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クマリン関連化合物の抗酸化活性に関する研究

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Academic year: 2021

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クマリン関連化合物の抗酸化活性に関する研究

教科・領域教育専攻 自然系コース(理科) 皆川将吾 指導教員 早藤幸隆 はじめに 天然物由来の研究素材として,野球のバット材に 利用されているアオダモ(Fraxinus lanuginosa)に着 目した抗酸化成分の探索を行い,クマリン化合物で あるエスクレチン及びそのクマリン配糖体のエスク リンを単離し,その構造を決定すると共に,DPPH ラ ジカル消去反応において,両者が比較的強い抗酸化 活性を示す事が明らかにされている。一方,ェスク リンのアグリコン部であるエスクレチンが強い抗酸 化活性を示した事から, クマリン骨格にカテコール 型の2 つのヒドロキシ基を有する事が,クマリン化 合物における活性部位である可能性が考えられ,ヒ ドロキシ基の置換数や置換部位における抗酸化活性 の構造活性相関が課題として見出された。本研究で は, ヒドロキシ基の一置換クマリン関連化合物(3 4 -, 6 -, 7 ーヒドロキシクマリン)及びヒドロ キシ基の二置換クマリン関連化合物(6 , 7 -, 7 , 8 4 , 7 ージヒドロキシクマリン)を用いて, クマリ ン化合物の抗酸化活性の評価を速度論的・分子論的 に解明する事を目的として,第1 章と第2 章で構成 される研究を実施した。 物(6 , 7 二 7 , 8 -, 4 , 7 ージヒドロキシクマリ ン)を用いて検討した。 【ヒドロキシ置換クマリン関連化合物のDPPH ラジカル消去反応における速度論的な解析】 ヒドロキシ基の一置換クマリン関連化合物におい て, 3 ーヒドロキシクマリンは,反応開始からDPPH ラジカル消去反応が進行すると共に, 140 秒程度で平 衡に達し,反応速度定数は,2. 57X10一3(ノ秒)であ った。 4 -ヒドロキシクマリンは3.24X104 (/秒), 6 ーヒドロキシクマリンは1. 06X i0一4 (ノ秒)', 7 ーヒ ドロキシクマリンは5.90X10 5 (/秒) となり,DPPH ラジカル消去反応が殆ど進行しない事が判った。こ れらの結果より, ヒドロキシ基の一置換クマリン関 連化合物のDPPH ラジカル消去反応における反応速度 は, 3 -ヒドロキシクマリ’ン>4 -ヒドロキシクマリ ン>6 ーヒドロキシクマリン>7 ーヒドロキシクマリ ンという結果となった。この事から, ヒドロキシ基 の一置換クマリン関連化合物では,ラクトン部位に 隣接するヒドロキシ基を有する事がDPPH ラジカル消 去反応を進行させる事が明らかとなった。 一方,ヒドロキシ基の二置換クマリン関連化合物 においては, 6 , 7 ージヒドロキシクマリン及び7 , 8 ージヒドロキシクマリンがDPPH ラジカル消去反応 を進行させると共に,30 秒程度で平衡に達した。そ の反応速度定数は, 6 , 7 -ジヒドロキシクマリンが 3.02X iO3 dmソS・mol, 7 , 8 -ジヒドロキシクマリ ンが2.70X103 dm3/s・mol であった。また, 4 , 7 ー ジヒドロキシクマリンは, 1.18X10 dm3/s・mol とな り, DPPH ラジカル消去反応が殆ど進行しない事が判 った。これらの結果より,ヒドロキシ基の二置換ク マリン関連化合物のDPPH ラジカル消去反応における 3 ーヒドロキシクマリン 4 -ヒドロキシクマリン 6 -ヒドロキシクマリン 7 ーヒドロキシクマリン 6. 7 -ジヒドロキシクマリン 7. 8 -ジヒドロキシクマリン 4 . 7 ージヒドロキシクマリン R戸OH. R4=凡=凡=Rニ凡=H Rr01. R,凡ニ凡=凡=凡=H RFO凡8,"凡=凡=R声凡"H RFOH . 8,"凡ニ凡"8,"凡"H R,"R "OH.凡=凡ニ凡=凡"H R,"R,"OH 凡=凡=R=凡"H R =R,=OH. %=R,=R,=8,=H

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第1章 ヒドロキシ置換クマリン関連化合物 における抗酸化活性の速度論的な解析 第1 章は,ヒドロキシ置換クマリン関連化合物の DPPH ラジカル消去反応における反応速度を明らかに する事を目的として, ヒドロキシ基の一置換クマリ ン関連化合物(3 -, 4 -, 6 -, 7 -ヒドロキシクマ リン)及びヒドロキシ基の二置換クマリン関連化合 - 263 -

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反応速度は, 6 , 7 ージヒドロキシクマリン>7 , 8 ージヒドロキシクマリン>4 , 7 ージヒドロキシクマ リンという結果となった。この事から,二置換のヒ ドロキシ基がカテコール構造を有し,水素ラジカル を放出した後に生成するジケトン構造で安定化され る事により,DPPH ラジカル消去反応を進行させる事 が明らかとなった。 以上の事からヒドロキシ置換クマリン関連化合物 のDPPH ラジカル消去反応における速度論的な解析 は,DPPH と反応により水素ラジカルを放出した後に 生成するジケトン構造の安定化により,反応速度に 影響を与える事が示唆された。 第2章 ニ成分共存下でのクマリン 関連化合物の抗酸化活性の評価 第2 章では,二成分の抗酸化物質の共存下におい て,DPPH ラジカル消去の競争反応による抗酸化活性 の評価を試みた。核磁気共鳴装置(NMR)による測定 では, NMR 測定チューブ内で二成分の抗酸化物質が DPPH ラジカルと反応する様子を観測する手法を導入 し,13C-NMR スペクトル測定により,二成分の抗酸化物 質がDPPH ラジカルを消去する際の分子構造の変化を 通して,抗酸化活性を評価した。二成分の抗酸化物 質の共存下の組み合わせは,第1 章におけるDPPH ラ ジカル消去反応の反応速度の実験結果を基に, ヒド ロキシ基の一置換クマリン関連化合物においては, ①3 ーヒドロキシクマリンと4 ーヒドロキシクマリ ン,②4 ーヒドロキシクマリンと6 ーヒドロキシクマ リン,③6 ーヒドロキシクマリンと7 -ヒドロキシク マリン,またヒドロキシ基の二置換クマリン関連化 合物においては,W6 , 7 ーヒドロキシクマリンと7 , 8 ーヒドロキシクマリン,②7 , 8 -ヒドロキシクマ リンと4 , 7 -ヒドロキシクマリンとした。 【ニ成分共存下でのヒドロキシ基置換クマリン 関連化合物の抗酸化活性の評価】 二成分のヒドロキシ基の一置換クマリン関連化合 物(3 -ヒドロキシクマリン, 4 ーヒドロキシクマ リン, 6 ーヒドロキシクマリン, 7 -ヒドロキシク マリン)の共存下の抗酸化活性の強さは,DPPI-f ラジ カル消去能力において, 3 -ヒドロキシクマリン> 4 -ヒドロキシクマリン>6 ーヒドロキシクマリン >7 ーヒドロキシクマリンと評価した。 また,二成分のヒドロキシ基の二置換クマリン関 連化合物(6 , 7 ージヒドロキシクマリン, 7 , 8 ージヒドロキシクマリン, 4 , 7 ージヒドロキシク マリン)の共存下の抗酸化活性の強さは,DPPH ラジ カル消去能力において, 6 , 7 ージヒドロキシクマ リン>7 , 8 ージヒドロキシクマリン>4 , 7 -ジ ヒドロキシクマリンと評価した。 これらは, ヒドロキシ基の一置換クマリン関連化 合物及び二置換クマリン関連化合物のDPPH ラジカル 消去反応の反応速度定数における速度論的な解析と 同様の結果であった0 即ち,DPPII ラジカルとの反応 で水素ラジカルが引き抜かれた後のクマリン関連化 合物における分子構造の安定化の影響により,DPPH ラジカル消去反応の反応速度定数と二成分の抗酸化 物質の共存下におけるDPPH ラジカル消去能力が相関 する事が示唆された。 NMR 測定チューブ内での二成分のヒドロキシ基の一 置換クマリン関連化合物及び二置換クマリン関連化 合物の共存下におけるDPPH ラジカル消去の競争反応 は,反応速度定数の大きいヒドロキシ基置換クマリ ン関連化合物が優先的にDPPH ラジカル消去反応を進 行させると共に,フェノール性ヒドロキシ基から水 素ラジカルが引き抜かれた事による分子レベルでの 構造変化により,13C-NMR スペクトルの非破壊測定か ら,分子論的にDPPH ラジカル消去能力における抗酸 化活性を評価する事が出来た。 3C-NMR スペクトル測定による本手法の特徴は, DPIPH ラジカルと反応した直後のヒドロキシ基置換ク マリン関連化合物の構造的な変化を分子レベルで明 らかにすると共に,抗酸化物質のDPPH ラジカル消去 能力を新しい尺度で評価する事が可能となり,ヒド ロキシ基置換クマリン関連化合物のDPPH ラジカル消 去の構造活性相関を明らかにする事が出来た。 - 264 -

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