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教員としてのキャリア形成について考えてみましょう

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第2章 教員の成長経験と意欲の源

~「教員の成長経験・職能開発に関する意識について」アンケート調査より~ 私たち教員は、自身の成長や今後より良く仕事をするために必要な資質や能力についてどのよ うに考えているのでしょうか。市内の全小中学校の教員を対象に行った意識調査の結果を元に、 様々な角度から教員の成長について探っていくことにします。 1. 教員としての学びの機会 私たち教員は、仕事に必要な資質や能力をどのように学び、身に付けてきたと考えているのでし ょうか。 ①「管理職や先輩からの指導や助言を通じて」は、いずれの世代でも最も多い割合を示してい ますが、若い世代ほど割合が高い傾向にあり、20 代の教員では 72.4%にも上っています。教員と しての経験も浅く、授業や学級経営に頭を悩ませることが多い状況にあって、管理職や先輩教員 からの指導やアドバイスは課題解決の大きな手がかりとなっているようです。教員の世代構成のい びつさが指摘され、同僚性が失われつつあるとの懸念が語られる中で、神戸の学校には、今もな お先輩教員が若い教員を教え育てる文化が確実に引き継がれており、教えられる側の若い教員 も先輩の指導をしっかりと受けとめていることが分かります。 ④「学年で割り当てられた仕事や校務分掌を通じて」が4番目に多い回答となっています。仕事 そのものが教員を育てるということであり、教員の職能開発にとって重要な機会だと言えます。特 に 30 代教員では 39.2%と他の世代に比べて特に高く、この世代の回答順の第2位となっていま す。教員経験も 10 年を過ぎ、徐々に学校の中堅として後輩の手本となったり、責任ある仕事を任 されたりするなど、学校の組織における役割や立場が 20 代のころとは変わってきていることが窺え ます。 全体でも回答の割合が高かった、「管理職や先輩教員の指導や助 言」、「研究授業など校内での研修」、「職員室での日常的な会話」、 「学年の仕事や校務分掌」などは、いずれも学校内での通常の業務を 通じて日々遭遇する様々な活動の場面ばかりです。このことは、学校 Q2:「あなたにとって教員として学ぶ機会となったのは、どのような場面だったでしょうか。」 ①「管理職や先輩からの指導や助言を通じて」(58.9%) ②「授業研究を含めた校内での研修を通じて」(40.3%) ③「職員室での同僚との日常会話を通じて」(31.6%)

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現場での日々の活動そのものが、特に若い教員にとっての重要な学びの機会となっていることを 示しており、OJT の意義や効果を裏付けていると言えるのではないでしょうか。 <表-1>「教員としての学びの機会」(複数回答 3つまで) ○数字は順位 順位 全回答者に対する% 20 代 30 代 40 代 50 代 教員 管理職 ① 58.9% 管理職や先輩からの指導や助言 を通じて ① 72.4% ① 66.4% ① 57.2% ① 50.0% ① 56.9% ① 67.4% ② 40.3% 授業研究を含めた校内での研修 を通じて ③ 37.0% ③ 36.1% ② 38.1% ② 45.3% ② 39.2% ② 44.4% ③ 31.6% 職員室での同僚との日常会話を 通じて ⑤ 32.7% ④ 36.1% ④ 30.4% ④ 29.9% ③ 32.3% ④ 44.4% ④ 31.2% 学年で割り当てられた仕事や校 務分掌を通じて ⑥ 28.0% ② 39.2% ③ 32.5% ⑤ 27.8% ④ 31.7% ④ 29.5% ⑤ 25.7% 初任者研修や経験者研修など、校外での 研修を通じて ② 43.7% ⑤ 32.7% ⑥ 22.4% 15.8% ⑤ 29.3% 11.4% ⑥ 24.7% 神小研・神中研などでの活動を通 じて 7.8% 15.6% ⑤ 29.0% ③ 34.2% 20.4% ③ 41.3% ⑦ 23.2% 学年打合せや職員会議などの会 議を通じて ④ 35.0% ⑥ 25.6% 17.4% ⑥ 19.8% ⑥ 24.4% ⑥ 18.3% 「教員は学校で育つ」・・・教員は、授業や学級経営などの子どもとのふれ合いや学校組織の一員として の様々な校務をこなす中で、日々、教員としての力量を身につけている。すなわち、実践を通しての学 びこそが教員を鍛える。その際、先輩や管理職の TPO に応じた適切な助言が効果的である。 「学校文化にスポットを当てる」・・・各学校は、「教員を育てる」場面や仕組みをその学校の文化として備 えている。そうした「今、ある」場面や仕組みを再点検することから始め、OJT の組織化と体系化を進め るとよい。 2. 成長を実感したとき 長い教員生活のなかでは、「自分は教員としてやっていける。」という確信や、「この道でやって いこう。」という決意につながるような、自分にとっての大きな節目の時期が訪れるものです。私た ち教員は、どのような体験を経て自分が教員として大きく成長できたと実感しているのでしょうか。 ①「学年行事や学級行事をやり遂げたとき」・・・・・運動会(体育会)や音楽会、修学旅行や自然 学校などの学校・学年行事は、子どもたちの成長にとってとても大切な機会だと言えます。目の前 の課題を解決するために仲間と協力しながら、目標に向かって頑張りぬく子どもたちの姿は、指導 する教員にも大きな喜びや達成感を与えてくれます。行事を成功に導くためには、個人としての Q3:「あなたが『教員として一皮むけた』という実感をもったのは、どのようなときでしたか。」 ①「学年行事や学級行事をやり遂げたとき」(43.8%) ②「難しい生徒指導上の課題を解決したとき」(30.8%) ③「研究授業をやり遂げたとき」(30.3%) ④「保護者や地域の人々から感謝されたとき」(30.1%)

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活動に加え周囲の同僚や先輩の協力を得ながら組織的な取組とすることが不可欠です。それだ けに、教職員の一体感が高まるチャンスでもあり、組織における自身の存在価値や役割に大きな 手応えを実感できる機会に成り得ると言えます。 次に、②「難しい生徒指導上の課題解決」を挙げた教員の割合は、世代が進むにつれて高くな っています。教員としての経験年数が長くなるほど、生徒指導に関する困難な場面に遭遇する機 会も当然多くなります。また、一般教員がこの回答を選んだ割合が 27.5%であるのに対して、管理 職では 44.4%と約半数近くとなっていて大きな違いが見られます。その体験が教員時代の体験な のか、現在の管理職としての体験なのかは判別できないものの、一般の教員に比べると、困難な 状況に直面しそれを克服した体験をした人が多く、その後の自身の成長に結びついたと実感して いるようです。 <表-2>「教員としての成長を実感できたとき」(複数回答 3つまで) ○数字は順位 3番目に多かったのは、③「研究授業をやり遂げたとき」でした。教員にとって授業力を高めるこ とが最も重要な課題であることは言うまでもありません。いい授業ができるようになるために、個々 の教員は様々に研究し、努力しています。その上で、やはり場数を踏むことが授業力を高めるた めの一番の方法だと言えるでしょう。自ら進んで研究授業に挑戦し、時に厳しい周囲の指摘や助 言にも真摯に耳を傾け、それをバネに授業改善に取り組むことが大切です。全体の集計では3番 目に多い回答となっていますが、小学校教員だけで見ると 41.6%を占め、①「学年行事や学級行 順位 全回答者に対する% 20 代 30 代 40 代 50 代 教員 管理職 小学校 中学校 ① 43.8% 学年行事や学級行事をや り遂げた時 ① 48.4% ① 49.7% ① 44.2% ① 38.2% ① 46.1% ③ 34.9% ① 42.1% ① 47.1% ② 30.8% 難しい生徒指導上の課題 を解決した時 22.0% ⑤ 27.2% ② 34.1% ② 35.2% ④ 27.5% ① 44.4% ③ 28.1% ② 36.2% ③ 30.3% 研究授業をやり遂げた時 ③ 26.0% ② 29.8% ⑤ 28.2% ③ 34.1% ③ 29.3% ④ 34.4% ② 41.6% 8.3% ④ 30.1% 保護者や地域の人々から 感謝された時 ④ 25.8% ④ 28.5% ③ 32.2% ④ 31.8% ② 29.6% ⑤ 32.2% ⑤ 27.4% ③ 35.4% ⑤ 27.0% 校内や学年で新しい役目・ 役割を与えられた時 ② 27.8% 22.7% ④ 29.0% ⑤ 27.5% 24.3% ② 37.8% ④ 27.7% ⑤ 25.7% ⑥ 25.2% 担当した児童生徒が卒業・ 進級した時 ⑤ 25.1% ③ 29.4% 23.5% 24.2% ⑤ 26.2% 21.0% ⑥ 21.4% ④ 32.5% ⑦ 15.3% 新しく設けられたプロジェク トをやり切った時 2.7% 7.1% 16.9% 24.2% 11.6% 29.7% 15.7% ⑥ 14.5% ⑧ 11.7% 管理職や先輩から褒められ た時 22.6% 11.4% 7.1% 9.2% 11.5% 12.4% 12.8% 9.5% ⑨ 9.7% 後輩から頼りにされていると 感じた時 1.8% 6.7% 12.2% 13.3% 8.2% 16.0% 10.1% 9.0% ⑩ 6.9% その他 6.7% 8.0% 7.7% 5.9% 7.7% 3.7% 7.1% 6.3% ⑪ 6.0% 新しい学校(職場)に異動 した時 5.4% 3.1% 5.7% 7.9% 5.5% 8.1% 5.3% 7.3%

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事をやり遂げたとき」に匹敵する2番目に多い回答となっています。一方、この回答を選んだ中学 校教員は僅かに 8.3%しかなく、小学校教員の実態とは大きな違いが現れています。今後は、授 業力向上に関して、教員個人の努力に任せるのではなく、学校全体として取り組むための改善や 工夫が求められます。 全体の割合としてはさほど多いとは言えないのですが、「後輩から頼りにされていると感じたと き」という回答に対する割合は、20 代から 30 代にかけて大幅に増え、さらに 40 代では 30 代の約2 倍に増えています。OJT を考えるとき、その効果は教えられる側の成長だけにとどまらず、教える 側である先輩教員の成長に及ぼす効果にも期待が持てることを示していると言えます。 「飛躍を支える3要素」・・・これまで経験したことのない課題に、主体的・中心的に取り組み、苦労しながら 克服できたときに、大きな達成感が得られる。つまり、「少し高いハードル」「自分に任された仕事」「達 成感」が、教員を大きく成長させる。組織マネジメントの中での、分掌や仕事の割当そのものが個々の 教員の OJT の効果に大きな影響を与える要因となる。 3. 教員としての意欲の源 教員の仕事は日々の子どもたちとの触れ合いを通じて、彼らの確かな成長を共に喜ぶことので きるやりがいある仕事だと言えます。しかしながら、その過程においては子どもに対して思いが十 分に通じなかったり、保護者の理解が得られなかったりして、悩んだり自信を失うことも少なくありま せん。それでもほとんどの教員が、そうした困難に押しつぶされることなく頑張っています。私たち 教員にとってのエネルギーの源となっているものは何なのでしょうか。 クラスのこどもたちの、「今日の授業、楽しかったよ。」「先生、ありがとう。」の言葉や笑顔は、それ までの苦労を一気に吹き飛ばしてくれます。すべての世代で教員の8割以上が①「児童生徒から の賞賛や感謝、期待」を選択しているのは当然の結果だと言えるでしょう。子どもが好きで教員に なった私たちにとって、子どもたちの成長する姿を目にすることは何物にも代え難い元気の源に 違いありません。 ②「保護者からの賞賛や感謝、期待、など」も、教員にとっては大きな心の支えや励みになるも Q4:「あなたが『教員として頑張ろう』と思うのは、何がそうさせているからでしょうか。」 ①「児童生徒からの賞賛や感謝、期待、など」(83.9%) ②「保護者からの賞賛や感謝、期待、など」(60.0%) ③「社会的な使命感の達成」(24.9%) ④「管理職や先輩からの賞賛や感謝、期待、など」(20.1%)

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Q4「頑張りの要因」(世代別比較) 90.4% 57.4% 9.2% 33.9% 5.4% 0.7% 12.1% 0.9% 4.3% 15.2% 84.9% 59.2% 10.2% 24.3% 4.5% 2.2% 13.4% 1.6% 4.7% 18.9% 83.8% 61.0% 13.7% 16.2% 3.8% 3.5% 13.6% 5.6% 4.3% 25.9% 80.8% 60.8% 17.0% 13.9% 5.3% 7.4% 14.8% 8.5% 5.3% 32.2% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0% 1.児童生徒からの賞賛や感謝、期待、など 2.保護者からの賞賛や感謝、期待、など 3.地域の人々からの賞賛や感謝、期待、など 4.管理職や先輩からの賞賛や感謝、期待、など 5.同年代の同僚からの賞賛や感謝、期待、など 6.後輩からの賞賛や感謝、期待、など 7.生活に必要な報酬の獲得 8.新しい職制への移行(学年主任など) 9.家族からの期待 10.社会的な使命感の達成 20代 30代 40代 50代 のです。教員になったばかりで、まだまだ未熟だった頃に、「先生、頑張ってください。応援してい ますよ。」と、保護者に励まされ元気づけられた経験をもつ持つ教員は少なくないでしょう。子ども の反抗に手を焼いていても、「先生には、ご迷惑をおかけしています。どうぞ、○男をよろしくご指 導ください。」と言われれば、この保護者のためにも諦めずに頑張ろうと思えてきます。 教員としての仕事に対する意義や価値観は、経験年数や年齢とともに少しずつ変化していきま す。例えば、「地域の人々からの賞賛や感謝、期待」、「新しい職制への移行」、「社会的な使命 感」などは、世代が進むにつれて回答の割合が高くなっています(図―1)。また、「管理職や先輩 からの賞賛や感謝、期待」が 20 代で最も高く、その後は徐々に割合が低くなっていくのに対して、 「後輩からの賞賛や感謝、期待」は、逆に世代が進むにつれてその回答の 割合は高くなっています。教えられる側の若手教員にとっては、教える側 の中堅やベテランの教員が考えている以上に、自分の取組を評価してもら うことが一層のやる気につながっているということが分かります。必要とされ ている側がその効果をより認識して、適宜、効果的な声かけをすることが、 特に若い教員の成長にとっては重要な要因になると言えそうです。 <図-1>「教員としての意欲の源」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(複数回答 3つまで)

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「仕事に対するやりがいや充実感を高める」・・・教員が、やりがいや働きがいを感じて仕事に取り組んで こそ、子ども達への教育の充実が図れる。日ごろのさりげない励ましや賞賛は、教員の仕事への意欲 や職能開発への意欲を高めるための重要な動機づけとなる。こうした、その時々の声かけやアドバイ スは、OJT の評価としても大切である。 4. 今、感じている課題 第 1 章「教員としてのキャリア形成」の中で、キャリアプラトーから次のステップへと進むためには、 自らの課題に対する自覚的な取組が必要であると述べています。今、教員は自分にとっての課題 をどのようにとらえているのでしょうか。 ①「授業力」を課題と考えているのは、20 代教員のおよそ半数、50 代教員では約3分の1の教 員となっています。また、校種による比較では、①「授業力」を課題と考えている小学校教員は 45.4%で、中学校教員の 30.3%に対して約 1.5 倍の高い割合を示しています。 ②「児童生徒理解や児童生徒への接し方」については、50 代教員の 24.0%が自身の課題と考 えており、世代別の比較では最も高い割合となっています。教員としての経験を積めば積むほど、 児童生徒の心情を理解し、共感をもって接することがいかに大切かということが、より強く認識され るようになる結果だと思われます。 選択肢をいずれか1つと限定したため、3位以下の回答では差がとらえにくくなっていますが、全 体的に 30 代以下の教員と 40 代以上の教員の間に、課題としている内容に違いがあるようです。 上位2つの課題を選択した教員の割合は、30 代までの教員に比べると 40 代以上の教員では約 10 ポイント低い値となっていて、回答が分散していることを示しています(表―3)。つまり、個々の 教員が感じている課題や求めるものが、多岐に亘っているととらえることができます。校務分掌や 新しいプロジェクトなどの責任者として、あるいは、新規採用教員をはじめとする若手教員の指導 者としてなど、職務上の責任ある立場に就いたり、家庭・家族や自身の健康面に関わることなどの 私的な要因も関係したりするなどて、それまでとは大きく状況が変わってくる時期であることが関係 しているのではないでしょうか。 Q5:「あなたが、今感じている教員としての自分の課題(テーマ)は何でしょうか。」 ①「授業力(学習指導)」(40.2%) ②「児童生徒理解や児童生徒への接し方」(20.1%)

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<表-3>「教員として今、感じている課題」(1つのみ選択) 順位 全回答者に対する% 20 代 30 代 40 代 50 代 小学校 中学校 1 40.2% 授業力(学習指導) ① 49.1% ① 45.9% ① 38.9% ① 28.9% ① 45.4% ① 30.3% 2 20.1% 児童生徒理解や児童生徒への接 し方 ② 19.5% ② 19.4% ② 17.2% ② 24.0% ② 21.5% ② 17.6% 3 7.9% 学級経営 ③ 13.5% ③ 10.7% 3.5% ⑥ 5.5% ③ 8.0% ⑤ 7.7% 4 7.3% 児童 生徒の 問題 行動 への 対応 (生徒指導) ④ 8.7% ④ 6.7% ④ 6.5% ③ 7.3% ⑤ 5.0% ③ 11.7% 5 6.0% 保護者への対応 ⑤ 6.1% ⑤ 4.7% ③ 7.6% 5.3% ⑥ 4.5% ④ 8.8% 6 5.1% 特別支援教育 ⑥ 2.5% ⑥ 4.7% ⑤ 5.7% ⑤ 6.9% ④ 5.6% 4.1% 7 4.1% メンタルヘルスを含めた健康管理 0.9% 2.7% ⑥ 5.1% ④ 7.3% 3.6% ⑥ 5.0% 8 2.9% 教育理念・教育哲学 0.2% 2.0% 4.1% 4.8% 2.5% 3.6% 9 2.6% 同僚との人間関係 0.7% 1.6% 4.7% 3.0% 2.0% 3.8% 10 2.2% その他 0.4% 1.8% 2.5% 3.8% 1.7% 3.2% 11 1.8% 地域の人々や関係機関への対応 0.4% 1.1% 4.3% 1.0% 1.0% 3.3% 12 0.7% 課外活動・部活動 0.7% 1.3% 0.6% 0.4% 0.0% 2.1% 13 0.5% 特にない 0.0% 0.0% 0.8% 1.2% 0.2% 1.1% 「課題は、授業力!」・・・校種や世代を問わず、多くの教員が、今の自分の課題は「授業力」だと感じてい る。今後の OJT では、授業力向上に重点を置いた、校内研修等の充実が不可欠である。 5. 課題を解決するために それでは、これら個々の課題を選択した教員が、その解決に向けてどのような機会を望んでいる のか、回答の多かったいくつかの課題について取り上げてみます。 最も多くの教員が課題と考えている「授業力」の解決方法については、全体では、①「職員全体 で行う校内研修」(23.1%)が最も多く、次いで、②「管理職や職場の先輩からの指導助言」 (20.4%)となっています。しかし、世代別に見ると 20 代・30 代教員は、①「職員全体で行う校内研 修」よりも、②「管理職や先輩からの指導助言」を希望する教員の方が多いことが分かります。(表 ―4) 「児童生徒理解や児童生徒への接し方」の課題についてはどうでしょう。「授業力」の場合とは 逆に、①「管理職や職場の先輩からの指導助言」(24.7%)が、②「職員全体で行う校内研修」 (19.5%)よりも多くなっています。そして、ここでも 50 代教員では、②「職員全体で行う校内研修」

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を望む教員が最も多く、その割合は 31.2%と他の世代に比べて特に多くなっています。(表―5) <表-4>「『授業力』の課題解決のために望む機会」 上段:(人),下段:(%) 順位 解決のために望む機会 20 代 (219) 30 代 (206) 40 代 (200) 50 代 (146) 計 (771) 1 職員全員で行う校内研修 41 49 52 36 178 18.7% 23.8% 26.0% 24.7% 23.1% 2 管理職や職場の先輩からの指導助言 80 61 10 6 157 36.5% 29.6% 5.0% 4.1% 20.4% 3 同年代の仲間との自主的な勉強会 28 14 11 14 67 12.8% 6.8% 5.5% 9.6% 8.7% 4 外部のセミナーや講演会 5 20 21 13 59 2.3% 9.7% 10.5% 8.9% 7.7% 5 スーパーアドバイザーなど外部の指導 22 8 13 10 53 10.1% 3.9% 6.5% 6.9% 6.9% <表-5>「『児童生徒理解や児童生徒への接し方』の課題解決のために望む機会」 上段:(人),下段:(%) 順位 解決のために望む機会 20 代 (87) 30 代 (87) 40 代 (89) 50 代 (122) 計 (385) 1 管理職や職場の先輩からの指導助言 42 30 18 5 95 48.3% 34.5% 20.2% 4.1% 24.7% 2 職員全員で行う校内研修 11 15 11 38 75 12.6% 17.2% 12.4% 31.2% 19.5% 3 総合教育センターでの研修 12 8 16 15 51 13.8% 9.2% 18.0% 12.3% 13.3% 4 同年代の仲間との自主的な勉強会 6 4 10 8 28 6.9% 4.6% 11.2% 6.6% 7.3% 5 異業種の人や地域の人々との交流 3 6 8 5 22 3.5% 6.9% 9.0% 4.1% 5.7% <表-6>「『学級経営』の課題解決のために望む機会」 上段:(人),下段:(%) 順位 解決のために望む機会 20 代 (60) 30 代 (48) 40 代 (18) 50 代 (28) 計 (154) 1 管理職や職場の先輩からの指導助言 34 15 0 0 49 56.7% 31.3% 0.0% 0.0% 31.8% 2 職員全員で行う校内研修 7 16 3 5 31 11.7% 33.3% 16.7% 17.9% 20.1% 3 同年代の仲間との自主的な勉強会 6 5 3 2 16 10.0% 10.4% 16.7% 7.1% 10.4% 4 外部のセミナーや講演会 2 2 6 4 14 3.3% 4.2% 33.3% 14.3% 9.1% 5 総合教育センターでの研修 1 2 2 5 10 1.7% 4.2% 11.1% 17.9% 6.5% 最後に、「学級経営」に関する課題についても触れておきます。ここでも、最も多かったのは① 「管理職や職場の先輩からの指導助言」(31.8%)で、次いで②「職員全体で行う校内研修」 (20.1%)となっています。しかし、最も多い①「管理職や職場の先輩からの指導助言」を選んだの

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は 20 代・30 代の教員だけで、40 代以上の教員でこれを解決手段として希望した教員はいません でした。また、30 代教員では、②「職員全体で行う校内研修」が 33.3%と最も多く、他の世代に比 べて特に高い値を示しています。 このように、その他の課題においても、「管理職や職場の先輩からの指導助言」と「職員全体で 行う校内研修」は解決のための機会として多くの教員が希望しています。大雑把な傾向として、 「管理職や職場の先輩からの指導助言」を希望しているのは 20 代・30 代の若い教員に多く、「職 員全体で行う校内研修」を希望しているのは特に 50 代のベテラン教員に多いようです。とはいえ、 ここで取り上げた3つの例を見ても、課題によって、あるいは、同じ一つの課題でも世代が違えば、 その解決のために希望する機会は異なっているので、研修の企画にあたっては、学びの対象とな る教員や取り上げるテーマを明確にすることが大事だと言えます。 ①「個々の教員の課題を把握する」・・・OJT を効果ある営みとするためには、それぞれの教員が自らの 課題(弱点)を自覚し、その改善や克服に主体的に取り組もうとする意欲をもつことが大切である。 ②「教えて育つ」・・・OJT は、指導される側の教員だけでなく、指導する側の先輩教員の成長にも効果が ある。中堅教員は、若手教員への指導を通じて、組織における自らの役割を認識し、視野を広げること ができる。また、ベテラン教員には長年の経験を通じて培ってきた指導技術を活かし、若手の育成や 職場のコミュニケーションを活性化させることで、学校の活性化に貢献することが期待される。 ③「全体研修に積極的に取り組む」・・・教員の多くは、全員で研修する機会をもちたいと考えている。 様々な考えに触れることで、発想を広げ、深めることができる効果や、何より、仲間と課題を共有し、そ の解決に共に取り組もうとする過程が、同僚性を高める上でも非常に大切である。これまでの全体研 修を見直し、その質を高めるための工夫・改善に積極的に取り組む必要がある。 今回の調査結果から 私たち神戸の教員は学校という職場でのコミュニケーションをとても大切にしているということが 窺えます。若い教員は管理職や先輩からもっといろいろなことを教えて もらいたいと思っています。中堅やベテランの先生は、若い先生の考え に積極的に耳を傾け意見を交わしながら自らも学ぼうとしています。そ れぞれの学校に根付いている教員同士の学びの機会を再点検し、より 効果的に今後も無理なく継続的に進めていける仕組みを整えていきた いものです。そのことが一人ひとりの教員の力量を高め、学校全体を活 性化することにつながるでしょう。

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