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助産師の職業生活の変化の様相と職業生活の変化に影響する要因

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Academic year: 2021

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論文要旨

看護学専攻 分野名 広域実践看護学分野 主研究指導 教員名 成田伸 教授 学籍番号 DN1202 氏名 北川良子 論文題目 助産師の職業生活の変化の様相と職業生活の変化に影響する要因 ASPECTS OF CHANGE IN THE WORKING LIVES OF MIDWIVES AND

FACTORS AFFECTING THE CHANGE 1.目的 本研究の目的は,助産師の職業生活の変化の様相と職業生活の変化に影響する要因を明ら かにすることによって,助産師キャリア支援のための示唆を得ることである。 なお,本研究における職業生活の変化とは「職業生活の内容,職業生活を送る場所,雇用 形態のいずれかが変化すること」と定義した(平井,2009;若林,1985)。職業生活の変化の 様相は「職業生活の開始から現在に至るまでに生じた職業生活の変化の全体的様子」と定義 した。 2.研究方法 1)研究対象者 対象者は助産師免許取得後 10 年以上経過し,離職や転職の経験が 1 回以上ある 30 歳代か ら 40 歳代の助産師とした。2 つの都道府県助産師会を通じて募集した。 2)データ収集内容及びデータ収集方法 承諾の得られた対象者に対し,年齢,助産師基礎教育機関の種類,助産師免許取得後から 現在にいたるまでの職業生活の変化等についてフェイスシートに記入を依頼した。その内容 を確認しながら,職業生活の変化があった時点の状況や理由について,インタビューガイド を用いて半構成的面接を実施した。 3)分析方法 (1)職業生活の変化の様相の分析 ①事例毎に,フェイスシートと逐語録から,職業生活の変化を抽出して経年的に整理し, 職業生活の内容及び職業生活を送る場所,雇用形態の変化に着目し,職業生活の変化の 全体を表し,職業生活の変化の様相とした。 ②全事例の職業生活の変化の様相を類似性により分類し,分類されたグループ毎に特徴を 表した。 (2)職業生活の変化に影響する要因の分析 ①看護職のキャリアに関する研究(平井,2009;Johnson, 2012;Schein,2012)から,職 業生活の変化に影響する要因には,自身に関連すること,家族に関連すること,職場や 周辺に関連すること(以下,それぞれ『自己要因』,『家族要因』,『周辺要因』とする) があり,これを分析の枠組みとした。 ②各事例の逐語録から職業生活の変化に影響したことを示す文脈を抽出した。抽出した文 脈の内容を意味内容が明確になるように要約しコードとした。コードを類似性によって 集約し,その内容をそれぞれ表した。それを意味内容が損なわれない程度まで抽象度を 上げ,最終のものをカテゴリー,その一つ前のものをサブカテゴリーとした。 ③生成したカテゴリーを『自己要因』,『家族要因』,『周辺要因』に分類した。 3.結果 研究対象者は 9 名であった。年齢は 31 歳から 48 歳であり,助産師基礎教育機関の種類は 全員が専修学校であった。

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- 2 - 1)職業生活の変化の様相 職業生活の変化の様相は,①病院で分娩を含む周産期ケアから,地域で分娩を含む周産期 ケアと育児支援に移行する,②病院で分娩を含む周産期ケアから他の場所に移動した後に, 病院・診療所において分娩を含む周産期ケアに戻る,③病院で分娩を含む周産期ケアから, 地域における育児支援中心の助産ケアに移行する,の 3 グループに分類された。全ての職業 生活の変化の様相が病院における分娩を含む周産期ケアから開始されていた。 2)職業生活の変化に影響する要因 職業生活の変化に影響する要因として,1094 のコードから,95 のサブカテゴリー,23 の カテゴリーが生成された。 『自己要因』は,【様々な内容の助産実践を実施したいという価値観】,【助産実践から得 るやりがいの実感】,【助産師としての不全感】,【周産期から育児期へ広がる助産師観】,【職 業生活継続の職業観】,【家族・生活を優先する職業観】,【子育て・家事の比重増加】などの 8 カテゴリーであった。『家族要因』は,【仕事をすることへの家族の抵抗】,【子育て・家事 の増大】,【家族のライフイベント】などの 5 カテゴリーであった。『周辺要因』は,【助産が 中心となる職場の状況】,【助産実践への誘い】,【先輩助産師の見守りと支援】,【周辺からの フレキシブルな働き方の提示】,【助産師同士のつながり】,【助産実践への思いを強める人や 出来事との出会い】,【職場からの人事提示】などの 10 カテゴリーであった。 4.考察 結果から,助産師のキャリア支援について以下の2点が示唆された。 1)就業早期のキャリア支援 本研究により明らかになった助産師の職業生活の変化の様相は,全て病院における分娩を 含む周産期ケアから開始され,その後,地域で分娩を含む周産期ケアと育児支援,他の場所 に移動した後に病院・診療所において分娩を含む周産期ケアに戻る,地域における育児支援 中心の助産ケア,に分かれていた。この結果から,就業早期から,このような職業生活の変 化の様相があることを認識しておくことが,【子育て・家事の比重増加】や【家族のライフ イベント】などにより職業生活を継続するか否かの岐路に直面した際に,職業生活の継続を 可能とする選択をしていくことにつながると考えられる。具体的には,職業生活の変化に影 響する要因に【助産師同士のつながり】や【助産実践への思いを強める人や出来事との出会 い】があったことから,助産師ネットワークを持ち続けることの大切さを伝えることや,病 院・診療所・地域の様々な場における周産期ケアの経験をもつ助産師と地域における育児支 援の経験をもつ助産師,両者との交流を促すことが助産師のキャリア支援につながると考え られる。 2)助産師基礎教育から行うキャリア支援 職業生活の変化に影響する要因には【周産期から育児期に広がる助産師観】があった。こ のことから,助産師基礎教育においても,本研究により明らかになった助産師の職業生活の 変化の様相を学生に示し,助産師の職業生活には分娩を含む周産期ケアの実践と地域におけ る育児支援中心の実践があることを強調することにより,学生の助産師観を広げておくこと が,助産師のキャリア支援につながると考えられる。 また,職業生活の変化に影響する【助産師同士のつながり】をもつために,共に学んだ同 級生や教員とのつながりを大事にしていくことを伝えていくこともキャリア支援として重 要であると考えられる。 キーワード :助産師,職業生活,キャリア支援,キャリア開発 KEYWORD : MIDWIFE ,WORKING LIFE ,CARRIER SUPPORT,

参照

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