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[講演要旨] 歴史津波再現時における数値シミュレーション精度の問題点

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Academic year: 2021

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[講演要旨] 歴史津波再現時における数値シミュレーション精度の問題点

宮本大輔・村上仁士・上月康則 (徳島大学大学院工学研究科) 吉田和郎 (ニュージェック) 1. はじめに 津波数値シミュレーションを用いて被害予測および対策を行う場合,対象地域における歴史津波の津波高 を特定する多くの歴史資料が必要である.しかしながら,過去の地震・津波で大きな被害のなかった地域や, 被害があっても記録されていない地域は,資料数が極めて少ないのが現状である. 2003 年 12 月に「東南海・南海地震対策大綱」が示され,著しい津波被害が予測されている防災対策推進地 域において,自治体レベルでの詳細かつ総合的な防災計画の策定が求められている.しかしながら,推進地 域の中には,過去の被災履歴が確認されていない地域も存在し,そこでは近隣の地域の津波高を用いて津波 数値シミュレーションを行い,空白の地域の被害予測をしているのが現状である.その結果,それらの地域の 予測結果に問題が生ずると考えられる. 2. 研究目的 本研究では,痕跡値の地点数をとる範囲を変えた場合に,数値計算の妥当性の検証に用いられる

K

(対数 幾何平均)と

κ

(対数幾何分散)の値が許容範囲内にあっても,予測値が大きく変化することを示し,補正すべ き値の基になる歴史資料の重要性を指摘する. 3. 研究結果 1854 年安政南海地震津波(M8.4)を対象として,相田の断層モデルを用い,紀伊水道および豊後水道沿岸 部に確認されている痕跡値で補正を加えた場合(CASE1)と豊後水道沿岸部に確認されている痕跡値のみで 補正を加えた場合(CASE2)での最大津波高の違いを検証した.なお,それらの結果の再現性については,相 田の評価パラメータである

K

κ

の値を用いて検討しており,それぞれ精度の許容範囲内に収まっている.図 -1 に,東西の四国沿岸部における CASE1 と CASE2 の最大津波高および痕跡値の分布を示す. 計算結果を東西にわけて考えると,CASE1 において,四国西岸部の最大津波高が痕跡値の 0.3~1.2 倍算 出されたのに対し,東岸部は,痕跡値の 0.5~2.7 倍となっている.また,CASE2 においては,四国西岸部の最 大津波高が痕跡値の 0.7~1.7 倍となっているのに対し,東岸部は,痕跡値の 0.9~4.0 倍であった.さらに, CASE1 と CASE2 の最大津波高を四国東岸部で比較すると,CASE2 は CASE1 で算出されたものより 1.3~2.2 倍増大した.これらは,四国東岸部で用いた痕跡値の地点数が西岸部に比べて多いことが影響したためであ ると考えられる. 太平洋沿岸に比べ,痕跡値の少ない瀬戸内海のような海域を考える場合,近隣の痕跡値を用いて被害予測 するしか方法がない.広域の津波数値シミュレーションでは,上記のような事態を考えなければならず,歴史資 料の量と質がそこに要求されることを強調したい. 図-1 四国東西の痕跡値と補正地点を変えた津波高 a)四国西岸部 b)四国東岸部 津波高(m) 4.00 3.00 5.00 3.00 5.00 4.00 4.00 3.00 3.50 3.00 3.00 3.44 3.53 3.62 4.95 4.51 4.57 4.01 2.15 3.36 3.41 3.87 2.47 2.36 2.26 3.53 2.62 3.06 2.37 0.95 2.12 2.09 2.33 0 2 4 6 8 10 12 14 岩水 満倉 深浦 貝塚 久良 宇和島 吉田 三崎 三瓶 伊方 八幡浜 CASE1 CASE2 痕跡値 愛媛 高知 7.90 7.20 7.00 3.00 8.00 5.50 3.00 5.00 3.00 2.00 4.00 9.79 11.93 10.60 12.03 12.56 13.01 11.00 4.39 4.83 4.82 5.51 7.26 7.53 6.29 6.06 7.20 7.51 8.20 2.65 2.89 2.53 2.99 0 2 4 6 8 10 12 14 宍喰 浅川 牟岐 日和佐 由岐 阿部 橘 中島 小松島 徳島 撫養 CASE1 CASE2 痕跡値 津波高(m) 徳島 高知 香川 歴史地震 第 20 号(2005) 269 頁

参照

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