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電力営業系ソリューションの電力システム改革への取組み

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Academic year: 2021

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あ ら ま し 経済産業省「電力システム改革専門委員会」において,スマートメーター導入促進・電 力小売全面自由化・発送電分離のロードマップが策定され,電力業界は大きな変革のと きを迎えている。富士通では,電力営業業務およびシステムのノウハウを生かし,変化 へ迅速に対応できる営業ソリューションを展開してきた。しかし,電力システム改革に よって様々な課題が発生し,それを解決する新たな仕組みが必要になってきている。 本稿では,まず電力システム改革に伴って大きく変化する電力市場について,先行す る海外事例や日本固有の市場環境を加味しながら予測する。次に想定される市場環境の 変化によって対応すべき方向性を洗い出し,その方向性に沿ったソリューションの考え 方や仕組みについて紹介する。 Abstract

The Expert Committee for Electricity Systems Reform of the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) developed a roadmap to promote the adoption of smart meters, have full liberalization of entry to electricity retail business and separate power distribution and transmission from a power company ; in this way, the electricity utility industry is facing a time of great change. Fujitsu has developed solutions which can promptly respond to changes by taking advantage of its know-how in the electricity sales business and systems. However, various issues have arisen with this reform, and a new structure that can solve them is needed. This paper first makes predictions about the electricity market which will change a lot in connection with this reform, while considering overseas examples and the market environment that is peculiar to Japan. Next, it introduces expected solutions that can be developed to cope with changes in the market environment, and describes their structure and ways to solve each issue.

● 赤堀勝幸   ● 犬塚 純   ● 岩切伸一   ● 内田倫大   

電力システム改革への取組み

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のロードマップが作成されている(図

-1

)。本稿で は,来るべき電力システム改革に対応して富士通 が提供する電力営業系ソリューションの取組みに ついて紹介する。 市場変化とソリューションの方向性 電力システム改革による電力業界の変化を探る ことにより,今後の電力営業系システムとしての 課題が明らかになり,ソリューションとして対応 すべき方向性が見えると考える。電力システム改 革後の電力業界の変化は,先行する海外の動向と 日本固有の市場環境も勘案して想定した。 小売全面自由化や発送電分離で先行している海 外の業界動向(2)を整理すると以下のような市場変 化が発生すると想定される。これは電力業界に限 らず,規制緩和によって起きる市場の環境変化と 同等の現象と考えられる。 (1) 新規参入事業者の登場と事業者の統廃合 電力システム改革の導入当初は,様々な業界か らの新規参入があるものの,やがて体力のある既 存電力会社もしくはガス会社を中心に統廃合され ていく。 (2) 新しい料金メニュー・サービスの提供 時間帯別料金(TOU:Time of Use),ピーク別 料金(CPP:Critical Peak Pricing),リアルタイ

市場変化とソリューションの方向性 ま え が き 2013年2月,経済産業省「電力システム改革専 門委員会」において,スマートメーター導入促進・ 電力小売全面自由化・発送電分離を軸に今後のあ るべき電力システムについて取りまとめられ,電 力業界は変革のときを迎えている。この電力シス テム改革の論点は,以下の三つが報告されている。(1) まず小売分野の自由化である。これは需要家が供 給者や電源を選択できるよう家庭などの小口部門へ の参入自由化と,需要家ニーズに応じた様々な料金 メニューを提供できるよう電力会社の供給義務と料 金規制の撤廃を目指している。(以下,小売全面自 由化) 次に市場機能の活用である。小売全面自由化に 伴い不要となる卸規制を撤廃し,発電市場の活性 化が目指されている。 最後に送配電の広域化・中立化である。「広域系 統運用機関」を新設し,各エリアをまたぐ全国レ ベルでの広域的な系統計画の策定や需給調整を行 えるようにする。また,送配電網の中立的な運営 を行い,様々な事業者が送配電網を利用できるよ うに,送配電部門の法的分離の方式を前提に電力 会社の分社化を進める。(以下,発送電分離) 電力システム改革の上記内容を基に2020年まで ま え が き 図-1 電力システム改革ロードマップ ※経済産業省の電力システム改革専門委員会報告書(1)を基に作成。 第1段階: 広域系統運用 機関の設立 第2段階: 小売分野の 全面自由化 第3段階: 送配電部門の 法的分離 25年(2013)26年(2014)27年(2015)28年(2016)29年(2017)30年(2018)31年(2019)32年(2020) 広域系統 運用機関 設立 送配電部門の法的分離 (2018-2020目途) 小売全面 自由化 ルールの検討,整備,発効 組織移行準備の順次実施 全面自由化のための環境整備 料金規制の 経過措置期間 広域機関設立準備 料金規制の撤廃 (競争の進展次第) 規制組織の 独立性・専門性の 向上 新規制 組織への 移行 組織の詳細設計 ①送配電部門への規制(託送料金規制や各種行為規制) ②卸・小売市場における取引監視,競争状況レビュー,取引ルール整備 ③緊急時の供給命令や適切な計画停電実施など,  安定供給に係る業務など ①広域の需給計画の策定 ②連系線,広域送電線の整備計画の策定 ③需給および系統の広域的な運用(システムの準備完了次第開始) ④需給逼迫緊急時の需給調整など -低圧託送制度の整備 -低圧配電部門の公平性・透明性確保の 環境整備(例:顧客情報システムの扱いなど) -指令機能の改編 -システム開発に必要な おおまかなルール整備 卸規制の 撤廃 小口部門も電力会社選択や自由な料金設定が可能に

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ることと,30分ごとの電力量メーターの指示値を 測定できるスマートメーターの導入が浸透するこ とにより,需要家のライフスタイルや事業ニーズ に合わせた,多様な価格を設定できる料金メニュー が求められると想定する。 この営業系基幹システムには,以下のような対 応を行い,営業力強化/サービス向上を支援するシ ステムにする必要がある。 (1) 様々な料金メニューを計算できる仕組み (2) 様々なサービスを一括で請求できる仕組み ● 様々な料金メニューを計算できる仕組み 【時間帯別料金メニューの多様化への対応】 現状の料金体系は,3時間帯別までの料金が主流 で,電力会社の既存システムでは,新しい料金メ ニューが追加になるたびにプログラム開発が必要 になるケースが多い。 なぜなら,従来の料金計算においては,1か月に 1回メーターの指示値を検針員が測定し,前月の指 示値と今月の指示値の差で電気使用量(以下,使用 量)を求めて,料金を計算しているためである。こ れでは自由に時間帯別の使用量を求めることができ ない。従来と新しい使用量算出方法の違いのイメー ジを図

-2

に示す。図-2は使用量算出における既存の 差分方式とスマートメーターによる積算方式の違い を示している。 上述の課題を解決するため,スマートメーター の各時間の指示値から各時間帯の使用量を求め, 設定された料金メニューの時間帯別にフレキシ ブルに使用量を積み上げる仕組みが必要になる。 図

-3

はそれを可能にするモデルであり,検針日時 ム料金(RTP:Real Time Pricing)といった様々

な料金メニューや省エネコンサルなどのサービス が市場に提供される。 電力システム改革によって,既存電力会社がど のように分社化されるかについては最終決定して いないが,本稿では,既存電力会社が発電会社と 送配電会社(中立)および小売会社に3分割される ことを仮定する。また,営業業務や営業系システ ムは分社化される会社別に必要となるが小売会社 の営業業務を対象とする。 小売会社の営業業務としては,激しくなる競争に 打ち勝つための以下の施策が必須になると考える。 (1) 営業力の確保 (2) 市場環境に即応できる柔軟な業務運営 (3) 人・モノの更なる生産性向上 上記の施策に対応するための電力営業系ソリュー ションの方向性は,以下のようになると考える。 (1) 営業力強化/サービス向上を支援すること (2) 業務変化に即応可能であること (3) 生産性向上に向けて新しいICTが適用される こと これらの方向性に沿った電力営業系ソリュー ションの考え方・仕組みについて次章以降に示す。 新料金メニュー・サービスに対応する仕組み 電力営業系システムの中核を成す基幹システム は,需要家の申込受付から需要家向け請求・収納 までを担い,既に構築されたシステムが存在して いる。 小売全面自由化によって市場の競争が激しくな 新料金メニュー・サービスに対応する仕組み 図-2 従来と新しい使用量算出方法の違い 約1回/月検針(差分)+加重容量按分 約48回/日検針(差分)+実使用量 従来メーター スマートメーター 前月検針 今月検針 1 2 3 4 5 6 7 8 … 30 31 0時使用量 時間帯 A C B 1時使用量 2時使用量 22時使用量 23時使用量 日 今月指示数 前月指示数 時間帯別使用量はメーターの 機能(窓数)に依存 今月使用量 使用量 積上げ範囲を変えて対応 … …

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を提供できると考える。

この概念を計算式に表すと以下となる。この計 算式を実現する新たな料金計算エンジンを構築す る必要があると考える。

y=f(x)×a1 1+f(x)×a2 2+…+f(x)×az z

x :特定需要家の特定時間における使用量 f1(x) :使用量を変換する関数1 a1 :使用量単価1 ⋮ fz(x) :使用量を変換する関数z az :使用量単価z y :電力量料金 【リアルタイム料金への対応】 電力システム改革では,電力の市場調達拡大が目 指されており,電気を電力市場から調達し,そのコ で季節や時間帯を判定できるため,季節・時間帯 の定義表を参照して日単位/月単位で使用量を算出 することができる。 【ピーク別料金の多様化への対応】 時間帯別メニューの多様化だけでなく,ある特 定の使用量を超過した場合の単価は特別に設定す る,ある特定の時期の電力単価を特別に設定する といったピーク別料金も新しく追加されると想定 される。 この場合,ベースとなる使用量のカーブ(ロー ドカーブ)を特定の条件で変換し,新しい使用量 のカーブを加工・生成できる仕組みが必要になる。 図

-4

のようなロードカーブを加工する関数を組み 合わせることによって,上記メニューのプログラ ムを個別に開発することなく,柔軟な料金メニュー 図-3 使用量積上げ計算例 設備識別キー (計量U番号) 検針日時 検針種別 検針区分 異動区分 指示数 収集日時 22222 2011/07/01 00:00 定例 自動 夏入・月〆 10 2011/07/01 00:02 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 22222 2011/07/20 00:30 定例 自動 330 2011/07/20 00:32 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 22222 2011/07/20 23:30 定例 自動 345 2011/07/20 23:32 22222 2011/07/21 00:00 定例 自動 346 2011/07/21 00:02 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 22222 2011/07/23 00:30 定例 自動 390 2011/07/23 00:32 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 22222 2011/07/23 23:30 定例 自動 406 2011/07/23 23:32 22222 2011/07/24 00:00 定例 自動 410 2011/07/24 00:02 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 22222 2011/08/01 00:00 定例 自動 月〆 550 2011/08/01 00:02 <ある使用場所(スマートメーター)における指示数収集実績> 契約種別 季節 平日休日/ 期間From 期間To 時間帯From 時間帯To 指針 2時間帯別電灯 共通 共通 01/01 12/31 07:00 23:00 昼間 2時間帯別電灯 共通 共通 01/01 12/31 23:00 07:00 夜間 季時別電灯1 夏季 平日 07/01 09/30 09:00 17:00 夏季平日昼間 季時別電灯1 夏季 平日 07/01 09/30 07:00 09:00 夏季平日リビング 季時別電灯1 夏季 平日 07/01 09/30 17:00 23:00 夏季平日リビング 季時別電灯1 夏季 平日 07/01 09/30 23:00 07:00 夏季平日夜間 季時別電灯1 夏季 休日 07/01 09/30 07:00 23:00 夏季休日リビング 季時別電灯1 夏季 休日 07/01 09/30 23:00 07:00 夏季休日夜間 季時別電灯1 夏季以外 平日 10/01 06/30 09:00 17:00 夏季以外平日昼間 季時別電灯1 夏季以外 平日 10/01 06/30 09:00 17:00 夏季以外平日昼間 季時別電灯1 夏季以外 平日 10/01 06/30 07:00 09:00 夏季以外平日リビング 季時別電灯1 夏季以外 平日 10/01 06/30 17:00 23:00 夏季以外平日リビング 季時別電灯1 夏季以外 平日 10/01 06/30 23:00 07:00 夏季以外平日夜間 季時別電灯1 夏季以外 休日 10/01 06/30 07:00 23:00 夏季以外休日リビング 従量電灯B 共通 共通 01/01 12/31 00:00 00:00 全日 <季節・時間帯定義表> 使用契約 検針年月日 指針 使用量 1000 2011/07/20 夏季平日昼間 4 1000 2011/07/20 夏季平日リビング 9 1000 2011/07/20 夏季平日夜間 3 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 1000 2011/07/23 夏季休日リビング 13 1000 2011/07/23 夏季休日夜間 7 使用契約 検針年月日 指針 使用量 1000 2011/07/20 昼間 6 1000 2011/07/20 夜間 10 使用契約 検針年月日 指針 使用量 1000 2011/07/20 全日 16 従量電灯Bの場合の日別使用量データ 2時間帯別電灯の場合の日別使用量データ 季時別電灯1の場合の日別使用量データ

参照

算出 算出 算出 算出

(5)

ストに一定の利益を積み上げた単価を料金メニュー とするといった電力市場調達コストと連動型のリア ルタイム料金が新しく市場に提供されることも十分 に考えられる。この料金を実現するために,以下の 機能をシステムに実装する必要がある。 (1) 自社電源や他社電源の発電計画と需要家の需 要予測を行う。 (2) 不足する電力を電力市場に対し入札を行う。 (3) 自社電源コストや他社電源調達コストおよび 市場入札価格に一定の利益を乗せた単価を設定 する。 (4) 設定した単価に実際の使用量を乗算し,料金 を計算する。 上記の機能を使用したリアルタイム料金計算の イメージを図

-5

に示す。 ● 様々なサービスを一括で請求できる仕組み 小売全面自由化となった場合,欧米の先行事例(3) から想定するとガス業界からの参入が最も可能性 が高いと想定される。ガス会社は,デュアルフュー エル(電気とガスおよび熱を販売すること)で事 業参入をすると想定される。 また,日本の場合は,固定通信事業を営むキャ リア会社(4)や住宅を販売する会社(5)もそれぞれベー スとなる事業の追加オプションとして,電力供給 サービスを提供し,事業参入してくると想定される。 上記のような新しく事業参入してくる会社に対 図-4 ロードカーブ加工関数の計算イメージ 図-5 リアルタイム料金計算イメージ 使用量(ロードカーブ) f1(x ) f2(x ) f3(x ) 加工後ロードカーブ × a1 単価 × a2 × a3 時間 t1 t2 t3 t3 t2 t1 使用量 時間 使用量 時間 使用量 時間 使用量 関数 t3 t3 t2 t2 t1 t1 使用量(ロードカーブ) 時間 使用量 自社電源コスト 他社電源コスト 市場調達コスト 利益 利益 利益 × x1 使用量 × x2 × x3 + + + ( ( ( 単価(時間帯別) ) ) ) 需要家に自社電源・他社電源と市場調達で 電力を供給するケース

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抗するため,電力小売会社は,ガスや通信といっ た電気以外のサービスも提供することになると想 定される。 営業系の基幹システムには,それぞれのサービス の料金を計算し,まとめて請求を行う仕組みが必 要になると考える。実現策としては,概念データモ デルベースで,支払情報と契約情報の関係を1:n の関係でシステムを構築することによってマルチ サービスが実現可能と考える。 更なる業務効率化を実現する仕組み ~グループ会社間業務連携の効率化~ 小売全面自由化と発送電分離によって,既存の 電力小売会社の営業業務は,新規参入する競合事 業者に対抗するため,人・モノの更なる生産性向 上を目指す必要がある。このとき,営業系ソリュー ションとしては,基幹システムに以下のような生 産性向上に向けた新しいICTを適用する必要がある と考える。 発送電分離制度が導入されると,送配電部門は 中立的な立場の会社となり,発電部門と小売部門 は別会社となる。一般的に会社が分離されれば, 当然業務の効率は低下すると考えられる。したがっ 更なる業務効率化を実現する仕組み ~グループ会社間業務連携の効率化~ て既存の電力会社は,小売自由化や分社化を踏ま え新規事業者に対抗するために,効率が下がると 想定されるグループ会社間(発電−送配電−小売 会社間)の業務効率を低下させない取組みが必要 になる。 営業系の基幹システムでは,この部門間にまたが る業務を効率化するシステムの機構が必要となる。 この課題は,業務フローに関わっていることから, 以下のようなシステム対応をする必要がある。 (1) 部門間をまたがる業務プロセス(ICTサービ ス)の疎結合化(メッセージサービス処理) (2) 新規参入事業者も参画可能な標準化された業 務フローを実装するフローエンジンの導入 上記(1)のICTサービスの疎結合化をシステム に実装するために,富士通が提供するミドルウェア FUJITSU Software Interstage Service Integrator (ISI)を活用することで対応可能と考える。また,

上記(2)を実現する業務フローエンジンとして富 士通が提供するミドルウェアFUJITSU Software Interstage Business Operations Platform(IBOP) を活用することで対応可能と考える。図

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は富士 通が提供するミドルウェアを使って,業務をモデ 図-6 グループ会社間業務効率化 利 用 者 業 務 プ ロ セ ス / 統 合 デ ー タ 現 行 シ ス テ ム

業務プロセス実行基盤(FUJITSU Software Interstage Business Operations Platform)

ユ ー ザ ー プ ロ セ ス デ ー タ コールセンター システム 営業システム 小売顧客 他地域受付 配電システム 受電設備 計器管理 スマートメーター 管理システム 小売会社 スマート メーター 現地検針 工事会社 送配電会社 現地工事 料金 検針 検針票 お客様 見える化 検針 検針票 HEMS SOAP,クラウド 他小売会社 名寄せ 契約確認 承認 現地工事 コネクター機能により現行システムや 他社システムと柔軟に連携 プロセスモデリング機能により,業務の流れを イメージできないことによる検討の混乱を防ぐ 富士通の業務プロセス実行基盤を利用することで, 低コストで外部システムや既存システムの情報連携を柔軟に活用可能になる。 Point of Delivery (SPID,マイナンバーなど) 現場業務を 踏まえた改革

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リングで可視化し,現行システムと連携すること でグループ会社間の業務効率化を実現するイメー ジを示している。 環境変化に即応可能な仕組み ~総括原価方式から個別採算方式への移行~ 従来の電力会社は,総括原価方式によって,発 電/送配電に関わる様々なコストと利益を総合的に 判断し,各料金メニューの単価を設定してきた。 新規参入事業者は,既存の小売会社よりも単価を 安く設定することで需要家ニーズを訴求すること が考えられる。 この場合,対抗する既存の電力小売会社におい ても,供給エリア全体のトータルで利益を出す考 え方ではなく,料金メニュー単位もしくは個別契 約単位で採算が取れるかどうか判断し,販売価格 を低く抑えることが必要になると考える。図

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は 新しい料金メニュー企画業務の流れとそれに必要 な機能イメージを示している。 また,上記に加え,競合他社の脅威を排除する ため,企画した新しい料金メニューを迅速にリリー スする仕組みが必要になると考える。というのも, せっかく競争力のある料金メニューを企画しても, システムの実装が遅れたために,競合他社に需要 環境変化に即応可能な仕組み ~総括原価方式から個別採算方式への移行~ 家を奪われてしまっては意味がないからである。 したがって,新メニューを企画する業務には以下 のような機能を保持した個別採算方式とメニュー 展開を実現する営業支援システムが必要になる。 (1) 各需要家の各時間帯の使用量が把握できる。 (2) 上記需要家を使用量のカーブで分類できる。 (3) 分類された需要家グループに新しい単価を仮 説設定できる。 (4) 分類された需要家グループの時間帯別の発電/ 調達などのコストが設定できる。 (5) 上記(3),(4)の設定値から各需要家の料金 シミュレーションを実行し,採算を算出できる。 (6) 採算の検討の結果,リリースすることが決定 した料金メニューは速やかに基幹システムに実 装され料金計算ができる。 図

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は迅速な新メニュー展開を実現する仕組み のイメージである。 む  す  び 本稿では,電力システム改革対応に伴う課題 の解決に向けて富士通が提供する電力営業系ソ リューションの考え方や仕組みについて述べた。 2013年秋の国会で電力システム改革のための電 む  す  び 図-7 新しい料金メニュー企画業務の流れ 総括原価方式 (エリア全体採算) 総需要 カーブ 原価カーブ 個別採算方式 (メニュー/個別採算) 契約kW (電圧V) 2000 kW (2万V) 500 kW 50 kW (6000 V) 100∼200 V 【特高】 大規模工場 デパート,オフィス 電力量:26% 【高圧】 中規模 電力量:14% 【高圧】 小規模 電力量:23% 【低圧/電灯】 コンビニ,事業所 家庭 電力量:33% 顧客抽出 時間 売上 時間 ピーク別料金 代表ロードカーブ 総原価=営業費(燃料,設備,人など)+事業報酬 電気料金=基本料金+電力量料金±燃調費+付加金 総 総原原価= =基本料金+電力量料金 営業費(燃料,設備,人など) 金 額 単 価 損 益 試 算 メ ニ ュ ー 設 定 需 要 予 測 料 金 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 廃 止

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(2) 電力中央研究所:H19年電力中央研究所報告「日本 型自由化制度改革の総合的評価」. http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/ leaflet/Y05.pdf (3) 電力中央研究所:欧州の家庭用の小売市場自由化に おいて明らかになったことは何か?(電気新聞2012年 8月27日掲載記事). http://criepi.denken.or.jp/jp/serc/denki/pdf/ 20120827.pdf (4) 朝日新聞DIGITAL:KDDI,電力小売り参入へ 携 帯とセットで割引きも.2013年6月20日. http://www.asahi.com/business/update/0619/ TKY201306190480.html (5) 日経コンピュータ:富士通と三井物産がHEMSで提 携.2013年1月10日号,p.13. 気事業法改正案が成立する見通しであり,現状で はほぼ確実に改革の推進がされると想定される。 一方で新制度導入に向けた様々な規定や標準の制 定はいまだ不十分であり,業界の変化も想定しに くい状況である。 しかし,今までに培ってきた電力営業系業務ノ ウハウや海外先行事例調査を活用し,提供する営 業系ソリューションの更なる拡充を図り,お客様 に満足いただけるシステムやサービスを提供して いく。 参 考 文 献 (1) 経済産業省:電力システム改革専門委員会報告書. 2013年2月. http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/kaikaku/ 20130515-1-1.pdf 図-8 企画した料金を迅速にリリースする仕組み 営業支援システム(採算シミュレーション) 計算エンジン 業務システム 制御アプリケーション 新料金メニュー ロジック 計算1 計算2 計算3 ○ ○ ○ ルール編集 営業企画 計算方法 需要家プロファイリング/採算シミュレーション/計算方法定義 もし○○の場合, △△△を××する プログラム 処理表 ・30分指示数 ・時間帯別使用量 新料金メニュー企画 営業基幹システム 計算エンジン 新料金メニュー ロジック 業務システム 制御アプリケーション ・需要家 ・契約 ・請求 料金メニュー迅速リリース

MDM:Meter Data Management 新料金メニュー ロジック ホームページなど 検針データ管理 システム ・30分指示数 MDMシステム リリース リリース

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赤堀勝幸(あかほり かつゆき) エネルギーソリューション開発事業部 中日本システム部 所属 現在,電力・ガス業界におけるシステ ム開発に従事。 犬塚 純(いぬつか じゅん) エネルギーソリューション開発事業部 東日本システム部 所属 現在,電力・ガス業界におけるシステ ム開発に従事。 岩切伸一(いわきり しんいち) エネルギーソリューション開発事業部 西日本システム部 所属 現在,電力・ガス業界におけるシステ ム開発に従事。 内田倫大(うちだ みちひろ) エネルギーソリューション開発事業部 西日本システム部 所属 現在,電力・ガス業界におけるシステ ム開発に従事。 著 者 紹 介

参照

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