Title
ABICと拡張カルマンフィルタを用いた最適な地下水解析モ
デルの推定( 本文(Fulltext) )
Author(s)
奥野, 哲夫; 鈴木, 誠; 本城, 勇介
Citation
[土木学会論文集 = Proceedings of JSCE] vol.[575] p.[179]-
[198]
Issue Date
1997-09-21
Rights
Japan Society of Civil Engineers (公益社団法人土木学会)
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/24358
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土 木 学 会 論 文 集No. 575/III-40, 179-198, 1997. 9
ABICと
拡 張 カル マ ンフ ィル タ を用 い た
最 適 な地 下 水 解 析 モデ ル の 推 定
奥 野 哲 夫1・ 鈴 木 誠2・ 本 城 勇 介3 1正会員 博(工)清 水建設(株)和 泉研究室 研究員 (〒100千 代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル) 2正会員 工博 清水建設(株) 和泉研究室 主任研究員 (〒100千 代田区内幸町2-2-2 富国生命 ビル) 3正会員 Ph. D. 岐阜大学助教授 工学部土木工学科 (〒501-11岐 阜市柳戸1-1) 地盤工 学 に逆解析 を適 用 す る場 合 を対 象 に して, 解析 モデ ル構 築 にお ける様 々な不 確 定性 を考慮 し, 限 られ た情 報の下 での最 適モ デル の選定 と未 知パ ラ メー タの推 定手 法 を提案 す る. 本 手法 で は 、4BLOの 逐次 計算 法 と 拡張 カル マ ンフ ィル タを用 いてお り, 最 適 な地下 水解 析 モデ ルの選 定 と透水 係数 の推 定 の妥 当性 をシ ミュ レー シ ョンによ り検討 す る. 検 討対 象 は, 透水 係数 の確 率特 性の 初期値, 透 水係 数 の領域 区分, 初期 条件, 境 界条 件, 貯 留係 数, 観 測 誤差 の各設 定 で あ り, 推 定 に用 い る複 数 の試験結 果 の利 用順 につ い て も検 討 す る。本 手法 で はカルマ ンフ ィル タの システ ム誤差 が重 要 な役割 を持 ち, 4βLOに よ り最 適 な シス テ ム誤 差 も評価 され る.Key Words: groundwater, hydraulic conductivity, Akaike Bayesian Information Criterion, Kalman filter, inverse problem
1. 序 論 本 来, 解析 モデル は, そ の解析 の 目的に従い, それ まで に得 られ た情 報 を十分活用 して構築 され るべ き も ので あ り, 適切 な解析 モデ ルが構築 で きればそ れ を用 いた予測解析(順 解析)か ら設計 や施工 に有益 な情報 を 与 えるこ とが可 能に なる. しか し, 地 盤工 学 におい て 対 象領域 内お よびその境 界上 の情報 を得 る には, 経済 的理由 などか ら多 くの制 限 を伴 う場合 が一般 的であ る. この ため事 前調査 な どの限 られた情 報 を基 に, 背後 に あ るメカニズム を十分考慮 して解析 モデ ル を構築 す る には技術者 の適切 な判 断が必 要 とされ る. 例 えば, 解 析対 象領域 を有限領 域 に限定 し, 領域 内 の地下水 挙動 を予測解析 す る場 合, 領域 内 の透水係 数 の不均 質性や 境界 条件 な どの設 定 にはか な りの不確 定性 を伴 う場合 が多い. この よ うな場合, 技術 者の判 断 に よ り構築 さ れた解析 モデ ルの適切 性 を評価 す る基準 が問題 になる. 逆解析 は, この よ うな状況 にある原位置 の地盤状況 を観測デ ー タか ら逆 に推 定 し, 将来 の地盤 の挙動 を予 測 す る上で多 くの可 能性 を秘 めた手法 と考 え られる1). 特 に逆解析 に関す る研 究 で は, 境 界/領 域 逆問題, 支 配方程 式逆問題, 境界 値/初 期 値逆問題, 負荷逆 問題, 材料 特性逆 問題 な ど, 様 々 な問題 へ の適用 が試 み られ ている2). しか し, その現状 を見 る限 り, 対象 とす る未 知パ ラメー タ以外 の解析 モデ ルの様 々な条件 設定 に も 同時 に不確 定性 が存 在す る こ とを考慮 した推 定手法 は ほ とん どな く, 例 えば境界 条件 な ど材料 特性 以外 の条 件 は全 て既知 と仮定 した上 で材料特性 を推定す るとい っ た 例 が 一般 的 で あ る. 地 下 水 を対 象 と した 逆 解 析 の 研 究 はYeh3), Carrera
and Neuman4), Sun5)に 海 外 の動 向 が ま とめ られ て い
る. 国 内 で は, Arai et a1. 6)に よ る飽 和 ・不 飽 和 領 域
を考 慮 した飽 和 透 水 係 数 の 推 定, 大 西 と井 尻7)に よ る
. 410(Akaike Informati0n Criterion; 赤 池 情 報 量 規 準) を用 い た不 均 質 性 地 盤 の最 適 な領 域 区分 モ デ ル の 選 定 と 透 水 係 数 の推 定, 青 木 と嘉 門8)に よる 不 均 質 地 盤 の 領 域 区分 に よ る透 水 量 係 数 と貯 留 係 数 の 推 定 な どが あ る. ま た, 本 城 と森 嶋9)は 統 計 学 的 な 解 釈 か ら逆 解 析 に お け る事 前 情 報 の 役 割 とそ の効 果 につ い て言 及 し, 予 測 の 信 頼 性 の 評 価 を行 っ た. 河 野 ら10)は被 圧 帯 水 層 で の 揚 水 試 験 か ら鉛 直 方 向 の 不 均 質 性 を帯 水 層 ご と に領 域 区 分 し, 透 水 係 数 と比貯 留 係 数 を軸 対 象 モ デ ル に基 づ き求 め て い る. ま た, 長 谷 川 ら11)は カ ルマ ン フ ィル タ有 限 要 素 法 に よ り, 各 領 域 の 透水 係 数 の 推 定 と降 雨 や表 面 流 か ら の 酒 養 量 を推 定 し た. 本 城12)お よ び本 城 ら13), は拡 張 ベ イズ 法14), 15)に. 4BIO(Akaike Bayesian lnf0rmation Criterion; 赤 池 の ベ イ ズ情 報 量 規 準)を 適 用 し, 広 域 地 下 水 モ デ ル の 最 適 な 領 域 区 分 モ デ ル を選 定 し, そ の パ ラ メー タ を推 定 した. 堀 ら16)は 岩 盤 の 透 水 係 数 の 推 定 手 法 と して, 多 数 の 亀 裂 を主 要 な透 水 経 路 とす る 場 合 を対 象 に, 等 価 介 在 物 法 に基 づ くモ デ ル化 手 法 で 表 現 し検 討 を行 っ た. 以 上 の研 究 に お い て, 解 析 モ デ ル の 各 種 条 件 設 定 を モ デ ル 選 定 の 立 場 か ら検 討 した も の は, Carrera and Neuman4), 大 西 と井 尻7), 本 城12), 本 城 ら13)の領 域 区 分 モ デ ル の 選 定 の み で あ る. 前 述 の よ う に, 地 盤 工 学 に お い て 限 られ た 情 報 の 下 で 逆 解 析 を適
用す るには, 推定すべ き未知パ ラメータ以外 に も不確定 な条件が 存在 す るこ とを考慮 した推 定手法が望 まれ る. 一方, 奥 野 と鈴木17)は, 拡 張カルマ ンフ ィル タを用 い た透水 係 数 の空 間分 布推 定法 として, その状態 ベ ク トルの時 間更新 ア ル ゴ リズム に有 限要素法 に基づ く地 下水位 と流 量 の予 測値 を利用 す る手 法 を示 した. さら に, 奥野 ら18)は複 数 の揚水試験結 果 を逐次利 用 する こ とで領域 全体 の透 水係 数 の推 定値 を更新 し, 最終 的に 全 試験デ ー タを網 羅 した推 定結果 を得 る手法 を示 した. また, シス テム誤 差の確 率特性 の設定 が適切 な推定結 果 を得 る ため に重 要 であ る ことも示 した. この手法 は カルマ ンフィル タを用い た推定手法 であ るこ とから, 事 前 情報 を は じめ とし, 複 数の透 水試験結 果や施 工 中の 観 測デ ー タを逐 次利 用 して推定 値 を更新 す る ことが で き, 地盤物 性値 であ る透水係 数 の空 間分布(不 均 質性) を不 確定性 も考慮 して推 定す る ことが可 能 であ る. ま た, その推 定値 の不確 定性 も考慮 して将来 の地 下水位 や流 量の予 測 を行 うこ とが可能 であ るため, 排水 計画 の立案 な どに も有効 に利用 す ることが で きる19). カルマ ンフ ィル タを用 いた推 定手法(適 応 フ ィル タ リング)で は, シス テム誤差 と観測誤差 の確 率特性 を既 知 と して, これ らの誤 差伝搬 で は説 明が 困難 な予 測値 と観 測値 の差 を未 知 パ ラ メー タの推 定誤差 に起 因す る 予 測誤差 と解 釈 し, 観 測値 に予測値 を近づ け るよ う未 知 パ ラメー タの 推定値 を逐次修 正(観 測更新)す る. し たが って, シス テム誤差 や観 測誤差 の確 率特性 を既 知 量 と して設定 す る必 要が あ るが, その設 定如何 によ っ て推 定結 果 が異 なる こ とにな る。特 に問題 に なる点 と して, これ か ら推定 を行 お うとす るシステム に対 して, そ の システ ムが有 す る時 間更新 の誤 差(シ ス テ ム誤差) を事 前 に設定 す る ことは一般 に困難 な点で ある. 本論 文 で用 い る手法 は, 有 限要素 法 による予 測 を状 態ベ ク トルの時 間更新 に利 用 して いる ことか ら, 有 限要素法 に基 づ く種 々の モデ ル化 の誤差 をシス テム誤差 と して 評価 す る必 要 があ る. この よ うな誤差 と して, 具体 的 には力学 モデ ル, 数 理 モデ ル, 定式化, 離 散化, 未知 パ ラ メー タの確 率特性 の初 期設 定, 領域 区分, 境界条 件, 初期条件 な どのモデ ル化の誤差が考え られ る. 同様 に観測 誤差 の設 定 も重要 であ る. 観 測誤差 の設 定 には 実 際 の観 測装 置 の測定 精度 や設 置状 況か ら見積 もられ る場合 が多 いが, そ の設定 が実 際の観測誤 差 の確 率特 性 と異 なれ ば推 定結 果 も異 なる こ とにな り, 真値 が わ か らない限 り観 測 誤差 の設 定 も一種 のモデ ル と考 え ら れ る. この よ うに各種 のモ デル誤差 の影響 を考慮 して システ ム誤 差 と観 測誤差 を適切 に設定す る必 要があ り, これ ら2種 類 の誤 差 の確 率特 性 の設 定方法 は カルマ ン フ ィル タを用い た推定手 法 の残 され た課題 と言 える. 以上 よ り, 以下 の2点 が重要 な課題 と考 え られ る・ (1)地 盤工学 においては対 象領域全体 の詳細 な情報 を得 る こ とが困難 な場合 が多 く, 限 られ た情 報 に基づ き技 術 者が構築 した複 数 の解 析 モデ ル代替 案の 中か ら各種 の不確定性 を考慮 した最 適 な解 析モデ ル を判 断す る評 価 基準 とその モデル のパ ラメー タ推定 法が必 要 とされ る. (2)カ ルマ ンフ ィル タを用いた推定手法 では, 各種 のモデ ル誤差 の影 響 を考 慮 した最適 なシス テム誤差お よび観測誤差 の設定法 が必要 とされ る. 本論文 では これ らの課題 に対 して, 評価 基準(規 準) としてABIOを 用い るこ とで, システム誤差 と観測誤 差 を適切 に設 定す る手法 を提案 し, その結果 として解 析 モデ ル として具備 すべ き様 々な条件 をモデ ル と して 選定 す る と同時 にそのパ ラ メー タも推定 す る手 法 を示 す. これに よ り対 象 とす る未 知パ ラ メー タ以外 の解析 モデ ルの不確 定性 に も対処 す る. 特 に, 拡 張 カルマ ン フ ィル タに基づ く透水係 数 の空 間分布 推定 法(逆 解析) に. 4-BIOの 逐次計算 法 を導入 した点 に特 徴が ある. 以 下で は, 提案 手法 に基 づ く地下水解析 モデ ル の選 定 と パ ラメー タ推定 の妥 当性 を検討す るため, 模擬観測デー タを用いた推 定の シ ミュ レー ションを行 う. 具体的 なモ デル選定 として, 透水係 数(対 数 透水係 数)の 確率特 性 の初期設 定, 透水係 数 の領域 区分, 初期 地 下水位, 境 界 地下水位, 貯留係 数(有 効 間隙率), 観測 誤差 を対 象 とす る. また, 位 置 を変 えた複 数の試験 結 果 を利用 す る場合, 利 用順序 が推定 結果 に与 える影響 につ いて も 考 察す る. な お, 有限要 素法 は不圧地 下水 を対象 とし た平 面2次 元解析 を用 い る. 2. ABICと 拡 張 カ ル マ ン フ ィル タ に よ る モ デ ル 推 定
(1) ABIC(Akaike Bayesian Information terion)
4BIOは 以 下の形で与 え られ, . 4BIOを 最小 にする ベ イズ モデ ルの超パ ラメー タ(hyperparameter)が 最適
な値として選定される20)21)22).
ABIC =-2log(Bayesian likelihood) +2(num. ber of hyperparameters)
-2log py(yf8)po(91 A) d8 +2(number of hvvervarametersl (1) こ こでy, θ, λは そ れ ぞ れデ ー タ, パ ラ メ ー タ, 超 パ ラ メー タで あ り, Pg(y1θ)は デ ー タyの 分 布, pθ(θ1λ)は超 パ ラ メ ー タλが 与 え られ た 下 で の パ ラ メー タθの 事 前 分 布 で あ る. また, 対 数 は こ れ 以 降 も 自然 対 数 とす る. 情 報 量 統 計 学 に 基 づ くモ デ ル 選 定 規 準 と して 最 も よく用いられる規準に. 4DOがあり23), 24), 25), 時系列モ デ ル に 関 す る. 410の 算 定 式 は北 川26)に 示 さ れ て い る.
4BIOも. 410と 同様, Kullback-Leibler情 報 量 を最 小 化(エ ン トロ ピ-最 大 化)す る こ とで真 の 分 布 と モデ ル 分 布 の 近 さ を代 替 モ デ ル 間 で相 対 的 に測 る 規 準 で あ る が, 式(1)の 第1項 に, 最 大 対 数 尤 度 の代 わ りに超 パ ラ メ ー タの 関 数 で あ る ベ イ ズ尤 度 を導 入 す る点 が. 41Cと 異 な る. 超 パ ラ メー タは, 未 知 パ ラ メー タの 事 前 分 布 を 規 定 す る パ ラ メ ー タ で あ る. 本 論 文 で は, 超 パ ラ メ ー タ に よ り観 測 デ ー タ分 布 と未 知 パ ラ メ ー タ(状 態 ベ ク ト ル)の 事 前 分 布 とい う異 種 類 の分 布 の 相 対 的 な 重 み 付 け を行 い, そ の 最 適 値 を. 4BIOに よ り決 定 す る12). そ の 結 果, 逆 問 題 に お け る非 適 切 性(ill-posedness)を 克 服 し, 最 適 な モ デ ル と最 適 な 事 前 分 布 が 選 定 され る. こ こで は 以 下 に述 べ る よ うに, カ ル マ ン フ ィル タ の ア ル ゴ リズ ム を利 用 した. 4BIOの 逐 次 計 算 法 を 用 い る 点 に 特 徴 が あ る. (2) 拡 張 カル マ ン フ ィル タ とABICの 逐 次 計 算 法 は じめ に, 拡 張 カル マ ン フ ィル タ を用 い た 透 水 係 数 の空 間分 布 推 定 法17), 18)の概 要 を述 べ る. まず, 非 定常 状 態 の 不 圧 地 下 水 の 支 配 方 程 式 は, 平 面2次 元 状 態 を 仮 定 す る と質 量 保 存 則, ダ ル シ ー 則, Dupuitの 仮 定 か ら式(2)で 与 え ら れ る. (2) 7ij(h)=(h-α)Kij (3) i, j=1, 2 ここで, xiは 水 平面内 の直 交座 標, hは 地下水 位, αは 基底 不透水 面 の鉛直 座標, Tijは 透水量 テ ンソル, Kij は透水係 数テ ン ソル, cは 有効 間隙 率(貯 留係 数), g は単位水平 面積 当 た りの水 の湧 き出 し量, 駒 は境界 面 の外 向 き法線ベ ク トルの成分, オは時間で ある. この支 配 方程式 は透水量 テ ンソルが地下 水位 に依存 す るため 非線 形方程 式 であ る. 適 当な初期 条件, 境 界 条件 の下 で式(2)を 有限要素法 に よ り離散化す る と, 1期 先 の未 知 地下水位 と未知 流量 を非線 形代 数方程式 の収 束計算 に より求め るこ とが で きる. 拡張 カルマ ンフ ィル タのシステ ム状態 方程 式 と観測 方程式 はそれ ぞれ式(4), (5)の よ うに設定 す る. xt+1 ht+1 Lt+1 q2t+1 =ft(xt)+4ωt
ft(mot)
Lt
fqc(xt)
At ωt wLt wqt (4) 9t ∼1 ht zt q2t =ctxt+vt Ght 0 0o Gt o
o
0 G9
h1t Lt q3 vht vLt vqt (5) ここで, 時刻 オステ ップ にお け る状 態ベ ク トル をxt(n 次元ベ ク トル), 観測ベ ク トル をyt(m次 元ベ クトル)と して いる. 式(4)に 示 すシステ ム状態 方程 式は, 有 限要 素解析 か ら求め られ る地 下水位ht+1と 流量g2t+1から構 成 され る. ここで肩 文字 の1あ るい は2は, それ ぞれ 地下水 位 と流量 に関 す る未 知量 を示 す. また, 状態 ベ ク トル には透水係 数 の常用対 数 を とった値Lf(対 数 透 水係 数)が 用 い られ る. この よ うにシステム状 態方程式 では非線 形計 算 を有 限要 素法 で実 施 し, 透水係 数 に関 して は時 間的 な変化 が ない もの とす る. さて, Atwt(n 次 元ベ ク トル)は システ ム誤差 で あ り, この うちwt(n 次元 ベ ク トル)は その確率特性 を技術者 が設 定す るシス テム誤差 成分 で, 正規 白色 性を有す る もの とす る. ωク, ω', ω2は, それぞれ地下水位, 対 数透水係数, 流量 に 関 す る成 分で, 有 限要素法 に よる定 式化 や離 散化 をは じめ と して, 各 種の 条件設 定が真 の状 態 と異 なる こ と に よ り生 じる誤 差 として設 定す る. しか し, 実 際の シ ス テ ム誤 差 は設定 したモ デ ルに依存 して異 な り, 事 前 に適 切 に設定す る こ とは困難で あ る. この ため技術 者 が設 定 したシステ ム誤差成分wtを 真 の システ ム誤 差へ 変換 する行列 としてAt(n×n行 列)を 導入す る. 本 論 文 では上記 の変換行 列Atが 式(6)の よ うに時 間的 に不 変 なスカ ラーαで代 表で き, 真 のシステ ム誤差 は技術 者 の与 えたシステ ム誤差成 分wtの スカ ラー倍で与 え られ る と仮定 する. したがって, 式(4)の システ ム状 態方程 式は式(7)で 与 えられ る もの と し, ス カラーαの決定 に 後 述す る. 4BIOを 用い る. 4t=αI (6) xt+1=ft(xt)+α ωt (7) ここでDは 単位行列(n×n行 列)で あ る. 変換 行列ん を 時 間的に不変 なスカ ラーαで代 表 させ る ことの実際 的な 意味 は, 対 象 とす る時系 列デ ー タ全体 に対 して平均 的 に最適 な係数αで近似 させ るこ とであ る. なお, 式(6), (7)に おい てα=1. 0と した場合が, 先 に奥野 と鈴木が 示 した方法17), 18)に相 当す る. 一方, 観 測方程式(5)は 線形で あ り, 冠 は観 測 され る地 下水位, 右 は調査 や試験 に よ り測定 され る一部領 域 の透水係 数 の常 用対 数 を とった値, q2tは観 測 され る 流量 であ る. Ght, GLt, Gqtは それぞ れ地下水位, 対 数 透水係数, 流量 が観 測され ている成分の み1, 他は0の行列 である. また, vtm次 元ベ クトル)は 観測誤差 で, 正規 白色 性 の誤差 とす る. 以上 のシステ ム状 態方程式 と観 測方程 式 を基 に, 状 態ベ ク トルの初期値xo/-1, 推定誤差分散 共分散行列 の 初期値po/-1(nxn行 列), システム誤差分散 共分散行列 Qt-1(n×n行 列), 観測誤差分散共分散行 列Rt(m×m 行 列)が 与 え られ た後, カルマ ンゲ イ ンKt(n×m行 列), 状 態 ベ ク トルの推定 値xt/t, xt-1, 推 定誤差分 散 共分散 行列p/t(n×n行 列), pt/f-1(nxn行 列), 状 態遷移行 列(Jacobian行 列)E(n×n行 列)が 拡張 カ ルマ ンフィル タの アル ゴリズムに従 って逐次 的に繰 り返 し計算 され る27). 具体 的 な式の誘導 は付録Aに 示 しお り, 観 測更新一アル ゴリズムは式(A. 12), (A. 13), (A. 14) か ら, また 時間更 新 アル ゴ リズム は有 限要素法 と予測 誤 差分散 共分 散行 列 の状態遷 移か ら, 以下 の ように与 え られる. なお, 本論文 ではシステム状態 方程 式(7)に 示 されたαが重要 な意味 を もつ ため, その影響 を直接受 け る推 定誤 差分散 共分散 行列Pt/t-1に*を 付 け て表 す. (a)フ ィル タ方程式 時 間更新 アル ゴ リズ ム xt+1/t=ft(xt/t) (8) 観測 更新 アル ゴリズ ム xt/t=xt/t-1+Kt[9t-Gtxt/t-1] (9) (b)カ ルマ ンゲ イン
Kt=[GTtRt-1q+Pt/t-1-1]GTt-1
(10) (c)推 定 誤 差 分 散 共 分 散 行 列 時 間 更新 ア ル ゴ リズ ム Pt/t-1=E-1O-1/t-1Ft-1+α2Qt-1 (11) 観 測 更 新 ア ル ゴ リズ ム Pt/t=[αTRt-1σt+Pt/t-1-1]-1 (12) フ ィル タ方程 式 の観測 更新 アル ゴ リズ ムにおい て, カルマ ンゲ イン瓦 は正則 化一般逆行列 の一種 と して機 能 し, 状 態 ベ ク トルの最適 な修正量 を与 え る. そ の際, Pt/1-1-1は ペ ナ ルテ ィ行 列 として逆解析 にお け る解 の 安定 化 に寄 与 す るこ とにな り, 行 列の正則 化(regural-ization)の観 点か ら式(11)の αにどの程度の値 を与 える べ きか とい う問題 に帰 着 される. 一方, この こ とはベ イズ 推定 の立場 か ら事前 情報 と観 測デ ー タの相対 的 な 重 み付 け と して最適 な係数 を選定す るこ とを意味す る. 実 際, 観 測 ベ ク トルytが得 られ た後 の状 態 ベ ク トルxt の対 数尤度ft(xt1yt)は, 式(A. 10)の 同時確 率密度 関 数 の対 数 を とる こ とで求 め られ, この対数 尤度 の最 大 化 は式(13)の 評 価 関数の最小 化 に一致す る. Jb(xtα)=(9t-qxt)TRt-1(9-Gtxt) +(xf-xt/f-1)Tpt-1-1(xf-xt/t-1) (13) 式(13)の 評 価 関 数 を最 小 にす る 推 定 値 は 式(9)で 与 え られ る. 本 城 ら13)は拡 張 ベ イズ 法 に よ る逆 問題 の 解 析 に お い て, モ デ ル 選 定 と事 前 情 報 の 重 み 係 数 の 決 定 に ABLOを 用 い て い る. 式(13)と の 比 較 の 目 的 か ら本 城 らの 定 式 化 に従 い 拡 張 ベ イズ 法 にお け る 評 価 関 数 を 示 す と式(14)の 形 と な る. J(θ1β)=(h-h(θ))Tyh1(h-h(θ)) +β2(θ-∂)Tyo1(θ-∂) (14) ここでθが 未知パ ラメー タであ る透水量 ベ クトル, β2が 事前分布 の重み係 数であ る. また, hは 地下水位 の観 測 値ベ ク トル, h(θ)は地下水位 の計算値 ベ ク トル, yhは 地下水位 の観測誤差分散 共分散行 列, θは透水 量ベ クト ル の事 前平均値 ベ ク トル, yθ はθの事前分 布の分散 共 分散行列 である. 式(13)と 式(14)を 比 較す ると, 拡 張 ベ イズ法 におけ る事前情 報の重み係数βの決定 は, 単位 時 間ステ ップ におい て式(13)の 係数 αに依 存 して定 ま るPt/t-1を決 定す る こと と等価 で ある. この こ とか ら も推定誤 差分散 共分散行列Pt/t-1は,時 間ステ ップfに おいて事前分布 の分散 共分散行列 であ り, 式(14)に お いてβを決定す るこ とと式(13)に おいてαを決定する こ とが等価 で ある ことが理 解 で きる. た だ し, 評価関 数 値 への影響 としては, αの減少 が事前分布 の重み係数 θ の増 大 に対応 してい る点 に注 意 を要す る. カルマ ンフィル タの アル ゴリズ ムでは, 本 来, シス テム誤 差分散共分散行列 α2Qt-1と観 測誤差分散共分散量 行列名 は既 知量 と して与 える必 要が あ り, 観測値か ら 状 態ベ ク トルの推 定値 が逐次更 新 され, そ の際, 状 態 ベ クトルの一部 を構 成す る対 数透水係 数が推定 される. しか し, 4BIOに 基 づ く本 手法 で は, 各 時 間ス テ ップ におけ るpt/t-1に は後述 す る各種 のモデ ル誤差の影響 が含 まれ る との解釈 の下 に, そのモデ ル誤差 の影響 を システム誤 差分散共分散行 列α2Qt-1と して捉 える. そ の システ ム誤差分散共分 散行列 をパ ラ メー タαに より調 整 す るこ とで事前 分布 の分散 共分散 行列 であ るpy/t-1 を調 整す る. 以下 で は係 数αを決定 す るため の4BIO の算定式 を示す. カ ルマ ンフ ィル タ を利 用 したABIGの 計 算式 は付 録Aの 式(A. 17), (A. 6)か ら次式で与 え られる.AB10(α)=mN・109(2π)+Σ1og lRJ k=1
+Σ{1oglPt/t11/toglP/t1} f=1
+Σ(9t-σtxt/t-1)T(Dt/t-1)-1(9-Gtxt/t-1) k=1 (15) Dt/t-1=qPt/t-tGtT+Rt (16) 式(15)の 総和 は, 1ス テ ップ毎 にm個 のデ ー タが得 られる場合, 時系列上 でNス テ ップ まで加算 して求め る. さらに複 数 の試験デ ー タ を利用 す る場 合 は全試験 デ ー タに亘 って総和 を求 め る. 式(15)の 第1項 は定数 項, 第2項 は観測誤 差分 散共分 散行 列の行 列式 に関す る総和, 第3項は相互情報量18), 28)の総和(正しくは第 3項 は相互情 報量 の2倍 にな る), 第4項 は観 測値 に対 す る予 測誤 差 の総 和で あ る. (3) 解析 モデル の選 定 本 手法 による解析 モデ ル選 定の基本 的考え は, カル マ ンフ ィル タの時 間更 新 アル ゴ リズ ムか ら得 られ る1 期 先 の予 測分布 を各種 の モデ ル誤 差 を含 む事 前分布 と 見 な し, この事前分 布 の分散 共分散 行 列Pt/t-1に含 ま れるモデル誤差 をシステ ム誤差 として捉 え, システム誤 差 を決定す る係数 αを調 節す るこ とでKullback-Leibler 情 報量 を最小化 し, 状 態ベ ク トルの真 の分布 に対 する 予 測分布 のあ ては ま りの悪 さを最小 にす るモ デ ルを最 適 モデ ル として選定 する点 にあ る. この ことが事前分布 を調整 しなが ら. 4BIOを 最小 にす るモデ ルを選定す る こ とに等 しい. 特 に, 本手 法の予測 には有 限要素法 を用 いてい るこ とか ら解析 モデ ルの条件 設定 が予測 分布 を 生成す る基本 的な事前 情報 となる. 後述す る推定 シ ミュ レ-シ ョンの ように, 観 測点(観 測井)の 数 よ り未知パ ラ メー タ(透水係 数)の 数 が多 い よ うな場合, 逆 問題 は 本 質的 に解 の唯一性 が な い. 本手法 は この よ うな非適 切 問題 に対処 す るため, 解析 モデ ルに付随 した全 ての 条件 を事前情報 として活用 し, 式(13)を 最小 にす る意 味 で解の唯 一性 のあ る問題 設定 に して いる3)4)14)29). しか し, 得 られ る解 は事 前情報 で ある解析 モデ ル と観 測デ ー タに依 存す るた め, 必ず しも真 の状 態 に一 致す る とは限 らない点 に注意 を要 す る. さて, 計 算手順 を 示す前 に具 体的 なモデ ルの考 え方 を述べ る. まず, こ こでのモ デル は, 真 の状 態が厳密 には設定 不可 能な状況 下 にお い て, 不可避 な誤差 が含 まれる理 想化 ・単純化 され た記述(各 種条件 設定)を い う. 本 手 法 は, は じめ に真 の状 態 に比較 的近 い と判 断 され る複 数の代 替モデル を準備 し, これ らのモデ ルの 中か ら, 事 前情報 を利 用 しなが ら観 測値 が得 られた状態 を単純 か つ正確 に説明 で きるモデ ル を相対 的 に選 定す る もので あ る. 例 えば, 地下水位 や揚水(注 水)量 な どを観測値 とす る場 合, 初期 条件, 境界 条件 な どの様 々な条件 は 各 観測値 を生成 す る背後 の メカニズ ムを構成 してお り, 透水係 数 のみ な らず, これ らの条件 も観測 値 に大 きな 影響 を与 えてい る こ とが考 え られる. この場合, 初期 条件や境界 条件 の設定 を変 えた複 数量のモデ ル を準備 し, この 中か ら最 適 なモデ ル を相対 的 に選定 す る. これ は 確 率 モデ ルを通 して見 た最適 な メカニズ ム をモ デル と して選定 す るこ とになる. また, 観測値 に含 まれ る観測誤 差の評価 が問題 にな る場合, 観測更新 アル ゴリズム におい てフ ィル タ リング に用 い られ る観 測誤 差の確 率特性 の設 定 を変 える こ と で複数 の観 測誤差 モデル を準備 し, この中か ら最適 なモ デ ル を選定 す るこ とも考 え られ る. 例 えば, 式(10)中 の観 測誤差 の分 散 共分 散行列 瓦 の設定が 問題 になる場 合, Rtの 設 定 を変 えた複数 のモデ ル を準備 し, 各 モデ ル に対 して式(11)中 のαを調 整す る こ とでPt/t-1を 調 整 し, 式(10)のKtに 対 す るRtの 設 定の 影響 をPt/t-1 に よ り修 正す る こと もで きる. これ は観 測誤差 の設 定 誤差 をモデ ル誤差 と して捉 え, そ の影響 に対 して シス テ ム誤 差 を調整 す るこ とで対処 す る もので ある. 以 上の よ うに誤 差が懸念 され る条件 をそれぞれ モデ ル と して捉 え るこ とが考 え られ るが, 多種 類 の誤 差 を 対 象 にす る と条件 設定 の組 み合 わせ が膨 大 にな り, 現 実的 で はない. 実務 的 には将来 の地 下水流 動 の予測 や メカニズ ムの解 明 とい った逆解 析 の 目的 に応 じて, 不 可 避 な誤 差 の中 か ら対象 とすべ き誤 差 を見極量め, 代 替 モデ ル と して準備 す る条件 を絞 り込 む こ とが重 要で あ る. この ため には当然 なが ら事 前 の調査や試 験 によ り, 確 か な情報 を取得 す るこ とが肝要 であ る. さて, 計 算手順 であるが, 以下 の全 推定で は事 前分 布Jt/t-1を 定め る係数 αとして予 め定め た離散 的 な値 を 設定 し, 一連 の観測 デー タを利 用 した推 定 にお いて係 数量αは一定値 とす る. こう して1つ のモデ ルに対 してあ る係数 αの下 での推定が終了 した後, そのモデ ルに対 し て係 数αの値 を変 えた推定 を同様 に繰 り返 す. さ らに, これ と同様 の手順 を複 数の代 替 モデル に対 して実施 す る. 以上 の結果, そ れぞれ のモデ ル に対 して様 々な係 数αの下 で, 透水 係 数の推 定 と同時 に. 4BIOの 算定 が 行 われ る. この全 ての計 算 の中か ら. 4BIOを 最小 にす るモデ ル を最適モデ ル, その時 の係 数αを最適 な係数 と して選 定す る. 3. 地 下 水 解 析 モ デ ル の 推 定 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の た め の 条 件 設 定 と検 討 項 目 本 手法の妥 当性 を確認す る 目的で, 仮想 地盤 モデ ル (地下水 解 析モ デ ル)を 基 に地下 水のFEM解 析(順 解 析)に よ り作 成 した模擬観測 デー タを用 い, 設定 した元 の地下水解析 モデ ルの推定(逆 解析)が 可 能か検証 を行 う. 以下で はその条件 設定 と検 討項 目を示す.
(1) 仮 想地盤 モデ ル と模 擬観測デ ータ 仮想 地盤モデ ルは平 面2次 元状 態 を仮定 してモデル を設定 した. これは先 に奥 野 と鈴 木17)が用 い た もの と 同様 で, こ こで はその概要 のみ説 明す る. まず, 透水係 数 は等方性 を仮定 し, その空 間分布 特 性 を表一1の ように設定す る. この空間分布特性 は, 透 水 係数 分布 は対数 正規分 布 に従 うもので, 対 数透水係 数(単 位cm/s)の 平均 値 が一2. 0, 分散 が1. 0の 母集 団 を設定 してい るxま た, 共分 散関数 と して は2次 元 の 指 数 型の関数 を仮定 した30). 共分散 関数 の変 数であ る dx, dyは それぞ れx, y方 向の距離, パ ラ メー タ αx, αy
はそれ ぞれx, y方 向 の相関距 離で ある. 図一1に は要素分 割 を示 してお り, 対 象 とす る平面 領域 は600m×600mの 正 方領 域 で, 不透水基盤 までの 深 さは一律50mと す る. 要素 の寸法 は100m×100m で, 8節 点 の アイソパ ラメ トリック要素 を用 いお り, 領 域 全体 の要素 数 は36, 節 点数 は133で あ る. このモデ ル に先 の透水係 数の空 間分 布特 性 を有 す る母集 団か ら 標 本 を1つ 発生 させ, 各要 素 に一定 の透水係 数量を割 り 当 てる. こ う して作成 した透水係 数 の空 間分 布モ デル を図一2に 示 す. また, 有 効 間隙率 は全要 素 と も6. 0% とす る. 次 に, 複 数の揚水 試験 を想定 し, これ らの揚水試 験 で地 下水位 の み観測 す る ことを想定 して模擬観 測デ ー タを作成す る. まず, 想 定 した揚水試験 としてA∼Eま での5回 の試験 を考 え る. そ れぞれ の揚水 井 と観測井 の配置 を表一2の ように設定 した. 各 試験 の井戸配置 は 図一1の 節 点番号 で示 してお り, 各試験 は揚 水井1点 と 観測 井9点 か らな り, 試験 ご とに井戸 の集 中す る領域 を変 えて5回 の試 験全 体 で仮 想 地盤全体 を網羅 す る配 置 として いる. 図-1の 仮想 地盤領域 で揚水試 験A, B, C, D, Eの 順 に, それぞ れ図の左上, 右 上, 中央, 左 下, 右 下の領 域 を中心 に揚水 井 と観 測井 を配置 してい る. そ の一例 として揚 水試 験Cの 井戸 配置 を図一3に 示 す. この よ うな井戸 配置 で, 各試 験 とも揚水井 か ら 1200l/min(2-0×10-2m3/s)の 一 定流量 を揚 水 する も の と し, 各観測井位 置の地下水位 の経時変化 を有限要素 法の順 解析 に よ り求め, これ を模擬 観測デ ー タとす る. なお, 初期 水位 は いず れ も基準 高 さ位 置(深 さ)0.Omで 表一1設 定 した透水 係数 の空 間分布 特性 透水 係数(単 位cm/s)の 常用対数 を とった値 に対 する 平均 値 と共分散 関数 図-1仮 想 地 盤モ デル の要素 分割 図一2設 定 した透 水係数 の空 間分 布モ デル(単 位cm/sの 透水 係数 の常 用対 数値) 表一2各 揚水 試験: の観 測点 配置 (図 一1の 節 点 番 号 参 照)
一律 とす る. また, 模擬観測 デ ータは各揚水 試 験 とも約1ケ 月間 のデ ータを観測す る もの とし, ここで は対数時 間軸上 で 1オ ーダー を50ス テ ップ に等 分割 し, 観測期 間の1ヶ 月を合計225ス テ ップ に分割 した. この 時間 ステ ップ の順解析 で地 下水位 を計算 し, 5ス テ ップ ごとに各観測 井 の地下水位 が観測 される もの と し, 時 間軸上 に各観 測井 とも46点 の観測デ ー タを設定 した. 以 下の各推定 シ ミュ レー シ ョンで は, この よ うに して作成 した模 擬 観測デ ー タを標 準 と して用 い る. したが って, 特 に観 測誤差 を付加 した もの を模 擬観 測デ-タ とは してい な いが, 後 述す る観測誤 差モ デ ルの検討 の み, 標準 とす る観測 デ ータに乱数 を用 いて所定 の観測 誤差 を付 加 さ せ た ものを模 擬観測 デー タ と して用 い る. (2) 検 討項 目 各推定 シ ミュレーシ ョンの検討項 目を示す前 に, ま ず 拡張 カルマ ンフ ィル タの フ ィル タ リング に必 要 とな るシステム誤差分散, 観測誤差分散, 推定誤差分散 共分 散行 列 の初期 値 に関 す る標 準値 を設 定 し表一3に 示 す. これ ら標準値 は, 後述 す る各検 討項 目の影響 のみ明確 にす る目的か ら, 他 の条 件 を同一 条件 に設定す る ため の もので ある. したが って, 特 に断 らない限 り標準値 を設 定 し, これ らの値 の設定 が検討対 象 に なる場合 は その旨別 途値 を設 定 して代 替モデ ル を作成 す る. また, 特 に記述 のない条件 は真 の条件 に設 定す る. なお, 標 準値 としてシス テム誤差 と観測 誤差 の分散 共分散 行列 は分散(対 角 成分)の み設定 し, 共分散(非 対角 成分)は 0と 仮 定 した. さて, ここで は検 討項 目と して, まず, a)シ ステ ム 誤 差 と観 測誤 差 の設定 を変 えた場 合のABIOの 変 化, を把 握 したの ち, b)対 数 透水係 数の確率 特 性の初期 設 定 モデ ル, c)複 数 の揚 水試験 結果 の利 用順序, d)透 水 係 数の領 域 区分 モデ ル, e)初 期条件 モデ ル, 境界 条件 モデ ル, 貯留 係数(有 効 間隙率)モ デ ル, f)観 測誤差 モ デ ル, につ いて検討 す る. これ らの モデ ルの条件設 定 の詳細 は後述 す る推 定結 果で共 に示 す こ とと し, 以 下 で は各検討 の 目的 を説明 する. シ ス テ ム誤 差 と観 測 誤 差 の 設 定 を変 えた 場 合 の ABIOの 変化 を把 握す るには, これ ら2種 類 の誤差 設 定 を種 々変化 させ る ことでABDOの 算 定結果 が どの よ うに変化す るか を調べ, その基本 的 な特性 を把握す る. また, 未知 パ ラ メー タであ る対数 透水係 数以外 の条件 設定 に もモデ ル誤差 が存 在 す る場 合 を対 象 に, シス テ ム誤差 と観測 誤差 の設定 の変化 が. 4BIOの 算定 に及 ぼ す影 響 について調 べ る. これ には後 述す る境 界水位 モ デ ルを用 いて, 境 界水位 が真 の状態 と異 な るこ とに よ るモデ ル誤差 を対象 に検 討す る. 状 態ベ ク トル に関す る確率特 性 の初期 設定 を行 う場 合, その初期推定値 盆0/1と 推 定誤差分散 共分 散行列 の 初期 値Po/一1が基本 的パ ラ メー タとなるが, 対 数透水係 数量の確 率特性 の初 期設 定 を行 うに当た り, 事 前 に定量 的 なデ ー タが十分 に存在 しない場合 が多 々あ る. この よ うな場合 を想定 し, 対 数透水係 数 の初期推 定値 モデ ル と推定誤差 分散共 分散行列 の初期値 モデル を用 いて, 妥 当なモデルが選定 され るこ とを確 認す る. なお, この 場 合の真値 は前 述 の仮想 地盤モデ ルの作 成 に用 いた透 水係 数 の母集 団の確 率特性 とす る. さ らに, 対数透 水 係 数 め初 期推 定値 モデ ルにお いて, 5回 の揚水 試験 の 模擬 観測デ ー タの利 用順序 が異 な るこ とに よる. 4BIO の算 定結果 と推定結 果へ の影 響の違 い を調べ る. 観測点 数 よ りも求 め ようとす る未 知パ ラメータ数が 多 い よ うな場合, 逆 問題 は非 適切 になる. 透水係 数 の 領域 数 を限定 し不 必要 な未知パ ラ メー タ数 を制限(pa-rameteriZati0n)す る ことは, この よ うな逆問題 にお け 図一3揚 水 試験Cの 観測 点 配置 凡例 ○ 揚水位 置 (1点=1200l/min) □ 地 下水位観測 位置 (9点) 不透水 境界 表一3標 準 と したシス テム誤 差分 散, 観測 誤差分 散, 推定誤 差 共分散 の初 期値
る非 適切性 を回避 す る有効 な手段 となってい る. 透水 係数 の領域 区分 モ デル の検 討で は, 5回 の揚 水試験 の 観測 デー タに基づ き情 報量 が逐 次増 加す るの に伴 って, 領域 数(未 知パ ラ メー タ数)や 領域 区分 形状 を変 えたモ デ ルの 中か ら. 4BIOを 最小 にす る最適 な領域 区分 モデ ルが どの ように推 移す るか を調べ る. 次 に, 境 界条件 モデ ル, 初期条件 モデ ル, 貯留係 数 (有効 間隙率)モ デ ルの各検討 モデル は, 透水係数 の推 定 を行 う際 に, 同時 にこれ らの項 目に関 す る条件 設定 (モデ ル設定)の 不確 定性が 懸念 される場合 を想 定 した もので あ る. 例 えば, 境界 条件 モデ ルで は, 透水係 数 の推 定 を行 う際 に同時 に境 界条件 の不確定性 が懸 念 さ れ る場合 を想 定 し, 境界条 件 として考 え られ るい くつ か の代 替モ デル か ら適 切 な境界 条件 モデ ルが選定 され, か つ, 透水 係 数の推 定結 果が妥 当であ る ことを確 認す る. 他のモ デル に関 して も同様 の 目的か ら検 討 を行 う. 観測 誤差 モデ ル は, 先 のa)に お いてシス テム誤差 と観 測誤差 の設 定 を変 えた場合 のABICの 変化 を調べ た もの を参考 と して, 観 測誤差 共分散行 列の設定 に不 確 定性 が懸念 され る場合, 観測誤 差の設 定 を変 えた数 種類 の モデ ル を準備 し, この 中か ら真 の観 測誤差 共分 散 に近いモデ ルが選定 され ることを確 認す る. なお, 簡 単 の ため観 測誤差 共分散 の うち分散 のみ対象 とし, こ の検 討 のみ所 定の観 測誤 差分散 を有す る標本 を1つ 発 生 させ, これ を先 の模擬観 測デ ー タに付 加 した もの を 模擬 観測 デ ー タ と して使 用 する. したが って, 最適 な 観測 誤差 分散 モデ ル と して付加 した観測誤 差分散 に一 致 す るモデ ルが 選定 され るこ とを確 認す る. 4. 推 定 結 果 と考 察 以上 の3. の条件 で実施 した推定結果 を検討項 目順 に 示 し考察 を行 う. (1) システ ム誤差 と観 測誤差 の設定 に よる. 4BIOの 変化 この推 定 には1回 の揚水試験結果 を用い るもの とし, 領 域 中央 で実施 した揚 水試験Cの 模擬観 測デ ータを用 いた. 透 水係 数 の確率 特性 の初期設 定 と して, 仮想 地 盤 モデ ル の作 成 に用 いた母 集団が既 知 と仮定 し, 領域 全 体 に対 して表一. 1の 初期推 定値-2乗(透 水係数: 1× 10-2cm/s)と 共分散関数 によ り設定 される推定誤差分散 共分 散行列 を用 いて推定 を開始 した. 拡張 カルマ ンフィ ル タに よる推定 を行 う際に観測誤差分散の設定 を変えた 5種 類のモデル を準備 し, それぞれ についてシステム誤 差 の大 きさを調 整す る係 数αを変えて推定 を行い, その 結 果 を比 較 した. この推定 による. 4BIOの 変化 を図-4に 示す. また, 各観 測誤差分散 モデ ルにおいて. 4BIO を最小 にす るαとABIOの 最小値 を表一4に 示す. 5種 類 の観 測誤差 分散 モデ ルは システ ム誤 差分散 の標準値 q-1に 対 して, それぞれ4. 0, 1. 0, 0. 1, 0. 01, 0. 001を 乗 じた大 きさを観 測誤差分散Rfに 設定 している. なお, 式 (11)お よび式(13)か ら理解 され るように, Qt-1=o(あ るいはα=0)と す るこ とは可能であ るが, 塙=oと す るこ とは意 味が ない. また, シス テム誤差分 散の標 準 値 の4. 0倍 が, 他 の検討 で用い る観測誤差分散 の標準 値 で ある. 図一4を 見 る と, αが比較 的大 きな範囲で は観測誤差 分散 の設定 による違 いはほ とん どな く, . 4BDOは 一一致 し た変化 を示 してい る。αが小 さな範 囲では, 観 測誤差分 散 を小 さ く設 定 したモデ ル(推 定1-eな ど)で. 4BIOに 明確 な最小値 が現 れ, これ に対 して観測誤 差分散 を大 きく設定 したモデ ル(推 定Laな ど)で はαの低 下 に伴 っ て 、4BIOが小 さ くな り, あるαの値 以 下で. 4BIOは 一 定値 かつ最 小値 を示す傾 向が認 め られ る. また, 図一 4お よび表一. 4か ら, 観測 誤差分散 を小 さ く設 定す るほ ど. 4BIOの 最小 値 は小 さ くな って いる. ここで利用 し た模 擬観測デ ー タには特 に観測誤 差 を付 加 してお らず, 図-4α と. 4βDOの 関係(シ ステ ム誤差 と観 測誤 差の 設定 に よる4BIOの 変化) 表一4シ ステ ム誤 差 と観測 誤差 の設定 による. 4BLOの 最小 値 の 変化 注)σQ2は 表3に 示 したシステ ム誰 分散 の標準 を示す. 試 験位置 は表2参 黒
観測 誤差分 散 の真 値 は0. 0(模擬観 測デ ー タ作 成 時の解 析誤差 は無視す る)で ある. したが って, 5種 類 の観測 誤差分 散 の うち真 の観測誤 差分散 に近 い ほどABIOが 小 さ くな ってい る こ とは, 4BIOが 最小 値 を持 つモデ ル を最適 なモデ ル と して選 定す るこ とが妥 当 な基 準 で あ る ことを示 してい る. 観測誤差分散 の設定 を変 えて得 られ た対 数透水係数 の推定値 の うち, 推定1-aと 推定1-eの 結 果 を図-5, 6 に示す. これ らを比較す る と, 4B10が 最小 になった推 定}e(α=0. 2)の 結 果が必 ず しも真 の透水係 数 の分布 (図一2)に 一致 してお らず, 観測誤 差分散 を大 き くした 推定1-a(α=0. 01)の 結果 の方が全体 的 な傾 向 を捉 えて い る. この理 由は, 先 の2. (3)で 述べ た ように, 事前 情報 を用 い るこ とで解 の 唯一性 は保 証 され る ものの真 の状 態 に一致 す る とは限 らず, 事 前情 報 であ るモデ ル と観 測デ ー タに依存 して最 適 な解が得 られ るためで あ る. 例 えば, 表一3地 下水位 と流量 の推定誤差分散 の初 期値 は仮 定 した値 で あ るこ とか ら一種 のモデ ルであ り, モ デル誤差 が生 じる こ とが考 え られ る. また, ここで は利 用 した単一 の試験 結果 の み を再現 す るの に最適 な 解 が得 られ るこ とにな る. この こ とか ら判 断 して, 特 定 の試験結 果 に対 しての み最適 化 された モデ ル は, 未 知 パ ラメー タ全体 に対 して よい推定結 果 を与 える とは 限 らない と言 え る. 以上 はシステム誤差分 散 と観 測誤差分散 の設定 を変 えるこ とで 蓋BIOが どの よ うに変化す るかを調べ たが, この結果 は シス テ ム誤 差分 散 を調整す るこ とで観測誤 差分 散 モデ ル を選定 す る こと も可能 であ る ことを示 唆 している. 特 に真 の観 測誤差分散 が0. 0の 場 合 を調 べた が, 模擬観測デ ー タに0. 0以 外 の有意 な観測誤 差分 散が 存在 す る場 合のモ デル選 定 は, 後述す る(6)で 示す. 次 に, 解析 モデ ルの条件 として観測誤差分散 以外の 条件 設定 も同時 に真 の状 態 と異 なる場 合 に. 4BLOの 変 化 が どの ような状況 にな るか を調べ た. そのため, ここ 図 一5透 水 係 数 の 推 定 結 果(推 定1-a, α=0・01) 凡例 0. o -0. 5 -1. 0 -1. 5 -2. 0 -2. 5 -3. 0 一3. 5 一4-0 図 一6透 水 係 数 の 推 定 結 果(推 定1-e, α=0. 2) 凡例 0. 0 -0. 5 -1. 0 一t5 -2. 0 -2. 5 一3. 0 -3. 5 -4. 0 図一7α とAβ10の 関 係(境 界 水 位 モ デ ルVI-a) 図 一8α と. 4BIOの 関 係(境 界 水 位 モ デ ルVI-c)
で用 い た観測 誤差 分散 モデ ルに後述す る境界 水位 の違 い も加 えた モデ ル を用 いて推 定 を行 った. 境界 水位 モ デ ルは後 述す る表一9の 推定VI-aと 推定VI-cの2種 類 を用 い, 推 定VI-bは 真 の境界水位 を設定 したケースで あ るこ とか らその結果 は図一4に 示 した もの である. 真 の境界 水位 が0. 0mで 時間 的に不変 である のに対 して, 推 定VI-aで は30日 後 に-1. Omに 低下 し, 推定VI-cで
は30日 後 に+1. 0mに 上昇す る境界水位モデ ル としてい る. これ らの推 定結 果 を図一7, 8に 示す. 図一7は 境 界 水位 モデルVI-aに 対 して先の5種 類 の観 測誤差分散 モデ ル を用 い た場合, 図一8は 境 界水位 モデ ルVI-cに 対 して同様 に5種 類 の観測 誤差分 散モデ ル を用 いた場 合 のαとABIOの 関係 を示 してい る. 境 界水 位 モデル VI, aで は5種 類 の観測誤差 分散モデ ルによるABIOの 変化 に大 きな違 いが な く, αの変化 に対 して. 4BIOの 変 化が ほぼ一致 してい る. このため, 各観測誤差分散モデ ル ご とに. 4BDOは 最小 値 を持 つが, その差 に有 意な違 い が現 れ に くくな ってい る. この こ とは観 測誤差分散 モ デルの違 い よ りも境 界水位 モデ ルの設定が. 4BIOの 算 定 に支 配 的影響 を与 える こ とを示 してお り, 真 の状 況 と異 な る境 界水位 モ デ ル を用い た場 合, 観 測誤差分 散 モデ ルの選 定 は困難 になる. 一方, 境 界水 位モ デル VI-cで はαが 小 さい領 域 で5種 類 の観 測誤差分 散 の違 いが現 れ, 特 に観測 誤差分 散が小 さなモデ ル(推 定I-e な ど)で は. 4BIOの 値が不安定 に変動 し, 観測誤差分散 が 大 きいモ デ ル(推 定Laな ど)で は安定 してい る. ま た, αの値 の比較 的大 きな範囲で は, 観測誤差分散 モデ ルの違 い は少 な くABDCは ほ とん ど一致 した変化 を示 してい る. この状況 は真 の境界水位 を用い た図一4と 境 界 水位 モデ ルVI-aを 用 いた図一7の 中間的 な状況 を示 して い る. この よ うな状 況 を理 解す る には, 利 用す る 観 測デ ー タに よ り. 4B10が 時系列 的 に変化す るこ とも 考 え合 わ鷺 る必 要 があ る. こ こで示 した例 は先 の揚水 試験Cの 全観 測デ ー タを用 い て推定 が終了 した時点 の 状 況 であ り, この時点 で は観測誤 差分散 を小 さ く設定 した場 合 にαの小 さな範 囲でABICが 増大 す る傾 向 を 示 しは じめ てお り, これ に よ り不 安定 な変 動 が生 じて い る. この状 況が進 む と先 の図一4の ように, αの小 さ な 範囲 で は大 きな. 4BIOの 値 を示 し, 特定 のαの位置 で 明確 な. 4BICの 最 小値 を示す もの と考 え られ る. 以上 の真 の境 界水 位, 境界水 位 モデ ルVLa, 境界 水 位 モデ ルVI-cの3種 類 の検討か ら, モデ ル選定で対 象 とす る条件 以外 に真 の状 態 と異 な る条件 設定 が され て いる場合 は, その 影響(感 度)の 大 きさに よって対 象 とす るモ デ ル選定 が 困難 に なる場 合があ る ことが わか る. 先 の例 で は境 界水位 モデ ルが真 の状態 と異 な る場 合(推 定VI-aな ど)に観測誤 差分散のモデル選定 を行 う 場 合 が この よ うな場合 に相 当す る. この理 由 と して基 本 的に 、4BIC'はAIOと 同一の理論 に基 づいてお り, そ の誘 導 には漸近理論 が用 い られて いるため と考 えられ る20)23)25)26). 逆に, 対象とする条件以外に真の状態 と異 な る条件設 定が されていて も, その影響(感 度)が 小 さければ対象 とするモデ ル選定が可能 な場合 もある. 観測 誤差分 散 が真 の状 態 と異 なる場 合(推 定Laな ど) に境界水位 のモデ ル選定 を行 う場合が これに相 当 し, 同 一の観 測誤差分散 の設定 の下 で. 4BIOの 最小 値 を比較 す るこ とで境界水位 モデ ルの選定が可 能であ る. なお, 境界水位 の モデル選定 の詳 細 は後述 す る(5)で 示す. また, . 4BLOが 最小値 を示 す際のαの値 に注 目す る と, 例 え ば境 界水位 モデ ルVIーa(図一7)で は観 測誤差 分散モデ ル に依存せず 全 てα=10の 場合 に, また真 の 境界水 位(図 一4)で は観測誤 差分散 を小 さ く設定 した ケ ースでα=0. 2の 場合 に, それぞれ. 4BIOの 最小値 を示 してい る. さらに, 両 者の. 4BIOの 最小値 を比較 す る と, 真 の境 界水位 を設 定 した場合 の方が小 さな値 に なってい る. この こ とは真 の境界水 位 に一致 す る条 件 を設定 し, かつ, シス テム誤差分 散 を小 さ く設定 し た場合 に, よい推定結 果が得 られる ことを示 してい る. 式(13)と 式(14)を 通 してこの意味 を考察す る と, シス テム誤差分 散 を小 さ くす る ことは事前分布 を規 定す る Pt/t-1の 各成 分 を小 さ くす る効果 があ り, 拡 張 ベ イズ 法 において事前情報の重 み係 数θを大 き くす ることと同 様 の効果 が あ る. したが って, 利用 した観 測デ ー-タに 対 して採用 した境界水位 モデ ルが事前 情報 と して尤 も らしい ことを示 して い る. 以下 の様 々な解 析 モデル の 選 定 におい て も, この意味 におい て同様 の選定 が行 わ れる. (2) 対 数透水 係数の確 率特性 の初 期設 定モデ ル まず, 対 数 透水係 数の確率特性 の うち初期 推定値 を 変 えた5種 類 のモデ ル を作成 し, 妥 当 なモデ ルが選定 され るこ とを確認 す る. ここで は5回 の揚水 試験結 果 を順次利用 す る18)もの と し, 揚水試験C, A, B, D, Eの 順 序 で模 擬観 測デ ー タを用 い た. 5種 類 の モデ ル と, そ の推定 結果 か らA、BDOを 最小 にす るαお よびABICの 最小値 を表-5に 示す. また, 各 モデル を用 いた推定 に よ りαとABIOの 関係 を求 め図-9に 示 す. この結果 か ら, 5種 類 のモデ ルの うち. 4BIOが 最小 になるモデ ル は, 対数透水係数 において初期 推定値 を-1に 設定 した 推定II-dで あ り, このモデ ルが最適 モデ ル と して選 ば れ る. したが って, 表 一1に 示 した ように領域 全体の対 数透 水係 数の母集 団の平均値 一2を 真値 とす ると, 適 切 なモデ ルが選択 された とは言いがたい. なお, 標本 で あ る仮想 地盤モデ ルの対数 透水 係数 の平均値 は 一1. 96 で ほぼ母集 団 に等 しい. この ように適切 なモデ ルが選 定 され なか った原 因 と して, 標準 値 として用 い てい る
観測誤差 分散 の設定 が真 の状 態で あ る0. 0と は異 な る こ とによる影響が考 え られ る. このため観測誤差分 散モデ ルのみ変 えて同様 に5回 の揚水試験結果 を順 次用 いた推定結果 を図-10に 示 す. これ は先の(1)の 検討 において最 もよい結 果 を与 えた観 測誤差分散モデ ルLeを 用 いた場合 で, 観測誤 差分散 を システム誤差分 散 の標準 値の0. 001倍 と してい る. こ の結 果, 対 数透 水係数 の初期 推定値 と して 一2を 設定 した推定II-cの. 4BICが 最 も小 さなABIOを 示 し, 適 切 なモデ ル選定が 可能 にな った. クリッギ ング な どの地盤統計学 に よ り物性値 の推定 値 と推定誤 差の空 間分 布(条 件付 き確率場)が 得 られて いる場合があ る30)β1). この よ うな推 定結果 を事前情報 と して, 対 数透 水係 数の確 率特性 の初期 設定 モデ ル を 作成 す るこ とも考 え られ る. しか し, 逆解析 とは異 な り, 物理 則 を直接 介 さない手 法で得 られた推定 結果 を 事前 情報 とす る場合, どの程 度有効 な事 前分布 で あ る か その判 断が難 しい. この よ うな場合, . 4BIOを 用 い た モデ ル選 定で は事前情 報 の重 み を適切 に設定 す る こ とが 可能 であ る ことか ら, その有効 性 も判定 しつ つ推 定 を行 うこ量とが可能 と考 え られ る. 以上, 対数透水係 数の確率特 性 の初期 設定モデ ルの うち, 初期推 定値 モデ ル に関す る選定結 果 と考 察 を示 したが, 推 定誤差 分散 共分散 行列 の初期 設定 モデ ル に 関す る選定結 果 と考察 は, 次 項(3)の 複 数の揚水試験 結 果の利 用順序 にお いて示す. (3) 複 数の揚 水試験結 果の利用 順序 次 に, 利用す る揚 水試験 の順序 による影 響 を調べ る た め, 上記(2)の 内容 に関 して揚 水試験 の利 用順 を逆 表一5対 数透水 係数 の初期 推定値 モ デル と各推定 の. 4BIOの 最小値 注)試 験 位 置は表一2参照。 図一9α と-ABIOの 関係(対 数透 水係数 の初 期推 定値 モデ ル; 試験 利用 順C, A, B, D, E) 図-10α と. んBIOの 関係(対 数 透水係 数の初期推 定値モデ ル; 試 験利 用順C, A, B, D, E; 観測 誤差 分散 モデ ル1-e) 図一11α と. 4BLOの 関係(対 数 透水係数 の初期推定 値モデ ル; 試 験利 用順E, D, B, A, C; 観 測誤 差分 散モ デ ル1-e)
順 に してE, D, B, A, Cの 順序 で推定 を行 った. この場合 も, 観測 誤差分散 モデ ルはLeを 用 いた. そ の結果 を図 一11に 示 す. この結果 か らABICが 最小値 を持つ モデ ル は初期推 定値 モ デ ルII-Cと な り, 選定 されるモデ ル は真 の状 態 に一致す る. しか し, 全般 的にαの変化 に対 して. 4BIOは 不安 定 な変動 を示 してい る. また, 得 ら れた. 4BIOの 最小値 も揚水試験C, A, B, D, Eの 順序 で求 め た結果(図 一10)と 比較 して大 きな値 であ る. このこ とか ら判 断 して, 複 数 の試験 結果 などが独立 に行 われ て いる場 合, 推 定 に利 用す る観測 デ ータの順序 に よっ て 推定結 果が異 な り, 揚 水試験C, A, B, D, Eの 順序で推 定 を行 った方が よい結果 が得 られ る と考 え られ る. 奥 野 ら18)は複量数の試験結 果 を利用 した推定 によ り, (1)独 立 な試験=結果 を順 次 用 いて推定 を行 う場 合, 全 ての観 測 デ ー タを利 用 して推 定 を終 了 した段階 で相互情 報量 は同一 に な り, 観測 デ ー タを用 い る順 序 に依存 しない こ とを確認 し, (2)試 験結果 を利 用す る順序 を変えて推 定 を行 い, 同一 の推定結 果が得 られる よ うシ ステム誤 差 を設定 す るこ とを提 案 した. しか し, ABICを 用 い たモデ ル選定 の結 果 では, 利用 す る試験 の順 序 に よ り 推 定結果 が異 なる ことを示唆 して いる. この点 につい て詳細 な検討 を行 うため, 式(15)の 右辺 各項 の時系 列 的 な変化 を調べ た. 式(15)の 右辺 の観測誤差分 散に関す る総和(第2項), 相互情報量 に関す る総和(第3項), 観測値 に対 す る予測 誤差の総和(第4項)を, それぞれ個別 に示 したのが図. 一 12∼15で ある. これ らは全 て初期 推定値 モデ ルII-cの場 合 で, 図一12は 揚水試 験の利用順 がC, A, B, D, Eで α= 0. 4の 場合 を, 図一13は 揚水試験 の利用順 がE, D, B, A, C でα=1. 0の 場 合 を示 して お り, 共 に. 4BDOが 最小 に 図一12AB10の 各 成分の時 系列変化(初 期 推定値 モデ ルII-c; 試験 利用 順C, A, B, D, E; α=0. 4) 図一13ABLOの 各 成分 の時系列変化(初 期推定値 モデルII-c; 試験 利用 順E, D, B, A, C; α=1. 0) 図 一14. ABLOの 各 成 分 の 時 系 列 変 化(初 期 推 定 値 モデ ルII-c; 試 験 利 用 順C, A, B, D, E; α=1. 0) 図一15. 4BIOの 各成分の時系 列変化(初 期推定値 モデ ルII-c; 試験利 用順E, D, B, A, C; α=0. 4)
なった場合であ る. また, 同 じ初期 推定 モデ ルII-Cに 関 してABDCが 最小 にな らなかった場合 として, 図ー14 は揚 水試験の利用順 がC, A, B, D, Eで α=1. 0の 場合 を, 図一15は 揚水試験 の利用順 がE, D, B, A, Cで α=0. 4の 場合 を示 してい る. まず, これ ら4つ の図 は瓦 が 同一 である ことか ら, 観 測誤 差共分散行 列式 の和 は同一(総 和: -29833)で あ る. 揚 水試験 の利 用順 が同 一の図-12 と図一14で はαの値 の違 い に よ り相 互情 報量 の総和 と 観 測値 に対す る予測誤差の総和 に違 いが生 じてい る. 同 様 に図一13と 図-15も αの値 に よ り相互情 報量 の総和 と観 測値 に対す る予 測誤差 の総和 に違 いが生 じて いる. 揚 水試験 の利 用順の違 いのみ を比較 す るには, 図-12 と図-15, ならびに図一13と 図一14を 比較 すれば よい. 図一12と 図一15を 比較す る と, αが 同一 であ る ことか ら5回 の揚 水試験 を利用 し終 わ った段 階 で相互情 報量 の総 和はほぼ同一(総 和: 9117と9245)に な り, 観測値 に対 す る予 測誤差 の総和 のみ が異 な ってい る. 特 に図 一15の 観 測値 に対 す る予 測誤差 の総 和は, 途 中, 揚水 試験B, A, Cを 利用 す る段 階で著 しく増大 してお り, こ れが. 4BIOを 増 大 させ た原因 にな ってい る. 同様 に図 一13と 図一14を 比較 す る と, αが 同一で あ るこ とか ら 5回 の揚水 試験 を利 用 し終 わ った段 階で相 互情 報量 の 総和 はほぼ同一(総 和: 12769と12655)に な り, 観測値 に対す る予測 誤差の総和 のみ異 なる. しか し, 図一14 の観測値 に対 す る予測誤 差 の総 和 は図一13よ りも低下 している ことか ら, α=1. 0の 同一条 件 にお いて揚水 試 験 の利 用順序C, A, B, D, Eの 方がE, D, B, A, Cよ りも 4BIOの 総和が 最終 的に小 さ くなる. なお, 図一12と 図-15, お よび圏-13と 図-14の 相互情 報量の総和 が それぞ れ厳 密 には一致 しない理 由は, 本手 法 では拡張 カルマ ンフ ィル タ を用 い るこ とか ら非線形 方程 式 を線 形 近似 してい るため と考 え られ る. す な わち, 式(11) の状態遷移行列(Jacobian行 列)呂 の成分が推定値 にお け る微分係 数で与 え られ るこ とか ら, 厳密 には推定結 果が推定過程(試 験 結果の利用 順)に 依存す るため であ る17)18)27). 本手法 では, ある揚水試験結 果 に よる推 定結果 を事 前 分布(初 期 設定)と して受 け継 ぎ, 次の揚水 試験結 果 を用 いて この推定 結果 を更新 し, これ を繰 り返 す こ と で最終 的に全揚水 試験 結果 を網羅 した推定 を行 う. 図 -12∼15の 状 況は, ある試験 結果 を利用 して次の推定 を行 う場 合の初期 設定 と して, それ まで に利用 した試 験 結果 か らよ りよい推定 値 が得 られて い るほ ど, 観測 値 に対す る予測誤 差が小 さ くなる ことを反映 した結果 となってい る. これは逐次推 定値 を更新 してい く過程 で 出来 るだけ早 い段 階 に よい推 定値 を得 る こ とが, 最 終 的 に もよい推定結 果 を与 える こ とを示唆 してい る. 前 述 の奥野 ら18)が示 した 内容 の(2)の 根拠 と して, ベ イ ズ推定 では利用 す る試験結 果 の順 番 を変 えて も最 終 的 な生起確 率(事 後確 率)は 一致 す るこ とを挙げ てい るが, カルマ ンフ ィル タではベ イズ推定 法 に基づ く観測 更新 アル ゴ リズ ムのみ でな く時間更新 アル ゴ リズ ムに よる シス テム誤 差 が加 わ るため最終 的 な事 後確 率 は一致 し ない32). 領域 全体 で比較 的早 い段 階 によ りよい推 定値 が得 られてい る と, 位 置 を変 えた複数 の試験 結果 を順 次 用 いる推 定過 程 におい てそ れ以降 の観測値 に対 す る 予 測誤差 が平均 的 に小 さ くな り, システ ム誤 差 の最適 値 も推定 過程全 体 を通 して平均 的 に小 さ くな る. この ため全試験 結 果 を利 用 した後の. 4BIOの 最小 値 もよ り 小 さ くな る と考 え られ る. 以 上 よ り, ABIOを 用 い る 立 場か らは複数 の試験 結果 を利用 す る順 序 に も最適 な 順序 が ある もの と考え られる. 次 に, 前項(2)の 内容 で もある対数透水 係数 の推定 誤 差分散 共分散 行列 の初期 設定 モデ ルの選定 結果 を示 表-6対 数 透水係 数 の推定誤 差分 散共 分散行列(相 関 距離)の 初期 設定 モデ ル と各推 定 のABLOの 最小 値 注)試 験位 置は表一2参照.
す. 仮想地 盤モデ ルの作 成 には表一1の 共分散 関数が用 い られ てい る ことか ら, 特 に共分散 関数 の相 関距離 を 変 えた複数 のモデル を作成 した. その設定 を表一6に 示 す. 表一6の3種 類の モデ ル に対 して観測誤差分散 と し て標準値 を設定 し, 5回 の揚水試験 を順次用いて推定 を 行 い, その過程 で得 られたABIOの 値 を図一16に 示す. 5回 の揚水 試験 をA, B, C, E, Dの 順 序 で用 い た ところ, 表一一1と図ー16に 示す よ うに, 全ての推定段 階において 真 の相 関距 離(200m)を 設定 した推定III-bの. 4BDOが 最小値 を示 し, 最適 なモデ ル と して選定 されて いる. また, 5回 の揚 水 試験 結果 を順次 用い る と, αが減 少す るのに伴いあ る特定 のαにおい て明確 な最小値 を示 す ようにな る. 仮想 地盤 モデルの対数 透水係 数の分散 共分 散構造 は母 集団 か ら作 成 した. 1つ の標本 で あるた め, 標 本 の分散 共分散構造 は場所 によ り異 な り当然 母 集 団 と も異 なる ことに なる. 実際の地 盤 も1つ の標本 で あ り, この よ うな標本 に対 して母集 団の分散 共分散 構 造 を推定 誤差分 散 共分散行 列の初期 設定モ デル とし て推 定 を行 う と, これ も一種 のモデ ル誤差 とな る. 先 の2. (3)で 述べ た よ うに, 事前情報 を用い るこ とで解 の唯 一性 は保証 され る もの の真 の状 態に一致 す る とは 限 らず, この ような状況 下で システ ム誤 差 を過小 に設 定 す る と, 局 所 的 な観 測デ ー タが再現 で きる ように過 度 に透水係 数 を修正す る ことになる. このためαを小 さ く設定 す る と, 複 数の揚 水試験 結果 を順 次用 い る過程 にお いて, 試 験 が実施 され てい る位置 に依 存 して推定 値 や推 定誤差分 散 の空 間分布 に一時 的かつ局所 的 な偏 りが生 じる ことが考 え られ る. したが って, 一 時的 か つ局所 的 な偏 りが 生 じた結果 を次の推定 の初期値 と し て受け継 ぐ段階 で, 事前分布 に大 きな重 み を与 える(α を小 さ く設定す る)こ とは必 ず しも良い推定 につ なが ら ず, そ の重み には最適値 が存 在す る ことにな る. (4) 透水 係数 の領域 区分 モデル ここで検討対象 とす る領域 区分 モデ ルは図一17に 示 す5種 類であ る. 各モデ ルの領域 間の対 数透 水係 数の相 関特性 は, 表一1の 共分散 関数 を用 いて局所平均 を行 っ て設定 した. これ らの領域 区分 モデ ルに対 す る. 4BIO 算定結 果 を表一7, 8, 図一18, 19に 示す. まず, 1回 の試験 デ ー タを利用 する場 合, その試験 位置 に よ り最 適 な領域 区分 モデ ルが どの よ うに選定 さ れ るか調べ た. 表-7よ り試 験Aの デ ー タを用い た場 合, 4BIOが 小 さい順番 はモデ ルe, d, b, aの 順 とな る. これ らの領域数 はそ れぞれ36, 28, 15, 9で ある こ 図-16α とABDOの 関係(対 数透水係数 の推定誤 差分散共 分 散行 列 の初期 設定 モデ ル) 図一17領 域 区分 モデ ル モ デ ルa (領域 数9) モ デ ルb (領 域 数15) モ デ ルc (領域 数15) モ デ ルd (領 域 数28) モ デ ルe (領 域 数36) 表一7各 領 域区分 モデ ル と各 推定 の. 4BLOの 最小 値 注)試 験位置 は表一2参照.
とか ら, よ り詳細 な領域 区分モデ ルが選 定 され ている. 一方, 試験Eの デ ー タを用 いた場合, ABIOが 小 さい 順番 はモデルa, c, d, eの 順で, その領域 数は9, 15, 28, 36で あ るこ とか ら粗 い領 域区分 モデ ルが 選定 されてい る. この よ うな結果 にな る理 由は, 試験Aで は不透水 境 界 に挟 まれ た コー ナー領域 で揚 水 を行 ってい るこ と か ら比較 的広範 囲の地 下水位 が低 下 し, 地下水 位観測 デ ー タが領 域全体 の透水 係数 の情 報 を時 系列 的 に供給 す るため と考 え られ る. す なわち試験Aは 領 域全体 の 透水係 数 を知 る うえで比較 的感度 が よ く, 試験Eは こ の逆 で ある. また, 必 ず しも試験 領域周 辺 を詳細 に領 域 区分 したモデ ルbやcが 選定 され てい ない こと も興 味深 い. 次 に, 複数 の試験デ ー タの利 用 に よる最適領域 区分 の推移 を示 す. 試験E, D, C, B, Aの 順 に揚水試 験デー タを順 次 追加利 用す る こ とで, . 4BIOか ら選定 され る 最適領域区分モデ ルが どの ように推移す るか調べ た. た だ し, 簡単 の ため領域 区分 モ デル はモデ ルcとeの2 種類 とした. 表一8お よび図一18, 19に は, 揚水試験 デ ー タが追 加 され るの に伴 って領域 区分 モデ ルcとe のABIOの 最小値 の推移 を示 している. その結 果, 揚水 試験 デ ー タE, D, Cま ではモデ ルeよ りもcの. 4BIO の最小 値 の方が小 さ く, 粗 い モデ ルが選定 され る. さ らに多 くの揚水試 験デ ー タE, D, C, Bを 利用 した推定 や5回 全 ての揚水 試験 デ ー-タE, D, C, B, Aを 利用 し た推 定で は, 詳細 なモデ ルeが 選 定 されてい る. これ は情報 量が 増加 す るこ とに よ り, 詳細 なモデ ルが選定 され る ことを示 して いる. (5) 初 期条 件 モデ ル, 境界 条 件 モデ ル, 貯 留係 数 モ デ ル 初期 水位, 境界水位, 貯留係 数(有 効 間隙率)の 設定 を変 えたモデ ル をそれ ぞれ3種 類ず つ準備 し, 1回 の 揚 水試験Cの み用 いてモデ ル選定 を行 った. なお, 初 期 水位, 境界 水位, 貯留係 数の真 値 は前述 の よ うにそ れぞれ0. 0m, 0. 0m, 6. 0%で あ る. 各 モデ ル とそれ らの モデ ル を用 いた推 定 か ら得 られた. 4BDOの 最小 値 を表 -9に, αと. 4BIOの 関係 を図一20, 21, 22に 示 す. それぞれ真値 に一致す るモデ ルにおいて. 4BDOの 最 小 値 が得 られて いる こ とか ら, モデ ル選定結 果 は妥 当 と言 え る. 境 界水位 の設定 の違 い に よる透水 係 数量の推 定 値の違 い を図一23に 示す. これは推定VI-a(α=10) 表一8領 域 区分 モデ ルc, eと 各推 定 の. 4BLOの 最小値 注)試 験位置 は表-2参照. 図 一18α と4BIOの 関 係(領 域 区分 モ デ ルc) 図 一19α とABLOの 関 係(領 域 区 分 モ デ ルe)
の 場合 であ り, 最適 モデ ル として選 定 され る推 定VI-b(α=0. 01)は 先 の 図一5(推 定1-a, α=0. 01)と 同一で あ る. 図-23と 図一一5を比 較す ると, 推定VI-bの 方が 真 値(図 一2)に 近 い推 定値 が得 られ, 境界 条件 が適切 にモデ ル化 されてい ない推定VLaで は, 透水係 数の推 定結果 は大 き く異 な って いる. (6)観 測 誤差 モデ ル 最後 に, 観測値 に含 まれ る観 測誤差が どの程度 か を 推 定 す る目的ゆ ら, 観 測誤差 を付加 した模 擬地 下水位 デ ー タを用 い てモデ ル選定 を行 った. ここで は揚 水試 験 の模 擬観測 地下水位 に, N(0. 0, 4. 0)の 観測誤差(単 位 cm)を 付加 し, これを真値 として表一10に 示す5種 類 の観測誤差のモデ ルを準備 した. 各 観測誤差 モデル ごと の係数 αと4BIOの 関係 を図一24に 示 す. これ よ り真 の観測 誤差 に一致 す るN(0. 0, 4. 0)の モデ ルがα=0. 8 におい て他 の モデ ル よ りも. 4BIOが 最小 にな り, 最適 な観測誤 差モデ ル と して選定 され る. これ は妥 当な結 果 と言 える. 5. 結 論 原位 置の地盤状況 を知 る には経済 的理 由な どか ら事 前 に限 られ た情 報 しか存在 せず, 推 定 しようとす る特 定のパ ラメー タ以外 に も解析 に用 い るモ デ ルに付 随 し て材料特性 の領域 区分 や境界 条件 な ど各種 の条件 設定 に不確定 性が存在 す る. 本論 文 では, 地盤 工学 に逆 解 析 を適用 す る場 合 に重 要 な問題 と考 え られ る解析 モデ ルの構築 における各種条件 設定の不確 定性 を考慮 して, 限 られ た情報 の下での推 定手 法 を提 案 した. 以 下に提 案 手法の特徴 と本論文 で得 られた知見 をま とめる. (a)本 論文 では, 拡張 カルマ ンフ ィルタと有 限要素法 を 組 み合 わせた透水係 数 の空 間分 布推 定手法 を基礎 と して, 解 析モデ ル の構築 におけ る各種条件 設定 表一9初 期水 位 モデ ル, 境界水 位 モデ ル, 貯留 係数 モデ ル と 各推 定 の4βLOの 最小 値 図-20α とABIOの 関 係(初 期 水 位 モ デ ル) 図-21α とABLGの 関係(境 界 水 位 モ デ ル) 図-22α と4BLOの 関 係(貯 留 係 数 モ デ ル)