援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルの妥当性の検討
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(2) 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルの妥当性の検討 本 田 真 大*. Examination the validity of the intervention model based on the process of help-seeking behavior. 要 約 本研究の目的は援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルである本田(2015a,2017a)について詳 細に検討し,介入モデルとしての妥当性を検討することである.本田(2015a,2017a)のモデルについ て,援助要請の定義の構成要件,既存のモデルとの比較検討,援助要請諸概念(援助要請態度,援助要 請意図,援助要請意志,援助要請行動)との関連,既存の研究知見との関連,を行い,モデルの理論的 及び臨床的な妥当性を検証した.これらの展望と理論的検討により,本田(2015a,2017a)のモデルが 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルとして一定の妥当性を有し,かつ援助要請に焦点を当てた カウンセリングの実践においても有用なものであると結論づけられた.本研究の課題として,提案され たモデルに関する実証研究や援助要請の規定因との関連を検討することなどが挙げられた.. 問題と目的. 一人で解決できないときに他者に援助を求める」. 自分一人で解決できないことを他者に頼んだり, (最適性)状態である.もう1つの研究の関心は 悩みごとを誰かに相談したりすることに関する心. 援助要請行動を実行してからその後の結果(個人. 理は援助要請と呼ばれる.援助要請研究は1980年. の精神的健康など)への影響過程に関する研究で. 代から始まり,当初の研究は大学生や成人を対象. あり, 「人はどのように援助を求めると健康にな. とし,心理援助の専門家への援助要請を扱うもの. るのか?」という問題意識を扱う研究である.こ. が多かったが,現在では幼児期から青年期(本田, れは援助要請行動の結果が本人にとって否定的で 2015b) ,そして子育てをする親(本田・本田,. ある(非機能性)状態から,望ましい結果が得ら. 2016;本田,2017b)などにも対象が広がってい. れるような援助要請行動の在り方(機能性)を追. る.. 究する研究と言える.また,前者の最適性に関す. 援助要請研究には大きく2つの方向性がある.. る研究は援助要請行動の量に注目し,後者の機能. 1つは個人が一人で解決することが困難な悩みや. 性の研究は質に注目している点が特徴である.こ. 問題状況に遭遇してから援助要請行動を行うまで. れらの双方の研究から,援助要請研究の最終的な. の過程に関する研究であり, 「人はなぜ援助を求. 目標は最適で機能的な援助要請行動であると考え. めないのか?」(過少性) , 「人はなぜ援助を求め. られる.. すぎるのか?」(過剰性)という問題意識を扱う. 援助要請行動に関する研究の多くは過少性に関. 研究である.これらの研究がめざすのは, 「自分. するものであり,援助要請行動の規定因の解明が. *. Masahiro HONDA:北海道教育大学 キーワード:援助要請,被援助志向性,援助要請に焦点を当てたカウンセリング,妥当性. 23.
(3) 学校臨床心理学研究 第15号(2017年度). 目的とされる(例えば,水野・石隈,1999) .規. は慎重さを伴う対人コーピングである」 ,Srebnik,. 定因に関する研究では,個々の要因が援助要請行. Cause,& Baydar(1996) は「 援 助 要 請 と は 情. 動に与える影響を検討する研究から様々な規定因. 動的または行動的問題を解決する目的でメンタル. を包括的に扱った研究が行われたり(例えば,永. ヘルスサービスや他のフォーマルまたはイン. 井,2010),援助要請行動の生起過程を説明する. フォーマルなサポート資源に援助を求めることで. モデルを構築する研究が行われたりしている(例. ある」,Millman(2001)は「援助要請とは彼ら. えば,相川,1989).そして,近年ではこれらの. 自身または重要な他者によって援助が必要である. 援助要請行動の生起過程に関する研究知見に基づ. と査定され,その査定を受け入れて,援助を求め. いて,援助要請行動の過少性を解消する(援助要. ることに意味を見出した人の反応である」 ,など. 請行動を促進する)ための介入研究が行われてい. である.学業的援助要請については,中谷(1998). る.それらの介入研究は医療や教育の領域で集団. が「学習において,困難に直面し,自分自身で解. を対象に実施されるものが多い.しかし,介入効. 決が難しいと感じたとき,必要な援助を他者に求. 果は十分とは言えず,また援助要請が変容するメ. める行動」としている.水野・石隈(1999)は被. カ ニ ズ ム も 明 確 で は な い( 例 え ば,Deane,. 援助志向性を「個人が,情緒的,行動的問題およ. Wilson,& Russell,2007) .したがって現状とし. び現実生活における中心的な問題で,カウンセリ. ては援助要請への介入研究が増加する一方で理論. ングやメンタルヘルスサービスの専門家,教師な. 的検討が不十分であると言える.さらに,近年で. どの職業的な援助者および友人・家族などのイン. はニーズがあるにもかかわらず自ら援助を求めな. フォーマルな援助者に援助を求めるかどうかにつ. い個別事例に援助要請の理論や研究知見を適用す. いての認知的枠組み」と定義し,個人がこのよう. る実践が報告されている(本田,2015a;水野,. な援助者に援助を求める行動を被援助行動と定義. 2016) .本田(2015a,2017a)は援助要請の生起. している.. 過程に基づくモデルを用いてアセスメント行い,. これらの定義や援助要請に関する記述を比較す. 援助方針を立て,事例に即した具体的な援助案を. ると,①問題の認識,②自己解決の困難さ,③援. 立案する事例を多く報告している.しかし,本田. 助の必要性,④援助を求める行動,という4つの. (2015a,2017a)で紹介されているアセスメント. 構成要件が認められる(Table 1).援助要請行動. モデルの根拠は明確とは言えない.. の生起過程に関するモデルを構築する上では,こ. そこで本研究では本田(2015a,2017a)による. れら4つの構成要件は援助要請の定義上欠かせな. 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデル(以. いと言えよう.. 下,介入モデル)について,他の理論モデルや援. 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデル. 助要請の先行研究との比較・検討を通して,援助 要請に焦点を当てたカウンセリング(本田・水野, 2017)の実践における妥当性を検討することを目. 1.介入モデルの提案と既存のモデルとの比較. 的とする.. ⑴ 既存のモデルにおける援助要請の構成要件の 位置づけ. 援助要請行動の定義の構成要件. 援助要請行動の生起過程に関する先行研究とし て,高木(1997)は自尊心脅威モデル(Fischer,. 典 型 的 な 援 助 要 請 行 動 に つ い て,DePaulo. Nadler,& Whitcher-Alagna,1982)などを参考. (1983)は「個人が解決しなければならない問題. に詳細な過程を提案している.メンタルヘルスの. やその必要があり,他者により時間,努力その他. 問 題 に 関 し て は 援 助 要 請 経 路(help-seeking. の資源が与えられるならば解決が可能であるとき. pathways)の概念からモデル化がなされ(Srebnik. に,他者に直接援助を求めること」と言及してい. et al.,1996),近年では具体的な臨床実践への示. る.その後の研究では様々な定義や表記が見られ. 唆に富む知見も得られている(例えば,木村・梅. ている.例えば,Nadler(1990)は「援助要請と. 垣,2011). 24.
(4) 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルの妥当性の検討. 援助要請行動の構成要件を基に主要なモデル同. 設定していないモデルもあった.第三の「他者の. 士の対応を見ると(Figure 1) ,第一の構成要件. 援助の必要性」は,モデル上では援助要請の意思. である「問題の存在の認識」は全てのモデルに共. 決定の過程として位置づけられており,内容は異. 通して含まれている.第二の 「自己解決の困難さ」. なるものの比較したモデル全てにおいて共通して. にはモデル間で若干の相違が見られ,この段階を. 含まれていた.最後の第四の構成要件である「援. Table 1 援助要請行動の定義に含まれる構成要件 援助要請行動の主な定義 DePaulo (1983). Nadler (1990). Srebnik et al. (1996). 中谷 (1998). 水野・石隈 (1999). Millman (2001). 問題の存在の認識. ○. △. ○. ○. ○. △. 自己解決の困難さ. △. 他者の援助の必要性. ○. 援助を求める行動. ○. 構成要件. 想定されている 援助要請の 状況及び特徴. 一般的な援 助要請の典 型. ○. ストレス コーピング. ○. △. △. ○. ○. ○. ○. ○. ○. 学業的問題. 情緒・行動 的及び現実 生活におけ る中心的な 問題. メンタルヘ ルスの問題. メンタルヘ ルスの問題. 注:○…定義に含まれている要件,△…直接は言及されていないが論理的に含まれる要件 注:水野・石隈(1999)では「被援助行動」. 構成要件 問題の認識. Srebnik et al.(1996). 木村・梅垣(2011)(一部改変). 高木(1997)(一部改変). 問題の認識. 問題の 生起と認識. 自己の問題への 気づき. 問題の重大性の 評価 自己解決 の困難さ. 問題への対処 自己の問題解決 能力の査定. 援助要請の 必要性の検討. 非援助要請の 利得・出費分析. 専門家への 援助要請の検討. 援助の 必要性. 援助を 求める行動. 援助要請の 意思決定. サポートネット ワークとサービス の利用パターン. 援助要請の 利得・出費分析. 援助要請の 意思決定. 友人・家族のみ への援助要請の 意思決定. 専門家への援助 要請の意思決定. 友人・家族への 援助要請意図. 専門家への 援助要請意図. 友人・家族への 援助要請行動. 専門家への 援助要請行動. 潜在的援助者 の探求. 援助要請の 方策の検討. 援助要請の実行. 援助要請行動への 応諾の評価. Figure 1 援助要請行動の生起過程に関するモデル間の比較. 25.
(5) 学校臨床心理学研究 第15号(2017年度). 助を求める行動」は全てのモデルに共通していた. & Rickwood,2005),そのために援助要請態度へ ⑵ 介入モデルの提案. の介入が有効であると考えられている(Vogel,. 本田(2015a,2017a)が提示する援助要請行動. Wade,& Hackler,2007).. の生起過程に基づく介入モデル(Figure 2)につ. 本モデルとこれらの援助要請諸概念の対応につ. いて検討する.このモデルは抑うつに対する援助. いて,援助要請行動は「援助要請行動」,援助要. 要請研究(坂本・田中・豊川・大野,2001;木. 請意図・意志は「援助要請の意思決定」の各段階. 村・梅垣,2011)のモデルとほぼ同様であるが,. と対応すると考えられる.ただし,本モデルは1. 援助要請の構成要件との対応を踏まえ,より簡潔. 回の行動が生起する過程のモデルであるため,モ. にしたものであると言える.. デル上は援助要請意図・意志は1回ごとの行動実 行の意思決定を意味するのに対し,援助要請意. 2.介入モデルにおける援助要請諸概念の位置. 図・意志の介入研究ではより特性的な行動傾向と. づけ. して測定されているという違いがある.特性的な. まず,援助要請の概念は,肯定的・否定的な態. 傾向としての援助要請意図・意志は1回の行動ご. 度や認知を含む援助要請態度,意思決定である援. との援助要請意図・意志と関連すると考えられ,. 助要請意図または援助要請意志,そして実際の行. 「援助要請の意思決定」の段階と対応する概念と. 動である援助要請行動に大別され(本田・新井・. して扱えよう.. 石隈,2011),これらが主要な介入対象となって. 援助要請態度は個人の有する特性的な傾向であ. いる(Gulliver,Griffiths,Christensen,& Brewer,. り,1回ごとの援助要請行動の過程全ての段階に. 2012).これらの概念間の関連について,援助要. 影響を与える可能性があるが,高木(1997)より,. 請行動を増やすためには援助要請意図・意志を高. 特に「援助要請の意思決定」の段階に影響すると. めることが重要となり(Wilson,Deane,Ciarrochi,. 考えられる.一方で,児童思春期の悩みの相談に. 【構成要件】. 【援助要請の状態】. 【介入の対象】 援助要請態度 (全体に影響). 問題の認識. 問題状況の認識. 援助が不要か,解決可能 なため援助要請意図・意志 が低く,援助要請行動が未 生起の状態 (援助要請態度は肯定的 または否定的). なし あり. 自己解決 の困難さ. 自己解決の 可能性の判断. 可能. 困難 援助要請の 必要性の検討. 援助の 必要性 身近な人への 援助要請の意思決定 強い. 援助を 求める行動. 不要. 必要. 身近な人への 援助要請行動. 専門家への 援助要請の意思決定. 強い 専門家への 援助要請行動 不実行. 実行. 実行. 自己解決が困難であって も援助要請意図・意志が低 く,援助要請行動が未生起 の状態 (援助要請態度が否定的). 自己解決が困難で 援助要請意図・意志は高 いが,援助要請行動が未 生起の状態 (援助要請態度が否定的) 自己解決が困難で援助要 請意図・意志が高く,援助 要請行動が生起した状態 (援助要請態度が肯定的). Figure 2 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデル. 26. 援助要請意図 援助要請意志. 援助要請行動.
(6) 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルの妥当性の検討. 関する実態調査において「相談したいがしなかっ. の想定と異なっていた.この想定は本研究で示す. た」者,すなわち援助要請意図がありつつ行動を. 介入モデルにおいても想定されているものである.. 起こさない者の存在が報告されている(佐藤・渡. また,Deane et al.(2007)の研究における援助. 邉,2013) .高木(1997)のモデルでは意思決定. 要請意図・意志の測定は特性的な個人の行動傾向. 後に援助要請の相手と方略を選択し,適切な相手. として測定しているのに対し,本研究で示すモデ. や方略がない場合には意思決定の段階などに戻る. ルの「援助要請の意思決定」は1回ごとの状況的. ことを想定している.このように意思決定から行. な援助要請意図であり,両者は異なっている.と. 動の間にも様々な要因の影響が想定され,援助要. はいえ,前述のように特性的な行動傾向は1回ご. 請態度も影響する可能性がある.. との状況的な援助要請意図にも影響すると考えら れるため,Deane et al.(2007)の研究結果が得. 3.介入モデルの妥当性. られた理由は本研究の介入モデルによっても十分. ⑴ 理論的な妥当性. には説明できない.この点は本モデルの限界と言. まず,本モデルが援助要請の定義の構成要件す. わざるを得ない.. べてを満たしていることは援助要請の心理を説明. このように,本モデルを用いることで先行研究. するモデルとしての妥当性を支持する点である.. で仮説や理論上の想定通りの効果が見られなかっ. 次に,本モデルとメンタルヘルスの問題に関す. た点を限定的にではあるが説明できる.また,介. る援助要請の介入研究との関連を検討することで. 入効果には上記の説明以外の外的要因も影響して. 本モデルの妥当性を検証する.これまでの援助要. いる可能性があり,すべてをこのモデルで説明で. 請への介入研究の中で仮説や理論上の想定と異な. きるわけではないと考えるのが適切であろう.. る 介 入 効 果 が 得 ら れ た も の が あ る. 例 え ば. ⑵ 臨床的な妥当性. Rickwood,Cavanagh,Curtis,& Sakrouge. Figure 2に示されているように,本モデルでは. (2004)は14~18歳の子どもを対象に,援助要請. 既存のモデルと異なり,援助要請しない状態をモ. 態度と関連するメンタルヘルスリテラシーとス. デルに明示している.その理由は,援助要請への. ティグマへの介入を行った結果,メンタルヘルス. 介入が必要な状態を詳細にアセスメントし対象者. リテラシーの向上とスティグマの低減の効果は. に沿った援助を行うという臨床的な利用価値を高. あったものの援助要請意図への効果は小さかった. めるためである.本モデルで示される「援助要請 この研究結果を本研究で提案する介入モデルに. の状態」に基づいて援助要請の心理をアセスメン. 沿って考察すると,前述のように援助要請態度は. トし具体的な援助を行う実践が複数報告されてい. 援助要請意図,つまり「援助要請の意思決定」に. る.それらの実践の対象者は,子ども(本田,. 強 く 影 響 す る と 想 定 さ れ る.Rickwood et al.. 2015a,2017a),保護者(2014a,2015a),教師(本. (2004)の研究ではメンタルヘルスリテラシーと. 田,2014b),と様々である.さらに,本田(2017a). スティグマの変容は認められたものの,援助要請. はこのモデルを活用した子ども集団対象のいじめ. 態度の十分な変容には至らなかったために,援助. 未然防止活動を開発している.様々な対象者や問. 要請意図への効果が小さかったと思われる.しか. 題状況に対して本モデルが適用され得ることが示. し,現状としては援助要請態度への介入に有効で. 唆されていることから,本モデルを臨床実践で使. あると考えられている変数がメンタルヘルスリテ. 用できるという点において,一定の妥当性がある. ラシーとスティグマであるため(本田,2015a) ,. と考えられる.. 援助要請態度の変容に有効な変数の同定や介入方. 本研究のまとめと今後の課題. 法の改良が求められよう. 別の研究として,Deane et al. (2007)の介入 研究では援助要請態度に変化がなかったにもかか. 1.本研究のまとめ. わらず援助要請意図が向上しており,援助要請態. 本研究では本田(2015a,2017a)で用いられて. 度が援助要請意図・意志に影響するという理論上. いる援助要請行動の生起過程に基づく介入モデル 27.
(7) 学校臨床心理学研究 第15号(2017年度). ことも臨床実践の上では求められよう.. について,援助要請の定義,先行研究との関連, 理論的及び臨床的妥当性の点から検討した.その. 引用文献. 結果,これまでの援助要請研究の知見とも整合す るという点から理論的にある程度妥当であると考 えられ,実践事例の報告から臨床的にも一定の妥. 相川充(1989).援助行動 大坊郁夫・安藤清志・. 当性を有したモデルであることが示された.. 池田謙一 社会心理学パースペクティブ1 個. 本研究で提案された介入モデルの特徴として,. 人から他者へ 誠信書房,291-311.. 援助要請行動の定義の構成要件をすべて満たすこ. Deane, F., P., Wilson, C., J., & Russell, N. (2007).. と,援助要請の主要な概念である援助要請態度,. Impact of classroom presentations about. 援助要請意図・意志,援助要請行動との対応を示. health and help-seeking on rural Australian. していること,援助要請しない状態をモデルに含め. adolescents’intentions to consult health care. ることで援助要請への介入に寄与すること,が挙. professionals. Journal of Adolescence, 30, 695-. げられる.本田・水野(2017)は援助要請に焦点. 699.. を当てたカウンセリングの概念化をしており,本研. DePaulo,B.M. (1983). Perspectives on Help. 究の介入モデルは援助要請行動の最適性を高める. Seeking. DePaulo,B.M.,Nadler,A.,&Fisher,J.D.. 介入のモデルとして活用できるものと言えよう.. (Eds.), New Directions in Helping Volume 2 help-seeking. New York:Academic Press. pp.3-. 2.今後の課題. 12.. 今後の課題として以下の4点が挙げられる.第. Fischer, J. D., Nadler, A., & Whitcher-Alagna, S.. 一に,本研究で提案されたモデルは理論的な検討. (1982). Recipient reactions to aid. Psychological. と臨床実践での使用という点から妥当性が支持さ. Bulletin, 91, 27-54.. れたが,実証研究によってモデルを検証する必要. Gulliver, A., Griffiths, K. M., Christensen, H., &. があろう.第二に,本モデルは援助要請行動の過. Brewer, J. L. (2012). A systematic review of. 少性に関する研究知見と臨床実践から構築された. help-seeking interventions for depression,. モデルであり,過剰性については十分検討されて. anxiety and general psychological distress. BMC. いない.援助要請行動の過剰性に関する研究自体. Psychiatry, 12: 81.. が少ないために検討が難しいとはいえ,この介入. http://www.biomedcentral.com/1471-. モデルで援助要請行動の過剰性を説明できるかど. 244X/12/81(2012年10月11日). うかも検証することが課題である.第三に,本研. 本田真大(2014a).子育ての悩みを相談しない保. 究では介入モデルと援助要請諸概念の位置づけは. 護者へのアプローチ 子育て支援と心理臨床,. 明確にすることはできたが,木村・梅垣・水野. 10,144.. (2014)の研究のように,モデルに含まれる各段. 本田真大(2014b).「助けて」と言わない教師, 「助. 階にはそれぞれに影響を与える要因があると想定. けて」が届かない学校―援助要請の心理学から. される.本モデルを実証するための研究と合わせ. 見えること― 児童心理,68(12),19-24.. て,本モデルと先行研究で明らかにされている援. 本田真大(2015a).援助要請のカウンセリング―. 助要請の規定因の関連を検討することで,モデル. 「助けて」と言えない子どもと親への援助― . の各段階に介入するために有用な変数を同定する. 金子書房. ことができるであろう.第四に,本研究では個人. 本田真大(2015b) .幼児期,児童期,青年期の. 内過程のみに焦点を当てているが,実際の介入に. 援助要請研究における発達的観点の展望と課題. おいては環境要因へのアプローチ (環境調整など). 北海道教育大学紀要(教育科学編),65(2),. も不可欠であろう.今後は本モデルを精緻化し質. 45-54.. 的・量的研究を通して妥当性を高めるとともに,. 本田真大(2017a).いじめに対する援助要請のカ. 環境要因を取り入れた包括的なモデルを検討する. ウンセリング―「助けて」が言える子ども, 「助 28.
(8) 援助要請行動の生起過程に基づく介入モデルの妥当性の検討. 定因― 教育心理学研究,58,46-56.. けて」に気づける援助者になるために― 金子. 中谷素之(1998) .教室における児童の社会的責. 書房. 任目標と学習行動,学業達成の関連 教育心理. 本田真大(2017b) .親の援助要請 水野治久・. 学研究,46,291-299.. 永井智・本田真大・飯田敏晴・木村真人 援助. Rickwood, D., Cavanagh, S., Curtis, L., Sakrouge,. 要請・被援助志向性の心理学―困っていても助 けを求められない人の理解と援助― 金子書房,. R. (2004). Educationg Young People about. 38-46.. mental health and mental illness: Evaluating a. 本田真大・新井邦二郎・石隈利紀(2011) .中学. school-based programme. International. 生の友人,教師,家族に対する被援助志向性尺. Journal of Mental Health Promotion, 6 (4), 2332.. 度の作成 カウンセリング研究,44,254-263. 本田真大・本田泰代(2016) .子育ての問題に関. 坂 本 真 士・ 田 中 江 里 子・ 豊 川 恵 子・ 大 野 裕. する親の援助要請研究の展望 北海道教育大学. (2001) .地域における高齢者のうつ病及び自. 紀要(教育科学編) ,67(1),17-27.. 殺の早期発見・早期治療に関する研究―地域住 民はうつ病をどう認知し,だれに援助希求する. 本田真大・水野治久(2017) .援助要請に焦点を 当てたカウンセリングに関する理論的検討 カ. のか― 安田生命社会事業団 研究助成論文集,. ウンセリング研究,50,印刷中.. 37,161-168.. 木村真人・梅垣佑介(2011) .大学生の援助要請. 佐藤美和・渡邉正樹(2013).小学生の悩みとそ. 行動のプロセスとその関連要因 日本心理学会. れに対する援助要請行動の実態 東京学芸大学 紀要 芸術・スポーツ科学系,65,181-190.. 第75回大会発表論文集,407.. Srebnik, D., Cause, A. M., & Baydar, N. (1996).. 木村真人・梅垣佑介・水野治久(2014) .学生相 談機関に対する大学生の援助要請行動のプロセ. Help-seeking pathways for children and. スとその関連要因―抑うつと自殺念慮の問題に. adolescents. Journal of Emotional and. 焦点を当てて― 教育心理学研究,62,173-. Behavioral Disorders, 4, 210-220. 高木 修(1997).援助行動の生起過程に関する. 186.. モデルの提案 関西大学社会学部紀要, 29, 1-21.. Millman E. J. (2001). The mental health and biosocial context of help-seeking in. Vogel, D., L., Wade, N., G., & Hackler, A., H.. longitudinal perspective: The midtown. (2007). Perceived public stigma and the. longitudinal study, 1954 to 1974 American. willingness to seek counseling: the mediating. Journal of Orthopsychiatry, 71, 450-456.. roles of self-stigma and attitudes toward counseling. Journal of Counseling Psychology,. 水野治久(2016).必要な援助を求められる子ど. 54, 40-50.. もに―どうしても育てたい援助要請の力:第2. Wilson, C. J., Deane, F. P., & Ciarrochi, J., &. 部⑷学校や教師の援助要請― 外部機関とのつ ながり方 月刊学校教育相談,30(1),46-49.. Rickwood, D. (2005). Measuring help-seeking. 水野治久・石隈利紀(1999) .被援助志向性,被. intentions: properties of the general help-. 援助行動に関する研究の動向 教育心理学研究,. seeking questionnaire. Canadian Journal of. 47,530-539.. Counselling, 39, 15-28.. Nadler (1990). Help-seeking behavior as a. 付 記. coping resource: Michael Rosenbaum (Ed) Learned Resourcefulness: On Coping Skills, Self-Control, and Adaptive Behaviors New. 本研究は2014年度の日本コミュニティ心理学会. York: Springer, pp.127-162.. 第17回大会の口頭発表に加筆したものである.ま. 永井智(2010).大学生における援助要請意図―. た,本研究はJSPS科研費JP25780402の助成を得. 主要な要因間の関連から見た援助要請意図の規. て行われた. 29.
(9) 学校臨床心理学研究 第15号(2017年度). SUMMARY Examination the validity of the intervention model based on the process of help-seeking behavior. Masahiro HONDA (Hokkaido University of Education) The purpose of this study is to examine the validity of the intervention model based on the process of help-seeking behavior (Honda, 2015a, 2017a). The validity of this model was examined compared with the definition of help-seeking behavior, other models of help-seeking behavior, concepts of help-seeking (help-seeking attitude, intentions / willingness, and behavior), and recent researches about help-seeking. Through such examinations, it is suggested that the Honda (2015a, 2017a)’s intervention model is moderately valid, and it seems to be helpful as“Help-seeking Focused Counseling.”In the future research, the empirical research is needed.. Key words : help-seeking, help-seeking preferences, help-seeking focused counseling, validity. 30.
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