<論文>大型店問題瞥見 : 大型店規制と中小小売商
著者
山内 惣市
著者別名
Yamauchi Soichi
雑誌名
経営論集
巻
19
ページ
163-180
発行年
1982-03-31
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005821/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja1 2 3
大 型 店 問 題 瞥 見
大型店 規 制と中 小小 売商 山 内 惣 市 はじめに 大型店規制問題の現状 大型店規制問題の2 面性 巾 商店連鎖化論− スーパーの量 的拡大の必然性 ② 中小小売商の停滞性 4 大型店規制の今後の問題点 (1) 中小小売商保護的色彩の強化 (2) 大型店 規制と今後 の大型店(3) 大型店 規制と中小小売商 (4) 大型店規制と消費者 1. は じ め に 昨 年来,紛糾し続け てきた大型店規制問題は今年(昭和57年)1 月末 一 応 の 決着を みた。 しかし,その内容は今回の決着が「緊急避難」的といわれるよ うに,全国的に混舌Lを ひき起こしてきた大型店 の出店洪 水に一時的歯止めが かけ られたにすぎず,大型店間題の根本的解決でない ことはい うまでもない。 百貨店法の廃止から大規模小売店舗法 (大店法) 制定の一 連の動きの中に 「許可制」 から「届出制」 への変化が特徴の一つ として上げられる。その奥 にひそむ背景とか本質は別にして,文面上には小売段 階での競争原理の導入 が認められる。 しかしながら,今回の一応 の決着の中心的動きをな した自由民主党商工部 会,小売商業問題小委員会の意向に 乱 一方では自由 競争の重要 性を表明し つつ 乱 大型店出店を行政指導に より調整し,しか 乱 これが効果の上がら ない時には「大店法の改正に早急に取 組む」 として出店規制は実質的許可制 への歩みを 進めてい る。 このような大きな商業政策の転換が,その問題の本 質の究明,抜本的処方 篁 もない まま,しか 乱 政治力に よって一応の決着を 得なけ ればならなかっ た点に大きな問題があると考えられる。 今回の現 象は単に大型店と中小小売商との対立の問 題だけ でなく,わが国流通 業 界が大 き な転 換点 に 来 てい るた め の現 象 であ り,新 しい 流 通 ビ ジョ ン の確 立に 関 係者 の総 力 が望 まれ ると ころ であ る。 「 拙稿は本学部の川崎進一教授退任記念号に掲載される予定であるが,川崎教授は 戦後の日本の流通業界の理論的指導を続けられてきた第一人者であり,現在問題視 されている大型店の今日の成長 乱 氏のご指導に負うところ極めて大である。 川崎教授のご退任が,大型店を含む流通業界の大転機と時を同じくすることに奇 しき縁を思わざるを得ない。」 2. 大型店規制問題の現状 昭和の初期,百貨店 と呉 服商組合との対立抗争か ら端を発して制定された 百貨店法を含み,わが国の中小商業政策は専ら中小商業保護政策であ り,そ の伝統は今日もまだ強く続いてい る。 第2 次大戦後は中小商業 保護政策一色より,近代化政策,システ ム化政策 とその育成政策が加味されてきた。 しかしながら,わが国風土に根ざす中小 商業,なかんず く,中小小売商業の体質は依然 として保 護的政策を必要とし てきたが,今 回の一応の決着と,2 月1 日以降の大型店 出店に対 する行政指 導は再び保護的色彩を強める兄のといえ よう。 ちなみに,主 たる大型店に関する一連の政策を顧みると以下の如くである。 昭和22 年 第1 次百貨店法廃止 // 31年 前2 次百貨店法施行一 許可制の復活と中小小売業保護の強化 昭和34年 小売商業 調整特別 措置法(商調法)施行 // 38年 中小企業基本法,中小企業近代化促進法等施行 護政策か ら近代化政策へと転換 昭和42 年 中小企業振興事業団 の設 置 // 48年 大規模小売店舗法公布,中小小売商業振興 法施行// 49年 第2 次百貨店法廃止,大 規模小売店舗法施 行// 53年 大規模小売店舗法改正公布 // 54年 同 上 施 行 旧大 店 法規 制対 象外 中型 店 へ 規制 拡大 中 小商業 保 昭和56年10 月8 日,通産省は年内の「大規模小売店舗の届出の自粛」に関 する産業政策局長通達を 出す 昭 和46 年10 月12 日 寸 大型 店 問 題懇 談 会」初 開催 多 発す る紛争 の原因 究明,許可制の可否,商調協強化,規制規準などの 調整制度等の検討
昭和56 年10 月20 日 全 国中 小 小売 商39 団 体に よる「 大店 法改 正 等全 国小 売 商推 進会 議」設 立 昭 和56 年12 月26 日 自民 党商 工部 会小 売 商業 問 題小 委員 会 は通 産 省 の規制 案 拒否 昭和56 年12 月28 日 自民 党 衆 参両 議員170 名に よる 「中 小小 売 店を 守 る 議 員連盟 」 総会 昭和56 年!2 月29 日 通産 省 は 丁出 店申 請 の自粛通 達 」を 昭 和57 年1 月末 ま で延 長 昭 和57 年1 月25 日 自民 党 商工部 会 は小売 商業 問題 小 委員 会 の 「大型店 に 対 す る緊 急対 策」 を 諒 承 昭 和57 年1 月29 日 「大 型店 問 題懇 談会」 は 通産 省 へ最 終 答 申 昭和57 年2 月1 日 行政 指導に よる大型 店 出店 規制 は じ ま る。 大 型 店 問 題 懇 談 会 報 告 昭和57 年1 月29 日 ( 基本的考え方) 大型 店の出店届出が 依然として 高い水準にあ る一方,最 近の消費支 出の伸び悩 み 等に より,小売業 の競争環境は一段 と厳しい ものとな ってお り,中小 小売商 の経営 も困難 の度を 加えてい る。 このため大型店 の出店を めぐる紛 争が 各地七 発生してい る。この ような現 状に鑑 み, 大型 店の出店調整 の一層の適正化を 図るた め√本懇 談 会は昨年10 月12 日に設置 され,以来出店調整制度 のお り方 及び運用改 善策, 大型店 の出店抑 制策, 中小小売業 の振興策等について,検討を行 ってきた。 本問題につい ては, 例えば 許可制 の是非な ど法制上なお 引き続 き検討を 要する点 が残 されてい る。 また 今後 の我が 国小売業 のお り方につい て 乱 国民 生活に与える 影響な どを 合め て幅広い検討が 行わ れることが必要であ る。 しかし なが ら,最 近の諸 情勢 の緊急 性に 鑑み,本懇談会 とし ては ,当面 の対応策 とし て,以 下め 措置を 早急に講 ずべきものと考える。 なお, これ らの措置に対応し て,中小小売商 乱 消費生 活の多 様化・高 度化に伴 う 流通構造 の変 革に 即応し, 特に 地域 消費者の 意向に も配 慮しつつ, 自助努力に よ る一 層の経営 基盤の強化 ・充 実に 努め,健全な発展を遂げ てい くこ とが強く要請さ れる。 また, これ らの措置の実施に当 たっては,消費者利益の 保護に も配慮が払われた ければ な らない 。 ( 具体的 対応 策)
1. 大型店 の出店 抑制策につい て 大型店 の出店を めぐる紛争が 各地で発生し てい る現状に鑑 み,消費者利益の保護 に 配慮しつつ,当面大型店に 係る届 出・調 整につい ては,以 下の ような抑制的 運用 を 行 うべ きであ る。 (イ) 特定 の大手大型小売業者につい ては, 通商産業省におい て個別企業ごとに出 店 計画を 聴取し大規模小売店舗の新設 の届 出が 抑制さ れる ように指導すること ㈲ 大型店 の出店 が相当水準に達してい ると認 め られ る地 域への大規 模小売店舗 の新設 の届出については,特に理 由があ ると認め られる場合を 除き,自粛を指 導す ること ㈹ 小規 模市町村 への大 規模小売店 舗の新 設の届出につい ては,特に理由かお る と認め られる場 合を除 きノ 浜重に 取扱 うこと O 上 記(p), ㈲の場合,市町村長 の意見を聴い て地域 の実 情に即した指導を行 う こと ㈲ 調整 ・審査 の一層 の適正化に資す るた め,当 面の審査 要領を 策定し,届出済 案 件を 含めて丿 浜重な調整を期す るこ と2. 商業活動調 整協議会 の改善について 商業活動調整協議会(以下「商調協」 とい ‰ )は,地元 の 複雑な利害 の調整を 行 う機関である ので,そ の調整機能を強化し, 公正かつ適 切な審議・運営が図 ら れるべきである。 また現下の厳しい商業環 境及び大型店 の地方 都市へ の出店動向 か ら みて商調協 の役割は,著し く重 きを加え てい る。 以上 の観点か ら,次 の措置を講 ずる必要かお る。 (イ) 通 商産業省令に より,商調協 の設置 の根拠を 明 らかに し,そ の権威付けを 行 い ,適正かつ公正な調 整が行わ れるように するこ と ㈲ 商 調協委員 の人選等については,以下 の措置に より,そ の信 頼性を一層高め ること ① 委 嘱に当 た り, 都道府県知事及び市町村 長め意見を 聴い て,公正かつ適正 な もの とす るこ と ② 委員の行動規範を 策定し,特別な利 害関 係人の排除 等を 図 るこ と ③ 委員の資質向上,学識経験者委員 の広 域的 確保等 の措置を 講ずること ○ 広 域商調協につき,そ の適用範 囲を 拡大すると ともに ,委員構成 の是正を行 い, 広域的見地か らの調整 の充 実を図 ること 0 必要に応じ,通商産業局,都道府県,市町 村及び商工 会議所・商工会の四 者 協議 体制に よる商調協へ の助 言・指導を 行 うこと,三条 届出前におけ る市町村 等地 元への説明を 指導するこ と,大 規模小売店 舗審議会 の活用を図るこ と等, 関係機関 との連携を強化す ること3. 生協 ・農協 の取扱いについ て 生協 ・農協の行 う生活物資供給事業につい ては ,所管大 臣に対し,各協同組合 法 の趣 旨に 則 り,従来の通達の徹底を 図 るとともに ,大型 店出店抑制策を 踏まえ
4 5 だ出店 の自粛の指導,法 の許 容す る範 囲を超えた 員外利 用の防 止の徹底及びその 実態把握のため の努力を要請すべきであ る。(生 協に つい ては, 生協法第12条 第7 項の活用 も図る。) また所管大臣 と協議して, 必要に 応じ, 生協・農協と 中 小 小売商と の話し 合い の場の設定 等の措置を 講すべきであ る。 さらに,小 売商業調整特別 措置 法(商調法) の運用にっ き, 小売商業調整連絡 会議に おい て,必要に応じ,対処す るとともに, 大型 店 進出対 策融資 制度の対象 への生協・農協店 舗追加の措置を 講すべきである。 都市 計画等との関 連につい て 市 街地再開発その他都市づ くりの推進に当た り, 地元小売 商の意見が十 分反映 されると ともに,地 域社会 と調和した商業配 置が 図られ るよう関係機関におい て, 今後一層緊 密な 連携 がとられるべきであ る。 中小小売商 の振興 策につい て 中小小売商振興 策に つい ては, 消費者・地 域社会 への一層の貢献に配慮しつつ, 商店街整備事業等 高度化 事業 の推進等従来 施策の充 実を 図ると ともに,今後特に 吋ト 小売商業振興会議 の開催等に よる中小小売商 振興体 制の確立・振興策の普及 浸透 ㈲ 地域小売商業振興計 画の創設 ㈲ ボラン タリ ー・チェ ーン対 策の推 進 ㈲ コンピ ュータ ー利 用の促進,販売士 制度 の充 実等に よる中小小売業の経営 改 善の推進 倒 中小小売商 組織化 の推進 等 の各 施策 の検 討, 積極的 展開を 図るべきであ る。 なお, 商店街等は, 消費者 との対話 の促進等に よる消 費者との連携の強化を図 るた め の努力が, 今後一 層要請 されるところであ る。 3. 大型店規制問題の2 面 性 大型店規制問題の根源は,大型店側,中小小売商側の両者に存在する。昭和48 年 の大店法制定,中小小売商業振興法施行は,大型店と中小小売商の調整 ならびに,中小小売業 の近代化に よる競争力 の育成が 意図せられた。しかる に,両者の調整はさして効果は上がらず,大型店,特に スーパーの成長とそ の影響は大きく,一方の中小小売業の近代化は遅々と して進 まず,今 日の如 き問題の発生はそ の性質上時間の間題といって も過言ではなかった。 一方のスーパーは企業 としての資本の運動原理に基づ き量的拡大を続ける に対 し,他方は企業 への飛 躍のできない大部分 の生業 型 中小小売商業であっ ては, もはや,経済論理に基づく同一土 俵での相撲を とりえない ことは明白
であ る。中小小売商が大店法 の改正を求めて自民党と政治運動を展開し,政 治力に よる一時的決着をみた のが象徴的であ る。 大型店問題は スーパー等の大型店 の動きそのものに問題があ ることはい う までもないが,大型店問題は 即,中小小売商問題であ ることも事実である。 (1) 商店連鎖化論− スーパーの量的拡大の必然性 今回の緊急措置はあ る意味での大型店 の量的限界を意味する ものともいえる。 この度の混乱の元兇(?)は大型店の中 のスーパーであるとされる。2 月1 日 以降の行政指導に よる規制は面積主義(店舗主義)と企業主義 の2 面 か ら な される。 「特定 の大手小売業については……」 として企業主義 の立場から,大型小 売業としてスーパー13社,百貨店n 社が対象とされてい る。 第1 次百貨店法 の設立は百貨店 と中小小売商の対立からであり,今回の規 制は スーパーと中小小売商の対立 からともいえ よう。循 ともと, スーパーに は百貨店と異なる量的拡大の必然性かおる。 わが国にスーパーが導入された のは昭和28年,東京,青山の紀の国屋が最 初である。以来,中小小売業 の中から積極的に企業的展開を志すものがスー パーとして続出した。それを 可能にする背景は アメリカにおけるスーパーマ ーケット登場と同様であ る。 アメリカにおいて第1 次大 戦後の大不況期に 消 費者の生活確保のニーズに対応 して「価格破壊者」として登場 したのがスー パーマーケットであったが,わが国で 乱 第2 次大戦後の生活優先の時代が その背景であ る。 消費者の欲求は生理的欲求,経済的欲求め時代であ り,価 格優先,生活確保が第一であ った。 小売経営には社会性と営利性の二面性かおる。 ス, ,パー経営の社会性,社 会的使命からは①生活 用品の供給と, ②低価格が要求される。営利性はい う までもなく,企業 としての資本の原理Tであ り売上高,利潤の追求となり,競 争性ともなる。 スーパーの場合には,これらの全てに量的拡大の必然性があ るのである。 ① 生活用品提供におけ る特性 生活用品は必需│生,最寄性商品であ る。そ の購買行動は 消費者購買 行動極 大化4 原則のうち購買便宜化の原則に従 う。商品の性格上,品質,価格差が
少 な く, 購買 頻 度 が大 きい た め最 寄性 商品 とな る。 従 って,生 活 用品を取 扱 商品 とす る ス ー パーマ ーケ ットの商圏 は 比較的 狭 く, 売 上高 も商圏内世 帯数 と所 得水 準に よって 限界づけ られ る。 要 す るに ,売 上 げ の頭 打 ちかお るわけ であ る。 それ 故 ,企 業 として の ス ーパ ー経営 が 販売 額 の増大 を 意 図す れば一店 舗に よる商 圏 の 拡大 が不 可能 であ り,売上 高の頭 打 ち も早 い ため ,い きおい多 店 舗 化を はか る し かな くな る。 そ こに, スー パ ーの量的 拡 大と して の多 店舗 化 を 必要と す る理 由 かお る。 経 済 原 則 最大効果の原則│ 最小犠牲の原則 最大余剰の原則 効 果 一 売 上 高( 大) 企 業 ア 利 潤( 大){ 犠 牲 一 経 費( 小)J \, 支 出 最 小 化 の 原 則−( 安) 消 費 者 一 幸 福 度( 大才 犠 牲( 小) 于 購 買 無 宜 化 の 原 則−( 便) 効 果( 大) 于 品 質 最 良 化 の 原 則  ̄( 良) 購 買 娯 楽 化 の 原 則−( 楽) 図表1 消費者購買行動極大化4 原則 又 , ス ー パーは生活 用品 の総 合店 であ る。 ワン スト ップ・シ ョ ッ ピ ン グ (one-stop-shopping)が 一つ の武 器 とな る。 しか し, こ の種 の商 品 の購買 行 動 には 衝動 購買(impulse buying )の増 大が み ら れ る。 衝 動購買 は 「つい で 買 い」 であ るた め,見 てい る中 に 衝動的 に購 買 す るわ け であ る。 従 って,衝 動 購買を 効果 的に 増大 さ せるた めには 店舗 を 大型 化 し , 顧 客の 滞店時間を 長 くす ると よい。 ト ラフ ィ ック・ コント ロ ール(traffic control)が スーパ ーに と ってい か に大 切 か,屡 , 説か れた の もこ のた め であ る。 店 内 の歩 行距離を の ばし, 滞店 時 間を のば すこ とが 衝動 購買 効 果に つ な が り売 上高 の増大 とな る。 ス ー パ ー大 型化 の必 要性 の一 つであ る。 ② 低価 格販 売におけ る伜i生 アメ リカで も不 況時に 「超 廉 価販 売」を 売 り物 に し て 登場 した スーパーで あ る。 わが 国に 導入 され た時 も「 低価 格」 イ メ ージを 強 調 し, そ れを 武器 と し てきた。 不 幸 にし て ,今 日, 消費者 欲求 の高 度化レ 多 様化 な どの変化に も かか わ らず, な 紅 そ めイ ソ ージが 拭 色さ れない ため に 生 まれ る苦↑薗乱 時 代 の転 換を 物語 る。 「 低価 格 志向 」 は消費 者購買 行 動 極大化4 原 則 の「 支 出最小 化 の原則」 か
ら みて も強力 な武 器で あ る。 特 に 戦後 の復興 期におけ る そ の偉力 は 絶大 であ っ た。
そ のために は , コス トダ ウンが 何 よ り も必要で , セル フサ ービスに よる人 件 費 の 節約,キ ャ ッシ ュ・ アソ ド・ キ アリ ー(cash & carry), 品 揃 え のしぼ
り込 みに よる商 品回 転 率 の向上 , 大量 仕入に よるバイ イ ン ダ 。パ ワご (buy-こing power)の 発揮 な どが 工夫 され て きた。 ここに , スー パ ー・チ ェ ーン の 経 営原 理であ る「 販 売 の分 散 と管 理 の集 中」 か お る。 こ うして,多 店 舗化 に よる売上 の増大 と, 連 鎖化に よる利 益 の 増大が生 まれる。 ス ーパ ーの量的 拡 大 は チ ェ ーン化を 通 じて 行な わ れる。 ③ 企業 経営 として の ス ー パ ーの 特質 わが国で スー パ ーを 積 極的に 展 開 して きた ものは 企業 家 精 神に 横溢す る輩 で あ った。し か 乱 彼等 は , かつ て唯 一 の大型店 であ る百 貨 店に 対 抗 した中 小 小 売 商業 の中 から輩 出 した。 彼等 は, 屡,渡 米 して, ス ーパ ーの先 進国 か ら 経 営技術 の導入を は か って きた こ と も事実 であ る。 企業 であ る限 り売 上 の増大 ,利 潤 の 追求, 競争力 の強 化 のい ず れ も欠 くこ と ので きない ものであ る。 売 上 の増 大 のため の多 店 舗化 ,大 型 化は 消費者 購 買 行動 と も一 致 してい る。ス ,利潤 の追求 のた め のコス トダ ウンは 同時に 低 価 格 志向 のス ーパ ーと して は ,そ の 社会的 使命 か らも欠 く ことが で きない が, 同 時 に, 競争 に勝 抜 くた めに も必要 であ る。 又 , ス ーパ ー同士 の競 争激 化 と と もに 低価 格 志向だけ でな く, 次 第に 品 揃 え 競争 となる。 そ れは 一 方 では 店舗 の大型 化 とな り, 他方 で は商 品 回転 率の 悪 化 とな り,や がて , 低価 格 販売 の魅 力 を半 減さ せるこ とに もな る。 い ず れに して 乱 上 述 の如 く ス ーパ ーに は多 店舗 化, 大型 化 な ど,量的 拡 大 を 不 可欠 とす る経 営的 特 性 があ る ので あ る。 (2) 中小小売商 の停滞性 わが国の一般小売業の特 徴はそ の零細性にあ る。「流通革命」 といわれる 如 く戦後の小売業界の変化は 目覚 ましいが,結局は一握 りの大型店の輩出に す ぎない。大部分は依然として保守的零細小売業であ り,全国の商店街は, 殆 んど,かかる性格の構成 員に より成 り立っていると見て よい。勿論,一 口 に 中小小売商といって 乱 企業型中小小売商もあるし,生業型中小小売商 も
あ る瓜 後者 の比 率が 依然 多 く, 商店 街は ,こ れ らが 混 在 した ま まで 活動 し てい る ところ に問 題か お る。 わが 国の一 般小売業 は 農業 と共 通 する土 着性を もつ が故に ,共 通 した 根強 さを もってい る。 それ故 , 大型 店 間題 は ,百貨 店 法制定 の場 合 で も今回 で も 同様 の傾向か お る。 そ の特 徴 はい ず れ の場合 で も企業 対 企業 の対 立 では な く。 企業対 生 業 の対 立 と極 言で き よ う。 従 って,今 の大 型店 問 題は 経 済的論 理に 基づ く経 済的土 俵の上 で ない と ころに 特 徴かお るよ そ れ故 ,大型 店 問題 の今 後を 模索 す る上 で 乱 中小 小 売業 の特 性を 分析 す るこ とと,そ の抜 本的対 策に こそ 根本的 問題 がひそ んでい る と思 われ る。 中小 小売業に ひ そむ 問 題 とし て3 点 が考 えられ よう。そ れ は ① 生 業か ら企業 へ の飛 躍力 の欠 如 ② 商店 街 の 自然 発 生的 性 格 ③ 危 機 への対応 の鈍感 さ と考え られ る。 ① 企業 への飛 躍力 の欠如 中小 小売業 ,特 に生 業 型中 小 小 売業 は企業 化 した大 型 店に 比 較 して極め て 土 着的 ・体験 的 ・感 情的 であ る。 従 って ,経営 態 度も受 身的 で 消極的 であ る ○。 小売経 営 の植物的 性 格が 一 層拍 車を かけ る。企業 者に とって 必要 な冒 険心 を 欠 き,危険 回避 的と な る。 そ の原因 は みる人に よっ て 異 なるであ ろ うが , 小 売 経営に お け る 「 日銭 性」 「家 内労働」 「 無借 金」 そ れ に 前述 の「植 物的受 身性」 な どが 考え られ よう。 店を 開け ておけ ば ,なに がし か の売上げ があ る とい う日銭性 はぬ る ま 湯的 経営 の温床 と な る上 ,家 内 労働経 営 は賃 金とい う現 金支 出を 必 要 とし な い。 又, 積 極的 新規 計 画が なげ れば 借 金 の必要 もない 。 無借 金経営 は 健全 の 如 くで はあ るが,同 時 に ノ 隋性 的経 営 と もなる。 し か 乱 運 よく, ここ 数十 年 は 日本経 済の上昇 期で もあ っ た為 ,売 上げ ひ 自然 増が見 込 まれた こ とは 更に 積 極性を 鈍らす土 壌と なった。 生業的 零細 経営 の中に も若い 息吹 き はあ る。 世代 の交 替 が この停 滞 性を 打 破と する「 希望 の星」で あ る。 しか しな が ら,か かる経営 の中に おけ る老世 代 の 発言力は極 め て大 き く,変 革 の芽を 摘 む 作用を な して い る。折 角 の「希望 ひ 星」 も輝 く余 地 がない 。
フ ラン スでは ロ ワイ エ法に より,中 小商店 の 社会 保障 制度を 設け , 経営 意 欲 を 失 った 経営 者 の引 退 の道 と老後 の保障を は か ってい るが , わが 国で も考 慮 す べき 重 要な活 性化 制度 である と思 われ る。 ② 商店 街の 自然 発生的 性 格一 商店 集団 化論 大 型店 の威 力 の一 つに 商品 構成 の総合 化が上 げ られ る。 消 費生活 が総 合性 を もつ 以上 ,小 売 機能 とし て の総 合化 機能は 極め て 重要 であ る。 商店 街がか つ て 「 横 の百 貨店」 とい われ たの も商店 街 白身が 総 合機 能を もつ こ とを 意味 す る。 商店 集 団イヒの必要 性が ここにあ る。 こ うし て て 商店 集団 化 の必然 性」 とい う点 か らみ れば 商店 街は地 域的 集団 化 で あ り ,ス ,わ が 国の殆 んどの商店 街 が自然 発生的 性 格であ る ところに も 問 題 かお る。 つ ま り,業 種構 成 上の統 一 性が ない こと, リ ーダ ーシ ップが 欠け てい るこ と ,構成 分 子に 企業 的 性 格 の不 統一 かお る ことな ど が上 げ られ ,い わば, 商 店 街とい う商店 集 団そ の ものに 惰 性的 ,生業的 体 質 が備 か ってい る といえ る。 商店 街 が今 や 目のか たき とし てい る大型店 と,総 合 化 機 能に おい て比 較し て みれ ば, そ の 優劣は歴 然 と してい る。 アメ リ カでは 第2 次大 戦後 , ダ ウンタ ウン の荒廃 が 吹 き荒 れ て商店 のサバ ・―- バ ニ ゼー シ ョン が進 んだ。 そ の時に 生 まれた の がシ ョ ッピ ン グ・ センタ ー (shopping center)であ り, 計 画的 商店 街 とい われ る。 シ ョ ッピ ン グ・ セン タ ーは「 小売 業 の 横断的 シ ス テ ム化 の産物」 とい わ れ る よ うに , 顧客 吸引力 強 化 のた めに , 夫 々レ 異 質 な ものを 相 互に関 連 させ, あ た か も一 つ の統一 体 の如 くに 構成 さ れてい る。 小 売業 は殆 ん ど店 舗に よ り営 業す る の で植物的 経 営 とな り,顧客吸引力は不可欠である。その為,それぞ れ異質なもの つ ま り, 百貨店であ り, ゼネラル・マーチ ャンダイズ・スト ア(G.M. S)であ り, 専 門店, 娯 楽 施設, 駐 車場 であ り を 相互に 関 連 づけ て 顧客 吸引力を 強化したものである。それを,計画,開発,管理,運営するものを ディベロ ッパ ー(developer)とい う。「 まず,デ ィベロッパーあ りき」 とい うべきで あ り,商店集団の主張は 極めて明確である。むしろ,主 張とか, カラーとか 顧客のクラスに より,それに合わせて集団化を はかった とい うべきである。 その段階で アメリカの商店街の構成員の選別がなされた のであ る。 アメリカのショッピング・センタ ーは,モの社会的職分に よ ‰ ネーバ―
フ ット(neighborhood )型, コ ミュニ テ ィ(community )型, リ ー ジョ ナ ル (regional)型に 分 か れ, 更に ,対 象 とす る顧客層に 応 じ, 核 店 舗, テナン ト の選別が なさ れ る。 しか 乱 ア メ リカの伝 統的 シ ョ ッピ ン グ・ セ ン ターは 必 ず 核店 舗を もち, 大 型店 と中 小 小 売店 の共 存がは から れてい る。 上 しか 乱1970 年 前 後 の 消費 者 ニ ーズが文 化的 欲 求に 転じた 頃を 契 機と して, ショッピ ン グ・セ ン タ ーの技 術 革新 が行 なわれ た。そ れは, スペ シ ャリテ ィ ・セ ンタ ー(specia!ty-center) テ ー マ・ セン タ ― (theme-center) な ど と 呼 ばれる比 較的 小 型で, 従来 の 伝 統的 シ ョ ッピ ン グ・セ ンタ ーと一 変 した 新 し1 い タイ プの シ ョ ッピ ン グ・ セ ンタ ーを 開発し た。 その 特 徴は 核店 舗 が ない こ とであ る。つ ま り, 従 来 のy ヨッピ ン グ・セ ンタ ーが 核 とし て の大 型 店の魅 力に より顧客 吸引を して きた のに対 し て, 核ぬ きで 顧客 吸引 を し よ うとし た のであ る。 まさに, 文 化 的 欲 求に 即応 す る「 物離 れ」 時 代 へ の企業 的対 応 で あ る6 現在, ア メ リカの シ ョッピン グ・ セン タ ー開発 のブ ー ムは , ダ ウ ンタ ウン の再開発に よる, ダ ウン タ ウン型, 又 は, ア ーバン 型 の 「 マル チ・ ユ ーズ てmulti-use」」 型 の開発 であ る。 商 店 街 とい う ユニ・ フ ァ ン ク シ ョン(uni-fuuction )でな く, マル チ ・ フ ァン クシ ョン(multi-function)であ る。 そ こでは, 顧客 吸 引 とい うよ り, 商 店 街は顧客 と同 居, 共 存し てい る。 つ ま り, オフ ィス ビル, ホ テル, 会 議場, 映 画館, レス ト ラン 街, ア イスス ケ ート場 な どのス ポ ーツ施 設 と共に 商 店 街を 同 居さ せ一 堂に 構 成 して, マル チ ・ファン クシ ョンを もつ 集 団と な ってい る。 ここ では, い かに も商 店 街が積 極的に 企業的 行 動を と ってい る とい え る。 こ こで再 び, わ が国 の商 店 街を みる とき,そ の生業 的性 格 が, 大 型店問 題 を引 きお こしてい る とさ えい え よう。 ③ 危 機 へ の対 応の 鈍 感 性 一 般 の中 小 小売 店 が惰 性的で あ る ことは 述べた がレ 決してレ 危 機意 識に 鈍 感では ない。 た だ, 危機 への対 応 は意 識だけ では 何の 意 味 も ない 。 態 度の変 容がな くては な らない。 「 皮を 切 らせて 骨を 切 る」 とい う言 葉 があ るが, 自 分の皮は薄 皮一 枚 で も 犠牲に し ない で, 相手 の骨を 切 りたい と 夢想 す る。 薄 皮一 枚で も 自分 の 皮を 切 る なら 話に 乗 らない とい う方 が多いレ つ ま り, た と え意 識 の変 革は あ づて も態 度の変 容が ない のであ る。
図 表2 −(l ) 経 営 者 の 意 識1 ) 意 識 水 準 ∼ ∼ ∼-∼ ペ ー--- --- --〃-y- - ='---・-¬¬-j に ̄ ̄ ̄に'=四= ●----し 目 よ い 普 通 悪 い 売 場 面 積 に 対 し て (2. 72) 19 % QQ % 43% 顧 客 へ の サ ー ビ ス (3. 42) 顧 客 の 固 定 化 (3. 76) 従 業 員 の 休 暇 に 対 し て (3. 32) 店 の 品 揃 え (2.93 ) 売 り 上 げ (3. 26) 経 営 術報 の 入 手 (2.94 ) 店 の 将 来 性 (2. 99) 商 店 会 の 団 体 活 動 へ の 関 心 (2. 98) 所 属 し て い る 商 店 街 の業 種 構 成 (2.31 ) 41 61 37 33 39 41 42 33 14 49 33 53 45 40 37 36 30 33 10 6 10 22 21 22 22 37 53 注1 評 定 値5, 4 は 「 よ い 」3 は 「 普 通 」, 2, 1は 「 悪 い 」 に 分 類 し て 百 分 率 で示 す 。 注2 ( ) 内 の数 字 は 平 均 得 点 。 図 表2 −(2 ) 経 営 者 の 態 度D 態 度 _ 一 一 ヽ - 一一` ̄‘ ̄ ̄  ̄心 W 匹  ̄ W − - W= ← - ¬ ¬ -¬ W ペ ー - =べ = ら -¬ ¬ぺ  ̄ペ ー ベ 項 目 積 極 的 中 立 的 消 極 的 商 店 街 構 成 に 対 し て 自 分 を 犠 牲 に し て も (3.03 ) 他 を 犠 牲 に し て も (3. 42) 核 店 舗 誘 致 に 対 し て (3. 02) 集 団 コ ン ト ■p ー ル に 対 し て (2. 79) % 37 38 38 27 % 35 49 30 37 % 28 13 32 36 商 店 会 活 動 に 対 し て 会 費 の 値 上 げ (3. 27) リ ー ダ ー シ ッ プ の 強 化 (3. 22) 顧 客 へ の 娯 楽 提 供 (3.66 ) ス タ ン プ 制 度 の 促 進 (3. 07) 44 38 58 30 38 43 31 43 18 19 11 27 自 己 の 店 に 対 し て 合 理 化 の た め の 合 併 (2. 56) 顧 客 指 向 (4. 01) 17 65 39 28 44 7 注1 評 定 値5, 4は 「積 極的 」, 3は「 中立 的」,2, 1は 「 消極 的 」に 分 類し て百 分率で示 す 。 注2 ( ) 内 の数字 は平 均値。 「 時 代 の 大 き な 変 化 の 中 で 大 型 店 , 中 小 商 店 と も 新 し い 時 代 変 革 の ス タ ー ト 台 に 立 つ た と い う こ と だ と 思 う 。 そ れ と 重 要 な の は , 大 型 店 も 中 小 商 店 も
一 緒に なっ て血 の通 う街づ くりがで きない か とい うこ と。 お 互 いに ノウハ ウ 2) の交換 √ 情 報 の提供を 進め る必要 があ ります 」 とい う中 小商 店 の組 織の ト ッ プ の意 向 が, どれだけ 末端 へ流 れるか とい う点 では, 大 型店 や, シ ョッピ ン グ・セン タ ーの 組織 の場 合 とは 大変 に違 う。 つ ま り, 頭 で考 えた こ とが組 織 の指先に 伝 わ ら ない 。 組 織上 の欠陥 があ る。 そ の中小 小 売商 の 結束が 今 回の一 応 の成果を みた の は, 矢 張 り政 治力 と の 連携にあ る。 大型 店 との対 抗力を 経 済論 理 の中 で行 うこ とは そ れな りの努力, 皮を 切 らせ る犠牲 も必 要で, そ の 自覚 と行動 があ れば 多 分 に 企業 的性格が あ るとい え る。 ・ ’ 政治力 との 連携 は,一 方 の政 治家 の票m 効果 とレ 中 小小 売店 の 他力 的願 望 との利 害 の一 致 とも見 られ る。 この よ うな形 で, 今 回 の一応 の決着が 得ら れ た ことが, む し ろ, 今後 の中 小小 売商 のあ り方 に よ り多 くの問 題を残 すこ と に なるの では ない か と危 惧さ れ る。 4. 大型店規制と今後 の問題点 (1) 中小商業保護的 色彩の強化 大 昭和31年 の第2 次百貨店法の制定,昭和49年 の大店 法の制定,いずれも大 型店の規制である。 百貨店法の段階では,大対中小は 百貨店対中小商店であ らだが,そ の伝統は第1 次百貨店法を 継ぐものである。 これに対し大店法の制定は,漸く成長し百貨店に対 抗する一 つの勢力とな ったス ーパ ーを大型店 として同じ規制対象とした こと であるが,しかし,一 応は, 許可制から届出制へと競争機能をと り入れ ようとした。 しかし,中小小売店から見れば,今や大型店は百貨店のみならず,スーパ ーも一 括して規制すべき対象としたことである。それが証拠に,大店法は制 定来, 次第に形骸化され,中小小売店の大型店規制意図へと着々はめられて いった。 大店法には大 型店出店の可否を 含める判断規準には じめて消費者利益の確 保が加えられた。判断規準は3 つある。地元中小小売商の事業機会の適正な 確保と,小売業 の正常な発達,及び, 消費者利益の確保であ る。 しかしながら, これらの判断規準の中,地元中小小 売商の事業機会の適正 な確保だけ が優先し,他の2 者,特に消費者利益の確保は 完全に無視されて
来た といってもよい。 ◇ 十 中小小売商団体の狙いは,大型店の出店を地方自治体に よる禁止とい う方 向での許可制に よって調整する構図である。この狙いは,既に 大店法施行以 来,着々とその成果を上げて きたが,今回の「 行政指導」も又,そ の一連の 動きの線上にあ り,中小小売商保護の色彩は一層その色を 濃くしてきた。 今回の大型店規制の大要は ① 大手大型小売業者の出店については通産省が個別企業ごとに抑制指導 ’す る。 ② 小規模市町村への出店は市町村長と協議し,大型店面積比率の高い市 町村への出店は届け出自粛を指導する。 ・, ③ 商調協の設置は 法令で定め 委員の人選は地方公共団体 との協議を義務 づけ る。 ④ 大型店支持人 口を基本とする審査規準を設け,届け出段階 での窓口規 制を強化する。などであ るが,詳 細は大型店問題懇談会の報告全文を前出 した。今回の措置ではド 商 調協機能を商工会議所よ り剥奪し地方自治体へ 移すべきだとの強い要求 もあったかに 風聞する。とに角,随所に地方自治 体の意向を先行させる表 現が見られるの 乱 中小小売団体 の意図する「 自 治体に よる許可制」を強く指向したともいえる。 しか 乱 行政指導が効果 が上がらない場合は大店法の改正に取組む との含 みは,これら保護的色彩の強まるこ とはあって も後退は考えられない。 (2) 大型店規制と今後の大型店 現在,出店に 伴 う各地のト ラブルの中 心となる大型店は大部分スーパーで あ る。 ス ーパーの取 扱商品の性格からして,その経営の量的拡大が必至であ り, 多 店舗化,連鎖化の不可欠であることは前述したとお りである。ス ーパーは 単に量的拡大を追求したのではなく,多様化するニ ーズへの対 応もぱかり云 々とい う大型店側の主張ではあるが,回転主義経営であ る以上,量的拡大の 性格は否めない。 今回の大型店規制を不況 カルテルだとして一部大型店 では内部充 実のチャ ンメだと受取ってい るむ きもある。つ まり,今や,大型店同士の争い であっ
図表3 スーパーの量的限界性 所 得 ・支 出 } 必需性商 品 て , 中 小 小 売 商 は , そ の 争 い の 余 波 に よ っ て 浮 沈 の 場 に さ ら さ れ て い る 。 大 型 店 の 既 存 店 に お け る 売 上 不 振 店 の 比 率 は 多 い と こ ろ で は50 % に 及 ば ん と し て い る し , 労 働 分 配 率 の 増 大 な ど , 今 や 大 型 店 自 身 内 部 充 実 を 急 が ね ば な ら な い 時 に き て い る 。 こ の よ う な 事 態 に 到 っ 尭 の 乱 ス ー パ ー の 量 的 限 界 の 必 然 性 へ の 対 応 不 足 と い う べ き で あ ろ う 。 ス ー パ ー は 生 活 用 品 を 低 価 格 で 供 給 す る 社 会 的 使 命 を 果 た し つ つ 成 長 し て き た 。 時 あ た か も に 日 本 経 済 の 成 長 期 で も あ り , 大 き な 混 乱 も な く レ 中 小 小 売 店 と 共 存 し つ つ 増 大 し , そ の 社 会 性 を 全 う し で き た と も い え る 。 前 述 の 如 く , 一 定 水 準 以 上 の 成 長 は 地 域 的 な 過 密 状 態 を 生 み , そ の 社 会 的 使 命 よ り , 営 利 性 が 優 先 す る 段 階 に 到 っ た 結 果 が 今 回 の 措 置 と な っ た と い え る 。 本 来 な ら 大 型 店 同 士 で さ え , 競 争 と 淘 汰 と い う 形 で 社 会 的 混 乱 を 起 こ す べ き 分 岐 点 へ 差 し か か っ て い た わ け で , 不 況 カ ル テ ル と し て 受 止 め よ う と す る む き も 首 肯 で き る 。 大 型 店 と し て の ス ー パ ー は , 今 や , 一 つ の 社 会 的 使 命 を 果 し 終 え た 段 階 で あ り , 内 部 充 実 , 業 態 転 換 等 に よ る 前 進 へ の 前 夜 を 迎 え た と も い え る し , モ の バ イ タ リ テ ィ は 必 ず , 次 の 転 回 を も た ら し , 再 び , 中 小 小 売 商 と の 対 立 を 迎 え る か も し れ な い 。 ■ ㎜ ■ ■ 大 型 店 は そ の バ イ タ リ テ ィ を 単 に 今 ま で の よ う に 技 術 の 導 入 に の み む け る べ き で は な い 。 消 費 者 欲 求 の 多 様 化 は , 日 本 独 自 の 経 営 技 術 を 必 要 と す る こ と に な ろ う 。 日 本 的 経 営 が 脚 光 を 浴 び て い る 時 で あ る が , 欧 米 と 生 活 様 式 を 異 に す る わ が 国 の 消 費 者 の ニ ー ズ に 適 応 す る た め の , 日 本 的 小 売 経 営 技 術 の 開 発 に と り 組 む こ と が , 来 る べ き 流 通 秩 序 の 構 築 に 寄 与 す る 社 会 的 使 命 で あ
る と 考 え る 。 (3) 大型店規制と中小小売商 中小小売業者は今回の規制措置を勝利と受け 取っているし,今後,問題が 起こるたびに同様の手法を 選ぶ可 能性 心多くなる。今 回の結果を勝利ととる ところに,径営体としての敗北を認めるべきである。そ の意味では,大型店 が不況カルテルとして,犬来るべき対応への戦略を練ると同様に,中小小売業 者も自らの経営力,企業力の強化に努力しなくてはなるまい。 中小小売商は今まで,常に競争を,大対中小の対立に 単純化する一面的思 考しかしてこなかったが,消費者の欲求も多 様化した文 化的 欲求時代を迎え ては,競争構造はむしろ,多 元的であ り複合的であ り,かつ重層的でさえあ る。かかる時, 自己 の劣勢を量的にのみ把握し,しか 乱 経営努力でなく, 政治的解決手段に のみ頼ることは本質的問題解決として は一 歩も進まない。 かつて,ス ーパーは中小小売商から輩出した。競争構造が ますます 複雑に なることは,再び,チ ャンス の到来を意味する。 中小小売業 といって 乱 そ の中には,生業型中小小売業と企業型中小小売 業があ り,経営におけ る行動 様式 毛利害 心異なる。それが,大 型店規制に足 並みを揃えられたのも政治力 への依存であ ‰ 多 律的 であったが故である。 企業型中小小売業からは,かつてのス ーパ ーへの飛躍と同様のチ ャンスが あ る。問題は生業型中小小売業である。 彼等が企業型へ転換できれば問題の 解決は容易 とな るが, 実は,中小小売商近代化の壁はそこに あるといえよう。 意識 の変 革は勿論,態度の変容もできない。前者は できて も後者の実効が 上がらなくては無意味なのである。 今一つは,生業型中小小売業の中におけ る世代交替に よる企業転換への可 能性であるが,生業型であればある程,後継者が得難い実状にある。 しか 乱 地域中小小売集団 つ まり商店街は企業型,生業型の混在である ところに問題があるこ とも前述した。したがって,これを 企業的性格へ転化 させる制度的工夫が商店街近代化 の一法である。 そ の構成員を資金提供者,資産提供者, 人的資源提供者な どの機 能的構成 3) 員から構成するための有効な措置を とられることを 提案されてい るが,フラ ンスの=t ワイエ法に よる生活補償の方法に 類する諸措置の併 用に よれば,最
も 根 本 的 か つ 有 効 な 近 代 化 へ の 道 で あ る 。 し 又 , 零 細 小 売 業 存 立 条 件 七 大 型 店 の 出 店 と は 必 ず し も ト ラ ブ ル 的 関 係 に な 4) つ い こ と も 分 析 さ れ て い る 。 今 回0 行 政 指 導 に よ り 大 型 店 出 店 ス ピ ー ド は 急 速 に 弱 ま る 。 そ の 間 の 僅 か な 時 間 を , 次 の 新 し い 競 争 段 階 に 向 か っ て 備 え を 立 て 直 す 努 力 を 急 が ね ば な る ま い 。 (4) 大型店規制と消費者 大店法に 消費者利益の確保が うたわれていながら,実質的には無視されて きた。今回の行政指導に よる大型店規制 も全く中小小 売商保護の立場からで あ り,消費者 ニーズの変化への対応には 極めて無関心であ る。 消費者の購買行動に も買物の効用と非効用の別が顕 著に な り,主婦の買物 において,楽しい 買物, 楽しくない買物として次の如 き品 目が上げられてい 5) る。 楽し く ない 買 物 品 目, 楽しい 買物 品 目 衛生 用品, 薬 品, タ オル, 石 鹸, 電 気製 品, 台 所 用 品, 食品, 化 粧 品(最寄品,日常品) 衣類,家 具,敷物,食器,靴, ハン ドバ ッグ,草花 鉢植, アクセサi; ー 従って,非効用性の買物のためには買物の能率化が必要であり,それにふ さわしい小売形態もあ る。 大型店規制を 単に中小小売商保護の発 想のみに短 絡す ると,やがて,消費 者からの批判を 浴びることになろ ‰ 大型店の出店スピ ードの鈍化は新卒の 雇用数に も影響するし,投資効果に もかげ りが出よう。 消費者がいつまでも 黙ってもい まい。 大型店規制に より大型店からは守 りえて 乱 消費者 から のボイコットに 身 をさらすことに なったのでは何のための大型店規制か判らなくなってしま う。 (1982年2 月15口) 1) われわれ の グル ープが約8 年前,東京都内区部某商店 街に おい て経営 者調査を した 際の意識 と態度 のずれを示 す。参考とし て。2 ) 日本商店連盟 副会 長三浦正義氏談「 街づ くりに新たな 分担 ……」( 座談会)」 日
経流通新聞,2 月1 日。3
) 田村正紀氏「大型店問題は解決しうるか」消費と流通Vol. 6, No. 1, p. 26.4 ) 田村正紀氏「大型店問題」千倉書房,第5 章,p. 103.5
) 佐橋慶氏「奥さんから外さんヘー 外出主婦が市場を活性化する」消費と流通 Vol. 5, No. 3, p. 91.