• 検索結果がありません。

低い割合から始めることになる 現在 再生可能電力供給の大部分を担う水力発電は ほとんど停滞状態で総電力に占める原子力発電からの供給量は 老朽化した発電所の廃止分を上回る原子力発電所の新設予定にも関わらず 電力産業全体の急拡大が続く見込みのため 減少が予測される 2000 年以降 国際石油価格は199

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "低い割合から始めることになる 現在 再生可能電力供給の大部分を担う水力発電は ほとんど停滞状態で総電力に占める原子力発電からの供給量は 老朽化した発電所の廃止分を上回る原子力発電所の新設予定にも関わらず 電力産業全体の急拡大が続く見込みのため 減少が予測される 2000 年以降 国際石油価格は199"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

●米国の長期エネルギー展望について

米国エネルギー省(DOE)エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA) は、2007年の年次エネルギー展望(Annual Energy Outlook 2007:AEO2007)を2月に発表した。 これは、米国のエネルギー需給及び価格について、2030年までの分析及び見通しを示したもので、 毎年作成される米国政府の公式エネルギー統計である。 AEO2007による見通しは、2006年10月31日以前に施行された連邦政府、州の法律及び規制に基づ いており、検討中又は審議中の法令、規制、基準は反映されていない。また、エネルギー省その 他の政府機関の政策的立場を反映したものではない。従って、見通しは政策的に中立で、政策の 評価分析に使われ得るとされている。 以下に、AEO2007の基準ケースの概要1の翻訳を報告する。

1.2030年までのエネルギー動向

エネルギー情報局は、2007年次エネルギー展望を作成するにあたり、現在から2030年までに米 国エネルギー市場に重大な影響となる可能性のある動向と問題点の評価を広範にわたり行なった。 本概要は、ある一例(基準ケース)に焦点をあて、2006年年次エネルギー展望(AEO2006)の基準 ケース(表1参照)と比較、表示している。AEO2007の他章に含まれているすべての代替ケースを 参照することを本概要の読者に勧める。これまでの年次エネルギー展望と同じく、基準ケースは、 エネルギー産業に影響を与える現時点での政策が予測期間中に変更のないことを前提としている。 明らかに、温暖化ガス排出削減、抑制政策の導入といった政策変更によって、基準ケースの予測 値は大幅に変化する可能性がある。 エネルギー供給と需要の動向については、エネルギー価格、米国内経済成長、技術の進歩、天 候の変動、将来の公共政策の決定といった多くの予測困難な要因の影響を受ける。しかしながら、 特に、2000年以降続いているエネルギー価格の高騰や、エネルギー世界基準への発展途上国の影 響拡大や、近年の米国における法律や規制の施行、代替燃料の利用や大気汚染・温暖化ガスの排 出に関する問題に対する一般の認識の変化、様々なエネルギー技術の受入れ状況など、容易に目 につく要因に反応して徐々にエネルギー市場が変化しているのは明らかである。このような変化 はAEO2007の基準ケースに反映されており、バイオ燃料(バイオエタノールとバイオディーゼルの 両方)の消費の増加、石炭液化(coal-to-liquid, CTL)生産力の向上、非従来型輸送技術(代替 燃料車、ハイブリッド車、ディーゼル車など)に対する需要の増加、原子力発電の増大、経済全 般に亘るエネルギー効率の向上の加速化が考慮されている。 バイオ燃料やその他の非水力発電再生可能エネルギー資源に対して予測される急成長や25年以 上ぶりに発注される原子力発電所の新設に対する期待にも関わらず、2030年に至っても2005年と 同じく、米国内の主要エネルギー供給量のおおよそ86%が石油、石炭、天然ガスによるものと予 測されている(既存の法律や規制に全く変化のないことが前提)。バイオ燃料やそのほかの非水力 発電再生可能エネルギー資源使用の急成長の予測は、総エネルギー使用量に対して現在のかなり 1 全文は、次のウェブサイトで参照できる。 http://www.eia.doe.gov/oiaf/aeo/

(2)

低い割合から始めることになる。現在、再生可能電力供給の大部分を担う水力発電は、ほとんど 停滞状態で総電力に占める原子力発電からの供給量は、老朽化した発電所の廃止分を上回る原子 力発電所の新設予定にも関わらず、電力産業全体の急拡大が続く見込みのため、減少が予測され る。 2000年以降、国際石油価格は1990年代に比べて大幅に上昇しており、天然ガスや石炭について も同様である(石炭価格については石油と天然ガスの価格よりもやや遅れて上昇)。国際石油価格 の高騰が続いたため、エネルギー情報局(EIA)は、AEO2006の作成にあたり、以前の石油価格 予想を再検討することになった。長期的な国際石油価格は、AEO2007の基準ケースではAEO2006と 類似しているが、短期的にはAEO2007の価格はAEO2006より多少高くなっている。 AEO2007の基準ケースで国際原油の実質価格は、米国の石油精製所への輸入軽質低硫黄原油の平 均価格で表示されているが、探査・開発への投資拡大が国際市場に新しい供給を促すため、2006 年の平均水準から2015年にかけて徐々に減少すると予測される。2015年以降は、需要の増加が継 続し、市場へは高コスト供給がもたらされるため、実質価格は上昇し始める。2030年には、原油 の平均実質価格は2005年基準ドルで1バレル当たり59ドル以上、もしくは1バレル当たり名目およ そ95ドルになると予測される。 AEO2007の基準ケースでは天然ガスと石炭のエネルギー価格予想についてもAEO2006と同様の結 果となっている。天然ガスの実質井戸元価格は現在の水準から2015年にかけて減少すると予想さ れ、市場には新しい供給者の参入が見込まれるものの、1990年代の水準までにはならない。2015 年以降、天然ガスの価格は、2030年には2005年基準ドルで1000立方フィート当たり6.00ドル近く (名目ドルで1000立方フィート当たりおよそ9.60ドル)にまで上昇する。石炭については、予測 期間中、平均マインマウス(minemouth 炭鉱での卸価格)価格は100万英国熱量単位(Btu)当た り1.08ドルから1.18ドル(2005年基準ドル)の幅で変動し、2030年の石炭価格は2005年とほぼ同 水準の100万Btu当たり1.15ドル(名目ドルで100万Btu当たり1.85ドル)になると予測される。2030 年の予想価格はAEO2006の基準ケース予想価格の100万Btu当たり1.11ドルより高く、100万Btu当た り0.90ドル以下という以前のエネルギー展望(AEOs)の予想価格よりかなり高くなっている。西 部地域の露天採掘炭鉱からの低コスト生産が米国市場の拡大するシェアを捉えることが予想され るため、価格高騰の激化は避けられると予測される。 エタノールやバイオディーゼル、石炭液化などの代替燃料の利用は、既存燃料価格の上昇と最 近制定された連邦法による代替燃料の支援対策の結果、基準ケースでも大幅な増加が見込まれる。 エタノールの使用は、AEO2007の基準ケースでは2005年の40億ガロンから2030年には146億ガロン まで増加する(総ガソリン消費量のおよそ8%)。2030年にはガソリン混合エタノールの利用は144 億ガロン、E85(エタノール含有85%のガソリン)の消費量は2億ガロンに増加する見込みである。 エタノール供給はとうもろこしとセルロース両方の原料油から生産される。両方とも2005年エネ ルギー政策法(以下EPACT2005と記載)で税額が控除されているが、国内で収穫されたとうもろこ しが主要原料になるとされ、2030年に136億ガロンのエタノール生産になると予測される。 留出燃料油の代替資源は、2030年には総供給(特に低硫黄ディーゼル燃料)の主要な資源にな ると予想されている。バイオディーゼルの消費は、EPACT2005の税額控除の対象となっているが、 2030年には4億ガロンに達し、石炭液化からつくられた留出燃料油は2030年に57億ガロンになる 見込みである。全体で、これら二つの留出燃料油の代替資源は2030年に留出物総備蓄量の7%以上 を占めることになる。 AEO2007の基準ケースでは、代替燃料車、ハイブリッド車、ディーゼル車といった非従来型輸送 技術の市場への浸透も反映している。ガソリンとE85(エタノール含有85%のガソリン)の利用が 可能な代替燃料車(FFVs)の売上げは、2030年に年間200万台に達し、新しい軽負荷型車両の総売

(3)

上の10%になるとされる。完全または準ハイブリッドの両方を含むハイブリッド車の売上げは、 2030年までに年間200万台に達し、軽負荷型車両の総売上げの10%を占めると予測される。ディー ゼル車の売上げは2030年に年間120万台で軽負荷型自動車売上げの6%を占める見込みである。そ のほかの代替車両技術(気体燃料、電力、燃料電池など)を含めると代替車両技術全体の予想売 上げは、2030年に新軽負荷型車両の予想売上げの28%を占め、これは2005年の8%増となる。 電力産業については、米国で最新の原子力発電所が稼動したのは1996年である。それ以来、米 国の原子力に関する変化は既存発電所の効率化と廃止のみとなっている。AEO2007の基準ケースで は、2030年には総稼動可能原子力発電力は112.6ギガワットになると予測しているが、それには次 の数値を含む。3ギガワットが追加効率化により、9ギガワットがEPACT2005の税額控除に対応し て新設される発電所から、3.5ギガワットが化石燃料価格の高騰によって後年に追加され、老朽化 した発電所の廃止により2.6ギガワットが差し引かれる。利用可能な発電所からの電力増加により、 総原子力発電は2005年の7,800億キロワット時から2030年には8,960億キロワット時に増加する見 込みである。しかし、原子力発電による電力増加の予想にも関わらず、総発電力に占める原子力 発電の割合は2005年の19%から2030年には15%に減少することが予測される。 天然ガスの消費は2030年には26.1兆立方フィートまで増加し、AEO2006の基準ケースでは2030 年に26.9兆立方フィートの予測を下回り、わずか数年前のエネルギー展望(AEO)の基準ケー スで示された30兆立方フィートもしくはそれ以上という予測と比べかなり下回る。AEO2007基準ケ ースの天然ガスの比較的高い予測価格は、予測期間の過去10年間で発電のための天然ガス利用の 増加予想を下回る結果となった。天然ガスの総消費量は2020年から2030年まで横ばい状態で、住 宅、商業、産業における消費増加は、石炭利用のため電力発電用天然ガスの利用の低下で相殺さ れる。 AEO2006と同様に、AEO2007の基準ケースでは石炭が、特に発電において、重要な役割を担うと 予測される。石炭の消費量は、予測期間の過去10年間で新設の石炭火力発電所による多大な追加 消費と天然ガス価格の上昇予測もあり、2005年の22.9千兆英国熱量単位(Btu)(1,128百万ショー ト・トン)から2030年には34千兆英国熱量単位(Btu)(1,772百万ショート・トン)と見込まれる。 基準ケースの石炭消費の予測は、予測期間を通して現行のエネルギーおよび環境政策に変更がな いものという基礎的前提に特に反応する。最近のエネルギー情報局(EIA)の報告書では、経 済全体に対する排出税や排出権割当方式(Cap and trade)の導入を通して温暖化ガスの排出を抑 制する措置は石炭消費に大きな影響を与える可能性があるとしている。

2.経済成長

米国の国民総生産(GDP)は、AEO2007の基準ケースでは2005年から2030年にかけて平均年率 2.9%の成長と予測されている。これは、AEO2006の基準ケースの同時期の予測値より0.1%低い。 長期GDPの変化に影響を与える主要因は労働力と労働生産性の伸びである。AEO2007の基準ケー スで多少成長率が低いのは、短期的な高エネルギー価格による景気減速を反映したものである。 AEO2007基準ケースの主要金利(FF金利、10年物国債名目利回り、AA格電力債金利)の予測 は、予測期間中ほとんどの間、長期の予想インフレ率の低下に基づき、AEO2006予測と比べてやや 低い。AEO2007の予想工業出荷額も、予測期間初期におけるエネルギーの高価格の影響で減少して いる。

3.エネルギー価格

AEO2007に含まれる数例のうちの一つである基準ケースでは、平均国際原油価格は実質ベース (2005年基準ドル)でゆっくりと低下する。新しい供給の市場参入が見込まれるため2006年の平

(4)

均1バレルにつき69ドル以上(100万Btu当たり11.56ドル)が2014年には1バレルにつき50ドル(100 万Btu当たり8.30ドル)を多少下回る。その後ゆっくりと上昇し2030年には1バレルにつきおよそ 59ドル(100万Btu当たり9.89ドル)となる(図1参照)。AEO2007基準ケースの2030年国際石油価 格は、AEO2006基準ケースの2030年の価格を僅かに上回る。AEO2007の代替ケースでは国際石油価 格と米国天然ガス価格の高低両方の場合の価格が示されている。 図1 1980~2030年のエネルギー価格(2005年基準ドル/百万Btu) 石油価格は現在、エネルギー情報局(EIA)の長期均衡価格の予想値を上回り、今後数年は この状況が続く可能性がある。石油産業における経験のある人材の不足、設備や建設資材の一時 的な不足、一部主要生産地域の政治的不安定、及び近年の主要な消費国における経済の高成長が 石油価格を均衡価格から大幅に押し上げる要因となっている。現在の石油の高価格が予期せぬ石 油資源不足の兆候を示すと考えるアナリストもいるが、エネルギー情報局(EIA)の従来型と 非従来型両方の液体資源の極限量及び費用に関する予測は昨年のエネルギー展望(AEO)から 変化していない。 今年の基準ケースでは、数カ国の石油輸出国機構(OPEC)及び非OPEC参加国における 今後10年間の従来型石油生産量の大幅な増産を、今後25年間の非従来型生産の開発と同様に期待 している。AEO2007の基準ケースで石油価格は高止まりしており、1バレル当たり25ドルから50 ドルの範囲であれば石油より経済的に有利と期待されるオイルサンド、特重質石油(ulta-heavy oils)、合成軽油(gas-to-liquids,GTL)、石炭液化(CTL)を含む代替エネルギー供給の市場参 入のきっかけとなる。 AEO2007基準ケースは、中期的なOPECの予想動向についてエネルギー情報局の現在の判断を 示している。予測では、OPECは2030年まで、1バレル当たり50ドルから60ドル(2005年基準 ドル)の範囲で平均価格を維持するペースで増産する。これは、今後25年間で短期的に価格が50 ドルから60ドルの範囲外に動く可能性を除外するものではない。長期間石油価格をその水準以上 にしておくことは、OPEC生産者の長期的な収益を減少させ、OPEC参加国以外の国の従来 型もしくは非従来型の供給元への投資を助長させ、世界的な石油燃料の消費を低減させることを OPEC自体が認識することになる。 基準ケースは、OPEC非参加国生産者の長期的な供給能力がかなり高いと予測している。い くつかの資源の豊富な地域では、戦争が終結し、新しいパイプラインが建設され、新しい探査や 実績 見通し 電気 石油 天然ガス 石炭 実績 見通し 電気 石油 天然ガス 石炭

(5)

採掘技術の導入が可能になり、国際石油価格が上昇している中で、資源へのアクセスは向上し生 産量も増加している。例えば、アンゴラでは2002年に27年に及ぶ内戦が終結して以来、石油生産 は2倍近くになった。アゼルバイジャンとカザキスタンでは、2006年にカスピ海と地中海の間を結 ぶバクー・トビリシ・ジェイハン(Baku-Tbilisi-Ceyhan, BTC)パイプラインの開通により、新 規投資が活発化しており、両国の生産は2006年から2010年にかけて一日当たり100万バレル以上の 増産が見込まれる。ブラジルの海底油田掘削の先駆的開発は、政府が明瞭な政策を打ち出してい ることもあり、海外投資を惹きつけ着実に生産を増やしている。カナダでは、オイルサンドが経 済的な活力源となっており、国際石油価格の上昇と生産技術の進歩により後押しされ、こうした 資源からの生産は2030年には一日当たり3.7百万バレルに達する見込みである。 AEO2007基準ケースでは、世界の液体資源の需要が2005年の一日当たりおよそ8400バレルから 2030年には一日当たり11,700万バレルに増加するものと予測している。OPECの液体資源の生 産は2030年には一日当たり合計4800万バレルと予測され、これは2005年に生産された一日当たり 3400万バレルと比べて40%の増加であり、AEO2006基準ケースの2030年には一日当たり4600万バレ ルという予測を一日当たり約200万バレル上回る数値である。予測期間において、中東のOPEC 参加国生産者とベネズエラは、増産を維持するのに十分豊富な資源がある。OPEC非参加国の 液体資源の生産は、2005年の一日当たり5000万バレルから2030年には7000万バレルの増加が予測 され、AEO2006基準ケースでの予測は一日当たり7200万バレルであった。 AEO2007基準ケースでは、米国の天然ガスの平均井戸元価格は、掘削の増加による供給増加と新 規輸入先が利用可能になることなどから、現在の水準から次第に減少する。平均価格は2015年に 1000立方フィート当たり5ドル(2005年基準ドル)以下にまで下がり、2030年には1000立方フィ ート当たり約6ドルまで少しずつ上昇するであろう(1000立方フィート当たり名目9.63ドル相当)。 液化天然ガス(LNG)、アラスカの天然ガスの新規生産、その他全米48州の非在来型資源の生産 は、資源減少の影響と需要の増加を相殺するのに十分なほどの増加は見込まれない。AEO2007基準 ケースの天然ガスの井戸元価格の変動は、AEO2006基準ケースと類似している。 AEO2007基準ケースの石炭マインマウス価格は、採掘費用の上昇のためAEO2006基準ケースの予 測より国内のほとんどの地域で高くなっている。AEO2006基準ケースと比較して最も価格の上昇率 が大きかったのはアパラチア(Appalachia)であり、すでに集中的に採掘され、採掘費用の上昇 がみられる。全国的にみると、アパラチアの石炭の高価格は、総石炭生産に占める比較的低費用 のワイオミング州のパウダーリバー内湾(Powder River Basin)のような西部地域にある炭鉱か らの生産が高まるため、25年の予測期間中に相殺される。 平均実質石炭マインマウス価格(2005年基準ドル)は、基準ケースでは、過去数年の急激な高 騰後の価格の落ち着きにより、2005年の100万Btu当たり1.15ドル(1ショート・トン当たり23.34 ドル)から2019年には100万Btu当たり1.08ドル(1ショート・トン当たり21.51ドル)に下がる予 測である。2019年以降、新設の石炭火力発電所が石炭の総需要を押し上げ、価格は2030年に100 万Btu当たり1.15ドル(1ショート・トン当たり22.60ドル)に上昇する見込みである。AEO2006 基準ケースと比較すると、2020年と2030年の予測価格はそれぞれ4.2%と1.4%の上昇となってい る。インフレ調整なしに、2007年基準ケースの平均石炭マインマウス価格は、2030年に100万Btu 当たり1.85ドル(1ショート・トン当たり36.38ドル)まで上昇するとしている。 発電所で使われる石炭の予測受取価格も、AEO2007基準ケースでは、石炭マインマウスの高価格 と高い輸送費を反映して2006年の基準ケースより高くなっている。数年来のディーゼル燃料価格 の高騰は、鉄道に燃料費割増料金の導入を余儀なくしたが、2007年の基準ケースではこの点も織 り込まれている。発電所の石炭の平均受取価格は、2005年の100万Btu当たり1.53ドル(1ショー ト・トン当たり30.83ドル)から2030年には100万Btu当たり1.69ドル(1ショート・トン当たり33.52

(6)

ドル)(2005年基準ドル)になると予測され、2006年基準ケースの数値から7.0%の上昇となって いる。名目ドルでは、発電所の平均石炭受取価格は2030年に100万Btu当たり2.72ドル(1ショー ト・トン当たり53.98ドル)と予測される。 基準ケースでは、電力価格は発電所で使用される燃料価格に追随するが、過去数年の燃料価格 の急騰後の落ち着きによりまずは低下し、その後ゆっくり上昇する見込みである。2006年の1キ ロワット時当たり8.3セント(2005年基準ドル)をピークに、2015年には平均電力受取価格は1キ ロワット時当たり7.7セントまで下がり、その後2030年には1キロワット時当たり8.1セントまで 上昇する予測である。AEO2006基準ケースでは、燃料受取価格への期待の低下と信頼性維持のため の追加コストで、電力価格は2030年に1キロワット時当たり7.7セント(2005年基準ドル)まで上 昇すると予測された。2007年基準ケースでは、インフレ調整なしで、平均電力受取価格は2030年 には1キロワット時13セントに達するものと予測される。

4.エネルギー消費

AEO2007基準ケースで主要エネルギー総消費量は年間平均1.1%上昇し、2005年の100.2千兆Btu が2030年には131.2千兆Btuとなると予測され、AEO2006基準ケースより3.4千兆Btu少なくなってい る。2007年の基準ケースでは、液体燃料、天然ガス、石炭の2030年の予想消費水準はすべて、2006 年の基準ケースと比べて低下している。これらの違いに影響を与える主な要因は、エネルギー価 格の上昇(特に石炭に対して顕著だが、予測期間の初期には天然ガスや石油に対しても同様)と、 若干の経済成長率の低下と、住宅や商業セクターにおけるエネルギー消費を削減する効率的な電 化製品の利用の増加である。 人口動態や住宅選好の結果、2007年基準ケースでは、住宅供給エネルギー消費は2005年に11.6 千兆Btuから2030年に13.8千兆Btuとなり、年間0.7%の増加が予測される(図2参照)。一方、2006 年の基準ケースでは2030年の予測は14.0千兆Btuとしていた。2007年基準ケースの電力価格の上昇 予測、及び個人消費者の消費効率の向上が、住宅におけるエネルギー利用の低下の原因である。 図2 1980~2030年の部門別調達後エネルギー消費(千兆Btu) AEO2007基準ケースの商業用床面積の増加予想に従い、商業エネルギー消費は、2006年基準ケー スの予測とほぼ同様に、2005年の8.5千兆Btuから2030年には12.4千兆Btuに増加すると予測される。 電力価格の上昇予測は、2007年の基準ケースにおいては2006年の基準ケースの予測と比べ商業電 実績 見通し 運輸 産業 住宅 商業 実績 見通し 運輸 産業 住宅 商業

(7)

力消費の低下につながった。しかし、電力価格の上昇が電力・空間の調整条件を満たすための熱 電気複合利用(CHP)の加速化を促すため、この低下は2006年の基準ケースと比較して商業セ クターの天然ガス利用の予測水準の上昇によって相殺される。 工業エネルギー消費は、1980年代初めに比較的低水準に落ちた後、再び上昇し1997年にピーク となった。2000年から2003年にかけては工業セクターの活動が不況によって低減し、いくつかの 工業サブセクターでは2005年のハリケーンのため活動が縮小した。2007年基準ケースで、工業セ クターはより典型的な生産量の成長率を回復すると予測され、工業エネルギー消費はこの動向を 反映することがと見込まれる。基準ケースの工業出荷額は2005年から2030年にかけて年間2.0%の 割合で上がると予測される。投資支出の多少の減少やエネルギーの高価格や輸入製品との競争激 化予測などの理由から、2006年の基準ケース(年間2.1%)より緩やかな上昇となっている。2007 年基準ケースの調達後工業エネルギー消費は、2030年に30.5千兆Btuに達するとみられ、32.9千兆 Btuという2006年の基準ケースより大幅に低い。 工業エネルギーの総消費量は、AEO2007では石炭液化やバイオ燃料などの非従来型燃料生産の急 成長により上昇が予測される。およそ0.9千兆Btuの石炭が2030年には液体燃料を生産するのに使 われる見込みだが、2005年には石炭液化生産はほぼ存在していないという状態からの伸びである。 工業セクターのバイオ燃料消費は、2005年の0.2千兆Btuから2030年に0.9千兆Btuへ増加と予測さ れる。非従来型燃料消費の多くは精製業によるものである。工業全体から精製業のエネルギー消 費を除くと、2030年の非精製業の工業使用による調達後エネルギー消費は、2005年の水準をわず かに3千兆Btuほど上回る(2030年の24.2千兆を2005年の21.1千兆と比較)。 輸送セクターの調達後エネルギー消費は2007年の基準ケースでは、2030年に総計39.3千兆Btu になると予測され、2006年の基準ケースより0.4千兆下回る。わずかに消費水準が低いのは、主と して景気減速の影響を受けたものである。軽負荷車両に対する旅行需要は輸送のエネルギー需要 全体の重要な決定要因であり、過去20年間では年間およそ3%の上昇を続けている。2007年の基 準ケースでは、人口動態要因(例えば女性の労働力参加率の増加の横ばい)とエネルギーの高価 格を反映し2030年まで年間平均1.9%上昇すると予測される。新型の軽負荷型車両の平均燃費の予 測は2030年に1ガロン当たり29.2マイルで、現在の平均よりも1ガロン当たり4マイル多い。新 型車両の燃費の向上予測は、軽トラックに対する新しい連邦の法人平均燃料節約(Federal CAFE) 基準だけによるものではなく、市場圧力による代替燃料車、ハイブリッド車、ディーゼル車など の非従来型車両技術の売上げの増加と軽トラック新車売上げの成長減退によるものでもある。 電力消費全体では、電力会社からの購入と自家発電を含め、2005年の38,210億キロワット時か ら2030年には54,780億キロワット時に増加し、2007年基準ケースで年率平均1.5%の上昇と予測し ている。一方、2006年の基準ケースでは、2030年の総電力消費予測は56,190億キロワット時だっ た。2007年の基準ケースでは、コンピューター、オフィス機器、様々な電化製品に対する電力使 用の予測増加率の大部分は、こうした電化製品と旧来型の電化製品の効率性の向上によって相殺 される。 2007年基準ケースで、天然ガスの総消費は2005年の22.0兆立方フィートから2030年に26.1兆立 方フィートになると予測され(図3参照)、予測期間の過去10年間の予測値の伸びは、ほとんどな い。AEO2006と比較すると、以前のエネルギー展望より金属耐久財セクターとそのほかの製造業セ クターにおける天然ガスの需要が的確に予測されるため、天然ガスの工業利用は低下している。 (2007年基準ケースでは2030年に8.6兆立方フィートに対して、2006年基準ケースでは8.8兆立方 フィートである)。2006年の基準ケースとの比較で、2007年の基準ケースでは住宅、工業、電力セ クターにおける天然ガスの消費量予測の低さは、商業セクターの高い消費量を相殺する。(2007 年の基準ケースでは2030年に4.2兆立方フィートだが2006年の基準ケースでは4.0兆立方フィー

(8)

ト)。この増加は、2007年の基準ケースにおける天然ガス予測受取価格の低さに起因する。 図3 1980~2030年の燃料別エネルギー消費(千兆Btu) 総石炭消費は、2007年基準ケースで、2005年の22.9千兆Btuから2030年には34.1千兆Btu、もし くは2005年の1,128百万ショート・トンから2030年の1,772ショート・トンに増加する見込みであ る。2006年の基準ケースのように、石炭消費は、2007年基準ケースでは、特に2020年以降石炭火 力発電所の石炭使用と石炭液化生産が急速に増加するため、予測期間の終わりにかけて急激に加 速する見込みである。2007年の基準ケースでは、電力セクターの石炭消費は2020年の25.1千兆Btu から2030年には31.1千兆Btuに増加し、石炭液化(CTL)施設の石炭使用は2020年の0.4千兆Btu から2030年の1.8千兆Btuに増加すると予測される。 液体燃料とその他石油製品の総消費量は、2007年の基準ケースでは、2005年の1日当たり2070 万バレルから2030年の1日当たり2690万バレルになると予測され(図3参照)、2006年の基準ケー スの2030年に1日当たり2760万バレルという予測値より少ない。2007年の基準ケースでは、2030 年に液体燃料消費は、住宅セクターでは留出燃料油の価格の低下により多少増加し、工業セクタ ーでは液化石油ガス価格の上昇と工業生産の成長鈍化により低下し、輸送セクターでは景気減速 により低下すると予測される。 販売再生可能燃料の総消費量は、2007年の基準ケースでは(2030年のガソリン混合のためのエ タノール1.2千兆Btuの液体燃料消費に含まれる)、2005年の6.5千兆Btuから2030年に10.2千兆Btu に増加する見込みである(図3参照)。目覚しい成長は、州の再生可能エネルギー使用基準(RP S)プログラムと再生可能発電への目標設定、技術の進歩、石油と天然ガスの高価格、及び連邦 政府のEPACT2005を含む税額控除の結果である。 AEO2007でのエタノール消費量は2006年の基準ケースよりも急速に増加すると予測されている が、販売再生可能燃料の総消費量は2007年の基準ケースでは、2030年にいくらか減少するとして いる。2007年基準ケースで地熱発電の成長は、新設の地熱発電設備の設置状況と資源の有用性を 再検討した結果、鈍化すると予測される(2030年の予測値が2007年の基準ケースでは0.5千兆Btu であり、2006年の基準ケースでは1.5千兆)。2007年基準ケースで、再生可能エネルギーへの想定 需要の50%以上は熱電併給(CHP)を含むグリッド接続発電に対するもので、残りは分散冷暖 器、産業的用途、燃料混合である。 2007年の基準ケースでは、2030年にエタノール消費量は、2006年の基準ケースの予測値121億ガ 原子力 非水力再生 可能エネルギー 水力発電 液体燃料 石炭 天然ガス 実績 見通し 原子力 非水力再生 可能エネルギー 水力発電 液体燃料 石炭 天然ガス 実績 見通し

(9)

ロンから21%増加の146億ガロンとしている。とうもろこしとバイオ原料油の供給量が増えるにつ れて、その他の自動車ガソリン混合物より低価格ということもあり、2007年の基準ケースではエ タノール消費量は2005年の40億ガロンから2012年には112億ガロンに増加する見込みである。この 数値はEPACT2005の一部として制定された再生可能燃料使用基準(RFS)で規定された75億ガロ ンを大幅に超える。AEO2007ではエタノール供給は、価格の優位性と税控除適格のため、とうもろ こしからの生産が独占的な割合を占めるとしている。セルロースエタノール生産は2030年に総計 わずか3億ガロンとし、エタノール輸入は、2006年の基準ケースの予測値と同水準の8億ガロン と予測される。

5.エネルギー集約度

GDP1ドル当たり(2000年基準ドル)のエネルギー使用で測定されるエネルギー集約度は、 2007年の基準ケースでは2005年から2030年まで平均年率1.8%で減少するとしており(図4参照)、 2006年の基準ケースとほぼ同率の1.7%である。エネルギー使用は一般的に経済成長とともに増加 するが、米国経済のエネルギー効率性向上の維持とエネルギー集約度の低い活動によってエネル ギー消費率の伸びをGDP成長率より低く維持できると予測している。 図4 1980~2030年の一人当たり及びGDP当たりエネルギー消費(1980年=1) 1992年以来、米国経済のエネルギー集約度は年間平均1.9%で減少してきた。一つの理由として は、エネルギー集約型といわれる産業出荷の割合が1992年の30%から2005年には26%に減少した ためである。2007年の基準ケースでは、高エネルギー集約産業が総産業出荷に占める割合は、遅 いペースではあるが2030年の24%まで減少が続くと予測する。 人口はエネルギー消費の重要な決定要因であり、旅行、住宅、消費財、サービスの需要に影響 を与える。天候と経済要因の変化によって一人当たりのエネルギー使用は年毎に変動し、1990年 以来、米国の人口とエネルギー消費の両方ともおよそ18%増加している。年齢、収入、人口の地 理的分布もエネルギー消費量の増加に影響する。人口の高齢化、北部から南部への緩やかな変化、 及び一人当たりの収入の増加は将来の動向を左右する。全般的に基準ケースの人口は、2005年か ら2030年まで23%増加するとしている。同じ期間、エネルギー消費量は31%上昇すると予測して いる。結果として一人当たりのエネルギー消費の予想上昇率は2005年から2030年まで年率0.3%と し、2006年の基準ケースの予測とほぼ同率である。 一人当た りエネル ギー消費 GDP当た りエネル ギー消費 実績 見通し 一人当た りエネル ギー消費 GDP当た りエネル ギー消費 実績 見通し

(10)

エネルギー価格が上昇するにつれ、最近エネルギー資源保存の可能性が注目を集めている。2007 年の基準ケースではエネルギーの高価格が多少の省エネを誘発するとしているが、基準ケースで は現行の政策以外に省エネを促すような新政策は想定しておらず、従って消費行動の変化も想定 していない。

6.発電

電力会社からの購入と自家発電を含む米国の電力消費量は、2007年の基準ケースでは年間平均 1.5%で着実に上昇すると予測している。電力消費は1970年代に年率4.2%、1980年代に2.6%、1990 年代に2.3%増加した。2007年基準ケースの予測上昇率は2006年基準ケースの予測よりも低く、発 電所の新設とその電力発電が予測値を下げる要因となっている。 2007年基準ケースで、最近建設された発電所は高まる需要を満たすためにより集中的に使用し ているため、天然ガス発電所の発電量は2005年から2020年にかけて増加すると予測している。石 炭火力発電所は、2006年の基準ケースの予測より遅い速度で増加するとみている。しかし2020年 以降は、新設の石炭発電所及び原子力発電所からの発電がある程度天然ガス発電を置き換えると みられている(図5参照)。2007年の基準ケースでは、9,370億キロワット時の電力が2030年には 天然ガスから生じると予測し、2006年基準ケースにある2030年に9,930億キロワット時の予測値よ り6%少ない。 図5 1980~2030年の燃料別発電量(10億キロワット時) 2007年の基準ケースでは、エンドユーザーの諸産業における発電を含む電力発電の天然ガスの 割合は、2005年の19%から2016年の22%にまで上昇し、2030年には16%に下がると予測している。 石炭の割合は2005年の50%から2020年には49%に若干減少し、2030年に57%まで上昇する。2007 年基準ケースで石炭火力発電所の増加は2005年から2030年まで合計156ギガワットになるとし (2006年の基準ケースでは174ギガワット)、これには石炭液化発電所の11ギガワット、ガス化複 合発電(IGCC)の67ギガワットが含まれる。基準ケースでは現在のエネルギーと環境政策が 維持されることを前提とし、炭素回収及び隔離(CCS)技術が予測期間内に使用段階に達する ことは想定していない。 2007年の基準ケースで原子力発電は、2005年の100ギガワットから2030年の112.6ギガワットま で増加すると予測される。これは新設の原子力発電所の12.5ギガワット(2006年基準ケースで予 実績 見通し 電力需要 天然ガス 原子力 再生可能 エネルギー 石油 石炭 実績 見通し 電力需要 天然ガス 原子力 再生可能 エネルギー 石油 石炭

(11)

測された新設の発電所からの6ギガワットという予測値の2倍以上)、および既存発電所の出力効 率向上による3ギガワットが、廃止される発電所の2.6ギガワットを相殺する。 2006年の内国歳入庁(IRS)が発令した新設原子力発電所に対するEPACT2005の生産税控除(P TC)規制によると、2006年基準ケースで推定された新設発電所は税額控除分を6ギガワット以 上まで比例分配で共用することができる。2007年基準ケースでは、税額控除は新設原子力発電所 からの9ギガワットまで共用できると推定し、残りの3.5ギガワットは控除なしで建設されるとし ている。AEO2007は、ガルフ・オポチュニティ・ゾーン法2005(P.L.109-135)(Gulf Opportunity Zone Act of 2005, GOゾーン法)に含まれた新設原子力発電所に対する生産税額控除(PTC) の変更も反映しており、EPACT2005で言及された控除額の指数化条項を排除した。 2007年の基準ケースでは、原子力発電所からの総発電力は2005年の7,800億キロワット時から 2030年の8,960億キロワット時まで増加し、2030年の総発電量の15%になると予測している。追加 原子力発電がAEO2007の代替ケースで予測されており、特に電力需要の増加や化石燃料価格の更な る高騰を予測した例が示されている。 技術の発展、化石燃料価格の高騰やEPACT2005の税額控除の拡張などの影響で、発電に関する再 生可能技術の利用は増加すると見込まれる。2006年の基準ケースのように、2007年の基準ケース においても、EPACT2005で施行されたように2007年12月31日までの再生可能発電に対する連邦政府 生産税額控除(PTC)の延長・拡張が含まれる。熱電気複合利用(CHP)とエンドユーザー 発電を含めた総再生可能発電量は、2007年の基準ケースで年間1.5%で増加し、2005年の3,570億 キロワット時から2030年には5,190億キロワット時に増加すると予測している。2007年基準ケース の再生可能エネルギー発電の予測は2006年の類似予測と比較して減少しているが、これは再生可 能技術に対して好ましいとは言えない費用や性能の特質といった新しい要因が想定されているた めである。 2007年の基準ケースでは、2005年の水準と比較して2030年の発電所からの亜硫酸ガス(SO2)の 予測排出量は64%、窒素酸化物(NOx)は37%、水銀は70%でそれぞれ減少するとしている。この 減少は2006年の基準ケースにおける予測値とほぼ同じである。

7.エネルギー生産と輸入

英国熱量単位Btu基準でのエネルギーの純輸入は米国の総エネルギー需要の増加分を補うと予 測している(図6参照)。2007年の基準ケースでは、純輸入が2030年には2005年の30%から上昇し、 2006年基準ケースとほぼ同じとなる米国内総エネルギー消費量の32%を構成するとしている。予 測期間における燃料価格の上昇が国内のエネルギー生産(図7参照)の増加に拍車をかけ、需要 の増加を減速させることになり、輸入増加の予測を緩和している。

(12)

図6 1980~2030年の総エネルギー生産及び消費(千兆Btu) 図7 1980~2030年の燃料別エネルギー生産(千兆Btu) 米国の原油生産予測は、2007年の基準ケースでは、2006年の基準ケース予測値と大幅に異なる。 2007年の基準ケースにおける米国の原油生産は、2005年の1日当たり520万バレルから、海上、主 にメキシコ湾岸の海底油田からの生産量増加で、2017年に1日当たり590万バレルでピークに達す ると見込まれる。その後2030年に生産量は1日当たり540万バレルに下落するとの予測である。 2006年の基準ケースでは2017年から2030年までの生産量は、かなり著しく減少するとされ、2007 年基準ケース予測より多少低い2017年の1日当たり580万バレルの生産量から2030年に460万バレ ルと見込まれる。この違いは、2007年基準ケースでは、高度化した石油再生技術による生産量増 加で48州の陸上での石油生産の緩やかな減少が主な要因で、ある程度はウィルストン内湾 (Willston Basin)のバッケン・シェール(Bakken Shale)におけるかなりの潜在的資源埋蔵量 への推定も考慮している。 原油、天然ガス発電所の液体燃料、精油精製の効率向上、そのほかの精製対象物を含む国内の 総液体燃料生産は、2007年の基準ケースでは予測期間を通して着実に増加すると予測され、精油 精製の効率向上、そのほかの精製対象物の増加が2017年以降に想定される原油生産の減少分を相 殺するとみられる。総供給量は2005年の1日当たり830万バレルから2030年に1日当たり1050万バ 見通し 実績 消費 生産 純輸入 見通し 実績 消費 生産 純輸入 実績 見通し 石炭 天然ガス 液体燃料 原子力 非水力再生 可能エネルギー 水力発電 実績 見通し 石炭 天然ガス 液体燃料 原子力 非水力再生 可能エネルギー 水力発電

(13)

レルまで増加すると予測する。2006年の基準ケースでは、2030年の国内の液体燃料総供給量はわ ずかに少なく、1日当たり1040万バレルだった。2007年の基準ケースの原油の生産量増加は2006 年の基準ケースと比較して、天然ガス液体燃料生産の減少と精油精製の効率向上で部分的に相殺 される。 2007年の基準ケースでは、総供給量に対する原油と精製物の両方を含む純液体燃料輸入の割合 は、2005年の総液体燃料供給の60%から2009年には54%に下落し、2030年に61%まで上昇する。 2006年の基準ケースでは2030年の純液体燃料輸入は全体の62%としていた。2030年の純原油輸入 は2007年の基準ケースでは2006年の基準ケースと比べ1日当たり50万バレル少ない。 液体燃料の純輸入における2006年と2007年の予測値の違いは、主に総液体燃料消費水準の低下 が原因となり、2007年の基準ケースでは2030年に1日当たり60万バレルで、増加がみられるのは 精製留出で、2007年の基準ケースでは、2005年の1日当たり1710万バレルから2030年には2000万 バレルに増加の見込みで2006年の基準ケースでは2030年に1日当たり1930万バレルとしていた。 さらに、2007年の基準ケースでは原油石板(crude slate)量の変化と価格差から生じる重油精製 への投資拡大が含まれる。精製石油製品は2006年の基準ケースでは22%だったが、2007年の基準 ケースでは2030年に総純輸入の20%を占めるとする(2005年とほぼ同じ水準)。 補足的天然ガス供給を含む国内の天然ガス総生産は、2007年の基準ケースでは2005年の18.3兆 立方フィートから2022年には21.1兆立方フィートに増加し、2030年には20.6兆立方フィートに減 少すると予測される。一方2006年の基準ケースでは国内の天然ガス生産は2019年に21.6立方フィ ートでピークを迎えると予測された。2007年の基準ケースでは、天然ガス生産は2012年まで、2006 年の基準ケースの予測値を全般的に上回る。2012年以降は、2007年の基準ケースの生産量が2006 年の基準ケースを一貫して下回る。2007年の基準ケースにおける予測期間の過去18年間の天然ガ ス消費の低下が主に海上・陸上の在来型生産で国内天然ガス生産の低下につながった。 2007年参照例ではアラスカ以外の全米48州の天然ガスの海上生産は、メキシコ湾からの新資源 調達のため2005年の3.4兆立方フィートから2015年の4.6兆立方フィートのピークに達する。2015 年以降は投資が生産水準を維持するのに不十分なため、2030年に48州の海上生産は3.3兆立方フィ ートに減少する。2006年の基準ケースでは天然ガスの海上生産は、2015年に5.1兆立方フィートで ピークを迎え2030年には4.0兆立方フィートまで下落すると予測された。2007年基準ケースの天然 ガスの陸上在来型生産は、2012年まで2006年の基準ケースの予測値を上回り、その後は2006年の 予測値を下回る。 アラスカ以外の48州での非在来型天然ガスの生産は、米国の天然ガス供給の増加に多大な影響 を与える。2007年の基準ケースでは、非在来型天然ガス生産は2030年に米国内天然ガス生産の50% になると予測される(2006年の基準ケースでは45%)。予測期間を通して、2007年の基準ケースで は非在来型天然ガス生産水準は2006年の基準ケースより高くなっており、2030年には10.2兆立方 フィートに達するとしている(2006年基準ケースは2030年に9.5兆立方フィート)。これはファイ エッテビル(Fayetteville)とウッドフォード(Woodford)頁岩資源の追加と、概して上昇を続 ける天然ガス価格によるものである。 アラスカの天然ガスパイプラインの建設計画は準備開始の遅延と予想以上に長い建設期間のた め2006年の基準ケースの予測より3年遅れて開始され、2018年にパイプラインが完成する予定であ る。パイプラインの稼動後は、アラスカの総天然ガス生産量は2007年の基準ケースでは2005年の 0.5兆立方フィートから2021年の2.2兆立方フィートに増加すると予測される。タイミングはずれ るものの、この予測は2006年基準ケースの予測と同水準である。 予測期間中の過去数年間を除けば、カナダとメキシコからの天然ガスの純パイプライン輸入量 は2007年の基準ケースでは2006年の基準ケースより多い。純パイプライン輸入は、2007年の基準

(14)

ケースでは2005年から2030年まで2.6兆から3兆立方フィートの間で変化し、2030年に0.9兆立方フ ィートに減少する。これは2006年の基準ケースの予測値より0.3兆立方フィート少ない。この減少 はアルバータ州(Alberta)の資源枯渇とカナダの国内需要拡大、およびカナダの石炭層の厳しい 構造から非在来型天然ガス生産の可能性の下方再評価を反映している。 2007年の基準ケースでは、2006年の基準ケースと同様に、液化天然ガス(LNG)輸入が天然 ガスに対する米国の需要増加の大部分を補うと予測している。2007年基準ケースには、現在建設 中の4件を含む新しいターミナル施設に加えて、既存の米国内陸上液化天然ガスターミナル4件の うち3件 (コーブポイント、メリーランド州:エルバ島、ジョージア州:チャールズ湖、ルイジ アナ州) の拡張が含まれている。液化プロジェクトの遅れや、液化施設数箇所での供給の逼迫、 世界的な液化天然ガス需要の急増により、米国の液化天然ガス市場は2012年まで厳しい状況が続 く。2007年の基準ケースでは対米国液化天然ガスの総純輸入は、2005年の0.6兆立方フィートから 2030年の4.5兆立方フィートまで増加すると予測する(2006年の基準ケースの0.2兆立方フィート 増) 2007年の基準ケースでは国内の石炭需要が増加するため、米国の石炭生産は平均年率1.6%で増 え、2005年の1,131百万ショート・トンから2030年の1,691百万ショート・トンとなり、2006年の 基準ケースを僅かに下回る。ミシシッピ川の西側地域にある炭鉱からの生産は、増加する石炭生 産の最大シェアを占めるとされる。2030年には国内の石炭生産の約68%がミシシッピ川の西側の 州から生産になると予測される。 一般的に米国の石炭生産の動向は、発電への石炭利用と連結しており、現在、総石炭消費の90% を超えている。2007年の基準ケースでは電力業界の石炭消費予測は、石炭が総発電量に対して大 きな割合を占めるため、2006年の基準ケースより僅かに高い(2030年に1,570百万ショート・トン 対1,502百万ショート・トン)。石炭におけるもう一つの急成長市場は石炭液化(CTL)である。 石炭液化(CTL)施設における石炭消費量は2020年に26百万ショート・トンで2030年には112百 万ショート・トンに増える予測である。2025年までに石炭液化生産の石炭消費量は、2007年の基 準ケースでは電力発電に次いで2番目となる。

8.エネルギー起源二酸化炭素排出

基準ケースに含まれていない現在の政策の変更がない限り実用化の見込みのないCCS技術の適 用がなければ、化石燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)排出は燃料消費と炭素含有量(石炭が炭 素を最も多く含み、天然ガスが最も小なく、ガソリンはその中間)に比例する。2007年の基準ケ ースでは、エネルギー使用全体の石炭の占める割合は2005年の23%から2030年の26%に増加する。 一方、天然ガスの割合は23%から20%に減少し、液体燃料の割合はおよそ40%にとどまる。炭素 中立再生可能エネルギーと原子力エネルギーを合わせた割合は2005年から2030年までおよそ14% で安定する。 主要エネルギー消費の絶対水準の上昇予測と、平均炭素含有量の多少高い混合燃料への偏移の 両方からみて、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は、2005年から2030年にかけて年間平均1.2% 上昇することが予測され(図8参照)、これは総エネルギー消費量の平均年間上昇率を僅かに上回 る。同時に、経済は炭素集中から離れてゆくと予測される。二酸化炭素排出量の上昇率はGDP成長 率のおよそ3分の1であり、一人当たりの排出量は25年間の予測期間でわずか9%の上昇となっ ている。2007年基準ケースのエネルギー起源二酸化炭素排出量の予測は2006年の基準ケースより 多少低く、エネルギー消費全体の予測値の類似差と一致している。

(15)

図8 部門別燃料別米国CO2排出量(百万トン) 住宅 商業 産業 運輸 石炭 天然ガス 石油 住宅 商業 産業 運輸 石炭 天然ガス 石油 表1 AEO2007及びAEO2006の基準ケースにおける2005年~2030年のエネルギー総供給 2010 2020 2030 エネルギー及び経済要因 2005

AEO2007 AEO2006 AEO2007 AEO2006 AEO2007 AEO2006

一次エネルギー生産(千兆Btu) 石油 13.3 14.42 14.83 14.85 14.41 13.71 12.25 乾性天然ガス 18.77 19.93 19.13 21.41 22.09 21.15 21.45 石炭 23.2 24.47 25.78 26.61 27.3 33.52 34.1 原子力 8.13 8.23 8.44 9.23 9.09 9.33 9.09 水力発電 2.71 3.02 3.03 3.08 3.04 3.09 3.04 バイオマス 2.71 4.22 3.9 4.69 4.66 5.26 5.07 他の再生可能エネルギー 0.76 1.18 1.27 1.33 1.92 1.44 2.61 その他 0.22 0.67 0.97 0.89 1.22 1.12 1.39 計 69.8 76.13 77.36 82.09 83.73 88.63 89 純輸入(千兆 Btu) 石油 26.94 25.19 26.25 28.92 30.46 34.74 36.56 天然ガス 3.67 4.67 4.45 5.48 5.15 5.59 5.72 石炭/その他(-は輸出を示す) -0.42 -0.19 -0.58 0.93 0.9 1.57 2.02 計 30.19 29.66 30.12 35.33 36.5 41.9 44.3 消費(千兆Btu) 液体燃料 40.61 41.76 43.14 46.52 48.15 52.17 53.59 天然ガス 22.63 24.73 24.04 27.04 27.7 26.89 27.65 石炭 22.87 24.24 25.09 27.29 27.65 34.14 34.49 原子力 8.13 8.23 8.44 9.23 9.09 9.33 9.09 水力発電 2.71 3.02 3.03 3.08 3.04 3.09 3.04 バイオマス 2.38 3.3 3.25 3.64 3.73 4.06 4.09 他の再生可能エネルギー 0.76 1.18 1.27 1.33 1.92 1.44 2.61

(16)

純電力輸入 0.08 0.04 0.07 0.04 0.05 0.04 0.05 計 100.19 106.5 108.34 118.16 121.32 131.16 134.6 液体燃料(百万バレル/日) 国内原油生産 5.18 5.67 5.88 5.89 5.55 5.39 4.57 その他の国内生産 3.04 4.03 3.98 4.49 4.87 5.08 5.82 純輸入 12.57 11.79 12.36 13.56 14.47 16.37 17.29 消費 20.75 21.59 22.18 24.03 24.82 26.95 27.57 天然ガス(兆立方フィート) 生産 18.3 19.42 18.65 20.86 21.52 20.61 20.9 純輸入 3.57 4.55 4.35 5.35 5.02 5.45 5.57 消費 21.98 24.02 23.35 26.26 26.92 26.12 26.86 石炭(百万ショート・トン) 生産 1,131 1,189 1,261 1,323 1,355 1,691 1,703 純輸入 -21 -7 -26 41 36 68 83 消費 1,128 1,195 1,233 1,377 1,390 1,772 1,784 価格(2005 年基準ドル) 輸入低硫黄軽質原油 (ドル/バレル) 56.76 57.47 48.5 52.04 52 59.12 58.42 輸入原油(ドル/バレル) 49.19 51.2 45.12 46.47 46.14 51.63 51.27 国内天然ガス井戸元価格 (ドル/千立方フィート) 7.51 5.76 5.15 5.22 5.02 5.98 6.07 国内石炭マインマウス価格 (ドル/ショート・トン) 23.34 24.2 22.8 21.58 20.72 22.6 22.29 平均電力価格 (セント/キロワット時) 8.1 8.1 7.5 7.9 7.4 8.1 7.7 経済指標 実質GDP (2000 年基準 10 億ドル) 11,049 12,790 13,043 17,077 17,541 22,494 23,112 GDP 価格指標(2000 年=1) 1.127 1.253 1.235 1.495 1.597 1.815 2.048 実質個人可処分所得 (2000 年基準 10 億ドル) 8,105 9,568 9,622 13,000 13,057 17,535 17,562 工業出荷額 (2000 年基準 10 億ドル) 5,763 6,298 6,355 7,779 7,778 9,502 9,578 一次エネルギー集約度 (千 Btu/2000 年基準ドル) 9.07 8.33 8.31 6.92 6.92 5.83 5.82 CO2 排出量(百万トン) 5,945 6,214 6,365 6,944 7,119 7,950 8,114

参照

関連したドキュメント

再生可能エネルギー発電設備からの

2-2 再エネ電力割合の高い電力供給事業者の拡大の誘導 2-3 多様な再エネ電力メニューから選択できる環境の整備

接続対象計画差対応補給電力量は,30分ごとの接続対象電力量がその 30分における接続対象計画電力量を上回る場合に,30分ごとに,次の式

接続対象計画差対応補給電力量は,30分ごとの接続対象電力量がその 30分における接続対象計画電力量を上回る場合に,30分ごとに,次の式

■エネルギーの供給能力 電力 およそ 1,100kW 熱 およそ

2-2 再エネ電力割合の高い電力供給事業者の拡大の誘導 2-3 多様な再エネ電力メニューから選択できる環境の整備

c 契約受電設備を減少される場合等で,1年を通じての最大需要電

当社は福島第一原子力発電所の設置の許可を得るために、 1966 年 7