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資料 1 21 年度の防衛省組織改革に関する措置 1. 具体的内容 防衛大臣を補佐する体制を強化し 文民統制の徹底を図るため 形骸化している防衛参事官を廃止し 以下の措置を実施 (1) 防衛会議 ( 仮称 ) の法律上の新設防衛大臣をはじめとする政治任用者 文官 自衛官の三者が一堂に会して防衛省の所

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Academic year: 2021

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(1)

20.12.25

防衛省改革の取組みについて

1.21年度の防衛省組織改革に関する措置

2.22年度における防衛省組織改革に関する基本的考え方

3.田母神前航空幕僚長の更迭事案等について

4.護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故について

5.海上自衛隊抜本的改革について

(2)

21年度の防衛省組織改革に関する措置

1.具体的内容

防衛大臣を補佐する体制を強化し、文民統制の徹底を図るた

め、形骸化している防衛参事官を廃止し、以下の措置を実施。

(1)防衛会議(仮称)の法律上の新設

防衛大臣をはじめとする政治任用者、文官、自衛官の三者

が一堂に会して防衛省の所掌事務に関する基本的方針につい

て審議する機関として、防衛会議を法律上新設。

構成員は、防衛大臣ほか、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、 防衛事務次官、官房長・局長、各幕僚長及び情報本部長。

(2)防衛大臣補佐官(仮称)の新設

防衛省の所掌事務に関する重要事項に関し、自らが有する

高い見識に基づき、防衛大臣に進言等を行う防衛大臣補佐官

を3人以内置くこととし、防衛大臣が政治任用(21年度に

おいては非常勤 。

(3)その他

防衛省改革担当審議官(防衛省改革総括官)の新設。

防衛省改革推進室の新設。

2.今後の予定

防衛省設置法及び自衛隊法の改正。

防衛会議に関する細部事項を定める省令の策定等。

資料1

(3)

資料2 22年度における防衛省組織改革に関する基本的考え方 20年12月 防 衛 省 本年7月15日に防衛省改革会議の報告書(報告書)がとりまとめられ、防 衛省としては、報告書に示された提言を実現するため、7月18日に防衛大臣 を本部長とする防衛省改革本部を設置し、8月26日に「防衛省における組織 改革に関する基本方針」及び「防衛省改革の実現に向けての実施計画について」 をとりまとめた。 爾後、防衛省改革を早期にかつ計画的に実現するため、防衛会議の法律上の 新設を含む21年度における措置の実施のための作業を行うとともに、22年 度組織改革に向けて省内で精力的な検討作業を行っているところである。 今回、22年度における抜本的な組織改革について、その後の検討作業によ り、基本的な方向性等が得られたことから、これらをとりまとめ、「22年度に おける防衛省組織改革に関する基本的考え方」として示すこととする。 今後、この基本的考え方に基づき、前航空幕僚長に関する事案も踏まえつつ、 省内の検討作業を推進する。 1 組織改革の目的 抜本的な組織改革については、不祥事の再発を防止するため、報告書で提 言された改革の3原則をより確実にかつ効果的に実行するとともに、今日の 自衛隊を取り巻く安全保障環境の変化や自衛隊に求められる役割の重要性に 鑑み、文民統制を確保しつつ、人材を有効に活用して自衛隊を積極的・効率 的に機能させることができるようにするために、行うものである。 こうした目的の下、文官と自衛官との一体感の醸成と協働体制の確立を図 りつつ、防衛政策局の機能強化、統合幕僚監部の機能強化、整備部門の一元 化、管理部門及び人事、教育・訓練部門における施策を行う。 2 文官と自衛官との協働体制の確立 文官と自衛官は、それぞれ専門的知識や経験を持っており、内部部局、統 合幕僚監部、各幕僚監部等において、両者が混在して、あらゆる局面で協働 することが、防衛省・自衛隊の全体最適のためには必要である。 このため、現在の制度では困難な自衛官の内部部局における定員化を制度 化するとともに、その専門性に応じて文官と自衛官を適切に配置し、真に文 官と自衛官が協働できる体制を構築する。

(4)

3 防衛政策局の機能強化 (基本方針) 防衛政策の企画・立案・発信機能を向上させるため、次長クラス以下に自衛官を組み入れる ことなどにより、防衛政策局を拡充する。 (実施計画) ○ 中長期的な観点からの防衛政策の企画立案機能の強化、国外における地域ごとの多様な安 全保障上の課題に適切に対応し得る機能の強化などに留意し、防衛政策局を組織改編。 ○ 機能が強化される統合幕僚監部、陸・海・空幕僚監部との関係の整理、新たな防衛力整備 部門との適切な連携。 ○ 防衛政策局の次長クラス以下に自衛官を配置するなど、文官と自衛官を混在させる組織に 改編。 (1)新たな防衛政策局構築の基本的方向性 ① 防衛政策の要としての機能強化 我が国の安全保障を確保するため防衛省・自衛隊の役割は益々増大す る傾向にあるが、安全保障分野において内閣総理大臣及び防衛大臣を適 切に補佐し、文民統制をさらに徹底し、より実効的な政策を実施するた めには、官邸の司令塔機能の強化と合わせ、我が国の防衛政策の要とな るべき防衛政策局の機能を強化することが必要である。 ② 整合のとれた防衛政策遂行体制の構築 22年度の組織改革において、運用企画局が廃止され統合幕僚監部の 機能が強化されるとともに、防衛力整備部門が新たに創設されるなど、 防衛省の組織が抜本的に改編されることとなるが、防衛政策局において は、各幕僚監部や新たな整備部門などと緊密に連携するための機能を強 化し、防衛省全体として整合のとれた防衛政策を遂行できるような体制 を構築する。 (2)組織改革の具体的な方向性 ① 中長期的な観点からの防衛政策の企画・立案・発信機能の強化 報告書においては、官邸の司令塔機能の強化を図るため、官邸が我が 国としての安全保障戦略を策定することが提言されていることから、防 衛省としては、例えば、「防衛戦略(仮称)」を策定するなど、官邸によ る戦略の策定に積極的に寄与し、中長期的かつ総合的な観点から防衛政 策を企画・立案し、発信する機能を強化する。

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② 国際的活動を含む国際・地域分野での政策の企画・立案機能の強化 我が国の安全保障をより確固たるものとするため、防衛省・自衛隊に よる国際的活動が一層求められており、また、防衛省として、国外にお ける地域毎の多様な安全保障上の課題に適切に対応する必要がある。 中長期的かつ総合的な防衛政策の企画・立案・発信機能とともに、上 記のような役割に資するよう、各種情報の収集・分析能力を強化すると ともに、情報部門、運用部門と連携し、国際的活動を含む国際・地域分 野での政策の企画・立案機能を向上し、あわせて防衛交流・多国間安保 対話・軍備管理・軍縮等を戦略的に実施する体制を強化することが必要 である。 ③ 防衛政策局における自衛官の配置 上記のような防衛政策局の機能強化を図るため、次長クラス以下に自 衛官を組み入れることとし、防衛政策の企画・立案の際、自衛官の知見 や経験を直接反映できる体制を構築する。 4 統合幕僚監部の機能強化 (基本方針) 自衛隊の運用に関する機能を一元化するため、運用企画局を廃止し、その機能を統合幕僚監 部に移管するとともに、副長クラス以下に文官を組み入れるほか、統合幕僚長と各幕僚長との 関係も考慮しつつ、統合幕僚監部の機能を強化する。 (実施計画) ○ 運用企画局を廃止し、統合幕僚監部にその機能を移管することにより、自衛隊の運用機能 を一元化。 ○ 自衛隊の運用に関する重要な事項、例えば、部隊出動の決定などについては、防衛政策局 を通じて、防衛会議の審議を経て、防衛大臣が決定する仕組みを確立。 ○ 統合幕僚監部は、副長クラス以下に文官を配置するとともに、統合幕僚長と各幕僚長との 関係も考慮しつつ、自衛官と文官を混在させる組織に改編。 (1)新たな統合幕僚監部構築の基本的方向性 自衛隊を抑制的に管理し、防衛力整備を重視する時代から、大規模災害、 不審船等各種事態への対処、国際平和協力活動の実施など多様な役割を果 たす自衛隊をより的確に運用する時代へと変化し、我が国を取り巻く安全 保障環境の変化や危機管理意識の高まり等もある今日、各種事態に迅速か つ実効的に対応し得るよう、運用企画局を廃止し、自衛隊の運用を一元的 に担う新たな統合幕僚監部を構築する。

(6)

なお、その際、自衛隊の統合運用の実効性をより高めるため、統合幕僚 長と陸・海・空幕僚長との関係について検討し、適切な措置を講ずる。 (2)組織改革の具体的な方向性 ① 運用企画局の廃止 運用企画局と統合幕僚監部の実態としての業務の重複に起因する責任 の不明確な部分を解消するとともに、一つの組織の下で合理的かつ一体 的に業務を行い得るよう、運用企画局を廃止し、基本的に、その機能を 統合幕僚監部に担わせることとする。 その結果、運用企画局が所掌している「自衛隊の行動の基本に関する こと」は、内部部局の所掌事務として維持しないこととする。 新たな統合幕僚監部は、自衛隊の運用に係る制度の企画・立案や他府 省との連絡調整などの機能を遂行することとなるが、その具体的な業務 の範囲については、新たな統合幕僚監部の役割や、統合幕僚監部と「防 衛及び警備の基本に関すること」等を所掌する防衛政策局との関係を考 慮しつつ決定する。 なお、新たな統合幕僚監部の業務に関する具体的な国会対応の在り方 については、今後、検討し、結論を得る。 ② 統合幕僚監部における文官の配置 自衛隊の運用については、国内外の政治情勢等を考慮しつつこれを行 っていくことが必要であることや、統合幕僚監部の新たな役割として、 上記の自衛隊の運用に係る制度の企画・立案機能、他府省等との連絡調 整機能等を付加することに伴い、新たな統合幕僚監部の副長クラス以下 に文官を組み入れた体制を構築する。 ③ その他 現在運用企画局が所掌する「部隊訓練の基本に関すること」について は、内部部局が行うことが適切な業務については内部部局が所掌すると ともに、「防衛省の情報システムの整備・管理に関すること」、「指揮通信 の基本に関すること」、「電波監理の基本に関すること」等とあわせ、内 部部局と統合幕僚監部の所掌について、今後整理する。

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5 防衛力整備部門の一元化 (基本方針) 防衛力整備の全体最適化を図るため、内部部局と陸・海・空幕僚監部の防衛力整備部門を整 理・再編して、防衛力整備事業等を一元的に取り扱う新たな防衛力整備部門を創設する。 その際、一元的に取り扱う整備事業等の範囲や新たな部門の組織の在り方(内部部局の局又 は特別の機関のいずれに位置付けるのか)については、速やかに結論を得る。 統合幕僚監部は自衛隊の運用上の観点から、また陸・海・空幕僚監部は人事・教育・訓練・ 補給等の観点から、それぞれ、防衛力整備部門に対して必要な意見を述べることができる制度 を確立する。 (実施計画) ○ 防衛力整備の全体最適化を図るため、防衛力整備部門を整理・再編して、防衛力整備事業 等を一元的に取り扱う新たな部門を創設。 その際、一元的に取り扱う整備事業等の範囲や新たな部門の組織の在り方(内部部局の局 又は特別の機関のいずれに位置付けるのか)については、速やかに結論を得ることが必要。 ○ 防衛力整備に関する重要な事項については、防衛会議の審議を経て、防衛大臣が決定する 仕組みを確立。 ○ 統合幕僚監部や陸・海・空幕僚監部により運用上の全体最適化の観点や現場部隊のニー ズが防衛力整備に適切に反映されるような仕組みを確立。 ○ 新たな整備部門は、文官と自衛官を混在させる組織として創設。 (1)新たな整備部門構築の基本的方向性 防衛力整備の全体最適化を図るためには、各自衛隊の組織・定員・編成・ 装備・配置について全体構想・計画を策定するとともに、個々の施策は常 に全体の目標に適合するよう計画・措置され、かつ優先度を踏まえた予算 の集中運用や各種事業の統合・共通化による効率性の追求なども行い得る よう各年度の予算が全体最適化の考えの下に編成されることにより、防衛 省として統一的で効果的・効率的な防衛力整備事業等を行うことが必要で ある。 このため、内部部局、各幕僚監部の防衛力整備部門を統合して、整備事 業等を一元的に取り扱う新たな防衛力整備部門(整備部門)を創設する。 (2)組織改革の具体的な方向性 ① 新たな整備部門の業務 新たな整備部門は、防衛力整備事業等を一元的に取り扱うこととし、 このため、防衛省として統一的な整備構想の策定、整備計画の策定、年 度予算の編成・執行等の総括、内閣官房等との調整を実施する。

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また、我が国の防衛力の主要な構成要素である各自衛隊の主要な部隊、 主要装備、共通装備、システム関連装備、研究開発、自衛官定数、事務 官等定員などについては、それらの整備構想・計画の策定等を行うとと もに、年度予算要求等の予算編成作業を実施する。 ② 一元化の例外 各自衛隊の隊務と密接に連携する事項については、各自衛隊の隊務を 円滑に実施し得るよう、一元化の例外として、各幕僚監部で取り扱うこ ととするが、最終的に、新たな整備部門は、これらの業務をとりまとめ、 防衛力整備の全体最適化を実施する。 ③ 新たな整備部門の組織の在り方 新たな整備部門については、内部部局の局とすることを基本として、 今後、具体的な業務要領、具体的な組織構造などについて検討・検証を 行うこととする。 6 管理部門及び人事、教育・訓練部門における施策 (基本方針) 管理部門については、内部部局・統合幕僚監部、陸・海・空幕僚監部の業務の重複を避け、 極力統合化を図る。 自衛官の人事、教育・訓練部門については、陸・海・空幕僚監部が主たる責任を負うととも に、内部部局も制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐する体制を構築する。 (実施計画) ○ 管理部門においては、各機関の重複を避け、防衛省として統合的に遂行すべき分野である ことから、極力統合化。 ○ また、同部門については、内部部局に自衛官を積極的に登用するなど、文官と自衛官を混 在させる組織に改編。 ○ 自衛官の人事、教育・訓練部門については、陸・海・空幕僚長の下で各幕僚監部が主たる 責任を負うとともに、内部部局も制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐する体制を構築。 (1)管理部門 管理部門については、内部部局と各機関の重複を避け、防衛省として統 合的に業務を遂行すべき分野であることから、極力統合化を図り、業務の 効率化と人材の有効活用を行う。

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具体的な検討においては、類似的業務を実施しているもの、同一業務を 分担して実施しているものなどに着目して、実際の業務の重複性の観点か ら整理・集約し、各幕僚監部による隊務の運営に支障を来さないよう留意 しつつ、必要に応じて組織を見直すとともに、業務要領を改善・効率化す る。 (2)人事、教育・訓練部門 自衛官の人事、教育・訓練部門については、各幕僚監部が主たる責任を 負うべき分野であるとの観点から、各幕僚監部が行う具体的事項を整理す るとともに、制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐するとの観点から、 内部部局が行う具体的事項を整理し、内部部局と各幕僚監部が行う業務の 一層の適正化を図るものとする。 具体的検討においては、内部部局と各幕僚監部の業務の重複を避けるこ とに留意しつつ、内部部局と各幕僚監部との間などの業務要領を精査し、 必要に応じて規則改正などを実施する。 7 その他 (1)専門部会の設置 上記のような22年度における抜本的な組織改革の具体的な在り方を検 討するため、今後速やかに、防衛省改革本部の下に専門部会を設置し、具 体的な編成案や新たな業務要領に関する検討などを行い、防衛省改革本部 として、来年8月末に向けて、22年度概算要求のための作業を精力的に 行うこととする。 (2)業務に関する検証 抜本的な組織改革については、真に機能する改革とするため、不必要な 混乱を招かないよう、新たな組織へ円滑な移行を行うことが必要であるこ とから、今後、業務に関する検証を行い、22年度における組織改革を実 現することとする。

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平 成 20 年 12 月 防 衛 省 田 母 神 前 航 空 幕 僚 長 の 更 迭 事 案 等 に つ い て 1 は じ め に 平 成 20 年 10 月 31 日 、 田 母 神 俊 雄 前 航 空 幕 僚 長 ( 前 空 幕 長 ) が 、「 」 民 間 企 業 主 催 の 懸 賞 論 文 ( 本 件 懸 賞 論 文 ) に 対 し 「 日 本 は 侵 略 国 家「 」 、 で あ っ た の か 」 と 題 す る 論 文 ( 本 件 論 文 ) を 応 募 し 、 そ の 中 で 、 先「 」 の 大 戦 に 関 す る 政 府 の 認 識 と 明 ら か に 異 な る 見 解 や 憲 法 に 関 連 す る 重 要 な 事 項 に つ い て 不 適 切 な 形 で 見 解 を 述 べ て い た こ と が 明 ら か に な っ た 。 防 衛 省 に お い て は 、 本 事 案 を 受 け 、 事 実 関 係 に つ い て 調 査 を 実 施 す る と と も に 、 再 発 防 止 策 を 検 討 し て き た 。 現 在 、 所 要 の 調 査 の 全 て を 終 了 し て い る わ け で は な い が 、 こ れ ま で に 判 明 し た 調 査 結 果 及 び 検 討 中 の 再 発 防 止 策 の 概 要 は 以 下 の と お り で あ る 。 2 前 空 幕 長 の 更 迭 事 案 の 概 要 ( 1 ) 防 衛 省 の 対 応 月 日 、 防 衛 省 に お い て 本 件 論 文 の 内 容 を 確 認 し た と こ ろ 、 本 件 10 31 論 文 に は 、 先 の 大 戦 に 関 す る 政 府 の 認 識 と 明 ら か に 異 な る 見 解 や 憲 法 に 関 連 す る 重 要 な 事 項 に つ い て 不 適 切 な 形 で 見 解 が 述 べ ら れ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 防 衛 大 臣 は 、 航 空 幕 僚 長 と い う 立 場 に あ る 者 が 、 こ の よ う な 論 文 を 公 に す る こ と は 、 航 空 幕 僚 長 と し て 相 応 し く な い 不 適 切 な も の で あ り 、 こ の よ う な 者 が 引 き 続 き そ の 職 に 留 ま る こ と は 望 ま し く な い こ と か ら 、 内 閣 の 承 認 を 得 た 上 で 、 同 日 付 で 航 空 幕 僚 長 の 任 を 解 き 、 航 空 幕 僚 監 部 付 と す る 措 置 を 講 じ た 。 、 、 、 防 衛 省 と し て は 累 次 に わ た り 前 空 幕 長 に 対 し て 辞 任 を 説 得 し た が 前 空 幕 長 は 「 辞 任 を す れ ば 自 分 の 間 違 い を 認 め た こ と と な る 」 と し て 辞 資 料 3

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任 を 拒 否 し た 。 ま た 、 防 衛 省 と し て は 、11 月 1 日 以 降 、 累 次 に わ た り 、 懲 戒 手 続 の 審 理 の 辞 退 の 意 思 に つ き 確 認 を 行 っ た が 、 前 空 幕 長 は 、 審 理 手 続 を 辞 退 す る 意 思 は な く 、 徹 底 的 に 議 論 す る 旨 の 意 向 を 示 し た こ と か ら 、 迅 速 な 懲 戒 手 続 に 協 力 を 得 ら れ る 見 込 み も な か っ た 。 こ の た め 、 防 衛 大 臣 と し て は 、 勤 務 期 間 を 最 大 限 延 長 し た 場 合 の 退 職 と な る 日 ( 平 成 21 年 1 月 21 日 ) ま で に 懲 戒 手 続 を 完 了 す る こ と が 困 難 で あ る と 判 断 す る と と も に 、 前 空 幕 長 の こ の よ う な 姿 勢 を 踏 ま え る と 、 前 空 幕 長 に 空 将 と い う 航 空 自 衛 官 の 身 分 を 保 有 さ せ た ま ま に し て お く こ と は 好 ま し く な い と 判 断 し 、 こ れ ら を 総 合 的 に 勘 案 し 、 現 実 的 に と り 得 る 最 も 厳 し い 措 置 と し て 、11 月 3 日 付 で 前 空 幕 長 を 勤 務 延 長 期 限 の 繰 上 げ に よ り 退 職 さ せ た 。 な お 、 前 空 幕 長 の 退 職 手 当 に つ い て は 、 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 の 規 定 に 従 い 、 本 年 12 月 2 日 に 支 払 い を 行 っ た 。 ( 2 ) 関 係 者 の 処 分 等 月 日 、 本 事 案 に つ い て 防 衛 大 臣 か ら 麻 生 総 理 大 臣 に 報 告 を 行 っ 11 4 た 際 、 麻 生 総 理 大 臣 か ら 「 再 発 防 止 の た め の 措 置 を 徹 底 す る こ と」、「 監 督 責 任 を 明 確 に す る こ と 」 及 び 「 国 会 、 国 民 に き ち ん と 説 明 す る こ と 」 と の 指 示 を 受 け た 。 防 衛 省 と し て は 、 麻 生 総 理 大 臣 の 指 示 も 踏 ま え 、 監 督 責 任 を 明 確 に す 、 、 。 る た め 防 衛 事 務 次 官 人 事 教 育 局 長 及 び 大 臣 官 房 長 の 処 分 を 実 施 し た ま た 、 本 事 案 の 重 大 性 を 重 く 受 け 止 め 、 防 衛 大 臣 、 防 衛 副 大 臣 及 び 防 衛 大 臣 政 務 官 も 給 与 を 国 庫 に 自 主 返 納 し た 。 3 他 の 自 衛 隊 員 に よ る 論 文 の 応 募 こ れ ま で の 調 査 に よ り 、 前 空 幕 長 以 外 に 、97 名 の 航 空 自 衛 官 が 本 件 懸 賞 論 文 に 対 し て 論 文 を 応 募 し て い た こ と が 確 認 さ れ た が 、 こ れ ら 航 空 自 衛 官 が 応 募 に 至 っ た 経 緯 は 以 下 の と お り で あ る 。 ( 1 ) 航 空 幕 僚 監 部 人 事 教 育 部 (「 」) 、 、 航 空 幕 僚 監 部 人 事 教 育 部 教 育 課 長 教 育 課 長 は 本 年 5 月 15 日

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同 日 付 の 新 聞 を 閲 覧 中 に 、 本 件 懸 賞 論 文 の 募 集 広 告 を 発 見 し た 。 教 育 課 長 は 、5 月 19 日 の 空 幕 内 の 定 例 ミ ー テ ィ ン グ に お い て 、 前 空 幕 長 以 下 の 幹 部 に 対 し 本 件 懸 賞 論 文 に つ い て 紹 介 を 行 い 、 同 日 及 び 5 月 20 日 、 本 件 懸 賞 論 文 を 周 知 す る た め の FAX を 航 空 自 衛 隊 の 各 部 隊 等 に 送 付 さ せ た 。 ま た 、 航 空 幕 僚 監 部 人 事 教 育 部 長 ( 当 時 「 前 人 教 部 長 ) は 、 部 隊。 」 に お け る 認 知 度 を 向 上 す る た め と の 教 育 課 長 の 上 申 に 同 意 し 、 自 己 の 名 6 で 航 空 自 衛 隊 の 各 部 隊 等 の 司 令 官 等 に 対 し て 本 件 懸 賞 論 文 を 紹 介 す る 月 12 日 付 の 書 簡 を 送 付 し た 。 ( 2 ) 第 6 航 空 団 月 日 、 第 航 空 団 ( 空 団 ) 司 令 は 、 上 記 空 幕 等 に よ る 紹 介 も 8 4 6 「6 」 踏 ま え 、 若 手 幹 部 に 対 し て 、 本 件 懸 賞 論 文 と 同 じ 「 真 の 近 現 代 史 観 」 を 。 、 論 題 と す る 幹 部 論 文 の 作 成 を 命 じ る 旨 の 指 示 を 発 出 し た 6 空 団 司 令 は 当 初 、 優 秀 論 文 の み を 選 定 し て 応 募 す る 方 針 で あ っ た が 、 そ も そ も 論 文 の 応 募 は 個 人 の 判 断 に よ る べ き も の で あ る こ と 等 か ら 、 優 秀 論 文 に 限 ら 6 6 ず 応 募 す る 方 針 に 改 め た 。 こ の よ う な 空 団 司 令 の 方 針 転 換 を 受 け 、 空 団 司 令 部 は 、 論 文 62 本 を 各 隊 員 が 記 載 し た 応 募 用 紙 と と も に 取 り 纏 め 、 本 件 懸 賞 論 文 締 切 後 の 9 月 3 日 に 応 募 し た 。 ( 3 ) 航 空 救 難 団 航 空 救 難 団 司 令 部 は 、 前 人 教 部 長 の 書 簡 等 を 踏 ま え 、6 月 30 日 、 本 件 懸 賞 論 文 を 周 知 す る と と も に 、 応 募 は 個 人 参 加 で あ る 旨 を 内 容 と す る 事 務 連 絡 を 発 出 し た 。 な お 、 最 終 的 に は 、16 名 の 航 空 救 難 団 所 属 隊 員 が 各 個 人 の 判 断 で 応 募 し た 。 ( 4 ) 前 空 幕 長 の 関 与 こ れ ま で の 調 査 に よ れ ば 、 本 件 懸 賞 論 文 に つ い て 、 前 空 幕 長 に よ る 紹 介 行 為 や 応 募 の 指 示 と い っ た 関 与 は 確 認 さ れ て い な い 。

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( 5 ) 航 空 自 衛 官 が 応 募 し た 論 文 の 内 容 防 衛 省 と し て は 、 自 衛 隊 員 の 個 人 的 見 解 が 示 さ れ た 論 文 そ の も の を 公 表 し た 場 合 、 隊 員 の 基 本 的 人 権 を 害 す る お そ れ が あ る こ と 及 び 今 後 の 論 文 教 育 の 円 滑 な 実 施 を 著 し く 害 す る お そ れ が あ る こ と か ら 、 論 文 そ の も の を 部 外 に 公 表 す る こ と が 適 切 で あ る と は 考 え て い な い 。 こ の よ う な 前 提 で 、 防 衛 省 と し て は 、97 名 分 の 論 文 に つ い て 強 制 に 当 た ら な い 範 囲 で 内 容 の 確 認 作 業 を 実 施 し た が 、 こ れ ま で の と こ ろ 、 そ の 内 容 、 応 募 し た 自 衛 官 の 職 務 や 階 級 、 論 文 の 応 募 の 経 緯 等 を 総 合 的 に 勘 案 し て 、 問 題 が あ る と 評 価 す る べ き 事 例 は な か っ た 。 4 自 衛 隊 に お け る 歴 史 教 育 等 の 現 状 ( 1 ) 自 衛 隊 に お け る 歴 史 教 育 の 位 置 付 け 自 衛 隊 員 が 広 い 視 野 を 持 ち 、 歴 史 を 客 観 的 に 理 解 す る こ と は 、 自 衛 隊 が 国 民 の 期 待 と 信 頼 に 応 え 、 適 切 に 任 務 を 遂 行 し て い く た め に 不 可 欠 で あ る 。 自 衛 隊 に お い て は 、 学 生 の 階 級 や 職 種 に 応 じ て 各 種 の 課 程 教 育 を 行 っ て お り 、 こ の 中 で 、 歴 史 に つ い て も 所 要 の 教 育 を 行 っ て き た と こ ろ で あ る 。 ( 2 ) 将 来 の 高 級 幹 部 を 養 成 す る 課 程 に お け る 歴 史 教 育 自 衛 隊 の 高 級 幹 部 と な る 者 は 、 防 衛 大 学 校 、 陸 海 空 自 衛 隊 の 幹 部 候 補 生 学 校 ・ 幹 部 学 校 、 統 合 幕 僚 学 校 、 防 衛 研 究 所 に お い て 、 各 段 階 に 応 じ た 教 育 を 受 け て い る ほ か 、 術 科 ・ 職 種 の 分 野 別 の 専 門 性 の 高 い 教 育 を 受 け て い る 。 自 衛 隊 に お い て は 、 幹 部 学 校 等 で 行 わ れ る 指 揮 官 又 は 幕 僚 と し て の 資 質 を 養 成 す る た め の 課 程 を 対 象 と し て 、 各 課 程 に お け る 歴 史 教 育 の 実 態 を 調 査 し た が 、 そ の ほ と ん ど は 客 観 的 事 実 と こ れ に 基 づ く 戦 訓 等 を 教 育 す る 戦 史 教 育 で あ り 、 一 部 の 部 内 作 成 教 材 に 誤 解 を 招 く お そ れ の あ る 表 現 の も の が 数 件 あ っ た ほ か に は 、 使 用 教 材 に 政 府 の 認 識 と は 明 ら か に 異 な る 記 述 が 見 受 け ら れ な い な ど 、 教 育 内 容 に 特 段 の 問 題 は 確 認 で き な か っ た 。

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な お 、 幹 部 学 校 、 統 合 幕 僚 学 校 、 防 衛 研 究 所 に お い て 、 戦 史 以 外 の 歴 史 教 育 は 、 統 合 幕 僚 学 校 の 教 育 課 程 の 課 目 で あ る 「 歴 史 観 ・ 国 家 観 」 な ど の 一 部 で あ っ た 。 前 空 幕 長 の 統 合 幕 僚 学 校 長 在 任 中 に 新 設 さ れ た 同 課 、 、 、 目 に つ い て は 講 師 の 構 成 が 平 成 15 年 の 創 設 以 来 大 き な 変 更 が な く ま た 、 こ れ が 全 体 と し て バ ラ ン ス を 欠 い て い た と 言 わ ざ る を 得 な い 。 ( 3 ) 自 衛 隊 の 幹 部 教 育 が 前 空 幕 長 の 懸 賞 論 文 に 与 え た 影 響 ( 2 ) で 述 べ た と お り 、 こ れ ま で 調 査 し た 範 囲 に お い て は 、 前 空 幕 長 の 懸 賞 論 文 に あ る よ う な 政 府 の 認 識 と 明 ら か に 異 な る 見 解 を 一 方 的 に 教 育 し て い る 事 例 は 確 認 で き な か っ た 。 な お 、 前 空 幕 長 は 、11 月 11 日 の 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 に お い て 、 本 件 論 文 に 記 述 さ れ て い る 知 識 に つ い て は 、 職 務 に 伴 っ て 得 た も の で は な く 、 私 的 な 研 究 の 結 果 得 た も の で あ る 旨 の 答 弁 を し て い る 。 5 評 価 及 び 問 題 点 ( 1 ) 前 空 幕 長 に よ る 論 文 の 応 募 本 事 案 は 、 一 個 人 の 単 な る 意 見 表 明 に と ど ま る も の で は な く 、 航 空 幕 僚 長 と い う 自 衛 隊 の 要 職 に あ る 者 が 、 政 府 の 認 識 と 明 ら か に 異 な る 見 解 等 が 含 ま れ た 論 文 を 発 表 し 、 防 衛 省 ・ 自 衛 隊 に 対 す る 国 内 外 の 信 頼 を 傷 つ け 、 文 民 統 制 の 面 か ら も 適 切 で は な い 、 重 大 な 事 案 で あ る 。 防 衛 省 と し て は 、 自 衛 隊 員 が 独 自 の 見 解 を 有 す る こ と や 、 公 に 発 言 す る こ と を 一 概 に 問 題 視 す る も の で は な い 。 自 衛 隊 員 に も 、 思 想 、 信 条 の 自 由 や 表 現 の 自 由 と い っ た 基 本 的 人 権 が 保 障 さ れ て い る こ と は 当 然 で あ り 、 防 衛 省 と し て 思 想 の 統 制 や い わ ゆ る 「 検 閲 」 を 行 う こ と は 適 切 で は な い と 考 え て い る 。 ま た 、 自 衛 隊 員 が 、 有 す る 経 験 や 専 門 的 知 識 に 基 づ き 適 切 な 形 で 意 見 を 述 べ る こ と は 、 我 が 国 の 安 全 保 障 に と っ て 必 要 な こ と で あ る と 考 え て い る 。 し か し な が ら 、 い か な る 場 合 で も 、 自 衛 隊 員 、 特 に 航 空 幕 僚 長 の よ う な 幹 部 は 、 そ の 社 会 的 立 場 に 留 意 し 節 度 あ る 行 動 を と る こ と は 当 然 で あ る 。 実 力 組 織 で あ る 自 衛 隊 を 運 用 し 、 任 務 を 遂 行 す る と い う 重 い 責 任 を

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有 し て い る 自 衛 隊 員 は 、 自 ら を 格 別 に 厳 し く 律 す る 必 要 が あ る 。 自 衛 隊 員 が 広 い 視 野 を 持 ち 、 歴 史 を 含 め 様 々 な 事 項 に 関 す る 客 観 的 な 理 解 や 、 自 ら の 行 動 が も た ら す 影 響 に 対 す る 冷 静 か つ 慎 重 な 判 断 力 な ど 、 実 力 組 織 を 扱 う に 相 応 し い 資 質 を 有 し て い る こ と は 、 防 衛 省 ・ 自 衛 隊 に 対 す る 国 民 の 信 頼 を 得 る た め の 大 前 提 で あ る 。 ( 2 ) 他 の 自 衛 隊 員 に よ る 論 文 の 応 募 ア 他 の 自 衛 隊 員 に よ る 論 文 の 応 募 一 般 に 自 衛 隊 員 が 論 文 を 応 募 す る こ と は 、 自 衛 隊 法 や 自 衛 隊 員 倫 理 法 等 の 法 令 に 違 反 す る と は 考 え て い な い 。 ま た 、 私 的 な 立 場 で 論 じ た 論 文 内 容 に つ い て 、 防 衛 省 と し て は 、 い わ ゆ る 「 検 閲 」 を 行 う こ と も 考 え て い な い 。97 名 の 航 空 自 衛 官 に よ る 今 般 の 論 文 の 応 募 そ の も の は 、 論 文 の 内 容 、 応 募 し た 自 衛 官 の 職 務 や 階 級 、 論 文 の 応 募 の 経 緯 等 を 総 合 的 に 勘 案 す れ ば 、 問 題 で あ っ た と は 考 え て い な い 。 イ 空 幕 人 事 教 育 部 の 判 断 教 育 課 長 は 、 航 空 自 衛 隊 の 教 育 に 携 わ る 者 と し て 、 本 件 懸 賞 論 文 を 各 部 隊 に 紹 介 し た も の で あ り 、 そ の こ と 自 体 が 直 ち に 問 題 と な る も の で は 。 、 、 、 な い し か し 部 外 へ の 論 文 の 応 募 は 仮 に こ れ が 入 選 し 公 表 さ れ れ ば 一 定 の 社 会 的 影 響 を も た ら す 可 能 性 が あ り 、 そ の 責 任 は 応 募 し た 隊 員 個 。 、 人 に も 帰 せ ら れ る こ と と な る 部 外 へ の 応 募 を 隊 員 に 紹 介 す る 場 合 に は こ の よ う な 点 に つ い て 十 分 慎 重 な 配 慮 を 行 う 必 要 が あ る 。 教 育 課 長 は 本 件 懸 賞 論 文 に つ い て 積 極 的 に 周 知 を 図 っ て い る が 、 こ れ は 、 単 な る 「 周 知 」 の 範 疇 を 超 え 、 応 募 を 要 請 し て い る と 理 解 さ れ か ね な い 行 為 で あ り 、 か つ 、 上 述 の よ う な 部 外 へ の 応 募 に 伴 う 問 題 を 考 慮 す れ ば 、 よ り 適 切 な 配 慮 を す る こ と が 望 ま し か っ た と 考 え ら れ る 。 前 人 教 部 長 は 、 教 育 課 長 の 上 司 と し て 監 督 す る べ き 立 場 で あ っ た こ と か ら 、 部 下 の 監 理 ・ 監 督 の 面 で 不 十 分 な 点 が あ っ た 。 ま た 、 自 己 の 名 で 書 簡 を 発 出 し て い る が 、 前 に 述 べ た よ う な 部 外 へ の 応 募 に 伴 う 問 題 を 考 慮 す れ ば 、 よ り 適 切 な 配 慮 を す る べ き で あ っ た と 考 え ら れ る 。

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ウ 6 空 団 の 判 断 空 団 司 令 が 、 本 件 懸 賞 論 文 に 関 す る 空 幕 等 か ら の 紹 介 も 踏 ま え 、 部 6 下 に 対 し て 幹 部 論 文 の 作 成 を 指 示 し た こ と 自 体 は 、 特 に 問 題 と さ れ る も 。 、 、 、 の で は な い ま た 6 空 団 司 令 は 部 隊 と し て 取 り 纏 め て 応 募 す る な ど 原 則 と し て 個 人 の 判 断 で 行 う べ き 本 件 懸 賞 論 文 へ の 応 募 と 部 隊 が 行 う 幹 部 論 文 作 成 指 導 の 境 界 が 曖 昧 な 面 も 見 ら れ る が 、 空 幕 等 上 級 部 隊 か ら の 紹 介 が あ っ た 経 緯 等 も 踏 ま え れ ば 、 そ の 行 動 に 大 き な 問 題 が あ っ た と は 考 え て い な い 。 エ 航 空 救 難 団 の 判 断 航 空 救 難 団 司 令 は 、 本 件 懸 賞 論 文 に 関 す る 空 幕 等 か ら の 紹 介 を 受 け 、 本 件 懸 賞 論 文 に つ い て 部 隊 へ の 周 知 を 行 っ た も の で あ り 、 上 級 司 令 部 の 紹 介 等 を 受 け た 部 隊 長 の 行 動 と し て 、 問 題 は な か っ た と 思 わ れ る 。 ( 3 ) 自 衛 隊 員 の 教 育 前 述 の と お り 、 こ れ ま で 調 査 し た 範 囲 に お い て は 、 統 合 幕 僚 学 校 の 課 目 で あ る 「 歴 史 観 ・ 国 家 観 」 に つ い て は 、 講 師 の 構 成 が 全 体 と し て バ ラ ン ス を 欠 い て い た と 考 え ら れ る ほ か 、 部 内 で 作 成 し た 一 部 の 教 材 に お い て 誤 解 を 招 く お そ れ の あ る 表 現 の も の を 数 件 確 認 し た 。 一 方 、 前 空 幕 長 は 、 職 務 で は な く 歴 史 研 究 を 通 じ て 本 件 懸 賞 論 文 に 示 。 、 、 さ れ た 歴 史 観 を 得 て い る 旨 国 会 で 答 弁 し て い る 自 衛 隊 員 特 に 幹 部 は 広 い 視 野 を 持 つ べ く 自 己 研 鑽 に 努 め る こ と が 期 待 さ れ て い る が 、 自 己 研 鑽 で あ る 以 上 、 各 個 人 の 努 力 に 委 ね ら れ る 面 が 大 き い こ と は 否 め な い 。 6 再 発 防 止 策 本 事 案 を 踏 ま え 、 防 衛 省 に お い て は 、 必 要 な 再 発 防 止 策 を 検 討 し て き た が 、 防 衛 省 と し て は 、 上 記 経 緯 や 問 題 点 等 を 踏 ま え 、 再 発 防 止 策 の 基 本 的 方 向 と し て 以 下 が 挙 げ ら れ る と 考 え て い る 。 な お 、 具 体 的 方 策 に つ い て は 、 更 に 検 討 を 深 め る も の と す る 。

(17)

( 1 ) 高 級 幹 部 の 自 覚 の 徹 底 等 本 事 案 は 、 航 空 幕 僚 長 と い う 要 職 に あ る 者 が 、 自 ら の 社 会 的 な 地 位 に 関 す る 自 覚 が 極 め て 不 十 分 で あ っ た こ と が 主 因 で あ っ た と 考 え ら れ る 。 こ の た め 、 防 衛 省 と し て は 、 幕 僚 長 の よ う な 要 職 に あ る 者 に つ い て は 、 高 級 幹 部 と し て の 職 責 の 重 さ を 各 々 が 認 識 し 、 自 ら の 社 会 的 地 位 を 踏 ま え た 適 切 な 言 動 を 行 う 責 任 が あ る こ と を 十 分 に 自 覚 す る こ と や よ り 広 い 視 野 を 持 つ べ く 自 ら 研 鑽 に 努 め る こ と が 重 要 で あ る と 考 え て お り 、 か か る 自 覚 の 涵 養 を 徹 底 し て い く こ と と す る 。 具 体 的 に は 、 幹 部 高 級 課 程 や 将 官 へ の 昇 任 時 等 に お い て 、 自 衛 隊 員 の 対 外 的 な 意 見 表 明 の あ り 方 や 文 民 統 制 等 に つ い て 理 解 を 深 め る た め の 研 修 の 機 会 を 設 け る 等 の 措 置 を と る こ と と す る 。 、 、 、 ま た こ れ ま で 自 衛 隊 員 の 高 級 幹 部 へ の 任 命 に つ い て は 隊 員 の 経 歴 能 力 、 人 格 等 を 総 合 的 に 判 断 し て 、 任 命 を 行 っ て き た が 、 今 回 の 事 案 も 踏 ま え 、 高 級 幹 部 と し て の 職 責 を 十 分 に 自 覚 し た 者 が 適 切 に 任 命 さ れ る よ う 、 よ り 一 層 適 切 な 選 考 を 実 施 し て い く こ と と す る 。 ( 2 ) 自 衛 隊 員 の 教 育 と 自 己 研 鑽 等 高 級 幹 部 が そ の 職 責 の 重 さ を 認 識 し 、 自 ら の 社 会 的 地 位 を 踏 ま え た 適 切 な 言 動 を 行 う と と も に 、 よ り 広 い 視 野 を 持 つ た め に は ( 1 ) で 述 べ、 た よ う に 高 級 幹 部 の 自 覚 を 促 す の み な ら ず 、 初 級 幹 部 の 段 階 か ら 適 切 な 教 育 と 自 己 研 鑽 の 機 会 を 付 与 し て い く 必 要 が あ る 。 ま ず 、 自 衛 隊 に お け る 教 育 は 、 文 民 統 制 の 下 、 広 い 視 野 を 養 う べ く 統 一 の と れ た 方 針 に 則 っ て 、 こ れ を 実 施 す る と と も に 、 適 切 に 実 施 さ れ て い る か 確 認 し て い く 必 要 が あ り 、 そ の た め に 如 何 な る 措 置 が 必 要 か 早 急 に 検 討 を 行 う 。 と り わ け 、 前 空 幕 長 が 新 設 し た 統 合 幕 僚 学 校 の 「 歴 史 観 ・ 国 家 観 」 に つ い て は 、 見 直 し を 行 う 。 、 、 、 、 ま た 自 衛 隊 員 は 幅 広 い 自 己 研 鑽 を 行 っ て 視 野 を 広 げ る と と も に 自 ら の 任 務 が 防 衛 省 内 、 更 に は 日 本 社 会 全 体 の 中 に 占 め る 意 味 を 理 解 し な け れ ば な ら な い 。 か か る 観 点 か ら 、 様 々 な 機 会 等 を 通 じ て 自 己 研 鑽 を 慫 慂 す る と と も に 、 多 様 な 視 点 の 書 籍 、 文 献 等 を 紹 介 す る な ど し て 支 援 す る 。

(18)

さ ら に 、 国 内 外 の 大 学 ・ 研 究 機 関 へ の 留 学 、 内 部 部 局 や 他 省 庁 で の 勤 務 な ど 様 々 な 行 政 経 験 の 機 会 を 一 層 増 加 さ せ る よ う 、 今 後 検 討 を 進 め る こ と と す る 。 ま た 、 高 級 幹 部 に よ る 訓 示 や 部 外 講 師 に よ る 講 演 を 行 う 場 、 、 合 等 に つ い て も 客 観 的 で 幅 広 い 視 野 を 養 う も の と な る よ う 留 意 し つ つ 実 施 し て い く 必 要 が あ る と 考 え て い る 。 自 衛 隊 に お け る 教 育 に つ い て は 、 上 述 の よ う な 観 点 か ら 、 引 き 続 き 検 証 を 行 い 、 改 善 に 努 め る こ と と す る 。 ( 3 ) 部 外 へ の 意 見 発 表 手 続 の 明 確 化 等 現 在 、 官 房 長 通 知 ( 昭 和 56 年 2 月 23 日 ) に お い て 、 部 外 に 対 し 、 職 務 に 関 し 意 見 を 発 表 す る 場 合 に は 、 あ ら か じ め 上 司 に 届 け 出 る こ と と さ れ 、 ま た 、 事 務 次 官 、 幕 僚 長 等 に つ い て は 、 あ ら か じ め 大 臣 官 房 長 に 通 報 す る も の と さ れ て い る 。 前 空 幕 長 が 必 要 な 通 報 を 実 施 し て い な か っ た こ と を 踏 ま え 、 本 事 案 の よ う な 事 案 の 再 発 防 止 に 向 け 、 思 想 、 信 条 の 自 由 や 表 現 の 自 由 を 始 め 、 隊 員 の 基 本 的 人 権 に 十 分 配 慮 し つ つ 、 本 手 続 に つ い て も 改 善 を 図 る 。 具 体 的 に は 、 私 人 の 立 場 で の 意 見 発 表 で あ っ て も 、 意 見 の 内 容 が 職 務 に 関 係 す る 場 合 は 届 出 対 象 で あ る こ と や 、 部 外 者 が 主 催 す る 懸 賞 論 文 や 部 外 に 頒 布 さ れ て い る 私 的 サ ー ク ル の 刊 行 物 も 届 出 対 象 で あ る こ と を 明 記 す る こ と ( 届 出 対 象 の 明 確 化 、 届 出 ・ 通 報 は 文 書 で 行 い 、 可 能 な 限) り 具 体 的 な 意 見 内 容 を 併 せ て 提 出 す る こ と ( 届 出 内 容 の 明 確 化 、 届 け) 出 先 と な る 職 務 上 の 上 級 者 を 明 確 に 示 す こ と ( 届 出 先 の 明 確 化 ) 等 が 考 え ら れ 、 こ れ ら に よ り 手 続 を 明 確 に し た 上 で 一 層 の 周 知 徹 底 を 図 る 。 ま た 、 こ の よ う な 事 前 の 届 出 手 続 の 明 確 化 の み な ら ず 、 発 刊 さ れ た 私 的 サ ー ク ル の 刊 行 物 の 内 容 に つ い て も 、 刊 行 物 を 受 領 し た 関 係 部 局 が 適 宜 確 認 を 行 う な ど 、 必 要 な 措 置 を 講 じ る 。

(19)

資料4

護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故について

1 自動衝突予防援助機能(ARPA)について

護衛艦「あたご」のレーダー指示機OPA-6E(レーダー表示装置)は自動 衝突予防援助機能(ARPA:Automatic Radar Plotting Aids)を有している。 本機能は、レーダー画面上で追尾している目標が、予め設定した一定の時間 内に一定の距離に近接すると予測される場合、危険目標である旨画面に表示 し、警報音を発生させるもの(注)である。 (注)例えば、設定距離及び時間をそれぞれ1000ヤード、5分と設定した場合、自艦 の1000ヤード以内に近接すると予測される追尾中の目標が、自艦に最も近接する 5分前に警報音が発生する。 2 ARPA に関する国会の議論 (1)民主党川内博史議員からの質問概要 本年10月7日の衆議院予算委員会及び10月20日の衆議院テロ・イ ラク特別委員会において、川内議員から、本年3月の防衛省の「艦船事故 調査委員会による調査について」、6月の海難審判理事所の申立書及び7 月の防衛省改革会議報告書に、事故当時の ARPA の警報音の鳴動の有無に ついて記述がないことについて質問があるとともに、事実関係を早急に明 らかにすべき旨発言あり。 (2)政府側の答弁概要 ○ 官房長官より、防衛省改革会議の報告書は、捜査等に支障のない範囲 で公表された文書などを基にしており、一定の制約のもとで書かれたも のである旨説明。 ○ 防衛大臣より、現在も捜査等が継続しており、現在の調査状況につい て公にすることは、捜査等に影響を与えるおそれがあることからお答え を差し控えたい旨説明。 また、防衛省としては、捜査等に十分配慮しつつ必要な調査を進め、 可能な限り早期に調査結果を取りまとめてまいりたい旨説明。 ○ 官房長官より、本件事故に関しては、捜査等に配慮の上調査が進めら れ、可能な限り早期にARPA に関する点を含めた調査結果が取りまとめ られると考えており、その結果が出次第必要な措置を講じてまいりたい 旨説明。

(20)

資料5 平成20年12月 防 衛 省 海上自衛隊抜本的改革について ○ 海上自衛隊は、連続した不祥事等を受け、再発防止とともに中・長期 的な組織の体質改善を図るため、本年3月に海上幕僚長を長として、 主要部隊指揮官等をメンバーとする海上自衛隊抜本的改革委員会(以 下、「抜本的改革委員会」という。)を設置。 ○ 抜本的改革委員会は、全4回開催し、海上自衛隊の任務、教育、組織 等について、現場部隊の意見などを踏まえ、幅広い意見交換を行った。 ○ 海上自衛隊は、抜本的改革委員会における議論を踏まえた改革の方針 を全部隊に示すため、新しい年を迎えるにあたり「海上自衛隊抜本的 改革の実行上の指針について」(海上幕僚長通達)を示すこととした。 (その骨子は別紙のとおり) ○ 改革の実効性を高め、各種施策を着実に推進するために海上幕僚副長 を長とする「海上自衛隊抜本的改革推進委員会(仮称)」を設置し、改 革の方策の更なる検討、施策化の推進、実施の監督を行う。

(21)

(別紙) 平成20年12月 海 上 幕 僚 監 部 海上自衛隊抜本的改革の実行上の指針について(骨子) 1 問題点の分析 一連の不祥事等の底流にある要因として、 ○ 平時からの任務が増大、多様化したことによる、護衛艦部隊等の 人員不足による問題の顕在化。 ○ 冷戦期以来の我が国防衛の任務に加え、任務の多様化により、隊 員の目的意識が分散・希薄化したこと。 ○ 長期にわたる航海で一般社会から離れるなどの厳しい艦艇乗員と しての勤務環境と、現代の若者気質がかい離。更に、艦艇乗員は、 戦闘艦艇という運命共同体の一員としての船乗り気質を醸成できる 反面、指示待ちやときに刹那的な行動をとる場合がある。 などが考えられると分析。 2 改革の方針 「心身ともに健全で足腰のしっかりしたプロ集団たる海上自衛隊」を 作ることを改革の基本方針とし、「物先行型から人・物均衡型の海上防 衛力への転換」をその中核に位置づけ、「防衛力の在り方検討」等の各 種検討との整合を図りつつ、改革を推進する。 3 改革の3本柱 防衛省改革会議が報告書において言及した改革の3原則である「規則 遵守の徹底」、「プロフェッショナリズム(職業意識)の確立」、「全体最

(22)

適化をめざした任務遂行優先型の業務運営の確立」を踏まえつつ、以下 を3本柱とし、改革を推進する。 (1)「装備と人員のバランスのとれた体制への転換」 ○ 護衛艦部隊の充足率向上 ○ 定員の考え方の見直し ○ 業務の削減と効率化 ○ 女性自衛官の採用・登用の拡大 ○ 多角的な広報の推進 (2)「プロフェッショナル養成態勢の再構築」 ○ 入隊時教育の充実 ○ リフレッシュ教育の推進 ○ 艦艇長養成の仕組みの再構築 (3)「活気みなぎる組織の再生」 ○ 勤務と休養のバランスの確保 ○ 健全な余暇活動の奨励 ○ 隊務運営改善等による活性化 ○ 処遇の改善 ○ 就職援護の推進 4 フォローアップ体制 抜本的改革の実効性を高め、各種施策を着実に推進するために海 上幕僚副長を長とする「海上自衛隊抜本的改革推進委員会(仮称)」を 設置し、改革の方策の更なる検討、施策化の推進、実施の監督を行う。 なお、特別警備隊関係の課程学生の死亡事案等の、捜査・調査等が 継続中の案件についてはフォローアップ体制の中で対応。

参照

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