Title
男子前部尿道腺癌の1例
Author(s)
吉田, 修; 福山, 拓夫; 小松, 洋輔; 原田, 卓
Citation
泌尿器科紀要 (1967), 13(10): 750-758
Issue Date
1967-10
URL
http://hdl.handle.net/2433/113214
Right
Type
Departmental Bulletin Paper
Textversion
publisher
750 '泌 尿 紀 要13巻10号 『 、 昭 和42年10月.
男 子 前 部 尿 道 腺 癌 の1例
京都大学医学部泌尿器科学教室(主 任:加 藤篤二教授)
講
師
吉
田
修
大学院学生
福
山
拓
夫
大学 院学生
小
松
洋
輔
大学 院学生
原
田
卓
A CASE
OF ADENOCARCINOMA
OF THE
ANTERIOR
URETHRA
IN
MAN
Osamu YOSHIDA, Takuo FUKUYAMA, Yosuke
KOMATSU and TAKASHI HARADA
From the Department
of Urology, Faculty of Medicine, Kyoto Uoiversity
(Director : Prof. T. Kato, M. D.)
As compared with malignamt tumors of the other organs, carcinoma of the urethra in male
is a rare disease and adenocarcinoma
of the anterior urethra in male is still more rarely seen.
The present case is a 54 years old man who had a past history of gonococcus urethritis
at
age of 24. He noted himself to have a tumor on the ventral aspect of the urthra on the day
before the visit to our clinic.
Cystourethrography
revealed a slight shade defect in the anterior
urethra.
Under diagnosises of urethral tumor and prostatic stone, the patient was follwed as an
out—patient. In 10 months, the tumor grew to thum—tip size associated with pain on erection
and disturbance of urination so that the patient was brought in our hospital, A partial
amputa-tion of the penis with ileo—inguinal lymphnode discecamputa-tion was performed followed by irradiaamputa-tion
of 6,000 r Co,, and chemotherapy.
No evidence of recurrence is noted during 1 year period after
operation.
The extirpated specimen showed that the tumor was locating in the urethral spongiosa
arising from the navicular fossa extending to proximally at about 1.5 cm width and the urethral
mucosa appeared grossly normal.
Microscopically the area of tumor showed hollow formation
by neoplastic cells, in which contained PAS and mucicarmin
well—stained mucoid substances.
This case was supposed to have adenocarcinoma
originated from the internal urethral gland.
On this basis the case was the first reported one in Japan. So far two cases of adinocarcinoma
originated from the external urethral gland were reported in Japan.
Among 10 cases of adenocarcinoma
of the anterior urethra in male we could have collected,
the neoplasma was originated from the urethral gland in all except only one case in which it
was originated from the urethral
mucosa.
The case reported
by GOtzl was described to be
metastatic adenocarcinoma,
but we thought his case would be primary carcinoma
originated
from the urethral gland.
Also the case reported
by Dobos et al. was thought to be originated
from heterotopic Littre" glands.
緒 言 原 発 性 男 子 尿 道 癌 の 報 告 は,1834年Thiaud-iereの 記 載 に 始 ま り,組 織 学 的 検 索 に よ っ て そ の 診 断 が 確 証 さ れ た 症 例 は1861年Hutchinson の 報 告 を も っ て 腐 矢 と す る.欧 米 に お い て は, 1951年McCrea&Furユongが246例 を 集 計 し て い る が 現 在 で も な お500例 に 満 た な い も の と
吉 田他:男 子 前 部 尿 道 腺癌 の1例
思 わ れ る.本 邦 にお い て も,1912年
久 留 が 第1
例 を 報告 して 以来,文
献 上60例 弱 をか ぞ え るに
す ぎな い.す な わ ち,男 子 尿 道 癌 は 他 の 臓 器 の
悪性 腫 瘍 に 比 し稀 で あ り,組 織 学 的 に み て 腺 癌
と され る も の は さ らに稀 有 で あ る.
最 近,著 者 らは 男子 前 部 尿 道 海 綿 体 部 の腺 癌
症 例 を経 験 し た の で報 告 す る.
症
例
患 者:山 ○ 清 ○,56才,男 子,公 務 員 。 初 診:昭 和40年8月 玉0日. 主 訴=陰 茎 腹 側 の腫 瘤 の触 知. 家 族 歴:特 記 すべ き こ とは ない. 既 往 歴:21才 の 時,淋 疾 に 罹 患. 現 病 歴=初 診 日前 日に 陰 茎 腹 側 の 無 痛性 腫 瘤 に 気 付 い た の で 来 科 した.排 尿 痛,排 尿 困 難,膿 性 分 泌 物 な どは な い. 初 診 時所 見:体 格 中等,栄 養 可 。 限 瞼結 膜 に 貧 血 な く,腹 部 では,肝,腎,脾 と もに触 れ ない.両 側 鼠 径 淋 巴腺 に異 常 な く,外 陰 部,陰 茎,亀 頭,外 尿 道 口に も視 診 上 異 常 を 認 め な い,陰 茎 腹 側 を 触 診 す る と外 尿 道 口 よ り約3cmの 尿 道海 綿 体 部 に 大 豆 大,軟 骨 硬 の 硬 結 物 を 触 知 す るが,圧 痛 は ない,,ま た,尿 道 を 指 圧 し て も分 泌 物 は 得 られ ない.そ の 他,睾 丸,副 峯 丸, 精 索,前 立 腺 に も異 常 は 認 め られ な い. 初 診 時 膀胱 尿 道撮 影:前 部 尿 道 の腫 瘤に 一 致 す る部 に 辺 縁 が 平滑 な 陰影 欠損 を 認 め,前 立 腺 部 に 小豆 大 の 結 石 陰 影 を 認 め るが,後 部 尿 道 に は 著 変 を 認 め な い (図1). 膀胱 鏡 検査 所 見=膀 胱 鏡 の挿 入は 容 易 で,頸 部,三 角 部,両 側 尿 管 口等 に 異 常 な く,青 排 泄 も 正常 で あ る. 尿道 鏡 所 見:外 尿 道 口 よ り約3cmの 尿 道 下壁 に長 さ約1cmの 白 苔 付着 部 が あ り,そ の 内部 に2個 の小 陥 凹を 認 め,白 苔 の周 辺部 は 充 血 性 で あ る 、 以 上 の 如 き初 診 時所 見 よ り,尿 道腫 瘍 お よび前 立 腺 結 石 症 と診 断 され,外 来 で 経 過 観 察 を行 な う ことに し た.10月7日 に再 び膀 胱 尿 道 撮 影 を施 行 した が,前 部 尿 道 の 陰 影 欠損 は わ ず か に 増 強 してい る の み で あ っ た.し か し,そ の後 腫 瘤 は 次 第 に増 大 し,岩 石 様硬 と な り,圧 痛 を認 め,勃 起 時 疹痛 を訴 え る よ うに な っ た ので,手 術 お よび さ らに 必 要 な 検索 の た め昭 和41年5 月23日 入 院 した. 入 院 時 局所 所 見:陰 茎 腹 側 の 腫 瘤 は 小指 頭 大 に 増 大 し,岩 石 様硬,圧 痛 が あ り,表 面 は平 滑 で 尿 道 全 周 を 囲 饒 し て い るが,腫 瘤 に 一 致 す る包 皮 は外 観 正 常 で 腫 751 瘤 との 癒着 も認 め な い, 入 院 時膀 胱 鏡 お よび 尿 道 鏡 検 査:い つ れ も挿 入 不 能 で あ る. 入 院 時膀 胱 尿 道 撮 影:前 部尿 道 の陰 影 欠 損 は 尿 道 の 全 周 に お よび,尿 道 内腔 は 高 度に 狭 窄 状 で あ る が,陰 影 欠損 の辺 縁 は 平 滑 で あ る. 排 泄 性 腎孟 撮 影=造 影 剤 の排 泄 は 良 好 で,腎 孟 腎 杯 に著 変 を 認 め な い(図2). 淋 巴管 撮 影:両 側鼠 径 淋 巴腺,腸 骨淋 巴腺,大 動 脈 周 囲淋 巴腺 に 異常 陰影 を 認 め な い, 胸 部 単 純 撮影:両 肺 野 お よび心 に 異常 を 認 め な い. 諸 検 査成 績:尿 所 見,蛋 白 ズル フ ォ(一),ウ ロ ビ リノ ー ゲン正 常,赤 血 球(+)4∼5/視 野,白 血 球(+) 5∼10/視 野,上 皮(十)3∼4/視 野,細 菌(一). 赤 沈:1時 間 値3mm,2時 間 値6mm、 血 圧:最 高 血 圧140mmHg,最 低 血圧60mmHg. 一 般検 血 ・赤 血 球 数501×104 .白 血 球 数6,100, 血 色 素量15.19/d1,ヘ マ5ク リッ ト値46%,白 血 球像 は,好 中球56%,好 酸 球2%,単 球6%,小 淋 巴 球36 %.網 赤 血 球14%,栓 球 数6.4×104,出 血 時 間1分30 秒,凝 固 時 間9分30秒. 血 液 生化 学 検 査:総 蛋 白7.09/d1,残 余 窒 素28.6mg /dl,ク レ アチ ニン1.1mg/dl. 肝機 能 検 査:黄 疸 指 数4,コ バ ル ト反応4,カ ドミ ウム反 応7・ チ モー ル潤 濁 反 応1. 血 清 ワッ セル マン 反 応:陰 性. ASLO12Toddunit.CRP陰 性. 腎機 能 検 査:PSP試 験 では15分 値210cc13%,30 分 値100cc,Σ25%,60分 値55cc,Σ30%,120分 値 150cc,Σ]45%. 5月26日,前 部尿 道 の硬 結 に 対 し試 験 的組 織 切 除 を 行 ない,組 織 学 的 検索 の結 果,腺 癌 との 診断 を得 た. 5月31日 腰 麻 の も とに 腫 瘤 部 よ り約lcm近 位 に て 陰 茎 部 分 切 断 術 を行 な い,6月7日,両 側鼠 径 お よび 腸 骨 淋 巴 腺廓 清術 を 施 行 した,術 後 エ ン ドキサ ン総 量 4,200mgを 投 与 し,創 面 の治 癒 を み て か らCo60照 射 を 開 始 した.照 射 総 線 量 は 両 側 鼠 径 部 に 対 し6,000r で あ っ た. 現在,術 後1年 を 経 過 す る が,認 む べ き再 発所 見 は な い. 摘 出 標 本所 見:切 断 した 陰 茎 は,総 重 量29.7g,断 端 よ り亀 頭 先端 ま で約5cmで,尿 道 下壁 中 線 に 沿 い 割 面 を 入 力 る と,外 尿 道 口か ら約2。5cmの 尿 道 海 綿 体 部 よ り近 位 に 向い 約1.5cmの 長 さにわ た っ て腫 瘍 を認 め る.こ の腫 瘍 は 尿道 海 綿 体 を ほ とん ど占拠 し, 尿 道 周 囲 を ほ ぼ 完 全 に 囲続 し て い る,尿 道 粘膜 面 は こ752 吉 田他 ・男 子前 部 尿 道 腺 癌 の1例 の腫 瘍 に よ り多 数 の小 雛 襲 を 形 成 し,健 常 部 に 比 し光 沢 に 乏 しい が,腫 瘍,白 板,魔 燗 等 は認 め られ ず,粘 膜 面 の 可 動性 も良好 で あ る.さ らに,腫 瘍 と正 常 な 尿 道 海 綿 体 部 との移 行 部 は 境 界 不 明 瞭 で あ るが,陰 茎 海 綿 体 お よび そ の 白膜 との 境 界 は 明 瞭 で あ る(図3). 組 織 学 的 所 見:腫 瘤 部 の 矢 状断 に よる組 織 学 的 検 索 に お い て,尿 道 粘 膜 は ほ ぼ 正 常 で あ るが,尿 道 海 綿 体 は ほ とん ど腫 瘍 に よ っ て 占め られ,海 綿 体 洞 は 包 皮 に 近 い 部 に 僅 か に残 存 す るの み で あ る. 癌 巣 部 の細 胞 は,大 小 不 同 で ほぼ 円柱 状 を 呈 し,細 胞 質 内 に は 巨大 な空 胞 を 有 す る ものが 多 い.核 は一 般 に 多 形 性 で,大 小 不 同が み とめ られ,2個 の核 小 体 を 有 す る もの も あ り,こ カ らの腫 瘍 細 胞 は 尿 道 粘膜 お よ び 陰 茎 海 綿 体 にむ か って 浸 潤 性 に増 殖 し,あ る ものは 明 らか に 腺腔 を 形 成 して い る,腺 腔 を 形 成 す る細 胞 の 配 列 は 乱 れ て3乃 至4層 に 重 層す る部 分 もあ り,腺 腔 内に は 分 泌物 が 認 め られ る(図 一4,5).こ の分 泌 物 は PASお よびMucicarmine染 色 に 良 染す る粘 性 分 泌 物 で あ り,細 胞 質 内 空 胞 に も多量 に 認 め られ るが,正 常 部 の 尿道 側 管 あ る い は 尿道 腺 に は ほ とん ど認 め られ な い(図7,8,9). 陰茎 海 綿 体 は 正常 な構 造 を 有 し,癌 巣部 とは 厚 い 結 合 織 で 明瞭 に 識 別 され,腫 瘍 細 胞 の 白膜 へ の 浸 潤 は 認 め られ な い 尿道 海 綿 体 正 常 部 と癌 巣 部 との 移 行部 では 腫 瘍 細 胞 は 腺腔 を 形 成 しつつ 浸潤 し,間 質 に は 少数 の 円形 細胞 浸潤 を 認 め,ま た単 層 高 円柱 上 皮 よ り成 る正 常 尿 道 側 管 も認 め られ る(図6), そ の 他,摘 出 淋 巴腺 は 小 豆 大 よ り碗 豆 大 に 至 る もの 数 個 で,組 織 学 的 に は慢 性 淋 巴 腺炎 の像 を 呈 し,転 移 巣 は認 め られ な い,
考
按
ユ)交 献 的 考 察 男 子 尿 道 癒 は 他 臓 器 の 悪 性 腫 瘍 に 比 し稀 で あ るが,そ の う ち 腺 癌 と され る も の は さ ら に 少 な く,前 部 尿 道 に 発 生 し た 腺 癌 は 極 く稀 で あ る. McCrea&Furlong(1951)1}は 自 家 症 例7例 を 加 え た246例 の 原 発 性 男 子 尿 道 癌 症 例 を 蒐 集 報 告 し て い る が,腺 癌 は6例 に す ぎ ず,こ の う ち 前 部 尿 道 に の み 限 局 し た 症 例 はBedrna (1932)2).Lower&Hausfeld(1947)3}の 僅 か 2症 例 で あ る と し て い る.Bedrnaの 症 例 に お い て は 腫 瘍 は 尿 道 球 部 か ら 外 尿 道 口 よ り の 部 位 に ま で 存 在 し て お り,Lower&Hausfeldの 症 例 はTransitionalcellcarcinoma&papillary adenocarcinomaと 記 載 さ れ て い る 症 例 で あ る, Scott&Barelare(1952)4)は 男 子 後 部 尿 道 腺 癌 の1例 報 告 に お い て,尿 道 腺 癌 を 発 生 母 組 織 別 にCowper氏 腺 由 来,Littre氏 腺 由 来,尿 道 粘 膜 由 来 の3群 に 大 別 集 計 し て い る.こ の う ち,男 子 前 部 尿 道 に 関 し て は,Littre氏 腺 由 来 と 推 定 さ れ る01iver&Clunet(1907)5), Bedrna,Cirio(1946)6)の3例,お よ び 尿 道 粘 膜 に 発 生 し全 尿 道 に 波 及 し た と 考 え ら れ る Lower(1931)7)の1例 を 記 載 し て い る. Oliver&Clunetの 症 例 に お い て は,外 尿 道 口 よ り3cmの 近 位 部 に 腫 瘤 を 認 め 著 者 ら は 尿 道 腺 よ り 発 生 し た と 推 定 し て い る が,McCrea &Furlongの 集 計 で はMetatypicalepithelio-maと し てIndeterminatecarcinomaに 分 類 さ れ て い る. CirioはLittre氏 腺 原 発 腫 瘍 を 尿 道 腫 瘍 よ り 分 離 独 立 さ せ る べ く試 み た 最 初 の 著 者 で あ る. そ の 他,Dobos(1954)8)は 異 所 性Littre氏 腺(HeterotopicLittre'gland)よ り発 生 し た と 推 定 さ れ る症 例 を 報 告 し て い る. 本 邦 に お い て は 大 川(1928)9)の 症 例 を も っ て 噛 矢 と す る.す な わ ち,症 例 は 陰 茎 繋 帯 附 近 の 腺 癌 で あ り,尿 道 側 管 あ る い は 先 天 性 嚢 腫 に 原 発 し た と推 定 し て い る.こ の 報 告 の な か で, 氏 はG6tz1(1907)10}の1例 を 先 例 と し 詳 細 に 引 用 し て い る.す な わ ちG6tz1の 症 例 は72才 の 男 子 で,淋 疾 に 罹 患 し た こ と な く,排 尿 困 難 お よ び 排 尿 痛 を 主 訴 と し,陰 茎 振 子 部 に 扁 豆 大 の3個 の 結 節 を ふ れ る が,こ の 結 節 は 包 皮 と は 癒 着 せ ず,ま た 尿 道 粘 膜 に 腫 瘍 な く,組 織 学 的 検 索 に に よ り腺 癌 と さ れ た も の で あ る.G6tz1 は 転 移 性 の 腺 癌 で あ る と し た が,原 発 巣 を 遂 に 発 見 で き な か っ た こ と か ら,大 川 は 尿 道 側 管 に 原 発 し た 尿 道 腺 癌 で あ ろ う と 思 惟 し て い る. 次 い で 松 井(1938)11)が 外 尿 道 口 部 に 発 生 し た 腺 癌 症 例 を 報 告 し た.そ の 発 生 部 は,通 常 円 柱 上 皮 の 存 在 し な い 舟 状 窩 ま た は 外 尿 道 口 附 近 で は あ る が,恐 ら くは,こ の 部 に 存 し た 円 柱 上 皮 細 胞 ま た は 尿 道 腺 よ り 発 生 し,亀 頭 部 に 浸 潤 す る に 従 っ て 大 部 分 が 扁 平 上 皮 癌 に 化 生 し た も の と推 察 し て い る.Table1.Casesofprimaryadenocarcinomaofmaleanteriorurethra No. 1 2 3 Author Oliver&Clunet 1907 G6tzl 1907 Okawa 1928
41
Bedrna 1930 5 6 7 Lower 1931 Matsui 1938 Cirio 1946 Lower& 8Housfeld}1947
9 10 Doboseta1. 1954 1 Yoshida, Fukuyama, Komatsu& Harada 1967 Age 52 72 52 57 61 45 80 49 34 54 HistoryofPreviousl Genitourinary Disease (一) (一) Non-Gonorrheal urethritis (一) Gonococcal urethritis atage25 Gonorrheal infection atage25∼26 Gonorrheal infection atage25 Gonococcal urethritis atage24 RecentHistory-Duration Retentionofurine Tumorformation Fistulaformation 2years Tumorfo㎜ation Dysuria Mictionpain ClinicalExtent E Pendulous urethra Pendulous urethra Histopathology Adenocarcino-ma Adenocarcino-ma 書舗 ・・scharg・i 5L
Urethral orificel
iAdenocarcino-1
ma
Obstructionto urinationi
Cavemous urethra1
Adenocarcino-ma1
Dysuria E・tire・reth・a Bilateralingu-inalnodes Tumorformation painfu11 Hematuria 6mons. Painonerection Tumorforrnation Tumorformation Painonerection lomons, Frenulum Sulcus coronalis Penileurethra Pendulous urethra Adenocarcino-ma Squamouscell carcinoma& Adenocarcin-oma Adenocarcino-ma Transitonal cellcarcinoma l&Papillary
り
ladenocarcinoma Atthepubo-pen-ileangle,onthe dorsalsurface oftheshaft Cavernous urethra Adenocarcino-ma Adenocarcino-ma Probable Origin Internal urethral glands Internal ・urethra1 91ands Internal urethral 9正ands 卜 Internal urethral glands Treatment Localexcision Vesico-cutaneostomy Loca1 eXCISIon Extirpationof urethra X-raytoinguinal area&perineum UrethraI mucosa External urethral glands Internal urethral glands Internal urethral 91ands Heterotopic urethral glands Radicalexcision penis,testes &bilateraling-uina191ands Partialamputa-tionofpenis Extirpationof inguinal91ands 4somghrsradium Excisionofmass &Urethra 1,760mchrs radium Radicalamputat-ionofpenis Extirpationof inguina1,femoral glands Follow-up Cured Unknown Unknown Cured Internal urethral glands31/2yrs
noevidenceof
reccurence
Cured Cured Died6wks postoperatively Causeunknown Cured驚1藍
&iliacalglands照慧
糊
Co606,000r. Chemotherapy 1yearno evidenceof reCCurence コ昨 田 ,, i罫 o μ 『 ㎝ω754 吉 田他:男 子 前 部 尿 道 腺 癌 の1例
以 上,欧 米 お よび本 邦 文 献 上 集 録 し得 た前 部
尿 道 腺 癌 症 例 を一 括 して表1に
示 す が,僅 か10
例 に す ぎ な い.
2)原
発性 男 子 前 部 尿 道 腺 癌 と尿 道 腺
尿 道 は 発生 学 的 に は総 排 泄 腔 よ り生 ず る.総
排 泄 腔 は胎 児 長5∼6mmの
頃 に腹 側 部 と背 側
部 に分 れ 腹 側 部 の上 方 は膀 胱 お よ び第1次 尿 道
を,下 方 は尿 生 殖 洞 を形 成 し,こ れ らに接 す る
腹 側 の体 壁 よ り生 殖 丘 が 発 生 す る.男 子 尿 道 に
お い て は,尿 生 殖 洞 の骨 盤 側 よ り尿 道 前 立 腺 部
が形 成 せ られ,陰 茎 側 よ り尿 道 海 綿 体 部 が 形 成
せ られ る.尿 道 前 立 腺 部 お よび 膜 様 部 の粘摸 は
移 行 上 皮 で あ るが,膜 様 部 では 一 部 散 在 性 に 扁
平 上 皮 と な り,尿 道 海 綿 体 部 の 粘膜 は 大 部分 重
層 円 柱 上 皮 とな る.ま た球 尿 道 腺 は尿 生殖 洞 の
内 胚 葉 性 の一 部 の 上皮 か ら発 生 し,生 殖 嚢 の 癒
合 した周 囲 に あ る結合 織 か らは尿 道 海 綿 体 が 発
生 す る.
尿 道海 綿体 に は尿 道 に 開 口す る多 数 の尿 道 腺
が存 在 し,こ れ につ い て は佐 藤(1936)12}の
詳
細 な報 告 が あ る.
す なわ ち,Littre氏
腺 な る特 別 の腺 は存 在 せ
ず,男 子 尿 道 の粘 液 腺 は 全 て こ れ を 尿 道 腺
(Glandulaeurethrales)と
称 す べ き・
で,形 態 学
的 に は表 在 性 単 細 胞 腺,真 性 上 皮 内 腺,上 皮 下
単 孤 立 腺 お よび 上 皮 下 分 岐 孤 立 腺 の4種 に 区 別
し得,こ
れ の 排 泄 管 た る 尿 道 側 管(Ductus
paraurethrales)はGuerin氏
寳,Morgani氏
寳,
Herzog氏
の粘 膜 下 集合 腺 の 排 泄 管,Stieve氏
の尿 道 周 囲腺 の排 泄 管 の他,一 般 に い うLittre
氏 腺 の排 泄 管 に至 る もの まで一 切 の尿 道 粘 膜 陥
凹 を包 含 す る と し,尿 道 粘 膜 に 開 口 す る 内尿 道
側 管 と 尿 道外 に 開 口す る 外 尿 道 側 管 に大 別 し
た.
ま た 内尿 道 側 管 の尿 道 にお け る分 布 は,尿 道
上 壁 の 中線 に多 く存 し,側 壁 にや や 少 な く,下
壁 に は頗 る稀 で あ るか あ る い は全 く これ を欠 如
し,解 剖 学 的 部 位 よ りす る と亀 頭 尿 道 に は 稀 で
舟 状 窩 に や や多 く,海 綿 体部 に 最 も 多 い と述
ぺ,尿 道 下 壁 中 線 に 位 す る もの の な か に は尿 生
殖 裂 閉 鎖 に 際 して み られ る上 皮 の絞 約 作 用 に よ
っ て発 生 す る奇 形 的 側 管 が あ る と した.'
表1に
示 した 男 子 前 部 尿 道 腺 癌10例 中,尿 道
粘 膜 を 原 発 部 位 と す る もの は 僅 か1例
に す ぎ
ず,他 は 全 て尿 道 腺 ま た は尿 道 側 管 よ り発 生 し
ま た も の と 推 察 さ れ る.す な わ ち,大 川 の 症 例 お よ び 松 井 の 症 例 は 発 生 部 位 よ り し て 外 尿 道 側 管 に 由 来 す る 腺 癌 と 考 え ら れ,著 者 ら の 症 例 に お い て は 腫 瘤 は 尿 道 下 壁 に 存 し,尿 道 粘 膜 が ほ ぼ 正 常 な る こ と か ら,奇 形 的 な 尿 道 下 壁 中 線 側 管 ま た は これ に 属 す る 尿 道 腺 に 原 発 し た 稀 有 な る 症 例 と 考 え られ る.本 症 例 の ご と く,尿 道 海 綿 体 部 の 内 尿 道 側 管 ま た は 尿 道 腺 よ り 発 生 し た と 推 察 さ れ る 腺 癌 は01iver&Clunet,G6tz1, Bedrna,Cirio,Lower&Hausfeldの 症 例 た そ の 例 を み る の み で あ り,本 邦 に お い て は い まだ そ の 報 告 を み な い.Dobosら の 症 例 に お い て は,通 常 尿 道 腺 の 存 在 し な い 陰 茎 海 綿 体 に 腺 癌 を み た こ と か らLittre氏 腺 のHeterotopiqを 想 定 し これ に 原 発 し た も の と推 定 し て い る. Cowper氏 腺 お よ び 尿 道 腺 の 腫 瘍 に 含 め る か 否 か に つ い て は 議 論 の あ る と こ ろ で,Scott& Barelareは 尿 道 腺 の 腫 瘍 は 尿 道 に 近 く,腺 自 体 も 小 さ く,早 期 よ り尿 道 壁 お よ び 尿 道 内 腔 を 侵 襲 す る 故,尿 道 腫 瘍 と認 め る こ と は 妥 当 で あ る が,Cowper氏 腺 の 腫 瘍 は 尿 道 腫 瘍 に 含 め る べ き で な い と し て い る,し か し な が ら,外 尿 道 側 管 お よ び こ れ に 属 す る 腺 に 発 生 し た 腫 瘍,あ る い は 陰 茎 海 綿 体 のHeterotopicglandsに 発 生 し た 腫 瘍 を 尿 道 腫 瘍 の 範 疇 に 含 め る こ と に つ い て は,確 か に 疑 義 の 残 る と こ ろ で あ る. 上 述 の ご と く前 部 尿 道 腺 癌 は 大 部 分 尿 道 腺 ま た は 尿 道 側 管 に 由 来 す る が,こ の こ と は 尿 道 の 被 蓋 上 皮 が 大 半 円 柱 上 皮 ぐあ る に も か か わ ら ず そ こ に 原 発 す る 癌 が 大 部 分 扁 平 上 皮 癌 で あ る こ と と 考 え 合 わ せ る と興 味 深 い も の が あ る .大 多 数 の 尿 道 癌 が 組 織 学 的 に は 扁 平 上 皮 癌 で あ る 点 に つ い て,Spence&Denman(1957)13)は 慢 性 尿 道 炎,尿 道 狭 窄 と の 関 係 を 示 摘 し,McCrea &Furlongは 慢 性 刺 戟 に よ る尿 道 粘 膜 のMeta-Plasiaを 重 要 な 誘 因 と し て い る,藤 田 ら(1964) 均 は 本 邦 尿 道 癌 一 般 に つ い て の 統 計 に お い て , 既 往 に 淋 疾 を 有 す る も の44例 中27例 で 半 数 以 上吉 田他=男 子 前 部 尿 道 腺癌 の1例 の高 率 を 示 す と い い,ま た 前 部 尿 道 癌12例 中4 例 は 包 茎 ま た は 尿 道 下 裂 等 の 奇 形 を 有 し て い た と い う.そ の 他,外 傷 性 尿 道 狭 窄,慢 性 非 特 異 性 尿 道 炎,化 学 的 刺 戟,異 物,尿 痩 壁 よ り の 癌 性 変 化 な ど に よ るMetaplasiaも 誘 因 と 考 え ら れ て い る. か く の ご と く,尿 道 粘 膜 は 慢 性 刺 戟 に よ っ て 容 易 にMetaplasiaを お こ し,重 層 扁 平 化 す る の に 対 し,尿 道 側 管 お よ び 尿 道 腺 の 円 柱 上 皮 は これ ら の 刺 戟 に よ る影 響 を 受 け に く く,Meta-plasiaも 惹 起 し が た い と考 え ら れ,従 っ て 癌 化 の 際 に は 円 柱 上 皮 癌 乃 至 は 腺 癌 の 形 態 を と る も の と推 定 され る.他 方,仁 平,酒 徳 ら(1959) 15臆 含 ト リ ウ ム 造 影 剤 の 仮 尿 道 も し く は 尿 道 側 管 内 長 期 遺 残 に よ っ て 発 生 し た と考 え ら れ る 男 子 尿 道 扁 平 上 皮 癌 症 例 を 報 告 し て お り,如 何 な る機 序 に よ り癌 の 組 織 像 が 決 定 さ れ る か は 厳 密 に は 不 明 と い わ ざ る を 得 な い. 尿 道 前 立 腺 部 お よ び 膜 様 部 な ど の 後 部 尿 道 に お い て は,海 綿 体 部 に 比 し粘 膜 原 発 の 尿 道 腺 癌 が 多 い よ う で,Posso(1961)16}ら に よ る と5例 を か ぞ え る.こ の 場 合 に は 被 蓋 上 皮 た る 移 行 上 皮 のGlandularmetaplasiaが 先 行 す る と さ れ, 膀 胱 お よ び 腎 孟 に 稀 に 発 生 す る 腺 癌 と 機 を 一 に す る.Sauer&Blick(1948)17}に よれ ば そ の 組 織 像 は 極 め て 腸 粘 膜 に 酷 似 し,Kultschitzky andPanethce11が 存 在 す る と さ ら に 区 別 し 難 い と い う ま た 移 行 上 皮 よ り発 生 し た か か る 腺 癌 に お い て は,粘 性 物 質 はAlcian-bluepositive で あ る こ と が 特 徴 的 で あ り,他 方 尿 道 腺 お よ び Cowper氏 腺 よ り 発 生 し た 腺 癌 の 粘 性 物 質 は PAS-positiveで あ る と さ れ る. 3)症 状 お よ び 診 断 症 状 と し て は 尿 道 癌 一 般 に み られ る 排 尿 障 害,腫 瘤 の 触 知 の ほ か に 勃 起 時 不 快 感 ま た は 疹 痛 が 腺 癌 に 特 徴 的 で あ る と さ れ る.尿 道 腺 の 生 理 的 機 能 は い わ ゆ るUrethrorrheaexlibidine と し て 認 め ら れ る が,尿 道 腺 癌 に お い て は そ の 排 泄 が 早 期 に 障 害 さ れ る た め で あ る.著 者 ら の 症 例 に お い て も 患 者 は 勃 起 時 不 快 感 を 訴 え て お り,組 織 学 的 に も 管 腔 内 に 多 量 の 粘 性 物 質 の 貯 溜 を 認 め 得 た. 755
しか し,こ れ ら多 量 の粘 性 物 質 の貯 溜 が尿 道
側 管 の通 過 障 害 に よ るた め か,腺 癌 自体 の分 泌
能 充 進 に よるた めか に関 して は速 断 を さけね ば
な らな い
前 述 の ご と く前 部 尿 道 腺 癌 の大 部 分 は尿 道 腺
原 発 で あ るが,か か る場 合 に は患 者 は 腫 瘤 あ る
い は 硬 結 に気 付 き早期 診 断 も可 能 で あ る.
陰 茎 腹 側 に 腫瘤 を 触 知 し,包 皮 お よ び尿 道 粘
膜 に 異 常 を 認 め な い場 合 に は,良 性 腫 瘍 の 他 に
尿 道 原 発 の 悪性 腫 瘍 を 疑 い,試 験 的 切 除 に よ り
組 織学 的 検索 を行 な う必要 が あ る.
レ線学 的特 徴 は尿 道 狭 窄 像 で あ るが,経 過 を
追 っ て観 察 す る と急 速 に尿 道全 周 に お よぶ 陰影
欠損 を呈 し,し か も辺 縁 は平 滑 で あ る.
4)浸
潤 な らび に転 移
尿 道 癌 一 般 に,転 移 は通 常,鼠 径 淋 巴腺,腸
骨 淋 巴腺,後 腹 膜 淋 巴腺,肺,肝
な ど に み られ
る が,前 部 尿 道 癌 で は鼠 径 下 淋 巴腺 に も転 移 し
陰 茎 癌 の性 格 に類 似 す る.尿 道 癌 の進 展 につ い
て は志 田(1956)18).加
藤(1958)19)ら
は,尿 道
粘 膜 上 を進 展 す る型 お よび深 部 に浸 潤 す る型 の
2様 式 を認 め,前 者 は早 期 よ り排 尿 障 害 を 来 し
後 者 は海 綿 体 腔 に 急 速 に浸 潤 し尿 道 周 囲 膿 瘍,
尿 浸 潤 を来 す と述 べ て い る.
尿 道 海 綿 体 部 の 内尿 道 側 管 また は尿 道 腺 に 原
発 す る腺 癌 に お い て は第3の 様 式 を と るも の の
ご と くで あ る.す な わ ち,尿 道 を 囲編 して海 綿
体 部 を浸 潤 し,た め に尿 道 腔 の狭 窄 を来 す が,
尿 道 粘 膜 に は か な り後 期 に至 る まで ほ とん ど変
化 を認 め な い 点が 特 徴 的 で あ る.
5)治
療 お よび予 後
腫 瘍 の大 い さ,部 位,転 移 の有 無 な どが,治
療 方 針 を 決 定 す る上 で 重 要 な点 で あ るが,後 部
尿 道 癌 に 比 し前 部 尿 道 癌 は発 見 も早 く.浸 潤 お
よび 転移 も遅 い の で予 後 は よい.こ
の点 は腺 癌
につ い て も い え る こ とで,著 者 らの 集 計 した10
例 中再 発 に よ り死 亡 した例 は 皆 無 で あ る.
治 療 とし て は,陰 茎 部 分 乃 至 全 切 断 術 と共 に
鼠 径 淋 巴腺,腸 骨 淋 巴腺 等 の易11出
が望 ま しい と
され る.そ の他,化 学 療 法,放 射 線療 法 も試 み
るべ きで,本
症 例 に お い て は,陰
茎 部 分 切 断
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