竜巻通過時に低層建築物に作用する風力特性に関する実験的研究
EXPERIMENTAL STUDY ON CHARACTERISTICS OF TORNADO-INDUCED
WIND FORCE ON A LOW-RISE BUILDING
喜々津 仁密1) 奥田 泰雄2) 河井 宏允3) 神田 順4)
Hitomitsu KIKITSU 1), Yasuo OKUDA2), Hiromasa KAWAI3), Jun KANDA 4)
ABSTRACT
The tornado-like wind simulator was constructed in order to experimentally evaluate the characteristics of tornado-induced wind force on a building. This paper introduced the specification of the simulator and then discussed the relation between experimental simulator settings such as angle of vane and Rankine model-related parameters. Next, the authors carried out wind pressure experiment using a low-rise building model. It was shown that tornado-induced wind force coefficient on the roof has the tendency to depend on the translation speed and that the past proposed model can be applied to model the measured wind force. Third, tornado-induced wind force was calculated and compared with the wind force regulated in the current building standard law. The comparison indicated that tornado-induced wind force at the tangential wind velocity of 40 to 48m/s is approximately the same as the regulated wind force at the basic wind velocity of 38m/s.
Key Words: Tornado-like Wind Simulator, Wind Force Coefficient, Rankine Vortex Model 1. はじめに 北海道佐呂間町(2006 年)や茨城県つくば市(2012 年)で発生したフジタスケール F3 規模の甚大な竜巻災害を背景 に,近年では竜巻に対する社会的な関心も高く,また竜巻被害低減に資する構造性能の評価,被害発生メカニズム の検証等に必要な研究の推進が求められている1).そこで本研究では,竜巻による風力特性や飛散物の挙動を実験 的に把握することを目的として,竜巻状の旋回流を模擬することのできる装置(以下「竜巻状気流発生装置」)を設計・ 製作した.そして,本装置での実験気流性状のランキン渦モデルへの適合性を検証したうえで,竜巻が低層建築物 の真上を通過することを想定した風圧実験を行った.ここでは屋根に作用する風力特性に着目し,装置の移動速度 が風力に与える影響を考察するとともに,既往の風力モデルへの適合性について確認する.また,風圧実験の結果 に基づいて竜巻による突風荷重の算定式を提示し,現行規定での風荷重との比較を行う. 2. 竜巻状気流発生装置による実験気流の基本特性 2.1 装置の概要 竜巻状気流発生装置は,アイオワ州立大学所有の装置(以下「ISU 型装置」という)2)の機構に倣って設計・製作し た.装置は送風機を内蔵した「本体」,横方向に自走可能な「自走式架台」,上下に昇降可能な「ステージ」及び「制 御盤」から構成される.写真1 に装置の概観,図 1 に本体の断面図をそれぞれ示す.本体各部の寸法は ISU 型装置 1) 独立行政法人建築研究所 主任研究員 (〒305-0802 茨城県つくば市立原 1) 2) 国土交通省国土技術政策総合研究所 建築新技術研究官 (〒305-0802 茨城県つくば市立原 1) 3) 東京電機大学理工学部 客員教授 (〒350-0394 埼玉県比企郡鳩山町石坂) 4) 日本大学理工学部 特任教授 (〒101-8308 東京都千代田区神田駿河台 1-8-14) 第22回 風工学シンポジウム(2012)
の約1/3.7 であり,外径と送風機の直径はそれぞれ 1.5m,0.5m である.図 1 に示すように下降流に強制的に旋回性 状を与えるガイドベーンが均等に18 枚配置されており,中心からの法線方向に対する角度を 0~55 度の範囲で設定 できる.また,装置の全高は約2.3m,架台の自走範囲は原点に対して±1.4m(最大移動速度 0.4m/s)である.ステー ジの中央部では,模型設置用の平板とPIV 測定用のガラスをはめ込んだ平板とを交換することができる.
0 度 最大55 度 ガイドベーン(18枚) ステージ 送風機 ベーン角度 θ 収束層高さ h 直径 1.5m 昇降可能 本 体 下降流 上昇流 写真1 竜巻状気流発生装置の概観(上) 図 1 装置本体の断面 と建築物模型の設置状況(下) 2.2 水平面内での気流の基本特性 竜巻の工学モデルとしてランキン渦モデルが一般に用いられている例えば3).そこで本装置による実験気流の同モデ ルへの適合性を確認するため,水平面内の風速分布を PIV 実験,ステージ床面上の圧力降下を風圧実験からそれ ぞれ把握した.PIV 実験はサンプリング周波数 500Hz,取得画像 2,727 枚の条件で行い,平均流速場の x, y 方向の 風速から,次式を用いて接線,法線両方向の風速を算出した 4).ここで,(x’, y’):旋回流の中心に対する座標,Vx:x 方向の風速,Vy:y 方向の風速,Vt:接線方向の風速,Vr:法線方向の風速である.また,風圧実験時の基準圧はステ ージ下部に静置した静圧箱にて取得した.これらの測定結果の一例を図 2,3 に示す.x=0 近傍での接線風速はモ デルよりも下に凸の傾向を示しているが,接線風速V と圧力降下 P のいずれも(2), (3)式に示すランキン渦モデルに概 ね適合していることがわかる.ただし,ベーン角度が 15 度以下ではステージ上で旋回流が十分に形成されず,下降 流が直下に吹き下ろす範囲での平均圧力が正圧となる場合があった.したがって,本装置でランキン渦モデルに適 合する実験気流を発生させるためには,15 度を超えるベーン角度を設定の範囲とした. xy a V x y a V
Vt xsin tan ycos tan (1.1)
x y a V x y a V
Vr xcos tan ysin tan (1.2)
-150 -75 0 75 150 -150 -75 0 75 150 [mm] [mm] 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [m/s] 図2 PIV 測定結果(f=20,θ=30,h=400 の例)4) (a) 接線風速分布 (b) ステージ上の圧力降下分布 (図中の点線は最大接線風速の範囲) 図3 測定結果(f=30,θ=55,h=550 の例)4) 移動方向 自走式架台 ステージ 本体
m m m m m m R x x R V R x R x V x V (2)
m m m m R x x R P R x R x P x P 2 2 min 2 2 min 2 1 2 2 1 (3) min P Vm (4) 次に,実験気流を制御する各種設定値(送風機の回転数制御周波数f [Hz],ベーン角度 θ [deg]及び収束層高さ h [mm])と(2), (3)式を規定する数値(最大接線風速 Vm,コア半径Rm及び最小風圧Pmin)との関係を図4 に整理した. 同図(a), (b)には,ステージ床面近傍での PIV 実験と風圧実験から得た結果を併記している.ここで風圧実験結果に よるVmは,x=±Rmでの速度圧を1/2・ρVm2(ρ:空気密度)で定義し(4)式で推定した. 両実験で得た結果同士を比較すると,RmだけでなくVmもほぼ等しい結果が得られており,床面上での圧力分布か らも適切に Vmを推定できることがわかる.そして,ベーン角度θ を大きく設定するほど旋回性状の形成が強制的にな ることから,モデルを規定するいずれの数値(Pminの場合はその絶対値)も,角度の増大とともに大きくなる傾向を示し ている.ただし,θ>40 度の範囲では VmとPminの絶対値の変化の程度は小さい.そして,θ<30 度の範囲での Vmと Pminの絶対値は,収束層高さh が高いほど小さくなる傾向を示す.また VmとRmの結果は,点線で併記したISU 型装 置での結果2)とベーン角度に対する変化の傾向が同様であることが確認できた(ここで,同図(b)の ISU 型装置の結果 は,文献2)に掲げる数値に 1/3.7 を乗じたもの). 6 8 10 12 14 16 0 10 20 30 40 50 60 Vm [m/s] ベーン角度θ [deg.] h=550, f=20 h=400, f=20 h=550, f=30 h=400, f=30 h=550, f=20(PIV) ISU型 モデル対 象範囲外 0 40 80 120 160 0 10 20 30 40 50 60 R m [mm ] ベーン角度θ [deg.] h=550, f=20 h=400, f=20 h=550, f=30 h=400, f=30 h=550, f=20(PIV) ISU型 モデル対 象範囲外 -300 -250 -200 -150 -100 -50 0 0 10 20 30 40 50 60 Pmin [N/m2] ベーン角度θ [deg.] h=550, f=20 h=400, f=20 h=550, f=30 h=400, f=30 (a) 最大接線風速 Vm (b) コア半径 Rm (c) 最小風圧 Pmin 図4 実験気流を制御する各種設定値とランキン渦モデルを規定する数値との関係 3. 低層建築物模型を用いた風圧実験 3.1 風圧実験の概要 本節では,竜巻が低層建築物の真上を通過することを想定した風圧実験の概要をまとめる.距離,風速及び容積 の縮尺率 λL,λVel,λVolはそれぞれ次式で設定した.文献 5)に倣って,建築物形状は梁間方向 24.4m,桁行方向 38.1m,軒高 12.2m を想定し,開口条件に関しては,建築物模型の各壁面に一様なすき間(当該壁面積に対する面 積比0.13%)と移動方向に対して右側の壁面に矩形の卓越開口(同 3.3%)を設けている. 350 1 L (5.1) 10 1 Vel (5.2) 750 , 428 1 2 3 Vel L Vol (5.3) 風圧実験はサンプリング100Hz,データ個数 1024 の条件で行い,外圧測定点は屋根面が計 20 点,壁面が計 26 点 である.次節で掲げる風力・風圧係数は,風圧値をVmから得られる速度圧1/2・ρVm2で規準化して得たものであり,そ れぞれの実験条件について10 回のアンサンブル平均結果を掲げている. 装置側の設定に関しては,回転数制御周波数f=20Hz,ベーン角度 θ=55deg,収束層高さ h=550mm とし,移動 速度 VTは0.06,0.20,0.36m/s の 3 通りとした.これらの条件に基づけば図 4 より,実験気流の最大接線風速 Vm= 9.8m/s,コア半径 Rm=0.12m である.さらに,これを上式の縮尺率に当てはめれば実スケールで Vm=98m/s,Rm= 42m となり,コア半径は文献 6)に定める設計上の数値 45.7m (150ft)と概ね整合している. 3.2 風圧実験結果 図5 に座標等の定義,図 6 に定常時(非移動時),図 7,8 に移動時における屋根面の風力・風圧係数の結果をそれぞれ示す.各図の横軸は,模型中心(原点)に対する装置中心の座標xSを旋回流のコア半径Rmで規準化した数 値である.図6 では,特定の xSの位置での装置静止時に各測定を行い,一定の時間間隔で抽出した10 個の測定結 果の平均値を示している. 図7(a)及び図 8(a)に示す VT=0.06m/s の場合を例にすると,風力係数 CFzの絶対値はxS/Rm≒-1.0 又は 1.0 のと きに最大値をとるが,これは接近時又は通過時に最大接線風速 Vmが模型の中心付近に作用するタイミングに相当 する.そして,すき間と卓越開口を有する場合の最大値はすき間のみ有する場合の約2 倍となっている. 次に,模型の屋根高さ付近に旋回流の中心が達するとみなされるタイミングでの装置中心の座標を xs’とおき, xs’/Rmを図7,8 に点線で併記した.ここで,xs’の値は外圧係数の絶対値が 2.0 を超える X 座標範囲の中間値として定 義した.VT=0.06m/s の結果(図 7(a))は図 6 に示す定常時とほぼ等しく移動の影響はみられないが,VTが大きくなるに つれて,装置中心と屋根高さ付近の旋回流の中心との間の距離が大きくなる傾向が認められる.これは,移動速度が 速いほど旋回流が移動方向に対して前傾する傾向が大きくなることを示しており,その傾向は既往の竜巻模擬実験 の結果7)とも合致する.また,移動速度と内圧係数との関係に注目すると,図9 に示すように移動速度が速くなるほど 接近時に内圧の伝播に遅れが生じ,内圧係数(絶対値)の最大値が小さくなる傾向が認められた.なお,ここで対象 にした速度の範囲では,移動速度と外圧係数(絶対値)の最大値との関係に明確な傾向は認められない. 0 X Y xs Z(鉛直方向) 装置中心のx座標 Vm Rm 模型中心 卓越開口 の位置 VT -1 0 1 2 3 -6 -4 -2 0 2 4 6 -C pe, -C pi , -C Fz xs/Rm Cpe Cpi CFz 0 0.5 1 1.5 2 -2 -1 0 1 2 -C pi (xs-xs')/Rm VT=0.06m/s VT=0.20m/s VT=0.36m/s 図5 座標等の定義 図 6 定常時の屋根面の風力・風圧係数 図 9 移動速度と内圧係数との関係 (すき間のみ有する場合) (すき間のみ有する場合) (a) VT=0.06m/s (b) VT=0.20m/s (c) VT=0.36m/s 図7 移動時における屋根面の風力・風圧係数(すき間のみ有する場合) (a) VT=0.06m/s (b) VT=0.20m/s (c) VT=0.36m/s 図8 移動時における屋根面の風力・風圧係数(すき間と卓越開口を有する場合) 3.3 実験結果と既往の風力モデルとの比較 本節ではVT=0.20m/s の場合について,風圧実験で得た風力係数を既往の風力モデル5)による風力係数と比較し た結果をまとめる.既往の風力モデルは(6)式の通りであり,x:屋根高さ付近での旋回流の中心(図 7,8 中の点線)に
対する座標,Ca:急激な気圧降下による風力 係数,Cw:旋回流の直接作用による風力係数, Cwe*:旋回流による外圧係数,αi:卓越開口の 有無の条件に応じた数値,εr:すき間面積に 応じた数値,Cwi:卓越開口を有する場合の内 圧係数である. 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -Cp e x/Rm 測定結果 モデル 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -Cpi x/Rm 測定結果 モデル 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -Cpi x/Rm 測定結果 モデル 図10 外圧係数 Cpeに関する実験 (a) すき間のみ有する場合 (b) すき間と卓越開口を有する場合 結果とモデルとの比較 図11 内圧係数 Cpiに関する実験結果とモデルとの比較 図10~12 に,外圧係数,内圧係数 及び風力係数の実験結果と同モデル との比較結果をそれぞれ示す.ここで, Cwe*=-1.2,εr=0.9 であり,すき間の み有する場合は αi=1,すき間と卓越 開口を有する場合は αi=0 とし,卓越 開口に近い外圧測定孔 4 点の平均値 をCwiとした. いずれの開口条件の場合も,(6)式 による風力モデルは実験結果を概ね記述しているが,内圧係数のモデル(図11(a))では内圧の伝播の遅れ,風力係 数のモデル(図12(a))では x/Rm=-1.0 と 1.0 との間で認められる値の差を反映できていない.これらの点は前節で指 摘した移動速度とすき間を通した内圧伝播との関係に拠るものであり,より詳細に改良すべき課題であると考えられる. また,ここで設定した係数Cwe*,卓越開口を有する場合のαiは既往の研究5)での数値と異なる.既往の研究での実験 結果では,最大接線風速が作用するタイミングで外圧測定点に本研究の実験結果よりも大きな負圧が作用し,オー バーシュートに似た現象が発生している可能性も考えられることから,今後さらに実験条件(旋回流のコア半径に対す る模型代表寸法の比等)の違いが風力に与える影響について系統的に把握する必要がある. 4. 実験結果に基づく竜巻による突風荷重の算定 耐風設計上の観点では,第一義的に竜巻による突風荷重レベルを適切に評価することが重要であることから,本 節では風圧実験結果に基づいて竜巻による突風荷重を算定し,現行規定での風荷重との比較例を提示する. 4.1 竜巻による突風荷重の算定式 風力係数CFz(x)の数値は 10 回のアンサンブル平均結果であるから,これに測定結果間のばらつきを別途考慮する 必要があると考えられるが 8),乱流境界層風洞での気流と異なる非定常性の強い気流下での測定結果に対して,統 計的操作に関する知見は十分ではない.そこで,以下では正規母集団の母平均の区間推定の考え方に基づき,測 定結果間のばらつきを反映した補正係数を導入して風力係数を割り増す.ここで補正係数を ν(x)とすれば,竜巻によ る突風荷重Wtの算定式は(7)式で表される.補正係数ν(x)は,10 回の測定結果から得た CFzの変動係数を用いて(8) 式で評価し,sC(x):風力係数の標本標準偏差,cov(x):風力係数の変動係数,n:測定回数(ここでは 10),t :自由度 n-1,信頼係数 95%としたとき t 分布から得られる数値 2.26 である例えば9). 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -CF z x/Rm 測定結果 モデル 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -CF z x/Rm 測定結果 モデル (a) すき間のみ有する場合 (b) すき間と卓越開口を有する場合 図12 風力係数 CFzに関する実験結果とモデルとの比較
m wi i r i we m m wi i r i r i we m i i we ae w a Fz R x x C C x R R x x C C R x x C x C x C x C x C x C 1 1 1 1 2 1 , * 2 2 * 2 2 (6) x V C x x Wt 12 m2 Fz (7) x n t n x s t x C x C x C Fz Fz cov 1 1 (8) 図13 に変動係数cov(x),補正係数 ν(x)をそれぞれ示す.開口条件や x によって結果が異なるが,風力係数の絶 対値が最大となり得るx=±Rmでは,いずれの開口条件の場合も補正係数が約1.2 となっている. 4.2 竜巻による突風荷重と現行規定での風荷重との比較 一般に,現行の耐風設計で用いる基準風速値には竜巻の通過に伴う突風 の風速は反映されておらず,現行規定での風荷重と竜巻による突風荷重との 比較は興味あるところである.そこで以下では,建築基準法 10)に定める基準 風速 V0=38m/s(例えば千葉県茂原市,高知市),地表面粗度区分Ⅱでの地 域を例として,中程度の風荷重W,最大級の風荷重 1.6W と(7)式で得た突風 荷重 Wt(-Rm)との比較を行う.風荷重の算定では文献 10)の数値を援用し, 屋根の外圧係数は-1.0,内圧係数は 0 とする. 図14 に両荷重の比較結果を示す.中程度の風荷重はVm=40m/s(卓越開 口あり)~48m/s(卓越開口なし),最大級の風荷重は Vm=52m/s(卓越開口あ り)~60m/s(卓越開口なし)での竜巻による突風荷重と概ね等しい結果となる. この結果からも竜巻通過時の屋根被害の発生可能性を小さくするためには, 卓越開口発生の制御が設計上の課題であることがわかる.このためには,合 わせガラスの採用,開口部の防御といった仕様上の措置のほか,現行の風荷 重の算定では飛来物の衝撃によって大開口ができる場合を想定し,「閉鎖 型」の建築物であっても「開放型」とみなした検討が有効と考えられる11),12). 5. まとめ 本研究では筆者らが製作した竜巻状気流発生装置の概要を紹介するとともに,実験気流性状がランキン渦モデル に適合し,同モデルを構成する最大接線風速やコア半径をベーン角度等によって制御できることを明らかにした.ま た,竜巻が低層建築物の真上を通過する状況を想定した風圧実験を行い,移動速度の影響と既往の風力モデルへ の適合性について考察し,実験結果に基づく竜巻による突風荷重と現行規定での風荷重との荷重レベルの比較を 行った. 本研究結果を踏まえた今後の課題としては,①スワール比を指標とした旋回流の水平及び鉛直構造の把握,②移 動速度と内圧係数との関係,旋回流のコア半径に対する模型の代表寸法の比その他のパラメータを反映した風力モ デルの改良 等が挙げられる. 謝 辞 本研究は科学研究費補助金基盤研究(B)(課題番号 21360273)の援助を受けた.ここに,謝意を表します. 参考文献 1) 田村幸雄ほか:突風に対する各種構造物等の設計ガイドラインの研究,竜巻等の実態および発生予測と対策,平成 19 年 度科学技術振興調整費補助金 重要政策課題への機動的対応の推進 研究成果報告書,pp. 403-486, 2008. 2) F.L.Haan, et al.:
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