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左側下顎大臼歯部にみられたX線不透過像 : 歯牙腫かセメント質腫か

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Academic year: 2021

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〔図説〕松本歯学22:328∼329,1996

左側下顎大臼歯部にみられたX線不透過像

― 歯 牙 腫 か セ メ ン ト 質 腫 か ―

内 田 啓 一   深 澤 常 克   人 見 昌 明   児 玉 健 三

長 内 剛   和 田 卓 郎

松本歯科大学 歯科放射線学講座(主任 和田卓郎教授)  日常のパノラマX線写真において,顎骨内にみ られるX線不透過像の多くは骨隆起,外骨症,内 骨症をはじめ硬化性骨炎,特発性骨硬化症,さら には歯原性腫瘍などがあるω.これらの不透過像 の病変はX線学的に経過観察を行ったとしても著 明な変化は認めないものが多い.また,X線不透 過像が主体になる腫瘍性病変には,セメント質腫, 歯牙腫,骨腫などが多いようである.  今回,我々は左側下顎大臼歯部にみられたX線 不透過像において,歯牙腫かセメント質腫かの画 像診断上困難をきたした一症例を経験したので写 真を供覧する.  左側下顎第一大臼歯遠心根部から第二大臼歯遠 心根部にかけて歯根を取り囲むように,辺縁平滑 な比較的境界明瞭な塊状の不透過像がみられる. その内部には不均一な粒状の石灰化物が認められ る.辺縁には一層の透過帯を伴い,さらにその周 囲には骨硬化縁が認められる.また,第一大臼歯 遠心根尖および第二近心根尖は,この骨硬化縁に 一致して明瞭な吸収を示し,下顎骨舌側の皮質骨 も吸収をうけている.骨の著名な膨隆や下顎管へ の圧迫などの所見は認めない(写真1).しかしな がら,その内部に認められる不均一な粒状の石灰 化物をよく観察してみると,歯牙用構造物を思わ せる構造物が複雑に混じり合った塊状の石灰化物 であることに気づく(写真1b).さらに,当科に て画像処理をした結果,歯牙様構造物が明瞭に認 められた(写真2).以上より,画像診断では複雑 写真1:左側下顎大臼歯遠心根から第二大臼歯遠心根にかけて辺縁平滑    な比較的境界明瞭な塊状の不透過像がみられ,内部に均一な粒    状の石灰化物が認められる, (1996年8月21日受付;1996年ll月13日受理)

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松本歯学 22(3)1996 329 写真2:画像処理後のデンタルX線フィルム写真     a:階調反転像     b:色調補正像(コントラスト、明るさ)    画像処理することにより不均一な粒状の石灰化物が歯牙様構造物であることが明瞭に認められる. 性歯牙腫と診断した.  セメント質腫,複雑性歯牙腫の好発部位は下顎 大臼歯部であり,共にX線不透過像を主体とす る歯原性腫瘍であり,比較的歯原性腫瘍の中では 発生頻度は高いものである.

 セメント質腫は1971年WHOにより①良性セ

メント牙細胞腫②セメント形成線維腫③巨大型セ メント質腫④根尖性セメント質異形成症に分類さ れたが,その後,これらの中には組織学的にも真 の腫瘍でなく,骨組織との鑑別が困難なものが多 く問題点もあり,1992年には第II版としてrWHO による骨組織に関連した,腫瘍と腫瘍類似疾患」 として,さらに分類されている(2).セメント質腫は X線学的にもその病態像を確定すことは非常に困 難であると思われる.  歯牙腫は歯科治療の際に偶然発見されること や,乳歯の晩期残存や永久歯の萌出遅延,転位な どの場合にその原因が歯牙腫であることがしぼし ぽある.本症例ではこのような原因とする因子は みあたらないが,画像処理によってある程度の鑑 別はつくものと思われる.もっとも最終的には確 定診断として病理組織学的診断が重要な情報であ ることはいうまでもない.

参考文献

(1) 日本放射線学会編集(1994)口腔画像診断アトラ   ス,1版,68−72.医歯薬出版,東京. (2)古跡養之眞,山本 昭(編集)(1996)新歯科放射   線診断アトラス,1版,98−145.学建書院,東京.

参照

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