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小児細菌感染症に対するfaropenemの有効性および安全性の検討

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小 児 細 菌 感 染 症 に対 す るfaropenemの

有効 性

お よび 安 全性 の検 討

横 田 隆 夫 よ こた小 児 科 ク リニ ック 阿 座 上 志 郎 あ ざが み小 児 ク リニ ック 安 倍 隆 あ べ こ ど もク リニ ック 尾 崎 亮 お ざ き小 児 科 小 島 正 医 療 法 人 社 団 お じま小 児 科 小 泉 友 喜 彦 小 泉 小 児 ク リニ ック

城崎慶治

国家公務員共済組合連合会平塚共済病院小児科(現

城崎小児科)

秀男 ・中尾

川崎市立川崎病院小児科

野 々山勝人

特定医療法人社団ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院小児科

番場正博

国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院小児科

北條秀人

セ ンター南 こどもク リニ ック

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Dec.2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 367(9)

砂川慶介*

北 里 大 学北 里 生命 科 学研 究所 大 学 院 感 染 制御 科 学 府 神 奈 川小 児 感 染症 研 究 会 *代 表世話人 (2008年8月13日 受付) 唯 一 の 経口 ペ ネ ム系 抗 菌 薬 で あ るfaropenem(FRPM,フ ァ ロ ム(R)ドラ イ シ ロ ップ小 児 用)は,小 児 の 用 法 ・用 量 が確 立 され た抗 菌 薬 の 中 で,ペ ニ シ リン 耐 性 肺 炎 球 菌(peni一

cillin-resistant Streptococcus pneumoniae, PRSP)

に対 して高い抗 菌活性 を有す る数少 ない

薬 剤 の ひ とつ で あ る。

今 回,軽 症 か ら中 等 症 の 小 児 細 菌 感 染 症[上 気 道 炎(咽 頭 炎 ・扁 桃 炎),気 管 支 炎, 中 耳 炎,尿 路 感 染 症]113例 に 対 して,FRPMド ラ イ シ ロ ップ を1日15∼30mg/kg分3, 3∼8日 間 経 口 投 与 し,有 効 性 お よ び 安 全 性 を 検 討 し た 。 な お,A群 β溶 血 性 連 鎖 球 菌

(Group A Streptococci, GAS)

感 染 症 の 場 合 は5∼14日 間 投 与 に よ り検 討 した 。

疾 患 別 の 有 効 率 は,上 気 道 炎63/70例(90.0%),気 管 支 炎6/7例,中 耳 炎16/17例 (94.1%),尿 路 感 染 症6/6例 で あ り,各 疾 患 に 対 し て 良 好 な 臨 床 効 果 が 得 られ た 。 ま た FRPMは,S. pneumoniaeに 対 して 優 れ た抗 菌 活 性 と良 好 な 田 の 消 失 率 を示 した 。 安 全 性 に 関 して,重 篤 な有 害 事 象 は認 め られ ず,副 作 用 は12.5%(14/112例)で 全 例 が 下 痢 で あ っ た 。 下 痢 の 発 現 の 頻 度 に 関 して は,他 の β-ラク タ ム 系 抗 菌 薬 と 大 き な違 い は な か っ た 。服 用 性 に つ い て,FRPMは 極 め て 良 好 で あ る こ とが 確 認 され た 。 以 上 の 結 果 よ り,FRPMは ペ ニ シ リ ン系 抗 菌 薬 な ら び に セ フ ェ ム系 抗 菌 薬 と と も に, 小 児 細 菌 感 染 症 の 治 療 に有 用 で あ る と考 え られ た 。

は じめ に

近年,小 児科 領 域 にお いて も薬 剤 耐性 菌 に よ る感 染 症 は,臨 床 上 重 要 な問 題 と な って い る。 小 児 科外 来 診 療 の 中で最 も患者 数 の 多 い呼 吸 器 感 染 症 の 原 因 菌 と して 重 要 なStreptococcus pneumoniae‚âHaemophilus influenzae は多 くの 抗 菌薬 に耐性 を示 し,治 療 無効 例 や治 療 期 間 の 遷 延 化 の原 因 とな って い る。成 人 に比 べ て 薬剤 の 選択 肢 が少 ない小 児 で は,通 常 用量 を上 回 る 投 与量 での 対応 な どが な され てい るが'十 分 な 臨 床 効 果 が期 待 で き る薬 剤 は 限 られ て きて い る。 ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 で あ るfaropenem(FRPM)は , グ ラ ム 陽 性 菌 な らび に グ ラ ム 陰 性 菌 に 対 し て 幅 広 い 抗 菌 ス ペ ク トル を 有 し,特 に ペ ニ シ リ ン耐

性肺炎球菌 (penicillin-resistant S. pneumoniae,

PRSP) に高 い抗菌 活 性 を もつ数 少 な い経 口薬 で あ る1)。 今 回我 々は,呼 吸器 感 染 症 を中心 に 日常 診 療 で よ く遭 遇 す る一般 的 な小 児細 菌 感 染症 に対 す るFRPMの 有効 性'安 全 性 お よび服 用 性 につ い て検 討 したの で,そ の 成績 を報 告 す る。

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I.対 象 と方法

1.‘Î•Û 2005年12月 か ら2007年6月 に神 奈 川 県 内 の 調 査 施 設(11施 設)を 受 診 し,軽 症 か ら中 等 症 の 細 田 感 染 症[上 気 道 炎(咽 頭 炎 ・扁 桃 炎),気 管 支 炎,中 耳 炎,尿 路 感 染 症]と 診 断 され た16歳 未満 の 患 児 を対 象 と した。 な お,以 下 の症 例 は対 象 か ら除外 した。 (1)新生 児 (2)β-ラク タム系 抗菌 薬 に シ ョックの既 往 歴 の あ る患 児 (3)重症 感 染症 で経 口抗 菌 薬 に よ る治 療 の対 象 とな らな い患 児 (4)すで に抗 菌 薬 に よ る治 療 を受 け て い る患 児 。 た だ し,FRPM以 外 の経 口抗 菌 薬 を3 日間投 与 して効 果 が 認 め られ ない 場 合 は, 対 象 と して差 し支 えな い こ と と した。 (5)その他 試験 担 当医 師 が不 適 当 と判 断 した患 児 本 試験 の参 加 にあ た って は,患 児 の保 護者 に 対 して十 分 な説 明 の後 に 自由意 志 によ る同 意 を 取 得 した。 また,可 能 な場合 は患 児 本人 か ら も 同 意 を取 得 す る こ とと した 。 2.投 与 方 法 FRPMド ラ イ シ ロ ツ プ(フ ァ ロ ム(R)ドラ イ シ ロ ッ プ 小 児 用)を1日15∼30mg/kg分3,3∼8 日間 経 口 投 与 し た 。 た だ し,A群 β溶 血 性 連 鎖 球 菌(Group A Streptococci, GAS)感 染 症 の 場 合 は5∼14日 間 投 与 し た 。 試 験 期 間 中 の 併 用 薬 に つ い て は,整 腸 剤,頓 用 の 解 熱 鎮 痛 薬,鎮 咳 薬 お よ び 去痰 薬 の 使 用 は 可 と した 。 他 の 抗 菌 薬 お よ び 治 療 に 影 響 を及 ぼ す と考 え られ る薬 剤 の 併 用 に つ い て は 禁 止 し た 。 3.観 察 時 期 ・観 察 項 目 試 験 開 始 時 お よび終 了時 に,下 記 の臨 床 所 見 につ い て観 察 した。 な お'試 験 期 間 中の体 温, 呼 吸 困 難 の有 無,咳 嗽,便 回数,便 性 状 など に つ い て は,保 護 者 に手 渡 した経 過 観 察表 へ の 記 録 を依頼 した。 〔臨床 所 見 〕 上 気 道 炎:体 温,咽 頭 所 見,呼 吸 困 難 の 有 無 気 管 支 炎:体 温,咳 嗽,呼 吸 困 難 の 有 無, 聴 診所 見(ラ 音) 中耳炎:体 温,鼓 膜 所 見 尿 路感 染 症:体 温,頻 尿,排 尿 痛 4.判 定基準 本 試験 に お け る臨 床 効果,有 害事 象 お よび服 用性 に関 す る判 定 は,日 本 化 学 療法 学 会 「小 児 科 領 域 抗 菌 薬 臨 床 試 験 に お け る判 定 基 準 」2)に 準 じて行 っ た。 5.臨 床効果 試 験 終 了 時 に,自 覚 症 状 ・他 覚 所 見 の推 移 に もとづ き,「 著 効 」,「有 効 」,「や や有 効 」,「無 効 」 の4段 階 で評 価 した。 6.細 菌 学 的 効 果 試 験 開 始 時 お よ び 終 了 時 に,検 査 材 料 と して 上 咽 頭 ま た は 咽 頭 ぬ ぐ い 液,尿 を採 取 し,す み や か に検 査 機 関(三 菱 化 学 メ デ ィ エ ン ス 株 式 会 社)に 送 付 し,細 菌 の 分 離 同 定 を 実 施 し た 。 細 菌 学 的 効 果 判 定 はStreptococcus pyogenes, S. pneumoniae ,H. influenzae, Momexella catar-rhalis, Escherichia ccoliの5菌 種 に つ い て,「 消 失 」,「減 少 ま た は 部 分 消 失 」,「不 変 」 の3段 階

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Dec.2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 369 (11)

7. 薬 剤 感 受 性 試 験

開 始 時 に 分 離 さ れ たS. pyogenes, S. pneumo-niae, H. influenzae, M. catarrhalis, E. coliに 対 す る 各 種 抗 菌 薬 の 最 小 発 育 阻 止 濃 度(Mini-mum inhibitory concentration, MIC)を,CLSI 標 準 法 に 準 じ た 微 量 液 体 希 釈 法 で 測 定 し た 。 ま た,S.pneumoniaeのbenzylpenicillin(PCG)に 対 す る 感 受 性 測 定 を 行 い,MICが0.06μg/mL 以 下 を ペ ニ シ リ ン 感 受 性 肺 炎 球 菌(penicillin-susceptible S. pneumoniae, PSSP),0.12∼1.0 μg/mLを ペ ニ シ リ ン 中 等 度 耐 性 肺 炎 球 菌 (penicillin-intermediate-resistant S. pneumoniae, PISP),2.0μg/mL以 上 をPRSPと し た 。H. in-fluenzaeで はampicillin(ABPC)に 対 す る 感 受 性 測 定 を 行 い,ABPCのMICが1.0μg/mL以 下 を β-ラ ク タ マ ー ゼ 非 産 生 ア ン ピ シ リ ン 感 受 性 イ ン フ ル エ ン ザ 菌(β-lactamase-negative ampicillin-susceptible H. influenzae, BLNAS),2.0μg/mL 以 上 を β-ラ ク タ マ ー ゼ 非 産 生 ア ン ピ シ リ ン 耐 性 イ ン フ ル エ ン ザ 田(β-lactamase-negative ampi-cillin-resistant H. influenzae, BLNAR),2.0μg/mL 以 上 か つ ニ ト ロ セ フ ィ ン 法 に て β-ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 性 が 認 め ら れ た も の を β-ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 ア ン ピ シ リ ン 耐 性 イ ン フ ル エ ン ザ 菌(β-lacta-mase-positive ampicillin-resistant H. influenzae, BLPAR)と し た 。 8. 有 害 事 象 試 験 期 間 を と お し て 発 現 し た 有 害 事 象 の 程 度 に つ い て は 「軽 度 」,「 中 等 度 」,「高 度 」 の3段 階 で 判 定 し た 。 ま た,試 験 薬 と の 因 果 関 係 を 「た ぶ ん な し」'「 ど ち ら と も い え な い 」,「 た ぶ ん あ り」,「 あ り 」 の4段 階 で 判 定 し,「 た ぶ ん な し」 の 場 合 を 偶 発 症,そ の 他 試 験 薬 との 因 果 関 係 が 否 定 で き な い も の を 副 作 用 と し た 。 な お,下 痢 ・軟 便 に 関 して は,以 下 の 基 準 を 参 考 に 判 定 し た 。 (1) 水 様 便 お よ び 泥 状 便 を 下 痢 と し,軟 便 お よ び 投 与 前 に 比 べ 便 性 に 変 化 の み られ な い も の は 副 作 用 と し な い こ と と した 。 (2) 重 症 度 は,泥 状 便 の 排 便 回 数 が1∼5回 の 場 合 は 「軽 度 」,6回 以 上 は 「中 等 度 」 と し た 。 ま た,水 様 便 で は1∼5回 の 場 合 は 「中等 度 」,6回 以 上 は 「高 度 」 と し た 。 9. 服 用 性 試 験 薬 の 服 用 性 に つ い て,保 護 者 と可 能 な 場 合 は 患 児 本 人 か ら調 査 し,「 非 常 に 飲 み や す い 」,「 飲 み や す い 」,「 普 通 」,「 飲 み に く い 」, 「飲 め な い 」 の5段 階 で 評 価 し た 。 II.結 果 1. 症 例 構 成,患 者 背 景 評 価 対 象 症 例 の 構 成 を 図1に 示 し た 。 登 録 症 例 数 は113例 で,試 験 薬 が 投 与 され な か っ た1 例 が 完 全 除 外 症 例 と な り,さ ら に 観 察 時 期 逸 脱,対 象 外 疾 患,服 薬 不 遵 守,投 与 量 不 足 の 12例 が 有 効 性 評 価 除 外 症 例 と な っ た 。 そ の 結 果,安 全 性 評 価 対 象 は112例,有 効 性 評 価 対 象 は100例 で あ っ た 。 ま た,細 田 学 的 効 果 評 価 対 象 は69例 で あ っ た 。 有 効 性 評 価 対 象 症 例 の 患 者 背 景 を 表1に 示 し た 。 男 児51例,女 児49例 で,平 均 年 齢 は4.6 歳 で あ っ た 。 投 与 量 は4∼6mg/kg/日 が84%を 占 め た 。 ま た,平 均 投 与 日 数 はGAS感 染 症 で は6.7日,そ の 他 の 感 染 症 で は4.9日 で あ っ た 。 2. 臨 床 効 果 1) 疾 患 別 臨 床 効 果(表2) 疾 患 別 の 有 効 率 は,上 気 道 炎63/70例 (90.0%),気 管 支 炎6/7例,中 耳 炎16/17例 (94.1%),尿 路 感 染 症6/6例 で あ り,い ず れ の 疾 患 に 対 し て も 良 好 な 臨 床 効 果 を 示 し た 。

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図1. 評 価 対 象 症 例 の 構 成

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Dec.2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 371(13) 表2. faropenemの 小 児 細 菌 感 染 症 に お け る疾 患 別 臨 床 効 果 *有 効 以 上 表3. faropenemの 小 児 細 菌 感 染 症 に お け る菌 種 別 臨 床 効 果 *有 効 以 上 2) 菌 種 別 臨 床 効 果(表3) 菌 種 別 の 有 効 率 は,S. pyogenes42/47例 (89.4%),S. pneumoniae25/27列(92:6%), H. influenzae43/50例(86.0%),M. catarrhalis 18/22例(81.8%),E. coli6/6例 で あ っ た 。 3. 細 菌 学 的 効 果 1) 菌 種 別 細 菌 学 的 効 果(表4) 菌 種 別 細 菌 学 的 効 果(消 失 症 例 の 割 合)は, S. pyogenes36/40例(90.0%),S. pneumoniae 13/16例(81.3%)[PSSP7/10例(70.0%),PISP 6/6例],H. influenzae13/33例(39.4%),M. catarrhalis6/13例(46.2%),E.coli6/6例 で あ っ た 。 2) 分 離 菌 の 感 受 性 分 布 開 始 時 に 分 離 さ れ たS. pyogenes, S. pneumo-niae, H. influenzae, M. catarrhalis, E. coliに 対 す る 各 種 抗 菌 薬 のMIC分 布 を 表5に 示 し た 。

FRPMのPSSPに 対 す るMICは,全 株 で0.06 μg/mL以 下 で あ っ た 。 ま た,FRPMは,PISP

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表4. faropenemの 小 児 細 菌 感 染 症 に お け る菌 種 別 細 菌 学 的効 果 とPRSPを 含 め たS. pneumoniaeに 対 し て,β-ラ ク タ ム 系 抗 菌 薬 の 中 で 最 も 優 れ た 抗 菌 活 性 を 示 し た 。H. influenzaeに つ い て は,BLNASに 対 す るMIC90は β-ラ ク タ ム 系 抗 菌 薬 の 中 で,cefdi-toren(CDTR)が0.12μg/mLと 最 も 低 く,次 い でFRPMとcefteram(CFTM)が0.5μg/mLで あ っ た 。 ま た,BLNARに 対 し て もCDTRの MIC90が0.25μg/mLと 最 も 低 く,次 い でCFTM の1.0μg/mLが 続 い た 。 4. 安全性 本試 験 にお い て認 め られ た副 作 用 は下 痢 の み で,発 現 率 は12.5%(14/112例)で あ った(表 6)。 内訳 は軽 度8例,中 等 度5例 で'い ず れ も 試 験 薬 投 与 中 また は投与 終 了後 に症 状 は改 善 し た。 また,試 験 薬 の 投与 を中止 した高度 の下 痢 は1例 の み で あ っ た。 年 齢 別 の発 現 率 につ い て は,6歳 未 満 の 患 児 で発現 率 が高 く,他 の β-ラク タム系 抗 菌薬 と同 様 に,低 年 齢 児 ほ ど消化 器 症 状 の発 現 率 が高 く な る 傾 向 が 認 め られ た 。 5. 服 用 性 服 用 性 の 調 査 結 果 を 図2に 示 し た 。 「非 常 に 飲 み や す い 」,「 飲 み や す い 」 は,そ れ ぞ れ14 例(13.0%),57例(52.8%)で あ り,「 飲 め な い 」 と 評 価 さ れ た 症 例 は1例 の み で,良 好 な 服 薬 状 況 が 認 め られ た 。 III.考 察 抗 菌 薬 治 療 を行 う際 に,成 人 に 比 べ て 選 択 で き る 薬 剤 の 種 類 が 少 な い 小 児 科 領 域 で は'耐 性 田 に よ る感 染 症 の 増 加 は,臨 床 上,き わ め て 重 要 な 問 題 と な る 。 織 田 ら3),4)は,小 児 由 来 株 の 耐 性 率 はS. pneumoniae73%,H. influenzae 45%と 報 告 し て い る 。 さ ら にS. pneumoniaeで は,マ ク ロ ラ イ ド系 抗 菌 薬 に 対 して も約80%が 耐 性 を 示 し5),多 剤 耐 性 肺 炎 球 菌(Drug-resis-tant S. pneumoniae, DRSP)の 増 加 が 問 題 視 され

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Dec. 2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 373(15)

表5-1. 分 離 菌 の 感 受 性 分 布:グ ラ ム 陽 性 菌

FRPM: faropenem, AMPC: amoxicillin, AMPC/CVA: amoxicillin/clavulanic acid, CFDN: cefdinir, CFTM: cefteram, CFPN: cefcapene, CDTR: cefditoren, CAM: clarithromycin, AZM: azithromycin, TFLX: tosufloxacin

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表5-2. 分 離 菌 の 感 受 性 分 布:グ ラ ム陰 性 菌 て い る 。 ま た,小 児 で は 咽 頭 常 在 菌 で あ るM. catarrhalisな ど のβ-ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 田 と の 複 数 菌 感 染 の 割 合 も 高 く6),抗 田 薬 治 療 を妨 げ る 一 因 と な っ て い る 唯 一 の ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 で あ るFRPMは,グ ラ ム 陽 性 菌 お よび グ ラ ム 陰 性 菌 に 対 して 幅 広 い 抗 菌 ス ペ ク トル を 有 す る が,特 にPRSPに 高 い 抗 菌 活 性 を 示 す 数 少 な い 薬 剤 で あ る1)。 加 え て, β-ラク タ マ ー ゼ に 対 す る安 定 性 も そ の 特 徴 の 一 つ で あ る7)。 今 回,小 児 細 菌 感 染 症 に対 す るFRPMの 臨 床 的 有 効 性 に つ い て 検 討 した 結 果,各 疾 患 の 有 効 率 は 上 気 道 炎63/70例(90.0%),気 管 支 炎6/7 例,中 耳 炎16/17例(94.1%),尿 路 感 染 症6/6 例 と,い ず れ の 疾 患 に 対 して も優 れ た 臨 床 効 果 が 認 め られ た 。

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Dec.2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 375(17)

表5-2.分 離 菌 の 感 受 性 分 布:グ ラ ム陰 性 菌(続 き)

FRPM: faropenem, AMPC: amoxicillin, AMPC/CVA: amoxicillin/ clavulanic acid, CFDN: cefdinir, CFTM: cefteram, CFPN: cefcapene, CDTR: cefditoren, CAM: clarithromycin, AZM: azithromycin, TFLX: tosufloxacin

佐 藤 ら8)は,小 児 の 急 性 上 気 道 感 染 症 に 対 す るcefdinir(CFDN)とcefcapene pivoxil(CFPN-PI)の 臨 床 効 果 を 検 討 し た 結 果,そ れ ぞ れ の 有 効 率 を95.1%,91.9%と 報 告 し て い る 。 ま た,杉 囲 ら9)は,amoxicillin/clavulanicacid (AMPC/CVA)(14:1)の 中 耳 炎 に 対 す る有 効 率 を93.5%と 報 告 して い る 。 今 回 の 試 験 で 得 られ たFRPMの 有 効 率 は,こ れ らの β-ラク タ ム系 抗 菌 薬 と比 較 し て も 同 等 の 有 効 性 を示 す もの と考 え られ た 。 菌 種 別 臨 床 効 果 は,い ず れ の 細 菌 に 対 し て も 80%以 上 と 良 好 な 成 績 を示 し,中 で もS. pneu-moniaeに 対 して は25/27例(92.6%)と 最 も優 れ た 有 効 率 を示 した 。 さ ら に,細 菌 学 的 効 果 に お い て も,PSSPで10例 中7例'PISPで は6例 全 例 で 菌 の 消 失 を 認 め た 。 検 出 菌 に 対 す る感 受 性 に 関 し て,FRPMはS. pneumoniaeに 対 し て,他 の β-ラク タ ム 系 抗 菌 薬 と比 較 して も 最 も優 れ た 抗 菌 活 性 を 有 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 ま た,S. pyogenes,H. influenzae,M. catarrhalisお よ びE. coliに 対 す

る抗 菌 力 は,他 の セ フ ェ ム系 抗 菌 薬 と同 程 度 で あ っ た 。 こ れ らの 結 果 は,過 去 に 行 わ れ た 各 種 臨 床 分 離 株 の 感 受 性 調 査 結 果10)と 一 致 し て お り,FRPMは 現 在 も優 れ た 抗 菌 活 性 を保 持 し て い る こ と が 確 認 され た 。 今 回 の 試 験 で 示 さ れ たS. pneumoniaeに 対 す る優 れ た 臨 床 効 果,細 菌 学 的 効 果 お よ び 抗 菌 活 性 か ら,FRPMはS. pneumoniae感 染 症 に 対 し て 有 効 性 の 高 い 薬 剤 で あ る こ と が あ ら た め て 確 認 さ れ た 。 一 般 的 に ,小 児 は 成 人 に 比 べ て 抗 菌 薬 投 与 に 伴 う下 痢 が 発 現 しや す く,特 に腸 内 細 菌 叢 が 未 確 立 の 乳 幼 児 で は 発 現 率 が 高 く な る た め 注 意 を 要 す る 。 本 試 験 に お け る下 痢 の 発 現 率 は12.5% で あ り,高 度 の 下 痢 に よ り試 験 薬 の 投 与 を 中 止 した1例 以 外 は'投 与 中 ま た は 投 与 終 了 後 に 症 状 は 改 善 した 。 先 述 のCFDNとCFPN-PIの 臨

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表6. 小 児 細 菌 感 染 症 に お い てfaropenem投 与 に 伴 い 認 め られ た 副 作 用 図2. faropenemの 小 児 細 菌 感 染 症 に お け ろ服 用 性 評 価 床 研 究8)で は 下 痢 ・軟 便 の 発 現 率 は,そ れ ぞ れ 15.7%と22.1%と 報 告 され て お り'下 痢 に 関 し て は こ れ らの 薬 剤 と同 程 度 と考 え られ た 。 さ ら に,本 試 験 で は 重 篤 な 有 害 事 象 が 認 め ら れ な か っ た 点 か ら も,FRPMは 安 全 性 の 高 い 薬 剤 で あ る こ と が 確 認 され た 。 小 児 科 領 域 で は,服 用 性 も薬 剤 選 択 の 重 要 な 条 件 と な る。 特 に 低 年 齢 児 で は'苦 味 の 強 い 薬 剤 は 服 薬 コ ン プ ラ イ ア ン ス を 低 下 させ る こ と が 多 い 。 今 回 の 調 査 で は 「非 常 に 飲 み や す い 」, 「飲 みや す い」と評 価 され た症 例 の 割 合 が65.7%, 「普 通 」 を合 わ せ る と97.2%で あ っ た 。 こ れ は, 同 じ原 体 吸 収 型 で あ るCFDNの 服 用 性8)と 比 較 して も同 等 以 上 の 結 果 で あ り,FRPMは 小 児 に とって極 めて服 用 しやす い薬 剤 で あ る とい え る。 耐性 菌 に よ る感 染 症 が増 加 し,十 分 な臨 床 効 果 が期 待 で きる薬剤 が ます ます 限 られ て きて い る小 児 科領 域 にお いて は,一 般 的 な抗 菌薬 療 法 と して通 常用 量 の倍 量 投 与 もせ ざ るを得 な い状 況 に あ る とい え る11∼14)。今 回の 試験 結果 か ら, FRPMは 通 常 の 用量 で小 児 呼 吸器 感 染 症 に臨 床 効 果 が認 め られ,特 に耐 性 菌 を含 むS. pneumo-niaeに 対 して 有効 で あ った こと よ り,小 児 の細 菌感 染 症 治療 の第 一 選択 薬 と して有 用 な薬 剤 で あ る と考 え られ た。

文献

1) 嶋 田 甚 五 郎,竹 村 弘,船 橋 一 照,他:

(12)

Dec. 2008 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 61-6 377(19) Faropenemを 含 む 各種 抗 菌 薬 に 対 す る臨 床 分 離 株 の 薬 剤 感 受 性 調 査 。 日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌51: 680∼692, 2003 2) 日 本 化 学 療 法 学 会 小 児 科 領 域 抗 菌 薬 感 受 性 ・臨 床 評 価 検 討 委 員会:日 本 化 学 療 法 学 会 小 児 科 領 域 抗 菌 薬 臨 床 試 験 に お け る判 定 基 準 。 日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌51: 1445151, 2003 3) 織 田慶 子,沖 真 一 郎:小 児 由 来 肺 炎 球 菌 の 薬 剤 感 受 性 とPBP遺 伝 子 の 検 討 。 日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌51: 745∼749, 2003 4) 織 田 慶 子,沖 真 一 郎,阪 田 保 隆:小 児 由 来 のHaemophilus influenzaeの 各 種 抗 菌 薬 に 対 す る 薬 剤 感 受 性 と 臨 床 的 検 討 。 日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌52: 182∼185, 2004

5) FELMINGHAM, D.; R. R. REINERT, Y. HIRAKATA, et al.: Increasing prevalence of antimicrobial resistance among isolates of Streptococcus pneumoniae from the PROTEKT surveil-lance study, and comparative in vitro activity of the ketolide, telithromycin. J. Antimicrob. Chemother. 50: 25-37, 2002 6) 豊 永 義 清,石 原 俊 秀,出 口 浩 一:小 児 細 菌 性 上 気 道 炎 に お け るindirect pathogenicityの 臨 床 的 検 討 。 日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌46: 148∼155, 1998 7) 那 須 孝 昭,本 嵜 亜 佐 子,宮 崎 修 一,他:新 規 経口 ペ ネ ム 薬SY5555の 細 菌 学 的 評 価 。 Chemotherapy42: 25∼37, 1994 8) 佐 藤 吉 壮,山 藤 満,岩 田 敏,他:小 児 の 急 性 上 気 道 感 染 症 に 対 す るcefdinir細 粒 お よ びcefcapene pivoxil細 粒 の 服 薬 性,有 効 性 お よ び 安 全 性 。 日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌55: 268∼273, 2007 9) 杉 田麟 也,岩 田 敏,馬 場 駿 吉:高 用 量 ア モ キ シ シ リ ン/ク ラ ブ ラ ン酸 製 剤 の 有 用 性 小 児 中 耳 炎 を 対 象 と した 多施 設 共 同 臨 床 試 験 。 新 薬 と臨 牀54: 1056∼1072, 2005 10) 小 林 寅 吉吉,中 川 直 子,ト 部 恵 理 子,他:フ ァ ロペ ネ ム お よび 経 口 抗 菌 薬 の 各 種 臨 床 分 離 株 に 対 す る抗 田 活 性 の 比 較 。 化 学 療 法 の 領 域 23: 75∼88, 2007

11) PIGLANSKY, L.; E. LEIBOVITZ, S. RAIZ, et al.: Bacteriologic and clinical efficacy of high dose amoxicillin for therapy of acute otitis media in children. Pediatr. Infect. Dis. J. 22: 405•`413, 2003 12) 木 村 光 宏,片 岡 真 吾,清 水 保 彦,他:急 性 中 耳 炎 に お け る細 菌 学 的 検 討 と臨 床 効 果 。Otol-ogy Japan14 :668∼675, 2004 13) 日 本 耳 科 学 会 ・ 日本 小 児 耳 鼻 咽 喉 科 学 会 ・日 本 耳 鼻 咽 喉 科 感 染 症 研 究 会:小 児 急 性 中 耳 炎 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 。 小 児 耳 鼻 咽 喉 科27: 71∼107, 2006 14) 佐 藤 吉 壮,山 藤 満,岩 田 敏,他: PK/PD理 論 を 用 い た 経口 セ フ ェ ム 系 薬 cefteram pivoxilの 投 与 方 法 の 検 討 。 小 児 科 臨 床59: 521∼531, 2006

Efficacy

and safety of faropenem

in pediatric

patients

with

bacterial

infectious

diseases

TAKAO YOKOTA Yokota Pediatric Clinic

Sumo A ZAGAMI

Azagami Children's Clinic TAKASHI ABE Abe Children's Clinic

AKIRA OZAKI Ozaki Children's Clinic

(13)

TADASHI OJIMA

Ojima Children's Clinic

YUKIHIKO KOIZUMI Koizumi Children's Clinic

KEIJI JOZAKI

Department of Pediatrics, Hiratsuka Kyosai Hospital (Present: Jozaki Children's Clinic)

HIDEO CHO and AYUMI NAKAO

Department of Pediatrics, Kawasaki Municipal Hospital MASATO NONOYAMA

Department of Pediatrics, Japan Medical Alliance, Ebina General Hospital MASAHIRO BAMBA

Department of Pediatrics, Yokosuka Kyosai Hospital HIDETO HOJO

Center Minami Children's Clinic KEISUKE SUNAKAWA

Kitasato Institute for Life Sciences and Graduate School of Infection Control Sciences, Kitasato University

The only oral penem antibiotic, faropenem (FRPM: Farom (R)

Dry Syrup for pediatrics), is one of the

few antibiotics that exerts potent antibacterial activity against penicillin-resistant Streptococcus

pneumo-niae (PRSP), and the dosage and administration schedule has been established for children.

We studied the efficacy and safety of the drug in 113 pediatric patients with mild-to-moderate

bacte-rial infectious diseases: upper respiratory tract infection (pharyngitis or tonsillitis), acute bronchitis, otitis

media and urinary tract infection (UTI). The patients were administered oral FRPM at the dose of 15-30

mg/kg/day three times a day for 3 to 8 days (or 5 to 14 days for group A streptococcal infection) .

The study drug was found to be clinically effective in 63/70 cases (90.0%) of upper respiratory tract

infection, 6/7 cases of acute bronchitis, 16/17 cases (94.1%) of otitis media and 6/6 cases of UTI. FRPM

was demonstrated to have very potent antibacterial activity against S. pneumoniae , with a high

bacterio-logical eradication rate. No serious adverse drug reactions were observed. The only side effect was

diar-rhea in 12.5% of the patients (14/112 cases). There was little difference in the incidence of diardiar-rhea

between FRPM and other oral beta-lactam antibiotics. Compliance with FRPM was found to be very

good in this study.

These findings suggest that FRPM is as useful for the treatment of bacterial infectious diseases in children as oral penicillin and cephem antibiotics.

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