コンクリートを構成する粉粒体の保水限界に関する研究 [ PDF
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(2) また,Van der Waals 力との関係により,粒子の形 状が球の場合,式(2)が成り立つとされている 3).そこ で本研究では,粒子と表面積の等しい球の粒径である. 保水限界. 球体等価径と実験より得られた dmax の関係から式(2) の比例定数 k を算出した.. dmax 2 # kdeq. 降 伏 値. 降伏値増大. τy. (2). 降伏値減少. ここで, dmax :粒子の最大水膜厚さ(µm). k. :比例定数 0打フロー値 FL0. deq :球体等価径(µm). 図2 0打フロー値と降伏値の関係の概略図. 次に,モルタル及びコンクリートの保水限界時の水 量は,式(3)に示す通り,各粒子の dmax にそれぞれの表. ただし,中流動コンクリートのように粒子からの水. 面積を乗じた値と空隙を満たす水量を足し合わせるこ. の染み出しが危惧される場合,モルタル部分から水が. とにより算出することが可能となる.式中の第一項は. 染み出すことによりさらに粒子同士のかみ合いや摩擦. 水膜の総量を,第二項は空隙を満たす水量を示してい. が低減され,保水限界を超えた場合,図2に示すよう. る.なお,粗骨材の表面積は細骨材や粉体の表面積に. に降伏値は大きく減少すると推察され,このことによ. 比べ微少であるため,その影響は極めて小さいと考え. り材料分離を判断することが可能であると考えられる.. られ,本モデルでは粗骨材の水膜を算入していない.. &$. %. '. Wmax # ) dmax i ! si ! 10-3 ( e !V !w. 3. 実験概要. (3). 本研究では,まずペーストでの実験を行い,各種粉. ここで, Wmax :保水限界時の水量(kg). 体粒子の最大水膜厚さを実験により求めた.次に基準. dmax i :i 粒子の最大水膜厚さ(cm). となるコンクリートの調合から粗骨材を除いたモルタ. si. :i 粒子の表面積(cm2). ルを用いて実験を行い,保水限界推定モデルの妥当性. e. :構成粒子の間隙比. について検討を行った.最後に,モルタル及びコンク. V. :構成粒子の体積(l). リートの保水限界時の流動性に関して検討を行った.. !w. :水の密度(g/cm2). 3.1 使用材料および調合 本研究で使用した材料及びその物性を表1に示す.. 2.2 保水限界状態の実測. また,モルタル及びコンクリートの調合を表2,表3に. 本研究では,中流動コンクリートの材料分離はモル. 示す.. タルから水が染み出し,粗骨材とモルタルが一体とし て挙動出来なくなる状態であると仮定している.しか. 表1 使用材料及び物性. し,モルタル及びペーストにおいて材料分離が生じた. 材料. 場合,その構成粒子が微小であるため,目視により厳. 種類. セメント普通ポルトランドセメント. 密に水の染み出しを確認することは困難であると考え 水. られる.従って,本研究ではモルタル及びペーストの. 上水道水. 物性. 記号. 3.15g/cm3 密度: 56.9% 実積率: 3260cm2/g 比表面積: −. 2.74g/cm3 表乾密度: 粗骨材 長崎県西有家町産安山岩砕石 最大寸法: 20mm. 保水限界については以下に示す方法により実測した. 既往の研究 4)によると,図2に示すように 0 打フロ. 細骨材 長崎県壱岐産海砂. ー値 FL0 と降伏値 "y との間には,FL0 が比較的小さい 石炭灰( 細粉). ある点を境にしてそれぞれ直線関係があるとされてい る.これは折れ点の左側の範囲は粒子に対して水が乏. 石炭灰( 粗粉). しい状態であり,粒子同士のかみ合いや摩擦により降 伏値が増大する一方,折れ点の右側の範囲では FL0 の. 混和材. するためと考えられる.従って,高流動コンクリート のように材料分離を生にくいコンクリートでは降伏値. 石粉. は限りなく 0 に近づいていくと考えられる.. 42-2. W G S. 2.31g/cm3 密度: 61.6% FA1 実積率: 4240cm2/g 比表面積: 2.21g/cm3 密度: 56.1% FA2 実積率: 1060cm2/g 比表面積: 3. 高炉スラグ微粉末. 増大に伴い水膜の厚さが増大し,徐々に降伏値が減少. 2.57g/cm 表乾密度: 5mm 最大寸法:. 3. C. 密度: 2.91g/cm 実積率: 53.4% B 2 比表面積: 4040cm /g 2.72g/cm3 密度: 51.3% Gp 実積率: 1640cm2/g 比表面積:.
(3) 表2 モルタルの調合. 0.8. W/C s/a l/m3) ×103m2/m3) 単位容積( 単位表面積( No. S P( FA,B) C S P( FA,B) kg/m3) (%) (%) C ( N-0 41.9 281 3.4 N-10 46.1 309 3.8 N-20 50.3 338 4.1 55 104 273 107.1 FA1-3 180 8 3.3 8.2 FA1-6 264 17 3.2 16.5 41.9 B-3 273 8 3.3 9.9 B-6 264 17 3.2 19.8 W. No. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. W W/C s/a 3 (kg/m ) (%) (%) C 42.0 46.2 180 55 50.4 104 42.0. 3. 3. 2. 3. 単位容積( l/m ) 単位表面積( ×10 m /m ) S G P(FA,B) C S G P(FA,B) 282 389 3.5 0.3 310 361 3.8 0.3 107.1 4.1 0.3 338 333 2.0 273 389 8 3.3 0.3 9.9. 0.6 dmax2(μm2). 表3 コンクリートの調合. 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1. 3.2 球体等価径の算出. 0 0. 球体等価径は,式(4)1)により算出した.. deq #. dmax 2 # 0.056 ! deq. 0.7. 6. (4). sv. 2. 4 6 8 10 球体等価径:deq(μm). 12. 14. 図4 球体等価径と最大水膜厚さの関係. ここで, deq :球体等価径(cm). 分離が確認された.従って,本研究での仮定は妥当で 2. あり,本研究では FL0 と降伏値の関係より,モルタル. 3. sv :体積比表面積(cm /cm ) 3.3 実験方法. 及びペーストの保水限界を実測した.. 実験は,ペースト,モルタル及びコンクリートにお. 4.2 各粒子の最大水膜厚さの算定. いて,セメントや細骨材等,構成粒子の量を一定のま. 図4に球体等価径と最大水膜厚さの関係を示す.既. ま,水量を徐々に増やしていくことで,構成粒子の体. 往の研究結果の通り,直線関係にあることが見て取れ. 積,空隙量を一定に保ち,水膜の総量のみを増加させ. る.従って,今回の実験により式(2)の比例定数 k の値. て検討を行った.. (k=0.056)を得た. 4.3 保水限界推定モデルの妥当性の検討 図5に式(3)を用いて算出した保水限界時の水量と,. 4. 実験結果および考察. 先の 0 打フロー値と降伏値の関係より実測した水量の. 4.1 保水限界状態の実測方法の検討 図3にモルタルの 0 打フロー値と降伏値の関係を示. 関係を示す.図に示す通り,式(3)を用いて算出した計. す.前章 2.2 の仮定通り,0 打フロー値の増大に伴い. 算値は実測値をよく捉えており,本研究での保水限界. 降伏値が大きく減少し始める点が確認された.また,. 推定モデルを用いて保水限界時の水量を精度よく推定. 図中の折れ点以降の領域では目視においても概ね材料. できることがわかった.. 10. 250 N-0 FA1-3 B-3. 240 実測値(kg). 降伏値(Pa). 9. 8. 7. 230. 220. 6. 210. 5 140. 200 200. 160. 180 200 220 240 0打フロー値(mm) 図3 0打フロー値と降伏値の関係. 260. 210. 220 230 計算値(kg). 240. 250. 図5 モルタルの保水限界時の水量の推定結果. 42-3.
(4) 300. 21. 20 スランプ(cm). モルタルフロー(mm). 280. 260. 240 N-0 N-10 N-20 FA1-3 FA1-6 B-3 B-6. 220. d #1 * 200 0.85. 0.90. 0.95. 1.00 d. 1.05. 1.10. 19. 18. 17. d #1 * 16 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10. 1.15. d. 図7 dとスランプの関係. 図6 dとモルタルフローの関係. 46. 4.4 流動性を最大化する調合の検討 44 スランプフロー(cm). d とモルタルフローの関係を図6に示す.なお,d と は,以下に示す式(5)により算出した値であり,コンク リート及びモルタル中の水量が粒子の空隙を満たす水 量と等しい場合に 0,保水限界時の水量と等しい場合 に1となる.. d #. $W. " !w ! e !V % sa $Wmax " !w ! e !V % sa. ここで, W. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. (5). :コンクリート(モルタル)中の. 42. N-0 N-10 N-20 FA2-3 B-3. 40 38 36. d #1 *. 水量(kg) 34 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 d. Wmax :保水限界時の水量(kg) e. :構成粒子の間隙比. V. :構成粒子の体積(l). sa. :構成粒子の総表面積(m2). !w. :水の密度(g/cm2). 図8 dとスランプフローの関係 5. まとめ 本研究で得られた知見を以下に示す.. 1) 降伏値と 0 打フロー値の関係より,保水限界を求. 図に示す通り,保水限界を超えた後もモルタルフロ ーは増大しているが,これはモルタルの場合,構成粒. めることができる. 子が微小であり,材料分離後も見かけ上流動性が向上. 2) 最大水膜厚さは球体等価径を用いて算出できる.. しているためであると考えられる.従って,材料分離. 3) 本研究での保水限界推定モデルを用いることで,材. を生じない範囲では保水限界時に流動性は最大となり,. 料分離を生じることなく,流動性を最大にする解. モルタルにおいて,材料分離を生じることなく,流動. を得ることができる.. 性を最大にする解を得ることが出来た.. 【参考文献】 1) 岩崎訓明:「コンクリートの特性」,共立出版,1975. 次に,図7及び図8に d とスランプ及びスランプフロ ーの関係を示す.図に示す通り,保水限界時にスラン. 2) 松藤泰典他:「石炭灰外割コンクリートの最適調合に. プ,スランプフロー共に概ね最大値を示している.こ. 関する研究」,日本建築学会大会学術講演梗概集,2001. れは,コンクリートの場合,モルタルの比重に比べ粗. 3) 緑川猛彦他:「粉体特性の定量化手法に基づくペース. 骨材の比重が大きく,材料分離の影響が顕著に現れた. トの流動性評価方法」,土木学会論文集,No.578,V-37,. 結果であると考えられる.以上の結果から,コンクリ. 1997.11 4) 水口裕之他:「フレッシュモルタルのレオロジー定数. ートにおいて材料分離を生じることなく,流動性を最 大にする調合の解を得ることが可能となった.. の測定方法」,セメント技術年報,1974. 42-4.
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