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2000年以降の食品をめぐる主な消費者問題 第1部 図表1-1-2 食品安全に関する事案 2000年 6 月 雪印乳業 株 食中毒事故発生 2001年 9 月 国内でBSE感染牛を確認 2006年10月 株 不二家の賞味期限切れ原料使用問題 2007年10月 株 赤福による賞味期限偽装問題 2007

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はじめに

 我々が人間として生きていくのに、 「食」は欠かすことができないものです。  近年、生活水準の向上により、我々は 質、量共に豊かな食生活を送ることがで きるようになりました。  また、社会環境や家族構成、ライフス タイル等の変化に伴い、消費者の「食」 に対する関心は多様化していますし、安 全・安心な「食」を求める消費者の意識 も高まっています。  食品関連産業も消費者の要望に応える べく、様々な商品の供給を行っています。 今や小売店の店頭には毎月のように新商 品が並び、消費者は、「簡単・便利」、「安 全」、「健康」等様々な観点から開発され た食品を利用しています。  消費者の「食」への関心の高さは、消 費生活相談件数にも現れています。  全国の消費生活センターや消費生活相 談窓口(以下「消費生活センター等」と いう。)では、消費者からの消費生活に 関する相談を受け付けており、寄せられ た苦情に関する消費生活相談情報は PIO-NETに登録されます。  全国の消費生活センター等に寄せられ た消費生活相談件数は2004年度から減少 傾向にありましたが、このうち「食料品」

第 1 部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

     食をめぐる消費者問題

~食への信頼の回復と安心の確保に向けて~

特集 1

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図表1-1-1 「食料品」に関する消費生活相談件数は増加傾向 (備考) PIO-NETに登録された消費生活相談情報(2014年 4 月30日までの登録分)。 0 200 (万件) 100 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2013 (年度) 2012 全相談(左軸) 食料品(右軸) 120 140 160 180 20 40 60 80 0 (万件) 25 5 10 15 20

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に関する消費生活相談件数は増加傾向に あり、2013年度は2010年度の約2倍と なっています (図表1-1-1)。  これまでも食に関する消費者問題はた びたび発生してきましたが (図表1-1-2)、2013年度においても、食の安全・安 心を脅かすような事案が続けて発生して います。  2013年度には、大手ホテルチェーンや レストラン、百貨店等において、メニュー 表示と異なる食材が使われていた事例が 次々と明らかになりました。また、工場 従業員により冷凍食品へ意図的に農薬が 混入される事案も発生し、大規模な製品 回収が実施されました。これらの事案に より、消費者の「食」に対する信頼は大 きく揺らぐこととなりました。  また、2011年3月の東日本大震災に伴 う東京電力福島第一原子力発電所の事故 は、放射性物質による食品の汚染を引き 起こし、消費者に食品と放射性物質に関 する不安をもたらしました。最近では、 生産者等の懸命の取組により、食品中の 放射性物質は大きく低減してきており、 放射性物質の検査を経て安全を確認した 食品が流通する仕組みも整えられていま す。  こうした取組により、被災地産の食品 に対する風評は減少傾向にあるものの、 現在も残っていると考えられます。  このほか、豊かな食生活の裏側で、家 庭から多くの食品廃棄物が発生していま す。この中には、まだ食べられるのに捨 てられる食品、いわゆる「食品ロス」が 含まれており、日本で1年間に発生する 食品ロスの量は、米の国内生産量に匹敵 すると試算されています。  上記のような背景の下、今回の消費者 白書では、特集1として「食をめぐる消 費者問題」を取り上げ、食品をめぐる最 近の話題を中心に紹介しています。 図表1-1-2 2000年以降の食品をめぐる主な消費者問題 食品安全に関する事案 食品偽装に関する事案 2000年 6 月 雪印乳業(株)食中毒事故発生 2001年 9 月 国内でBSE感染牛を確認 2006年10月 (株)不二家の賞味期限切れ原料使用問題 2007年10月 (株)赤福による賞味期限偽装問題 2007年11月 ミートホープ事件等の食品偽造表示事件の発覚 2008年 1 月 中国冷凍ギョウザ事件 2008年 9 月 事故米穀の不正規流通問題の発覚 2009年 6 月 ペッパーランチによる成形肉の食中毒事件 2011年 3 月~ 原発事故発生により食品の放射性物質汚染に対する不安が広がる 2011年 4 月 生食用牛肉で集団食中毒発生 2013年 6 月 オリエンタルランド、(株)プリンスホテルのメニュー偽装公表 2013年10月~ (株)阪急阪神ホテルズ、(株)阪神ホテルシステムズ、近畿日本鉄道(株)等の食品表示等問題 2013年12月 (株)アクリフーズの冷凍食品農薬混入事案 2009年 9 月 消費者庁及び消費者 委員会の設置 第1章 第1部   はじめに

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 食品包装や外食メニューにおける表示 と異なる食材を使用した問題は、近年で は2007年の食肉偽装事件1等がありまし たが、2013年には多数の事案が明らかに なり、いわゆる「食品偽装」や「食品表 示等問題」等として社会問題化しました (図表1-1-3)。  2013年は、まず、5月から6月にかけ て一部ホテルにおいて、メニュー表記と 異なる食材を使用し提供していたことが 判明しました。  さらに、同年10月22日、株式会社阪急 阪神ホテルズは、独自に行った社内調査 に基づき、グループ内の複数のホテルに おいてメニュー表記と異なる食材を提供 していたことを発表しました。同社の場 合、例えば、メニュー表記には「芝海老 とイカの炒め物」として「シバエビ」を 使用しているかのように表示していた料 理は実際には安価で取引されている「バ ナメイエビ」を使用し、またメニュー表 記に「若鶏の照り焼き九条ねぎのロティ と共に」として「九条ねぎ」を使用して いるかのように表示していた料理では、 実際には安価で取引されている「青ネギ」 又は「白ネギ」を使用する等していまし

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食品表示等問題

実際の食材と異なった

食品表示等問題

食品表示の適正化

第 1 節

図表1-1-3 食品表示問題のこれまでの経緯 2013年10月22日 ㈱阪急阪神ホテルズがメニュー表示と異なった食材を使用して料理を提供していたことを発表その後、㈱阪神ホテルシステムズ(10/25)、近畿日本鉄道㈱(10/31)等でも相次いで発表 2013年11月 6 日 消費者庁がホテルのメニュー表示に係る関係団体へ「景品表示法の考え方及び事例集」の周知等を要請 2013年11月 8 日 消費者担当大臣が旅館・ホテル関係団体及び日本百貨店協会に対し再発防止策を要求 2013年11月11日 第 1 回「食品表示等問題関係府省庁等会議」を開催関係府省庁による今後の対処方針(景品表示法の考え方及び事例集の周知の徹底、食品表示 の偽装・誤表示の状況の把握等)を決定 2013年11月18日 消費者庁ウェブサイト内に食品表示等問題に関しての専用ページを開設 2013年11月22日 消費者庁が「消費者行政の体制強化に関する法制検討室」を立ち上げ 2013年12月 9 日 第 2 回「食品表示等問題関係府省庁等会議」を開催今後の対策として「食品表示等の適正化について」を決定(個別事案に対する厳正な措置、 関係業界における表示適性化とルール遵守の徹底、景品表示法の改正等に係る早急な検討等) 2013年12月 9 日 内閣総理大臣が消費者委員会に対し、景品表示法への課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について諮問 2014年 2 月26日 農林水産省の食品表示Gメン等の消費者庁併任発令 2014年 3 月11日 「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案」の国会提出 2014年 3 月28日 消費者庁が「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」を公表、食品表示Gメン等による巡回開始 2014年 6 月 6 日 「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律」が成立 1)ミートホープ株式会社が主に豚肉を使った挽き肉を「牛ミンチ」として販売したこと等が明らかになった事案。

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た。  株式会社阪神ホテルシステムズは、同 社が運営するホテルにおいて、例えば、 メニュー表記は「車海老のチリソース煮」 としていたところを実際には「ブラック タイガー」を使用する等していました。 近畿日本鉄道株式会社は、同社が運営す るホテル等において、例えば、メニュー 表記は「牛ロース肉のステーキ」として いたところを実際には「牛脂その他の添 加物を注入した加工食肉製品」を使用し 提供していました。  これら3社の発表以降、全国各地のホ テル、百貨店、レストラン等でもメニュー の表記と実際に提供していた食材が異 なっていたことが発覚しました。  これら一連の問題は、景品表示法が禁 止する優良誤認の表示(商品又はサービ スの品質、規格その他の内容について、 一般消費者に対し、実際のもの又は競争 事業者のものよりも著しく優良であると 誤認させる表示)に当たるものとして問 題となり得るものでした。  2013年10月22日の株式会社阪急阪神ホ テルズの発表以降、全国各地で続いたホ テルや百貨店、レストランでのメニュー 表記の問題を受け、これらに関連する全 国の消費生活センター等に寄せられる消 費生活相談も急増しました。  2013年度の月別件数の推移を見ると、 一連の問題以前は月に平均20件前後の相 談が寄せられていましたが、10月22日を 機に10月は101件、11月は318件と急増し、 12月に入ると71件、1月には56件と減少 していきました (図表1-1-4)。  急激に相談が寄せられた10月22日以降 の10、11月の相談について見ると、性別で は男性が約6割を占めており、年代では60 歳代、70歳代を中心に、40歳代以上が多 かったことが特徴として挙げられます。

食品表示等問題に対する

消費生活相談の動き

図表1-1-4 食品表示等問題に関する相談は10-11月に急増 (備考) PIO-NETに登録された2013年度の「食品表示等問題」に関する消費生活相談情報(2014年 4 月30日までの登録分)。 0 350 (件) 100 3月 2月 1月 6月 5月 4月 9月 10月 発表前発表後10月 11月 12月 8月 7月 2014年 2013年 150 200 250 300 50 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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 この間に寄せられた相談としては、「報 道にあるホテルで食事をした。返金され るか」、「大手企業の食品虚偽表示問題が 話題になっているが、消費者として何を 信用すればよいのか」、「以前、鉄板焼き 店で食べたサーロインステーキは成形肉 だったのではないか」「結婚式を挙げた ホテルで食品の表示偽装があった。対応 が納得できない」等がありました。  消費者庁では、一連の問題を受け、「景 品表示法の不当表示の考え方及びメ ニュー表示等の食品表示に係るこれまで の違反事例」を取りまとめるとともに、 2013年11月6日にはホテル関係団体(全 日本シティホテル連盟、日本ホテル協会、 日本旅館協会)に対し、同月8日には全 国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会及 び日本百貨店協会に対し、上記の考え方 及び事例集の周知並びに適正化に向けた 取組状況等の報告を要請しました。  また、同年12月19日、近畿日本鉄道株 式会社、株式会社阪急阪神ホテルズ及び 株式会社阪神ホテルシステムズの3社に 対し、景品表示法第6条の規定に基づき、 「景品表示法に違反するものである旨を、 一般消費者へ周知徹底すること」、「再発 防止策を講じて、これを役員及び従業員 等に周知徹底すること」等を内容とする 措置命令を発出しました。  さらに、政府一丸となった取組につい て協議するため、内閣府特命担当大臣(消 費者及び食品安全)の下に「食品表示等 問題関係府省庁等会議」を設置しました。  同会議は、2013年11月11日に第1回を 開催し、今後の対処方針として、①消費 者庁の作成した「景品表示法の不当表示 の考え方及びメニュー表示等の食品表示 に係る過去の違反事例」について周知の 徹底を図ること、②所管する業界におけ る表示の適正化に向けた取組状況につい て徹底した把握を行うこと、等を決定し ました。  また、同年12月9日の第2回会議では、 関係府省庁より上記の対処方針に基づき 実施した取組状況を報告すると共に、「食 品表示等の適正化について」(対策パッ ケージ)を取りまとめました(図表1-1-5)。  メニュー・料理等の食品表示に関する 景品表示法上の考え方を整理し、事業者 の予見可能性を高めるとともに、事業者 における表示の適正化の取組を促進する ため、2014年3月28日に「メニュー・料 理等の食品表示に係る景品表示法上の考 え方について」(ガイドライン)を策定し、 関係団体等への幅広い周知を図っていま す(コラム1参照)。  景品表示法は、消費者庁がその執行を 主に行っていますが、多数の事業者を対 象とした監視指導を行うには、人員等の 体制が充分ではありませんでした。  消費者庁は、景品表示法に基づくレス トラン、百貨店等への監視指導のため、 農林水産省の協力を得て、2014年2月26

一連の問題に対する

消費者庁の対応

政府としての

施策パッケージの策定

「メニュー・料理等の食品表示に係る

景品表示法上の考え方について」の策定

行政の監視指導体制の強化

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日、同省の食品表示Gメン2等(表示・ 規格指導官及び米穀流通監視官)に対し、 消費者庁の職員として併任発令しまし た。同年3月28日、ガイドラインの策定 に併せ、消費者庁併任の食品表示Gメン 等による巡回監視を開始しました。  また、一般消費者に身の回りの食品表 示について監視をしてもらうことで、景 品表示法の違反の疑いがある事例の情報 収集を行う「食品表示監視システム(食 品表示モニター制度)」を導入すること としました。  上記の施策に加えて、食品表示等の適 正化に向けた体制の強化を図り、国内外 の消費者の「日本の食」に対する信頼を 回復するため、関係大臣等が連携し表示 に関する監視指導を強化するための体制 の確立、都道府県知事に対しても景品表 示法に基づく措置命令権限を付与するこ と等を内容とする「景品表示法等改正等 法案」を2014年3月11日に国会に提出し、 同年6月6日に成立しました。

景品表示法等の一部改正等法の

成立

2)食品表示Gメンとは、不適正な食品表示の調査・指導等を行うため、農林水産省、地方農政局及び地域センター 等の表示・規格課等に配置されている職員の通称である。 図表1-1-5 食品表示等の適正化対策の概要 1.個別事案に対する厳正な措置 2.関係業界における表示適正化とルール遵守の徹底 3.景品表示法の改正等-緊急に対応すべき事項は次期通常国会に法案を提出 (1)事業者の表示管理体制の強化 (2)行政の監視指導体制の強化 (3)違反事案に対する課徴金等の新たな措置の検討 ◎食品表示等に関するコンプライアンス強化のため、事業者の表示管理体制を明確化 対策パッケージ 消費者庁作成 「食品表示等適正化対策」の概要 問題の所在 基本課題 日本の食」に対する国内外の消費者の信頼を回復 事業者のコンプライアンス意識の 確立 景品表示法の周知徹底等 政の体制強化等 【事業者のコンプライアンス意 識の欠如】 ・事業者による表示の重要性の 意識、コンプライアンス(法 令・社会規範の遵守)意識が 欠如。 ・事業者内部の表示に関する管 理責任体制が不明確である。 ◎景品表示法による立入検査、指示、措置命令(行政処分)  ・措置命令に従わない場合や虚偽報告・検査拒否は、刑事罰(法人は3億円以下の罰金) ○不正競争防止法(虚偽の表示)に違反した者は、刑事罰(法人は3億円以下の罰金) ◎食品表示等のルールの明確化と遵守の徹底―消費者庁と関連省庁が連携した指導―  ○関係業界に対する指導(表示の状況把握と適正化に向けた取組の要請、必要な指導)  ○景品表示法の不当表示に関する分かりやすいガイドラインの作成とその周知・遵守徹底  ○消費者庁及び地方消費生活センター等の表示に関する相談体制の強化 ◎景品表示法の不当表示事案に対する課徴金等の新たな措置について、総合的な観点 から検討を行う(消費者委員会(消費者庁からの諮問))。 ①消費者庁を中心とする国における体制強化  1)消費者庁・消費生活センターの監視指導体制の強化  ・消費者庁・消費生活センターの監視指導体制の強化、「食品表示モニター(仮称)」の導入  2)消費者庁を中心に関係省庁が連携し、国の表示監視指導を強化するための体制 を確立  ・消費者庁の措置命令の実効性を強化するための所要の措置を導入 ②都道府県知事の権限強化(措置命令の導入)  ・都道府県知事が、措置命令(行政処分)を行えるようにし、地域の監視指導体制を強化 【景品表示法の趣旨・内容の不 徹底】 ・過去に同様の不正事案が発生 しているにもかかわらず、景 品表示法の趣旨・内容が十分 に周知徹底されていない。 ・景品表示法の禁止対象に関す る具体的なルールが不明確。 【行政の監視指導体制の問題】 ・多数の事業者を対象とした監 視指導体制を消費者庁のみで 行うには体制面で限界あり。 ・悪質な事案に対する措置が不 十分ではないか。 ○国内外の消費者の「日本の 食」に対する信頼を失墜さ せるおそれ 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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 2013年12月9日の第2回食品表示等問 題関係府省庁等会議において取りまとめ られた「食品表示等の適正化について」 (対策パッケージ)において、景品表示 法の不当表示事案に対する課徴金等の新 たな措置について、総合的な観点から検 討を行うこととされました。  これを受けて、同日、内閣総理大臣(消 費者庁)より消費者委員会に対し、景品 表示法上の不当表示規制の実効性を確保 するための課徴金制度の導入等の違反行 為に対する措置の在り方について諮問を 行いました。  現在は、消費者委員会の本会議と「景 品表示法における不当表示に係る課徴金 制度等に関する専門調査会」の合同会議 において検討が行われています。  消費者庁が2014年3月に実施した「消 費生活に関する意識調査」によると、「食 品表示問題への感想」として、「食品表 示は問題だが、事業者を処分することよ りも今後の再発防止が重要である」と回 答した人が40.7%と最も多く、次いで「問 題を起こした事業者に対しては厳しい処 分をしてほしい」と回答した人が22.6% でした (図表1-1-6)。  また、「食品表示問題に関して、偽装 や誤表示が報道で明らかになったレスト ラン等で、問題となった食材を含む料理 を過去に食べた経験がありますか」と聞 いたところ、「ある」と回答した人は 6.0%、「はっきり覚えていないがあると 思う」と回答した人は24.3%、「はっき り覚えていないがないと思う」と回答し た人は34.2%、「ない」と回答した人は 35.4%でした (図表1-1-7)。

景品表示法への

課徴金制度の導入等の検討

一連の問題に対する消費者の意識

図表1-1-6 食品表示問題について「今後の再発防止が重要」と回答した人は40.7% 食品偽装は問題だが、事業者 を処分することよりも今後の 再発防止が重要である 40.7% 問題を起こした事業者に対し ては厳しい処分をしてほしい 22.6% どこでもやっていることであ り、正直に公表した事業者だ けを批判するのはおかしい 11.0% 特に健康被害があったわけで はないのに、ここまで騒ぐの はおかしい 7.3% 食材の種類、産地などを表示 するよう義務付けてほしい 12.3% 特に関心がない 6.1% (N=3,000) (備考)  1 .消費者庁「インターネット調査「消費生活に関する意識調査」」(2013年度)。      2 .「食品表示問題への感想として、あなたの気持ちに最も近いものを 1 つ選んでください。」との問に対す る回答。 10

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図表1-1-7 食品表示問題で「被害を受けた」人は30.3% (備考)  1 .消費者庁「インターネット調査「消費生活に関する意識調査」」(2013年度)。      2 .「あなたは、食品表示問題に関して、偽装や誤表示が報道で明らかになったレストラン等で、問題となっ た食材を含む料理を過去に食べた経験がありますか。」との問に対する回答。 はっきり覚えていないが あると思う 24.3% はっきり覚えていないが ないと思う 34.2% ある 6.0% ない 35.4% (N=3,000) 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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 2013年秋以降、ホテルや百貨店、レストラン等が提供するメニュー・料理等の食品 表示について、実際に使われていた食材と異なる表示が行われていた事例が相次ぎ、 消費者の安全・安心が揺るがされました。  消費者庁としては、この事態を深刻に受け止め、消費者の不安をできる限り速やか に払拭することにより、自主的かつ合理的に商品・役務を選択できるという消費者の 利益を確保する必要があると考え、メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上 の考え方を整理し、事業者の予見可能性を高めること等を目的としまして、2013年12 月19日に原案をパブリックコメントの手続に付した上(意見提出の締切日は2014年 1 月27日)、2014年 3 月28日に、「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考 え方について」(以下「本考え方」という。)を策定し公表しました。  http://www.caa.go.jp/representation/pdf/140328premiums_5.pdf 1  本考え方の概要  景品表示法は、一定の事項の表示を義務付ける法律ではなく、表示から受ける一般 消費者の印象・認識を基準として、一般消費者の自主的・合理的な選択を阻害するお それのある表示を不当な表示として禁止している法律です。  また、景品表示法に違反するかどうかは、メニュー等における料理名だけでなく、 そのほかの文言、写真等表示媒体としてのメニュー等全体から一般消費者が受ける印 象・認識を基準に判断します。この場合、その料理等が提供される飲食店等の種類や 料理等の価格の高低等の事情も考慮して、一般消費者がどのような印象・認識を抱く かを個別事案ごとに判断することとなります。  したがって、事前に、どのような表示をすべきか、又はどのような表示をしてはい けないかを具体的・網羅的に明らかとすることはできませんが、本考え方のQ&Aで は、今般のメニュー・料理等の食品表示の件で問題となった事例を中心に取り上げ、 ある特定の表示ごとに、分かりやすさの観点から景品表示法上問題となり得るかを端 的に回答しています。 2  Q&Aの代表例 Q- 2  飲食店において、牛の成形肉(※)を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ス テーキ」と表示してもよいでしょうか。 ※…牛の生肉、脂身、内臓等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的 に結着し、形状を整えたもの。結着肉、圧着肉ともいわれる。 A 問題となります。 〈説明〉  料理名として「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示した場合、この表示に接した 一般消費者は、牛の生肉の切り身を焼いた料理と認識すると考えられます。  このため、牛の成形肉を焼いた料理について、「ビーフステーキ」、「ステーキ」と 表示することは、一般消費者を誤認させるおそれがあるものといえます。

メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について

C

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 したがって、実際には、牛の成形肉を使用しているにもかかわらず、あたかも、牛 の生肉の切り身を焼いた料理であるかのように示す表示は、景品表示法上問題となり ます。  なお、この場合には、あわせて、例えば、「成形肉使用」、「圧着肉を使用したもの です。」等と料理名の近傍又は同一視野内に明瞭に記載するなど、この料理の食材が 成形肉ではない牛の生肉の切り身であると一般消費者に誤認されないような表示にす る必要があります。 Q- 8  飲食店で提供する料理の材料としてブラックタイガーを使用していますが、クル マエビを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ありませんか。 A 問題となります。 〈説明〉  ブラックタイガーとクルマエビとは異なる魚介類であり、ブラックタイガーとクル マエビが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられますので、ク ルマエビではないブラックタイガーを料理の材料として使用しているにもかかわら ず、クルマエビを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異な るものを表示していることになります。したがって、このような表示は、景品表示法 上問題となります。 Q-15  飲食店で提供する料理の材料としてサーモントラウトを使用していますが、キン グサーモンを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題ありませ んか。 A 問題となります。 〈説明〉  キングサーモンとサーモントラウトとは異なる魚介類であり、キングサーモンと サーモントラウトが同じものであるとは一般消費者に認識されていないと考えられま すので、キングサーモンではないサーモントラウトを料理の材料として使用している にもかかわらず、キングサーモンを使用している旨をメニュー等に表示することは、 実際のものと異なるものを表示していることになります。したがって、このような表 示は、景品表示法上問題となります。  一方、一般的な料理の名称として確立しているものであって、かつ、その食材がそ の料理に現に広く使われていることが社会的に定着している場合など、一般消費者が、 その料理等の選択において、それらの食材の違いに通常影響されないと認められる場 合には、その料理等の名称を単に表示するだけで直ちに景品表示法上問題となるもの ではありません。  したがって、一般的な料理の名称として確立している「サケ弁当」、「サケおにぎり」、 「サケ茶漬け」の材料として、一般に「さけ」、「サーモン」として販売されているも のを使用している場合には、単に「サケ弁当」、「サケおにぎり」、「サケ茶漬け」と表 示することで、直ちに景品表示法上問題となるものではありません。 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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公益財団法人食の安全・安心財団 理事・事務局長 中村 啓一  2013年10月23日、その日の朝刊には食に関係した明暗二つの記事が掲載されま した。日本食がユネスコの「世界無形文化遺産」への登録が内定したとの嬉しい ニュースに並んで、関西のホテルがメニュー表示と異なる食材を使った料理を提 供していたと公表したことが大きく報じられていました。  これまでも、牛肉、ウナギ、米、タケノコ等、偽装といわれる表示違反があり ましたが、これらの多くは、組織的、計画的で複数の事業が絡むこともあるなど 大掛かりなものでした。それらに比べると今回の事案はホテルのルーズな管理を うかがわせるものでしたが、誤表示として公表されたメニュー表示の内容は様々 であり、過去の食品表示偽装とは性格の違うものでした。しかし、不適切なメ ニュー表示の公表が、全国のホテルやデパートなど数百社に及んだことから大き な社会問題となりました。  一方、一流のホテルやデパートで問題が発生した原因として、消費者の選択に 誤認を与える表示を禁止している「景品表示法」が分かりづらく、過去の違反事 例や考え方が事業者に十分周知されていなかったことも指摘されました。このた め、消費者庁はメニュー表示のガイドラインを作成することとし、12月19日にそ の案を公表しましたが、この案が関係業界を混乱させることになりました。「ガ イドライン案」として公表されたQ&Aが、特殊な事例など個別の内容であった ことから、広く定着しているサケ弁当やかも南蛮なども違反とされるのではない か等の類推した心配が業界に広がり、メディアもこの問題を大きく報道するなど 消費者を巻き込んでの議論となりました。これは、消費者庁がガイドラインの案 を作成するに当たり、関係者から意見を聴取するなど現場の事情を十分把握せず に拙速に公表したことが混乱の一因になったことは否めません。  「ガイドライン案」は、広くパブリックコメントを求めることになりました。 行政のパブリックコメントは、ともすれば形式的な手続に終わり、パブリックコ メントにより当初案が変更されるということはまれですが、2014年 3 月28日に公 表された「ガイドライン成案」は、当初案から実情を反映した内容に見直されて いました。消費者庁は、パブリックコメントとともに、並行して積極的に幅広い 関係者から直接事情を聴くなど実態の把握に努めてきましたが、これらがガイド ライン成案に反映されました。  消費者庁は、名前が示すとおり行政としてのスタンスを明確にした役所です。 しかし、消費者の目線を重視するということは、それ以外の声に耳を塞ぐという ことではありません。むしろ、立場の違う多様な意見を広く集約することにより、 現実的で実効ある消費者行政を推進するべきであり、消費者とともに事業者との 敷居も低くする必要があります。  その意味で、今回のメニュー表示問題は、「ガイドライン案」公表後の意見集 約に向けた消費者庁の積極的な対応とパブリックコメントがその本来の役割を果 たしたことを高く評価しており、これを受けた関係業界もメニュー表示セミナー の開催や相談窓口の設置など具体的自主的な対応を進めるなど、これからの消費 者行政のあるべき方向を示したものと考えています。

メニュー表示問題の教訓と課題

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①食品表示の一元化

 食品表示は消費者が食品を購入すると き、食品を適切に選択したり、安全に食 べたりするため、食品の内容を正しく理 解する上で重要な情報源です。また、 万一、事故等が発生した場合には、その 製品回収や原因究明等の措置を迅速かつ 的確に行うための手掛かりとなります。  これまで、食品一般について、その内容 に関する情報の表示ルールを定めた法律 として、食品衛生法、JAS法、健康増進 法の三法があり、三法それぞれに基づき複 数の表示基準が定められ、用語の定義が 異なる等、分かりにくいものとなっていま した。  その結果、消費者にとって分かりにく い制度となっていたばかりか、事業者に とっても、同じ一つの食品に複数の法律 が定める基準に従って表示を行わなけれ ばならない状況が生じていました。  2009年の消費者庁発足に伴い、三法に 基づく表示規制に係る事務を消費者庁が 一元的に所管することとなり、2010年3 月に閣議決定された消費者基本計画にお いて、食品表示に関する一元的な法律の 策定が盛り込まれました。これに基づい て、2011年9月から2012年8月にかけて 消費者庁において「食品表示一元化検討 会」を開催しました。その報告に基づい て、三法の食品の表示に関する規定を統 合して、食品の表示に関する包括的かつ 一元的な制度を創設する「食品表示法案」 を国会に提出し、同法案は、2013年6月

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食品表示に関する制度の

見直し

これまでの食品表示の

概要、問題点

食品表示法の制定

図表1-1-8 食品表示に関する制度 (現行法令に基づく表示例) ※栄養表示は任意 ※「39」は製造所固有記号 食品衛生法に基づく表示事項 JAS法に基づく表示事項 食品衛生法、JAS法の両法に基づく表示事項 健康増進法に基づく表示事項 食品衛生法 JAS法 健康増進法 JAS法 食品衛生法 食品安全の確保 添加物 アレルギー 原材料名 内容量 原産地 品質 保存方法 遺伝子組換え 製造者名等 賞味・消費期限 名称 健康増進法 (栄養表示) 等 等 等 【目的】 ○栄養の改善その他の国民 の健康の増進を図る ○栄養表示基準の策定及び 当該基準の遵守 (第31条、第31条の2) 等 【目的】 ○農林物資の品質の改善 ○品質に関する適正な表示 により消費者の選択に資 する ○製造業者が守るべき表示 基準の策定 (第19条の13) ○品質に関する表示の基準 の遵守 (第19条の13の2) 等 ○販売の用に供する食品等 に関する表示についての 基準の策定及び当該基準 の遵守(第19条) 等 ○食品、添加物、容器包装 等の規格基準の策定 ○規格基準に適合しない食 品等の販売禁止 ○都道府県知事による営業  の許可       等 ○日本農林規格の制定 ○日本農林規格による格付 等 ○基本方針の策定 ○国民健康・栄養調査の実 施 ○受動喫煙の防止 ○特別用途食品に係る許可 等 【目的】 ○飲食に起因する衛生上の 危害発生を防止 表示関係 (表示関係以外) 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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に国会で可決・成立しました (図表1-1-8)。  食品表示法は、食品に関する表示が食 品を摂取する際の安全性の確保及び自主 的かつ合理的な食品の選択の機会の確保 に関し重要な役割を果たしていることに 鑑み、基準の策定その他の必要な事項を 定めることにより、その適正を確保し、 もって一般消費者の利益の増進を図ると ともに、食品衛生法、健康増進法及び JAS法による措置と相まって、国民の健 康の保護及び増進並びに食品の生産及び 流通の円滑化並びに消費者の需要に即し た食品の生産の振興に寄与することを目 的としています。  具体的には、以下のような規定等が設 けられています (図表1-1-9)。  ・食品表示基準の策定  ・食品表示基準に違反した事業者等に 対する是正措置  ・適格消費者団体による差止請求、内 閣総理大臣への申出  食品表示法は、公布の日(2013年6月 28日)から起算して2年を超えない範囲 内において施行することとされており、 それまでの間に、現行の三法に基づく食 品の表示基準を統合した新たな表示基準 を策定する必要があります。  また、食品表示法は栄養表示3につい て義務化が可能な枠組みとなっており、

食品表示法の概要

施行に向けた動き

図表1-1-9 食品表示法の概要 食品表示法の概要 消費者基本法の基本理念を踏まえて、表示義務付けの目的を統一・拡大 目的 食品表示基準 食品表示基準の遵守 指示等 立入検査等 内閣総理大臣等に対する申出等 権限の委任 罰則 附則 (参考)表示基準(府令レベル)の取扱い 整合性の取れた表示基準の制定 消費者、事業者双方にとって分かりやすい表示 消費者の日々の栄養・食生活管理による健康増進に寄与 効果的・効率的な法執行 (4条) (5条) (6条・7条) (8条~10条) (11条・12条) (15条) (17条~23条) 平成25年6月 消 費 者 庁 食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食 品選択の機会を確保するため、 食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統 合して食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設。 (現行、任意制度となっている栄養表示についても、義務化が可能な枠組みとする) 【新制度】 ・食品を摂取する際の安全性 ・一般消費者の自主的かつ合理的な食 品選択の機会の確保 ○基本理念(3条) ・食品表示の適正確保のための施策は、消費者基本法に基づく消費者政策の一環として、消 費者の権利(安全確保、選択の機会確保、必要な情報の提供)の尊重と消費者の自立の支 援を基本 ・食品の生産の現況等を踏まえ、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響等に配慮 ○食品関連事業者等は、食品表示基準に従い、食品の表示をする義務 ○違反調査のため必要がある場合  ~立入検査、報告徴収、書類等の提出命令、質問、収去 ○内閣総理大臣は、食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的に選択するため、食品表示基準 を策定  ①名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、 原産地その他食品関連事業者等が表示すべき事項  ②前号に掲げる事項を表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項 ○食品表示基準の策定・変更  ~厚生労働大臣・農林水産大臣・財務大臣に協議/消費者委員会の意見聴取 ○何人も、食品の表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるとき  ~内閣総理大臣等に申出可  ⇒内閣総理大臣等は、必要な調査を行い、申出の内容が事実であれば、適切な措置 ○著しく事実に相違する表示行為・おそれへの差止請求権  (適格消費者団体~特定商取引法、景品表示法と同様の規定) ○内閣総理大臣の権限の一部を消費者庁長官に委任 ○内閣総理大臣・消費者庁長官の権限の一部を都道府県知事・保健所設置市等に委任  (政令) ○食品表示基準違反(安全性に関する表示、原産地・原料原産地表示の違反)、命令違反 等について罰則を規定 ○施行期日~公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行 ○施行から3年後に見直す旨規定を設けるほか、所要の規定を整備 ○表示基準の整理・統合は、府令レベルで別途実施 (法律の一元化による表示義務の範囲の変更はない。) 【今後の検討課題】 ○中食・外食(アレルギー表示)、インターネット販売の取扱い~当面、実態調査等を実 施 ○遺伝子組換え表示、添加物表示の取扱い~当面、国内外の表示ルールの調査等を実施 ○加工食品の原料原産地表示の取扱い  ~当面、現行制度の下での拡充を図りつつ、表示ルールの調査等を実施 →上記課題のうち、準備が整ったものから、順次、新たな検討の場で検討を開始 ○食品表示の文字のポイント数の拡大の検討等 ○内閣総理大臣(食品全般)、農林水産大臣(酒類以外の食品)、財務大臣(酒類)  ~食品表示基準に違反した食品関連事業者に対し、表示事項を表示し、遵守事項を遵守す べき旨を指示 ○内閣総理大臣~指示を受けた者が、正当な理由なく指示に従わなかったときは、命令 ○内閣総理大臣~緊急の必要があるとき、食品の回収等や業務停止を命令 ○指示・命令時には、その旨を公表 【現行】 ・食品衛生法・・・衛生上の危害発生防止 ・JAS法・・・・・・・品質に関する適正な表示 ・健康増進法・・・国民の健康の増進 3)たんぱく質、脂質、炭水化物等の栄養成分や熱量(カロリー)に関する表示。

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新たな表示基準の策定の一環として、表 示の対象となる栄養成分等についても検 討が必要です。  消費者委員会では、「食品表示部会」 の下に、「栄養表示に関する調査会」、「生 鮮食品・業務用食品の表示に関する調査 会」及び「加工食品の表示に関する調査 会」の三つの調査会を設け、これらの課 題を検討しています。

②機能性表示

 食品は栄養や味覚等様々な機能を持っ ていますが、近年では身体の調子を整え ること等の「食品の3次機能4」が注目 されています。  この「食品の3次機能」は、文部省(現 文部科学省)の「食品機能の系統的解析 と展開」(1984年~1986年文部省特定研 究)において初めて提唱されたものであ り、このような機能を持つ食品として、 「機能性食品」の概念が生まれました。  その後検討が進められ、1991年には特 定保健用食品が制度化されました。さら に、2001年には栄養機能食品が制度化さ れました (図表1-1-10)。  特定保健用食品(トクホ)とは、体調 調節機能を有する成分(関与成分)を含 み、その摂取により、特定の保健の目的 が期待できる旨の表示(保健の用途の表 示5)をする食品です。特定保健用食品は、 健康増進法第26条第1項に基づき、個別 の食品ごとに、消費者庁がその保健の用

現行制度の概要

特定保健用食品とは

図表1-1-10 食品の現行の食品の機能性表示制度 食品 医薬品 ビタミン ミネラル 食物繊維 オリゴ糖 他 ・医療用医薬品 ・一般用医薬品 医薬部外品 健康食品をはじめとする加工食品 農林水産物 【栄養機能食品】 栄養成分の機能の表示がで きる (例)カルシウムは骨や歯 の形成に必要な栄養素で す。 【特定保健用食品】 保健の機能の表示ができる (例)おなかの調子を整え ます。 新たな機能性表示制度の範囲 (企業等の責任で機能表示が可能) 4)食品には、生命維持のための栄養面での働きである「1次機能(栄養機能)」、食事を楽しもうという味覚等の、 感覚面での働きである「2次機能(感覚機能)」、身体の調子を整えること等の働きである「3次機能(体調調節機能)」 の3つの機能があるとされている。 5)保健の用途の表示としては、「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」「食後の血中中性脂肪の 上昇をおだやかにする」等の表示が挙げられる。 第1節 第1章 第1部   食品表示の適正化

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途に関する科学的根拠が明らかであるか どうか等を審査し、表示できる内容を許 可しています。許可に当たっては、その 安全性及び効果について、食品安全委員 会(安全性に関する点に限る)及び消費 者委員会の意見を聴き、薬事法(昭和35 年法律第145号)による表示規制の抵触 の有無につき厚生労働省の意見を聴くこ ととなっています。  栄養機能食品とは、栄養成分の機能を 表示した食品で、食生活において特定の 栄養成分の補給を目的として利用されま す。栄養機能食品の対象となる栄養成分 は、2014年4月時点で17種類6です。  栄養機能食品として販売するために は、個別の許可申請等の必要はありませ んが、国が定めた規格基準(1日当たり の摂取目安量に含まれる当該栄養成分量 が、定められた上限値・下限値の範囲内 にあること等)に適合し、食品の包装部 分に定められた表示7をしなければなり ません。  規制改革実施計画(2013年6月14日閣 議決定)及び日本再興戦略(2013年6月 14日閣議決定)において、食の有する健 康増進機能等に着目し、いわゆる健康食 品を始めとする保健機能を有する成分を 含む加工食品や農林水産物に関し、企業 等の責任において科学的根拠をもとに機 能性を表示できる新たな方策について、 2013年度中に検討を開始し、2014年度中 に結論を得た上で実施することとされま した。  これらの閣議決定を受けて、消費者庁 は2013年12月より「食品の新たな機能性 表示制度に関する検討会」を開催し、検 討を行っています。  同検討会における検討に当たっては、 ①安全性の確保、②機能性表示を行うに 当たって必要な科学的根拠の設定、③適 正な表示による消費者への情報提供に配 慮し、消費者の誤解を招かない、自主的 かつ合理的な商品選択に資する表示制度 とすることを、新たな制度の基本的な考 え方としています。また、「食品の機能 性表示に関する消費者意向等調査」を実 施し、その中で「米国のダイエタリーサ プリメント制度に関する課題等調査」と 「機能性表示に対する消費者の読み取り に関する実態調査」を行い、検討に活用 していくこととしています。

栄養機能食品とは

食品の新たな機能性表示制度に

関する検討

6)ビタミン12種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、 ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸)、ミネラル5種類(亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネ シウム)。 7)「栄養機能食品」の表示や「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」(栄養機能表示)等の表示。

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 2013年12月29日、株式会社マルハニチ ロホールディングス及び同社の連結子会 社である株式会社アクリフーズ(当時。 以下「㈱アクリフーズ」という)では、 群馬工場で生産された冷凍食品の一部か ら、本来含まれることのない農薬である マラチオン8が検出されたため、同一工 場で生産している全商品を、賞味期限に かかわらず自主回収する旨の発表を行い ました。  最初に、消費者から「群馬工場生産の ミックスピザから、石油・機械油のよう な臭いがする」との異臭苦情の申出が あったのは11月13日であり、その後も同 様の異臭申出が複数あったことを受け て、外部検査機関を通じて臭気分析定性 検査や残留農薬検査等を行いました。  残留農薬検査の結果、12月27日にピザ 1検体より2,200ppmの濃度のマラチオ ンが検出され、商品の自主回収に至りま した。  ㈱アクリフーズは回収開始当時、年末 年始ということもあり、自社のコールセ ンターに用意できた回線数が50台未満で した。一方、消費者から同社への電話が 殺到し、同社に電話がつながらない状態 が続くという事態となりました。  そこで消費者庁は㈱アクリフーズに対 して電話回線の増設を要請するととも に、消費者の身近な相談窓口である消費 生活センターと消費者ホットラインによ る相談受付について周知しました。  この結果、多くの消費者から「㈱アク リフーズに電話がつながらず困ってお り、商品を保有している場合の対処方法 を教えてほしい」といった内容の相談が、 全国の消費生活センター等に寄せられ、 2013年度の㈱アクリフーズの「冷凍調理 食品」に関する相談は3,707件となりま した。  なお、㈱アクリフーズでは、1月9日 には110回線、1月11日には210回線に増 設したため、これ以降、全国の消費生活 センターへの相談件数は減少しています (図表1-2-1)。消費者の安全に関する情 報を発信する事業者は、多くの消費者か らの相談を受け付けるための体制を早期 に構築することが必要となります。  ㈱アクリフーズの「冷凍調理食品」に 関する相談を性別・年代別に見ると、購 入者は女性が約8割を占め、30歳代~60 歳代までの年代が約4分の3を占めてい ます (図表1-2-2)。また、地域別に見る と「南関東」「近畿」「東海」といった大 都市を含む地域での相談件数が多くなっ ていますが、工場のある関東だけでなく

( 1 )

冷凍食品の農薬混入事

アクリフーズ事案の

発覚までの経緯

冷凍食品に関する

消費生活相談の状況

食の安全・安心の確保

第 2 節

8)マラチオンは、有機リン系の殺虫剤であり、中毒症状としては吐き気・おう吐、唾液分泌過多、発汗過多、下痢、 腹痛、軽い縮瞳等が知られている。 第2節 第1章 第1部   食の安全・安心の確保

(17)

全国各地から相談が寄せられています。  一方、㈱アクリフーズの「冷凍調理食品」 のうち生命身体に関する危害情報は、961 件でした。危害を訴えた人は男性38.1%、 女性53.5%と、購入者と比較して性別の 差が少ないことが分かります (図表1-2-3)。危害を訴えた人を年代別に見ると、 未成年者が32.3%と、比較的若年層に多 いこと分かります。 (件) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 (回線) 0 50 100 150 200 250 当初は 50回線未満 110回線に 増設 210回線に増設 1月6日 1月7日 1月8日 1月9日 1月10日 1月11日 1月12日 1月13日 1月14日 1月15日 1月16日 行政への 相談件数減少 (備考)  1 .PIO-NETに登録された2014年 1 月の「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」に関する消費生活相談情報(2014 年 4 月30日までの登録分)。      2 .コールセンター回線数は、㈱アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」中間報告より。 図表1-2-1 消費生活センター等への「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」に関する相談は、㈱アクリフーズコールセンターの改善とともに減少

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30歳代 17.1% 40歳代 23.6% 50歳代 18.0% 60歳代 17.9% 男性 20.0% 女性 78.9% 1,000 0 (件) 東北南部 北海道・東北北部 200 400 600 800 無回答(未入力) 九州北部 九州南部・沖縄 山陽 山陰 四国 近畿 東海 北陸 甲信越 南関東 北関東 244 176 26 303 124 188 78 117 584 374 181 182 883 244 70歳以上 8.7% 10歳未満 0.2% 10歳代1.3% 20歳代 4.9% 30歳代 17.1% 40歳代 23.6% 50歳代 18.0% 60歳代 17.9% 無回答(未入力) 8.2% 団体等、不明、 無回答(未入力) 1.1% 男性 20.0% 女性 78.9% (備考)  1 .PIO-NETに登録された2013年度の「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」に関する消費生活相談情報(2014 年 4 月30日までの登録分)。      2 .受付年月日が2013年12月29日以降のもの。      3 .契約当事者のデータを集計。 図表1-2-2 「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」は、性別では女性・年代では30~60歳代が購入している 第2節 第1章 第1部   食の安全・安心の確保

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 消費者庁は、㈱アクリフーズの12月29 日の発表を受け、30日に消費者に向けて 「㈱アクリフーズ群馬工場が製造した冷 凍食品は食べずに返品を」という内容の 注意喚起を行うと共に、消費者庁ウェブ サイト内の「リコール情報サイト」に商 品情報を掲載しました (図表1-2-4)。  2014年1月5日、消費者庁は、プライ ベートブランド商品を含む回収対象商品 のパッケージ画像入りのリストと、消費 生活センター等と消費者ホットラインに よる相談受付の紹介を公表しました。  1月6日、都道府県等の消費者行政担 当部署に対して、㈱アクリフーズ内の消 費生活センター専用電話回線の案内や同 センター用に作成したお客様照会の際に 使用するQ&Aの送付等の本事案に関す る情報を提供するとともに、1月7日に は、冷凍食品事案に関する重大事故等の 健康被害の情報が寄せられた場合の消費 者安全法に基づく速やかな通知を依頼し ました。  1月8日、内閣府特命担当大臣(消費 者及び食品安全)が、㈱アクリフーズの 幹部と面会し、「消費者被害が生じ得る 事案が発覚した場合は消費者へ速やかに 情報提供を行うこと」「行政に対しても 曜日や時間にかかわらず速やかに報告す ること」「回収対象商品、特に「アクリ フーズ群馬工場」の記載のないプライ ベートブランド商品については、消費者 が該当商品であることを認識できるよう に情報提供を行うこと」を要請しました。  1月14日、関係府省庁の局長級で構成 される消費者安全情報総括官会議を開催 しました。これは、事業者による自主回収 発表から約2週間が経過しても事業者へ の電話相談が増え続けていることと、関 係行政機関等への迅速な情報提供、プラ イベート商品を含む消費者への情報周知 に関し、関係府省庁や関係業界を含めた 取組が必要と判断したことによるものです。  その後、容疑者が逮捕、起訴され、事

消費者庁の対応

図表1-2-3 「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」は、幅広い層が危害を訴えている 10歳未満 15.8% 10歳代 16.4% 20歳代 11.6% 30歳代 12.8% 40歳代 9.4% 50歳代 9.3% 60歳代 9.1% 無回答 (未入力) 11.6% 男性 38.1% 女性 53.5% 70歳以上 4.2% 10歳未満 15.8% 10歳代 16.4% 20歳代 11.6% 30歳代 12.8% 40歳代 9.4% 50歳代 9.3% 60歳代 9.1% 無回答 (未入力) 11.6% 不明、 無回答 (未入力) 8.4% 男性 38.1% 女性 53.5% (備考)  1 .PIO-NETに登録された2013年度の「アクリフーズ」の「冷凍調理食品」に関する消費生活相談情報(危 害情報)(2014年 4 月30日までの登録分)。      2 .受付年月日が2013年12月29日以降のもの。      3 .被害者のデータを集計。

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件の概要が徐々に明らかになりつつある ことから、再発防止に向けた取組等につ いて議論するため、3月14日、消費者安 全情報総括官会議を開催しました。  以上の検討を経て、3月17日に「冷凍 食品への農薬混入事案を受けた今後の対 応パッケージ」(関係府省庁局長申合せ) を取りまとめました。  警察庁では、被害の拡大防止のために 関係行政機関との連携を図っています。  また、都道府県警察に対して、情報収 集、関係行政機関との連携の必要性等に ついて指示するとともに、こうした事件 等を認知した際には、必要に応じて、関 係行政機関に通報する等しています。こ れを受け、都道府県警察では、流通食品 への毒物混入の疑いがある事案を認知し た際には、迅速に捜査を推進し、責任の 所在を明らかにするよう努めるととも に、関係行政機関との情報交換を積極的 に行う等相互に協力しながら被害の未然 防止、拡大防止に努めています。  2013年12月29日、厚生労働省は群馬県 より自主回収について報告を受けたことを 公表するとともに、群馬県に対して原因 究明等必要な調査を行うよう指示しまし た。  12月30日、群馬県(保健所)が㈱アク リフーズ群馬工場に立入調査を実施しま した。  厚生労働省は、株式会社マルハニチロ ホールディングス及び㈱アクリフーズに 対し、速やかに自主回収を行うよう指導 するとともに、マラチオンの毒性の見解 に使用する指標を修正するよう指導しま した。また、全国の地方公共団体に対し、 ㈱アクリフーズが作成した自主回収製品 リストを情報提供し、自主回収が迅速に 進むように適宜指導するよう連絡しまし た。さらに、報道機関を通じて消費者に 回収対象商品を食べないよう注意喚起を 実施しました。  また、食品安全委員会は、12月30日、 株式会社マルハニチロホールディングス 及び㈱アクリフーズによる毒性の見解に 対する懸念を厚生労働省に伝達するとと もに、マラチオンの概要(ADI(1日摂 取許容量)、ARfD(急性参照用量)等) を食品安全委員会のウェブサイトに掲載 しました。  12月31日、厚生労働省は㈱アクリフー ズから、店頭からの撤去が終了した旨の 報告を受けました。同日、食品安全委員 会は、マラチオンの概要及び関係府省庁 の公表資料について、約1万人の会員に メールマガジンを配信しました。農林水 産省は、約1万6千人の消費者等の会員 にメールマガジンを配信しました。  2014年1月6日、厚生労働省は、株式 会社マルハニチロホールディングス及び ㈱アクリフーズより、自主回収状況と消 費者から寄せられた相談への対応状況に ついて確認し、全国の地方公共団体に対 しては、農薬(マラチオン)が検出され た冷凍食品に関連する健康被害が疑われ る事例として公表したものについて情報 提供するよう依頼し、翌日以降随時、全 国分を取りまとめた結果を公表しました。  1月9日、厚生労働省は、国際的な食 品安全問題に関する情報共有ネットワー ク(INFOSAN)へ情報提供しました。  1月16日、農林水産省は小売業者、卸 売業者に対し、消費者への情報提供の徹 底及び商品回収の協力要請に関する通知 を発出しました。  4月21日、農林水産省は「食品への意

関係府省庁の対応

第2節 第1章 第1部   食の安全・安心の確保

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図的な毒物等の混入の未然防止等に関す る検討会」を開催しました。  2013年12月29日、㈱アクリフーズは、 「群馬工場で生産している全商品の自主 回収」を発表し、図表入りの詳細説明と して、具体的には商品の裏面に、製造者 「株式会社アクリフーズ 群馬工場」と 記載されている全商品と説明していまし た。このため、製造者欄に「アクリフー ズ群馬工場」という記載のない一部のプ ライベートブランド商品についての消費 者への周知が不十分となってしまいまし た。これを受け、消費者庁は、2014年1 月4日、プライベートブランド商品を含 む、パッケージ画像入りの回収商品一覧 を公表しました。  プライベートブランド商品の場合で あっても、商品回収の際は、通常、「商 品名」、「JANコード9」、「賞味期限」 等 の情報をセットでいち早く公表できてい れば、混乱はなかったものと考えられま すが、今回の事案では、「㈱アクリフー ズ群馬工場」という情報が前面に出てし まったために、販売社名のみを記載し、 製造者名の記載がなく、かつ、製造所名 を「製造所固有記号」に代えて表示をし ていたプライベートブランド商品の表示 方法が分かりにくいとの指摘がなされま した。  製造所固有記号については、食品表示 法制定時の附帯決議でも指摘されている ように、消費者への分かりやすい情報提 供を行うという観点から制度的な見直し を求める声があります。一方で、パッケー ジに後から記号を入れるだけで済むこと で、複数の自社工場を持つ製造者が同一 パッケージを利用でき、また、販売者は、 効率性・経済性の側面から複数の製造者 に製造委託した場合でも同一のパッケー ジを利用できることから、表示に掛かる コストが削減できるメリットがあります。  こうした状況を踏まえ、消費者委員会 食品表示部会では、食品表示法に基づく 食品表示基準の議論の中で、消費者や事 業者の方々等の意見を幅広く聴きなが ら、製造所固有記号制度の在り方を検討 しています。

自主回収対象商品の分かりにく

さと製造所固有記号

9)日本工業規格(JIS)に定められている、商品識別番号とバーコードの規格一つ。 図表1-2-4 ㈱アクリフーズ農薬混入事案の主な経緯 2013年11月13日 ㈱アクリフーズへ、消費者から異臭の申出(石油・機械油のような臭い) 2013年12月29日 ㈱アクリフーズが群馬県保健所等に報告、自主回収を発表親会社であるマルハニチロ㈱によると2014年3月31日時点で約536万パックを回収。 2013年12月30日 消費者庁による、「食べずに返却」を呼び掛ける注意喚起(第 1 報) 2014年 1 月 5 日 消費者庁による、市販品リスト公表、「消費者ホットライン」を周知 2014年 1 月 8 日 ㈱アクリフーズ幹部が消費者担当大臣に対し、自主回収発表までの経緯等を報告 2014年 1 月14日 消費者安全情報総括官会議の開催(関係省庁の情報共有) 2014年 1 月25日 ㈱アクリフーズ群馬工場の契約社員を容疑者として逮捕 2014年 3 月14日 消費者安全情報総括官会議の開催(関係省庁の情報共有) 2014年 4 月30日 ㈱アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」中間報告公表 2014年 5 月29日 ㈱アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」最終報告公表

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 2011年3月11日の東日本大震災に伴う 東京電力福島第一原子力発電所の事故に より、環境中に放射性物質が放出され、 消費者の食品に対する不安が高まりまし た。このため、同年3月17日厚生労働省 は、食品の安全性を確保するための緊急 時の対応として、当時の原子力安全委員 会が定めていた「原子力施設等の防災対 策について」における飲食物の摂取制限 に関する指標を準用し、食品衛生法に基 づく食品中の放射性物質の暫定規制値を 定めました。  その後、食品安全基本法の定める手続 の下、食品安全委員会における食品健康 影響評価を始め、関係府省庁における検 討を経て、食品衛生法に基づく食品中の 放射性物質(放射性セシウム)の基準値 が定められ、2012年4月1日から施行さ れています。現在も引き続き、地方公共 団体により食品の検査が続けられてお り、基準値を超える食品が地域的な広が りをもって見付かった場合には、その品 目の出荷が止められています。  しかしながら、今も福島県を始めとす る被災地産の食品の購入をためらう風潮 は残っています。  このため、消費者庁では、消費者が不 正確な情報や思い込みに惑わされること なく、自ら安全な食品の選択が可能とな るように支援するため、関係府省庁、地 方公共団体、国民生活センターが連携し、 ①消費者サイドでの放射性物質検査体制 の整備、②消費者への分かりやすい情報 提供、③消費者とのリスクコミュニケー ション(意見交換会等)の積極的な開催 等、食品中の放射性物質に関する消費者 理解の増進に取組んできました。  放射性物質による食品の汚染に対し、 政府は、食品の出荷・摂取制限の設定と ともに、流通する食品の検査体制を整備 しました。また、消費者庁では、住民が 自宅の庭等で育てた自家消費作物等の食 品を持ち込んで検査できるようにするた め、国民生活センターと共同で、2011年 度より希望する地方公共団体に放射性物 質検査機器を貸し出しています。あわせ て、検査結果の信頼性を担保するため、 検査を担当する地方公共団体の職員等を 対象とした研修会も随時開催しています。  なお、配備した検査機器による検査結 果は、各地方公共団体が公表しており、 消費者庁のウェブサイト10からも確認で きるようにしています。  消費者庁では、消費者に分かりやすく 正確な情報を提供するため、2011年度以 降、食品・水道水に含まれる放射性物質 の検査結果や、出荷・摂取制限の設定状 況等を取りまとめて、ウェブサイトで公 開しています。また、放射線や放射性物 質の基礎から、食品中の放射性物質の基 準値や検査結果等について分かりやすく 説明する冊子「食品と放射能Q&A」

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食品中の

放射性物質への対応

食品中の放射性物質

消費者サイドでの放射性物質検査

体制の整備

消費者への分かりやすい

情報提供

10)http://www.caa.go.jp/jisin/kensakiki.html 第2節 第1章 第1部   食の安全・安心の確保

参照

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