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芸予諸島の小哺乳類(1)-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川生物(KagawaSeibutu)(26):17−20,1999

芸予諸島の小哺乳類(1)

川口 敏・北恵利子・野口和恵

〒760−8522高松市幸町1番1号 香川大学教育学部生物学教室

SmallMammalsonGeiyoIslandsintheInlandSea(1) SatoshiXawaguchi,ErikoKita&KazueNoguchi,BiolqgicalLaboYatO7y,Fbcul&Qf−Eiucation,物Wa 【ルー血′5巾.乃鮎川〟ねJ′循)−&5ヱ2Lわ♪のJ 県姫路市船津町4603−2)製の筒わな式「もぐ ら取り器」を用いた(えさなし)。ネズミ類の トラップはパンチコ∴−トラップで,えさはドッ グフ・一ド用ジヤ・一ヰーを用いた。図1に採集地 集は1998年3月27日から29日まで,伯方島・大 島における採集は1998年10月23日から24日まで に行った.。トラップは一・晩放置して翌朝回収し た。採集した哺乳類は実験室にもちかえって,

外部討測を行った。また,モグラに関しては解

剖を行って生殖器官より雌雄を判別し,頭骨を 取り出してその全長を計測した。種の同定は阿 部ほか(1994)により,モグラの学名は,Moto− kawa&Abe(1996)に従った。 その結果,高根島・生口島・大三島・大島の 4島よりアカネズミA♪odβ弼〟ざ∫♪βCよ0∫〟5が得 られ,大島からコウべモグラ〟卸椚=叫卿和 が得られた(表1)。よって,今回の調査により, 大島のコウベモグラと高根島のアカネズミを新 たな分布記録として追加することができた。モ グラの孔道は大島以外には見られず(表1),金 子(1974)の観察結果と一・致した。採集された アカネズミとコウベモグラの外部測定値,頭骨 全長を表2および表3に示しておく。 金子(1992)は面積10km2以上の島にアカネ ズミが分布し,これより面積の狭いアカネズミ の分布は二つの例外を除いて見られないという 結果を得た。今回,10km2に満たない高根島(5.. 78km2)でアカネズミが採集され,これは金子 (1992)の例外にあたる。しかし,高根島と生 口島はすでに高根大橋で結ばれているので, 瀬戸内海には.約3000の島が存在するが(由比 濱,1995),そのうち/ト晴乳類(ネズミ類・食虫 類)の記録のある島は,子安(1995)をみると, わずか14(友ヶ島。淡路島・小豆島・豊島・与 島・植石島・向島・因島・生口島・大三島・伯 方島・大島。長島・屋代島)しかない。こ.のよ うに,瀬戸内島喚部の小哺乳類相は不明な部分

が多い。また,島喚部は開発によって橋で結ば

れることが多く,橋を通じて晴乳類の移動・分 散が起こると哺乳類相が変化する恐れがある。 そこで,著者らは瀬戸内島喚部の小哺乳類の捕 獲調査を行い,現時点での分布を明らかにしよ うとしている。 今回は,芸予諸島のうちの5島(高根島・生 口島・大三島・伯方島・大島)における採集結

果を報告する。このうち,生口島・大三島・伯

方島・大島の4島については,西瀬戸自動車道 (尾道一今治ル・一ト)の架橋工事が始める以前 の1974年2月に小哺乳類の採集記録が行われた (金子,1974)。それによると,アカネズミ ㈲odβ別保5ゆβC壱05捉5(生口島・大三島・伯方島・ 大島)とハツカネズミ肋5弼加ざα肋5(生口島・ 大島)が採集され,大島においでモグラの孔道

が確認された。また,自然環境研究センダー

(1995)では,この5島における哺乳類の生息 状況について,鳥獣保護員を対象に直接面接に

よる聞き取り調査を行った。それによると,モ

グラ(種不明)が大三島および大島に生息する という。 モグラ類のトラップは,尾上製作所㈱(兵庫 ー17−

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図1り 芸予諸島採集地点略図い 点線は標高50mを示すい A,高根島:広島県豊田郡瀬戸田町高根(alt..80−100m) B,生口島:広島県豊田郡瀬戸田町垂水大里(alt。100−130m) C,大三島:愛媛県越智郡大三島町井口(alt.0−5m) D,大三島:愛媛県越智郡大三島町宮浦(alt。20−50m) E,伯方島:愛媛県越智郡伯方町叶浦宝殿山(altい50−60m) F,大 島:愛媛県越智郡吉海町仁江原神社周辺(alt…10−30m).. ー18−

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表3..大島(St.F)で捕獲されたコウぺモグラ 〟吻釧=明四川の外部計測値と頭骨全長. 表1.採集結果.−は調査地点周辺にて孔道が 見られなかったことを示す,. 標本 性別 体重 頭胴長 尾長 前足長 後足長 頭骨全長 番号 [g] 柚 hm]州 如] 加] 採集地点 採集日 アカネズミ pウベモグラ ♂♀(ワナ数)♂ ♀(ワナ数) A 28Mar\1998. 6 3(120) B 2臥MaT\1998 5 4(169) C 29MaI.199810(10) D 29りMar1998 2 7(167) E 24.Oct.1998小 0 0(55) F 24.Oct.1998. 01(60) 2 3(20) 829 ♂ 91,05 1336 201 206 200 36け9 832 ♂ 92。13 137…4 230 204 206 384 830 ♀ 82.51135り4184 190 20,0 362

831♀ 弧811446 211196 200 369

833 ♀100.48 150.319.4 20.2 20.5 39.1 ネズミは生口島から高根島へ容易に移動できる。 残念ながら,橋で結ばれる以前に高根島におい てアカネズミが分布していたかどうかは分から ない。 モグラ類の生息の有無は,モグラの孔道の有 無で容易に確認できる。したがって,金子(19 74)と今回の著者らの調査から,孔道の見られ なかった4島(高根島・生口島・大三島・伯方 島)には,モグラ類が生息して−いない可能性が 高い。しかし,自然環境研究センター(1995) の聞き取り調査によると,大島の他に大三島に もモグラが生息するという。著者らの調査した 範囲は狭いので,大三島にモグラが生息するか

どうかといった結論は出せない。今後,精査す

る必要があろう。ところで,今回調査した5島 はお互い隣接しており,気候条件もよく似てい ると思われるが,モグラのいる島といない島が

あるというのは興味深い。今のところ,著者ら

はモグラ類の分布パダー・ンに閲す−る見解をもっ ていないが,今後の他の島映部の分布調査によっ てその手掛かりを得たいと考えている。 末筆ながら,/モグラの生息に閲す−る有益な情 報,文献および終始ご指導,ご助言いただきい た香川大学教育学部教授の金子之史先生,なら びに爵重な文献を提供していただいた(財)自然 環境研究センター・の石井信夫氏にお礼申し上げ る。 表2.捕獲されたアカネズミ4ク0鹿沼〟5坤βCよ0ざ〟・S の外部計測値,. 標本 採集 性別 体重 頭胴長 尾長 後足長 【g]【mm][mm] [mm] 725 A ♂ 29.94105.9 1021 25.4 726 A ♂ 43.95120.8 1112 244 728 A ♂ 32.40105.9 946 240 729 A ♂ 32.06105.9 986 25.3 730 A ♂ 31.601091 973 252 733 A ♂ 28.73109.2 1025 251

727 A ♀ 2455 994 966 24り0

731 A ♀ 38.32115.11122 23.6 732 A ♀ 23.73100.3 84.7 233 746 B ♂ 40.25119.9 1046 25.6 747 B ♂ 43一971232 1090 25,2 748 B ♂ 4567131.2 1134 268 749 B ♂ 61‖23135い0 606+α 264 752 B ♂ 5576130.7 1208 25.0

744 B ♀ 3134109い5 1062 250

745 B ♀ 30.73105い2 97.0 241 750 B ♀ 2780104‖5 96.5 250 751 B ♀ 34り45112い81018 24“4※ 743 C ♂ 39ユ5120.2 101.8 25.6 736 D ♂ 33.77105.2 960 250 740 D ♂ 35.46113い9 102.6 24.3 734 D ♀ 37.54110.3 911 249※ 735 D ♀ 2873103‖0 28.3+α 23.4 737 D ♀ 26.45 96,2 85.8 230 738 D ♀ 30.28101,6 884 234 739 D ♀ 44.17117..5 1105 25,0 741 D ♀ 38.43101.7 990 240 742 D ♀ 25‖27 99..9 858 244 834 F ♀ 46.96118.8 111.2 24.9 ※は妊娠個体を示す.. −19一

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子安和弘.1995..フィ1一ルドガイド足跡図鑑(7 刷)..日経サイエンス社り 束京り

MotokawaM“andH..Abe‖1996Onthespecific

namesoftheJapanesemolesofthegenus

MQgen(Insectivora,Talpidae).MammalStudy

21:115−123一. 自然環境研究センタ−・小1995.平成6年度環境 審査調査(陸生生物調査)..東京. 由比濱省吾√.1995′.瀬戸内海′′ フランク・B・ ギブニー(編),ブリタニカ国際大百科事典 10:522−525り ティビーエス・ブリタニカ, 東京. 引 用 文 献 阿部永・石井信夫・金子之史・前田音四雄・三 浦憤悟・米田政明い1994,.日本の哺乳類“東 海大学出版会.東京.. 金子之史.1974い 本州四国連絡架橋に伴う周辺 地域の自然環境保全のための調査報告(その 2)学術調査編:23−27… 財団法人国立公園 協会. .1992“四国における野ネズミ3種の 地形的分布.日本生物地理学会会報47:127− 141. −20−

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