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収支勘定をめぐる2つの解釈

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収支勘定をめぐる 2 つの解釈

Two interpretations of the income and expenditure account

片桐俊男

Toshio KATAGIRI

キーワード:貸方(借方)収入方式,資金会計組織,実体勘定,名目勘定,代位勘定 Key words:credit / debit income method,fund accounting system,real account,

nominal account,substitute account

要約 わが国における資金会計組織は,(1)従来型,(2)未分離型,(3)部分独立型,(4)完全独立型, および(5)統合型の 5 段階を経て発展してきた。統合型会計組織は,営利会計と非営利会計を統 合するために必要なものである。本稿では,統合型会計組織を構築するために必要な 2 つの勘定 組織,すなわち貸方収入方式と借方収入方式による勘定組織を検討している。 貸方収入方式による期中仕訳は,必ず実体勘定対名目勘定の組合せである。なぜなら,名目勘 定は,常に実体勘定の増減に係る原因・種類・内容を反対記入する勘定だからである。この場合, 収支勘定,増減勘定および損益勘定は,名目勘定である。これに対して,借方収入方式による期 中仕訳は,必ず代位勘定対代位勘定の組合せである。なぜなら,実体勘定の増減は,実体勘定に ではなく,代位勘定に記入されるからである。この場合,収支勘定,増減勘定および損益勘定は, 実体勘定の代位勘定である。以上のような解釈にもとづいて,2 つの勘定組織は構成される。 Abstract

The fund accounting system in Japan has developed through five phases: (1) conventional type, (2) unseparated type, (3) partially independent type, (4) completely independent type, and (5) integrated type. The integrated accounting system is what is necessary to integrate for-profit and non-profit accounting. In this paper, we are examining the two account organizations necessary to construct the integrated accounting system: credit income method and debit income method.

The journalizing during an accounting period by credit income method is always a

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combination of the real account versus the nominal account. This is because the latter is necessarily the account that is against the cause, type, and content in relation to the increase or decrease of the real account. In this case, the income and expenditure account, the increase and decrease account, and the profit and loss account are the nominal accounts. Meanwhile, the journalizing during an accounting period by debit income method is a combination of the substitute account versus the substitute account without exception. It is because the increase or decrease of the real account is filled not in the real account but in the substitute account. In this case, the income and expenditure account, the increase and decrease account, and the profit and loss account are the substitute accounts of the real accounts. Based on the above interpretation, the two account organizations are composed.

Ⅰ はじめに 複式簿記は,取引の二面性を複記したうえで,財産法と損益法の 2 つの計算によって,損益を 検証するシステムである。複式簿記のしくみは,パチョリ以来 500 年以上も,その姿をほとんど 変えずに,現在まで引き継がれてきた。「簿記は二つの完全科学のうちの一つである」(1)と指摘 されるように,その原理は確かに完全なものではあるけれども,勘定組織は,その機能を十分に 発揮しているとはいえない。たとえば,既存の勘定組織からは,貸借対照表と損益計算書を誘導 することはできるが,キャッシュ・フロー計算書を誘導することはできない。換言すれば,既存 の勘定組織は,損益情報を提供できても,キャッシュ・フロー情報を提供できないということで ある。 しかしながら,既存の勘定組織でも,貸借対照表や損益計算書と同様に,キャッシュ・フロー 計算書を誘導するための再構築は可能である(2)。勘定組織の刷新は,複式簿記(計算構造)のレ ベルで,営利会計と非営利会計の統合を検討するために必要である(3) そこで,本稿では,キャッシュ・フロー計算書を誘導するための勘定組織(以下では資金勘定 組織という)について検討する。とくに,資金勘定組織の中核となる収支勘定の解釈を中心に整 理する。 Ⅱ 資金会計組織の類型 わが国における損益会計組織と資金会計組織を結合するための研究は,図 1 に示すように,5 つの段階を経て推移してきている。なお,会計組織は,勘定組織および帳簿組織の 2 つから構成 される。 第 1 段階の従来型は,すべての資金計算領域が潜在したままの伝統的な損益会計組織である。 これには,染谷(1955)第 2 法がある。これは,従来の会計組織に要因別の収支を記録するための

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図 1 わが国における資金会計組織の発展段階 ※図 1 は,以下の文献を参考に作成した。 染谷恭次郎「簿記の目的―資金計算的職分を簿記の目的に加えんとする提案―」『會計』第 67 巻 第 6 号(1955.6)pp.44-51。 『資金会計論』中央経済社(1956)pp.258-261。 『増補資金会計論』中央経済社(1960)pp.268-275。 鎌田信夫「資金会計組織の構築」『南山経営研究』第 5 巻第 2・3 合併号(1991.2)pp.112-130。 佐藤倫正「資金会計の勘定組織」『會計』第 145 巻第 1 号(1994.1)pp.19-25。 「初期の統合会計研究に関する覚え書き―2003 年の共益三元簿記構想―」 『地域分析』第 55 巻第 1 号(2016.9)pp.76-81。

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補助帳簿を設ける方法である(4)。 第 2 段階の未分離型は,一部の資金計算領域が顕在化するものの,それ以外の資金計算領域は 潜在したままで,損益会計組織と資金会計組織は未分離の状態にある。これには,染谷(1955)第 1 法や染谷(1956)第 3 法などがある。第 1 法は,資金会計組織に繰越現金勘定と要因別の収支勘 定を設ける方法である(5)。第 3 法は,現金勘定を,繰越現金,現金収入,および現金支出に 3 分 割し,繰越現金には繰越額を,現金収入には収入額を,現金支出には支出額を記入して,同時に 補助簿である現金収入明細帳または現金支出明細帳に,要因別の収支を記入する方法である(6)。 これらの方法は,収入勘定を借方に,支出勘定を貸方に計上する方式(以下では借方収入方式と いう)によって処理する。 第 3 段階の部分独立型は,一部の資金会計組織が損益会計組織から分離したものの,それ以外 の資金計算領域は,なお損益会計組織に潜在している状態である。これには,染谷(1960)第 4 法 や鎌田(1991)がある。第 4 法は,資金概念に応じて,損益会計組織の資産と負債を,資金会計組 織へ移動させる方法である(7)。鎌田(1991)も損益会計組織の勘定を,一部資金会計組織へ移動さ せる点では同じであるが,第 4 法との違いは,増減勘定を設けて営業活動勘定で営業活動からの

キャッシュ・フロー(Cash Flow from Operating activities: CFO)を計算する点にある(8)。なお,

第 4 法および鎌田(1991)による方法では,2 つの会計組織に不均衡が生じるため,これを是正す るバランスウェイト勘定(資金勘定)が設けられる。これら 2 つの方法は,収入勘定を貸方に,支 出勘定を借方に計上する方式(以下では貸方収入方式という)によって処理する。 第 4 段階の完全独立型は,伝統的な損益会計組織のなかに潜在している資金計算領域のすべて を完全に分離する。これには,佐藤(1994)がある。佐藤(1994)は,資金会計組織に収支勘定と増 減勘定を設け,資金 3 勘定(収支・投資財務増減・営業増減)による資金法によって,損益計算を 行う方法である(9)。この方法は,収入勘定を借方に,支出勘定を貸方に計上する借方収入方式に よる処理を用いる。 第 5 段階の統合型は,営利会計と非営利会計を統合するために,損益会計組織と資金会計組織 を結合した会計組織である。これには,借方収入方式と貸方収入方式による勘定組織を用いる 2 つの方法がある。なお,佐藤(2003)は,借方収入方式による方法(10)であり,片桐(2021)は,貸方 収入方式による方法を用いる。 これまでの資金会計組織の発展段階を踏まえたうえで,資金会計組織は,①部分単会計組織(未 分離型),②部分複会計組織(部分独立型),③全部複会計組織(完全独立型),および④全部単会 計組織(統合型)の 4 つに類型化することができる(11)。表 1 は,この分類を仕訳方式別に示した ものである(12)。 表 1 から明らかなように,わが国の多くの会計学者は,現金勘定を収支要因別に細分化する染 谷(1955)第 1 法と同じ部分単会計組織を提案している。染谷は,第 1 法以外に第 3 法による部分

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単会計組織も提案している。また,鎌田および佐藤は,染谷(1955)第 1 法とは異なるタイプの資 金会計組織を提案している。染谷自身も第 1 法や第 3 法とは別の第 4 法による資金会計組織を提 案している。 Ⅲ 勘定体系の特徴 本節では,営利会計と非営利会計の統合に必要な勘定組織を,資金会計の観点から検討する。 営利会計(企業会計)と非営利会計(公益法人会計)が開示する財務諸表の内容は,ほぼ同様で ある。営利会計の主要な財務諸表は,貸借対照表,損益 計算書およびキャッシュ・フロー計算書(直接法または 間接法)の 3 つであり,非営利会計の主要な計算書類は, 貸借対照表,正味財産増減計算書(フロー式)および キャッシュ・フロー計算書(直接法)の 3 つである。営 利企業と非営利企業では,活動の目的が異なるため,損 益計算書と正味財産増減計算書(フロー式)の内容は異 なっているものの,基本的な構造は同じである。 そこで,以下では,貸借対照表,損益計算書および キャッシュ・フロー計算書を,同時に導出する勘定組織 として,貸方収入方式と借方収入方式の 2 つの方法を検 討する。なお,貸方収入方式は,非営利会計で採用され ている方法でもある(13)。 貸方収入方式による勘定組織は,表 2 に示すように, 貸借対照表勘定,損益計算書勘定,キャッシュ・フロー 表 1 仕訳方式の類型別分類 仕訳方式 類型 借方収入方式 貸方収入方式 1. 部分単会計組織 (未 分 離 型) 染谷(1955)第 1 法,染谷(1956)第 3 法, 杉本・洪(1995),山本(1996), 石川(1996) ,木戸田(1999), 上野(2001),佐藤(靖)(2001), 2. 部分複会計組織 (部分独立型) 染谷(1960)第 4 法,鎌田(1991) 3. 全部複会計組織 (完全独立型) 佐藤(倫)(1994) 4. 全部単会計組織 (統 合 型) 佐藤(倫)(2003) 片桐(2021) (筆者作成) 表 2 勘定組織(貸方収入方式)

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計算書(直接法)勘定,および財政状態変動表勘定の 4 つに分類することができる。このうち貸 借対照表勘定は実体勘定(14)であり,損益計算書勘定,キャッシュ・フロー計算書(直接法)勘定, および財政状態変動表勘定は名目勘定である。実体勘定の資産・負債・資本勘定と名目勘定の収 益・費用勘定は,伝統的な損益会計組織の勘定と同じである。しかしながら,この勘定組織には, 伝統的な勘定組織にはない 3 つの特徴がある。なお,この勘定組織は,安平(1994)の実体・名目 二勘定系統説による勘定体系(15)を援用し,これにいくつかの工夫を加えている。 第 1 の特徴は,資金計算領域の勘定として,収支勘定とその他の増減勘定が設定されることで ある。収支勘定は,収入勘定と支出勘定とに区別する。その他の増減勘定は,非現金資産増減, 負債増減,および資本増減に分けて,それぞれを増加勘定と減少勘定に区別する。 第 2 の特徴は,決算集合勘定として収支・増減・損益・残高勘定を設けることである。増減勘定 は,さらに資産負債増減と純資産増減の 2 つの勘定に分けられる。残高勘定には,大陸式決算法 に必要な開始残高と閉鎖残高の 2 つの勘定が設けられる。 第 3 の特徴は,実体勘定として,価値蓄積勘定が設定されることである。価値蓄積勘定は,企 業内部に蓄積された価値の実体をあらわす勘定である。この勘定は,残高を純資産増減勘定へ振 り替えて閉鎖する。 他方,借方収入方式による勘定組織は,表 3 に示すよ うに,この組織でも伝統的な損益会計組織と同様に,資 産・負債・資本・収益・費用勘定が設けられる。これ以 外に,この勘定組織には,次に示す 3 つの特徴がある。 第 1 の特徴は,資産・負債・資本勘定が,伝統的な損益 会計組織の実体勘定とは異なり,期首と期末の残高だけ を示して,期中の増減額は記録しないことである。この 点は,貸方収入方式の資産・負債・資本勘定と異なって いる。そこで,資産・負債・資本の期中増減額を記録す るために,この組織には収支勘定と増減勘定が設けられ る。収支勘定は,収入・受取勘定と支出・支払勘定に区 別され,増減勘定は,非現金資産増減勘定,負債増減勘 定,および資本増減勘定に区別される。 第 2 の特徴は,決算集合勘定として集合収支・増減・ 損益・残高勘定を設けることである。増減勘定は,さら に投資財務増減勘定と営業増減勘定の 2 つに分けられる。このうち集合収支・投資財務増減・営 業増減の資金 3 勘定による資金法によって損益計算が行われ,CFO を調整して,税引前当期純利 益を計算するしくみが組み込まれている(16)。営業増減勘定で計算された税引前当期純利益は, 表 3 勘定組織(借方収入方式)

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損益勘定へ振り替えられて,4 つの集合勘定が連繋する構造になっている。 第 3 の特徴は,資産・負債・資本勘定を閉鎖するために,資産・負債・資本の期中増減額をもう 一度振り戻す処理を行うことである。収支勘定と増減勘定は,資産・負債・資本の期中増減額を 記録するための勘定であるから,その残高は資産・負債・資本勘定へ振り替えられなければなら ない。ところが,収支勘定と増減勘定は,残高を資産・負債・資本勘定へは振り替えず,決算集 合勘定へ振り替えて,2 つの勘定を閉鎖する。そのため,収支勘定と増減勘定の残高を,もう一 度,資産・負債・資本勘定へ振り戻してから,資産・負債・資本勘定の期末残高を,閉鎖残高勘 定へ振り替えなければならない。 Ⅳ 会計処理の手順 (1) 貸方収入方式 貸方収入方式による勘定組織では,大陸式の開始残高勘定を使用して,開始仕訳が行われる。 開始仕訳は,開始残高勘定から資産勘定の借方,負債・資本勘定の貸方へ期首残高をそれぞれ振 り替える。収益・費用の再振替,期中取引および決算整理事項は,以下のとおり仕訳する。 1) 現金が増加する取引は,現金勘定を借方に,収入勘定を貸方に仕訳する。現金が減少する 取引は,現金勘定を貸方に,支出勘定を借方に仕訳する。この場合,現金勘定は,現金の入 と出の総額を記録する実体勘定となり,収入・支出勘定は,現金の入と出の個別的な原因・ 種類・内容などを明らかにする反対記入用の名目勘定となる。これら 2 つの勘定の組合せに よって,貸借複記が可能になる。 2) 非現金資産が増加または負債・資本が減少する取引は,非現金資産・負債・資本勘定を借 方に,非現金資産増加または負債・資本減少勘定を貸方に仕訳する。非現金資産が減少また は負債・資本が増加する取引は,非現金資産・負債・資本勘定を貸方に,非現金資産減少ま たは負債・資本増加勘定を借方に仕訳する。この場合,非現金資産・負債・資本勘定は,財 政状態の変動を個々に記録するための実体勘定となり,増減勘定は,財政状態の増減を明ら かにする反対記入用の名目勘定となる。これら 2 つの勘定の組合せによって,貸借複記が可 能になる。 3) 収益が発生する取引は,価値蓄積勘定を借方に,収益勘定を貸方に仕訳する。費用が発生 する取引は,価値蓄積勘定を貸方に,費用勘定を借方に仕訳する。この場合,価値蓄積勘定 は,価値の入と出の総額を記録するための実体勘定となる。また,収益・費用勘定は,価値 の入と出の個々の原因・種類・内容などを明らかにする反対記入用の名目勘定となる。これ ら 2 つの勘定の組合せによって,貸借複記が可能になる。

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貸方収入方式では,実体勘定(資産・負債・資本)と名目勘定(収支・増減・損益)とが 1 対 1 で対応する事象を取引と理解し,収支取引,増減取引(狭義)および損益取引の 3 つに分類する。 なお,3 種類の取引は,広義の増減取引と理解することもできる。したがって,貸方収入方式によ る取引要素の結合関係は,図 2 に示すように,8 とおりになる。①および②は,実体勘定である現 金勘定に変動をもたらす収支取引である。③から⑥は,実体勘定である非現金資産・負債・資本 勘定に変動をもたらす増減取引である。また,⑦および⑧は,実体勘定である価値蓄積勘定に変 動をもたらす損益取引である。この取引要素の結合関係は,非常に単純でわかりやすい。 (2) 借方収入方式 借方収入方式による勘定組織でも,大陸式の開始残高勘定を使用して,開始仕訳が行われる。 開始仕訳は,開始残高勘定から資産勘定の借方,負債・資本勘定の貸方へ期首残高を振り替える。 収益・費用の再振替,期中取引および決算整理事項は,以下のとおり仕訳する。なお,資産・負 債・資本勘定は,開始仕訳・振戻仕訳・閉鎖仕訳にだけ使用する。 1) 現金が増加する取引は,収入勘定を借方に,減少する取引は,支出勘定を貸方に仕訳する。 この場合,収入・支出勘定は,現金勘定の代位勘定(17)と考える。また,相手勘定は,資産・ 負債・資本以外の勘定となる。 2) 非現金資産が増加または負債・資本が減少する取引は,非現金資産増加勘定または負債・ 資本減少勘定を借方に,非現金資産が減少または負債・資本が増加する取引は,非現金資産 減少勘定または負債・資本増加勘定を貸方に仕訳する。この場合,非現金資産増減勘定およ び負債・資本増減勘定は,非現金資産・負債・資本勘定の代位勘定と考える。また,相手勘 定は,資産・負債・資本以外の勘定となる。 3) 収益が発生する取引は,収益勘定を貸方に,費用が発生する取引は,費用勘定を借方に仕 訳する。この場合,収益・費用勘定は,資本勘定の代位勘定と考える。また,相手勘定は, 資産・負債・資本以外の勘定となる。 図 2 貸方収入方式による取引要素の結合関係

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借方収入方式による結合関係は,図 3 から明らかなように,代位勘定同士で結合するが,収入 と支出および費用と収益の代位勘定同士は結合しない。①は,収入または支出と結合する収支取 引である。②は,非現金資産増加または非現金資産減少と結合する増減取引である。③は,負債・ 資本減少または負債・資本増加と結合する増減取引である。④は,費用または収益と結合する損 益取引である。いずれの取引も,実体勘定である資産・負債・資本勘定とは結合しない。したがっ て,借方収入方式による取引要素の結合関係は,すべて代位勘定対代位勘定の組合せになる。こ のように借方収入方式による結合関係は,貸方収入方式による結合関係と比べて複雑に結びつく ことになる。 Ⅴ 勘定の締切 (1) 貸方収入方式 貸方収入方式による勘定組織は,収支,資産負債増減,純資産増減,価値蓄積,および損益の 5 つの勘定が連繫し,2 つの利益検証機能が作用するしくみになっている。第 1 の利益検証機能 は,純資産増減勘定と価値蓄積勘定の利益額が一致する検証機能であり,第 2 の利益検証機能は, 損益勘定と資本金勘定の利益額が一致する検証機能である。さらに,損益勘定と価値蓄積勘定と の利益額の一致は,これら 2 つの利益検証機能の信頼性を担保する。また,収支勘定と資産負債 増減勘定の現金増減額とが一致して,収支計算の正確性を検証することもできる。図 4 は,現金 概念を用いた貸方収入方式による勘定連繫図を示したものである。 貸方収入方式は,以下に示す 5 つの集計作業を行って,各勘定を締め切る。 1) 収入・支出勘定の残高は,収支勘定へ振り替えて,収入・支出勘定を閉鎖する。収支勘定 の残高である収支差額(現金増減額)は,資産負債増減勘定へ振り替えて,収支勘定を閉鎖 する。 2) 非現金資産・負債の増減勘定の残高は,資産負債増減勘定へ振り替えて,非現金資産・負 債の増減勘定を閉鎖する。資産負債増減勘定の残高である純資産当期変動額は,純資産増減 勘定へ振り替えて,資産負債増減勘定を閉鎖する。 3) 資本(純資産)の増減勘定の残高は,純資産増減勘定へ振り替えて,資本(純資産)の増 図 3 借方収入方式による取引要素の結合関係 ※ 図 3 は,安平昭二『簿記要論〔六訂版〕』同文舘 (2007) p.45 の図を参考に作成した。

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減勘定を閉鎖する。価値蓄積勘定の残高である当期純利益(損失)は,純資産増減勘定へ振 り替えて,価値蓄積勘定を閉鎖する。純資産増減勘定は,貸借平均して自動的に閉鎖する。 4) 収益・費用勘定の残高は,損益勘定へ振り替えて,収益・費用勘定を閉鎖する。損益勘定 の残高である当期純利益(損失)は,資本金勘定へ振り替えて,損益勘定を閉鎖する。 5) 資産・負債・資本勘定の残高は,閉鎖残高勘定へ振り替えて,資産・負債・資本勘定を閉 鎖する。閉鎖残高勘定は,貸借平均して自動的に閉鎖する。 以上の手続きの結果,閉鎖残高勘定から貸借対照表を,損益勘定から損益計算書を,収支勘定 から直接法によるキャッシュ・フロー計算書を作成することができる。さらに,資産負債増減勘 定から財政状態変動表を作成することもできる。 図 4 貸方収入方式による勘定連携

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(2) 借方収入方式 借方収入方式による勘定組織は,集合収支,投資財務増減,営業増減,および損益の 4 つの勘定 が連繫し,損益法(損益勘定)と資金法(営業増減勘定)による利益が一致して利益検証機能が 作用する。図 5 は,現金概念を用いた借方収入方式による勘定連繫図を示したものである。 借方収入方式は,次に示す 6 つの集計作業を行って,各勘定を締め切る。 1) 収益・費用勘定の残高は,損益勘定へ振り替えて,収益・費用勘定を閉鎖する。 2) 収入・支出勘定の残高は,集合収支勘定へ振り替えて,収入・支出勘定を閉鎖する。 集合収支勘定の残高である収支差額(現金増減額)は,投資財務増減勘定へ振り替えて,集 合収支勘定を閉鎖する。 3) 投資財務活動に伴う非現金資産・負債・資本の増減勘定の残高は,投資財務増減勘定へ振 り替えて,投資財務活動に伴う非現金資産・負債・資本の増減勘定を閉鎖する。投資財務増 減勘定の残高である CFO は,営業増減勘定へ振り替えて,投資財務増減勘定を閉鎖する。 4) 営業活動に伴う資産・負債の増減勘定は,残高を営業増減勘定へ振り替えて閉鎖する。営 業増減勘定の残高である当期純利益(損失)は,損益勘定へ振り替えて,営業増減勘定を閉 鎖する。これにより損益勘定は,貸借平均して自動的に閉鎖する。 5) 集合収支・投資財務増減・営業増減勘定に振り替えた各増減勘定の残高(収支差額である 現金増減額を含む)を,資産・負債勘定へ振り戻す。ただし,資本金勘定へは,差額計算し て振り戻す。 6) 資産・負債・資本勘定の残高は,閉鎖残高勘定へ振り替えて,資産・負債・資本勘定を閉 鎖する。閉鎖残高勘定は,貸借平均して自動的に閉鎖する。 図 5 借方収入方式による勘定連携 ※図 5 は,北村敬子・新田忠誓・柴健次(編)『体系現代会計学[第 2 巻]企業会計の計算構造』中央経済社(2012), 佐藤倫正「第 9 章 資金会計論の計算構造」p.269 の図を参考に作成した。

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以上の手続きの結果,閉鎖残高勘定から貸借対照表を,損益勘定から損益計算書を,集合収支 勘定から直接法によるキャッシュ・フロー計算書を,営業増減勘定から SFAS95(18)による利益と CFO の調整表を作成することができる。 これまで述べてきた貸方収入方式と借方収入方式による一連の手続きを,次に示す佐藤(2003) の資料を使って比較する(19)。なお,佐藤モデルでは,勘定を締め切るために,開始仕訳と閉鎖仕 訳を修正している。 【資料】 《期首残高》 現 金 ¥180 売掛金 ¥200 商 品 ¥60 建 物 ¥350 減価償却累計額 35 買掛金 160 借入金 200 資本金 395 《期中取引》 ① 配当支払 ¥30 ⑤ 売掛金回収 ¥180 ② 有価証券取得 100 ⑥ 買掛金支払 100 ③ 商品掛仕入 260 ⑦ 諸経費支払 50 ④ 商品掛売上 380 《決算整理》 ⑧ 有価証券 時価 ¥80 ⑩ 減価償却 ¥35 ⑨ 商品棚卸高 原価 120 時価 ¥80 記号/ 番号 貸方収入方式(片桐モデル) 借方収入方式(佐藤モデル) 借 方 貸 方 借 方 貸 方 開始 仕訳 現金 180 開始残高 790 現金 180 開始残高 790 売掛金 200 売掛金 200 商品 60 商品 60 建物 350 建物 350 開始残高 790 買掛金 160 開始残高 790 買掛金 160 借入金 200 借入金 200 減価償却累計額 35 減価償却累計額 35 資本金 395 資本金 395 ① 配当支払 30 現金 30 資本金減少 30 配当支払 30 資本金 30 資本金減少 30 ② 有価証券支出 100 現金 100 有価証券増加 100 有価証券支出 100 有価証券 100 有価証券増加 100 ③ 商品 260 商品増加 260 商品増加 260 買掛金増加 260 買掛金増加 260 買掛金 260 ④ 売掛金 380 売掛金増加 380 売掛金増加 380 売上 380 価値蓄積 380 売上 380 ⑤ 現金 180 売掛金回収収入 180 売掛金回収収入 180 売掛金減少 180 売掛金減少 180 売掛金 180 ⑥ 買掛金支払 100 現金 100 買掛金減少 100 買掛金支払 100 買掛金 100 買掛金減少 100

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⑦ 諸経費支払 50 現金 50 諸経費 50 諸経費支払 50 諸経費 50 価値蓄積 50 ⑧ 有価証券減少 20 有価証券 20 有価証券評価損 20 有価証券減少 20 有価証券評価損 20 価値蓄積 20 ⑨ 商品減少 200 商品 200 売上原価 200 商品減少 200 売上原価 200 価値蓄積 200 商品評価損 40 商品減少 40 商品減少 40 商品 40 商品評価損 40 価値蓄積 40 ⑩ 減価償却累計額増加 35 減価償却累計額 35 減価償却費 35 減価償却累計額増加 35 減価償却費 35 価値蓄積 35 (a) 売掛金回収収入 180 収支 180 集合収支 180 売掛金回収収入 180 (b) 収支 280 配当支払 30 配当支払 30 集合収支 280 有価証券支出 100 有価証券支出 100 買掛金支払 100 買掛金支払 100 諸経費支払 50 諸経費支払 50 (c) 資産負債増減 100 収支 100 集合収支 100 投資財務増減 100 (d) 有価証券増加 100 資産負債増減 360 投資財務増減 130 有価証券増加 100 売掛金増加 200 資本金減少 30 商品増加 60 資産負債増減 255 買掛金増加 160 有価証券減少 20 減価償却累計額増加 35 商品減少 40 (e) 資産負債増減 5 純資産増減 5 営業増減 30 投資財務増減 30 (f) 資本金減少 30 純資産増減 30 営業増減 260 売掛金増加 200 商品増加 60 買掛金増加 160 営業増減 255 有価証券減少 20 減価償却累計額増加 35 商品減少 40 (g) 純資産増減 35 価値蓄積 35 損益 35 営業増減 35 (h) 売上 380 損益 380 売上 380 損益 380 損益 345 売上原価 200 損益 345 売上原価 200 諸経費 50 諸経費 50 減価償却費 35 減価償却費 35 有価証券評価損 20 有価証券評価損 20 商品評価損 40 商品評価損 40 損益 35 資本金 35 閉鎖 仕訳 売掛金 200 現金 100 有価証券 80 買掛金 160 商品 20 減価償却累計額 35 資本金 5* 閉鎖残高 990 現金 80 閉鎖残高 990 現金 80 売掛金 400 売掛金 400 商品 80 商品 80 有価証券 80 有価証券 80 建物 350 建物 350 買掛金 320 閉鎖残高 990 買掛金 320 閉鎖残高 990 借入金 200 借入金 200 減価償却累計額 70 減価償却累計額 70 資本金 400 資本金 400 ※(a)から(h)は決算振替仕訳である。 * 差額計算

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Ⅵ 貸方収入方式と借方収入方式の比較 これまで述べてきた貸方収入方式と借方収入方式の特徴を比較すれば,表 4 のとおりになる。 貸方収入方式による仕訳は,期中における資産・負債・資本勘定の増減を,従来の会計方式と 同様に,資産・負債・資本勘定へ記録し,同時に,収入・支出,増加・減少,収益・費用の各勘 定へも記録する。このため,価値蓄積勘定を設ける必要があり,これによって仕訳のパターンは, 実体勘定対名目勘定に統一される。その結果,1 つの取引が 2 重に仕訳され,仕訳量は借方収入 方式の 2 倍になる。 これに対して,借方収入方式による仕訳では,期中における資産・負債・資本勘定の増減を, 資産・負債・資本勘定へは記録せず,収入・支出,増加・減少,収益・費用の各勘定にだけ記録 する。このため,仕訳は,代位勘定対代位勘定のパターンに統一される。その結果,借方収入方 式の資産・負債・資本勘定は,従来の資産・負債・資本勘定とは異なり,期中残高を示さない。 また,借方収入方式では,決算時に,期中増減額を資産・負債・資本勘定ではなく,別の勘定へ 振り替える。そのため,期中増減額は,再度,資産・負債・資本勘定へ振り戻されなければなら 表 4 貸方収入方式と借方収入方式の特徴 貸方収入方式 借方収入方式 資産・負債・資本勘 定の特徴 従来どおり期中残高を示す。 期中残高を示さない。 収支・増減・損益勘 定の位置づけ 実体勘定が増減する原因・種類・内容な どを,明らかにするために必要な反対記 入用の名目勘定 実体勘定にかわる代位勘定 収支・増減勘定の計上 収入・増加勘定 貸方 収入・増加勘定 借方 支出・減少勘定 借方 支出・減少勘定 貸方 損益勘定の計上 収益勘定 貸方 収益勘定 貸方 費用勘定 借方 費用勘定 借方 価値蓄積勘定 ある。 ない。 仕訳量 従来の会計方式および借方収入方式の 2 倍になる。 貸方収入方式の 2 分の 1,従来の会計方 式と同じになる。 振戻仕訳 ない。 ある。 CFO と利益の調整表 作成できない。 作成できる。 仕訳パターン 実体勘定対名目勘定となる。 代位勘定対代位勘定となる。 利益検証機能 従来の会計方式の損益勘定と資本金勘定 による利益検証機能に加え,価値蓄積勘 定と純資産増減勘定による 2 組の利益検 証機能をもつ。 損益勘定と営業増減勘定による 1 組の利 益検証機能をもつ。従来の会計方式も, 利益検証機能は,損益勘定と資本金勘定 による 1 組である。 非営利会計(公益法 人会計)での採用 されている。 されていない。 (筆者作成)

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ない。これらの点から,借方収入方式の仕訳の手間は,貸方収入方式とさほどかわらない。 また,どちらの方式でも,収支・増減・損益勘定を設けるが,これらの勘定をどう解釈するか には,大きな相違がみられる。貸方収入方式は,これらの勘定を実体勘定の増減内容などを明ら かにする反対記入用の名目勘定と考える。この解釈では,実体勘定の増加をあらわす収入・増加・ 収益勘定は貸方に,実体勘定の減少をあらわす支出・減少・費用勘定は借方に計上され,その処 理に統一性が認められる。 一方,借方収入方式は,これらの勘定を実体勘定にかわる代位勘定と考える。この解釈では, 収入・増加勘定と費用勘定は借方に,支出・減少勘定と収益勘定は貸方に計上し,その処理に統 一性は認められない。したがって,会計処理が統一されている貸方収入方式は,借方収入方式よ り優れていると考えられる。 次に,CFO と利益の調整表は,損益勘定(損益法)と営業増減勘定(資金法)による利益検証 機能をもつ借方収入方式だけが作成できる。したがって,この利益検証機能のない貸方収入方式 は,CFO と利益の調整表を作成することはできない。ただし,貸方収入方式でも,集合収支・投 資財務増減・営業増減の資金 3 勘定による集計方法に組み替えれば,CFO と利益の調整表を作成 することができる。 最後に,非営利会計(公益法人会計)では,すでに貸方収入方式が採用され,借方収入方式は 採用されていない。これに対して,営利会計ではいずれの方式もまだ採用されていない。 Ⅶ おわりに 資金会計組織の発展段階を整理すれば,5 段階に区分することができる。それぞれの発展段階 では,異なる資金仕訳の方式が採用される。第 1 段階の従来型には,資金仕訳はない。第 2 段階 の未分離型および第 4 段階の完全独立型では,借方収入方式による資金仕訳が採用され,第 3 段 階の部分独立型では,貸方収入方式による資金仕訳が採用される。第 5 段階の統合型では,貸方 収入方式または借方収入方式のいずれかの資金仕訳を採用する。 以上 2 種類の仕訳方式は,収入・支出,増加・減少,および収益・費用勘定をめぐる 2 つの解釈 の違いから考案される。貸方収入方式による資金仕訳では,これらの勘定を反対記入用の名目勘 定と解釈し,借方収入方式による資金仕訳では,これらの勘定を実体勘定の代位勘定と解釈する。 反対記入用の名目勘定と解釈する場合,仕訳は,必ず実体勘定対名目勘定の組合せになる。また, 実体勘定の代位勘定と解釈する場合,仕訳は,必ず代位勘定対代位勘定の組合せになる。 このような特徴をもつ貸方収入方式の勘定組織は,営利会計における従来の勘定組織をもとに, 資金計算に必要な勘定を加えて構築される。これに対して,借方収入方式の勘定組織では,貸借 対照表勘定に期中増減額を記入しないため,従来の勘定組織とその構成が異なっている。このよ うに,貸方収入方式の勘定組織は,従来の勘定組織との同一性があり,実用化しやすいと考えら

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れる。また,貸方収入方式は,すでに非営利会計の実務において,採用されている方法でもある。 このような理由から,営利会計と非営利会計を統合するために必要な統合型会計組織には.貸方 収入方式が適している。

(1) 片野一郎訳『リトルトン会計発達史』同文舘(1952),p.21( )にアーサー・ケリーの記述がある。

(2) AARF and AASB, Australian Accounting Standard AAS28, , December 1991.(鎌田信夫・片桐俊男訳,オーストラリア会計基準第 28 号「現金収支計算書」『南山経営研究』 第 8 巻第 2 号(1993.9),p.321)の par.40 では,現金収入総額および現金支出総額に関する情報(直 接法情報)は,「各取引に関する現金収支を直接記録し分析する会計システム」,すなわち資金会計組織 から導出できることを指摘している。 (3) 佐藤倫正「企業会計と非営利会計の統合にむけて―共益三元簿記の構想と背景―」公益法人会計研究 委員会 最終報告『非営利組織会計の研究』(2017),pp.147-148。 (4) 染谷(1955)前掲書 pp.47-49。 (5) 染谷(1955)前掲書 pp.44-47。 (6) 染谷(1956)前掲書 pp.258-261。 (7) 染谷(1960)前掲書 pp.268-275。 (8) 鎌田(1991)前掲書 pp.121-125。 (9) 佐藤(倫)(1994)前掲書 pp.19-25。 (10) 佐藤(倫)(2016)前掲書 pp.76-80。 (11) この類型名に用いる「部分」とは,総財務資源より狭い資金概念に対応することができる会計組織を意 味し,「全部」とは,総財務資源まですべての資金概念に対応することができる会計組織を意味してい る。さらに,「複」とは,損益会計組織と資金会計組織のように 2 つの会計組織が設定されることを意 味し,「単」とは,複会計組織における 2 つの会計組織を融合して,1 つの会計組織に結合することを意 味している。 (12) 表 1 は,以下の文献を参考に作成した。 染谷(1955)前掲書 pp.44-47。 染谷(1956)前掲書 pp.258-261。 杉本典之・洪慈乙『キャッシュフロー計算書 その国際的調和化の現状と課題』東京経済情報出版 (1995),pp.174-177。 山本真樹夫「現金収支計算書の作成」『企業会計』VOL48, NO.10(1996.10),p.41。 石川純治『キャッシュ・フロー簿記会計論―構造と形態―』森山書店(1996),p.33。 木戸田力『会計測定の方法と構造―複式簿記システム概説―』創成社(1999),pp.92-102。 上野清貴『キャッシュ・フロー会計論』創成社(2001),pp.228-231。

(17)

佐藤靖「キャッシュ・フロー情報とキャッシュ・フロー諸勘定」『會計』第 160 巻第 3 号,(2001.9), pp.341-347。 染谷(1960)前掲書 pp.268-275。 鎌田(1991)前掲書 pp.121-130。 佐藤(倫)(1994)前掲書 pp.19-25。 佐藤(倫)(2016)前掲書 pp.76-81。 (13) 非営利会計における貸方収入方式は,以下の文献が詳しい。 伏見章『非営利法人の複式簿記』中央経済社(1959),pp.59-62。 番場嘉一郎・新井清光編著『公益法人会計』中央経済社(1986),pp.69-103。 加古宜士編著『公益法人会計基準の解説』(財)公益法人協会(2005),pp.191-212。 日本公認会計士協会非営利法人委員会「新公益法人会計基準適用に伴う収支予算書及び収支計算書の 取扱について」『非営利法人委員会研究報告』第 15 号(2005),pp.9-18。 (14) この勘定は,実在勘定または実物勘定ともよばれる。 (15) 安平昭二「会計システム論研究序説―簿記論的展開への試み―」『神戸商科大学研究叢書』XLIX, (1994),pp.60-65。 (16) 佐藤倫正『資金会計論』白桃書房(1993)では,この損益計算方式を資金法とよんでいる。 (17) 代位勘定については,安平(1994)前掲書 pp.133-136 に詳しく述べられている。

(18) FASB, Statement of Financial Accounting Standards No.95, , November 1987, par.29.

図 1 わが国における資金会計組織の発展段階 ※図 1 は,以下の文献を参考に作成した。 染谷恭次郎「簿記の目的―資金計算的職分を簿記の目的に加えんとする提案―」『會計』第 67 巻 第 6 号(1955.6)pp.44‑51。 『資金会計論』中央経済社(1956)pp.258‑261。 『増補資金会計論』中央経済社(1960)pp.268‑275。 鎌田信夫「資金会計組織の構築」『南山経営研究』第 5 巻第 2・3 合併号(1991.2)pp.112‑130。 佐藤倫正「資金会計の勘定組織」『會計』第 1

参照

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