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オイルミスト吸着性能を持つ珪藻土を利用した換気設備の流れ解析

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Academic year: 2021

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軸流型血液ポンプの油膜法による流れ解析

見藤 歩* 金子 雄大** 田島 勲***

蘇武 栄治

****

Visualization of Intra-Cardiac Axial Flow Pump Internal Flows using

Oil-film Technique

Ayumi Mitoh*, Yudi Kaneko**, Isao Tajima***

and Eiji Sobu****

Abstract

Heart failure is the second cause of one’s death in Japan, and most patients are

waiting for their transplant. Artificial heart is expected as a treatment method that takes

place of the heart transplant. However, the development of the design technique is still

on the way, because of complicated problems such as hemolysis and thrombus. Then,

we are optimizing the pump shape by the flow analysis which use Computational Fluid

Dynamics (CFD) and aiming at the efficiency improvement of the pump development.

In order to verify the result of CFD, we visualized internal flow of the blood pump by

Oil Film Method.

1. はじめに 心疾患は日本において癌に次いで 2 番目にのぼる 死因であり、全国には心臓移植を必要としている心 不全患者が数多くいる。1997 年 10 月には脳死に関 する臓器移植法が施行され現在までに 45 例(2007 年 7 月 31 日現在)の心臓移植が日本国内で行われた が未だに多くの患者が移植待ちの状態である1)。重 度心不全患者の待機中 1 年間の生存率は 50%未満で あり多くの患者が移植待ちのまま亡くなっているた め日本の心臓移植は万全の体制とは言えない。そこ で心臓移植に代わる効果的な治療として人工心臓が 注目されている。人工心臓には移植までのブリッジ から半永久的なものまで様々な使用法が期待されて おり、早急な人工心臓の開発が求められている。 しかし、人工心臓の開発はまだ発展途上であるた め、ポンプ開発手法の確立が大きなテーマである。 人工心臓ポンプ開発を困難にしている大きな要因の ひとつが血栓、溶血といった血液適合性に関する問 題である。通常のポンプでは目的の揚程と流量を確 保するために、流路での損失を考慮した上で必要な 圧力ヘッドを求める水力学的設計のみを行えばよい。 また、長年における経験的データが十分に揃ってお り、すでに確立されている一般的な設計手法に沿っ て設計を行うことができる。ところが、血液ポンプ の場合は扱う流体が血液であるため、水力学的設計 に加えて血液適合性に関する問題も考慮しなければ ならない。これらの問題はポンプ内部の局所的な流 れ場の状態に大きく影響を受けるため、内部の状態 を詳しく調べて流れを整えてやらなければならない。 また、血液適合性に関する問題は水力学的設計に比 べて非常に複雑で解決が困難なため、ポンプ設計に 対する指針が確立されていない。そのため経験的な 設計にはまだ限界があり、試行錯誤に時間とコスト を大きく費やしている。この問題の解決法として近 年注目されているのが数値流体力学(CFD)による ポンプ内部流れの解析である。CFD はコンピュータ を用いたシミュレーションであり、実物のポンプを 作成しなくてもポンプ内部の流れの評価が可能なた め、ポンプ開発過程の Try And Error を大きく削減す ることが可能になると期待されている。 軸流型血液ポンプは、ポンプハウジング内で回転 するインペラによって血液を送り出すため、拍動型 血液ポンプに比べて機構が簡単であり、小型化が可 能という特徴を持つ。しかし、軸流型血液ポンプに おいては、血液中で羽根が高速回転するため、イン ペラ・ハウジング間の微小ギャップに発生する高せ ん断応力領域における赤血球損傷(溶血)が問題と * 教授 機械工学科 ** 北海道大学大学院工学研究科 *** 特命講師 機械工学科

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なる。又、淀み域では血栓が形成されるという問題 もある2)。そこで低溶血性インペラを開発するため に、軸流型血液ポンプの羽根周りの流れを、CFD に より解析を行ってきた。しかし、その解析結果が実 際の羽根周りの流れと一致する事は確認されていな い。確認の為には流れの可視化をする必要があるが、 一般に可視化には特別な設備が必要である。そこで 我々は特別な設備を必要としない可視化技術である 油膜法に着目した。今回その油膜法により壁面の流 れを可視化し、北海道大学で開発中の軸流型血液ポ ンプについて行われた CFD による解析結果と比較 検討したので報告する。 2.流れの可視化によるCFDの検証 2.1 油膜法について 油膜法は流れの可視化技術の一つであり、流路内 部の物体表面に塗布した油膜(油と顔料との混合物) に生じる模様を観察し、表面近傍の流れの方向、流 速および境界層の遷移などを調べる手法である。一 般的にこの方法によって得られたデータを持って 3 次元的な解析を行うことはできないが、残された油 膜の状態から壁面近傍の澱み点やせん断応力を調べ るのには非常に有用であり、血液適合性に関する問 題の解決に適していると言える。油膜法は特に定常 流の観察に適した手法であるが、非定常流に対して 適用する場合には現れる模様が時間平均による模様 であることに注意しなければならない。流速の適用 範囲は油膜の粘度によって左右されるが、比較的せ ん断応力の大きい流れに適する。また多色油膜法 5) では、複数の色を持つ顔料で内部を塗り分けること で得られる中間色を含む多色の油膜パターンを観察 することにより、流路内部の 2 次流れの干渉状況や 発生源を容易に把握することができる。 この場合は 各色の顔料の比重や粘性などの性質に大きな差が生 まれないように注意する必要がある。 油膜法に用いられる油膜は、油と顔料との混合物で ある。場合によっては顔料粒子の凝固を防ぐために 少量の添加剤が混入される。鮮明な油膜のパターン を得るためには、そのときの表面に働くせん断応力 に応じて油膜の粘度を変えなければならない。一般 によく分散した懸濁液の粘度は、溶媒の粘度、なら びに溶質の粘度、粒径などによって決定される。し たがって油膜の粘度は油(溶媒)の粘度、顔料(溶 質)の種類、顔料粒子の大きさおよび混合比などを 調整することによって変えることができる。油は物 体表面に付着する膜を形成するためのものであり、 表面に働くせん断応力に応じて表面を流れることが でき、しかも表面から持ち去られることの少ない適 当な粘度、顔料や添加剤と化合しない科学的安定性 などが求められる。顔料は透明な油だけでは物体表 面と区別のつかないパターンを明確にし、観察およ び記録に適するように保存するためのものである。 顔料には粒子径が小さく密度も小さいものが望まし い。 これは粒子径が小さいほど鮮明な流線を得るこ とができ、密度が大きいほど体積力による影響を受 けやすく、特に回転する羽根車内部での可視化には 適さないためである。特に水の流れの可視化に用い る場合については、顔料が不水溶性であることが重 要である。添加剤は顔料の凝固を防ぐ分散剤として 用いられるものである。顔料の親油性を高める効果 を持つもので通常は少量混合される。添加剤によっ て分散した顔料は物体表面によく吸着しパターンも 鮮明になるが、反面パターンの筋の間隔が狭くなっ てコントラストが損なわれる可能性があるので注意 が必要である。 2.2 実験装置および手順 可視化を行うポンプは北海道大学で開発中の 4 枚 羽根軸流型で、寸法は入口角 16.4 [°]、出口角 19.2 [°]、 軸径 13 [mm]、羽根外形 22 [mm]、円筒流路径 23 [mm]、 全長 13.45 [mm]、ギャップ長 0.5 [mm]である。図 1 にその外観を示す。ポンプは回転数 6000 [rpm]、揚 程 1.5 [m]で 5 分間稼動した。また、実験回路の模式 図を図 2 に示す。 図 1 軸流型人工心臓ポンプ概観 図 2 実験回路模式図

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図 3 は風呂用のポンプに、顔料に黒鉛を用いた油 膜(左)と二酸化チタンを用いた油膜(右)を用い て可視化した様子である。黒鉛は油膜の残り方がま ばらでだまになっておりパターンはあまり鮮明では なかった。二酸化チタンは全体的に均等に油膜が残 っており鮮明なパターンが形成されていた。 ポンプによる実験に先立って、油膜の組成と挙動 について調べるための実験を行った。本研究で用い る油膜は四種類で①~④とし、その混合比 4), 5),6) ,7) を表 1 に示す。 まず、先行研究 7)で使用された顔料に黒鉛を用い た油膜(④)と、二酸化チタンを用いた油膜(③) を風呂用のポンプに塗布し、揚程 2 [m]、流量 0.125 [l/min]、時間 5 [min]の運転条件で稼動し両者を比較 した。また、顔料として二酸化チタンを用いた油膜 (①)について、顔料、基本油、添加剤の混合比を 少しずつ変更しながら油膜の挙動を調べる簡易的な 実験を行った。実験は作成した油膜をアクリル板に 塗布し、水を衝突させて油膜の混合比、水の勢いや 時間的変化による油膜の挙動の変化を調べた。 図 3 顔料による違い インペラの後ろ側に見られる非回転部分では、黒 鉛の油膜にはほとんど変化は見られなかったが二酸 化チタンの油膜ではインペラ部分よりやや粗いが鮮 明なパターンが得られた。 表 1 油膜の組成 ① 質量比 ② 体積比 ③ 質量比 ④ 二酸化チタン 10 5 黒鉛 3 顔料 蛍光顔料 2[g] 流動パラフィン 5 グリース 1 油 エンジンオイル 2 添加剤 オレイン酸 2 1 2[cc] 図 4 油膜の成分による挙動の違い 上記①~④の混合比は①、③は質量比、②は体 積比、④は記入されているとおりである。 図 4 は左から順に油膜の顔料(二酸化チタン)の 混合比率を増やしていった場合の様子である。左の 図では、水が中心部から放射状に広がって流れた様 子が判った。中央の図では、同様に放射線状のパタ ーンが判るが、板の中心付近以外では油膜の変形は ほとんど見られず流れはやや判別しづらかった。右 の図では油膜が塊となって剥がれる様に脱落してい る様子が良く観察できた。この場合も板の中心付近 以外では油膜の変形はほとんどなかった。また、油 膜の脱落する範囲はやや拡大しているように見られ た。水の勢いの強弱による油膜の挙動の変化は、ア クリル板に衝突させる水の勢いに応じて油膜の変形 する範囲が同心円状に広がってゆく様子が観察でき た。油膜の変形の時間的変化に関しては、板の中心 部から徐々に外側に向かって筋が広がってゆく様子 が観察できたが、おおよそ3~4分で油膜の移動は 落ち着くことが判った。 軸流型ポンプの可視化実験は大まかに以下に示し た手順で行われた。 ・顔料を乳鉢ですり潰して、細かく均一な粒子に する。 ・顔料と基本油、添加剤を混ぜ合あわせ油膜を作 成する。 ・油膜を物体表面に薄く均一に塗布する。 ・ポンプを試験回路につないで流路を静かに生理 食塩水で満たす。 ・ポンプを 5 分間稼動する。 ・流路から静かに生理食塩水を抜き取り、パター ンを観察する。 3.実験結果 予備実験の結果より実験に使用する油膜は①の二 酸化チタンと②の蛍光顔料を用いたものとした。 3.1 油膜の組成実験

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3.2 インペラ流入側 図 5 は軸流型血液ポンプの可視化結果を流入側 から見た様子である。全体的に油膜の残されている 量が二酸化チタン(左)よりも蛍光顔料(右)の方 が多いが、蛍光顔料では残された油膜がだまになっ ており二酸化チタンの方が少ないなりにも鮮明なパ ターンが得られているようである。油膜があまり残 っていない二酸化チタンにおいては球状部の先端部 分に集中して多くの油膜が残っていた。二酸化チタ ンでは油膜がほとんど残されていない羽根表面にも 蛍光顔料では多くが残されていた。この部分は多色 油膜法として実験前には黄の油膜のみを塗布してい たが、実験後には球状部に塗布していた赤の油膜が 中央付近にも付着していた。 3.3 インペラ側面および流出側 図 6 は軸流型血液ポンプの可視化の結果を側面、 流出側から見た様子である。インペラの側面は図 6 左に見られるようにインペラの先端と羽根との間の スペースにほぼ羽根と平行な流線が、羽根の流出側 のスペースには羽根に垂直な流線が見られた。また、 羽根の根元に多くの油膜が残っていることも確認で きた。 羽根裏面では図 6 右に見られるように羽根表面 とほぼ同様の流線が見られたが、表面に比べて多く の油膜が残っていた。また、羽根外端(回転中心か ら最も遠い端)には裏面のパターンの延長のような ものが見られた。 インペラとインペラの下流に位置するテーパ部と の間は狭い隙間になっているが、この部分について は確認することはできなかった。また、テーパ部に は比較的多くの油膜が残っており、球状部と同様の 筋が見られた。 3.4 流入側ケーシング 図 7 は軸流型血液ポンプの流入側ケーシングの 可視化の様子である。左の図には旋回するパターン が見られた。残されている油膜の量はインペラに比 べると多めで、パターンも鮮明とは言い難かった。 中央の図では線で区切ったように局部的な範囲でほ ぼ全ての油膜がなくなっていた。右の図の多色油膜 法では実験前に平行部に塗布したオレンジ色の油膜 が、ピンク色の油膜を塗布したテーパ部に付着して いた。 図 5 流入側の様子 4.考察 4.1 油膜の組成や混合比について 先行研究 7)では顔料に黒鉛、油に流動パラフィン を使用した油膜を作成したが流れに対する強度が低 くほとんどの油膜が残らなかったため、油膜の粘性 を上げるためにグリースを添加するという変更を行 った。しかし、二酸化チタンの場合では流動パラフ ィンでも十分な量の油膜が残されているので、顔料 の種類によって油膜の流れに対する強度に大きな影 響があることがわった。この主な違いは二酸化チタ ンの粒子径が小さいことにあると考えられる。一般 に粉体は粒子径が小さいほど流れが悪くなるが、混 合前の二酸化チタン粉末は黒鉛よりも流れが悪く粒 子径が小さいことが判る。この影響によって油膜の 粘度が上昇していると考えられ、顔料の粒子径を小 さくすることで油膜の粘性を上げることができると 考えられる。 図 6 インペラ側面および流出側の様子 図 7 流入側ケーシングの様子 油による違いはグリースと流動パラフィンを比較 すると油膜の残り方やパターンの鮮明さに影響が現 れた。グリースは外力が小さい間は流体抵抗が大き いが外力が大きくなるとある降伏値を示して流動す

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るという性質 8)を持つため、油膜は低速では変形せ ず一定の流速に到達すると一気に脱落するといった 現象が現れていると考えられる。エンジンオイルと 流動パラフィンとの比較では多少の強度の違いがあ ったが大きな変化はなかった。また、サラダ油を用 いて油膜を作成してみたが、この場合も多少油膜の 流れに対する強度は落ちたもののほとんどの違いは 見受けられなかった。 混合比による違いは、油膜の配合に当たって顔料 の配合割合を増加することによって油膜の粘性は上 がり、高せん断応力にも耐えられるようになること が分かった。反面、油膜が脱落する際には塊となっ て剥がれるような形へと変わってゆき、得られるパ ターンの鮮明さが失われていった。このような脱落 の仕方を示す油膜では、結果的に油膜が脆くなって 流れに対する強度が低下しているようである。また、 顔料の割合がある程度増えると粘土状になってしま い、可視化には適用できなくなった。顔料に対して 添加剤が少ない場合や、基本油の割合が少なくなり すぎると、油膜は水の勢いが一定になるまでは変化 せずに表面に残り、その後は一気に剥がれ落ちると いった両極端な挙動を示しており、この様な割合の 油膜は可視化には向かない。水の勢いに応じて油膜 の変形の度合いが変化することから、油膜の脱落の 割合や筋の様子からある程度の流速の変化などを判 断できることが判った。油膜の変形の時間的変化か ら、油膜法の実験は 5 分程度行えば十分であると考 えられる。顔料と添加剤の比率はあまり変更せずに、 基本油の割合を変化させることによって粘度の調整 を行えば滑らかな油膜を様々な強さで作ることがで きるので目的の流路に応じて粘性を調整して使い分 ければ良いと考えられる。 4.2 インペラ流入側 図 5 に示されたように球状部の先端付近に多く の油膜が残っていることから、この部分は澱み域で あると考えられる。流入側の羽根表面には赤の油膜 が付着していることから、球状部から羽根表面へと 滑るように連続的な流れが生じていると考えられる。 また、流れは羽根の根元から先端へと向かう方向、 すなわち回転中心から外側に向かう流れであること が判る。 赤の油膜が羽根の表面に付着している範囲が、羽 根表面の中央部だけで羽根の終端(一番流出側に近 い端)付近には付着していないことから、羽根の終 端手前において流れの剥離が生じていると考えられ る。 4.3 インペラ側面および流出側 図 6 に示されたように羽根の流出側に羽根に垂 直な流線が見られることから、流体は羽根に対して 垂直に進んでおり、その後流体は羽根の根元で角を 回り表面と同様回転の外側に向かって移動している ことが判る。羽根の根元に多くの油膜が残っている ことから、流れが角を曲がる際に根元付近に澱み域 を形成していると考えられる。 羽根裏面に表面に比べて多くの油膜が残っている 事からせん断応力は比較的低い領域であると考えら れる。また羽根外端の流線から、羽根裏面を流れて きた流体は外端に達したのち表面側へと巻き込むよ うに流れ、直後に羽根から剥がれているものと考え られる。羽の端部における流れが有限翼理論におけ る吹き降ろしに似ており、全体的に有限翼理論に似 た流れを形成しているように思われる。この影響に より、羽根の終端では渦が発生し羽根の流出側に見 られるような羽根に垂直に向かう流れが形成されて いると考えられる。 インペラの根元に関しては周流から置き去りにさ れていると考えられるが詳しいことは判らなかった。 狭い隙間になっている事から、高せん断応力、澱み、 共に懸念される。この部分については別途解析を行 わなければならないと考えている。 4.4 流入側ケーシング 図 7 に示されたように旋回したパターンから壁 面付近は旋回流であることが判る。よって、この部 分はインペラの回転の影響を受けている流れである と言える。ケーシングのインペラを覆う部分はほと んど全ての油膜が流れてしまっていることから、こ の部分は他と比べて非常に大きなせん断応力領域と なっていることが判る。これは、インペラとケーシ ングとの隙間が 0.5 [mm]と微小であること、インペ ラが 6000 [rpm]という高速で回転していることから ある程度推察できるが、実際に油膜法を用いてせん 断応力が高いことの確認ができた。 多色油膜法の適用によりオレンジ色の油膜が入り 口方向へと流されているのが確認されたことから、 壁面付近の流れは逆流になっていることが判る。こ の部分は入り口径 15 [mm]から 23 [mm]への拡大で、 流入速度は 0.47 [m/s]である。拡大部分にはテーパを 設けてあるものの、剥離が生じて壁面では逆流とな ると考えられる。また、ケーシングと羽根外端の隙 間の流れは、先に述べたように羽根の表面側に巻き 込む流れが発生していることが確認されているので、

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この部分も一種の逆流状態であるといえる。また、 逆流が旋回流であることもあわせて考えると、逆流 の発生にはインペラ周辺の流れも大きく関係してい ると考えられる。 4.5 油膜法と CFD との結果の比較 業論文, 図 8 は共同研究者3) の CFD による解析結果であ る。右上の図はインペラ周りの流線を現したもので あり羽根に対して平行な流れや裏側の羽根に垂直な 流れ、羽根の裏側から表側に巻き込む流れなどが油 膜法のパターンとよく一致している。左上の図はポ ンプ全体の流速分布を示したものであり、流入側ケ ーシングの表面(緑色で示される部分)の逆流域が 油膜法の結果と一致している。下段の図は各点にお ける速度の大きさと方向を示したものであり、左下 の図のインペラ根元のテーパ部分の速度方向や、右 下の図のケーシングの旋回流、図手前側の高速度(高 せん断応力)領域などが油膜法の結果と一致してい る。これらの結果から、CFD の解析手法としての妥 性を証明できたと考えている。 .結論 軸流ポンプ内の流れ を 体 力 学 ( を示すこと できたと考えている。 6.参考文献 3) 」 ドブック」 5) 多色油膜法によるポンプ内 6) 日野幹雄 保 ク」 7) 「軸流型血液ポンプの流れの解析と可 2003 ttp://www.labnotes.jp/pdf/labnotes_grease.pdf 当 5 本研究では多色油膜法により 可視化することができた。 ま た 、 油 膜 法 を 用 い て 定 性 的 に 数 値 流 CFD)の結果を裏付けることができた。 以上の結果から本研究では、人工心臓の血液ポン プ開発に数値流体力学(CFD)を用いることで、ポ ンプ開発手法の効率化が可能になること が 1) 日本心臓移植研究会・本邦心臓移植登録報告 427 2) 山田幸生 棚沢一郎 谷下一夫 横山真太郎, 「からだと熱と流れの化学」,オーム社 矢野哲也「数値流体力学解析による血液適合性 軸流型血液ポンプの設計に関する研究 北海道大学博士学位論文, 18-35, 2005 4) 浅沼強「流れの可視化ハン 朝倉書店,54-142,1997 勝俣辰善 後藤彰「 部流れの可視化」 エバラ時報,3-9,1999 笠木信英 木村龍治 西岡道男 原充「流体実験ハンドブッ 朝倉書店,218-219,1997 宮崎勝也 視化」 苫小牧工業高等専門学校卒 図 8 CFD による解析結果3) 8) 六自由度ホームページ h

参照

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