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両端停止用非対称カム曲線 利用統計を見る

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(1)

両端停止用非対称カム曲線

牧野洋 (昭和44年9月10日受理)

Unsymmetrical Cam Curves for Two-Dwell Motion

HiroshiMAKINO

Synopsis  In order to avoid vibration of a follower which occurs at high speed, the deceleration time of acam must be longer than the acceleration time.  Several unsymmetrical cam curves for two・dwell motion(dwell・rise・dwell motion)are introduced.  Properties of the curves such as maximum velocity and maximum acceleration are calculated and compared with well known symmetrical curves, 1. ま え が き  従来カム曲線として知られていたものは対称曲線がほ とんどであり,非対称曲線が用いられることは少ない。 その理由としては,対称曲線の数式が比較的簡単で導き やすいことのほかに,対称曲線の方が非対称曲線よりも 速度や加速度の最大値を小さくできることや,カムを逆 に回転させても運動特性が変らないので使いやすいこと などがあげられるであろう。  しかしながら,カム機構に対する高速化の要求が強ま るにつれて,後半の減速域における振動の抑制が大きな 問題となり,カム曲線の前半と後半とで取り扱いを変え る必要を生じてきた。  著者はこのような目的に適する非対称カム曲線を幾つ か新らしく導ぎ,その特性値を従来の対称曲線の特性値 と比較したので,その結果を報告する。 2. 序 論  2.1カム曲線の無次元化表示  カムは原動側に用い,等角速度で回転させるものとす る。t−0(θ ・O)でs・=Oとし, t−th(θ=θh)でsが 最大値んに達するものとする。カム曲線を次式のごとく 無次元化して表示する。    S=F(T)       (1) S_旦 または 3=一三   h        τh   t  θ T=  =−   th θh (2) (3) *昭和42年10月精機学会山梨地方講演会にて一部発表  ただし,  S:無次元変位  T:無次元時間  s:従節の変位〔mm〕  h:従節の行程(最大変位)〔mm〕  τ:従節の回転角〔rad〕  τh:従節の振り角(最大回転角)〔rad〕  t:時間〔s〕  t,、:行程hを与えるのに要する時間〔s〕  θ:カムの回転角〔rad〕 θh:行程hを与えるのに要するカムの回転角〔rad〕  SをTで順次微分したものをV,A,∫とおき,それ ぞれ無次元速度,無次元加速度,無次元躍動と呼ぶ。

   v一旦一F’(T)     (4)

     dT

   A穰一F’t(T)   (・)

   ∫嘉一Fttt(T)   (・)

 実際の速度・加速度・躍動をそれぞれv,a,元とすれ ば,これらと無次元値との関係は

   v.一 .IL.γ       (7)

     th

   ・r告・A      (・)

   ゴー一念・」    (・)

 以下,最大値に対しては脚号m,始値・終値に対して はそれぞれ脚号O,hを用いる。  カム曲線の定i義域として0≦T≦1(0≦S≦1)だけを

(2)

昭和44年12月 山梨大学工学部研究報告 第20号

v

A

0        →        T

  図一1連続条件

1 考える。  2.2連続条件  高速用のカム曲線は,変位・速度・加速度の各曲線が 始終端を含めて連続でなければならない。両端停止カム (両端に停止区間のあるカムーtwo dwell cam, dwell− rise−dwell cam)の場合についてこの関係を図示する と図一1のごとくになる。すなわち,加速度Aは0に始 まって0に終り,その間プラス側で囲む面積とマイナス 側で囲む面積が等しくなけれぽならない。  両端での境界条件を式で示せぽ,両端停止カムでは,

   ::1㍉ゴ:に1:tg} ・o)

の6個の条件式となり,終端側に停止区間のないカムー 終端無停止カム(one dwell cam, dwell−rise−return− dwell cam)では,終端のAは0でなくても, aが連続 でありさえすれぽ良いから,条件式は次の5個になる。

   :ゴ㍉二i:に:凶=°} ⑪

 さらに,両端とも停止区間のないカムー一往復カム(no dwell cam)では条件式は次の4個になる。

T=0でS=0,V=O

T=1でS−1,V=0

} ⑫ 本論文においては,両端停止カムだけを取扱うことに する。  2.3 対称曲線 以下の関係式の成り立つものを対称曲線と呼ぶ。

蕊三 .}⑬

 各種の対称曲線については従来の文献1)2}3)4)に詳しく 述べられている。  本論文においては,⑬式の成立しない非対称曲線のみ を取扱う。  3. 非対称曲線による   振動の抑制  3.1減速域における   振動の発生の原因  従節の振動は加速域 (加速度が正の領域)よ りも,減速域(加速度が 負の領域)において発生 しやすい。これは,減速 域において慣性力が負の 方向となるために,従節 がカムの表面から離れよ うとするためである。  従節がカムから離れな いようにするためには, 通常下記の手段のいずれ かがとられる。  1)従節をカムに押し   つけているバネなど   の拘束力を強める。  2) カムを溝カムにする。 3) \ k一 図一2複合カム 図一3溝カムにおけ    る衝突    複合カム・多条カムなどを用いて,従節を「抱き   合わせ」で用いる(図一2)。  第一の,拘束力を強める方法はもっとも安易な方法で あるが,加速域においては拘束力と慣性力とが加算され るために,より大きな駆動力を必要とし,駆動系や従節 系の強度を増さなけれぽならない。したがって,基本的 には慣性力そのものを減じてやる必要がある。従節系の カムとの接触面における等価質量をmeとすれぽ,慣性

力Pは

   P−M・a一勿÷・A    (14

であらわされる。〃や㍍などの条件が一定であれぽ, 負の慣性力を小さくするためには,加速度Aの負の最大 値の絶対値(これをAmmとする)が小さい曲線を採用し なければならない。  第二の方法すなわち溝カムは,通常は拘束カムと称せ られているけれども,実際には,溝とローラの間のすき ま,ロ 一一ラの軸とローラの間のすきま,ローラ軸のたわ みなどがあるために,その拘束状態は完全なものではな い。  そのため減速域においては,ローラは溝の二つの壁の 間を行ったり来たりし,交互に衝突を繰り返す(図一3)e このときの衝突による衝撃加速度は大きなものであり,

(3)

加速度

       −

      時 間 4ヘッドパラレルカム,θ,=180°,サイクロイド曲線,テーブル径600φ×25厚         図一4パラレルカムによる実験結果 高速においては理論値Ammの数倍から十数倍に達する。  この衝撃を緩和するためには,カム曲線としては減速 域における速度や加速度の値が小さいことのほかに,加 速度に急激な変化がないこと,言い換えれば,躍動∫が 小さいことが必要である。  第三の方法すなわち複合カムは拘束状態としてはもっ とも完全であるが,従節系は完全な剛体ではないので, 外力の変動によって振動を生ずる。すきまの影響は心間 距離を狭めるなどの方法によってローラのラジアル方向 に予圧をかけて取除くことができる。しかし,ローラの 偏心,カム曲線の加工誤差,表面の加工ムラなども振動 の原因になりうる。  図一4は複合カムの一種であるパラレル・インデヅク ス・カムにおける加速度の実測結果の一例を示す。この カムのカム曲線はサイクロイド曲線であり,従節軸には 円テーブル(慣性負荷)が固定されている。イソデック ス後半(カム曲線の減速域)においてかなり大きな振動 が発生しているのが観察されるが,これは駆動部にゴム ベルトを用いているため,カム軸トルクの負になる部分 でベルトがたわみ振動を起こし,その振動が負荷側にま で影響を及ぼしているものと考えられる。この例のよう に駆動系にガタや変形しやすい部分があると,減速域に おける振動の原因となる。  3.2 停止区間に入るさいの振動  実際の加速度 図一5 停止に入るさい    の振動  加速度曲線がたとえ連続 であっても,その変化の仕 方がなめらかでない場合に は従節に振動を生ずる。し たがって躍動∫も連続であ ることがのぞましい。  カムが送り区間から停止 A↑ A↑

    T

(a)Gutman F−5曲線

     →

・L ib)窪田放物正弦曲線 図一6」,が0の曲線 区間に入るさいに躍動が不連続であると,図一5のごと き振動を生ずることがある。この振動は従節の不完全停 止を示すもので,一般に悪影響がある。したがって,こ れを抑制するため,み一〇にすることがのぞましい。  fhが0であるような曲線として, Gutman F−5曲 線5)6)や窪田放物正弦曲線7)が知られている。この二者 はいずれも対称曲線である。図一6にこれら二曲線の加 速度曲線の形を示した。  みをOにすることだけが目的であるならば,いかな る曲線に対しても,その最後の部分にごくわずかな停止 区間(dwell)をつけ加えたものを新らしいカム曲線と してやればよい。しかし,これでは解決にならないこと は明らかであって,T−1の近傍で生じた振動がT−1 の時点まで残るようであれぽ同様に悪影響がある。  一般に,従節系に起こる振動は減衰振動であるから, たとえ送り区間中に振動が起こったとしても,停止する までにその振動が十分小さな値に減衰していれぽ良い。  以上の考察は,したがって,次のように表現できるで あろう。「T−1の近傍における躍動fの値は十分に小さ くなければならない。」ここで,「近傍」とは実時間にお

(4)

昭和44年12月 山梨大学工学部研究報告 第20号 いて近いということなので,低速回転の場合にはT−1 にごく近い部分だけを考えれば良いし,高速回転になれ ぽなるほどT座標の上で大きな幅を考えなけれぽならな いということになる。  躍動∫の値が大きいほど振動しやすい理由は次のとお りである。  いま,「加振力」Aの曲線をフーリエ展開し,その一 つの成分を次式で表わす。    A…A・i・i・( T2π一 T,)   a・)  ここで,Amiはその成分波の振幅, Tiはその成分波 の周期である。この式をTで微分すると,

   」,一芸一2竿…(2π一 Tz) (・6)

となる。この式を見ると,みが大きいということはAmi が大きいか,T,が小さいかのいずれかであることが分 る。Am。が大きいということは加振力成分の振幅が大き いことを意味し,従節の振動を大きくする。Ttが小さ いということは加振力成分の振動数が高くなることを意 味し,これが従節振動系の固有振動数に近づくならぽ共 振現象によって従節の振動が大きくなる。  加速度Aが不連続であることはTτが無限小であるこ とを意味し,従節系の固有振動数がいかに高くても,こ れと共振すべき成分波が加振力成分の中に必らず存在す る。したがって振動しやすい。  3,3 非対称曲線の目的  加速区間に比べて減速区間を長くとる非対称曲線の目 的は次のとおりである。  1)九を小さく,できうれば0にすることによって,   停止区間に入ったさいの振動を抑制する。  2)減速域におけるAおよびノの値を小さく抑えるこ   とによって,減速区間での振動および停止区間に入   ったさいの振動を抑制する。  3) とくに板カムの場合,んmの値を小さく抑えるこ   とによって,従節がカム面から遊離することを防ぐ。 4. 多次曲線系非対称曲線  4.1多次曲線一般  SがTの多項式で表わされる下記の式    S=Co十ClT十C2T2十C3T3十……十CnT”   (17) において,n次までとれば係数はCoからCnまでの n+1個であるから,n+1の自由度がえられる。  いま,両端停止カムの連続条件(式(10))を満足させよ うとすれぽ6個の境界条件式があるので,少なくともn は5以上にしなけれぽならない。  n・・5とすると下式がえられる。    S=10T3−15T4十6T5      (18)  この5次曲線はa3)式を満足する対称曲線である。  多次曲線において非対称にするためには,少なくとも さらに一つの自由度が必要であり,ηは6以上にしなけ ればならない。6次式たした場合には1個の条件を任意 に指定でき,たとえぽ加速区間と減速区間の長さの比, あるいは加速度の正負の最大値の比などを指定できる。  5次以下の曲線では全区間を一つの式で満すことはで きず,いくつかの区間に分割してそれぞれに対し別の式 を与えなけれぽならない。

 Jensenは式⑳の6つの条件にさらにJo−0を加え

て,これを満足する次の曲線をえている8)。    S・=Cp7「P十Cσ7’q十Cr7’「十Cs7「8        (19) ただし,p, q, r, sはいずれも4以上とし,これは C。−0,C, ==O, C2−0, C3−0の4つの係数を定めたこ とと等しい。p−q−r−sの組として,4−5−6−7,4− 6−8−10,4−7−10−13,4−8−12−16をあげて曲線 の形を示している。4−5−6−7多次曲線のみが対称曲 線で,ほかは非対称曲線である。  4.2非対称4次曲線(4th Power Poly皿omial)  加速区間の長さをT。にとり,加速度曲線の形を T−0からT。までが一つの放物線,T−T。から7’=1 までが別の放物線になるようにすると,以下の式がえら れる。  曲線の式   Tαを与える。(0〈Tα〈1)      3   Amp=      Tα   区間1(0≦T≦Tα)

s÷野一が

v一

O一字

A一

│τ一芸㍗

区間il(Tα≦T≦1)

s−Ta+2(τ一蹴誓君+駐謬

   6(T−Ta)2  4(T 一一 Tα)3 V−2−     (1_T。)・+(1_T。)・    12(T一τ。) 12(T−T。)2 .4=一    (1−Tα)・+(1_T。)・ 閻 22) T。−O, 5のときは対称曲線となる。非対称曲線として

(5)

・i]

Si]

v

Vm=2.00

l I l  I[

 Artlp=7.50 1

・li]

三1

2.07 Ta=0.4

・ヨ

75.0 一Amm=−5.00 333

・ヨ

120   一33.3  −75.0 1.32 8.13 一5.97 25.7

・.1]

      一〇.88 0       0.5      1      T 図一7 非対称4次曲線 はT。 −O.4ぐらいが適当であろう。このときには,

一織  }2・)

が得られる。この曲線(図一7)は非対称曲線としては Amp, Ammとも小さいが,みが比較的大きく,サイク ロイド曲線(み=39.5)に比べて,さほど改善されてい るとはいえない。  4.3非対称6次曲線(6th Power Polynomial)  前記のごとく,6次以上の曲線にすれぽ,非対称曲線 にして全区間を一つの式であらわすことが可能になる。  6次曲線では自由度が一つあるので,τ=71αにおいて A−0になるようにすると,

::1讐㌫ !,,

一44.9         1.24

Qヨ

      ー1.03      〇      〇.5      1・        T   図一8非対称6次曲線(T。=0.4)   6(5Tα2十5Tα一4) C5=    5Tα2−5Tα十1   −10(2Tq−1) C・=’X7tl.“2−5T。+1− A−

T≠監「T(T−1)(T−Ta)

  ×{(10Tα 一 5)T−(5Ta−3)} 』 2s) となり,A=0の根はT−・O, T=1, T=Tαの3根のほ かに      5Tα一3        ⑳    T=      10Ta−5 が存在する。変位Sが区間0≦T≦1で単調増大である ためには26)式で与えられる根はこの区間の内部にあっ てはならない。よって,    0.4≦Tα≦0.6       {27) であることが必要である。ただし,T。=O. 5のときは対 称曲線となる(6次の項はなくなり5次式となる)。 Tα一〇.4のときは∫h−−O,Ta−0.6のときは∫o−0と

(6)

昭和44年12月 山梨大学工学部研究報告 第20号

・ヨ

v

・i]

Sa i] 2.03

・自

Vm=2.00 A 」 Q

1]

1]

6.96 69.4 一6.17 9.2

・1]

1. I l   Amp−’7.85 ll 1        一1.18

−一一一

     〇      〇.5      1 図一9 非対称7次曲線(T、=O.2,T2=0.7) なる。  T。=0.4とすれば,

i;:ll:  }29

 この曲線(図一8)は加速度の最大値Ampが8.13で あり大きすぎるが,J,・・Oであり後半の特性は良い。  4.4非対称7次曲線(7 th Power Polynomial)  nを7次までとれぽ自由度が2となり,二つの条件を 任意に与えることができる。  いま,この条件として,T−0.2およびT−0.7にお いてJ−0になるようにすると次式がえられる。     114 C7=−    16,515       15,915×C7

   18

C・=−

st− 4.8

C5=6−3C,−6C, Cu=−3−2C5−3C6−4C7 61.7 27.4 29)

Q i]

1.30 一61.7 27.4 ・O.87    0      0.5      1          T 図一10非対称サイクロイド曲線  ∫,−9,2  /4mp==6.96 一ノ4mm=6.17 }㈹  この曲線(図一9)は∫hが0にはならないがAmp, .、4mmとも小さく,よく釣合のとれた曲線だと言えるであ ろう。 5. 正弦曲線系非対称曲線  5.1非対称サイクロイド曲線     (IJnsymmetrical Cycloidal)  非対称4次曲線の放物線を正弦曲線に置き換えると下 記の非対称サイクロイド曲線がえられる。  T ・T。でA−0とする。  曲線の式 Tαを与える。(0<Ta〈1) .A・・一

M

/Bo

(7)

    πAmm=    1 一一 Ta Vm=2.0 区間1(0≦T≦T。) s_τ_互、i。∠乙     π   Tα      πτ

γ=1−cos−

     Tα     . πT   π

A−−Sm−

  Tα      Tα 区間皿(Tα≦T≦1) S−T+1−T・si。π(T−T・)     π     1−Tα      π(TL Tα) V=1十cos       1−Tα     π .π(T−T。) A=−       sm    1−Tα  1−Tα 」 ⑬ / /倒  T。一・O,5にするときは普通の(対称)サイクロイド曲 線になる。  いま,Tα=0.4とした曲線(図一 10)をT。=0.5の 曲線と比較すると,後半の減速域における加速度の振幅 は5/6に減少し,周期は6/5倍に伸びている。カム機 構の高速化をさまたげる要因が減速域における振動だけ であるとするならぽ,この曲線はきわめて良い特性を持 つo  しかし,後半を長くした分だけ前半に負担がかかるこ とになり,前半における加速度の最大値が大きくなっ て,機構に大きな力がはたらくことになる。これがこの 曲線の欠点である。  5.2非対称変形台形曲線(Ferguson IV)  サイクロイドは連続性を満足するがAmが大きい。等 加速度曲線はAmが小さいが連続性に欠ける。そこで, この両者の中間をとって,加速度曲線を台形に近い形状 にすれば,高速に適したカム曲線がえられることが知ら れている3}4)。これには多次曲線系の台形曲線と正弦曲 線系の変形台形曲線(Modified Trapezoid)とがあり, 後者が多く用いられる。  この変形台形曲線において,加速度の負の最大値(の

絶対値)Ammと,正の最大値Ampとの比mを1よりも

小さい値に選べば,非対称の曲線がえられる。  Ferguson IV曲線はこのような曲線の一つで,米国の Ferguson社が変形台形・変形正弦・変形等速度に次ぐ 四番目の標準曲線として,とくに板カム用に設定してい るものである9)。図一11にこの曲線を示す。  T。,7’bなどは次のように定めている。

   芸鷲一kとする・ /閲

  Tb=Tc−7’α   Te=1−(Td−Tc) このとき,     Amm  Tc       Bs)    ニ     ニ     Amp 1−Tc ゐおよびmを独立変数として選ぶことにすれば,    mk Tα ==

  1十m

   勿 Tc=

  1十m

     2π(1+m) A・・= Smk+。m(1−2k) ㈹ Amm=為・Amp Ferguson IV曲線ではk=1/4, m−2/3としている。 このときには

   三:9ig    1

・i]

s。

 Sc

Sb Sd Se

・ヨ

A J Q

1]

1]

96.0 Vm=2.00

Illlll皿IWI V bill

 Amp=6.11 T。 丁占 Tc η      一塩m=−4.07T,一一一一一一→1 @      42.7 一42.7 │96.0 1.65 一1ユ0 〇      〇.5      1       T 図一11非対称変形台形曲線(Ferguson IV)

(8)

昭和44年12月 山梨大学工学部研究報告 第20号

   T・−o・・4         し

      (37) となる。曲線の式は省略する。  非対称変形台形曲線はAmmの値を小さくできるので バネなどを用いて従節をカムに押しつける形式のカムに 適している。  4,3 トラペクロイド曲線(Trapecloid)  非対称サイクロイドはAmpが大きくなる点で不利な ので,前半に変形台形曲線をとり,後半にサイクロイド 曲線をつなげて特性を改善したのがトラペクロイド曲線 である。Trapezoid+CycloidなのでTrapecloidと名付 けた。(図一12)  mはユ以外の値をとることもできるが,Am−Ampを できるだけ小さくするためm=1とした。Tc−T,−2T。

・i]

      Vπt−−2.18 ・i,]

         1工lHl 皿l w  l

       Am=6.17

Aヨ

」 Q

i]

77.5 T。 ア占 一6.17 r、  一77.5 1.76 一1.76   〇      〇.5      1 図一12 トラペクロイド曲線 とし,Tαだけを任意に選ぶことができる。標準では T。−1/8とする。  曲線の式      1    T・=百      2−6Tα十πτα    7「b=        2十π      2−2Tα一F3πτα    Tc=         2十π

Am−1/{(一詩+凱・+1+記τ・

      2Tα         Am    vα=       π       2Tα2        4Tα2    sα=         Am−  2        Am.       π      π    Vb =Am(Tb−Tα)十vα    Sb−÷一(Tb−Ta)2+τノ‘a(Tb−Ta)−1−Sa      8Tα2        、Am+2V・T・+Sb    Sc=       π    区間1(0≦T≦T。)

   S−2みτ一4曇2A・・i・芸

   V一争・(1・一一一・・s芸)        . πT

   A=A・Sln元

   区間皿(T。≦T≦T,) ㈱

  )()

+百τ・2+(__.2)(1−Tc)・}㈹ 5−±(T−T。)・+v。(T−T。)+s、   2 v−Am(T−T。)+v。 A=A肌 区間皿(Tb≦T≦Te) S−盾煤C“2A・{1−・・sπ(≡τ゜)}   十Vb(T−T,)十Sb       ,π(7’−Tb)   2Tα V=’一ウ『A・ sin 2Tα        十「Vb      π(T−T,) A=A肌 COS        2Ta 区間W(Tc≦T≦1) S−4(1

a2A・{・・s;i留一1}

  十Vb(T−Tc)十Sc        π(T−Tc)    2(1−Tc)      。+sin 2(1−Tc)+Vbv=一 ㈹ (4D /⑫ |

(9)

表一1 トラペクロイド曲線 120分割数値表 θ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 S 0.000000 0.000007 0.000059 0.000200 0.000474 0.000922 0.001583 0.002497 0.003696 0.005214 0.007079 0.009314 0.011940 0.014973 0.018425 0.022303 0.026609 0.031344 0.036507 0.042099 0.048119 0.054568 0.061445 0.068751 0.076485 0.084647 0.093239 0.102258 0.111706 0.121583 0.131888 0.142622 0.153784 0.165375 0.177394 0.189842 0.202718 0.216023 0.229756 0.243918 0.258506 0.273517 0.288939 0.304758 0.320955 0.337507 0.354388 0.371566 0.389007 0.406676 0.424533 0.442536 0.460643 0.478810 0.496993 0.515145 0.533224 0.551185 0.568985 0.586585 ・1 S 600.603946 610.621031 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 0.637809 0.654250 0.670328 0.686021 0.701312 0.716188 0.730639 0.744663 90 91 92 93 94 0.758258 0.771426 0.784166 0.796481 0.808371 95 96 97 98 99 O.819840 0.830888 0.841520 0.851738 0.861546 0.870948 0.879947 0.888550 0。896761 0.904585 0.912029 0.919097 0.925798 0.932137 0.938122 100 101 102 103 104 0.943760 0.949060 0.954029 0.958675 0.963008 105 106 107 108 109 0.967037 0.970770 0.974217 0.977389 0.980295 110 111 112 113 114 0.982946 0.985352 0.987524 0.989473 0.991210 115 116 117 118 119 120 0.992747 0.994095 0.995266 0.996272 0.997125 0.997838 0.998422 0.998891 0.999256 0.999531 0.999728 0.999861 0.999941 0.999982 0.999997 1.000000 表一2両端停止曲線の特性値比較 区分 不 連 続 曲 線 両 端 停 止 対 称 曲 線 両 端 停 止 非 対 称 曲 線 名 称 等   速   度 Straight Line 等  加  速 Parabolic 度 単 Harmonic 弦 等 Cubic 躍 動 五       次 5th power       polynomia1 サイ ク P イ Cycloidal ド 合成正弦(F−3) Gutman F−3 合成正弦(F−5) Gutman F−5 変 形  台 形 Modified        Trapezoid

変 形 正 弦

Modified Sine

変 形等速 度

Mod. Const,          Velocity 放  物 Kubota   正 弦 Parabolic      Sine 非 対 称 四 次 Unsymm.       4th Power 非 対 称 六 次 Unsymm.       6th Power 非 対 称 Unsymm.       7th 七 次 Power 非対称サイクロイド Unsymm.         Cycloida1

非対称変形台形

Ferguson IV t トラペクロイド Makino        Trapecloid 備  考      1 Ta=

S

     1 T・=

S

[::‡      1 Tα=−      8 Ta=0.4 Ta=O.4 { Tl=0.2 T2=0.7 Tα=0.4     2 m−−     3 m=1 加速度曲線 の 形 状

.〔1=コ

i(>x・〈i7

/::)v

L)>v

」>v

・司 1.00 2.00 1.57 2. 00 1.88 2.00 2.00 2.00 2.00 1.76 1.28 2. 07 2.∞ 2.07 2.03 2.00 2.00 2.18

Am

巨・ Oo 4.00 4.93 8.00 5.77 6.28 5.13 6.74 4.89 5.53 8.01 5. 29 { 十7.50 −5.00 { 十8.13 −5.97 { 十6.96 −6.17 { 十7.85 −5.24 { 十6.11 −4.07 { 十6.17 −6.17 」, Oo ○○ 32.0 60.0 39.5 59.2 70.5 61.4 69.5 201.4 66.4 75.0 120. 0 69.4 61.7 96.0 77.5 ○○ ○○ 32.0 60.0 39.5 59.2 0 61.4 69.5 201.4 0 33. 3 0 9.2 27.4 42.7 22.5

Qm

○○ 2.00 0.79 1.09 1.16 1.30 1.58 1.54 1.65 O. 99 0.72 1. 70 { 十1.32 −O.88 { 十1.24 −1.03 { 十1.27 −1.18 { 十1.30 −0.87 { 十1.65 −1.10 { 十1.76 −1.76

(10)

昭和44年12月 山梨大学工学部研究報告 第20号

   A−−Am・・STtd−’ew”  1

 この曲線の特徴はAmの値が6,17とサイクロイド曲 線の6.28よりも小さく,しかも,区間IVにおける正弦 波の周期がサイクロイド曲線の1.72倍と長いことであ る。みの値も小さく,減速域での振動抑制に大きな効 果がある。  ただVmが大きいので重負荷には不適当と思われる。 また,トルクQ肌の値もほかの曲線に比して大きい。  表一1はトラペクロイド曲線の120分割数値表で 1/120とびのTに対するSの値を計算したものである。 6. カム曲線の特性比較  以上に述べたいくつかの非対称曲線および既知の対称 曲線につき特性値の比較を行なった。その結果を表一2 に示す。  表中Qmは無次元トルク変数Qの最大値を示してい る。Qは下式で定義される値で,負荷が慣性負荷のみの 場合のカム軸トルクを示す値である10}。      v×A        ㈲    Q=

     Am

 図一7∼図一12にはQ曲線の形も示してある。  カム軸のトルクをq,〔kg・mln〕,振り角をθh〔rad〕, 従節軸の最大トルクをqtm〔kg・mm〕,振り角をτhとす れぽ,qcは下式で与えられる。 qc一e・Q・q・m 7. む す び ㈲  いくつかの非対称曲線を導き,これら相互間および対 称曲線との比較を行なった。  減速域が加速域に比べて長い非対称曲線を用いること によって,従節の振動を抑制することができ,高速に耐 えるカムを作ることができる。 文 献 1) 日本機械学会編:機械工学便覧,第7編「機械の要素」,  日本機械学会(昭40) 2) 中井英一:実用カム設計法,日干1J工業新聞社(昭38) 3)H・A・Rothbart:Cams, Willey(1956) 4)P・W・Jensen:Cam Design and Manufacture,  Industrial Press(1965) 5) A.S. Gutman:Try This New Cam Profile, Prod・  uct Engineering, Dec.25, p.42−48(1961) 6)W.Sakmann:Beitrag zur programmierten,  Konstruktion・18−7, P.278−283(1966) 7) 窪田雅男:カムの理論と設計(7),機械の研究,11−8,  p.1119−1122 (1959) 8)上掲4)Jensen:p.185 9)Ferguson社カタログNo.903:Simplified Cam  Selection, Ferguson Machine Co., St. Louis, Mo. 10)牧野洋:カム軸のトルクにっいて,昭和44年度精機学会  春季大会前刷,p.145−146(昭44)

参照

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