資源確保戦略
平成24年6月
第15回パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合
報告資料
目次
第1章 総 論 第2章 資源確保戦略の5本柱 (1)資源獲得の重要国に対する政府一体となった働きかけ (2)資源ユーザー産業の上流開発への関与の促進 (3)資源国に対する協力のパッケージ化 (4)資源権益獲得に対する資金供給の機能強化 (5)国際的なフォーラムやルールの積極活用 第3章 石油・天然ガスの資源確保戦略 1.石油・天然ガス確保の現状と課題 (1) 我が国における重要性の高まり、特に震災後の LNG の重要性の高まり (2) 近年における「資源ナショナリズム」による石油の探鉱・開発機会の減少、3 つのフロンティアに対する期待の高まり (3) シェールガス革命後における欧米とアジアの天然ガスの価格差の拡大 2.今後の取組の方向性 (1) 既存権益の延長 (2) 3つのフロンティアの開拓 (3) LNG 供給サイドの構造改革 第4章 鉱物資源の資源確保戦略 1.鉱物資源確保の現状と課題 (1) 産業界におけるレアメタル等の鉱物資源の重要性の高まり (2) 鉱物資源の供給リスクの高まり 2.今後の取組の方向性 (1) 戦略的鉱物資源の特定、政策リソースの重点配分 (2) 中長期的観点からの上流権益確保の更なる促進 (3) 代替材の開発・普及、リサイクルの推進、備蓄の増強 第5章 石炭の資源確保戦略 1.石炭資源確保の現状と課題 (1) 我が国における重要性の高まり (2) 石炭の供給リスクの高まり 2.今後の取組の方向性 (1) 供給国の多角化 (2) 多角化に向けた支援体制の整備 (3) 資源国への協力強化(インフラ輸出との連動等)第1章 総 論 昨年末にとりまとめられた「日本再生の基本戦略(2011 年 12 月 24 日閣議決定)」 において「官民あげた資源獲得に戦略的に取り組む」ことが定められた。また、エ ネルギー・環境会議「基本方針」(2011 年 12 月 21 日)において「資源の安定的な 確保のための取組も一層強化する」と定められた1。以下に述べるように、資源を 巡る国内外の厳しい情勢を踏まえ、現在の資源確保の現状および今後の見通しをあ らためて分析し、我が国の官民の持つリソースを最大限活かすために「資源確保戦 略」を策定する。本戦略は、「資源確保指針」(2008 年 3 月 28 日閣議了解)の考え 方を踏まえたものであり、今後、エネルギー基本計画等の見直し結果等に伴い、必 要に応じて見直しを行う。 1.世界的な資源確保競争の激化など資源・エネルギーを巡る国際情勢は益々厳 しさを増している。資源の太宗を海外に依存している我が国にとって、産業基盤 の維持・強化、経済の繁栄、国民生活の安寧のために、その安定的かつ安価な供 給の確保に向けた体制の構築や取組の強化がより一層不可欠となっている。 • 2000 年代初頭以降、中国・インドなどの新興国における経済成長の加速に起因 して、新興国を中心に資源需要が爆発的に増加している。 • 一部の資源国では、いわゆる「資源ナショナリズム」2が台頭する一方、中国等 の大需要国は海外資源確保への取組を加速させている。 • 加えて、資源の偏在性は、資源の安定供給確保にとって大きな問題となってい る。例えば、中東情勢について、仮に将来的にホルムズ海峡の航行に支障が生 じた場合には、我が国の化石燃料の輸入に対して大きな影響を及ぼし得ること にも留意が必要である。加えて、鉱物資源も、一般的に偏在性が高い。 • このような資源を巡る国際情勢を踏まえ、供給国の多角化を図るなど安定的に 必要な資源を確保できる体制の構築や取組の強化が求められる。 1「日本再生の基本戦略(2011 年 12 月 24 日 閣議決定)」に先立ち、「エネルギー需給安定行動計 画(2011 年 11 月 1 日 エネルギー・環境会議)」を踏まえ策定された「資源・燃料の安定確保の ための先行実施対策(2011 年 12 月 21 日・経済産業省)」においても、「来春を目途に、官民連携 の下、中長期的な資源獲得戦略を策定」と定められている。 2 「資源ナショナリズム」は、伝統的には、権益の国有化を典型的な形態とし、その対価としては 金銭的収益が焦点にあった。しかし、最近では、輸出規制や税・ロイヤリティの引き上げの他、 人材育成、インフラ整備、産業振興といった資源国の長期的な発展に資するコミットメントが資 源供給の対価として求められることが多くなってきている。
2.化石燃料について ストが増加し、我が国 な燃料の調達に向けた取 • 東日本大震災後、原 LNG の調達量の増加 石燃料輸入額は 201 字転落の主要因とな • 我が国の現下のエネ が続くことが予想さ と(例えば、価格フ 間企業の経営問題の 【電気事業者(一般・卸)の 3 内訳:原粗油 2.0 兆円、 は、東日本大震災後のエネルギー情勢の 経済・財政を左右する課題となっており 取組の強化や体制の構築が重要である。 原子力発電所が停止する中、原油価格の高 加に伴い化石燃料の調達コストが増大した 0 年に比べ 4.3 兆円増加し、2011 年の なった。3 ネルギー情勢を踏まえると、少なくとも当 され、安定的な調達に加えて、調達コスト フォーミュラなどをより有利なものとして のみならず、政府にとっても極めて重要な課 出典:貿 の火力・原子力発電比率の推移】 天然ガス 1.3 兆円、石炭 0.3 兆円、石油製品そ の激変により調達コ り、安定的かつ安価 高騰や火力発電向け た。具体的には、化 31 年ぶりの貿易赤 当面は化石燃料依存 トの低下に努めるこ てゆくこと)は、民 課題となっている。 貿易統計(財務省) その他 0.8 兆円。
【各燃料の輸入額増大に係る価格要因と数量要因】 3.鉱物資源については、「ものづくりサプライチェーン」という我が国の国富を 生み出す産業基盤の維持に不可欠であり、東日本大震災後には省エネルギー・再 生可能エネルギー分野での活用も期待されることから、その安定的かつ安価な供 給確保体制の構築が不可欠である。 • レアメタル、レアアース等の鉱物資源は、液晶パネル、携帯電話等のIT機器 や次世代自動車など我が国の国富の創出に貢献する「高付加価値・高機能もの づくり」に不可欠となっている。また、東日本大震災後には太陽光パネルやL ED照明など、省エネルギー・再生可能エネルギー分野のものづくり産業の成 長が見込まれており、鉱物資源の需要量の拡大が見込まれている。 • 一方、レアメタル・レアアース等の中でも一部鉱種については、中国や一部の 国に極度に依存しており、調達が資源国や特定のサプライヤーを巡る状況や方 針次第で、深刻な事態に直面する状況となっている。これらの状況から鉱物資 源についても、安定的かつ安価な調達体制を構築することが必要である。 ※貿易統計をベースに、2007 年1月を 1 として指数化 ●昨年の資源・燃料輸入額増は価格要因が大 (2010 年から 2011 年への燃料輸入額増 4.3 兆円のうち、4.1 兆円が価格要因) ●今年に入り数量要因が大きくなる傾向 (2011 年から 2012 年の燃料輸入額増<推計※>2.7 兆円のうち、1.8 兆円が数量要因) ※2012 年は 1-3 月の実績×4 で推計 価格 数量
第2章 資源確保戦略の5本柱 資源確保戦略において、以下の 5 点に重点的に取り組む。 (1) 資源獲得の重要供給国・地域に対する政府一体となった働きかけ • 資源の供給国・地域の多角化を図ることにより、供給における不安定性・脆弱 性を軽減すること、より低い価格での資源調達を実現することが喫緊の課題で ある。 • すでに日本企業が権益を確保している一部の資源国・地域に対する「守り」の 取組、供給ポテンシャルのある新たな資源国・地域の権益を押さえていく「攻 め」の取組を総合的に行っていく。 • その際、それぞれの資源の供給を巡る状況を踏まえ、(1)供給ポテンシャルが あり具体的な政府の支援のニーズがある場合、(2)情報収集を含め中期的な取 組が必要である場合を整理する。また、それぞれにおいて、①民間企業の活動 のみでは困難であり政府として具体的な支援が求められている場合、②民間企 業の活動がメインであり必要に応じて政府の支援を行う場合をしっかりと見極 める。 • 資源は、多くの国・地域の政治経済において非常に重要な意味を持ち、資源確 保のための取組は、経済関係のみならず二国間関係全体に影響する重要な課題 となる。そのため、包括的かつ互恵的な二国間関係の構築・強化と一体且つ不 可分に取り組む。 • 具体的には、在外公館を始めとした諸機関による情報分析及び日常的な働きか け、さらに、大臣に加え首脳レベルの要人往来の機会を利用した協力関係の強 化を行う。また、パッケージ型インフラ海外展開の推進、特に資源確保のため の ODA の戦略的活用(インフラ整備・人材育成・技術協力の積極的活用)、二国 間投資協定、EPA/FTA の推進によるビジネス環境整備等包括的な取組により、 資源確保のための取組を直接・間接に支援する。 • 上記を踏まえて、製造業等の経営戦略上必要性が高いが、調達面で不確定要素 のある一部鉱物資源等や、石油、天然ガス、石炭について、重点的に資源確保 に取り組むべき国・地域に対し、関係外交日程を戦略的に活用するなど政府一 体となった働きかけを行う。 • 現状において、例えば、重要と認識される国・地域として、石油・天然ガスで は、アラブ首長国連邦、イラク、インドネシア、米国、ロシアなど、鉱物資源 では、インドネシア、ブラジル、ベトナム、ボリビアなど、石炭では、インド ネシア、豪州、モンゴルなど、が挙げられる。また、アフリカにおいては鉱物
資源、石油・天然ガス、石炭のいずれにおいても有望であり、資源確保に向け た具体的な取組が始まっている。 (2) 資源ユーザー産業の上流開発への関与の促進 • 特定の資源国やサプライヤーを巡る情勢や方針次第でサプライチェーンの根幹 である資源の調達が不安にさらされる状況にある。自動車メーカーや電機メー カー等にとって、レアメタル等の希少金属の安定確保は経営戦略の根幹に関わ る重要事項である。 • また、震災後の原子力発電所の停止により化石燃料への依存度が高まる中、電 力会社・ガス会社にとって天然ガス、石炭、石油等の化石燃料を安定的かつ安 価に調達することの重要性は飛躍的に高まっている。 • 「資源ナショナリズム」が高まりを見せ、新興国における需要が拡大する中、 我が国企業が資源権益を確保するためには、最終的な需要確保を梃子としてユ ーザー企業が上流開発へ関与することが重要となっている。 • ユーザー企業は、上流開発へ関与することで、安定的に確保できるようになる ことに加え、資源高で購入価格が上昇した際にも、資源権益からの配当を通じ たコスト上昇分の吸収や、他の契約先からの一方的な価格引き上げに対し一定 の抑止力を持つことが可能となる。 (3) 資源国に対する協力のパッケージ化 • 「資源ナショナリズム」の高まり、資源需要国間の獲得競争の激化、資源開発 にかかる環境や水に関する規制強化により、権益獲得のために、資源国に対し、 民間企業では対応できないような、幅が広く、かつ国の長期的な経済発展につ ながる協力策をオファーすることが求められるようになっている。これに対応 するため、官民一体となって資源獲得と連動した協力のパッケージ化の提案を 行う。 • 資源国から求められるものとしては、鉄道・港湾等のインフラ整備、用水や地 域住民の水源確保・水質管理、資源利用に係る技術(石炭火力発電のクリーン 化技術等)、製錬技術の移転、人材育成、地域振興など多岐にわたる。 • これを受けて、資源国に対し、官民を挙げて幅広い分野での支援策を提示する。 資源獲得においては、各種資源の働きかけに必要な条件等の特性にも配慮しつ つ、これに資する形で、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、 「JOGMEC」という。)などによる資源国から求められる技術のパッケージ化、ODA の戦略的活用(周辺インフラの整備、技術協力、人材育成の積極的活用等)を 含めた各種方策を積極的に行っていく。パッケージ型インフラ海外展開関係大
臣会合においても、資源獲得の観点も盛り込み、資源国に対する協力のパッケ ージ化に関して検討を進めていく。 (4) 資源権益獲得に対する資金供給の機能強化 • 資源確保をめぐる状況が激変する中で、世界では資源の上流開発を担う企業の 資金規模が急速に拡大している。我が国上流開発を担う企業は規模において大 きく水を空けられている。このギャップを埋めるべく、政府による資金供給機 能拡充を図る。 • JOGMEC については平成 21 年改正により、石油・天然ガス、金属鉱物に対する 政府保証借入れを原資とした資産買収出資機能が追加され、現在国会に提出中 の改正案が成立すれば、天然ガス、金属鉱物、石炭、地熱資源の開発段階にお ける産業投資を用いた資金供給機能が追加される。 • 株式会社国際協力銀行(以下、「JBIC」という。)についても、円高対応緊急フ ァシリティにおいて、資源エネルギーの確保・開発の促進などの我が国企業の 海外事業展開の支援及び民間円資金の外貨への転換の誘発による為替相場の安 定の観点から、外為特会から 10 兆円規模の融資枠の設定が行われた。 • 今後は、本戦略をベースとして、関係機関の連携強化を更に進める。 【参考:主要資源企業(石油・天然ガス関係)の当期(2011 年)利益比較4】 4 ※1:日本企業は日本の会計年度による。 ※2:BPの純利益は税引前の金額を記載。 ※3:円からドルへの換算に際しては、2010年度の円/ドル平均レートを算定し使用(85.7円/ドル)。
【参考:主要資源企業(鉱物関係)の当期利益比較(2010FY)5】 (5) 国際的なフォーラムやルールの積極活用 • 資源確保にあたっては、資源国と我が国の相互理解の増進のため、TICAD 等の 国際フォーラムを活用しつつ、競争条件の平準化や紛争予防・処理のために、 WTO、OECD 等の一般的な、あるいはエネルギー憲章条約(ECT)や採取産業透明 性イニシアティブ(EITI)など資源関連に特化した、国際的なフォーラムやル ールを活用していくとともに、FTA・EPA、投資協定等の取組を推進していく。 5 ※1:会計年度が6月末締の企業(BHPBは暦年集計値) ※2:日本企業は全て日本の会計年度による。US$表記ないものは3月末レートで換算。(2010年3月末 94.0\/US$) 17,26417,111 14,324 10,386 6,544 1,315 752 600 362 249 93 50 13 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 売 上 高 ( 百 万 ド ル )
第3章 石油・天然ガスの資源確保戦略 1.石油・天然ガス確保の現状と課題 (1) 我が国における重要性の高まり、特に震災後の LNG の重要性の高まり • 石油については、日本の需要は 1999 年をピークに減少傾向にあるが、利便性・ 経済性に優れ、供給インフラも整備されていることから、依然として一次エネ ルギー供給の約 4 割を占めており、引き続き、国民生活・経済活動に欠かせな い基幹エネルギーである。 • 天然ガスについては、東日本大震災後、原子力発電所の運転が停止し、発電に 占める LNG 火力の割合が高まり、LNG の需要が増加している。2011 年の日本の LNG 輸入量は前年比 850 万トン増の約 7,850 万トンとなっており、原子力発電 所の再稼働がなければ、2012 年の日本の LNG 輸入量は約 9,000 万トンとなる見 込み6である。エネルギー政策の見直しにおいて、「原発への依存度のできる限 りの低減」が基本方針として掲げられる中、LNG 需要の増加は当面継続すると 考えられる。 【参考:一次エネルギー国内供給の構成(2009 年)】 【参考:原子力発電所の再稼働が無い場合の我が国のエネルギー供給見通し】 6日本エネルギー経済研究所「短期エネルギー需給見通し」
(2)近年における「資源ナショナリズム」による石油の探鉱・開発機会の減少、3つ のフロンティアに対する期待の高まり • 近年における「資源ナショナリズム」の流れにより、特に石油については、世 界の可採埋蔵量の 8 割を産油国の国営石油会社が保有する状況にあるなど、石 油の探鉱・開発機会は限られている。 • このような中、自然環境の厳しさやインフラの未整備から探鉱が行われてこな かった地域(東シベリア、北極圏、東アフリカ等)、技術革新によって開発が可 能となった資源(シェールオイル、大水深等)、国際情勢の変化によって開発が 可能となった地域(イラク、リビア、一部アフリカ諸国等)など、地理的・地 質的・地政学的フロンティアへの期待が高まっている。 【参考:石油埋蔵量に占める国営石油会社の占める割合】 【参考:天然ガス埋蔵量に占める国営石油会社の占める割合】
(3) シェールガス革命後 • シェールガス革命に 給は緩和しており、 格は現在 2 ドル台で • 一方、寡占的な供給 有しており、日本や する日本の LNG 輸入 北アフリカ情勢の緊 ドルに上昇している • ほぼ全量を国内生産 トを要する日本の L が、日本の LNG 輸入 【参考:北米のシェー 【参考:過去 10 年間の における欧米とアジアの天然ガスの価格 により、米国において天然ガスの生産が拡 米国内の需給を反映した市場価格である で推移している。 給構造にある LNG はメジャー・産ガス国企 や韓国等の LNG 輸入価格は高い水準にある 入価格は、2010 年は 11 ドル/MMBTU 前後で 緊迫化等による原油価格の上昇に伴い、20 る。 産で賄える米国の天然ガス価格と、液化や LNG 輸入価格を単純に比較することは必ず 入価格と米国の天然ガス価格の差は大きく ールガス生産実績及び見通し】 の日米における天然ガス価格の推移(単位 格差の拡大 拡大し、米国内の需 る米国の天然ガス価 企業が価格支配力を る。原油価格に連動 であったが、中東・ 12 年 4 月には約 17 や輸送に多額のコス ずしも適切ではない く広がっている。 位:米ドル/MMBTU)】
2.今後の取組の方向性 • 石油については、探鉱・開発機会の減少を踏まえ、既存権益の延長に着実に取 り組む。加えて、フロンティアの開拓に取り組み、石油権益の獲得や、石油の 安定的な確保を進める。 • 天然ガスについては、量的な確保に加えて、輸入価格の引き下げも念頭に置き つつ、天然ガス権益の獲得、LNG の確保を進める。 (1) 既存権益の延長 • 今後、大規模な自主開発油ガス田の権益期限が到来することを踏まえ、資源国 に対する政府一体となった働きかけや協力のパッケージ化を強化することによ り、日本企業の権益延長を支援する。 【参考:権益期限が到来する既存権益の例】 ①アラブ首長国連邦・ADMA鉱区等の権益延長 INPEXが12%の権益を保有する。ADMA鉱区(2018年に権益期限が到来)と上部ザ クム油田(2026年に権益期限が到来)を合計したINPEXの引取量は20万バレル/ 日(我が国自主開発原油65万バレル/日の3割に相当)である。 ②インドネシア・マハカム鉱区の権益延長 INPEXが50%の権益を保有するが、2017年に権益期限が到来する。生産量は原油 9万バレル/日、天然ガス20億立方フィート/日(LNG換算1,500万トン/年)の 巨大油ガス田である。生産した天然ガスの大半はボンタンLNGプロジェクトに供 給しており、ボンタンLNGプロジェクトの生産量1,054万トン/年のうち、570 万トンが日本向けである(日本の輸入量の1割弱に相当)。 (2) 3つのフロンティアの開拓 • 資源国に対する政府一体となった働きかけや資金供給支援を通じて、以下の3 つのフロンティアへの日本企業の参入を重点的に支援する。 地理的フロンティア • 自然環境の厳しさやインフラの未整備から探鉱が行われてこなかった地理的フ ロンティア。
【参考:地理的フロンティアの例】 ①東シベリア ロシアがアジア市場を開拓するための戦略的プロジェクトである「東シベリア ・太平洋石油パイプライン」の整備を受けて、東シベリアでの更なる石油・天 然ガスの生産拡大が期待される。東日本大震災後、ロシア側から、石油・天然 ガスの共同開発を含む包括的なエネルギー協力の提案があり、その実現に向け て協議を行っている。 ②北極圏 米国地質調査所は未発見の石油資源量の13%以上(約900億バレル)が北極圏に 賦存すると評価している。気象条件等の厳しい北極圏の開発は技術的に困難で あるものの、近年の原油価格の上昇や海氷の減少等により、開発への期待が高ま っている。2012年にはグリーンランド自治政府がグリーンランド北東部の海域 を対象として国際入札を行う予定である。JOGMECは、旧石油公団の時代から、 グリーンランド国営石油会社やメジャーと共同でグリーンランド沖の地質調査 を行い、日本の優先入札権を確保しており、現在JOGMECと日本企業は入札に向 けた準備を行っている。 ③東アフリカ 近年、ウガンダ、モザンビーク、タンザニアなど、東アフリカ諸国で油ガス田 の発見が相次いでいる。東アフリカの探鉱密度は低く、油ガス田の発見を受け て、周辺諸国を含めて探鉱が活発化している。新興の産油国である東アフリカ 諸国の石油開発は外資主導で進められており、今後、「資源ナショナリズム」 が台頭する可能性もあるが、日本企業にも石油開発に参入する機会はあると考 えられる。 地質的フロンティア • 技術革新によって開発が可能となった地質的フロンティア。 【参考:地質的フロンティアの例】 ①シェールオイル 水圧破砕技術の進歩により、シェール層の開発が可能となり、米国においては、 シェールガスに続き、シェールオイルの生産が増加している。米国エネルギー情 報局は、米国でシェール層が確認されている22エリアのうち、既存データのある 4エリアだけでもシェールオイルの可採資源量は約240億バレルに上ると推定し ており、米国での更なる生産拡大や、世界的な展開も期待されている。 ②大水深 大水深開発技術の進歩により、水深2,000メートル以上での開発が可能となり、
米国メキシコ湾、西アフリカ、ブラジルの大水深で油田の発見が相次いでいる。 米国エネルギー情報局は米国メキシコ湾大水深の埋蔵量を400億バレル、Wood M ackenzieは西アフリカ大水深の埋蔵量を200億バレル、ブラジル国家石油庁はプ レソルトの埋蔵量を500億バレル以上と推定している。これら3地域での更なる開 発に加えて、アジア、オセアニア等への展開も期待されている。 地政学的フロンティア • 国際情勢の変化によって開発が可能となった地政学的フロンティア。 ①イラク イラク戦争からの経済復興を進めるイラク政府は、40年ぶりに石油権益を外国 企業に開放し、石油の増産を進めている。2009年から3度の入札を実施し、14 油ガス田の開発契約を締結しており、契約どおり生産がなされれば、イラクの 原油生産量能力は現在の300万バレル/日から2017年には1,200万バレル/日に 増加する見込みである。 ②アフリカ 2011年7月に独立した南スーダン(平時の生産量は約45万バレル/日)、2011 年10月に内戦が終了したリビア(内戦前の生産量は160万バレル/日。5月末現 在で150万バレル/日まで回復。)はアフリカを代表する産油国であり、引き続 き政情不安は存在するものの、今後、両国が経済開発や経済復興を進める過程 において日本企業にも石油開発に参入する機会もあると考えられる。 (3)LNG 供給サイドの構造改革 • 数千億円~数兆円という巨額の投資を必要とする LNG 供給事業はメジャー・産 ガス国企業による寡占状態にあり、メジャー・産ガス国企業が価格支配力を有 している(生産中の 36 の LNG プロジェクトのうち、32 のプロジェクトはメジ ャー・産ガス国企業が主導している)。このような中、石油代替エネルギーとし て LNG を導入した日本の LNG 輸入価格は、長年にわたり原油価格に連動する価 格決定方式を採用している。 • LNG 輸入価格の引下げも念頭に置きつつ、LNG の安定供給を確保するため、以下 のような取組を進めることにより、LNG 供給サイドの寡占的な構造を改革する ことを目指す。
北米からの LNG 輸入ルートの構築 • シェールガスの生産拡大を受けて、北米において多数の LNG 輸出プロジェクト が検討されており、日本企業は北米の天然ガス価格に連動する価格決定方式で 北米から LNG を輸入することを模索している。現時点では、日本企業が計約 1,500 万トン/年程度の LNG を引き取る権利の確保に目途がついている(日本 の年間輸入量の約 2 割に相当)。今後、正式契約の締結に向けた詰めの協議を行 う予定である。 • しかしながら、米国からの天然ガス輸出には米国エネルギー省の承認が必要で あり、日本を含む非 FTA 締結国への輸出承認については、現時点では 1 件の承 認がなされたのみである。このような状況を踏まえ、2011 年 3 月の枝野経済産 業大臣や玄葉外務大臣とチュー米国エネルギー省長官との会談、2011 年 4 月の 玄葉外務大臣とクリントン米国国務長官との外相会談、野田総理大臣とオバマ 大統領との首脳会談等において、米国側に対して協力を求めてきているところ である。今後も、米国に対する働きかけを継続することにより、米国からの LNG 輸入の実現を支援する。 • また、北米からの LNG 輸入ルートを構築することにより、中小を含めれば、2 万を超えると言われる米国の石油開発会社に LNG 事業への新規参入を促す。 • さらに、北米において多数の LNG プロジェクトが立ち上がることは、LNG プラ ントの建設に強みを有する我が国エンジニアリング会社の受注機会の拡大にも つながると考えられる。 • カナダの天然資源省や州政府は,天然ガスの輸出先の多角化を目指している。 カナダの西海岸では複数の LNG 輸出プロジェクトが計画されているが,2012 年 3 月の日加首脳会談において、両首脳が、天然ガスを含むエネルギー・鉱物資 源分野における民間による協力促進のために政府間でも更なる取組を進めるこ とで一致したことを受け,カナダからの LNG 輸入の実現を支援する。 日本主導の LNG プロジェクトの積上げ • LNG 輸入価格の引下げも念頭に置きつつ、LNG の安定供給を確保するため、以下 のような取組を進めることにより、LNG 供給サイドの寡占的な構造を改革する ことを目指す。 • 電力・ガス会社を含む日本企業がオペレーターとして事業を操業するプロジェ クトを積み上げることにより、メジャー・産ガス国企業の寡占状態に風穴を開 けることを目指す。 • 近年、電力・ガス会社が LNG を購入する際に、購入先の LNG プロジェクトの上 流権益を取得する例が見られるようになっているが、ほとんどの場合、電力・ ガス会社が取得する権益比率は 1%前後である。電力・ガス会社が上流権益を
相当程度保有するようになれば、LNG 価格の上昇による燃料コストの増加を上 流権益からの利益で一定程度相殺することが可能となる。 メジャー・産ガス国(企業)に対する交渉力強化 • 日韓の LNG 輸入量は世界全体の LNG 輸入量の 5 割を占める。韓国の LNG 輸入価 格も原油価格に連動する価格決定方式を採用しており、日本と同じ課題を抱え ている。三菱商事が韓国ガス公社とインドネシアの LNG プロジェクトやカナダ のシェールガス開発を共同で進めるなど、LNG 輸入大国である日韓の連携はビ ジネスベースで既に進んでいる。 • 2011 年 11 月に開始した「日韓ガス対話」の枠組みも活用し、LNG 分野での韓国 との協力を更に進めることにより、日韓が連携してメジャー・産ガス国企業に 対する交渉力を強化しようとしているというメッセージを発信する。 • また、日本主催で LNG の消費国、産出国、関連事業者等の会議(「LNG 産消会議 (仮称)」)を開催し、LNG 市場における日本の立場を強化する。
第4章 鉱物資源の資源確保戦略 1.鉱物資源確保の現状と課題 (1) 産業界におけるレアメタル等の鉱物資源の重要性の高まり • 自動車やエレクトロニクス、再生可能エネルギーやそれらを支える部素材とい った我が国の主要製造業において、環境性能の向上や省電力化、小型・軽量化、 高機能化、耐久性向上等の付加価値を高める競争が激化している。これらの機 能の実現のためには、いわゆるレアメタル・レアアース等が必要不可欠となっ ている。 • また、産業の基礎資材として利用される、鉄、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛、 すず等のベースメタルも、代替性が低く、昨今の、新興国を含めた経済成長に より需給が逼迫している。これら、鉱物資源の安定的かつ安価な供給確保は、 将来的に、日本の産業基盤及び経済のために極めて重要である。 <参考:製造業における鉱物資源の重要性> (ア)自動車産業 ・ 次世代自動車(ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車)の製 造には各種の鉱物資源が必要であり、今後の本格的な普及段階を迎えるにあ たり、各社の戦略を支えるためにも、必要な資源の確保が不可欠である。 【自動車産業で特に重要となる鉱物資源】 ① 次世代自動車のモーター レアアース(ネオジム(Nd), ジスプロシ ウム(Dy), サマリウム(Sm)), 銅(Cu) ② 次世代自動車の電池類 リチウム(Li), コバルト(Co), ニッケル (Ni), マンガン(Mn), グラファイト(C) ③ 自動車用高張力鋼板 ニオブ(Nb), バナジウム(V), モリブデ ン(Mo) ④ エンジンブロック等精密加工用超硬工具 タングステン(W) ⑤ シート用難燃助剤やブレーキパッド アンチモン(Sb) ⑥ 自動車用排ガス触媒 レ ア ア ー ス ( セ リ ウ ム (Ce), ラ ン タ ン (La)), 白金族(プラチナ(Pt), パラジ ウム(Pd), ロジウム(Rh)) ⑦ ハンドル、軽量化ボディ、エンジンブロ ック アルミニウム(Al) , マグネシウム(Mg) ⑧ ワイヤーハーネス 銅(Cu)
(イ)航空機産業 • 我が国部素材産業は次世代航空機の製造に関する分野において、高い国際競 争力を有している。現在、資源価格高騰の問題等を背景に燃費低減要求によ る機体の軽量ニーズが高まっており、我が国部素材産業の高い競争力を維 持・強化するためにも、必要な資源の確保が不可欠である。 【航空機産業で特に重要となる鉱物資源】 ① 航空機エンジン チタン(Ti) ,ニッケル(Ni) ,クロム(Cr)、 モリブデン(Mo) ,タングステン(W), レニウム(Re),ルテニウム(Ru)等 ② 航空機機体 , アルミニウム(Al) (ウ)エレクトロニクス産業 • エレクトロニクス産業は、製品の開発・製造の過程において、各種の金属鉱 物資源を必要とする。そのため、日本のエレクトロニクス産業の競争力確保 のためには必要な資源の確保が必要不可欠である。 【エレクトロニクス産業で特に重要となる鉱物資源】 ① モーター(白物家電(エアコン、斜め ドラム洗濯機等) レアアース(ネオジム(Nd), ジスプロシウ ム( Dy) ,サマリウム(Sm)), ストロンチウ ム(Sr) ② フラットパネルディスプレイ インジウム(In) ③ ガラス研磨剤 レアアース(セリウム(Ce)) ④ LED、高周波用半導体、パワー半導体 ガリウム(Ga)、シリコン(Si) ⑤ 蛍光体 レアアース(ユーロピウム(Eu),ガドリニウ ム(Gd),テルビウム(Tb),イットリウム(Y)) ⑥ 光学機器用レンズ材料 レアアース(ランタン(La), ガドリニウム (Gd)) ⑦ 家電キャビネット用難燃助剤 アンチモン(Sb) ⑧ 小型大容量コンデンサ タンタル(Ta),アルミニウム(Al) ⑨ フレキシブル基盤・配線等 銅(Cu) (エ)再生可能エネルギー産業 ・ 東日本大震災を受けたエネルギー政策見直しの基本方針として、「再生可能 エネルギーの開発・利用の最大限の加速」が掲げられている中、太陽光発電、 風力発電、蓄電池等の再生可能エネルギー製品は多くの鉱物資源が必要不可 欠であり、その需要の拡大に伴い、より一層、その確保が不可欠である。
【再生可能エネルギー産業で特に重要となる鉱物資源】
① 風力発電(モーター) レアアース(ネオジム(Nd), ジスプロシウム ( Dy))
② 太陽光発電(パネル) インジウム(In) ,ガリウム(Ga) ,セレン(Se) , シ リコン(Si) , アルミニウム(Al)
③ 電池技術 リチウム(Li), コバルト(Co), ニッケル(Ni), マ ンガン(Mn), グラファイト(C) (オ)鉄鋼産業 ・ 鉄鋼産業は自動車、造船、土木、建築など広範な産業分野に年間1億トン超 の鋼材を供給する我が国の経済社会の根幹を支える基幹産業である。我が国 製造産業の競争力の源泉ともいえる素材(高級鋼)を数多く製造しているこ とから、我が国製造業の競争力の維持・強化を図るためにも、必要な資源の 確保が不可欠である。 【鉄鋼産業で特に重要となる鉱物資源】 ① 鉄 鉄鉱石(Fe) ② 工具鋼(切削工具、刃物、金型等) タングステン(W), バナジウム(V), クロ ム(Cr), モリブデン(Mo), コバルト(Co), シリコン(Si) ③ 構造用合金鋼(自動車・産業機械等の エンジン部品・シャフト・ギア・ボル ト等) ニッケル(Ni), クロム(Cr), モリブデン (Mo), シリコン(Si), マンガン(Mn), ア ルミニウム(Al) ④ ステンレス鋼(家庭用品、厨房器具、 自動車、家電製品、化学プラント等) ク ロ ム (Cr), ニ ッ ケ ル (Ni), マ ン ガ ン (Mn), モリブデン(Mo) ⑤ 高張力鋼(自動車、産業機械、船舶、 橋梁、大径鋼管等) ニオブ(Nb), バナジウム(V), モリブデン (Mo) ⑥ 亜鉛メッキ鋼板(自動車、家電、住宅 用屋根材等) 亜鉛(Zn), アルミニウム(Al) ⑦ 電磁鋼板(自動車・家電等のモーター、 変圧器等) シリコン(Si) ⑧ 製鋼用融剤 フッ素(F) (カ)化学産業 ・ 触媒、電池材料、フルオロカーボン(エアコン冷媒等)など多様な化学製品 において鉱物資源が必要不可欠となっている。国内に立地するメーカー各社 の競争力を支えるために、必要な資源の確保が不可欠である。 【化学産業で特に重要となる鉱物資源】 ① 触媒(石油精製・化学合成・食品・自動 車排ガス/環境浄化 等) バナジウム(V), モリブデン(Mo), セリ ウム(Ce) ,ランタン(La), タングステン
(W) , コバルト(Co), クロム(Cr), 白金 族(プラチナ(Pt), パラジウム(Pd), ロジ ウム(Rh)), レニウム(Re), ジルコニウ ム(Zr) , ゲルマニウム(Ge) ② 電池材料 リチウム(Li), コバルト(Co), ニッケル (Ni), マンガン(Mn), グラファイト(C), フッ素(F) , 鉛(Pb) ③ 半導体・液晶用材料(ITO ターゲット、 液晶原体原料、洗浄剤、研磨剤、エッチ ング剤 等) すず(Sn) , インジウム(In) ,フッ素(F) , イリジウム(Ir) ④ フルオロカーボン(エアコン冷媒、断熱 材・緩衝材 等) フッ素(F) ⑤ フッ素樹脂・フッ素ゴム(容器、電線、 電気機器、パッキン、調理器具 等) フッ素(F) ⑥ 光学レンズ原料、医薬品原料 等 フッ素(F) ⑦ 塗料、顔料、着色剤、染色剤 クロム(Cr) , チタン(Ti), 亜鉛(Zn), 鉛 (Pb) ⑧ 無機薬品(樹脂添加剤、有機反応助剤、 難燃助剤等) 亜鉛(Zn) , 鉛(Pb) , アンチモン(Sb) (2) 鉱物資源の供給リスクの高まり • 主要な基幹産業にとって重要性が飛躍的に高まっている鉱物資源の供給リスク が近年高まっている。その背景には、以下の要因がある。 新興国による鉱物資源需要の拡大、中国等の資源外交の活発化 • 新興国、中でも中国の経済成長に伴い、世界全体の消費量が急拡大している。 例えば、銅については、過去 50 年間で約 4 倍に上昇している(4,644 千 t/.年 (1960 年)から 19,599 千 t/年(2010 年)へ増加)。 • こうした状況に対し、中国では、資源国への投資を加速させている。鉄鉱石、 銅、白金族(PGM)、クロム、ウラン等への投資を中心に 2008 年以降アフリカ向 け鉱業関係投融資額は 300 億 US ドルを超えている(JOGMEC ロンドン事務所調 べ)。さらに、投資と併せて、インフラ投資を絡めた資源外交も展開しており、 資源交渉上、競争力を保っている。 • また、新興国を中心に世界の原子力需要の高まる中、ロシア企業によるカナダ のウラン鉱山開発会社の経営権獲得など、ウラン鉱山権益獲得に向けた動きも 活発化している。
• 日系企業も円高を背景に、南米・北米のベースメタル、最近ではリチウム、レ アアースなど開発段階・生産段階に対して、鉱物資源投資を拡大させている(投 資額は 2010 年以降で 125 億 US ドルを超えている)。しかし、日本の需要家の原 料調達市場における優位性が相対的に低下し、買い負ける状況が生じている。 資源の偏在、「資源ナショナリズム」の台頭、サプライヤーの寡占化 • 経済性を有する重要な鉱物資源は一部の供給国・地域に偏在している。政治的・ 社会的不安定性や、災害、生産設備の不具合等が供給に直接的な影響を与える。 • また、元素としての賦存量が多い場合であっても、優良な鉱床が限られる結果、 実質的にレアメタルと同様の扱いをすべきものがある(シリコン、マグネシウ ム等)。副産物として生産される元素では、主生産物の生産の上限があることか ら、将来的に需要が急増した場合、主生産物の生産に伴う副産物の生産量では 供給が追いつかなくなるというリスクが存在する(レアアース、インジウム、 ガリウム、セレン、テルル等)。 • 加えて、一部の資源供給国では「資源ナショナリズム」が高まっており資源国 政府は開発側に対し、配当の分配、下流産業への投資や、技術移転、地域開発・ インフラ整備等地域への貢献等の要求を高めつつある。 • サプライヤーの寡占化も供給リスクを高めている。資源メジャーは、新規の鉱 山開発への投資を拡大し、価格形成を有利に進めるために積極的に M&A を推進 し大手 5 社(Vale、BHP Billiton、Rio Tinto 等)に収斂している。鉱種と投 資地域の多様化、市場シェアの拡大、事業規模の拡大により、コスト低減と収 益性の確保、リスク分散を進め、資源供給における交渉力を強化している。 • このような傾向は、資源メジャーが強い影響力を持つベースメタルや貴金属分 野のみならず、相対的に取引量が小さいレアメタルにおいても、買収・再編を 繰り返すことで、特定の元素に特化した形で高い寡占度を有する「レアメタル メジャー」というべき企業が登場してきている(ストロンチウム、チタン等)。 また、垂直統合が進行しているもの(タンタル、シリコン等)も登場してきて いる。 【参考:供給国偏在の一例】 資源種類 上位産出国(2010 年)(%) 上位三カ国 のシェア レアアース 中国(97)、インド(2)、ブラジル(0.4) 99% リチウム チリ(35)、豪州(34)、中国(18) 87% バナジウム 中国(41)、南ア(32)、ロシア(25) 98%
タングステン 中国 白金 南ア インジウム 中国 モリブテン 中国 コバルト コン マンガン 中国 ニッケル ロシ フッ素(蛍石) 中国 出典:USGS 2011 M 【参考:「資源ナシ 国(85)、ロシア(4)、ボリビア(2) ア(75)、ロシア(13)、ジンバブエ(5) 国(52)、韓国(14)、日本(12) 国(40)、米国(24)、チリ(17) ンゴ民(51)、豪州(18)、中国(7) 国(22)、豪州(18)、南ア(17) シア(17)、インドネシア(15)、フィリピン( 国(56)、メキシコ(19)、モンゴル(8)
Mineral Commodity Summaries
ョナリズム」の事例】 91% 93% 78% 81% 71% 57% (10) 42% 82%
2.今後取組の方向性 • 鉱物資源については、鉱種が多く、特にレアアース・レアメタルについてはそ れぞれの需要動向の変化が大きいこと、また一部の資源国・地域において政治 的・社会的不安定性が伴うこと、資本規模の大きい資源メジャーを除き、民間 企業では継続的・中長期的な投資が困難な状況である。 • こうした状況に対応するために、政府としては関係者の間で、重点的に取り組 むべき鉱物資源の認識を共有し、政策リソースを重点配分し、中長期的観点か ら上流権益確保に注力する。その際、権益獲得に当たっては、きめ細かい協力 のパッケージ化、最終需要を担うものづくり企業の参画を促す。 • また、より本質的な需給ギャップの解消や多様な供給源の確保を通じた資源の 自給率の向上、資源獲得交渉におけるオプションとして、代替材の開発・普及 やリサイクルの推進に重点的に取り組む。 (1) 戦略的鉱物資源の特定、政策リソースの重点配分 • 今後は、製造業等の最終ユーザーの今後の経営戦略に基づき今後の需要動向、 重要性の見通しをたて、政府全体でのプライオリティ付けを行う。 • 特に、政府として重点的に資源獲得に取り組むべき鉱種を「戦略的鉱物資源」 とし、この確保に対して、政府による金融支援等を重点的に投入するとともに、 政策リソースを優先的に投入する。 • 「戦略的鉱物資源」の認識を共有するに当たっては、①我が国産業にとっての 重要性、②供給上の支障が生ずる可能性、③本邦企業及び日本政府が積極的に 参画することにより、資源の安定供給の実効性が確保できるという事業実施可 能性、の3要素を考慮する。 ※ 戦略的鉱物資源(平成 24 年 6 月時点) アンチモン インジウム ガリウム グラファイト クロム ゲルマニウム コバルト シリコン ジルコニウム ストロンチウム タングステン タンタル チタン ニオブ ニッケル バナジウム 白金族 フッ素 マグネシウム マンガン モリブデン リチウム レアアース レニウム 鉄 アルミニウム 銅 鉛 亜鉛 すず (2) 中長期的観点からの上流権益確保の更なる促進 • 市場動向が不安定な鉱物資源の安定供給のためには、上流から権益を確保し、 鉱山の経営に直接参画し、現地の関係者との信頼性を積み重ねることが特に重 要である。
• 権益獲得に際しては、短期的な収益性だけでなく、中長期的な安定供給の観点 が必要である。 協力のパッケージ化:その核としての探査・製錬技術、人材育成の強化、水関連 インフラの整備 • 鉱物資源の権益獲得にあたっては、国内製錬義務や技術移転要求、あるいは人 材育成・インフラ整備・産業振興・地域振興といった様々な要請や期待が先方 政府から寄せられている。 • このような資源国の要求に対して、資源獲得と連動したパッケージとして可能 な限り迅速に実施するとともに、戦略的な ODA の活用を含む他の提案(例えば、 インフラ整備に係る支援提案、我が国の優れた技術・製品を利用した提案))を、 資源国との Win-Win の関係を構築していくために活用していくことが必要であ る。 • それとともに、特に鉱物資源の探査・探鉱・製錬技術、人材育成、鉱山操業に 密接な関係がある水関連インフラの整備が協力の核となるため、JOGMEC や JICA 等を活用し技術・人材育成を強化する。 【参考事例1:ボリビアとのリチウム資源開発にかかる働きかけ】 ・ 我が国は、資源開発に参画するにあたり、インフラ整備・人材育成・産業振 興・地域振興等をパッケージとした総合的な経済発展への貢献をボリビア政 府に対して提示。 ・ 我が国は、地熱発電所建設への円借款、京大でのリチウム応用人材の育成、 専門家派遣、現地でのリチウム抽出実験への技術的貢献、インフラ整備(例 :水道インフラ整備のための地下水面降下等影響調査の実施)等リチウム開 発に直接・間接的に資する支援を集約的に実施。 【参考事例2:ベトナムとのレアアース資源開発交渉】 ・ 2010年夏、ベトナムにおいて経済開発の機運が高まり、ベトナム政府は巨大 都市インフラ(ロンタイン空港、ハノイ・ホーチミン地下鉄)への支援や、 ライチャウ省における生活関連インフラ(道路・水道・潅漑・診療所・学校 等)への支援、レアアース開発における日本政府への協力を要請。 ・ 我が国は、JOGMECの各種技術協力(レアアース探査・採掘・分離精製)、 レアアース採掘に随伴する放射性物質の取扱に関するEIAガイドラインの作 成支援のための専門家派遣、貧困地域小規模インフラ整備計画(円借款)、 バンザン村中学校拡充計画、バンザン村医療センター建設計画、クンハー村 医療センター拡充計画(草の根無償)をライチャウ省において実施。 ・ 2010年11月、ベトナムは同国におけるレアアース開発パートナーを日本とす
ることを決定。 ・ 2011年10月、ライチャウ省ドンパオ鉱床に関するレアアースの開発分離精製 事業の実施に合意。 ものづくり企業の参画の促進 • 中長期的な視点から、資源の安定供給確保を行うには、需要動向をいち早く見 通すことができ、かつ、安定供給の確保が経営戦略上必要不可欠となるものづ くり企業(自動車、電機、鉄鋼等)が参画することが重要である。これまで、 特定鉱物資源の供給途絶のリスクがそれほど広く認識されておらず、また、も のづくり企業側でも資源の権益確得についてのノウハウが乏しかったこともあ り、そのような事例はまだ多くない。 • 効果的に実施することができれば、ものづくり企業にとって、資源価格の高騰 に伴い調達コストが上昇しても、資源権益の配当を受けることを通じて、資源 価格の高騰を吸収することができることや、権益獲得に際して幅広いビジネス 領域でのオファーを提供することができる。 • まずは、サプライチェーンを構成する企業間で当該鉱物の供給上のリスクに関 する状況を共有し、柔軟・臨機応変にサプライチェーン全体で、権益獲得も含 めた安定供給対策に取り組むことが必要である。 【参考事例3:我が国鉄鋼メーカーによるニオブ権益の獲得】 ・ ニオブは、自動車などの高張力鋼鈑に必要となる重要な元素であり、ブラジ ルのCBMM社が世界の供給の80%程度を担っている。 ・ ニオブの安定供給を図る観点から、日韓が共同して、2011年3月CBMMの株 式を併せて15%取得した。日本側は、新日本製鐵、JFEスチール、双日、JO GMECが、韓国側は、POSCO、韓国国民年金基金が参画した。 二国間の政策対話及び国際的ルールの戦略的活用 ・資源エネルギーの産出国による輸出禁止や輸出税の賦課等の輸出規制や鉱山・製 錬所への投資家に対する外資を排除する動きにより、我が国の資源確保に課題が 生じている。 ・このため、中長期的な安定供給確保策の一環として、二国間の政策対話や国際的 なルール(WTO 協定や EPA 等)の戦略的活用を図り、問題解決に取り組む。 【参考事例4:インドネシア新鉱業法問題に関する取組】 ・ 新鉱業法の施行により、①高付加価値化・国内精錬義務、②生産量及び輸出 量の統制、③ローカルコンテント要求、その後の細則により、投資案件のイ ンドネシア資本比率を51%まで高めることが義務化された。
・ 首脳会談、閣僚級会談、日尼EPAに基づく投資小委員会やWTO・TRIM委員 会において懸念を表明するとともに、局長級の政策対話を設置し課題解決に 向けて取り組んでいる。 (3) 代替材の開発・普及、リサイクルの推進、備蓄の増強 ・ 資源の供給における不安定性を緩和する観点から、代替材料開発・使用量削減 技術開発、リサイクルの推進は極めて重要となる。また、国全体では、短期的 な需給の逼迫が懸念される鉱種については、備蓄を進める(需給の逼迫が中長 期に及ぶ場合には、権益取得により対応する。)。 ・ これまで、レアメタル・レアアースの代替材料の開発、使用量削減のための技 術開発・設備導入及びリサイクル設備等の導入に関する支援等を実施してきた。 ・今後はレアメタルのリサイクルについて、回収システム構築の実証等の技術開 発等を通じた国内資源循環の推進、回収量の確保、予算面・制度面等での必要 な対応策を実施していく。 ・また、今通常国会に提出中の「使用済小型電子機器の再資源化の促進に関する 法律案」(環境省と経済産業省の共管)等により、ベースメタル、貴金属等の有 用金属を含む小型電子機器等のリサイクルを促進していく。 【参考事例4:レアアースユーザー企業対策の効果】 ①平成22年度レアアース総合対策 平成22年度補正予算を活用し、約1,000億円規模のレアアース総合対策を策定。 そのうち640億円を用いてレアアース等の代替技術・使用量低減技術開発や設備 導入等のレアアースユーザー企業支援を実施。その結果、HDD用のガラス基盤 の研磨剤等に使用されるセリウムについては、年間使用量を約10,000トン(2010 年)から5,000トン(2011年)に低減するなど、サプライチェーンにおける省・ 脱レアアースを実現。 ②平成23年度レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替支援事業 平成23年度第三次補正予算を活用し、供給リスクが高いレアアースであるジスプ ロシウムについて、国内全ての自動車用小型モーターメーカー、コンプレッサー メーカー等が参加して、使用量削減を加速させ、約2年後には年間約200トンを削 減する見込みである。また、市中からエアコンコンプレッサーからネオジム磁石 を回収し、磁石からネオジムとともに緊急性の高いジスプロシウムを抽出し、今 後は、2年程度で磁石の品質、コスト面を検証する。エアコンのコンプレッサー に使用されるジスプロシウムについて、2015年度には約13トンの回収を見込み、 順次回収量を増加する。
第5章 石炭の資源確保戦略 1.石炭資源確保の現状と課題 (1) 我が国における重要性の高まり • 我が国の石炭輸入量(2011 年)は約 17,500 万トン、世界最大規模の石炭輸入 国であり国内消費の約 99%を輸入が占める。 電力用の一般炭 • 一般炭は約 10,100 万トンを輸入、豪州、インドネシアからの輸入が 85%以上 を占める。また、我が国一次エネルギーの約 2 割、発電電力量の約 4 分の 1 を 占める基幹エネルギーである。 • 東日本大震災後、原子力発電所の運転が停止し、ベース電源である石炭火力発 電はフル稼働の状態が続いている。また、環境に優しい新しい技術を用いた石 炭火力発電の建設が進められるなど、我が国の石炭需要は今後も堅調な伸びが 予想される。 製鉄用の原料炭等 • 原料炭は、約 6,900 万トンを輸入。こちらも豪州、インドネシアに約 75%依存 しており、一般炭と同様高い割合となっている。 • 原料炭は一般炭と比較し希少かつ偏在しており、優良な原料炭の確保は、鉄鋼、 セメント等我が国産業にとって極めて重要である。特に鉄鋼産業は経済社会を 支える基幹産業であり、我が国製造業の競争力の維持・強化を図るためにも、 原料炭の安定供給確保は必要不可欠である。 • この他、我が国鉄鋼業は焼結用(粉鉄鋼石を固める)、PCI 用(補助燃料として 微粉炭を吹き込む)として、非常に希少性が高い良質の無煙炭を中国、ベトナ ム等から輸入している。 (2) 石炭の供給リスクの高まり 中国、インドにおける石炭需要増と輸入増 • 近年、中国及びインドは、経済発展による電力需要、鉄鋼需要の増大に伴い、 一般炭、原料炭の需要が増加している。 • これに伴い、中国は過去 10 年間で石炭生産を大幅に増加しているが、それを上 回る需要の増大により輸入も増大し、2009 年には純輸入国となり、2011 年に日 本を抜き世界一の輸入国となった。その一方で、政府は輸出抑制策として輸出 割り当ての段階的縮小、輸出増値税還付の廃止、輸出税の付加を実施している。 今後の輸入動向は、国内炭と輸入炭の価格差にもよるが、中長期的には輸入が 増大し、日本への安定的な供給にも影響を及ぼすと考えられる。
• インドも過去 10 年間で需要は約 8 割増加、現在中国、米国に次ぐ 3 番目の大消 費国となっている。IEA によれば、2025 年には米国を抜き 2 番目の消費国にな り、2020 年以降は世界最大の輸入国になると予測している。 • このような需要・輸入の増大に伴い、両国とも、国を挙げて、豪州、インドネ シアにおける権益獲得活動を活発化し、今後ともこの状況は継続する見込みで ある。 資源メジャーの寡占化 • 2000 年以降、石炭生産会社の世界的な M&A が行われ、豪州においても石炭 4 大 メジャーの生産量に占めるシェアが、同国の石炭生産量全体の約 7 割を占める など、資源メジャーのアジア市場におけるサプライヤーとしての地位は拡大し ている。他方、輸入に占める割合の低下により、我が国のバイヤーとしての地 位は低下している。 港湾等輸送能力不足による「滞船問題」 • 豪州では、石炭生産及び輸出を行っているニューサウスウェールズ州、クイー ンズランド州の主要港において、石炭の積込みを待つ船が多数順番待ちの状態 にあるという、いわゆる「滞船問題」が発生している。中国、インド等のアジ ア諸国から豪州へ石炭輸出注文が集中した結果、鉄道や港湾等のインフラの輸 送能力を上回る輸出契約が結ばれたことに起因している。豪州政府及び州政府 は今後の輸出拡大に伴い、輸送インフラの増強を計画している。 石炭価格・権益獲得費用の高騰 • 石炭の長期契約価格は比較的安定的に推移していたが、近年は、産炭国の自然 災害や中国やインドの石炭需要急増等の影響により、石炭価格は上昇傾向にあ る。 • また、ここ数年の石炭価格の大きな変動を受け、近年、市況を折り込んだスポ ット価格の導入や原料炭においては四半期毎に価格設定がなされるようになっ ている。これに伴い権益獲得費用も高騰している。 2.今後の取組の方向性 • 石炭については、今後も安定した供給量を確保すること、供給先の分散を図る ことを目的とし、既存の供給国・地域との関係強化に加え、これまで開発や権 益獲得に取り組んでこなかった国からの調達に取り組む。
• また、石炭については、これまで権益獲得のための資金供給支援等が整備され ていなかったことから、これら既存及び新規供給国からの調達のため有効な政 策手法を整理し支援体制の強化を行う。 (1)供給国の多角化 • 中国、インド等の需要増を背景としたアジア・太平洋地域における資源獲得競 争の激化、これに伴う石炭価格の上昇、豪州等における権益獲得費用の高騰、 更には我が国のバイヤーとしての交渉力低下への懸念を踏まえ、供給国の多角 化を図っていく必要がある。 • 原料炭については、モザンビーク、モンゴル、ロシアが新規供給国として期待 される。また、過去に重要な原料炭供給国であったカナダ・米国は、生産コス トの上昇と遠距離輸送のために輸入数量は減少したが、安定供給確保の観点か ら再評価すべきである。 • また、一般炭に関し、米国企業は、シェールガス増産のため石炭の輸出を考え るようになっている。さらに、パナマ運河の拡大により、コロンビアについて も輸入元の一つとして検討が進められている。 • 鉄鋼用無煙炭についても、供給元である中国・ベトナムとの良好な関係維持と、 ロシア等からの輸入拡大が重要である。 (2)多角化に向けた支援体制の整備 • 石炭供給の多角化に向け、新たに JOGMEC に石炭資源開発業務を移管・統合する ことで JOGMEC の有する金属鉱物等の資源開発ノウハウやネットワークを最大 限活用する。また、これまでの地質構造調査、海外炭可能性調査等の探鉱・開 発段階の調査支援に加え、供給国の多角化等を図るため、新たに産業投資出資 を活用し、探鉱段階での権益確得を行う際に必要な資金を供給するための出資 等の機能を強化する。 • 石炭資源開発は、国際的な共同開発で行われることが一般的であり、これまで のメジャー、準メジャーとの協力のみならず、北米地域の開発においては、中 国などのアジア企業との協力・共同開発も始まっており、こうした開発への支 援も併せて行う。 (3)資源国への協力強化(インフラ輸出との連動等) 鉄道・港湾インフラ設置との連動 • 石炭資源は、採掘のみならず、多量の原炭の処理、生産品のスムーズな運搬・ 港積み出しも安定供給の鍵となる。
• 新規供給国として期待されるモザンビーク、モンゴルなどは、鉄道・港湾等の 輸送インフラ、付帯する電力供給施設、用水の供給・排水施設、出荷設備など が未整備であるため、こうしたインフラ整備へ企業自ら投資を行うか、権益獲 得の交渉においてインフラ整備への参加を求められる。このため、参画企業に 対して、権益獲得を条件とした国の融資制度を活用した支援等を行うことを通 じて、インフラ整備・輸出と併せた協力関係の構築により、我が国への十分な 輸出量を確保することが必要である。 • また、企業は、鉄道輸送、港湾利用においては、一定のコスト負担が必要にな ることからも、こうしたインフラ整備への投資、参画を支援することを通じ、 一定の利用する権利の獲得等による輸送コストの低減を図り、安定的かつ安価 な供給の確保に資することが必要である。 石炭火力発電等のクリーンコール技術の輸出との連動 • 豪州、インドネシア、インド等の資源国でありかつ大量消費国とは、我が国が 有する優れた石炭火力の高効率化、褐炭等の低品位炭有効利用等のクリーンコ ールテクノロジーを活用した協力を行うとともに、高効率化・クリーン化技術 のパッケージ型インフラ輸出を併せた協力関係の構築を図り、我が国への石炭 の安定供給確保とともに世界の石炭需給緩和を促進する。また、今後の技術と して、更なる高効率を目指す石炭ガス化燃料電池(IGFC)の実証事業などを推 進する。