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コンクリートを構成する粉粒体の保水限界に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)コンクリートを構成する粉粒体の保水限界に関する研究. 岩﨑. 美敏. 子が保持できる水量には限界があり,それを超えた場. 1. はじめに. 合には材料分離が生じると考えられる.. 中流動コンクリートは,流動性に優れ軽微な振動締 固めによって型枠に充填可能なコンクリートである.. そこで,材料分離を生じない限界,即ち保水限界時. ただし,高流動コンクリートに比べ,粉体量,混和剤. の水量を把握することが出来れば,材料分離を生じる. 量をできるだけ抑えて低コストで上記性能の実現を図. ことなく流動性を最大にする調合を得ることが出来る. るため,材料分離を生じない範囲で,いかに流動性を. と考えられ,本研究では粒子形状の影響を考慮するた. 得るかが重要となる.. め粒子の実積率(空隙率)を,粒度分布の影響を考慮 するため粒子の表面積を用いて,保水限界推定モデル. そこで本研究では,コンクリートを構成する粒子は. の構築を行い,保水限界時の水量を推定した.. その表面に一定量の水を水膜として保持することがで き,その厚さを用いることによりコンクリートが材料. 本モデルでは,図1に示す通り,コンクリート中の. 分離を生じることなく流動することのできる限界,即. 水はまず空隙中に満たされ,残りの水が粒子表面に水. ちコンクリートの保水限界を定めることが可能である. 膜として保持され,コンクリート中の水分が多くなる. と仮定し,材料分離を生じることなく流動性を最大化. ほど粒子表面の水膜は厚くなり,その厚さがある一定. する調合の解を得ることを目的に検討を行った.. 値を超えた場合に材料分離が生じると仮定した.また, 材料分離を生じることなく各粒子が保持可能な水膜の 厚さの最大値を最大水膜厚さdmax と定義した.. 2. 保水限界に関する基本仮定 2.1 コンクリートの保水限界推定モデル. 空隙を満たす水. 水膜. dmax. フレッシュコンクリートの外力を加えない静的な状 態での材料分離現象には,主として硬練りコンクリー トに多くみられる「Dry Segregation」と軟練りコンク リートにみられる「Wet Segregation」の 2 種類がある といわれている 1) .前者はコンクリート中の水分が少 なく,コンクリートがパサパサの状態で,硬練りコン クリートに多く見られる現象であり,後者はコンクリ 図 1 保水限界状態の概念図. ート中の水分が多く,モルタルから水分が分離してい る状態を表し,軟練りコンクリートに多く見られる現. ここで同一粒子の場合,dmax は粒子に固有の値であ. 象である.中流動コンクリートは高性能 AE 減水剤を. ると仮定すると,dmax は式(1)に示す通り,構成粒子が. 使用する比較的軟練りコンクリートであるため,材料. 一種類の場合(例:セメントペースト)の保水限界時. 分離は主に後者のモルタル中の粒子と水の間で生じる. の水量を実測し,その値から空隙を満たす水量を除き,. ことが多いと考えられる.. 粒子の表面積で除して求めることができる.. また,材料分離性状にはコンクリート構成材料の保. dmax #. 水性能が大きく関係する.既往の研究によると,粒子. Wmax p " ep !Vp ! !w sp ! !w ! 10-3. ここで, dmax. の保水性能に関しては粒子形状や粒度分布が強く影響. :粒子の最大水膜厚さ(cm). Wmax p :ペーストの保水限界時の水量(kg). することが指摘されている.. ep. :ペースト構成粒子の間隙比. 隙を満たす水量と材料中の全水量の差は流動性状との. Vp. :粒子の体積(l). 相関が極めて高く,その値が大きくなるほど,コンク. sp. :粒子の表面積(cm2). リートの流動性は向上するとされている.ただし,粒. !w. :水の密度(g/cm2). 更に,松藤らが行った研究. (1). 2)によると,材料中の空. 42-1.

(2) また,Van der Waals 力との関係により,粒子の形 状が球の場合,式(2)が成り立つとされている 3).そこ で本研究では,粒子と表面積の等しい球の粒径である. 保水限界. 球体等価径と実験より得られた dmax の関係から式(2) の比例定数 k を算出した.. dmax 2 # kdeq. 降 伏 値. 降伏値増大. τy. (2). 降伏値減少. ここで, dmax :粒子の最大水膜厚さ(µm). k. :比例定数 0打フロー値 FL0. deq :球体等価径(µm). 図2 0打フロー値と降伏値の関係の概略図. 次に,モルタル及びコンクリートの保水限界時の水 量は,式(3)に示す通り,各粒子の dmax にそれぞれの表. ただし,中流動コンクリートのように粒子からの水. 面積を乗じた値と空隙を満たす水量を足し合わせるこ. の染み出しが危惧される場合,モルタル部分から水が. とにより算出することが可能となる.式中の第一項は. 染み出すことによりさらに粒子同士のかみ合いや摩擦. 水膜の総量を,第二項は空隙を満たす水量を示してい. が低減され,保水限界を超えた場合,図2に示すよう. る.なお,粗骨材の表面積は細骨材や粉体の表面積に. に降伏値は大きく減少すると推察され,このことによ. 比べ微少であるため,その影響は極めて小さいと考え. り材料分離を判断することが可能であると考えられる.. られ,本モデルでは粗骨材の水膜を算入していない.. &$. %. '. Wmax # ) dmax i ! si ! 10-3 ( e !V !w. 3. 実験概要. (3). 本研究では,まずペーストでの実験を行い,各種粉. ここで, Wmax :保水限界時の水量(kg). 体粒子の最大水膜厚さを実験により求めた.次に基準. dmax i :i 粒子の最大水膜厚さ(cm). となるコンクリートの調合から粗骨材を除いたモルタ. si. :i 粒子の表面積(cm2). ルを用いて実験を行い,保水限界推定モデルの妥当性. e. :構成粒子の間隙比. について検討を行った.最後に,モルタル及びコンク. V. :構成粒子の体積(l). リートの保水限界時の流動性に関して検討を行った.. !w. :水の密度(g/cm2). 3.1 使用材料および調合 本研究で使用した材料及びその物性を表1に示す.. 2.2 保水限界状態の実測. また,モルタル及びコンクリートの調合を表2,表3に. 本研究では,中流動コンクリートの材料分離はモル. 示す.. タルから水が染み出し,粗骨材とモルタルが一体とし て挙動出来なくなる状態であると仮定している.しか. 表1 使用材料及び物性. し,モルタル及びペーストにおいて材料分離が生じた. 材料. 場合,その構成粒子が微小であるため,目視により厳. 種類. セメント普通ポルトランドセメント. 密に水の染み出しを確認することは困難であると考え 水. られる.従って,本研究ではモルタル及びペーストの. 上水道水. 物性. 記号. 3.15g/cm3 密度: 56.9% 実積率: 3260cm2/g 比表面積: −. 2.74g/cm3 表乾密度: 粗骨材 長崎県西有家町産安山岩砕石 最大寸法: 20mm. 保水限界については以下に示す方法により実測した. 既往の研究 4)によると,図2に示すように 0 打フロ. 細骨材 長崎県壱岐産海砂. ー値 FL0 と降伏値 "y との間には,FL0 が比較的小さい 石炭灰( 細粉). ある点を境にしてそれぞれ直線関係があるとされてい る.これは折れ点の左側の範囲は粒子に対して水が乏. 石炭灰( 粗粉). しい状態であり,粒子同士のかみ合いや摩擦により降 伏値が増大する一方,折れ点の右側の範囲では FL0 の. 混和材. するためと考えられる.従って,高流動コンクリート のように材料分離を生にくいコンクリートでは降伏値. 石粉. は限りなく 0 に近づいていくと考えられる.. 42-2. W G S. 2.31g/cm3 密度: 61.6% FA1 実積率: 4240cm2/g 比表面積: 2.21g/cm3 密度: 56.1% FA2 実積率: 1060cm2/g 比表面積: 3. 高炉スラグ微粉末. 増大に伴い水膜の厚さが増大し,徐々に降伏値が減少. 2.57g/cm 表乾密度: 5mm 最大寸法:. 3. C. 密度: 2.91g/cm 実積率: 53.4% B 2 比表面積: 4040cm /g 2.72g/cm3 密度: 51.3% Gp 実積率: 1640cm2/g 比表面積:.

(3) 表2 モルタルの調合. 0.8. W/C s/a l/m3) ×103m2/m3) 単位容積( 単位表面積( No. S P( FA,B) C S P( FA,B) kg/m3) (%) (%) C ( N-0 41.9 281 3.4 N-10 46.1 309 3.8 N-20 50.3 338 4.1 55 104 273 107.1 FA1-3 180 8 3.3 8.2 FA1-6 264 17 3.2 16.5 41.9 B-3 273 8 3.3 9.9 B-6 264 17 3.2 19.8 W. No. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. W W/C s/a 3 (kg/m ) (%) (%) C 42.0 46.2 180 55 50.4 104 42.0. 3. 3. 2. 3. 単位容積( l/m ) 単位表面積( ×10 m /m ) S G P(FA,B) C S G P(FA,B) 282 389 3.5 0.3 310 361 3.8 0.3 107.1 4.1 0.3 338 333 2.0 273 389 8 3.3 0.3 9.9. 0.6 dmax2(μm2). 表3 コンクリートの調合. 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1. 3.2 球体等価径の算出. 0 0. 球体等価径は,式(4)1)により算出した.. deq #. dmax 2 # 0.056 ! deq. 0.7. 6. (4). sv. 2. 4 6 8 10 球体等価径:deq(μm). 12. 14. 図4 球体等価径と最大水膜厚さの関係. ここで, deq :球体等価径(cm). 分離が確認された.従って,本研究での仮定は妥当で 2. あり,本研究では FL0 と降伏値の関係より,モルタル. 3. sv :体積比表面積(cm /cm ) 3.3 実験方法. 及びペーストの保水限界を実測した.. 実験は,ペースト,モルタル及びコンクリートにお. 4.2 各粒子の最大水膜厚さの算定. いて,セメントや細骨材等,構成粒子の量を一定のま. 図4に球体等価径と最大水膜厚さの関係を示す.既. ま,水量を徐々に増やしていくことで,構成粒子の体. 往の研究結果の通り,直線関係にあることが見て取れ. 積,空隙量を一定に保ち,水膜の総量のみを増加させ. る.従って,今回の実験により式(2)の比例定数 k の値. て検討を行った.. (k=0.056)を得た. 4.3 保水限界推定モデルの妥当性の検討 図5に式(3)を用いて算出した保水限界時の水量と,. 4. 実験結果および考察. 先の 0 打フロー値と降伏値の関係より実測した水量の. 4.1 保水限界状態の実測方法の検討 図3にモルタルの 0 打フロー値と降伏値の関係を示. 関係を示す.図に示す通り,式(3)を用いて算出した計. す.前章 2.2 の仮定通り,0 打フロー値の増大に伴い. 算値は実測値をよく捉えており,本研究での保水限界. 降伏値が大きく減少し始める点が確認された.また,. 推定モデルを用いて保水限界時の水量を精度よく推定. 図中の折れ点以降の領域では目視においても概ね材料. できることがわかった.. 10. 250 N-0 FA1-3 B-3. 240 実測値(kg). 降伏値(Pa). 9. 8. 7. 230. 220. 6. 210. 5 140. 200 200. 160. 180 200 220 240 0打フロー値(mm) 図3 0打フロー値と降伏値の関係. 260. 210. 220 230 計算値(kg). 240. 250. 図5 モルタルの保水限界時の水量の推定結果. 42-3.

(4) 300. 21. 20 スランプ(cm). モルタルフロー(mm). 280. 260. 240 N-0 N-10 N-20 FA1-3 FA1-6 B-3 B-6. 220. d #1 * 200 0.85. 0.90. 0.95. 1.00 d. 1.05. 1.10. 19. 18. 17. d #1 * 16 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10. 1.15. d. 図7 dとスランプの関係. 図6 dとモルタルフローの関係. 46. 4.4 流動性を最大化する調合の検討 44 スランプフロー(cm). d とモルタルフローの関係を図6に示す.なお,d と は,以下に示す式(5)により算出した値であり,コンク リート及びモルタル中の水量が粒子の空隙を満たす水 量と等しい場合に 0,保水限界時の水量と等しい場合 に1となる.. d #. $W. " !w ! e !V % sa $Wmax " !w ! e !V % sa. ここで, W. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. (5). :コンクリート(モルタル)中の. 42. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. 40 38 36. d #1 *. 水量(kg) 34 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 d. Wmax :保水限界時の水量(kg) e. :構成粒子の間隙比. V. :構成粒子の体積(l). sa. :構成粒子の総表面積(m2). !w. :水の密度(g/cm2). 図8 dとスランプフローの関係 5. まとめ 本研究で得られた知見を以下に示す.. 1) 降伏値と 0 打フロー値の関係より,保水限界を求. 図に示す通り,保水限界を超えた後もモルタルフロ ーは増大しているが,これはモルタルの場合,構成粒. めることができる. 子が微小であり,材料分離後も見かけ上流動性が向上. 2) 最大水膜厚さは球体等価径を用いて算出できる.. しているためであると考えられる.従って,材料分離. 3) 本研究での保水限界推定モデルを用いることで,材. を生じない範囲では保水限界時に流動性は最大となり,. 料分離を生じることなく,流動性を最大にする解. モルタルにおいて,材料分離を生じることなく,流動. を得ることができる.. 性を最大にする解を得ることが出来た.. 【参考文献】 1) 岩崎訓明:「コンクリートの特性」,共立出版,1975. 次に,図7及び図8に d とスランプ及びスランプフロ ーの関係を示す.図に示す通り,保水限界時にスラン. 2) 松藤泰典他:「石炭灰外割コンクリートの最適調合に. プ,スランプフロー共に概ね最大値を示している.こ. 関する研究」,日本建築学会大会学術講演梗概集,2001. れは,コンクリートの場合,モルタルの比重に比べ粗. 3) 緑川猛彦他:「粉体特性の定量化手法に基づくペース. 骨材の比重が大きく,材料分離の影響が顕著に現れた. トの流動性評価方法」,土木学会論文集,No.578,V-37,. 結果であると考えられる.以上の結果から,コンクリ. 1997.11 4) 水口裕之他:「フレッシュモルタルのレオロジー定数. ートにおいて材料分離を生じることなく,流動性を最 大にする調合の解を得ることが可能となった.. の測定方法」,セメント技術年報,1974. 42-4.

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