〔ⅩⅩⅤⅠⅠ〕
研
究
RESEARCH
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絶縁材料の基礎葦空論
絶縁材料の物質構造,酸化劣化の機構,吸湿,吸着の
解明に多年努力を傾注している。有機材料としてはポリ
エチレン(Polyethylene)を対象とし,起首披による内
部振動を利用して,粘弾性の測定をなし,また酸化防止
剤の究明には,重量変化,熱分解,ガス分析による高分
子有機物の基本的研究もすすめている。一方,耗・ナイ
ロンなどの吸湿性について一応の結論をえた。近時は非
吸湿性物質として,ガラスなどの無機材,珪 樹脂,テ
フロ∵/,ポリエチレンなどの表面吸着水の吸着後の
動
につき斬新な研究がすすめられている。弟1図Aは無機
物表面に吸着が時間とともに増加することを示し,Bは
無定形吸着水の結晶化とすると,無定形吸着水量Cは
C=(A-B)
で,これは導電率に比例する。したがって導電率にピー
クが存在することが実証された。この事実は今後の応用
面が大いに期待されている。
好ましい色の研究
工場で加工するのは製品の色に関する物理量,すなわ
ち分光反射率とか,光沢とかいう畳である。これに対し,
日常生活でみるのは色感という心理的最である。物理量
の測定はさきに日立製作所で完成した自記分光光度計な
どによりようやく工
の工程のなかに織りこまれるよう
になったが,この計測された物現品をどう攻扱えば見た
目にうつくしく,「好ましい製品」と思う心理星を導きだ
しうるかが問題である。
この二つの量の関連性を追求して研究はつづけられて
いるが,最近の重要な研究成果はつぎのようである。
(1) 料などの
面色の工業管理にきわめて適合し
た分光反射率差の新単位rHUC(Hitachiunit
color)
の発見ム
(2)蛍光灯の色のよさを従来のごとく演色量の多少
だけで判定することのあやまりを指
示唆したこと。
し,研究の方向を
(3)テレビジョンの: 好まL-さ」に寄与する
を検討したことである。
「プラズマ振動」の実験的証明(電子速度分析)
条件
金属薄膜に高速電子が入射すると,金属の自由電子が
刺戟されてプラズマ振動をおこすことは Pineo
などに
より理論的に予言されていたが,この先駆的証明を電子
分析装置にて行なった。昭利31年4月(1956年)メ
リーランド大学における 子物揮=こ関する国
ほ,この結果を中心に討論が行なわれた。実験装置は電
子顕微鏡を若干改造したもので,原理ほ収束された電子
ガ
へ壊)
咄焉泄聾造出灘
第1図 無定形吸着水量の時間特性
(一定圧下における)
玉屋廊」佃題
第2図
アルミニウム薄膜を通過した電子の
エネルギー損失値と散乱角の関係
ビームの
料を透過させエネルギーを失なった
電圧をかけた電場(
子を高
子プリズム)を通すと,電子は電
場の作用で軌道をかえ,電子速度に応じて分析されスク
リーンに到達する。写真(弟2図)はこの原理によりア
ルミニウム 膜を透過した 子エネルギー損失と散乱角
の闘係を撮影したもので,理論から予想される二次曲線
と非常によく一致している(矢印のアーク状の部分)。こ
れによってプラズマ理論の実験的裏付けができ,同理論,
星雲形成理論,多休閑題への応用が可能となった。
重水製造用水電解槽
来重水製造用に利川されていた減容 解槽は,欠点
として爆鴨気の生成と操作が断統的なることであった
が,これを改良するため研究をすすめ,第一次
して独得の電解液循環法をこうじた恒容多段
くり好成績をおさめた。この
式会社に納入され,同社の
る。
作槽と
解槽をつ
作槽はその後昭和電工株
水製造研 究に役立ってい
172 昭和32年1月
絶縁砿油の改良
(1)変圧紹油
内外諸油についての実用
日 立
評
験,劣化油の絶縁材料への
影響の検討,安定度試験方法の研究などの結果,従来の
油ではまだ外泊に比し性能不十分であることを認め,か
つ,改良点を把捉した。新高性能池試作も石油会社の協
力にて完了し,実用化に進んでいる。
(2)蓄電器およぴOFケーブル用油
従来油は真空中でも劣化することを発見,これを改良
し,また絶縁抵抗も従来は500clO15∫1cmが優秀晶と考
えられていたのを1016∫1cmに飛躍せしめえた。コロナ
に対するガス発生安定度についても,油組成との関連を
あきらかにしたうえ,抑制剤の良好なものを見出すこと
ができ,かくて一段と高性能油へ進展することができた。
電気式水車調速機
水力発電所における水車調速機は,我国ではもちろ
ん,外国でも一部をのぞきふるくから大部分機械的なも
のが用いられている。
最近我国の電力界でほ良質な電力(周波数)を供給す
るという見地より自動周波数調整 置とともに高性能の
速機出現要望の声がつよい。
日立製作所でほつとに高性能調速機として電気式のも
・】 ■■■■ヽ■■l■■▲l■■▼-t■■--■■■ 【
編集後記
■■■l●1-l■-■`-■I-■l...▲b■l■■■■■●-造船ブームを横枠として立直りは
じめた日本経済は,1956年において
めざましい躍進ぶりを示し,あらゆ
る産業部門にわたって末曽有の数量景気を現出した。本
号に集約された日立製作所の1箇年間の成果をみても,
その一一端が十分うかがえる。
し
本誌新年号は,昨年緑葉方針を慄え簡潔にしてしかも
内容を充実せしめることをはかり,ややその日的を達し
えたのであるが,本年はさらにその方針をおし進めて,
個々の機器の紹介でなく,技術的進歩著しいものを重点
的にとりあげてその発展をあとづけ,機種のあるものに
ついてほさらに将来の問題についても言及する方針をと
った。叙述の形式も従来の機種別分類のみによることな
く,ある程度用途別分類をこれに組合わせることによつ
て,読者の便宜をほかることを考えた。したがって昨年
度まで添附した用途別索引ほ本年度からはつけないこと
にしたので,この点御諒承を頂きたい。
〔〕
1956年ほ日本経済の一大躍進の年であったとともに,
日立製作所においても,その歴史に二つの大きな足跡が
記録された年であった。その一は10月1日を期して電線,
第39巻 第1号
のの開発研究をつづけてきたが,最近にいたり速応型磁
気増幅器を用いた日立独得の方式にかかる研究
完成し,大
作品を
に良好な性能のものをうることができるよ
うになった。
とくに高性能調速機として保持すべき高感度,高速応
性,整一性,安定性,高信痺性などのすべてが十分満足
されるものであることが,昭和31年5月関西
電所における現地
力寝覚発
験で立証された。たとえば感度とし
ては主サーボモータにおいて約0.02%よりよく,負荷
断時の主サーボモータの閉鎖動作の死時問ほ0.1秒より
短いという従来品または他社品にみられない高性能を示
した。また信頼性については外国の一部でほ電子管式の
ものが開発されているが,日立方式でほ機械,
堅牢な磁気増幅器を採用しているので
気的に
頼度は格段と高
い特質をもつものであることも立証された。
そ の 他
スチールグリッド抵抗体.従来の鋳鉄製グリッドにか
わるFe-Cr-Al系の加工性のよい,強度大,軽量の抵抗
体を創製した。そのはか力率の遠隔測定
置,同期外れ
継電船,交流巻上機の自動制御の完成なども日立製作所
においておさめられた昭和31年度の研究成果である。
鉄鋼の二部門がそれぞれ分離独立し,単体経営としての
長所をいかしつつ,三者はまた一体となって協力し,従
来にもまして綜合経営の妙を遥憾なく発揮しうる態勢を
ととのえたことである。そのこは戦後第5回目の増資に
よって,ついに資本金百億円の人会社となることができ
たことである。
〔二〉
日立製作所のこの発展に応えるかのごとく,本誌の活
躍もまたまことにめざましいものがあった。すなわち,
2月にほりく力機器第2集」,3月にはr 絶縁物」,8月
には「舶用機器」,10月には「'金属第2葉」および「 電線
ケーブル第2葉」,12月には「照明_jおよび「'通信機器第
2集」と,実に7冊の特集号を企画刊行し,普通号特集
号あわせて19冊の口立評論を発行したのである。工学技
術誌界の驚異ともいうべき成果であると,あえて白魚す
る次第である。
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日
立評論
第39巻 弟1号
昭和32年1月20日印刷 昭和32年1月25日発行
(毎月1回25日発行)
<禁 無 断 転 載>
定価1部100円(送料12円)
⑥1957by HitachiHyoronsha
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