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層状無機化合物の層間有機分子配向と乳化特性―エマルションの構造安定性に及ぼす層間電荷密度の影響― 利用統計を見る

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(1)

層状無機化合物の層間有機分子配向と乳化特性―エ

マルションの構造安定性に及ぼす層間電荷密度の影

響―

著者

清田 佳美

著者別名

SEIDA Yoshimi

雑誌名

東洋大学紀要, 自然科学篇

57

ページ

73-81

発行年

2013-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005994/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

東 洋 大 学 紀 要 自 然 科 学 篇 第57号・ 73-81 (2013)

層状無機化合物の層間有機分子配向と乳化特性

ーエマルションの構造安定性に及ぼす層間電荷密度の影響ー

清 田 佳 美 *

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緒言

粘土に代表される層状化合物の層聞に有機分子やコロイドを導入することによって様々 な機能(吸着、分子認識、活性化)を発現する新規な層間化合物を創製することに期待が 寄せられている。ホスト層ならびにその層聞に導入する有機分子の選択および有機分子の 層聞に於ける配向調整が新機能発現の要となる。これまで、有機分子を層聞に導入した層 状無機化合物の層間における有機分子の配向形態と発現物性について体系的な研究がなさ *)東洋大学自然科学研究室112-8606東京都文京区白山 5-28-20 * 、

(3)

7

4

清 田 佳 美 れている(高橋、 2006;上回、 2008、小川、 2010、柴田、 2012)。本研究では、アルキ ルアンモニウムと中性界面活性剤を導入した粘土化合物の層間分子配向調整と層内に形成 されるパラフィン形態の分子層を利用した流動パラフィン(パラフィンオイル)の乳化に ついて検討を行った。界面活性剤である乳化剤の構造的安定性は、乳化物の構造安定性に 直結する (Fig.1)。乳化物形成時の乳化剤構造の影響が大きいと考えられるものの、その メカニズムは依然不明の点がある。そこで、 本報では乳化物の安定性に及ぼす粘土層間化 合物の層電荷の影響を調べた。 エマルション 緩鈎的 不安定 熱的 欄 剛 岡 崎 静静 治水分間

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Fig.1 エマルジョンの不安定挙動の例

2

.試料ならびに実験方法

転ttJ 層状無機化合物としてクニミネ工業株式会社製のモンモリロナイト(Mont)およびサポ ナイト (Sapo)を用いた。それぞれ層電荷は1.0meq/g,0.8meq/gである。有機分子の導入方 法は山口らの方法に従った(山口、 1997)。所定量のモンモリロナイトもしくはサボナイ トをジメチルジステアリルアンモニウム (DSDMAC)水溶液中に分散し、イオン交換法に より層聞に DSDMACを導入した(有機変性粘土:Organo-clay)。モンモリロナイトを用い た試料は MontDSDMAC,サポナイトを用いた試料は SapoDSDMACと略記する。本誌料 を洗浄、乾燥、粉砕したのち、流動パラフィン (LP)の乳化を行った。この際、中性界面 活性剤であるポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル (PEG-NPE:PN)を少量添 加し、さらに乳化用のイ ンペラを用いて強撹枠しながら試料に水を徐添することによって 乳化を行った。上記操作の各段階で得られる層間化合物の構造 (面間隔)をX線粉末回折 (XRD)により分析した。層間に導入した有機物の安定性について、 示差熱重量天秤 (TG-DTA)を用いた熱分析による評価を行った。さらに、乳化物の構造を透過型ノマルスキー 式微分干渉顕微鏡にて観察した。Fig.2に乳化物の作製手順を示した。

(4)

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Fig.2粘土層間化合物およびこれを用いた乳化物の作製手順

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結果と考察

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Fig.3に 粘 土 試 料100gに 対 す るDSDMACの 交 換 量 と 得 ら れ た 粘 土 層 間 化 合 物 (MontDSDMAC, SapoDSDMAC)の面間隔の関係を 示した。100mg/100g付近の交換量 までは面間隔がほぼ直線的に増大 し、その後、一定の値となっている。 これは、導入する DSDMAC量に応 じて、層聞に配向角度の異なる分 子層が形成されることを示してい る。DSDMACの導入量に対する面 間隔の増加は、層電荷の大きなモ ンモリロナイト(電荷密度1meq/1g) の方が層電荷の小さなサポナイト (電荷密度 0.8meq/1g)よりも大きい ことがわかる。面間隔の大きな領 4

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(5)

佳美 域では、 DSDMACはパラフインタイプの分子層を形成することが報告されている(山口、 1997)。アルキルアンモニウムは粘土層間でアルキル鎖聞の疎水性相互作用によってアル キル鎖同士がバンドルする形で配向規制される。その配向角はアルキルアンモニウムの導 入量に依存することが特徴である。PEG-NPE(PN)の導入 (PN/Cla

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O.2)によって、粘土の 底面間隔はいずれもさらに増加し、高角度の配向が得られている (Fig~3)0 DSDMAC導 入量の少ない試料において、 PNの添加による著しい面間隔の増加が認められた。これに より、 PN自身も粘土層聞にインターカレーションすることが示された。 PNはDSDMAC を導入していない粘土にも吸着するが、 PNのみを吸着した粘土を用いた場合のパラフィ ン乳化物は DSDMACを導入した有機粘土と比べ構造的に不安定なものであった。 清田

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2熱的構造安定性

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5にモンモリロナイトおよびサポナイト有機変性粘土の DTA曲線を示す。PN は粘土に吸着することにより熱的安定性が高くなることが DTA曲線の高温側シフトによ り確認できる。また、 DSDMACのインターカレーションによってできた有機変性粘土 (MontDSDMAC

SapoDSDMAC)のDTA曲線との比較により、有機変性粘土に吸着した PNの熱安定性はさらに向上していると考えられる。面間隔の変化や吸着した PNが熱的 に安定になるという事実から、粘土層間で配向規制された DSDMAC上に吸着した PNの 配向も規制され、足場にしっかり固定された状態で層間内に存在するものと考えられる。 以 V 糾 桝 叡 /ρ

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(PN/Clay=O.2)したサポナイト、 SapoDSDMAC・DSDMACを飽和インターカレーションしたサポ ナイト、 SapoDSDMAC

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PN : PN吸着したSapoDSDMACでPN/Clay=O.2)

Fig.5

乳化特性と構造

PNを吸着した各有機変性粘土に流動パラフィンを添加し、乳化用インペラを用いて高 速撹枠することによりクリーム状の粘度の高いエマルションを得た。DSDMACをインター カレーションしてパラフィン様構造の分子層を粘土層聞に形成している面間隔の大きい 試料すなわちDSDMACの多い有機変性粘土は、粘度の高いエマルショ ンを形成した。乳 化物の各作製段階に於ける試料の透過型微分干渉顕微鏡写真をFig.6に示す。乳化物では 10μm程度の水滴が分散したW/O型のエマルションを形成している様子が観察された。 また、モンモリロナイトを用いた試料のエマルジョンは、サポナイトを用いたエマルショ ンに比べ、液滴のサイ ズが大きく均一に連続 相中に密に分散してい る様子が観察された。 この密に分散する構造 がエマルションの構造 安定'性に係っていると 考えられる。また、こ の結果は、電荷密度の 高いモンモリロナイト に於いて安定なエマル ションを形成すること を示唆する。 Wllhout Clay 厳司E碕‘大 ω;λ>-7;'

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79

ニズムの詳細は不明確で、あるが、 PNが吸着することによってさらに層聞が聞くことから、

タイトに組織化している層間有機層にはパラフィンは入りにくいが、 PNによって広がっ

た層聞には入り易いと考えられる。また、 PNの相溶性という化学的な親和性によりパラ

フィンが導入されると考えられる。

Figs.8,9に、 MontDADMACおよび、 SapoDSDMACを用いて調整した乳化物の粘度に及 ぼす含水率、 PN導入量の影響を示す。いず、れも流動パラフィン (LP)10gに対する PNおよ び水の添加量の関数として表している。PNを添加していない有機変性粘土からなる乳化 物は、粘性が低く構造的に不安定(時聞が経過すると二相分離してエマルションは壊れる) である。 PN 量が ~2.5% 程度までは、含水率の増加とともに乳化物の粘度も単調に増加す る。PNの添加量が増加すると (5%)、含水率 20%付近で粘度ピークが観察されるが、再度、 含水率の増加とともに乳化物の粘度は上昇する。一方、 PNをさらに多量に添加すると乳 化物の粘度はあがらなくなってしまう。これらの挙動はモンモリロナイトよりもサポナイ トに於いて PN吸着量に敏感で、あることが分かる (Fig.9)。クリーム様の固い乳化物を得 る場合には PN添加量は 2%程度であることが望ましいと分かる。また、乳化物の粘度は 層内電荷密度の高いモンモリロナイトにおいて高い。 Fig.10に乳化物における 有機変性粘土添加割合と 乳化物の粘度の関係を示 す (MontDSDMAC

+

PN, LP=10g, PNILP = 0.01に固 定)。当然で、あるが、添加 する粘土層間化合物の量 が増加するにつれてエマ ルションの粘度は増加す る。特に、粘土量が多い 10%以上の条件では、水 の添加により急激に粘度 が上昇する傾向が見られ た。 120 20 40 紛 織 } 11治 Wa!crcootcnl

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-一 二 u 一 ム Z , h c h z f f 40(J1 )UOI 1001 乳化物の粘度に及ぼす粘土添加量 Fig.10

乳化物の熱的安定性

Fig.11に作製した乳化物の熱安定性を示した。所定温度において保存した乳化物の粘度 を測定した結果を示している。本エマルションは熱的に高い安定性を示した。高い粘度を 有する乳化物 (PN=~4% (モンモリロナイト)、~ 2% (サポナイト)は高温でアニー リングするとより粘度の高い乳化物を生成する。アニーリングにより、層聞の界面活性剤 の配向秩序が高まり一層構造的に安定化する(熱処理によるエントロビー効果)ためと考 えられる。また、エマルションの均一化が見られた。本結果からも、層電荷密度の高いモ

3

.

4

(9)

8

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ンモリロナイトを用いた乳化物の 方が層電荷密度の小さなサポナイ トよりも粘度の高いエマルション を生成しており、安定なエマルショ ン形成において、粘土の層電荷が 重要な因子であると分かった。

3

.

6

乳化物の構造

Fig.12に本研究で用いた粘土層 間化合物からなる乳化剤のエマル ション形成機構の模式図を示した。 山口らが提案しているように、層 間化合物は水滴の周りを囲むよう に界面を形成していると考えられ る(山口、 1997)。 特 に 、 層 状 無 機化合物に固定された界曲活性剤 であることによって、この界面構 造は力学的に安定なものが形成さ れていると考えられる。そのため、 非常に高い粘度のエマルションが 形成できると考えられる。

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結論

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Fig.12 粘土化合物の乳化構造模式図 山口らが報告しているように、粘土により配向制御した界面活性剤を用いることによっ て、少量の界面活性剤によりパラフィンオイルー水系の乳化(安定な W/Oエマルションの 形成)が可能で、ある。熱分析の結果、この乳化物は、界面活性剤を粘土層聞に包括するこ とによって、その構造的安定性をえていると考えられる。界面活性剤の包括によってパラ フィンオイルを粘土層聞に安定的に導入することが可能となる。その乳化物は、界面活性 剤/粘土 =0.2付近において安定な乳化物を形成する。乳化特性は、粘土の層電荷に依存し、 層電荷の大きな粘土のほうが安定な乳化物を形成する。

(10)

Emulsification by organo intercalation clay compounds

8

1

謝辞

本研究において、クニミネ工業株式社より粘土試料を提供して頂いた。エマルジョン試 料の撮影はオリンパス工業株式会社にて透過型微分緩衝顕微鏡を使用させていただいた。 高粘度試料の乳化手法については山口道広氏(元側資生堂中央研究所)にご教示いただい た。ここに記して謝意を表する。

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粘土鉱物を利用した新しい乳化技術、表面,

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