクニックとしては、それ以外のものを覚えてお けばよい。また、保存期間は発がん性のあるものは30 年、その他のものは3年 (健診は5年)が原則である。 あとは、例外だけを覚えておけばよい。例外として覚えておくべきものは電離 放射線と粉じんである。 (1)アクリロニトリルは第2類の特定化学物質である。作業環境測定について は、特定化学物質障害予防規則第36 条に定められている。その実施時期は 6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期間は3年である。従って、本 肢は誤っている。 (2)空気中の放射性物質の濃度の測定については、電離放射線障害防止規則第 55 条に「事業者は、第53条第二号から第三号までに掲げる作業場につい て、その空気中の放射性物質の濃度を1月以内ごとに1回、定期に、放射線 測定器を用いて測定し、その都度、前条第1項各号に掲げる事項を記録して、 これを5年間保存しなければならない」と定められている。実施期間、保存 年限ともに、本肢は誤っている。
25 (3)ノルマルヘキサンは第1種有機溶剤である。作業環境測定については有機 溶剤中毒予防規則第28 条に定められている。その実施時期は6月を超えな い期間ごとに1回であり、保存期間は3年である。従って、本肢は誤ってい る。 (4)アクリロニトリルは第2類の特定化学物質である。作業環境測定は特定化 学物質障害予防規則第36 条により定められている。その実施時期は6月を 超えない期間ごとに1回であり、保存期間は同条第3項により30 年である。 従って、本肢は正しい。 (5))各種の鉱物製粉じんの濃度の測定は、粉じん障害防止規則第 26 に定め られている。その実施時期は6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期 間は同条第8項により7年である。従って、本肢は誤っている。 ところで、上記の物質は、常に測定しなければならないわけではなく、一定の 場合についてのみであるが、そのことが本問の結論に影響を与えるわけではな い。 (11)問11(試験協会発表正答 1)難易度2 問11 次の呼吸用保護具のうち、労働安全衛生法令上、厚生労働大臣によっ て規格が定められていないものはどれか。 (1)酸素呼吸器 (2)アンモニア用防毒マスク (3)電動ファン付き呼吸用保護具 (4)ろ過材及び面体を有する防じんマスク (5)亜硫酸ガス用防毒マスク (1)酸素呼吸器の規格は定められていない。 (2)防毒マスクの規格(平成2年9月26 日労働省告示第 68 号)は、その第 1条により、ハロゲンガス用防毒マスク、有機ガス用防毒マスク、一酸化 炭素用防毒マスク、アンモニア用防毒マスク及び亜硫酸ガス用防毒マスク に適用される。なお、この5つは覚えておく方が良い。 (3)電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26 年 11 月 28 日厚生労働省 告示第455 号)が定められている。 (4)防じんマスクの規格(昭和63 年3月 30 日労働省告示第 19 号)が定め
26 られている。ろ過材及び面体を有する防じんマスクに適用される(同規格 第1条参照)。 (5)上記(2)の解説参照 なお、安衛法第42 条は、「別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な 作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健 康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものについては、厚 生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又 は設置してはならない」としている。 また、同第44 条の2は「第 42 条の機械等のうち、別表第4に掲げる機械等 で政令で定めるもの」について型式検定を受けなければならないとしている。 これらの条文によって規定されているものについて、厚生労働大臣が規格を 定めているのである。 【安衛法】 (譲渡等の制限等) 第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危 険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用す るもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののう ち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を 具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。 (型式検定) 第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政 令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定める ところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定 機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなけれ ばならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型 式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限り でない。 別表第二(第四十二条関係) 一~七 (略) 八 防じんマスク 九 防毒マスク 十 十五 (略)
27 十六 電動ファン付き呼吸用保護具 別表第四(第四十四条の二関係) 一~四 (略) 五 防じんマスク 六 防毒マスク 七~十二 (略) 十三 電動ファン付き呼吸用保護具 【安衛令】 (厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等) 第13条 (略) 2 (略) 3 (略) 4 (略) 5 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機 械等を含まないものとする。 (略) (略) 法別表第二第八号に 掲げる防じんマスク ろ過材又は面体を有していない防じんマスク 法別表第二第九号に 掲げる防毒マスク ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクそ の他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マ スク (略) (略) (型式検定を受けるべき機械等) 第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲 げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除 く。)とする。 一~四 (略) 五 防じんマスク(ろ過材及び面体を有するものに限る。) 六 防毒マスク(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労 働省令で定めるものに限る。) 七~十二 (略)
28 十三 電動ファン付き呼吸用保護具 【安衛則】 (規格を具備すべき防毒マスク) 第26条 令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒マスクは、次 のとおりとする。 一 一酸化炭素用防毒マスク 二 アンモニア用防毒マスク 三 亜硫酸ガス用防毒マスク (12)問12(試験協会発表正答 3)難易度3 問12 有機溶剤業務に関する次の記述のうち、有機溶剤中毒予防規則上、違 反となるものはどれか。ただし、同規則に定める適用除外及び設備の特 例はないものとする。 (1)通風が不十分な屋内作業場で第一種有機溶剤等を用いて洗浄の業務を 行わせるとき、その作業場所に局所排気装置を設け稼働させているが、 労働者に送気マスクも有機ガス用防毒マスクも使用させていない。 (2)通風が不十分な屋内作業場で第二種有機溶剤等を用いて塗装の業務を 行わせるとき、その作業場所にプッシュプル型換気装置を設けブース内 の気流の乱れもなく稼働させているが、労働者に送気マスクも有機ガス 用防毒マスクも使用させていない。 (3)地下室の内部で第三種有機溶剤等を用いて吹付けによる塗装の業務を 行わせるとき、その作業場所に全体換気装置を設けて稼働させるととも に、労働者に有機ガス用防毒マスクを使用させている。 (4)地下室の内部で第三種有機溶剤等を用いて払しょくの業務を行わせる とき、その作業場所に全体換気装置を設けて稼働させるとともに、労働 者に送気マスクを使用させている。 (5)有機溶剤等を入れたことのあるタンクで有機溶剤の蒸気を発散するお それがあるものの内部において、洗浄の業務に従事する労働者に送気マ スクを使用させている。 有機溶剤中毒予防規則(以下、本問の解説中で「有機則」という。)において、 「送気マスク又は有機ガス用防毒マスク」が必要となるのは、以下の場合のみで
29 ある。 【送気マスク又は有機ガス用防毒マスクが必要となる作業】 ① 第9条第2項(送気マスクに限る。) タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる 場合であって、有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、発散 源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を 設けないとき。 ② 第13 条の2 発散防止抑制措置特例実施許可を受けようとする発散防止抑 制措置(有機溶剤の蒸気の発散を防止し、又は抑制する設備又は 装置を設置することその他の措置)に係る許可を受けるために有 機溶剤の濃度の測定を行う場合であって、発散源を密閉する設 備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないとき。 ③ 第32 条(送気マスクに限る。) 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散 するおそれがないものを除く。)の内部における業務 ④ 第33 条(有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気 装置及びプッシュプル型換気装置を設けない場合) ア タンク等の内部において、第三種有機溶剤等に係る有機溶剤 業務(前記③の作業及び吹付けによる有機溶剤業務を除く。) に労働者を従事させるときであって、全体換気装置を設けたと き。 イ 臨時に有機溶剤業務を行う事業者がタンク等の内部におけ る当該有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、全体 換気装置を設けたとき。 ウ タンク等の内部以外の屋内作業場等において有機溶剤業務 に労働者を従事させる場合であって、当該場所における有機溶 剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、全体換気装置を設 けたとき。 エ 屋内作業場等の壁、床又は天井について行う有機溶剤業務に 労働者を従事させる場合において、有機溶剤の蒸気の発散面が
30 広いため、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気 装置及びプッシュプル型換気装置の設置が困難であり、かつ、 全体換気装置を設けたとき オ 反応槽その他の有機溶剤業務を行うための設備が常置され ており、他の屋内作業場から隔離され、かつ、労働者が常時立 ち入る必要がない屋内作業場において、その設備による有機溶 剤業務に労働者を従事させる場合であって全体換気装置を設 けたとき カ プッシュプル型換気装置を設け、荷台にあおりのある貨物自 動車等当該プッシュプル型換気装置のブース内の気流を乱す おそれのある形状を有する物について有機溶剤業務を行う屋 内作業場等における業務 キ 屋内作業場等において有機溶剤の蒸気の発散源を密閉す る設備(当該設備中の有機溶剤等が清掃等により除去されてい るものを除く。)を開く業務 ※ タンク等の内部:地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、 船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保 冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部 又は以下の場所(有機則第2条第1項第1号) ① タンクの内部 ② ピツトの内部 ③ 坑の内部 ④ ずい道の内部 ⑤ 暗きよ又はマンホールの内部 ⑥ 箱桁の内部 ⑦ ダクトの内部 ⑧ 水管の内部 ⑨ 屋内作業場及び前各号に掲げる場所のほか、 通風が不十分な場所 ※ ここで、「通風が不十分な屋内作業場」とは、 天井、床及び周壁の総表面積に対する窓その他の 直接外気に向って開放しうる開口部の面積の比 率が3%以下の屋内作業場をいうこと(昭和 35 年10 月 31 日基発第 929 号)
31 すなわち、「有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散す るおそれがないものを除く。)の内部における業務」を除き、なんらかの理由で 発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けない 場合に、送気マスク又は有機ガス用防毒マスクが必要となるのである。 そして、その中でもとりわけ危険性の高い作業については、送気マスクに限ら れることとなる。上記の「送気マスク又は有機ガス用防毒マスクが必要となる作 業」は試験までに記憶しておく必要がある。 (1)本肢は局所排気装置を設けているので、送気マスク又は有機ガス用防毒マ スクを使用させなくても違反とはならない。 (2)本肢では「プッシュプル型換気装置を設けブース内の気流の乱れもなく稼 働させている」ので、送気マスク及び有機ガス用防毒マスクを使用させなく とも違反とはならない。 (3)本肢は、上記の第9条第2項に該当する。従って、使用させるマスクは送 気マスクに限られる。有機ガス用防毒マスクを使用させている本肢は違反 となる。 (4)地下室は、「タンク等の内部」に該当する。従って、本肢は上記④のアに 該当することとなり、労働者に送気マスクを使用させているので違反とは ならない。 (5)本肢は、上記の有機則第32条に該当する。そして、労働者に送気マスク を使用させているので違反とはならない。 (13)問13(試験協会発表正答 4)難易度1 問13 危険物及び有害物の規制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令 上、正しいものはどれか。 (1)新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじ め、有害性の調査を行わなければならないが、その有害性の調査は、実 験動物を用いて吸入投与、経口投与等の方法により行うがん原性の調査 でなければならない。 (2)塩素化ビフェニル(別名PCB)は、試験研究のために製造する場合 を除き、製造してはならない。 (3)石綿を試験研究以外の用途のために輸入しようとする者は、あらかじ め所轄都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
32 (4)ベンゼン等法令に基づき名称等を表示すべき有害物を容器(主として 一般消費者の生活の用に供するための容器を除く。)に入れ提供する場 合、その容器に表示しなければならない事項には、「名称」、「人体に及 ぼす作用」及び「貯蔵又は取扱い上の注意」が含まれている。 (5)法令に基づいて、通知対象物を提供する相手方に文書の交付等により 通知すべき事項には、「名称」、「成分及びその含有量」及び「物理的及び 化学的性質」が含まれ、通知対象物として、104 物質が定められてい る。 (1)安衛法第57条の4は、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事 業者は厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に 従って有害性の調査を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果 その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならないとしている。従っ て本肢の前段は正しい。 しかし、安衛則第34 条の4第1項第1号は、この試験は「変異原性試験、 化学物質のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることがで きる試験又はがん原性試験のうちいずれかの試験」としている。従って、「実 験動物を用いて吸入投与、経口投与等の方法により行うがん原性の調査で なければならない」とする本肢は誤りである。 そもそも「実験動物を用いて吸入投与、経口投与等の方法により行うがん 原性の調査」は、日本でも実施できる試験期間は限られており、長い期間と 多額の費用を必要とする。このような試験をすべての新規化学物質の製造 等に当たって義務付けることなど、あり得ないことである。 【労働安全衛生法】 (化学物質の有害性の調査) 第57条の4 化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存 の化学物質として政令で定める化学物質(第三項の規定によりその名称 が公表された化学物質を含む。)以外の化学物質(以下この条において 「新規化学物質」という。)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、 あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定め る基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与え る影響についての調査をいう。以下この条において同じ。)を行い、当 該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大 臣に届け出なければならない。(以下略)