受験風土記
第
11
回
東京
都
①
(都立高校編)
●東京都の人口:12,886,838人(2008年7月1日現在) ●大学数(短大除く):132 ●高校数:公立212、私立238 ※掲載スペースの都合上、島部は割愛させていただきました。1960 年代まで東京大合格者の
上位を都立高校が独占
まず、東京都の高校生の卒業後の 進路を見てみよう<表1>。 就職率は1992年度20.2%→2007年 度 7.6 %で、いずれも全国 47 位と最 も低い。当然、進学する高校生が 多いわけだが、1992 年度は専修学 校への進学率が 18.9 %で全国 9 位 と、相当数を占めていたのに対し て、2007 年度は 12.6 %で全国 47 位 と 急 激 に 減 少 し て い る 。 そ の 分 、 大学・短大等への進学率が 1992 年 度 34.8 %(全国 18 位)→ 2007 年度 61.3%(全国2位)と上昇している。 1960 年代の半ば頃まで、東京大 合格者の上位は、日比谷高校を筆 埼玉県 千葉県 山梨県 神奈川県 立川市 中央区 江東区 千代田区 国分寺市 立川 国分寺 日比谷 晴海総合 科学技術 墨田区 墨田川都立高校の「復権」を目指して
多彩な「改革推進計画」が進行中
神宮球場 東京都庁 このコーナーでは、各都道府県の大学進学に対す る意識や高等学校の取り組みを紹介する。今回は 東京都の都立高校を取り上げる。なお、紙幅の都 合上、東京都の私立高校および都立中高一貫教育 校の現状と生徒の進学先の志向については、次号 でレポートすることにする。て、幅広い内容を盛り込んだ「都立 高校改革推進計画」および「第1次 実施計画」を策定。第1次実施計画 は 1999 年度までが計画期間であり、 以後、第2次実施計画(2002年度ま で)、新たな実施計画(計画期間は 2006年度までだが、2011年度までを 計画継続期間とする)が策定され、 現在に至っている。
学区制撤廃に伴う危機感が
特色の明確化を促進
都立高校改革の内容は多岐に渡る が、学校の特色化と同時に進め、注 目を集めたのは学区制の撤廃だ。都 立高校の入試は、先述した学校群制 度が1981年度まで存続。学区内で2 つのグループに分ける「グループ合 同選抜制度」の時代を経て、1994年 度に単独選抜制度に移行した。ただ し、他学区からの合格者数には、上 限が設けられていた。それが、2003 年度からは、学区制が完全に撤廃さ れ、受験する高校を自由に選べるよ うになったのだ。 このことは、さまざまな波及効果 をもたらしている。「学区制撤廃に 伴う危機感から、『選ばれる高校』 であり続けるために、各校ごとに特 色を明確に打ち出し、アピールする ようになっています。伝統校でも、 中学生や保護者対象の授業公開、入 試説明会、部活動体験などの開催が 活発化しています」と、教育庁指導 部の萩原主任指導主事は語る。 高橋副参事も「生徒や保護者に、 その高校の特色を理解していただく ためには、各学校が目指す学校像を 明らかにするとともに、1 年間の教 育活動の目標を示した学校経営計画 の策定が必要でした。2003年度から、 全都立学校で学校経営計画の立案に 組織的に取り組んでいます。どの学 校も目標達成に向け、従来以上に授 に乗り出したのは、1990年代半ばに 入ってからのことだ。その背景を教 育庁都立学校教育部の高橋副参事は 次 の よ う に 語 る 。「 高 校 進 学 率 が 96%を超える時代を迎え、都立高校 に学ぶ生徒の能力、適性、興味、関 心の多様化が進む一方、少子化によ る長期的な生徒減少が続くことで、 学 校 の 小 規 模 化 が 進 行 す る な ど 、 種々の課題がありました。都民にと って魅力ある学校づくりを進めるた め、都立高校改革を推進する必要が あったのです」。 東京都教育委員会は、1995 年 12 月に「都立高校白書」により、都立 高校の現状や課題を明らかにすると ともに、「都立高校長期構想懇談会」 を設置。また、1996年に「都立高校 に対する都民意識調査」を実施した。 都立高校を選択した理由についての 設問では、「学費が安いから」「男女 共学だから」「通学が便利」などの 回答が多かった一方、「学習指導が 充実しているから」「進学指導に実 績があるから」などについては低い 数値だった。新たなタイプの学校と して単位制高校を望む意見や総合学 科高校を10校程度設置したほうが良 いとの声も多かった。 こうした背景を受け、東京都教育 委員会は、指導内容の改善など既設 校の特色化を進めることや新たなタ イプの学校の設置計画をはじめとし 頭に、西高校、戸山高校、新宿高校 など、都立高校が独占していた。 現在では私立高校が上位を占めて いるが、そのターニングポイントに なったのが 1965 年の東京都の通達 だ。中学校における入試準備教育の 重視を是正するため、「入試を目的 とした教育ではなく、各領域の調和 のとれた教育を行うこと」などを謳 った通達が出されたのだ。 次いで、1967年度には「学校群制 度」が導入された。地域的に近い複 数の学校でグループを作って、その 中で学力が平均化するように合格者 を振り分ける制度だ。この制度はそ の後、合同選抜、複合選抜など、名 称やシステムは若干異なるものの、 一時期、いくつかの他府県にも波及 していった。 高校入試で好成績をあげても、志 望校に入れるとは限らない場合、生 徒のモチベーションは下がる。折し も進学指導を強化する私立高校が 次々に台頭。その多くが中高一貫化 を図ったことによって、成績上位層 は中学段階から私立校に入学するよ うになっていく。進学実績面で突出 した都立高校は少なくなり、往年の 面影は薄れていった。「都立高校改革推進計画」を
1997 年 9 月に策定
東京都教育委員会が都立高校改革 <表1> 高校卒業後の進路 ※学校基本調査より 大学・短大等進学率 専修学校(専門課程)進学率 就職率 大学・短大等進学率 専修学校(専門課程)進学率 就職率 大学・短大等進学率 専修学校(専門課程)進学率 就職率 34.8% 18.9% 20.2% 26.3% 16.7% 20.0% 42.5% 20.8% 20.4% 18位 9位 47位 21位 12位 47位 19位 5位 47位 32.7% 16.4% 33.1% 25.2% 15.8% 33.3% 40.2% 17.0% 32.9% 全 体 男 女 1992年3月 東京都 (全国) 東京都 (全国) 2007年3月 61.3% 12.6% 7.6% 58.5% 10.5% 8.8% 64.0% 14.7% 6.4% 2位 47位 47位 2位 45位 47位 2位 47位 47位 51.2% 16.8% 18.5% 49.9% 13.5% 21.2% 52.4% 20.2% 15.8%新
受験風土記
第
11
回 東京都
として「教員公募制」が導入されて いる。全都からその高校の教育に共 感する教員を公募し、異動者の決定 にあたっては、校長の意向が反映さ れる。「教員にもさまざまなタイプ があり、進学指導のノウハウに精通 している教員もいれば、基礎力が不 足している生徒の学力の底上げが得 意な教員もいます。それぞれの学校 が目指す教育に適した教員が集めら れるメリットは大きいと考えます。 本校にも、低学年向けの授業が得意 な教員もいれば、高学年対象の方が 向いている教員もいるわけで、来年 度以降、学年担任団がすべて持ち上 がるスタイルではなく、1年次生専 門、3年次生専門といった具合に、 適材適所に教員を配置する構想を持 っ て い ま す 」( 東 京 都 立 墨 田 川 高 校・佐藤光一校長) その効果も大きいようだ。「指定を 受けている高校を受験する生徒は、 従来のような共通問題だと、ほとん どが高得点で、差がつきにくい面が ありました。独自問題を作成するこ とによって、それぞれの高校の教育 内容に適した生徒を入学させること ができるようになりました。また、 教員の作問能力向上も期待できます し、入試の得点状況を分析して、1 年次の指導に生かす高校もありま す。入試段階で入学する生徒の弱点 分野が把握でき、早めに着実にフォ ローできるのです」(萩原主任指導 主事) さらに、高校間の連携も図られつ つある。都教育委員会では、1998年 度から「進学指導研究協議会」を開 催しているが、2004年度からは参加 校を33校に拡大し、各校の性格によ って 3 つのグループに編成。指定を 受けた高校はすべて参加している< 表 3 >。 この研究協議会では、各校の進学 指導、教科指導の工夫について幅広 く情報交換を行っており、指導ノウ ハウの共有に役立てている。
指定を受けた高校の
進学実績が大幅に向上
こうした支援策もあって、指定を 受けた高校の進学実績は大幅に向上 している。 2007 年 4 月の「新しいタイプの高 校における成果検証検討委員会」の 報告書によると、2001年に進学指導 重点校になった日比谷高校、戸山高 校、西高校、八王子東高校の「東京 大学・東京工業大学・一橋大学・京 都大学・国公立大学医学部の現役合 格 者 数 」 は 、 指 定 前 の 5 年 間 平 均 業内容に工夫を凝らしています」と、 相乗効果について話している。進学指導重点校・特別推進校・
推進校を指定
もう1つ、実施計画で注目される のが、進学指導を強化する高校を支 援する制度が作られたことだ。 <表2>の通り、難関大学を目指 す「進学指導重点校」として、2001 年 9 月に 4 校、2003 年 11 月に 3 校を 指定。次いで、2007 年 6 月に難関大 学を中心とした進学実績の向上を目 指す「進学指導特別推進校」を 5 校 指定、さらに、国公立大学および難 関私立大学への進学を目指す取り組 みを強化する「進学指導推進校」と して、11校を位置付けている。 また、進学指導重点校・特別推進 校及び重点支援校への支援策の1つ 進学指導特別推進校 進学指導推進校 小山台、駒場、新宿、町田、国分寺 九段、三田、国際、豊多摩、竹早、 北園、墨田川、城東、小松川、 武蔵野北、小金井北 向上を目指す学校 国公立大学及び難関私立大学への 進学を目指す取り組みを強化する 学校 学校名(Ⅰグループ) 進学指導重点校を中心に構成 日比谷高等学校 戸山高等学校 青山高等学校 西高等学校 小石川高等学校※ 両国高等学校※ 八王子東高等学校 立川高等学校 武蔵高等学校※ 国分寺高等学校 国立高等学校 学校名(Ⅱグループ) 中高一貫教育校に関わる学校 で構成 九段高等学校 都立大学附属高等学校 桜修館中等教育学校 富士高等学校 大泉高等学校 小石川中等教育学校 附属中学校 両国高等学校附属中学校 南多摩高等学校 北多摩高等学校 武蔵高等学校 三鷹高等学校 学校名(Ⅲグループ) 進学重視型単位制高校及び進学 指導を重視している学校で構成 三田高等学校 小山台高等学校 駒場高等学校 新宿高等学校 国際高等学校 豊多摩高等学校 竹早高等学校 北園高等学校 墨田川高等学校 城東高等学校 小松川高等学校 町田高等学校 武蔵野北高等学校 小金井北高等学校 <表 3 >進学指導研究協議会参加校(2006 年度∼) ※の高校については、中高一貫教育校、中等教育学校として全学年が揃った時点でⅡグループだけに所属する。60.6 名→指定後の 3 年間平均 88.7 名 と、46.4 %のアップ。「国公立大学 全体の現役合格者数」も、229.8 名 →331.3名と、飛躍的に伸びている。 2003年に進学指導重点校に指定され た青山高校、立川高校、国立高校も 「東京大学・東京工業大学・一橋大 学・京都大学・国公立大学医学部の 現役合格者数」が 30.5 名→ 35.0 名、 「国公立大学全体の現役合格者数」 が 148.5 名→ 231.0 名と、アップして いるのだ。 これはやはり校内の雰囲気、教員 の意識が大きく変わったことが影響 しているようで、次のような声が聞 かれた。 「本校の校是は『自主自律』です が、それを曲解すると放任になって しまいます。教員側はその面の意識 を変え、手をかけて、丁寧に指導し ようという雰囲気が生まれていま す」(東京都立立川高校・宮田明子 先生) 「従来の都立高校は、自主性の尊 重というと聞こえはいいのですが、 放任主義になっていた面もありまし た。ただし、勘違いしないでいただ きたいのは、強化したのは進学指導 であり、受験指導ではないというこ とです。優れた学習環境、授業を提 供し、丁寧な指導を行う体制を整備 することをポリシーとして、改革を 進めています」(東京都立日比谷高 校・臼田浩一先生)
中高一貫校、総合学科など
新しいタイプの高校が誕生
「都立高校改革推進計画」のもう 1つの柱になっているのが、新しい タイプの高校の設置だ。トータル49 校が計画されており、内訳は、中高 一貫教育校10校、総合学科高校9校、 単位制高校11校、科学技術高校2校、 チャレンジスクール 5 校など。2008 年度までに 40 校が誕生。2011 年度 までにさらに 9 校の開校が予定され ている。先述したように、都立学校 に学ぶ生徒の多様なニーズに応える ためであり、各校とも特色ある教育 を展開している。 このように、都立高校では多彩な 改革が目白押しだ。それがスムーズ に進行しているのは、東京都には私 立高校という強力なライバルが多数 存在することも関係しているよう だ。東京都の小学生の私立中学受験 者数は、10年近く増加の一途をたど っている。成績上位の子どもが中学 段階で私学に流れている現状に対す る危機感から、魅力ある学校づくり の必要性を痛感しているのだ。 そうした各都立高校の独自の取り 組みを以下に紹介してみよう。都立高校
●東京都立科学技術高等学校
6 クラスで構成される科学技術科 を設置。基本的に理系大学・学部へ の進学に対応した指導を展開してお り、2年次から、1分野(力学系)、2 分野(電気・電子・情報系)、3分野 (化学・環境・生物系)に分かれる。 分野ごとのクラス編成ではなく、選 択科目に応じて、その都度、授業の クラスを再編して授業を受けるスタ イルだ。 また、2 年次からは、ペースアッ プクラスを 1 クラス設けている。こ れは、習熟度の高い生徒向けのクラ スで、1 年次の成績をもとに編成さ れる。そのほか、数学、理科、英語 について、2 クラスを 3 グループに 分割して、少人数制の習熟度別授業 を実施している。 SSHの指定校だが、特定の生徒対 象ではなく、全員を対象とした取り 組みを行っている点に特色がある。 例えば、1 年次の「SS 科学技術と人 間」という科目では、科学技術の基 礎素養を高めるとともに、国語科教 員の協力を得て、小論文やプレゼン テーションの指導も行う。9 月に日 本科学未来館での研修も組まれてい る。2 年次 9 月には、全員を約 10 大 学(今年度は、お茶の水女子大学、 芝浦工業大学、上智大学、東京理科 大学、日本大学、武蔵工業大学など を予定)に分け、大学の模擬講義を 受けたり、研究室を訪問したりする 研修もある。 なお、科学技術科では、「課題研 究」が必修で、以前からハイレベル な研究に定評があった。 「科学研究部、機械工作部、ロボ ット部など、国際大会での発表を目 指して活動しているクラブも少なく ありません。SSHに指定されたこと を契機に、昨年度、これらのクラブ を統合する『SS 研究部』が発足。 クラブ間の連携を強めることで、研 究の幅がさらに広がっています。SS 研究部は、クラブに所属していない 生徒の課題研究を組織的にバックア ップする役割も担っており、積極的 に外部の大会への参加を促していま す」(早川信一先生) 実際、同校の生徒の各種大会での 実績は輝かしい。2007年度も「高校 化学グランドコンテスト全国第 2 位 (大阪市立大学長賞)」「ジャパン・ サイエンス&エンジニアリングチャ レンジ(スポンサーコンプリメンタ リー賞)」「全国・高校生ものづくり コ ン テ ス ト 化 学 分 析 部 門 準 優 勝 」 「 テ ク ノ 愛 コ ン テ ス ト 全 国 第 4 位 」 「高校生理科研究発表会(千葉市長 賞)」などを受賞している。 「本校の生徒は、科学技術の研究 が大好きなタイプが多く、課題研究 に熱中するあまり、定期試験の直前新
受験風土記
第
11
回 東京都
ンター試験対策などの講座がある一 方、文化・教養的な内容も含まれて おり、「豚・鶏の頭の解剖」「スター ウォーズで学ぶ英語表現」「ギリシ ャ神話入門」「家電品の解体」など、 興味深いテーマが並んでいる< 表 4 >。 「夏休みや放課後などの講習でも、 受験対策講座だけでなく、電気工事 士、危険物取扱主任者など、資格取 得に特化した集中講義も設けていま す。資格取得が有利になる推薦入試 などにも活用できるはずです。せっ かく普通科とは一味異なる特色ある 教育を実施しているのですから、こ うした資格や課題研究も含めて、学 んだすべてのことを生かして、進路 実現を図ってほしいと考えていま す」(早川先生) いる多摩地区の拠点校で、1学年は8 クラス。単位制高校であるため、ク ラス単位での文理分けを行わず、各 自が必要な科目を選択する形になっ ている。 とはいえ、基本的にはクラス単位 で展開する必修の授業の方が多く、 1年次はほとんどが必修だ。ただし、 発展系科目群<表 5 >にはターゲッ トを絞った高度な科目もあり、2・3 年生が合同で受講するものもある。 発展系科目群のうち、「インディペ ンデント・スタディ」は中央大学商 学部、「東京未来塾」は首都大学東 京の指導のもと、調査研究、論文作 成などを行い、その審査によってそ れぞれの大学への合格が認められる 「高大接続教育」の試みだ。そのほ か、東京薬科大学生命科学部とも接 続教育プログラムを用意している。 験対策が遅れてしまう面もありま す。けれども、せっかくの研究意欲 を削いだのでは意味がありませんか ら、私たちは、それだけ一生懸命や るのなら、推薦や AO 入試で武器に なるぐらいのレベルに達するように しなさいと指導しています。実際、 各種大会でプレゼンテーション能力 が鍛えられていることもあって、国 立大学を含めて、推薦や AO 入試の 進学実績が高まっています」(早川 先生) 一方で、一般入試を目指す生徒向 けの指導も強化している。 例えば、夏休みを通して夏期講習 を開講。並行して、2 年次の夏休み には外部の施設で 3 泊 4 日の勉強合 宿、1・3年次は、昨年から2週間程 度の登校勉強合宿を導入した。 通常時も、全学年ともに、放課後 は90分1時限、土曜日は90分2時限 の講習を組んでいる。 講 座 名 映画「スターウォーズ」で学ぶ英語表現 人生哲学講座 宗教史入門 ギリシャ神話入門 数学の歴史を学ぼう インド式計算術+α 家電品の解体 室内模型飛行機入門 高大連携講座 物理で環境問題を考える 首都大学東京理工系講座 食品の化学 発酵食品入門 豚頭、鶏頭の解剖 水の環境を考える 2次元CAD きもの文化を学ぶ 手作り絵本・おもちゃを作ろう ちょっと贅沢なクリスマスケーキを作ろう マラソンへの道 <表 4 >科学技術高校 短期集中講座 (2007 年度・抜粋) ●地理B ●世界史B ●日本史B ●倫理 ●物理Ⅰ(文系) ●数学B(理系) ●数学B(文系) ●音楽Ⅱ ●美術Ⅱ ●書道Ⅱ ●家庭総合 ●地理B ●世界史B ●日本史B ●政治経済 ●数学Ⅲ(前) ●数学C ●物理Ⅱ ●化学Ⅱ ●生物Ⅱ ●音楽Ⅲ ●美術Ⅲ ●書道Ⅲ 基 礎 系 選 択 科 目 群 2 年 次 3 年 次 ●数学ⅠA基礎演習 ●倫理演習 ●化学Ⅰ演習 ●英語講読 ●古典講読A演習 ●古典講読B演習 ●古典演習 ●世界史演習 ●日本史演習 ●政治・経済演習 ●数学ⅠA演習 ●数学ⅡB演習 ●数学Ⅲ演習(後) ●物理Ⅰ演習 ●化学Ⅰ演習 ●生物Ⅰ演習 ●英語演習(A) ●英語演習(B) ●英語演習(C) 演 習 系 科 目 群 2 年 次 3 年 次 ●古典特講 ●倫理特講 ●政治・経済特講 ●日本史特講 ●世界史特講 ●地理研究 ●数学特講 ●研究物理 ●研究化学 ●研究生物 ●体育特講 ●歌唱 ●素描 ●美術表現 ●時事英語 ●英会話 ●異文化理解 ●フードデザイン(3年次) ●発達と保育 ●大学における学習 ●インディペンデント・ スタディ(3年次) ●東京未来塾(3年次) 発 展 系 科 目 群 2 ・ 3 年 次 <表 5 >国分寺高校 設置科目 (2008 年度予定)
また、東京学芸大学、津田塾大学、 東京経済大学、明治薬科大学、電気 通信大学、日本社会事業大学とは、 大学の講義を聴講して、高校の正規 の単位として認定される「高大連携」 の制度を設けている。 また、単位制高校には教員が多め に配置されるメリットを生かして、 古典や数学は 2 クラスを 3 分割、実 験が多い理科は 1 クラスを 2 分割し て、習熟度別の少人数制授業を行っ ている。1クラス20∼30名程度の人 数で、発展クラスと標準クラスに分 かれるケースが多い。 進路指導として、近年、最も力を 注いでいるのが情報提供の充実だ。 進路指導部が作成する「進路だより」 は年間約20回発行し、それとは別に 学年ごとの「進路だより」もある。 テーマは、学校の進路行事や外部イ ベント(オープンキャンパス、学園 祭、インターンシップなど)の紹介、 それらに参加する際の心構え、卒業 生や教育実習生の合格体験談など、 多岐に渡っている。 加えて、教員への情報発信も活発 化している。「教員自身が全体的な 入試動向を把握することが大切だと 考えており、予備校などの入試研究 会の案内を全教員に配布。次第に積 極的に参加していただけるようにな っています。また、昨年から、年 4 回の実力テストの分析会も始めまし た。生徒の学力の現状を理解した上 で、授業に反映させることが目的で す。さらに、今年度からは、校長の 発案で、月1回の教員研修会も導入 されました。そのうち 5 回を進路関 連の研修会に充てており、大学入試 の状況に関する外部講師の講演など を予定しています」(市石博先生) また、生徒のモチベーションを高 めるために、進路指導計画では、月 ごとのキャッチフレーズも作られて 心)、習熟度別にするなどの手厚い 指導を展開している。また、学校設 定科目には、入試を意識して、問題 演習を行う科目が豊富だ。 近年の進学指導の強化も目覚まし い。特に、近年は難関国立大学を意 識した指導が推進されている。「1 年次に進路希望調査を行うと、半数 以上が難関国立大学を希望していま す。しかし、早めに合格を決めたい という意識が次第に働き、成績上位 層でも、指定校制推薦入試などで、 首都圏の有力私立大に流れる傾向が 見られます。最後まで、当初の目標 に向かって粘り強く頑張る姿勢を涵 養することが課題だと考えていま す」(佐藤光一校長) そのために重視されるようになっ ているのが1年次での指導だ。明確 な信念、ビジョンが早めに定まって いれば、学習意欲が持続することが 期待できるからだ。「今年から、月 1回、7時限目に、進路に特化した ホームルームを導入しました。オリ ジナルの進路研究ノート<表 6 >に 沿って、自分の適性を見つけたり、 将来の職業を考えたりする時間に充 てています。夏休みには、推奨校を 指 定 し て 大 学 見 学 も 実 施 し ま す 」 (小林正基先生) 2・3年次では、このホームルー ムの内容を発展させた指導が、「総 合的な学習の時間」の中で展開され る。2年次は学部・学科・入試制度 研究と個人研究レポート制作、3年 次は志望理由書の作成などが中心 だ。ユニークなのは、3年次4月の 段階で「合格体験記」を作成させる ことだ。1年後に自分が合格した姿 をイメージして、どんな勉強が効果 的だったかなどを書かせるものだ。 この「合格体験記」で書いたことが ウソにならないように、計画的に勉 強しようという意識付けにもつなが いる。3年生を例にとると、4 月は 「進路実現に向けて計画立案」、5 月 「 2 つ の 実 力 テ ス ト で 今 の 力 を 知 る」、6月「夏の過ごし方を明確に」、 7 月「第一志望を譲らず、本格的準 備」といった具合だ。 「また、年5回ほど、学習生活調 査を実施しています。生徒は自分が どのように時間を活用しているの か、1週間の生活を記録し、担任に 提出します。自らの学習状況を振り 返り、その後の計画に活用するため で、この調査は個人面談の資料にも なります」(市石先生) さらに、長期休暇中の補習も盛ん だ。今年の目標は年間90講座開講だ が、すでに夏期講習だけで80講座を 数え、5教科の教員のほぼ全員が指 導にあたっている。そのほか、予備 校講師によるビデオを使ったサテラ イト授業も放課後、空き時間等を利 用して希望者に行っている。「その ほか、先生方が自主的に行う補習も 少なくありません。難関校志望者を 対象とした朝補習も活発ですし、職 員室脇にある机で、個別指導をする 先生の姿も見かけられます。こうし た先生方の自主的な姿勢が、本校の 進路実績を支えています」(市石先 生)
●東京都立墨田川高等学校
進学指導推進校に指定されている 単位制高校。1学年は8クラスで、 2年次に文理分けを行い、すべての 年次で2クラスずつの特進クラスを 設けている。 教員数や教室数が多めに配置され る単位制高校の利点を生かして、少 人数制教育が行われている点にも特 色がある。1年次を例にとると半数 以上の20単位の授業はクラスを分割 して(2クラスを3分割する形が中新
受験風土記
第
11
回 東京都
っているそうだ。 1・2年次の放課後には、週2日、 部活動の開始を1時間遅らせて、講 習・補習も開講している。内容は、 模試や実力テスト直前の対策学習 会、志望校対策の講座などさまざま だ。「来年度以降は、この講習を充 実させて、センター試験用、難関国 立大学用など、より特化した講座を 設けるつもりです」(佐藤校長) さらに、3年前からは、1年次の 夏休みに2泊3日の勉強合宿もスタ ートしている。特進クラスは全員参 加で、他は希望制。講習と自習がセ ットになった合宿だ。「スタートし た年度は、自学自習の習慣付けに重 きを置いており、課題プリントなど を与えて、ひたすら自習させるスタ イルをとっていました。けれども、 それではどうしてもメリハリがつき ません。生徒によっては、早めに課 題プリントを終えてしまい、後は何 となくぼんやりしてしまうケースも ありました。そこで、2年目からは 講 習 も 実 施 す る こ と に し ま し た 」 (小林先生) そのほか、6 月に2日間(2年次 向け、3年次向け各1日)、約15大学 を招いて模擬講義も実施している。 「最近の生徒は、丁寧に指導する と一生懸命頑張ろうとしますが、遠 くで黙って見ていると、何をすべき か、どうやるべきかが分からないと いうタイプの生徒が少なくありませ ん。自主性に任せるのではなく、将 来の目標や、それに向けて何をどう 勉強すればいいのかを、できるだけ 具体的にイメージさせることが不可 欠です。それも、常に声かけして、 意欲を促すことが重要です。そのた めにも、今後もこうした多様な進路 行事を工夫していきたいと思ってい ます」(小林先生)
●東京都立立川高等学校
全日制と定時制を持つ普通科高 校。全日制は1学年8クラスで、2 年次から文理分けが行われる。 2003年度より進学指導重点校の指 定を受けているが、それに先立って、 立 高 ア ド バ ン ス 委 員 会 が 発 足 し 、 いる。 「まず取り組んだ のが生徒募集の強化 です。かつては、伝 統校で交通の便もい いのだから、何もし なくても相応の生徒 が集まるはずだと、 安穏と構えていた観 がありました。しか し、それではいけな い。そこで、従来ま ったく行っていなか った中学校訪問、中 学生用ポスターの作 成、授業公開、中学生対象説明会な どを導入しました<表 7 >。どんな タイプの生徒に入学してほしいの か、そういう生徒をどんな教育体制 で伸ばすのかをアピールするように なったのです。これによって、教員 の意識が変わったことと、進学指導 重点校に指定されたことが、車の両 輪のようになって、改革がスムーズ に進行しています。現在の改革の軸 足は、入学した生徒を3年間でどう 育てられるのかに移行しており、特 に 授 業 改 善 に 力 を 注 い で い ま す 」 (宮田明子先生) 同校では、2003年度から、2期制 になるとともに、都立高校で初めて の 65 分× 5 時限授業を導入した。1 回の授業でまとまった時間がとれる ため、1つのテーマにじっくり集中 して深められるメリットがある。た だし、その一方で、反復練習が不可 欠な教科からは、65分授業は組み立 てが難しいという声も聞かれていた。 「そこで、今年度は、65分授業の良 さを十分に活用する方法の研究に取 り組んでいます。具体的には、5∼7月に、同じクラスを担当している異 なる教科の教員 3 名でグループを編 成し、相互に授業参観を実施します。 異なる教科にしたのは、他教科の授 業で思いがけない能力を発揮する生 徒もいて、参考になるからです。ま た、英語や国語では、毎時間、授業 の冒頭に、単語、構文、リスニング や、漢字、文法、教科書の復習など の小テストを実施し、65分の中で反 復練習の機会を取り入れているケー スもあります。そうした他教科の試 みを授業改善に役立てられる面も大 きいと考えています」(宮田先生) 授業参観が終わった後は、3名の 教員で反省会を行い、その議論の内 容を 9 月の全体研修会で話し合うと いう流れになっている。そしてさら に、11月から2月にかけては、今度 は同じ教科の教員3名でグループを 編成し、授業参観→反省会→全体研 修会を行う予定だ。 加えて、2007度から、年12回、授 業力向上のための校内研修会も実施 している。こちらは、模試や定期考 査などの結果をもとに、生徒の弱点 分野などを把握し、授業改善に役立 てるというものだ。 また、補習は、放課後に教科単位 で自主的に開講しているほか、土曜 日の午前中にも希望者を対象に実施 している。1コマ 90 分で、「国公立 二次記述対策古典演習」「スーパー現 代史講座」「センター対応化学」「自 由英作文」など、ターゲットを絞っ た講座が多い。 もう1つ、同校で力を注いでいる のが保護者との連携だ。年1回、7 月にPTAの主催で「保護者のための 進路講演会」が開催されており、参 加率も高い。 特にユニークな試みとして注目さ れるのが「浪人生の保護者向けの進 学講座」だ。「浪人生に対して、めげ ないで最後まで頑張ってほしいとい うメッセージを送ることが目的です。 浪人生自身ではなく、保護者を招く のは、子どもが在学している間は、 教員や保護者同士の接点があります が、卒業してしまうと、それがなく なり、不安になるケースが多いから です。本校に集まることで、保護者 同士の横のつながりが生まれ、情報 交換ができるようになるメリットが あります。そうしたきめ細かなサポ ートを、今後も継続していきたいと 考えています」(宮田先生)
●東京都立晴海総合高等学校
1996年度に開校した都立初の総合 学科高校。1学年6クラスで、1年 次に共通科目を履修した上で、2年 次から情報システム、国際ビジネス、 語学コミュニケーション、芸術・文 化、自然科学、社会・経済の 6 系列 に分かれる。 同校の特色の1つは、将来の職業 選択を視野に入れたキャリア教育に 力を注いでいることだ。相談部(進 路部)にはキャリアカウンセラーの 教員も在籍しており、進路相談の際 にキャリア的な面も踏まえた指導が 行われている。 キャリア教育の核になっているの が、1年次必修の「産業社会と人間」 だ。「オリジナルの『FACE』という ワークシートを作成しながら、授業 を進めています。内容は、自分のそ れまでの歩みを振り返り、適性を考 えたり、調べ学習の方法を習得した り、外部の社会人の講演を聞いたり など、バラエティーに富んでいます」 (村田勇司先生) 1年次秋には、全生徒が病院、ホ テル、出版社、家具店など、約20カ 所に分かれての職場訪問も実施して いる。事前に生徒が各職場への質問 事項を提出し、現地で説明を聞いた 上で、レポートを作成する。また、 終了後に礼状も書かせている。 また、6 月に医療・体育・芸術系 を中心とした専門学校、7 月には約 10大学を招き、説明会を開催してい新
受験風土記
第
11
回 東京都
授業公開日 自校作成問題解説会 中学生対象部活動体験 学校説明会 都立高校合同説明会 学校見学 上級学校訪問 夏期休業中の学校見学 ・中学生及びその関係者 ・本校の関係者 ・教育関係者 (進学塾、予備校等関係者含む) ・中学生 ・中学生 ・中学生及びその関係者 ・教育関係者 (進学塾、予備校等関係者含む) ・中学生及びその関係者 ・中学3年生及びその関係者 ・中学生及びその関係者 ・中学生及びその関係者 [前期] 5/20(火)、5/21(水) [後期] 11/10(月)、11/11(火) 7/12(土) 8/25(月)、8/26(火) 10/25(土)、11/22(土) 11/2(日)、11/9(日) 5/17(土)、6/28(土)、 9/27(土)、12/6(土)、 12/20(土) 担当教員と調整 7/22(火)∼ 8/1(金) 8/11(月)∼ 8/22(金) ※土日は除く 期日 対象 内容 <表 7 >立川高校 中学生の学校見学等実施日程(2008 年度予定)ほか、10月以降は、希望者を募って、 模擬面接も実施されている。