柔道における「絞め」の一考察
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(2) . 第 8 巻 第1号 C. 0月 = 日和35年1. 北海道学芸大学紀 要(第一部). 柔 道 に お け る 「絞 め」 の 一 考 察 田 直 忠 育研究室 学函館分校体 北海道学芸大 吉. n ne” ofJudo Naotada YosHIDA: A St udy of “Shi. l . 緒. 論. 「落ち」 柔道に於ける絞技の 生理学的 研究が 既に講道館 科学研究会 の中で 総合的に実施され, の, 生理的機構等, 其の他, 脳電図の 研究等が報告されて いる。 重要な問題 言うまでもなく, 絞めの, 「落ち」 の際の, 身体的 変化を生理学的に究明する事は した。 である。 そこで, 本研究は, 絞めについて 次の事項につ いて研究を進める事に 1 ) 絞めに於ける耐 久時間 (仮称) の測定 ( 2 ) 耐久時間 と, 身体的 面 (形態, 機能) の相関関係 ( 3 ) 一般運動部員と, 柔道部員の 耐久時間の比較 ( 4 ) 耐 久時間延長の可 能性につ いて ( 5 ) 各絞技に よる耐久時間の比較 ( 11 . 実. 方. 験. 法. 象. 1 ) 対. 北海道学 芸大学函館分校体育専攻生を被験者とした。 2) 実 験 期 間. 3 ) 以下につ いては, 昭和34年度後期の専門の柔道の 昭和32年6月 ~昭和34年12月。 実験 ( 30 分) をおいた。 5 3 ) の実 験の為に毎 週絞技の 練習に特定 時間 ( 時間を当て た。{ ノ~( 3 ) 絞めの方法. 1 2 1 ) )の測 ) ( 又実験( , 片十字絞と, 送襟綾を, 講道館科学 研究会 とほぼ同様な方法で行なった。 ゴム裏を頭部に巻 ト マンジ ェッ 定には, 絞技を施す場合の圧力 0腕力) を一定にする為, 血圧計の してみた き, 片十字絞と同じ側に圧力が加わ る様に 。 用いた 血圧計を 水銀式標準 エルマ 血圧計は 。 作 及び, 実際 子備テストの結果, ゴム裏を二つ 折りにして使用 した。 この場合, 血圧計の操 , の絞技の施術には常に著者 が当った。 4 ) 測. 定. 法. oos l ec 電気時計を使用 した。 測定に当り, 取は合図によって絞め / 時間の測定には, 山越製 1 我慢出来 なくなる瞬間)合図で直 の姿勢をとり, 第2 の合図により絞めを開始 し, 受が手をたたく( ちに絞を解 いた。. トの結果, 圧 マンシェ ッ トを使用 した場合も同様 な要領で行 なった。 但しこの場合, 子備テス プウォ ッ チ併用) 。 力 250 mmHg に上昇するまでの 時間は耐 久時間より 除いた (ストッ ’. d t Moment 5 ) 耐久時間 と身体的面 の相関関係は, PearsonsPro uc 2 3 ) 以 下 に つ い て は, Z 検 定) を 用 い た。 実 験(. - 18 -. Method に よ っ た。.
(3) . 柔道における 「絞め」 の一考察. 1 1 1 . 実験結果の考察 1 2 年度の実験(Tab l ) 昭和3 ( )によると, 絞技(逆十字絞)の耐久時間の平均は8 el 205 秒であ , l る。 こ れ に 比 べ て, マ ン シ ュ ッ トを 使 用 した 場 合(Tab 451 秒 で あ っ た ) の 耐 久 時 間 は, 平 均 33 e2 . 。 0 2 5 0 H こ の 場 合, 水 銀 柱 ~ 953 秒 で あ っ た mm g 上 昇 に 要 した 時 間 は 平 均 8 . 。. 後者の場合, 腕力(圧)を被験者に同一にする為に行なったのであるが, 前者に比べて圧力が可 成弱い。 つまり, 実際の絞技の場合は相当強力な圧力が 加わる事が つか っ た。 40 秒であり, 最低は6 又, マ ンジェッ トを使用 した場合の最高耐久時間は51 70秒であり, 可 , , 成大きな個人差がある事もわかった。 2 ) 絞技の耐久時間に関係があ ると考えられる, 形態的, 機能的項目を選定し, これの関係を ( l 調 べ て み た。 (Tab ) el ,2 .. l この結果, 片十字絞(Tab l こよ る 場合もマンシェッ ト使用( Tab )の場合も相関関係が見 eIH, e2 られなかった。 この事から, これ等の項目以外の因子が耐久時間に関係があるものと考えられた。 つまり, この場合は 「落ち」 易い人と, 「落ち- 1 にくい人とが従来あるわけで, ここに別な因 958 年講道館科学研究会紀要第1 輯により, 前述 子による個人差があると考えられる。 この事は1 4 ) の個人差は頚動脈洞 の知覚の敏感性に差異がある事がわかった。 これにより, 耐久時間も個々の顎動脈洞反射に密接な関係があるものと考えられる。 3 ) 以下の実験については, 第 1 週目に第1回の実験, 第7 週日に第2 回の実験, 第 1 3 週目 ( に最後の実験を行なう子定を立て実施 したが, 授業の都合で最後の第3回の実験は出来なかった。 従って実験の結果は第 1回目と第 2回日の総合結果である。 3 l 但し, 実験項目( ) の場合, 第1 回目の比較しか出来なかった。(Tab ) e3. 4 . Tabl el .. テス ト項目と耐久時間(片十字絞)の相関関係 ( 〃=26 ). T,. T2. Ta. 0 122 . 美0392 .. T4. T5. T6. T7. . 絞技耐久時間 囲. 0 110 .. 3胸 囲 縞 張 差. 0 119 .. 4類. 2胸. 囲. 0 050 .. 量. 0 337 ,. 0 052 . 共o464 . 美0467 .. 6い き こ ら え. 0 103 ,. 0 303 .. 0 293 .. 0 276 . 共0430 .. 0 105 .. 7心 肺 係 数. 0 287 ,. 0 205 .. 0 075 .. 192 0 ,. 0 085 .. 5肺. 活. 1 82 ( 秒 )9035(c阻) 1・ 258 , 5IG. 毘. .. .. 0 237 .. 11( 7 39( 15{秒)14 62(点) } 4300( c c m )36 )43 m c c , , . . 52 2 .. 1 91 .. 574. 12 40 ,. 16 2 ,. 葵 5%. 危 険 率 Tabl e2 .. テス ト項目と耐久時間(マンシェット使用)の相関関係 ( 7 ) 〃=1. 耐久時間 胸 耐久時間. 囲f胸囲橋張差 類 075 - -0 .. 140 -0 ,. 圏 肺 0 013 .. 活 量 いき こ ら え 105 -0 .. 0 126 ,. M. 33 45 1(秒} ,. 90 85( ) c u - ,. 6 82( c ) m ,. 35 32( ) c n I ,. 4265( cc ). 3 3 5 8(秒 .. SD. 14 71 ,. 6 22 .. 2 99 .. 16 2 ,. 738. 12 4 { ,. } 19 皿.
(4) . 吉 Tabl e3 .. 田 直. 忠. 片十字絞に於ける柔道部員と体育専攻生の比較. M 第. 柔 道 部 員. 1 回. 目. SD ・. N. 7 91(秒) .. 1 56 .. 4. 7 35(秒) .. 1 25 .. 11. 第 2 回 目. 第. 体育専攻生. 1 回. 日. 第 2 回 日 - 層7 7 7 “? 2 .-. ー*+★ 「/饗 ) 半影テ( により算出 した。 有意な差は認 められなかった。 Tabl e4 .. 送襟絞に於ける柔道部員と体育専攻産の比較. M 柔 道 部 員. 体育専攻生. 1 回. 目. 第 2 回. 日. 第. 1 回. 目. 第 2 回. 番. 第. SD. N. 39(秒) 6 .. 1 22 ,. 4. 83(秒) 5 .. 47 1 .. 11. この場合も有意な差が認 められなかった。 Tabl e 5.. 各綾技の第1回目と第2回目の比較. M 片 十 字 絞. 襟. 送. に. 絞. SD. 上. 1 回. 目. 1(秒) 7 .. 1 95 .. 12. 第 2 回. 目. 8(秒) 7 .. 2 57 .. 12. 第1 回 目. 6 0{秒) ,. 2 77 .. 12. 第 2 回 目. 6(秒) 7 .. 84 2 .. 12. 第. -7 7 7 7 7 2 2 .-. 2 2一2γ 叩 2 /き +s 2 1 . により算出 した。 片十字絞の場合有意な差が認められなかった。 送襟絞の 場合有意な差が認 められた。 つまり, 送襟絞の場合, 第 1回目より第 2回日の方 が耐久時間が延長された。. ー 20 }.
(5) . 柔道における 「絞め」 の一考察 Tabl e6 ,. 片 十 字 絞 と 送 襟 綾 の 比 較. M. 第1. 回. 目. 第 2 回 目. 片 十 字 絞 送. 襟. 絞. 片 十 字 絞 送. 襟. 絞. N. SD. 7 1(絞) , 6 0(秒) .. 1 95 ,. 12. 2 77 ,. 1 2 ‐. 7 8(秒) , 7 6(秒) ,. 2 57 .. 12. 84 2 .. 12. l Tab e5 の式により算出 した 。. 第 1 回目, 第2回目, いずれの輔合も有意な差が認められなかった 。 1V, 結. 論. 1 ) 「絞め」 を開始 して 「落ちる」 までの時間 は 約10秒前後と考えられる 大滝氏の実験5 ( ) , 。 も3 人の平均が, 約10秒であり, 講道館科学研究会紀要第1輯によっても 約1 0 秒で 「落ち」 の , 状態になった事が言われている。 著者の場合, 「落ち」 の寸前に合図を しな ければな らないので, 平均は約8 秒であった 。 又, この 「絞め」 の際, 相当強力な圧力 が瞬時に頭部に加わる事も つか っ た 。 マンシェッ ト を使用 した場合も, 瞳孔の散大等 実際の 「絞め」 の場合と同じ徴候が観察され , た。. 2 ( ) 選定 した形態的, 機能的面の測 定項目と, 片十字絞 及び マンシュッ ト使用のいずれの耐 , 久時間とも相関関係がみられなかった 。 l Tab el に見られるよう に, 各テス ト項目間 の相開係数を算出したが. , ここで, 顎囲と胸囲が 0 4 64 「 頭囲と いきこら 4 3 0 え が0 」 の相関係数が見出され , た , . 。 3 ) 柔道部員と, 体育専攻生を比較 した場合 片十字絞 送襟絞共 いずれが耐久時間が長い ( , , , と は 言 え な い。. 4 ) 片十字絞の場合, 第 1回目と第2回目に有意な差が認め られなかったが 送襟絞の場合有 ( , 意な差が認め られた。 この事から, 送襟絞に於いては耐久時間延長の 可能性がいくらかあ ったよう に考えられる。 5 ( ) 片十字絞, 送襟絞の相互 の耐久時間には, 第 1回目, 第2回目共有意な差がないので ど , ちらが効 果があるとは言えない。 以上の実験は, いずれも静的な測定である。 本研究に際し御助言を戴いた本学浦田正治氏, 並びに研究に協力された学生諸氏に対 し心から 感謝の意を表する次第である 。 文. 献. 1 ) 講道館科学研究会記要第1輯, 柔道における 「絞め」 の生物学的研究 第1報 , 2 ) 天野明・浦田正治著: 体 育 評価 の テキ ス ト p.27,28, 3 ) 鈴木慎次郎著: .体 育測 定 法 p.27 ,33 . ,145 ,1948 吉田章信: 体力 測 定 p.103,1944, 日本体育学会: 体育学研究, 第6号 p 1 3 .40 . ,195 4 ) 文献1 )の p.11. 5 ) 日本体育指導連盟編: 柔 道 篇 p.277,IE ) 51 ,. 総合的研究 p .2 . ,エ958.
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